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骨系統疾患の遺伝子検査(521遺伝子パネル)|原因・遺伝のしかた・胎児の骨が短いと言われたら

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

骨系統疾患の遺伝子検査(521遺伝子パネル)

骨系統疾患の遺伝子検査(521遺伝子パネル)は、軟骨無形成症・骨形成不全症など、骨や軟骨の成長の異常で起こる病気の原因となる521の遺伝子を、1回の検査でまとめて調べる検査です。骨系統疾患は種類がとても多く、2023年の国際分類には771の病気が載っています[1]。病気ごとに1つずつ遺伝子を調べていくと、原因にたどり着くまでに時間がかかります。原因の遺伝子がわかると、病名・合併症への備え・ご家族への影響・次のお子さんで同じことが起こる確率を、具体的に考えられるようになります。このページでは、どんな人が受けるとよいか、何がわかって何がわからないか、胎児の骨が短いと言われたときの考え方を、臨床遺伝専門医が解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. この検査で何がわかりますか?

骨系統疾患の原因として報告されている521遺伝子の小さな変化(一塩基の変化・小さな挿入や欠失)と、一部の大きな欠失・重複を1回で調べ、骨の病気の原因の遺伝子を探します。

🧬 Q. どんな人が受けるとよいですか?

低身長・骨や関節の変形・骨折を繰り返すなどで骨系統疾患が疑われる方、ご家族に骨系統疾患の方がいる方、妊娠中に赤ちゃんの骨が短いなどの所見で骨系統疾患が疑われた方です。

🧬 Q. 費用・日数・検体は?

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です(至急オプション55,000円で約7日短縮)。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、オンライン診療にも対応しています。遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。

🧬 Q. 結果のあとはどうなりますか?

結果は臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。原因がわかれば、ご家族の検査や次の妊娠の計画(院内での絨毛検査・羊水検査)を考えられます。陰性でも病気を否定できないこと、意義がまだわからない変化(VUS)のことも合わせてお伝えします。

\ 一生変わらない遺伝子を知って、これからの計画に /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

検査の前に臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、結果も臨床遺伝専門医が直接ご説明します。

お問い合わせはこちら | どの検査がよいか迷う方へ

1. 骨系統疾患とは:検査を受けるか決める前に知っておきたいこと

骨系統疾患は、骨や軟骨がつくられ、育っていくしくみの異常で、骨格に変化が起こる遺伝性の病気の総称です。英語では skeletal dysplasia と呼ばれます。体全体の骨や軟骨に広く変化が出る「骨軟骨異形成症」と、特定の骨に変化が出る「異骨症」に大きく分けられます。

骨系統疾患の種類と頻度

骨系統疾患の国際分類は2023年に11回目の改訂が行われ、771の病気と552の遺伝子が載っています[1]。この改訂では、病気の名前と原因の遺伝子をセットで呼ぶ書き方が取り入れられ、どの遺伝子の変化でどの病気が起こるかが、よりはっきり整理されました[1]。

ひとつひとつの病気はまれでも、全体では決して少なくありません。中南米の出生登録を使った1986年の研究では、骨系統疾患の出生時の頻度は出生1万あたり2.3で、届け出の漏れを考えると実際はこの約2倍と推定されています[2]。代表的な病気では、軟骨無形成症の出生時の頻度は世界全体で10万出生あたり約4.6(研究によって大きなばらつきがあります)[3]、骨形成不全症の有病率は10万人あたり約6〜7と報告されています[5]。いずれも海外の研究の値で、日本の正確な数字ではない点にご注意ください。

主な症状:低身長・骨や関節の変形・骨折しやすさ

骨系統疾患の症状は病気によって大きく違いますが、よくみられるのは次のような変化です。同じ病気でも重さには大きな幅があり、生まれてすぐに命にかかわる重い型から、大人になって偶然見つかる軽い型まであります。

  • ●身長が低い(手足が短いタイプと、体全体の釣り合いがとれたタイプがあります)
  • ●骨や関節の変形、背骨の変形(側弯など)
  • ●骨折しやすい、骨折を繰り返す
  • ●骨が硬くなりすぎる、または骨の石灰化(カルシウムの沈着)がうまくいかない
  • ●手足の形の違い、関節が動きにくい・反対に動きすぎる

骨や関節以外に、聴力・目・呼吸・心臓などに合併症が出る病気もあります。原因の遺伝子がわかると、どの合併症に気をつければよいかを病気ごとに考えられます。

骨系統疾患は遺伝する?3つの遺伝のしかたとde novo

骨系統疾患の多くは1つの遺伝子の変化で起こり、常染色体顕性(優性)遺伝・常染色体潜性(劣性)遺伝・X連鎖遺伝のどれもあります。どの遺伝のしかたに当たるかは病気と原因の遺伝子によって決まるため、原因がわからないままでは、ご家族への影響を正確にお伝えできません。

もうひとつ大切なのは、ご両親に症状がなくても、お子さんで新しく起きた遺伝子の変化(de novo変異)で起こる骨系統疾患が多いことです。たとえば軟骨無形成症は、約80%が新しく起きた変化によるもので、残りが病気のある親から受け継いだものとされています。新しく起きる変化は、父親の年齢が高いことと関連すると報告されています[4]。父親の年齢と新しく起きる変化の関係は、NIPTと単一遺伝子疾患|父親の年齢リスク(デノボ変異)でも解説しています。

骨形成不全症(COL1A1・COL1A2遺伝子によるもの)では、軽い型の方の約60%、進行して変形が強くなる型や周産期に命にかかわる型のほぼすべてが、ご家族の中で初めての方(単発例)とされています[5]。

代表的な骨系統疾患と、病名ごとの検査ページ

この検査の521遺伝子には、次のような病気の原因遺伝子が含まれています。病名がすでにはっきりしている場合は病名ごとの検査が、まだしぼりきれない場合はこの521遺伝子の検査が向いています。

