(更新日:2026/09/04)
このページでは、ミネルバクリニックのダイヤモンドプラン などで実施する父親由来 de novo変異NIPT(デノボ) で対象となる56遺伝子・30種以上の優性単一遺伝子疾患 を、疾患ごとの原因遺伝子・発生頻度・主な特徴とともに一覧でご紹介します。各疾患名・遺伝子名をクリックすると、それぞれの詳しい解説ページをご覧いただけます。
de novo変異(新生突然変異)と単一遺伝子疾患について
単一遺伝子疾患 とは、たった1つの遺伝子の変異によって発症する疾患群です。ここで扱うのは、そのうち優性(ドミナント) に発症し、多くがde novo変異(新生突然変異) を原因とするものです。
de novo変異とは、ご両親の遺伝子には存在せず、その赤ちゃんに初めて現れる遺伝子の変化のことです。精子や卵子がつくられる過程で偶然生じるため、家族歴がなくても発症しうる のが特徴です。とくに精子は生涯にわたってつくられ続けるため、父親の加齢とともにde novo変異が蓄積し、こうした疾患のリスクが高まる ことが知られています。
この検査(デノボ)では、代表的な56遺伝子 に生じるde novo変異による30種類以上の優性単一遺伝子疾患 をスクリーニングします。以下では、対象疾患を臨床的な特徴ごとにグループ分けして掲載しています。
56遺伝子で調べる単一遺伝子疾患 一覧(臨床カテゴリ別)
骨系統疾患 (25疾患)
軟骨・骨の形成に関わる遺伝子の変異で生じる、低身長や骨変形、骨脆弱性などを特徴とする疾患群です。
疾患名
原因遺伝子
発生頻度
主な特徴
軟骨無形成症2型/低軟骨形成症
COL2A1
約1/40,000
重度の四肢短縮性小人症。小さな胸郭と突出した腹部、椎体の骨化不全を伴い、多くは周産期に致死的。
軟骨無形成症
FGFR3
約1/15,000〜40,000
最も多い四肢短縮型小人症。低身長、前額突出と中顔面低形成、腰椎前弯、三尖手。知的発達は正常。
骨無形成症1型
FLNB
極めて稀
致死性軟骨異形成症。上腕骨・大腿骨遠位の低形成、中胸椎の低形成を伴う。
骨無形成症3型
FLNB
極めて稀
骨無形成症の一型。四肢長管骨の低形成・変形を特徴とする。
ブーメラン骨異形成症
FLNB
極めて稀
周産期致死性の骨軟骨異形成症。四肢骨と椎骨の欠損または骨化不良を特徴とする。
カンポメリック骨異形成症
SOX9
約1/200,000
長管骨の彎曲(特に下肢)、肩甲骨低形成、狭い腸骨。性分化異常の合併が多く、胸郭が小さく呼吸不全で致死的なことが多い。
鎖骨頭蓋異形成症
RUNX2
約1/1,000,000
頭蓋縫合の閉鎖遅延、鎖骨の低形成・無形成(肩を胸前で合わせられる)、恥骨結合の開大、歯の異常。知的発達は正常。
軟骨低形成症
FGFR3
約1/15,000〜40,000
四肢短縮型の低身長、腰椎前弯、短く幅広い骨。軟骨無形成症に似るが軽症。
ラーセン症候群
FLNB
約1/100,000
大関節の脱臼(股・膝・肘)と特徴的顔貌。内反足、へら状の指、脊椎異常、難聴。
上顎低形成を伴う骨幹端異形成症
RUNX2
極めて稀
長管骨の骨幹端開大、鎖骨内側の肥大、上顎低形成、様々な短指症、歯の形成不全。
骨形成不全症1型
COL1A1
約1/10,000〜15,000
青色強膜を伴う軽症型の骨形成不全症。骨脆弱性、易骨折性、難聴を伴うことがある。
骨形成不全症2型
COL1A1 / COL1A2
約1/15,000〜20,000
周産期致死型の最重症型。新生児期に致命的となることが多い。
骨形成不全症3型
COL1A1 / COL1A2
約1/15,000〜20,000
