InstagramInstagram

出生前全エクソーム(WES)検査|20,000遺伝子を臨床遺伝専門医が解説|ミネルバクリニック

遺伝子検査ページ|出生前全エクソーム(WES)検査 2026/09/14

超音波検査で、赤ちゃんに気になる所見が見つかったとき。

「その原因を、できるだけ広く・深く調べたい」
という願いに応える検査です。

――20,000以上の遺伝子の「設計図部分」を、まとめて解析。
染色体検査やマイクロアレイでは届かなかった原因まで探しにいきます。

出生前全エクソーム(WES)検査|20,000以上の遺伝子のコード領域を解析する出生前遺伝子検査

出生前全エクソーム(WES)検査とは

胎児の遺伝子の「設計図部分」を広く調べるという選択

出生前全エクソームシーケンス(WES)検査とは、20,000以上の遺伝子のコード領域(タンパク質の設計図となる部分)を中心に解析し、胎児の遺伝子の変化を調べる検査です。超音波検査で気になる所見(構造異常など)が見つかった場合などに検討される、精密な遺伝子検査です。

妊娠中の超音波検査で胎児に何らかの所見が認められたとき、その背景に遺伝子の変化が隠れていることがあります。従来の染色体検査(核型分析)やマイクロアレイ検査では、大きな染色体の増減や一定サイズ以上のコピー数変化はとらえられますが、一つひとつの遺伝子レベルの小さな変化までは調べられません。出生前全エクソーム(WES)検査は、病気の原因となる変化が集中している「コード領域」を次世代シーケンス技術で読み解くことで、こうした従来検査では見つけられなかった原因まで探しにいくことができます。

この検査は、全エクソームシーケンス(Whole Exome Sequencing:WES)という手法を用いた、表現型(超音波所見などの臨床情報)に基づいて解析を行うタイプの検査です。20,000以上の遺伝子のコード領域とスプライシング部位(遺伝子のつなぎ目)、およびミトコンドリアゲノムを対象に、一塩基変異(SNV)やコピー数変異(CNV:del/dup)などの遺伝子変化を評価します。臨床情報と合致しない遺伝子の変化は、通常は報告されません。

なぜ「エクソーム」なのか

私たちのDNAのうち、実際にタンパク質の設計図となるコード領域(エクソン)は、ゲノム全体のわずか約1〜2%にすぎません。ところが、これまでに知られている病気の原因となる遺伝子の変化の多くは、このコード領域に集中していることが分かっています。全エクソーム検査は、この「病気に関わりやすい部分」を効率よく、まとめて調べられるのが大きな利点です。

あらかじめ特定の遺伝子や疾患にしぼって調べる遺伝子パネル検査と違い、全エクソームはコード領域を幅広く対象にするため、あらかじめ疾患を1つに絞り込まずに原因を探せる点でも有用です。

その前に…よく出てくる言葉をやさしく解説

このページには少しむずかしい言葉が出てきます。
DNAを「分厚いレシピ本」にたとえてイメージしてみましょう。

📖 DNAは、体をつくるためのぶ厚い「レシピ本」のようなもの。全部で30億文字もある、とても長い本です。この本の中に、料理(=体のさまざまな部品)の作り方がぎっしり書かれています。

🍳 エクソン(コード領域)

レシピ本の中で、実際の「作り方」が書かれたページ。体の部品(タンパク質)を作る、いちばん大事な部分です。本全体のわずか1〜2%しかありませんが、病気の原因の多くはここに集中しています。

📄 イントロン

作り方のページとページのあいだにはさまっている「余白」や「メモ」のような部分。料理を作るときには実際には使われず、切り取られます。ここは今回の検査では基本的に読みません。

📑 非コード領域

「作り方」が直接書かれていない部分をまとめてこう呼びます。イントロンや、次に説明する調節領域などが含まれます。本全体の約98%を占めます。

🔀 調節領域

レシピを「いつ・どれくらい作るか」を決めるスイッチのような部分。作り方そのものではありませんが、ここが乱れると、料理が作られすぎたり足りなくなったりします。

📚 コピー数変異(CNV)

本のページが「まるごと抜け落ちている」「二重に印刷されている」ような変化。1文字だけの違いではなく、ある程度まとまった範囲がなくなったり増えたりするタイプの変化です。

✂️ 構造変化

本のページの順番が入れ替わったり、逆さまに綴じられたりする大きな変化。「転座」「逆位」などがこれにあたります。

まとめると…
全エクソーム検査(WES)は「作り方のページ(エクソン)」を重点的に読む検査、全ゲノム検査(WGS)は「本まるごと」を読む検査、とイメージしてください。次の表で、両者の違いをくわしく見ていきましょう。

全ゲノム(WGS)と全エクソーム(WES)は何が違うの?