🦴 この検査で調べられる代表的な骨系統疾患

病気 くわしい解説・病名ごとの検査
軟骨無形成症 原因はFGFR3遺伝子。常染色体顕性遺伝で、約80%は新しく起きた変化[4]
軟骨低形成症 疾患の解説ページで、原因・症状・遺伝のしかたをくわしく説明しています
致死性骨異形成症 総論ページで、型ごとの違いと出生前の所見を説明しています
骨形成不全症 欧米では約80〜85%がCOL1A1・COL1A2による[5]。絞った検査は骨形成不全症・骨密度異常の遺伝子検査
多発性骨端異形成症 多発性骨端異形成症 NGS遺伝子検査パネル
先天性脊椎骨端異形成症 疾患の解説ページで説明しています
偽性軟骨無形成症 疾患の解説ページで説明しています
大理石骨病 骨が硬くなる病気のグループ(骨硬化症)の代表です
低ホスファターゼ症 骨の石灰化の異常で起こる病気です
低リン血症性くる病 低リン血症性くる病の遺伝子検査
鎖骨頭蓋異形成症 疾患の解説ページで説明しています
エリス・ファンクレフェルト症候群 エリス・ファンクレフェルト症候群の遺伝子検査
点状軟骨異形成症 近位肢節型の総論ページで説明しています
ムコ多糖症 ムコ多糖症NGS遺伝子パネル検査
スティックラー症候群 スティックラー症候群NGS遺伝子パネル検査
遺伝性多発性骨軟骨腫 遺伝性多発性骨軟骨腫NGS遺伝子検査パネル

※原因の遺伝子や遺伝のしかたは、同じ病名でも型によって違います。ご家族にとっての意味は、遺伝カウンセリングでご説明します。

頭の形が気になる場合は頭蓋骨縫合早期癒合症(狭頭症)の遺伝子検査を、アペール症候群などFGFR遺伝子に関わる病気にしぼるならFGFR関連頭蓋骨縫合早期癒合症の遺伝子検査もご覧ください。

2. どんな人がこの検査を受けるとよいか

骨系統疾患が疑われるのに病名がしぼりきれない方、ご家族に骨系統疾患の方がいて原因を知りたい方、妊娠中に赤ちゃんの骨の所見を指摘された方に向く検査です。見た目や家族歴だけでは、どの遺伝子の変化なのかはわかりません。迷ったら、まず遺伝カウンセリングで状況をお聞かせください。

低身長・骨の変形・骨折を繰り返す方(お子さん・大人)

次のような場合に、この検査が役立つことがあります。骨系統疾患は子どものうちに気づかれることが多い一方で、大人になってから症状が目立ち、原因がわからないまま過ごしている方もいます。

  • ●身長が低く、とくに手足の短さが目立つ
  • ●骨や関節の変形、背骨の変形がある
  • ●軽いけがで骨折する、骨折を繰り返す
  • ●レントゲン検査で骨の形の異常を指摘された
  • ●骨密度が極端に高い、または低いと言われた
  • ●ほかの検査では原因がわからなかった

骨系統疾患が疑われた543人に多遺伝子パネル検査を行った国際的な研究では、原因が見つかった方は42.0%でした[6]。半数以上の方では原因が見つからないことも事実ですが、見つかれば、何年も続いた「原因がわからない」状態に区切りをつけられます。

妊婦健診で「骨が短い」「手足が短い」と言われた方へ

大腿骨(太ももの骨)や上腕骨(二の腕の骨)が短めという所見が単独で見つかっただけでは、病気とは言えません。米国母体胎児医学会(SMFM)の指針は、この所見が単独のとき、染色体のスクリーニングをまだ受けていなければ説明して勧め、陰性ならそれ以上の染色体の評価は不要とし、妊娠後期に成長を見直す超音波検査を行うことを勧めています[7]。測り方や見方については胎児の大腿骨長(FL)で解説しています。

一方で、短さが強い、手足の形や胸の大きさにも所見がある、などで骨系統疾患が疑われる場合は、赤ちゃんの細胞を使って遺伝子を調べることで原因がわかることがあります。上の国際的な研究では、骨系統疾患が疑われた胎児88例のうち59.0%で原因が見つかっています[6]。

妊婦健診で
骨の所見精密な超音波で確認
▶
遺伝
カウンセリング臨床遺伝専門医
▶
絨毛検査・
羊水検査院内で実施
▶
遺伝子検査521遺伝子/出生前WES

当院では、羊水検査・絨毛検査を院内で行っており(2025年6月から産婦人科を併設)、得られた赤ちゃんの細胞でこの検査や、より広く調べる出生前全エクソーム(WES)検査・出生前全ゲノム(WGS)検査を選べます。

また、次の妊娠では、新しく起きた変化による骨の病気の一部を、母体の血液で調べる方法もあります。当院のNIPTダイヤモンドプラン・インペリアルプランは、軟骨無形成症の原因となるFGFR3遺伝子などを対象にしています(第3章)。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。

ご家族に骨系統疾患の方がいる・次のお子さんの確率を知りたい方

原因がわかると、次のお子さんで同じことが起こる確率がどれくらいあるか、次の妊娠でどう備えられるかを、具体的に考えられるようになります。確率は、原因の遺伝子と遺伝のしかたで大きく変わります(第5章)。

お子さんで新しく起きた変化だとわかれば、ご両親のせいではないことがはっきりします。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。常染色体潜性・X連鎖の病気であれば、ほかのお子さん(きょうだい)が将来、結婚や出産を考えるときに、保因者かどうかを知る手がかりにもなります。

この検査より別の検査が向いている場合

🔍 状況に合わせた検査の選び方

こんなとき 向いている検査
骨の病気が疑われるが、病名をしぼりきれない このページの検査(521遺伝子)
骨が折れやすい病気にしぼりたい 骨形成不全症・骨密度異常の遺伝子検査
骨格異形成症の主な遺伝子を調べたい 骨格異形成症パネル(179遺伝子)
体全体の釣り合いがとれた低身長 低身長遺伝子パネル検査
関節が生まれつき動きにくい 関節拘縮症の遺伝子検査
骨以外の症状も多く、病気をしぼれない 全エクソーム検査(WES)
ご家族で原因の変化がすでにわかっている その変化だけを確かめる検査(遺伝カウンセリングでご相談ください)