進行性変形型。重度の骨変形と低身長、多発骨折を来す。
骨形成不全症4型
COL1A1 / COL1A2
約1/15,000〜20,000
中等症型。軽度〜中等度の骨脆弱性を示す。
扁平椎骨格異形成症(トーランス型)
COL2A1
稀
扁平椎、前方でカップ状の短肋骨、腸骨下部の低形成、管状骨の短縮。多くは周産期に致死的。
SADDAN異形成症
FGFR3
極めて稀
重度軟骨無形成に発達遅滞と黒色表皮腫を伴う。下肢の逆彎、羊角状の鎖骨。約半数が生後4週までに呼吸不全で死亡。
脊椎骨端異形成症先天型(SEDC)
COL2A1
約1/100,000
不均衡型(短躯幹)低身長、椎体の扁平化、骨端異常。近視・網膜剥離、口蓋裂を伴うことがある。
スティックラー症候群1型
COL2A1
約1/7,500〜9,000
進行性の強度近視、若年からの網膜剥離リスク、感音難聴、口蓋裂、平坦な顔貌、早発性変形性関節症。
スティックラー症候群2型
COL11A1
約1/7,500〜9,000
スティックラー症候群の一型。強度近視・網膜剥離、難聴、口蓋裂、関節症状。
スティックラー症候群1型(非症候性眼型)
COL2A1
稀
眼症状を主とする非症候性のスティックラー症候群1型。強度近視と網膜剥離のリスク。
骨形成不全症・エーラス・ダンロス症候群合併1型
COL1A1
極めて稀
骨形成不全症(脆い骨、易骨折、青色強膜)とエーラス・ダンロス症候群(関節過可動、伸展性皮膚)の合併。
クニースト骨異形成症
COL2A1
稀
短躯幹の低身長、小さな骨盤、四肢短縮。脊柱彎曲、大きな関節と早発性関節症、平坦な中顔面、口蓋裂、視覚・聴覚障害。
致死性骨異形成症1型
FGFR3
約1/20,000〜50,000
致死性の四肢短縮型小人症。彎曲した短い大腿骨、狭い胸郭による呼吸不全。多くは周産期に死亡。
致死性骨異形成症2型
FGFR3
約1/20,000〜50,000
致死性骨異形成症。直線的で比較的長い大腿骨と重度のクローバー葉状頭蓋を伴う。
骨幹端軟骨異形成症シュミット型
COL10A1
約1/100,000
低身長、O脚、動揺性歩行、股関節痛。骨幹端の不整を特徴とする比較的軽症の骨系統疾患。
頭蓋骨縫合早期癒合症 (24疾患)
頭蓋骨の縫合が通常より早く癒合することで頭蓋・顔面の形態異常を来す疾患群です。
疾患名
原因遺伝子
発生頻度
主な特徴
アントレー・ビクスラー症候群2型
FGFR2
極めて稀
橈骨・上腕骨癒合を伴う頭蓋骨癒合症。中顔面低形成、後鼻孔狭窄、多発関節拘縮。新生児期の死亡率が高い。
アペルト症候群
FGFR2
約1/65,000〜100,000
頭蓋骨早期癒合、中顔面低形成、手足の合指(趾)症が特徴。知的障害を伴うことが多い。
ビアー・スティーブンソン皮膚回転症候群
FGFR2
極めて稀
皺状皮膚(cutis gyrata)、黒色表皮腫、頭蓋骨癒合、顔貌異形成、指趾・臍・肛門性器の異常。早期死亡。
彎曲骨異形成症候群1型
FGFR2
極めて稀
周産期致死性の骨異形成症。頭蓋の骨化不良、頭蓋骨癒合、顔貌異形成、長管骨の彎曲。
チタヤット症候群
ERF
極めて稀
出生時の呼吸障害、両側過剰指節骨による短い示指、外反母趾、特徴的顔貌(眼球突出、両眼隔離)。
頭蓋前頭鼻異形成症
EFNB1
稀
X連鎖性で女性の方が重症。前頭鼻異形成、頭蓋顔面非対称、頭蓋骨癒合、二分鼻尖。男性は両眼隔離のみのことが多い。
頭蓋骨癒合症1型
TWIST1
稀
頭蓋縫合の早期癒合により頭蓋変形と、時に頭蓋内圧亢進を来す。早期治療が必要。
頭蓋骨癒合症4型
ERF
稀
頭蓋骨癒合症の一型。複数縫合の早期癒合により頭蓋内圧亢進を来しうる。
