目次
ミネルバクリニックでは、遺伝医療の質を高めるための臨床研究を、ヘルシンキ宣言および「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に則って実施しています。研究の倫理的な妥当性を確認するため、院内に倫理審査委員会を設置し、2021年4月23日に厚生労働省の倫理審査委員会報告システムへ登録しました。このページでは、当院で実施した臨床研究の概要、倫理審査委員会の開催実績、そして委員会規程の全文を公開しています。
Q. ミネルバクリニックでは臨床研究を行っていますか?
A. はい。院内に倫理審査委員会を設置し、2021年5月から2022年6月まで、トリソミー21(ダウン症候群)を対象とするメチル化ベースのNIPT開発のための概念実証研究を実施しました(研究は終了しています)。研究資金には、欧州研究会議(ERC)のProof of Concept Grantが充てられました。
- ➤実施した研究 → デジタルPCR(ddPCR)を用いた、トリソミー21のためのメチル化ベースNIPTの概念実証研究(2021年5月13日〜2022年6月30日・終了)
- ➤研究資金 → 欧州研究会議(ERC)Proof of Concept Grant(ERC Advanced Grantの研究成果を発展させたプロジェクト)
- ➤倫理審査 → 当院倫理審査委員会で通常審査を行い採択。UMIN臨床試験登録システムに登録済み
- ➤委員会の登録 → 2021年4月23日、厚生労働省 倫理審査委員会報告システムに登録
1. ミネルバクリニックで実施した臨床研究
🔬 実施した臨床研究(臨床試験)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 研究名称 | トリソミー21のためのメチル化ベースのNIPT開発のための概念実証研究 |
| 研究期間 | 2021年5月13日から2022年6月30日 |
| 状況 | 終了 |
| 研究資金 | 欧州研究会議(ERC)Proof of Concept Grant(助成番号957444) |
| 倫理審査 | ミネルバクリニック倫理審査委員会(第20210401回・通常審査)にて採択 |
| 臨床試験登録 | UMIN臨床試験登録システムに登録済み |
※本研究は終了しており、現在この研究の参加者募集は行っていません。
💡 用語解説:ERC(欧州研究会議)Proof of Concept Grant
ERC(European Research Council:欧州研究会議)は、EUの研究助成機関です。分野を問わず、研究者自身の発想による先駆的な研究を、科学的卓越性のみを基準に審査して支援しています。
Proof of Concept Grantは、すでにERCの助成を受けている研究者だけが申請できる助成で、ERCの研究で得られた成果を実用化に近づけるための検証に充てられます。ミネルバクリニックが参加した研究は、胎児に特有のDNAメチル化領域を見いだしたERC Advanced Grantのプロジェクト(2013〜2019年)などの成果を発展させたもので、ERCのProof of Concept Grant(EU拠出15万ユーロ)を研究資金として実施されました。研究の結果は研究の個別ページに掲載しています。
2. 研究の背景 ─ メチル化ベースNIPTとデジタルPCR
NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)は、妊娠中のお母さんの血液に含まれる、胎盤由来のごく短いDNA断片(セルフリーDNA)を調べる検査です。現在広く使われているNIPTの多くは、次世代シーケンサーでDNA断片を大量に読み取り、特定の染色体に由来する断片の割合が多いかどうかを統計的に判定しています。
これに対してメチル化ベースのNIPTは、DNAにつく化学的な目印であるメチル化のパターンが、胎盤由来のDNAとお母さん由来のDNAとで異なる領域があることに着目する方法です。この違いを手がかりに、胎盤由来のDNAを区別して調べることを目指します。
また、デジタルPCR(ddPCR:ドロップレット・デジタルPCR)は、検体を数万個の微小な油滴(ドロップレット)に分け、目的のDNAが含まれる油滴の数を数えることで、DNAの量を絶対的に測定する技術です。当院の研究は、これらの技術を組み合わせたトリソミー21の検出法が成り立つかどうかを確かめる概念実証(Proof of Concept)を目的としたものでした。
3. ミネルバクリニック倫理審査委員会
臨床研究は、参加される方の人権と安全を守りながら行われなければなりません。そのためミネルバクリニックでは、医学・医療の専門家、倫理学・法律学の専門家、一般の立場を代表する方を含む、院外委員を複数名加えた倫理審査委員会を設置しています。委員会は、厚生労働省 倫理審査委員会報告システムに2021年4月23日付で登録されています。
📋 倫理審査委員会の開催実績