※どの検査が合うかは、症状・画像・ご家族の情報で変わります。染色体の大きな変化が疑われる場合は、染色体の検査を先に考えることもあります。

\ 妊娠の前に、妊娠中に、知って選べることを増やす /

📅この検査を予約する(遺伝カウンセリングの予約)

ご家族の原因がわかっていれば、妊娠したときの出生前診断(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

海外でPGT-Mを考えている方には、英語の検査結果をお渡しできます(検査の時にお申し出ください)。

NIPTのご案内 | どの検査がよいか迷う方へ

3. 調べる521遺伝子と、わかる病気

この検査では、骨系統疾患の原因として報告されている521の遺伝子をまとめて調べます。命にかかわる重い型から軽い型までの骨の異形成、手足の短い低身長や釣り合いのとれた低身長を起こす病気、大理石骨病などの骨が硬くなる病気、低リン血症性くる病などの石灰化の異常、骨形成不全症を含むコラーゲンの病気などが含まれます。

疾患グループ別の主な遺伝子

🧬 疾患グループと主な遺伝子

疾患グループ 主な遺伝子
FGFR3軟骨異形成症グループ 軟骨無形成症など。FGFR3
II型コラーゲン異常症グループ COL2A1
XI型コラーゲン異常症グループ COL11A1、COL11A2
スティックラー症候群グループ COL2A1、COL11A1、COL9A1、COL9A2、COL9A3など
骨形成不全症・骨密度低下のグループ COL1A1、COL1A2、IFITM5、CRTAP、P3H1、PPIB、SERPINF1、SP7、TMEM38B、WNT1など
骨硬化症グループ(大理石骨病など) TCIRG1、CLCN7、CA2、CTSKなど
くる病・骨軟化症グループ PHEX、ALPL、FGF23、ENPP1など
多発性骨端異形成症・偽性軟骨無形成症グループ COMP、MATN3、SLC26A2、COL9A1、COL9A2、COL9A3など
短肋骨異形成症グループ DYNC2H1、EVC、EVC2、IFT140、IFT172など
ムコ多糖症・リソソーム病グループ IDUA、IDS、GALNS、ARSB、GLB1など
そのほか SIOD(SMARCAL1)、デスモステロール症(DHCR24)、脊椎骨幹端異形成症など