私たちのDNAのうち、実際にタンパク質の設計図となる「エクソン(コード領域)」は、ゲノム全体のわずか約1〜2%にすぎません。この設計図の部分だけを集めて読むのが全エクソーム検査(WES)、DNAのほぼ全体(残りの約98%も含めて)を読むのが全ゲノム検査(WGS)です。

全エクソーム(WES) 全ゲノム(WGS)
読む範囲 コード領域(エクソン)中心
=ゲノムの約1〜2%
コード領域+非コード領域
=ゲノムのほぼ全体
得意なこと 既知の疾患の多くはコード領域にあり、その大部分をカバー(既知の疾患関連の変化の約85%はこの領域にあるとされます) コード領域に加え、イントロン深部・調節領域の変化、コピー数変異や構造変化、ミトコンドリアの変化まで、より広く捉えやすい
カバーの
むら
狙った領域を「捕まえて」読むため、場所によって読み取りにむらが出やすい 全体を均一に読みやすく、コード領域のカバーもより安定しやすい

ひとことで言うと、エクソームは「設計図の部分だけを効率よく」、全ゲノムは「DNA全体をまるごと」調べる検査です。病気の原因の多くはコード領域にあるため、全エクソームでも幅広い疾患を調べられます。より広い範囲(イントロン深部や調節領域など)まで含めて調べたい場合は出生前全ゲノム(WGS)検査という選択肢もあります。どちらが適しているかは、遺伝カウンセリングでご相談いただけます。
※実際にどのタイプの変化をどこまで報告するかは、検査の設計によって異なります。本検査で対象・報告するものは「対象となる変化・遺伝子」および「検査の限界」をご覧ください。

院長アイコン

大事なこと

  • この検査は、超音波検査などで胎児に所見が認められた妊娠を対象とした検査です。検査の開始前には、臨床遺伝専門医による確認と承認が必要となります。
  • 検査結果の解釈には、超音波所見などの臨床情報が重要です。できるだけ詳しい情報をお寄せください。
  • ご家族(ご両親など)の検体を一緒に解析するDuo/Trio解析を行うと、胎児で見つかった変化の意味づけがより正確になります。ご希望の場合は、胎児検体と同時にご家族の検体・情報をご提出いただくことでスムーズに進められます。
  • 結果について話し合うために、遺伝カウンセリングを受けることが推奨されます。

この検査でわかること・できること

出生前全エクソーム(WES)検査の利点

  • 20,000以上の遺伝子のコード領域を対象に、病気に関わりやすい部分を幅広く解析
  • 一塩基変異(SNV)・コピー数変異(CNV:エクソンレベル)・ミトコンドリアの変化を評価
  • あらかじめ疾患を1つにしぼらず、表現型(臨床所見)に基づいて幅広く原因を探索
  • 全ゲノム検査に比べて解析範囲が絞られる分、意義不明の結果が出にくく、結果を解釈しやすい
  • Duo/Trio解析にも対応し、変化の意味づけの精度を高められる

この検査で評価する主な変化のタイプ

変化のタイプ 内容
一塩基変異(SNV) DNAの1文字(塩基)が別の文字に置き換わるなどの小さな変化。多くの遺伝性疾患の原因となり、そのほとんどはコード領域にあります。
コピー数変異(CNV/del・dup) 遺伝子の一部が欠失(削除)したり重複(増える)したりする変化。エクソンレベルで、2エクソン以上の連続した領域の変化を評価できます(単一エクソンの変化は日常的には検出されません)。
ミトコンドリアゲノムの変化 ミトコンドリアDNAの変化。ヘテロプラスミー(変異型と正常型の混在)についても一定水準以上を検出できるよう検証されています。