クルーゾン症候群
FGFR2
稀
頭蓋骨癒合による顔面骨・顔貌の二次変化。両眼隔離、眼球突出、外斜視、鉤鼻、上顎低形成。
黒色表皮腫を伴うクルーゾン症候群
FGFR3
極めて稀
クルーゾン症候群の症状に黒色表皮腫を伴う。眼球突出、鉤鼻、上顎低形成。知的発達は通常正常。
ジャクソン・ワイス症候群
FGFR2 / FGFR1
稀
頭蓋縫合の早期癒合と足の画像的異常を特徴とする常染色体優性疾患。
ムエンケ症候群
FGFR3
約1/30,000
冠状縫合癒合、大頭症、中顔面低形成、発達遅滞。指節の異常、手根・足根骨癒合、難聴を伴うことがある。
ファイファー症候群
FGFR1 / FGFR2
稀
頭蓋骨癒合症に手足の特徴的異常(幅広い母指・母趾)を伴う。重症度により3型に分類され予後が異なる。
ロビノー・ゾーラウフ症候群
TWIST1
稀
頭蓋骨癒合、眼窩の非対称、平坦な顔、両眼隔離、細く尖った鼻、二分または部分重複した母趾。
セスレ・チョッツェン症候群(FGFR2)
FGFR2
約1/25,000〜50,000
頭蓋骨癒合、顔貌異形成、手足の異常。冠状縫合癒合による短頭、顔面非対称、眼瞼下垂。
セスレ・チョッツェン症候群(TWIST1)
TWIST1
約1/25,000〜50,000
冠状縫合癒合による短頭、顔面非対称、両眼隔離、上顎低形成、眼瞼下垂、手足の軽度合指症。
スウィーニー・コックス症候群
TWIST1
極めて稀
著明な顔面骨異形成(両眼隔離、眼瞼・顔面骨の欠損、口蓋裂/鼻咽腔閉鎖不全、低位で杯状の耳)。
三角頭蓋1型
FGFR1
稀
前頭縫合の早期閉鎖による三角形の頭蓋。
三角頭蓋2型
FREM1
稀
三角頭蓋の一型。前頭部が狭く尖った頭蓋形態、両眼隔離、指趾異常を伴うことがある。
C症候群(オピッツ三角頭蓋症候群)
CD96
極めて稀
三角頭蓋、特徴的顔貌、多発関節拘縮、重度の精神運動発達遅滞などを特徴とする多発奇形症候群。
グレイグ頭蓋多合指症候群/パリスター・ホール症候群
GLI3
稀
多指・合指、頭蓋顔面の異常(前額突出、両眼隔離)を特徴とする。パリスター・ホール症候群では視床下部過誤腫を伴う。
脳肋骨下顎症候群
SNRPB
極めて稀
重度の小顎症、後鼻孔・肋骨の異常(肋骨欠損)、呼吸障害を特徴とする。知的障害を伴うことがある。
頭蓋骨癒合症3型
TCF12
稀
冠状縫合の早期癒合を主とする頭蓋骨癒合症。TWIST1と協調するTCF12の機能低下で生じ、顔面非対称などを伴う。
頭蓋骨癒合症6型
ZIC1
極めて稀
冠状縫合の早期癒合と学習障害を特徴とする頭蓋骨癒合症。ZIC1の機能獲得型変異で生じる。
てんかん性脳症・発作性疾患 (2疾患)
乳幼児期に難治性のてんかん発作で発症し、発達に大きく影響する疾患群です。
疾患名
原因遺伝子
発生頻度
主な特徴
発達性てんかん性脳症85型
SMC1A
極めて稀
生後1年以内の難治性けいれんで発症するX連鎖性疾患。全般的発達遅滞、知的障害。正中線脳欠損を伴うことがある。
発達性てんかん性脳症2型
CDKL5
約1/40,000〜60,000
X連鎖優性。生後数か月以内のけいれん発症と重度の全般的発達遅滞。発話欠如、手の常同運動。
神経発達・知的障害症候群 (23疾患)
知的障害・発達遅滞・自閉スペクトラム症などを中核症状とする、神経発達に関わる疾患群です。
疾患名
原因遺伝子
発生頻度
主な特徴
Au-Kline症候群
HNRNPK
極めて稀
筋緊張低下、全般的発達遅滞、特徴的顔貌(長い眼瞼裂、眼瞼下垂)、先天性心疾患、骨格異常。
ボーリング・オピッツ症候群
ASXL1
極めて稀
重度子宮内発育遅延、哺乳不良、重度知的障害、三角頭蓋、眼球突出、顔面の火炎状母斑、肘・手首の屈曲。