※グループ分けは当院の検査内容の説明による。遺伝子ページがあるものはリンクしています。

全521遺伝子の一覧

対象の521遺伝子は次のとおりです。当院のサイトに解説ページがある遺伝子(204遺伝子)は、名前からそのページへ移れます。

▼ 対象の521遺伝子を見る

ACAN, ACP5, ACVR1, ADAMTS10, ADAMTS17, ADAMTSL2, AFF4, AGA, AGPS, AIFM1, AKT1, ALPL, ALX1, ALX3, ALX4, AMER1, ANKH, ANKRD11, ANO5, ANTXR2, ARCN1, ARHGAP31, ARSB, ARSE(現在の名前:ARSL), ASXL1, ATP6V0A2, ATP7A, ATR, ATRIP, B3GALT6, B3GAT3, B4GALT7, BGN, BHLHA9, BMP1, BMP2, BMPER, BMPR1B, BRD4, BTRC, C21orf2, C2CD3, CA2, CANT1, CASR, CBFB, CBS, CC2D2A, CCDC8, CDC45, CDC6, CDH11, CDH3, CDKN1C, CDT1, CENPE, CENPJ, CEP120, CEP152, CEP290, CEP63, CHST11, CHST14, CHST3, CHSY1, CHUK, CKAP2L, CLCN5, CLCN7, CNOT2, COG1, COG4, COL10A1, COL11A1, COL11A2, COL1A1, COL1A2, COL27A1, COL2A1, COL9A1, COL9A2, COL9A3, COMP, CREB3L1, CRIPT, CRTAP, CSF1R, CSGALNACT1, CSPP1, CTNS, CTSA, CTSK, CUL7, CWC27, CYP26B1, CYP27B1, CYP2R1, DDR2, DDRGK1, DDX58, DHCR24, DHODH, DIP2C, DLL3, DLL4, DLX3, DLX5, DLX6, DMP1, DMRT2, DNA2, DNMT3A, DOCK6, DONSON, DVL1, DVL2, DVL3, DYM, DYNC1I1, DYNC2H1, DYNC2LI1, EBP, EDN1, EDNRA, EFL1, EFNB1, EFTUD2, EHHADH, EIF2AK3, ENPP1, EOGT, EPS15L1, ERCC4, ERF, ESCO2, ESPL1, EVC, EVC2, EXOC6B, EXT1, EXT2, EXTL3, EZH2, FAH, FAM111A, FAM20C, FANCA, FANCB, FANCC, FANCD2, FANCE, FANCF, FANCG, FANCI, FBLN1, FBN1, FBN2, FBXW11, FBXW4, FDFT1, FERMT3, FGD1, FGF10, FGF16, FGF23, FGF9, FGFR1, FGFR2, FGFR3, FIG4, FKBP10, FKBP14, FLNA, FLNB, FMN1, FN1, FREM1, FTO, FUCA1, FZD2, GALNS, GALNT3, GDF3, GDF5, GDF6, GHR, GHRHR, GHSR, GJA1, GLB1, GLI3, GMNN, GNAI3, GNAS, GNPAT, GNPTAB, GNPTG, GNS, GON4L, GORAB, GPAA1, GPC3, GPC6, GPX4, GREM1, GRHL2, GSC, GUSB, GZF1, HAAO, HDAC4, HDAC8, HES7, HGSNAT, HNRNPK, HOXA11, HOXA13, HOXD13, HPGD, HRAS, HSPA9, HSPG2, HYAL1, IARS2, ICK, IDH1, IDH2, IDS, IDUA, IFIH1, IFITM5, IFT122, IFT140, IFT172, IFT43, IFT52, IFT80, IFT81, IGF1, IGF1R, IGF2, IHH, IL11RA, IMPAD1, INPPL1, INTU, IRF6, JAG1, KAT6B, KCNN3, KDELR2, KDM6B, KIAA0586, KIAA0753, KIF22, KIF7, KL, KMT2A, KYNU, LARP7, LBR, LEMD3, LFNG, LHX4, LIFR, LMBR1, LMNA, LMX1B, LONP1, LRP4, LRP5, LRRK1, LTBP3, MAB21L2, MAD2L2, MAFB, MAN2B1, MAP2K1, MAP3K20, MAP3K7, MASP1, MATN3, MBTPS1, MBTPS2, MCM5, MECOM, MED12, MEGF8, MEOX1, MESD, MESP2, MGP, MKS1, MMP13, MMP14, MMP2, MMP9, MNX1, MSL3, MSX2, MYCN, MYH3, MYH8, MYO18B, NAGLU, NANS, NBAS, NEK1, NEK9, NEU1, NF1, NFIX, NIN, NIPBL, NKX3-2, NLRP3, NOG, NOTCH1, NOTCH2, NPPC, NPR2, NSD1, NSDHL, NSMCE2, NXN, OBSL1, OCRL, OFD1, ORC1, ORC4, ORC6, OSTM1, P3H1, P4HB, PAM16, PAN2, PAPSS2, PAX3, PCGF2, PCNT, PCYT1A, PDE4D, PDGFRB, PEX5, PEX7, PGAP3, PGM3, PHEX, PIGN, PIGV, PIK3C2A, PIK3CA, PIK3R2, PISD, PITX1, PKDCC, PLCB4, PLOD1, PLOD2, PLOD3, PLS3, POC1A, POLE, POLR1A, POLR1C, POLR1D, POP1, POR, PORCN, PPIB, PPP3CA, PRKAR1A, PTDSS1, PTH1R, PTHLH, PTPN11, PYCR1, RAB23, RAB33B, RAD21, RAD51, RBBP8, RBM8A, RBPJ, RECQL4, RIN2, RIPK4, RIPPLY2, RMRP, RNU4ATAC, ROR2, RPGRIP1L, RPL13, RSPO2, RSPRY1, RTTN, RUNX2, SALL1, SALL4, SBDS, SC5D, SEC24D, SEM1, SERPINF1, SERPINH1, SETBP1, SETD2, SF3B4, SFRP4, SGMS2, SGSH, SH3BP2, SH3PXD2B, SHH, SHOX, SKI, SLC10A7, SLC17A5, SLC25A24, SLC26A2, SLC29A3, SLC2A2, SLC34A1, SLC34A3, SLC35D1, SLC39A13, SLC9A3R1, SLCO2A1, SLCO5A1, SLX4, SMAD2, SMAD3, SMAD4, SMARCAL1, SMC1A, SMC3, SMO, SMOC1, SMS, SNRPB, SNX10, SOST, SOX9, SP7, SPARC, SQSTM1, SRCAP, STAG2, SUCO, SULF1, SUMF1, SYT1, TAB2, TAPT1, TBCE, TBX15, TBX3, TBX4, TBX5, TBX6, TBXAS1, TCF12, TCIRG1, TCOF1, TCTEX1D2, TCTN3, TENT5A, TGDS, TGFB1, TGFB2, TGFB3, TGFBR1, TGFBR2, THPO, TKT, TMEM165, TMEM216, TMEM38B, TMEM67, TNFRSF11A, TNFRSF11B, TNFSF11, TONSL, TP63, TRAF3IP1, TRAIP, TRAPPC2, TREM2, TRIM37, TRIP11, TRIP4, TRMT10A, TRPS1, TRPV4, TRPV6, TTC21B, TWIST1, TYROBP, UBE2T, VDR, VPS33A, WASHC5, WDR19, WDR34, WDR35, WDR60, WISP3, WNT1, WNT10B, WNT3, WNT5A, WNT7A, XRCC2, XRCC4, XYLT1, XYLT2, ZIC1, ZMPSTE24, ZNF668, ZNF687, ZSWIM6(521遺伝子)

💡 調べ方の注意:ACAN遺伝子とRUNX2遺伝子

ACAN遺伝子のエキソン12には長い繰り返し配列があるため、この検査ではエキソン12の変化を確実には見つけられません。RUNX2遺伝子の3つの塩基の繰り返しが伸びる変化も、この検査では評価していません。

当院のNIPTでも調べられる64遺伝子

この検査の521遺伝子のうち64遺伝子は、当院のNIPT(ダイヤモンドプラン・インペリアルプラン)の対象にも入っています。これらは、新しく起きた変化で起こることがある単一遺伝子の病気を、妊娠中に母体の血液で調べるためのプランです。くわしくはインペリアルプランとダイヤモンドプランの違いと、骨系統疾患はNIPTで調べられる?をご覧ください。

🤰 当院のNIPTの対象にも入っている遺伝子

対象のプラン 遺伝子
ダイヤモンドプラン・インペリアルプランの両方(31遺伝子) ASXL1, COL11A1, COL1A1, COL1A2, COL2A1, EBP, EFNB1, ERF, FGFR1, FGFR2, FGFR3, FLNB, FREM1, HDAC8, HNRNPK, HRAS, KAT6B, LMNA, MAP2K1, NIPBL, NSD1, NSDHL, PTPN11, RAD21, RUNX2, SKI, SLC25A24, SMC1A, SMC3, SOX9, TWIST1
ダイヤモンドプランだけ(5遺伝子) COL10A1, GLI3, SNRPB, TCF12, ZIC1
インペリアルプランだけ(28遺伝子) ACVR1, ANKRD11, COL9A2, COL9A3, COMP, EFTUD2, FBN1, FLNA, IFITM5, JAG1, KMT2A, MSX2, NF1, NFIX, NOTCH2, PIK3CA, PIK3R2, PRKAR1A, SETBP1, SETD2, SMAD3, SMAD4, SRCAP, TBX5, TGFB2, TGFBR1, TGFBR2, TRPS1

※当院のNIPTの各プランの対象遺伝子の一覧と照らし合わせた結果(2026年10月時点)。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性の場合は院内の絨毛検査・羊水検査で確かめます。