オプションで追加できる解析

  • ACMG二次的所見(secondary findings):検査目的とは別に、医学的に対応可能な遺伝子について調べる項目を、ご希望される方のみ(オプトイン)追加できます。
  • 意義不明バリアント(VUS)の報告:病的意義がはっきりしない変化についての報告も、ご希望に応じて選択できます。
  • 母体細胞混入(MCC)チェック:胎児検体に母体の細胞が混ざっていないかを確認するための解析。ご希望の場合は母体の血液(EDTA採血)を追加でお送りいただきます。

ミネルバクリニックの出生前全エクソーム(WES)検査の特徴

出生前全エクソーム(WES)検査は、次世代シーケンス(NGS)による全エクソームシーケンスで、20,000以上の遺伝子のコード領域とスプライシング部位、およびミトコンドリアゲノムを解析する検査です。超音波検査などで胎児に所見が認められた場合に、その原因となる遺伝子の変化を探索します。

ミネルバクリニックでは、オンライン診療(ビデオ通話での遺伝カウンセリング)にも対応しており、全国どこからでもご相談いただけます。検査の開始にあたっては、臨床遺伝専門医が臨床情報を確認し、検査が適切かどうかを判断したうえで進めます。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.従来の出生前検査を補完する「解像度」

染色体検査(核型分析)マイクロアレイ検査は、染色体の数の異常や一定サイズ以上のコピー数変化をとらえるのに有用ですが、遺伝子1つひとつのレベルの小さな変化まではわかりません。本検査は遺伝子のコード領域をシーケンスで解析するため、一塩基変異やエクソンレベルのコピー数変異など、遺伝子レベルの変化を調べられるのが特徴です。病気の原因となる変化の多くはコード領域に集中しているため、効率よく原因を探せます。

2.表現型(臨床所見)に基づく解析

本検査は、超音波所見などの臨床情報をふまえて解析を行うタイプの検査です。多くの遺伝子情報の中から、胎児の所見と関連しうる変化に焦点をあてて評価するため、より意味のある結果につなげやすくなります。だからこそ、検査の際にはできるだけ詳しい臨床情報が重要になります。

3.Duo/Trio解析に対応

胎児検体だけでなく、ご両親などご家族の検体を同時に解析することで、胎児に見つかった変化がご家族から受け継いだものか、胎児に新しく生じたもの(de novo)かなどを判断しやすくなり、変化の意味づけの精度が高まります。ご家族の検体を提出される場合は、胎児検体と同時にご提出いただくことで、解析の遅れを防げます。

なぜ「超音波所見」が検査のカギになるのか

「NIPTでは母体の採血だけで、いろいろな染色体の状態を広く調べられるのに、どうして羊水・絨毛の検査では、超音波などの所見がないと全エクソームや全ゲノムを調べてもらえないの?」——外来でよくいただくご質問です。最初から羊水や絨毛で網羅的に調べたいというお気持ちも、よくわかります。ここでは、その理由をていねいにご説明します。

結論を先に言うと、「所見があるからこそ、全エクソームや全ゲノムのような網羅的な検査は正しく読み解け、利益が検査のリスクを上回る」——これが本質です。倫理的な配慮も関わりますが、根っこにあるのは診断の精度と結果の解釈、そして検査の侵襲性(体への負担)の問題です。

1.NIPTと確定検査は、そもそも役割が違う

NIPT(非侵襲的出生前検査)は、母体の採血だけで行える、体への負担のない「スクリーニング(ふるい分け)」検査です。外れてももう一度採血すればよいだけなので、広く網を張って調べるという設計が成り立ちます。

一方、羊水検査・絨毛検査は、お腹に針を刺して検体を採取する侵襲的な「確定検査」で、わずかながら流産のリスクを伴います。ここに全エクソームや全ゲノムのような網羅的検査を載せて、所見のない胎児を広く調べると、①流産のリスクを冒したうえに、②原因が見つかる確率(診断率)は低く、③意味のはっきりしない結果ばかりが残る——という、リスクばかりで利益の乏しい構図になってしまいます。「非侵襲だから広く張れるNIPT」と「侵襲的だからこそ絞り込む確定検査」という、役割の違いがまずあります。

2.所見は、膨大な結果を読み解く「手がかり」になる

ゲノムのコード領域だけでも、一人あたり数万か所の配列の違いが見つかります(全ゲノムならさらに桁違いに多くなります)。その大半は、病気とは関係のない個人差です。この検査は表現型(超音波所見などの臨床情報)に基づいて解析する設計で、「この所見に関連する遺伝子はどれか」という手がかりがあって初めて、膨大な変化の中から意味のあるものを絞り込めるのです。