心・顔面・指趾異常を伴う発達遅滞症候群
TRAF7
極めて稀
多系統の発達障害で、心疾患・指趾異常・顔貌異形成を伴う。けいれんや眼・耳の異常を示すことがある。
チャージ症候群(CHARGE症候群)
CHD7
約1/8,500〜12,000
後鼻孔閉鎖、心・内耳・網膜の奇形など複数の先天異常のパターンを示す。
CHILD症候群
NSDHL
極めて稀
X連鎖優性。片側性の魚鱗癬様紅皮症と四肢欠損を特徴とし、男児では致死的。
点状軟骨異形成症(コンラーディ・ヒューナーマン症候群)
EBP
極めて稀
点状の骨石灰化、四肢短縮、Blaschko線に沿う一過性魚鱗癬、斑状脱毛、白内障、中顔面低形成。ほぼ女児に発症。
コルネリア・デランゲ症候群1型
NIPBL
約1/10,000〜30,000
特徴的顔貌(低い前額生え際、弓状眉毛、癒合眉)、出生前後の成長遅延、知的障害、上肢奇形。
コルネリア・デランゲ症候群2型
SMC1A
稀
コルネリア・デランゲ症候群の一型(X連鎖・軽度型)。学習障害や行動異常が主体となることが多い。
コルネリア・デランゲ症候群3型
SMC3
稀
コルネリア・デランゲ症候群の軽度型。四肢欠損は軽微で、知的障害も軽度〜境界域。
コルネリア・デランゲ症候群4型
RAD21
稀
コルネリア・デランゲ症候群の軽度〜中等度型。成長遅滞、軽度知的障害。
コルネリア・デランゲ症候群5型
HDAC8
稀
X連鎖性、主に男児発症。中等度知的障害、特徴的顔貌、成長遅滞、消化器症状。
フォンテーヌ早老症症候群
SLC25A24
極めて稀
出生前後の成長遅延、皮下脂肪減少、頭髪疎、三角顔、大泉門開大、鼻梁の広がり、小顎。早期死亡が多い。
陰部膝蓋骨症候群
KAT6B
極めて稀
小頭症、重度精神運動遅滞、粗な顔貌、下肢の屈曲拘縮、膝蓋骨の異常・欠損、泌尿生殖器の異常。
ハッチンソン・ギルフォード早老症症候群
LMNA
約1/4,000,000〜8,000,000
早老症。生後1年頃から急速な老化、脱毛、皮膚硬化、関節可動制限、低身長。動脈硬化により10代で死亡が多い。知的発達は正常。
高IgE症候群1型(反復感染を伴う)
STAT3
稀
慢性湿疹、反復性ブドウ球菌感染、血清IgE上昇、好酸球増多。粗な顔貌、歯の異常、関節過伸展、骨折を伴うことがある。
カブキ症候群1型
KMT2D
約1/32,000
歌舞伎役者の隈取様の長い眼瞼裂、幅広く低い鼻尖、大きな耳、口蓋裂、低身長、知的障害、反復性中耳炎。
先天性筋ジストロフィー(LMNA関連)
LMNA
稀
先天性筋ジストロフィーの一型。出生時〜生後数か月で筋緊張低下、筋力低下、関節拘縮を呈する。
オピッツGBBB症候群2型/テービ両眼隔離症症候群1型
SPECC1L
稀
両眼隔離、前額突出、広く低い鼻梁と短い鼻、厚い眉毛。手の軽度合指、心奇形、口唇口蓋裂を伴うことがある。
レット症候群
MECP2
約1/10,000〜15,000(女児)
ほぼ女児に発症。6〜18か月で発達が停止・退行、発話消失、手の常同運動、小頭症、けいれん、知的障害。
SBBYSS症候群(セイ・バーバー・ビーゼッカー・ヤング・シンプソン症候群)
KAT6B
極めて稀
重度眼瞼裂狭小、仮面様の無表情、球状鼻尖、小さな口。乳児期の重度筋緊張低下と哺乳障害、長い母指・母趾、膝蓋骨の異常。
ソトス症候群
NSD1
約1/10,000〜50,000
出生前からの過成長、骨年齢促進、大頭を伴う特徴的顔貌、脳異常やけいれん、知的障害。
結節性硬化症1型
TSC1
約1/6,000〜10,000
脳・皮膚・心・腎・肺の過誤腫。てんかん、学習・行動の問題、自閉症、腎血管筋脂肪腫。