新しく起きた変化は、ご両親に同じ変化がなくても起こります。軟骨無形成症の約80%が新しく起きた変化によるという報告[4]は、ご家族に骨の病気の方がいない妊婦さんにとっても、こうした検査が意味を持ちうることを示しています。プランの内容は56遺伝子de novo変異NIPTでも解説しています。

4. この検査でわかること・わからないこと

この検査でわかるのは、521遺伝子の中の小さな変化(一塩基の変化・小さな挿入や欠失)と、一部の大きな欠失・重複です。一方で、遺伝子検査には必ず限界があります。

わかること

  • ●遺伝子の小さな変化:タンパク質の設計図にあたる部分(コード領域)と、その境目(スプライス部位)を読み、病気の原因となる変化を探します。
  • ●大きな欠失・重複:1つの遺伝子がまるごと抜けている・増えている変化(血液・頬の粘膜の検体)と、2つ以上続くエキソンにわたる変化(血液の検体のみ)を見つけられます。1つのエキソンだけの欠失・重複は見つかることもありますが、日常的には検出しません。見つかった欠失・重複は、別の原理の方法(qPCR法やMLPA法)でもう一度確かめてから報告します。
  • ●読み取りの精度:対象の遺伝子の99%以上の領域を、20回以上くり返して読み取ります。同じ場所を何度も読むことで、読み間違いを減らせます。

骨系統疾患の研究でも、原因が見つかった方のうち5.7%は欠失・重複でした[6]。小さな変化だけでなく欠失・重複も調べることには意味があります。

わからないこと

  • ●体の一部の細胞だけにある変化(モザイク):この検査は、モザイクや腫瘍の組織の変化を見つけるようには作られていません。
  • ●繰り返し配列の伸び:3つや6つの塩基の繰り返しが伸びる変化は調べません(マイクロサテライト(STR))。ACAN遺伝子のエキソン12とRUNX2遺伝子の繰り返しについては、第3章のとおりです。
  • ●調べていない場所:遺伝子の働きを調節する領域(プロモーターなど)や、エキソンから20塩基以上離れたイントロンの深い部分の変化は調べません。
  • ●染色体の構造の変化:転座や逆位は見つけられません。
  • ●よく似た配列:遺伝子によく似た配列(偽遺伝子)があると、まれに判定が難しくなることがあります。

陰性でも否定はできない/意義がまだわからない変化(VUS)

原因が見つからなくても、骨系統疾患を否定することはできません。この検査の521遺伝子に入っていない遺伝子や、この方法で見つけにくい変化が原因のこともあります。

また、病気の原因かどうかまだ判断できない変化(VUS)が見つかることがあります。VUSは、それだけで診断やご家族の発症予測には使いません。ただし、その変化が病気の原因かどうかを調べるために、ご家族の検査を行うことがあります。研究が進んで、のちに意味がはっきりすることもあります。扱いの考え方はVUS(意義不明変異)の臨床的取り扱いでも解説しています。

5. 結果が出たあと

結果は、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングで直接ご説明してから、マイページにアップします。結果だけをお送りすることはありません。原因が見つかったとき・見つからなかったとき・VUSのときで、次にできることが違います。

原因がわかったとき:診断・治療・合併症への備え

病名がはっきりすると、受けておきたい検査、気をつけたい合併症、使える治療や制度(第6章)が決まります。原因がわからないまま病院を回る時間を、1回の検査で短くできる可能性があります。症状のある方の骨の病気の治療や経過観察は、整形外科・小児科・内分泌科などの主治医と一緒に進めます。

原因がわからなかったとき・VUSのとき

原因が見つからなかった場合は、症状や画像の所見にもとづく診断と管理が引き続き大切です。症状に合わせて、全エクソーム検査(WES)などのより広い検査を考えることもあります。VUSが見つかった場合は、ご家族の検査結果や新しい研究の報告をもとに、扱いを考えます。

ご家族への影響と、次のお子さんで同じことが起こる確率

次のお子さんで同じ病気が起こる確率は、原因の遺伝子と遺伝のしかたで大きく変わります。

👪 遺伝のしかたと、次のお子さんの確率の考え方

遺伝のしかた 考え方
常染色体顕性(優性)遺伝 病気のある親から、お子さん1人ごとに2分の1の確率で受け継ぎます[5]。
常染色体潜性(劣性)遺伝 ご両親がともに保因者のとき、お子さん1人ごとに4分の1の確率で発症します。パートナーの方の検査や保因者スクリーニングにつなげます。
X連鎖遺伝 お母さんが保因者かどうか、お子さんの性別などで確率が変わります。
新しく起きた変化(de novo) ご両親に変化がなければ低くなりますが、ゼロではありません(下の説明)。

お子さんで新しく起きた変化と考えられても、親御さんの卵子や精子のもとになる細胞(生殖細胞)にだけ変化がある「性腺モザイク」のことがあります。骨形成不全症(COL1A1・COL1A2遺伝子によるもの)では、お子さんが病気だった親御さんの最大16%にモザイクが見つかったと報告されています[5](これは親御さんにモザイクが見つかる割合で、次のお子さんの確率そのものではありません)。

変化をもつ生殖細胞からできる卵子・精子は2分の1の確率で変化を受け継ぎます。生殖細胞のうちどれくらいが変化をもつかは実際の診療では調べられないため、お子さん1人あたりの確率は『最大で2分の1』とお伝えしています。「新しく起きた変化だから、次は大丈夫」と小さく見積もらないことが大切です。

ご家族の中で原因がわかっていると、ほかのご家族は同じ場所を調べることで、受け継いでいるかどうかを確かめられます。妊娠中の方には、NIPTと同じ日に採血できるカップルの保因者検査「ファミリーセーフティ プラス」もあります(単独では受けられません)。原因の遺伝子が保因者検査の対象かどうかは、各検査の遺伝子一覧でご確認ください。

次の妊娠に備える:絨毛検査・羊水検査とNIPT

ご家族で原因の遺伝子の変化がわかっていれば、妊娠したときに赤ちゃんで同じ変化があるかを調べられます。絨毛・羊水からの胎児の出生前診断は当院で承っております。その病気で出生前診断を行えるかは、病気の重さや国内の指針を踏まえて個別に考えますので、妊娠を考えている段階からご相談ください。