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催回 | 20210401 |
| 開催日程 | 2021年4月19日~4月30日 |
| 議題 | デジタルPCR(ddPCR)を用いたメチル化ベースのNIPTをトリソミー21に関して開発する実証試験 |
| 研究資金 | 欧州研究会議(ERC)Proof of Concept Grant(助成番号957444) |
| UMIN登録 | 済 |
| 審査方式 | 通常審査 |
| 結果 | 採択 |
4. 臨床研究の審査の流れ
当院で臨床研究を行う場合は、委員会規程に基づき、次の流れで審査を受けます。研究責任者が単独で研究を始めることはできず、倫理審査委員会の意見を踏まえて、研究機関の長である院長が実施の可否を判断します。
研究の開始後も、計画を変更するときの再審査(第11条)、年1回以上の実施状況の報告(第12条)、重篤な有害事象が起きたときの報告(第12条2)、研究終了時の報告(第12条4)が定められており、研究が終わるまで委員会による確認が続きます。
5. ミネルバクリニック倫理審査委員会規程
以下は、当院倫理審査委員会規程の全文です。
医療法人社団ミネルバ ミネルバクリニック倫理審査委員会規程
(2021年4月23日 厚生労働省倫理審査委員会報告システムに登録)
(目的と適用範囲)
第1条 倫理審査委員会規定(以下「本規定」という)は医療法人社団ミネルバのミネルバクリニックで行われる臨床研究について、ヘルシンキ宣言に則って審議し、臨床研究における倫理的問題の最適化を図ることを目的とする。この目的を実現するために、倫理審査委員会の組織及び運営のために必要事項を定める。
2 本規定の臨床研究等の用語は、厚生労働省・文部科学省・経済産業省の定める「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の用語の定義と同一とする。
3 他の研究機関が行なう臨床研究について審査を依頼された場合については、その審議を第三者機関として行って差し支えないものとする。審査方法は当規定に定める方法で行なうものとする。
(設置)
第2条 前条について必要な審議を行うため、ミネルバクリニックに倫理審査委員会(以下「委員会」という)を置く。
2 委員会を設置する研究機関の長は、ミネルバクリニックの院長とする。
(委員会の責務)
第3条 委員会は、本規定の審査対象となる研究について科学的、倫理的観点の双方から「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づいて、公正で中立な審査を行なうものとする。
2 次の各号に掲げる事項については、適正な審査を行なうにあたり特に留意するものとする。
(1)研究対象者の人権を擁護すること
(2) 研究対象者に対して十分な説明を行うこと
(3) 研究対象者が十分に理解と納得をした上で同意を得ること
(4) 研究によって生じる対象者への利益と不利益、並びに医学上の利得又は貢献度の予測をすること
(5)研究者等の利益相反に関すること
3 委員会は、研究に使用する医療機器及び医薬品のうち、未承認又は保険適用外となるものについて、その医学的、倫理的、法的そして経済的な意義と問題点を議論の上、審査するものとする。
4 委員会は院長より研究の実施についての意見を求められる際には科学的、倫理的観点双方及び研究者等の利益相反に関わる情報をも含め、公正で中立な審査を行ない、文書又は電磁的方法にて意見を述べるものとする。
5 委員会の委員は、業務上知り得た情報を正当な理由なく漏洩してはならない。また、その業務に従事しなくなった後も同様とする。
6 委員会の委員は、審査を行った研究に次に掲げられる重大な懸念が生じた場合には速やかに院長に報告しなければならない。
(1)研究情報の漏洩に関すること
(2)審査の中立性に関すること
(3)公平性の観点に関すること
(4)人権尊重の観点に関すること
(5)その他当該研究の実施に関すること
7 委員会の委員は、審査を行なうにあたり、科学的、倫理的観点の双方から審査に必要とされる知識を得るため、教育と研修を受ける必要がある。また、その後においても継続的に教育と研修に努めるものとする。
8 委員会の委員は、利益相反に関する誓約書を委員会へ提出しなければならない。審査対象となる研究に関与していると思われる者との利害関係については随時確認を受けることを了承し、利害関係のあると思われる委員は審議には加わることができないものとする。
(委員会の構成)
第4条 委員会は、次の各号を含む院長が指名する者5名以上をもって構成する。
なお、院長は委員会の同意を得た場合は、委員会に出席することは可能だが委員となること、審議及び採決に介入することはできない。
(1) 医学・医療の専門家等、自然科学の有識者
(2) 社会科学・人文の有識者等、倫理学・法律学の専門家
(3) 一般の立場を代表する者
2 前項各号に掲げる者については、それぞれ他を兼ねることができない。
3 ミネルバクリニックに所属しない者(以下「外部委員」という)が複数人含まれていること。