もし手がかりとなる所見がないまま調べると、見つかった変化が病気の原因なのか、無害な個人差なのか判断できず「意義不明(VUS)」の結果ばかりが大量に残ってしまいます。これは、はっきりした答えが出ないまま、ご両親に不安と難しい判断だけを残すことになりかねません。

3.所見のある胎児では、診断率が実用的な水準に上がる

先天的な体の異常は、生まれてくる赤ちゃんの3〜4%に見られます。超音波検査で構造的な所見(ソフトマーカーを含む所見など)が認められた胎児では、全ゲノム/エクソーム検査で原因となる遺伝子の変化が見つかる確率が、実用に足る水準に達します。一方、所見のない胎児では診断率が大きく下がり、検査による利益が、費用や侵襲的検査のリスクに見合わなくなります。どの所見のときに検査を行うか——診断率が、その判断の中心的な基準になっています(出生前診断でわかることもあわせてご覧ください)。

4.「調べすぎ」がもたらす重い偶発的所見

もう一つ、倫理的にも大切な問題があります。所見と関係なくゲノム全体を調べると、胎児の所見とは無関係な遺伝子に、知的発達症や代謝疾患などの重い病気に関わる変化が偶発的に見つかることがあります。こうした疾患の多くは胎児の画像(超音波)では確認できません。所見がないまま網羅的に調べると、こうした「産むかどうか」にも関わる重い偶発的所見が数多く出てしまい、ご両親に過大な負担と、非常に難しい選択を強いることになりかねません。

こうした理由から、国際的なガイドライン(米国臨床遺伝・ゲノム学会 ACMG、国際出生前診断学会 ISPD、母体胎児医学会 SMFM など)は、出生前の全ゲノム/エクソーム検査を、「超音波などで胎児に所見が認められ、かつ染色体検査(核型分析)やマイクロアレイ検査では原因がはっきりしなかった場合」の精査として推奨しています。所見のない胎児への網羅的なシーケンスは、これらの推奨の対象外とされています。当院でも、こうした国際的な考え方に沿って、臨床遺伝専門医が一人ひとりの状況を確認したうえで検査をご案内しています。

検査内容

出生前全エクソーム(WES)検査では、次世代シーケンス(NGS)により、20,000以上の遺伝子のコード領域とスプライシング部位を対象に、シークエンスバリアント(配列の変化)および欠失・重複(del/dup)の評価を行います。あわせて、ミトコンドリアゲノムの変化についても解析します。臨床情報と合致しない遺伝子の変化は、通常は報告されません。

欠失・重複(del/dup)はエクソンレベルで評価し、2エクソン以上の連続した領域の変化を特定できます(単一エクソンの欠失・重複は日常的には検出されません)。確認のための補助的な解析として、必要に応じてサンガーシーケンス、qPCR、RP-PCR、MLPAなどが用いられることがあります。

結果が「診断的(原因と考えられる)」とされる主な条件:常染色体優性遺伝・X連鎖遺伝(男性検体の場合)の遺伝子で1つの病的/病的の可能性が高い変化が見つかった場合、または常染色体劣性遺伝・X連鎖劣性遺伝の遺伝子で2つの変化(あるいは1つの変化のホモ接合)が見つかった場合に、診断的/診断的の可能性が高いと判断されます。

どんな人が受けたらいいの?

【超音波検査などで胎児に所見が認められ、その原因を幅広く調べたい方】に、出生前全エクソーム(WES)検査をご検討いただけます。

この検査は以下のような方に適しています:
超音波検査で胎児に構造異常などの所見が見つかった方
染色体検査マイクロアレイ検査では原因がはっきりしなかった
あらかじめ疾患を1つにしぼらず、幅広い遺伝子を調べたい方
ご家族(Duo/Trio)での解析を含めて、より精度の高い評価を希望される方