ご家族に骨系統疾患の方がいない場合でも、新しく起きた変化による骨の病気の一部は、当院のNIPTのダイヤモンドプラン・インペリアルプランで調べられます(第3章)。妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。陽性なら院内で確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで受けられます。

海外でPGT-M(着床前遺伝学的検査)を考えている方へ:英語の検査結果をお渡しできます

PGT-Mは、体外受精でできた受精卵(胚)の一部の細胞を調べ、ご家族でわかっている遺伝子の変化を受け継いでいない胚を選んで子宮に戻す検査です。当院には、海外でPGT-Mを受けたいというお問い合わせが多く寄せられています。当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。当院でできるのは、原因の遺伝子の確定、英語の検査結果のご用意、遺伝カウンセリング、ご家族の遺伝子検査、妊娠後の絨毛検査・羊水検査です。英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)の指針では、PGT-Mの準備に、病気の原因と確かめられた遺伝子の変化と、その内容が書かれた元の報告書が必要とされています[8]。さらに、受精卵から取れるDNAはごくわずかで、2本あるうちの片方が読み取れない「アレルドロップアウト」などで判定を誤るおそれがあるため、変化のある場所の両側にある目印(多型マーカー)で「変化をもつ染色体」を家系の中でたどる方法(ハプロタイプ解析)を組み合わせます[8]。

ご本人の検査結果だけでは、PGT-Mの準備はふつう整いません。どちらの染色体に変化が乗っているかを決めるには、ご夫婦に加えて、病気の有無がわかっている血縁者のDNAが必要です。指針の目安は、顕性遺伝なら患者さん少なくとも1人(できれば2人)、および/または発症していない方1人、潜性遺伝なら患者さん(2つの変化をもつ方)・保因者・保因者でない方、X連鎖なら患者さん、および/または発症していない方(保因者と確かめられた方が望ましい)です[8]。血縁者がいない場合、指針は、ご夫婦で目印を調べたうえで治療周期の受精卵や1個の精子を調べて変化の乗った染色体を決める方法を挙げていますが、できるかどうかは施設や家系の状況で大きく変わり、受けられないこともあります。また、新しく起きた変化(de novo)で、これまでに妊娠歴のないご夫婦では、一般的なハプロタイプ解析の方法は使えないとされています[8]。新しく起きた変化が多い骨系統疾患では、とくに注意が必要です。

海外でPGT-Mを考えている方は、ご本人の検査の段階から、検査に協力していただけるご家族(とくに同じ変化をもつ方)がいるかを考えておくことが大切です。当院では、ご家族の遺伝子検査も、遺伝カウンセリングのうえでお受けしています。臨床遺伝専門医としての判断では、VUSは病気の原因と確かめられていないため、そのままPGT-Mの対象にするのは難しく、潜性遺伝の病気ではご夫婦それぞれがどの変化をもっているかを確かめておく必要があります。海外の施設によって求められる書類や検体は違うので、受ける予定の施設にも前もってご確認ください。

⚠️ PGT-Mは診断ではなく、スクリーニング検査です

受精卵のごく一部の細胞を調べる検査なので、結果が赤ちゃんの状態と食い違うことがあります。ESHREの指針は、多くの施設で誤った結果になる割合は全体で1〜3%まで下げられているとしたうえで、PGTのあとに妊娠したすべての方に出生前診断を提案すべきとしています[9]。当院では、PGT-Mで選んだ胚で妊娠した場合も、妊娠中に赤ちゃんそのものを調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが望ましいと考えています。絨毛検査・羊水検査は院内で行っており、海外でPGT-Mを受けたあとの妊娠でもご相談いただけます。

日本では、日本産科婦人科学会の「重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)に関する指針」(2026年9月改定)にもとづき、PGT-Mは症例ごとに学会の審査を受け、そのうえで実施施設の倫理委員会が承認して行われます。この指針の「重篤」は、原則として、成人に達する前に日常生活が著しく損なわれる、または生存が危ぶまれる状態になる疾患で、申請の時点で有効な治療法がないか、治療法があっても高度かつ侵襲度の高いもの、とされています。成人に達する前に生存が危ぶまれるわけではないが日常生活が著しく損なわれる状態が現れる疾患は、その病気の専門医の意見書などを追加で出す仕組みになっています。その病気が日本で対象になるかどうかは、審査で個別に決まります(2026年10月時点で日本産科婦人科学会の公式ページで確認)。

PGT-Mの対象になる病気は、国によって違います。英国では公的機関(HFEA)がPGT-Mを使える病気の一覧を公表しており(2026年9月17日更新の一覧で2,067の病気)、軟骨無形成症は承認済みの病気として載っています。一覧にない病気は、施設を通じて申請し、HFEAが審査します。米国では、PGTを直接規制する連邦や州の法律はなく、主に医師・施設の判断で行われています[10]。米国生殖医学会(ASRM)の倫理委員会は2024年、大人になってから発症する病気に対するPGT-Mも倫理的に許容されうるとする意見を出しています[11]。どの病気がPGT-Mの対象になるかは、国や制度、施設によって違います。同じ病気でも、ある国では対象になり、別の国では個別の審査が必要になることがあります。受ける国の制度と、施設の条件を前もって確かめてください。くわしくは遺伝性疾患をお持ちで海外でPGT-Mを考えている方へで解説しています。

結果の報告書と、二次的所見について

結果は、基本的に日本語版でお渡ししています。海外でPGT-Mを受けるなど、英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。英語版と日本語版の双方を希望される方は、追加料金5,500円で承ります。報告書の読み方はNIPT/遺伝子検査結果の見かたで解説しています。調べた目的とは別の病気の原因が見つかった場合(二次的所見)の扱いは、当院の二次的所見の開示方針に沿ってご説明します。

6. 骨系統疾患の治療と日本の制度(2026年10月時点)

骨系統疾患の多くは、原因そのものを治す治療がまだありませんが、病気によっては使える薬があり、整形外科的な治療やリハビリ、合併症への備えで生活を支えます。原因の遺伝子がわかると、その病気に合った治療や経過観察を選びやすくなります。

