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染色体とは?数や遺伝子・DNAとの違いをわかりやすく解説

染色体とは?数や遺伝子・DNAとの違いをわかりやすく解説

染色体一覧

染色体とは

テロメア

生き物の細胞の中には核という物質があります。この核の中にあるひも状の物質が染色体です。タンパク質とデオキシリボ核酸DNA)からできており、細胞分裂のときに核の中に現れます。

染色体は遺伝情報がつまったDNAが太く折り畳まれていて、親から子どもへ受け継がれる情報を所有しています。種類は常染色体性染色体の二つです。そして数は生物によって異なり、人間の場合は全部で46本で猫が38本になります。同じ形の染色体同士がペアになっており、全部で23対の染色体があります。同じ形でペアになっている染色体を「相同染色体」といい、対になっている部分に遺伝子の情報が含まれているのです。

通常,細胞の核の中で細い糸状になって分散していて,顕微鏡で観察しても見えません。しかし細胞が分裂するときにある染色液に染まって見えてくるので染色体と名付けられました。

常染色体

46本ある染色体の44本が常染色体です。ヒトのように雌雄で染色体構成が異なる生物の体細胞に含まれる染色体のうち,雌雄で共通にもつ相同染色体を常染色体といいます。

1番から22番まで相同染色体22対(44本)が常染色体です。先述したように相同染色体は2本で対になっており、一方は母方から,もう一方は父方から受け継いでいます。

性染色体

性染色体は残った23番目の染色体です。常染色体とは役割が別で、性別に関わります。生き物は雌雄で本数や組み合わせの異なる2本の染色体を持っており、ヒトは大きい方の性染色体をX染色体、小さい方の性染色体をY染色体と呼びます。女性の場合はY染色体を2本、男性はX染色体とY染色体を1本ずつ持っています。多くの動物や植物で,この性染色体のもち方によって性が決まっているのです。

遺伝子とは

染色体の中には遺伝子という情報が書き込まれています。遺伝子とは「生き物の設計図」であり、親から子どもへ受け継ぐ情報が書き込んであります。これらの情報を遺伝と呼び、遺伝によって受け継がれる特徴のことを形質といいます。

遺伝子とはまさに親から子へ形質を伝える情報そのものです。だから「遺伝子」と呼ばれています。

DNAとは

染色体の構造

DNAは染色体を構成する物質で、正式名称はデオキシリボ核酸といいます。リン酸デオキシリボース(糖)と塩基が結合してできたもので、4つの物質を暗号のように並べてさまざまな情報を記憶しています。その中の遺伝に関する情報が遺伝子です。

そのため「遺伝子の本体」と言われています。またDNAは2本の鎖になっており、らせん状に巻き付いています。実はリン酸と塩基が結合したときにできたつくりをヌクレオチドといいます。その多数のヌクレオチドがつながると、 二重らせん構造 をもつDNAとなるのです。

DNAと染色体の違い

染色体は「DNAが集まって」できたものです。DNAは遺伝子がたくさん集まってできたもので、体の設計図になります。

「遺伝子の集まりがDNA」で、「DNAが集まったものが染色体」です。例えば、本に例えると本が染色体で、本の材料(紙)がDNAにあたります。遺伝子は本に書いている文章です。それぞれ違う役割を果ていているのがおわかりいただけたかと思います。

染色体異常

ダウン症(21トリソミー)の染色体検査結果

染色体異常とは、親から子どもへ遺伝情報を受け継ぐ際に父母からもらう染色体が1本多くなったり、遺伝情報が突然変化してしまう異常です。染色体が1本増える状態をトリソミーといい、すべての染色体に起きる可能性があります。一番多いのが21番目の染色体が1本増える21トリソミーです。ダウン症候群と呼ばれているのでご存じの方も多いでしょう。

他には18番目の染色体が1本多くなるのは18トリソミー、13番目の染色体が増えるのは13トリソミーです。父母のどちらかが35歳以上だと発症しやすくなります。

染色体の形が変化する構造の異常は、ある染色体の一部、または全体が別の染色体と誤って結合してしまうケースや、染色体の一部が欠けていたり、重複していたりするケースがあります。また、症状は出ていないけれども染色体の構造異常があると子どもに受け継がれる可能性が高くなります。血友病の遺伝子を持っている女性は保因者と言われており、2本のX染色体のうち1本に血友病の原因となる遺伝子変異を持っている可能性が高いと言われています。因みに日本に保因者が何人いるのかはわかっていません。保因者数は血友病患者数の1.6~5倍といわれているため日本の血友病患者数(約6,000人)から推計すると、1~3万人だと考えられます。

遺伝子異常

特定の遺伝子に小さな変化( 突然変異)が起こることがあります。それらの変化は染色体の構造に影響を及ぼすものではないため、核型分析やその他の染色体検査で観察することはできません。特別な遺伝子検査が必要です。

原因は、化学物質や活性酸素、放射線やタバコなどによって、遺伝子に変異が起こりやすくなると報告されています。同じ遺伝子に生じる突然変異でも、何の問題も引き起こさない変異もあれば、わずかな問題やごく軽度の問題を引き起こす場合もあります。

精子卵子の遺伝子に起きた突然変異は、親から子に遺伝するかもしれません。そして異常な遺伝子のコピーが2つそろうと、 嚢胞性線維症や テイ-サックス病などの重篤な病気が発生する恐れがあります。

まとめ

ここまで染色体について解説をしてきました。遺伝子やDNAとの違いもご理解いただけると幸いです。

染色体や遺伝子は中学・高校の授業で聞いたことがあっても、なかなかその働きを理解して、異常になると病気になるのだということがわかりにくいのではないかと思います。妊娠して、赤ちゃんの健康状態を知りたい、と出生前診断を検討して初めて、染色体という言葉と病気が結びついて驚かれたり、染色体異常と病気が結びつかなくて理解できない方々も多いと思います。

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の院長が遺伝カウンセリングを行っており、皆様方にしっかりとご理解いただいたうえで出生前診断に臨んでいただけるようにと頑張っております。
この機会にぜひ、ミネルバクリニックにご相談ください。

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この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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