検査の開始には、臨床遺伝専門医による臨床情報の確認と承認が必要です。

検査で得られる潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、胎児の状態の理解や、今後の妊娠・出産の管理、生まれてからの医療的な備えに役立つことがあります。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・胎児の所見の原因の特定または確認
・今後の経過や必要な管理の見通しを立てるための情報
・「診断の迷路」による負担の軽減
・関連リソースやサポートへの接続
・ご家族の危険因子に関する情報提供
・将来の家族計画のための着床前診断などのオプション提供

胎児で見つかった変化の中には、ご両親のいずれかから受け継いだものもあります。その場合、ご家族を検査することでリスクを明らかにすることが重要になることがあります。

対象となる変化・遺伝子

本検査は、20,000以上の遺伝子のコード領域を対象としています。このうち、検査手法の特性上、検出に一定の制限がある遺伝子を以下にまとめます。

遺伝子ごとの特記事項(検出の制限がある遺伝子)

以下の遺伝子については、検査手法の特性上、検出に一定の制限があります。

遺伝子 特記事項
ALG1 相同性の高い領域の影響により、ALG1遺伝子(NM_019109.4)のエクソン6〜13にある変化については、検出感度が低くなります。
CD40LG 本検査手法では、この遺伝子のトリヌクレオチドリピート伸長は評価されません。
DIP2B 本検査手法では、この遺伝子のトリヌクレオチドリピート伸長は評価されません。
DUOX2 相同性の高い遺伝子DUOX1の影響により、DUOX2遺伝子(NM_014080.5)のエクソン6〜8にある変化を確実に検出することはできません。
GALNT12 GC含量が高いため、GALNT12遺伝子(NM_024642.4)のエクソン1にあるコピー数変化は確実には検出できず、報告されません。
IL1RA 本検査手法では、この遺伝子のリピート伸長は評価されません。
MSH2 MSH2のエクソン1〜7の逆位(「Boland逆位」)は、リンチ症候群などの一部のがん関連検査で評価対象となります。特に指定がない限り、その他のパネルでは実施されませんが、ご希望に応じて対応可能です。
MTHFR ACMGの推奨に基づき、MTHFR遺伝子の一般的な2つの多型(c.1286A>C/p.Glu429Ala、c.665C>T/p.Ala222Val)は、臨床的有用性が十分でないため本検査では報告されません。
PIK3CA PIK3CAの病的変化の多くは受精後に生じるモザイクであるため、複数の組織を調べる必要がある場合があります。変化が検出されなくても、PIK3CA関連疾患の臨床診断が否定されるわけではありません。
RPGR RPGR遺伝子(NM_001034853.1)の重要な「ORF15」領域にある病的変化の多くは検出できますが、この領域の一部(chrX(GRCh37):38144792-38146498)については、変化の存在を完全に否定することはできません。
RUNX2 本検査手法では、この遺伝子のリピート伸長は評価されません。
SMN2 SMN2遺伝子(NM_017411.3)については、SMN1で診断的な結果が検出された場合に限り、エクソン7-8の配列解析・欠失/重複解析を行います。それ以外の領域の解析は行いません。
SOX3 本検査手法では、この遺伝子のトリヌクレオチドリピート伸長は評価されません。
TPRN この遺伝子のエクソン1は現在の手法では解析が難しいため、この領域の配列解析・欠失/重複解析は行いません。
ZIC2 本検査手法では、この遺伝子のトリヌクレオチドリピート伸長は評価されません。
ZIC3 本検査手法では、この遺伝子のトリヌクレオチドリピート伸長は評価されません。

検体

培養細胞(70%以上のコンフルエンシーのT-25フラスコ×2)、または培養細胞から抽出したDNA

※母体細胞混入(MCC)チェックをご希望の場合は、母体の血液(EDTA採血)1本を追加でお送りいただきます。
オンライン診療が可能です。オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
ご家族(Duo/Trio)の検体・情報を提出される場合は、胎児検体と同時にご提出ください。後からのご提出は解析の遅れにつながることがあります。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての検査には限界があります。この結果は、検査室に届いた検体が対象となるご本人のものであり、検体の取り違えや混入がないことを前提としています。陽性の結果は、そのゲノム内に他の病的変化が存在しないことを意味するものではなく、陰性の結果は、検査対象となった所見の遺伝的原因を否定するものではありません。この検査は、記載された家族関係が正確であることを前提としています。