使える治療の例

  • ●軟骨無形成症:ボソリチド(商品名ボックスゾゴ)が、骨端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症の薬として、日本で2022年6月20日に承認されています(医薬品医療機器総合機構の情報で確認)。
  • ●骨形成不全症:背骨の骨折や長い骨の骨折を繰り返す方、重い型の方には、ビスホスホネートという薬が最も広く使われています[5]。

骨形成不全症は、虐待によるけがとの見分けが必要になることがあります。虐待によるけがのほうがずっと多く、白目が青く見えること(青色強膜)は病気でなくても1歳半ごろまでは見られるため、見分ける手がかりになりません[5]。骨折を繰り返す理由がわからないとき、遺伝子検査は診断の手がかりのひとつになります。

小児慢性特定疾病

小児慢性特定疾病の疾患群「骨系統疾患」には、軟骨無形成症、軟骨低形成症、タナトフォリック骨異形成症、骨形成不全症、低ホスファターゼ症、大理石骨病、多発性軟骨性外骨腫症、内軟骨腫症、2型コラーゲン異常症関連疾患、点状軟骨異形成症(ペルオキシソーム病を除く)、偽性軟骨無形成症、ラーセン症候群、進行性骨化性線維異形成症、TRPV4異常症、骨硬化性疾患、ビールズ症候群が載っています(同じ疾患群に胸郭不全症候群もあります。2026年10月時点で小児慢性特定疾病情報センターの一覧を確認)。

医療費の助成を受けるには、診断の手引きにもとづいて診断され、定められた状態の程度に当てはまり、申請する必要があります。大人の医療費助成(指定難病)の対象かどうかは病気ごとに違うため、難病情報センターやお住まいの自治体の窓口でご確認ください。病名を確定させる手がかりとして、遺伝子検査の結果が役立つことがあります。

7. 検査の流れ・費用・結果までの日数・検体

検査費用は税込330,000円、結果までは2〜3週間です。検体は血液・唾液・頬の内側の粘膜などで、唾液・頬の粘膜・血液のいずれもオンライン診療で受けられます。

ご予約
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遺伝
カウンセリング臨床遺伝専門医
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検体の採取お支払い後にキット送付
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結果のご説明2〜3週間後・マイページへ

💴 費用・日数・検体

項目 内容
対象 骨系統疾患に関わる521遺伝子(塩基配列の解析と、欠失・重複の解析を含む)
検査費用 税込330,000円
オプション 至急:結果までの期間が約7日短くなります(55,000円)/VUS除外(無料)
結果までの期間 2〜3週間
検体 血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出したDNA(EBバッファー中3μg)、頬の内側の粘膜(スワブ)、唾液(ご希望により採取キットをお送りします)
遺伝カウンセリング料 30分22,000円(税込)※検査費用とは別
オンライン診療 唾液・頬の粘膜・血液のいずれもオンライン診療で受けられます。血液の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします

※当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。ご夫婦・カップルで同じ検査を同じ日に一緒に受ける場合は、遺伝カウンセリング料が1人分になります(検査費用の割引はありません)。

オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったあと、検体を当院にお送りいただく流れです。オンラインの場合は、遺伝カウンセリング料金を事前にお支払いください。検体採取キットは、検査料金をお支払いいただいたあとにお送りします。検体の取り違えを防ぎ、検査に使える品質を保つため、ご自身の判断で先に検体を採らないでください。

遺伝カウンセリングでは、検査で何がわかり、何がわからないか、結果がご家族にとってどういう意味をもつかをご説明します。検査を受けるかどうかは、説明を聞いて納得してから決めていただきます。遺伝カウンセリングについては遺伝カウンセリングとはもご覧ください。

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8. 院長コラム

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【一生変わらない設計図を、これからの計画に使う】

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。一度の検査でわかったことは、ご自身やお子さんの健康管理だけでなく、これからの妊娠・出産の計画や、ご家族の健康を考えるときにも、ずっと役に立ちます。研究が進めば、同じ結果の意味がのちにはっきりすることもあります。

私自身、希少な常染色体顕性(優性)遺伝性疾患の当事者です。子どもに病気を受け渡したくない、という遺伝の病気をもつ方の思いはよくわかります。また、お子さんが重い症状で発症したのをきっかけに、ご自身も同じ遺伝子の変化を持っていたとわかり、自分のせいだと責めてしまう親御さんを、何度も見てきました。私の当事者としての話は、遺伝性疾患の当事者として、臨床遺伝専門医になった理由に書いています。遺伝子の変化は誰にでも起こりうるもので、誰のせいでもありません。

遺伝子検査は、やってみないとわからないことを、何度も経験してきました。検査をしないと何も言えない、というのが私の確固たる考えです。たとえば、家族歴が濃いものの、ご本人は大学を卒業して会社に勤めていた方が、念のため検査を受けたところ、染色体の微小欠失が見つかったことがあります。こうした経験から、当院では、検査を受けずにリスクだけをご説明することはしておりません。検査をせずにリスクをお伝えするほうが、かえって危険だと考えているためです。

骨系統疾患は、ご両親に症状がなくても、お子さんで新しく起きた変化で起こることが多い病気です。わからないまま悩み続けるより、わかったことから次を考えるほうが前に進める、と考えています。知ったうえで結婚や妊娠を考えたい方には、出生前診断まで当院で続けて支えられる体制を整えています。どの選択をされても、その選択を尊重します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 骨系統疾患は遺伝しますか?

骨系統疾患の多くは1つの遺伝子の変化で起こる病気で、常染色体顕性(優性)・常染色体潜性(劣性)・X連鎖のどの遺伝のしかたもあります。ただし、親に症状がなくても、お子さんで新しく起きた変化(de novo)で起こることも多く、たとえば軟骨無形成症では約80%が新しく起きた変化と報告されています。どの遺伝のしかたに当たるかは、原因の遺伝子がわかってはじめて決まります。

Q2. 胎児の骨が短いと言われました。遺伝子検査は必要ですか?