結節性硬化症2型
TSC2
約1/6,000〜10,000
TSC1型より重症で、新生児期に心横紋筋腫による心不全を来すことがある。皮膚・脳・腎の多臓器病変。
ヌーナン症候群・RAS病 (17疾患)
RAS/MAPKシグナル伝達経路の遺伝子変異により生じる一連の疾患(RAS病)で、心疾患・特徴的顔貌・低身長などを共通の特徴とします。
結合組織・骨格・その他 (1疾患)
結合組織や骨格、その他の臓器に関わる遺伝子の変異で生じる疾患群です。
赤ちゃんが単一遺伝子疾患で生まれる確率と、この検査でカバーされる範囲
まず前提として、生まれてくる赤ちゃんの3〜5% に何らかの先天異常があるとされ、そのうち単一遺伝子の変異による疾患は、およそ新生児の1%程度 にみられると報告されています。
このページで扱う優性・de novo変異による疾患群 の合算した発生頻度は、この検査技術のもととなった研究で約1/600(約0.17%) と報告されており、若い妊婦さんにおけるダウン症候群の頻度に匹敵します 。家族歴がなく、従来のNIPT(染色体検査)や保因者スクリーニングでは検出できないため、事前の予測が困難です。
ただし、大切な注意点があります。 この検査は、あくまで選定された56遺伝子・30種以上の疾患に対するスクリーニング です。単一遺伝子疾患は7,000種類以上が知られており、それらすべてを調べられるわけではありません。より広い範囲(155遺伝子・202疾患)を調べたい場合は、インペリアルプラン をご検討ください。
また、陰性であってもすべての病気を否定するものではない こと、スクリーニング検査であり確定診断ではない ことは、必ず知っておいていただきたい点です。陽性の場合は確定検査が必要となります。結果の意味は、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングで個別に丁寧にご説明します。
検査対象56遺伝子リスト
本検査で解析する56遺伝子です。各遺伝子名から、遺伝子ごとの解説ページをご覧いただけます。
ASXL1 , BRAF , CBL , CD96 , CDKL5 , CHD7 , COL10A1 , COL11A1, COL1A1 , COL1A2 , COL2A1 , EBP , EFNB1 , ERF , FGFR1 , FGFR2 , FGFR3 , FLNB , FREM1, GLI3, HDAC8 , HNRNPK , HRAS , KAT6B , KMT2D , KRAS , LMNA , MAP2K1 , MAP2K2 , MECP2 , NIPBL , NRAS , NSD1 , NSDHL , PTPN11 , RAD21 , RAF1 , RIT1 , RUNX2 , SHOC2 , SKI , SLC25A24 , SMC1A , SMC3 , SNRPB, SOS1 , SOS2 , SOX9 , SPECC1L , STAT3 , TCF12, TRAF7 , TSC1 , TSC2 , TWIST1 , ZIC1
よくあるご質問
赤ちゃんが単一遺伝子疾患で生まれる確率はどのくらいですか?
生まれてくる赤ちゃんの3〜5%に何らかの先天異常があるとされ、そのうち単一遺伝子(1つの遺伝子)の変異による疾患は、およそ新生児の1%程度にみられると報告されています。このページで扱う優性・de novo変異による疾患群に限ると、合算した発生頻度は約1/600(約0.17%)とされ、これは若い妊婦さんにおけるダウン症候群の頻度に匹敵します。
この検査で単一遺伝子疾患のすべてが分かりますか?