この検査は、体細胞モザイクや体細胞突然変異の検出を目的として設計・検証されたものではありません。また、検査対象となった部位のヒト参照配列が正確であることを前提に結果を解釈しています。遺伝子の正式名称は時とともに変わることがあります。当検査ではHUGO遺伝子命名委員会(HGNC)の最新の遺伝子名を使用しています。報告書上の遺伝子名がご依頼の遺伝子名と一致しない場合は、お問い合わせください。

すべてのシーケンス技術には限界があります。DNAシーケンスによる小さな挿入・欠失の検出には技術的な制約があり、当検査室では感度の高い検出アルゴリズムを用いていますが、こうしたタイプの変化は一塩基変異ほど確実には検出されず、まれに見逃される場合があります。

欠失/重複(del/dup)解析では、領域の複雑さに応じて、2つ以上の連続したエクソンサイズのゲノム領域の欠失・重複を特定できます。単一エクソンの欠失または重複は日常的に検出されるわけではありません。重複が特定された場合でも、その重複配列がゲノム上のどこに、どの向きで挿入されているかを判断することはできず、重複の影響を確定できないことがあります。欠失が検出された場合も、予測される産物がインフレームかどうかを判断できるとは限りません。

また、コピー数(del/dup)解析は、複数の遺伝子にまたがる変化や、対象所見に関連する遺伝子と重なる変化に限定して報告されます。少なくとも1つの既知の臨床的疾患遺伝子を含まない変化は、通常は報告されません。ACMG二次的所見リスト上の遺伝子で、相同性が高く複雑な領域については、コピー数解析の感度が低下する場合があり、患者さんの臨床所見と明確に関連する場合を除いて報告されないことがあります。

この検査は主に遺伝子のコード領域とスプライシング部位を対象としているため、転座や逆位、反復配列の伸長(リピート伸長)、多くのプロモーター領域や深いイントロン領域(コード領域から離れた部分)での変化などは検出できません。プロモーター領域などの非コード領域は、一部の遺伝子で選択的に解析される場合があります。

ヘテロ接合性の欠如(AOH)解析を行う場合、インプリンティングと関連することが知られている領域に重なる、500万塩基(5Mb)を超える区間に限定されます。ミトコンドリアゲノム解析は、ミトコンドリアDNAのヘテロプラスミーを最低2%の水準で検出できるよう検証されています。

カバレッジは代表的なパネルカバレッジとして99%@20xです(技術的な制約があります)。

結果が出るまでの期間

1〜2週間

※検体の状態や解析の内容により前後することがあります。

料金

本検査は個別のお見積りとなります。検査内容(Duo/Trio解析、MCCチェック、ACMG二次的所見やVUSの報告オプションの有無など)によって料金が変わりますので、詳しくはお問い合わせください。

項目 料金(税込)
出生前全エクソーム(WES)検査(検査費用) お問い合わせください
英語の検査結果の翻訳手数料 5,500円
マイページ使用料 550円
検査結果作成手数料(暗号化含む) 3,300円
遺伝カウンセリング料(30分ごと) 22,000円

本検査は自費診療となり、保険適用外です。
※検査の進捗状況の確認・ご質問・検査結果の受け取りは、すべてマイページを通じて行っていただきます。マイページ使用料550円(税込)を申し受けます。