大腿骨や上腕骨が短めという所見が単独で見つかっただけでは、病気とは言えません。米国母体胎児医学会の指針は、染色体のスクリーニングをまだ受けていなければ説明して勧めること、妊娠後期に成長を見直す超音波検査を行うことを挙げています。骨系統疾患が疑われる所見があるときは、絨毛検査・羊水検査で得た赤ちゃんの細胞で遺伝子を調べることを考えます。

Q3. NIPTで骨系統疾患は調べられますか?

当院のNIPTのダイヤモンドプランとインペリアルプランでは、新しく起きた変化による単一遺伝子の病気の一部を調べられます。この検査の521遺伝子のうち64遺伝子がどちらかのプランの対象で、軟骨無形成症の原因となるFGFR3遺伝子は両方のプランの対象です。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性の場合は院内の絨毛検査・羊水検査で確かめます。

Q4. 骨格異形成症パネル(179遺伝子)とどちらを選べばよいですか?

骨系統疾患の中で病気をしぼりきれないときや、1回で広く調べたいときは、この521遺伝子の検査が向いています。症状や画像から病気がしぼれている場合は、骨形成不全症・多発性骨端異形成症などの病名ごとの検査が向くこともあります。どれが合うかは、遺伝カウンセリングで症状や検査結果を伺って一緒に決めます。

Q5. 陰性なら骨系統疾患ではないと言えますか?

言えません。この検査で調べていない遺伝子の変化や、この方法では見つけにくい変化(体の一部の細胞だけにある変化、繰り返し配列の伸び、遺伝子の調節領域の変化など)が原因のこともあります。原因が見つからなかった場合は、症状に合わせて全エクソーム検査などの次の検査を考えます。

Q6. 遺伝子検査で原因が見つかる割合はどれくらいですか?

骨系統疾患が疑われた543人に多遺伝子パネル検査を行った国際的な研究では、原因が見つかったのは42.0%で、胎児では59.0%、生まれたあとの方では38.7%でした。検査を受ける方の状況や検査室によって割合は変わり、半数以上の方では原因が見つからないことも知っておいてください。

Q7. 費用と結果が出るまでの日数は?

検査費用は税込330,000円で、遺伝カウンセリング料(30分22,000円・税込)が別にかかります。結果が出るまでは2〜3週間で、至急オプション(55,000円)を使うと約7日短くなります。当院の検査・遺伝カウンセリングはすべて自費診療です。

Q8. 海外でPGT-Mを受けたいのですが、英語の検査結果はもらえますか?

はい。結果は基本的に日本語版でお渡ししていますが、海外でPGT-Mを受けるなど英語の原本が必要な方には英語版をお渡ししますので、検査の時にお申し出ください。なお、当院は体外受精・PGT-Mを行っていません。PGT-Mの準備には、ご本人の結果に加えてご家族の検体が必要になることが多いため、検査の段階からご相談ください。

🧬 一度の検査で、ご自身とご家族のこれからを考える

生まれ持った遺伝子は一生変わりません。骨系統疾患の原因がわかれば、合併症への備えだけでなく、ご家族の検査や、結婚・妊娠の計画を考える手がかりになります。当院では臨床遺伝専門医が常駐し、検査の前後の遺伝カウンセリングから、羊水検査・絨毛検査による出生前診断、新しく起きた変化を調べるNIPTまで、院内で続けて受けていただけます。

お電話でのお問い合わせ:03-3478-3768

参考文献

  • [1] Unger S, Ferreira CR, Mortier GR, et al. Nosology of genetic skeletal disorders: 2023 revision. Am J Med Genet A. 2023;191(5):1164-1209. [DOI: 10.1002/ajmg.a.63132](PMID: 36779427)
  • [2] Orioli IM, Castilla EE, Barbosa-Neto JG. The birth prevalence rates for the skeletal dysplasias. J Med Genet. 1986;23(4):328-332. [DOI: 10.1136/jmg.23.4.328]
  • [3] Foreman PK, van Kessel F, van Hoorn R, et al. Birth prevalence of achondroplasia: a systematic literature review and meta-analysis. Am J Med Genet A. 2020;182(10):2297-2316. [DOI: 10.1002/ajmg.a.61787]
  • [4] Șerban RC, Mitut-Veliscu A, Dumitra A, et al. From FGFR3 hyperactivation to disease-modifying therapy in pediatric achondroplasia: molecular mechanisms, clinical evidence, and emerging treatments. Children (Basel). 2026;13(8):1121. [DOI: 10.3390/children13081121](PMID: 42650460)
  • [5] Rodriguez Celin M, Steiner RD, Basel D. COL1A1/2 Osteogenesis Imperfecta. In: GeneReviews®. University of Washington, Seattle; 2005 (Updated 2025 May 29). [NCBI Bookshelf NBK1295]
  • [6] Scocchia A, Kangas-Kontio T, Irving M, et al. Diagnostic utility of next-generation sequencing-based panel testing in 543 patients with suspected skeletal dysplasia. Orphanet J Rare Dis. 2021;16:412. [DOI: 10.1186/s13023-021-02025-7](PMID: 34627339)
  • [7] Prabhu M, Kuller JA, Biggio JR. Society for Maternal-Fetal Medicine Consult Series #57: Evaluation and management of isolated soft ultrasound markers for aneuploidy in the second trimester. Am J Obstet Gynecol. 2021;225(4):B2-B15. [DOI: 10.1016/j.ajog.2021.06.079]
  • [8] ESHRE PGT-M Working Group, Carvalho F, Moutou C, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the detection of monogenic disorders. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa018. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa018]
  • [9] ESHRE PGT Consortium Steering Committee, Carvalho F, Coonen E, et al. ESHRE PGT Consortium good practice recommendations for the organisation of PGT. Hum Reprod Open. 2020;2020(3):hoaa021. [DOI: 10.1093/hropen/hoaa021]
  • [10] Nakasato K, Yamamoto BA, Kato K. Evaluating standards for ‘serious’ disease for preimplantation genetic testing: a multi-case study on regulatory frameworks in Japan, the UK, and Western Australia. Hum Genomics. 2022;16:16. [DOI: 10.1186/s40246-022-00390-3]
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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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