いいえ。単一遺伝子疾患は現在7,000種類以上が知られていますが、この検査(デノボ56遺伝子)で調べるのは選定された56遺伝子とそれに関連する30種類以上の優性疾患です。劣性遺伝の疾患、多因子遺伝による疾患、染色体の数や構造の異常は対象外です。より広い範囲を調べたい場合は、155遺伝子202疾患を対象とするインペリアルプランをご検討ください。
家族に同じ病気の人がいないのに、なぜ赤ちゃんに起こるのですか?
多くがde novo変異(新生突然変異)によって起こるためです。de novo変異とは、ご両親の遺伝子には存在せず、その赤ちゃんに初めて現れる遺伝子の変化のことです。精子や卵子がつくられる過程で偶然生じるため、ご両親に変異がなくても、家族歴がなくても発症しうるのが特徴です。したがって、原則として「親のせい」ではなく、次の妊娠で必ず繰り返すものでもありません。
父親の年齢が高いと、なぜリスクが上がるのですか?
精子は生涯にわたってつくられ続けるため、細胞分裂の回数が多く、父親の加齢とともにDNAのコピーミス(de novo変異)が精子に蓄積していきます。このため、父親が高齢になるほど、de novo変異を原因とする単一遺伝子疾患のリスクが高まることが知られています。一般に35歳以上、とりわけ40歳を超えると変異が増えるとされます。
母親の年齢は関係ありますか?
ダウン症候群などの染色体の数の異常(異数性)は、主に母親の年齢と関連して増えることが知られています。一方、このページで扱うde novo変異による単一遺伝子疾患は、主に父親の年齢と関連します。つまり、母体年齢に着目する従来の染色体検査とは異なる軸のリスクであり、両方を併せて考えることが大切です。
どんな種類の病気を調べますか?
臨床的な特徴ごとに、骨系統疾患(軟骨無形成症、骨形成不全症など)、頭蓋骨縫合早期癒合症(クルーゾン症候群、アペルト症候群など)、神経発達・知的障害症候群、ヌーナン症候群・RAS病などを中心に調べます。いずれも、お子様とご家族の生活に長く影響しうる重篤な疾患が中心です。
これらの病気は超音波(エコー)では分からないのですか?
多くの疾患は、とくに妊娠初期の超音波検査では特徴的な所見が現れにくく、指摘が難しいのが実情です。妊娠後期になって初めて所見が現れる場合や、出生後・乳幼児期になって発達の遅れなどで気づかれる場合も少なくありません。超音波では見えにくいこうした疾患を、妊娠の早い段階でスクリーニングできることが、この検査の意義のひとつです。
インペリアルプランとの違いは何ですか?
このデノボ56遺伝子検査は、代表的な優性単一遺伝子疾患を56遺伝子で調べるプランです。より包括的に調べたい場合は、155遺伝子202疾患を対象とするインペリアルプランがあります。どちらが適しているかは、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングでご相談いただけます。
陰性なら赤ちゃんは健康だと考えてよいですか?
陰性は、検査対象となる56遺伝子について、赤ちゃんにde novo変異が検出されなかったことを意味します。対象疾患のリスクが低いことを示しますが、対象外の疾患や、検査で検出できない変異の可能性を完全に否定するものではありません。この検査はスクリーニングであり、すべての病気がないことを保証するものではない点にご注意ください。
陽性となった場合はどうすればよいですか?
この検査はスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。陽性となった場合は、確定診断のために羊水検査または絨毛検査が必要です。どのような医学的決定をされる場合でも、確定検査を受けてからご判断いただくことが大切です。ミネルバクリニックでは確定検査も院内で対応でき、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを通じて、結果の意味と次のステップを丁寧にご説明します。
※各疾患の症状・重症度には個人差があり、ここでの記載は一般的な特徴の概説です。実際の診断・解釈は、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングと確定検査を併せて行います。
より広い155遺伝子・202疾患を対象とする包括的な検査については、インペリアルプランのページ をご覧ください。
この記事の監修・執筆者:仲田 洋美
(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)
ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得 後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医 です。
出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。
ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。
また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。
出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。
日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け 、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載 されました。