よくあるご質問

出生前全エクソーム(WES)検査とは何ですか?
出生前全エクソームシーケンス(WES)検査とは、20,000以上の遺伝子のコード領域(タンパク質の設計図となる部分)を中心に解析し、胎児の遺伝子の変化を調べる検査です。次世代シーケンス(NGS)により、コード領域とスプライシング部位、およびミトコンドリアゲノムを対象に、一塩基変異(SNV)やコピー数変異(CNV:del/dup)などを評価します。病気の原因となる変化の多くはコード領域に集中しているため、効率よく原因を探せるのが特徴です。超音波検査で胎児に気になる所見(構造異常など)が見つかった場合などに検討される検査で、検査開始前には臨床遺伝専門医による確認と承認が必要です。
染色体検査やマイクロアレイ検査との違いは何ですか?
染色体検査(核型分析)やマイクロアレイ検査は、染色体の数の異常や一定サイズ以上のコピー数変化をとらえるのに有用ですが、遺伝子1つひとつのレベルの小さな変化まではわかりません。出生前全エクソーム(WES)検査は遺伝子のコード領域をシーケンスで解析するため、一塩基変異やエクソンレベルのコピー数変異など、遺伝子レベルの変化を調べられます。病気の原因となる変化の多くはコード領域に集中しているため、効率よく原因を探せます。染色体検査やマイクロアレイで原因がはっきりしなかった場合の、さらに詳しい検査としても検討されます。
どんな場合に受ける検査ですか?
主に、超音波検査などで胎児に構造異常などの所見が認められた場合に検討される検査です。あらかじめ疾患をしぼらず、表現型(臨床所見)に基づいて幅広く原因を探索できるのが特徴です。検査結果の解釈には超音波所見などの臨床情報が重要となるため、できるだけ詳しい情報をお寄せいただくことが大切です。検査の開始には臨床遺伝専門医による臨床情報の確認と承認が必要です。
NIPTでは広く調べられるのに、なぜ羊水・絨毛では所見がないと受けられないのですか?
NIPT(非侵襲的出生前検査)は母体の採血だけで行える負担のないスクリーニング検査のため、広く網を張って調べる設計が成り立ちます。一方、羊水検査・絨毛検査は針で検体を採取する侵襲的な確定検査で、わずかに流産のリスクを伴います。所見のない胎児を全エクソームや全ゲノムで広く調べると、①検査のリスクを冒したうえに、②原因が見つかる確率(診断率)は低く、③意味のはっきりしない結果(VUS)や、胎児の所見とは無関係な重い偶発的所見ばかりが残りやすい、という利益の乏しい構図になります。こうした網羅的な検査は、超音波所見という「手がかり」があって初めて膨大な変化を正しく読み解け、利益が検査のリスクを上回ります。このため国際的なガイドライン(ACMG・ISPD・SMFMなど)も、胎児に所見が認められ、かつ染色体検査やマイクロアレイでは原因がはっきりしなかった場合の精査として推奨しており、所見のない胎児への網羅的なシーケンスは推奨の対象外とされています。
Duo/Trio解析とは何ですか?
胎児検体だけでなく、ご両親などご家族の検体を同時に解析する方法です。これにより、胎児に見つかった変化がご家族から受け継いだものか、胎児に新しく生じたもの(de novo)かなどを判断しやすくなり、変化の意味づけの精度が高まります。ご家族の検体を提出される場合は、胎児検体と同時にご提出いただくことで解析の遅れを防げます。後からのご提出は遅延の原因となることがあります。
ACMG二次的所見やVUSの報告は選べますか?
はい、選択できます。ACMG二次的所見(検査目的とは別に、医学的に対応可能な遺伝子について調べる項目)は、ご希望される方のみ(オプトイン)追加できます。また、意義不明バリアント(VUS:病的意義がはっきりしない変化)の報告についても、ご希望に応じて選択が可能です。これらのオプションの意味やメリット・デメリットについては、遺伝カウンセリングで詳しくご説明します。
検査にはどのような限界がありますか?
すべてのシーケンス技術には限界があります。この検査は主に遺伝子のコード領域とスプライシング部位を対象とするため、転座や逆位、反復配列の伸長(リピート伸長)、多くのプロモーター領域や深いイントロン領域での変化などは検出できません。また、体細胞モザイクや体細胞突然変異の検出を目的としたものではありません。小さな挿入・欠失は一塩基変異ほど確実には検出されず、まれに見逃される場合があります。欠失/重複解析はエクソンレベルで2つ以上の連続した領域が対象で、単一エクソンの変化は日常的には検出されません。また、一部の遺伝子(DUOX2、GALNT12、RPGR、SMN2など)には検出上の制限があります。詳しくは「対象となる変化・遺伝子」および「検査の限界」の項目をご覧ください。
結果が出るまでどれくらいかかりますか?費用はいくらですか?
結果が出るまでの期間は、おおむね1〜2週間です(検体の状態や解析内容により前後することがあります)。費用は検査内容(Duo/Trio解析、MCCチェック、報告オプションの有無など)によって変わるため、個別のお見積りとなります。詳しくはお問い合わせください。このほか、英語の検査結果の翻訳手数料5,500円(税込)、マイページ使用料550円(税込)、検査結果作成手数料(暗号化含む)3,300円(税込)、遺伝カウンセリング料(30分ごと22,000円・税込)をいただいております。本検査は自費診療となり、保険適用外です。

関連記事

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。