4 委員は男女両性で構成されていること。
5 委員の任期は2年とする。しかし再任されることは妨げない。ただし、委員に欠員が発生した際には速やかに補充を行い新たな委員は院長が委嘱し、その前任者の残任期間までが任期とする。また、当該任期の途中で新たに委嘱する委員の任期は、院長が定める。
6 委員長及び副委員長は委員の中から院長が指名する。任期は2年とするが、再任されることは妨げない。なお、外部委員を委員長に選出することはできない。
7 委員長が事故等により職務遂行が困難となった際には、副委員長が委員長職務を代行できるものとする。委員長及び副委員長が事故等により職務遂行が困難となった際には、委員の互選によって委員のうち 1 名が委員長職務を代行できるものとする。
8 委員長は、必要に応じて院外の有識者及び委員以外の職員を委員会に出席させて意見を聞くことができる。
9 委員長は、当該臨床研究の院外共同研究者が審査の傍聴を申請した場合は、当該臨床研究の審査に限定して傍聴させることができる。
(委員会の業務)
第5条 委員会は、その責務の遂行のために、次に定める最新の資料を院長から入手しなければならない。
(1) 臨床研究実施申請書
(2) 研究責任者・分担者リスト
(3) 研究計画書
(4) 同意・説明文書又は情報公開
(5) 利益相反に関わる資料及び物証
(6) ミネルバクリニック以外と実施する多施設共同研究の場合は、共同研究機関における研究計画の承認状況インフォームド・コンセントの取得状況等の情報
(7) その他委員会が必要と認める資料
2 委員会は、院長から研究の実施の適否等について意見を求められた場合、その報告は必ず文書又は電磁的方法で審査結果を院長に通知しなければならない。
3 委員会は、前項により審査を行った研究について、科学的、倫理的観点の双方から必要な調査を行い、院長に対して研究計画書の変更又は研究の中止、その他当該研究に関して必要な意見を述べることができる。
4 委員会は、第2項により審査を行った研究のうち、侵襲(軽微な侵襲を除く)を伴う研究であって介入を行うものについて、研究内容のねつ造又は改ざんといった事実の有無の観点から調査が必要と判断された場合は、当該研究の実施の適正性及び研究結果の信頼性を確保するために必要な調査を行い、院長に対して研究計画書の変更、研究の中止その他当該研究に関して必要な意見を述べることができる。
5 委員会は、第3項及び第4項の調査を実施する場合は、調査目的を明確にしなければならない。
6 委員会は、承認された研究について、院長から次の事項について意見を求められた場合には、科学的、倫理的観点の双方から研究者等の利益相反に関わる情報をも含め、公正で中立な審査を行い、文書又は電磁的方法をもって審査の結果を院長に通知するものとする。
(1) 研究計画の変更の可否について
(2) 研究の継続に影響を与える可能性が考えられる事実又は情報に基づく、研究の継続の可否について
(3) 重篤な有害事象の発生に基づく、研究の継続の可否について
(4) ミネルバクリニックにおいて現在実施している又は過去に実施された研究が第3条第1項の指針の不適合が報告された場合の対応について
(5) その他委員会が求める事項について
(委員会の運営)
第6条 委員会は、学際的で多元的な視点を持ち、様々な立場からの委員によって、公正かつ中立的な審査を行えるよう、適切に構成された上で運営されなければならない。
2 委員会は、原則として毎月開催する。但し、院長から緊急に意見を求められた場合には、その都度委員会を開催することができる。
3 委員会の開催は、通常当月の委員会にて次回の開催日時を決定・通知する。また、原則1週間前に委員会の開催を委員長及び各委員に文書又は電磁的方法にて通知するものとする。
4 委員会は、委員の過半数が出席し、且つ第4条第1項から第4項の要件を満たされた条件でなければ開催することはできない。
5 委員が当該研究の研究責任者や関係者であった場合、その委員は当該研究の審議と判定に加わることができない。
6 委員会の審議にあたって、申請の内容等の質疑応答を目的として、委員会及び委員は必要に応じて研究責任者の出席を求め、申請の内容等の説明を受けることができる。
7 倫理審査委員会の意見は、全会一致をもって決定するよう努めなければならない。
8 委員会は、審議の内容及び採決に参加した委員の名簿、議事の要旨や決定理由が記載された審議記録を作成の上、保管するものとする。
9 委員会は、審議終了後「臨床研究審査結果通知書」により審議結果を速やかに院長に報告する。
(迅速審査)
第7条 委員会は、次に掲げるいずれかに該当する審査について、当該倫理審査委員会指名する委員による審査(以下「迅速審査」という)を行い、意見を述べることができる。迅速審査の結果は倫理審査委員会の意見として取り扱うものとし、当該審査結果は全ての委員に文書又は電磁的方法にて報告されなければならない。
(1) 承認済みの臨床研究に関して、研究計画の軽微な変更が必要とされる審査
(2) 既に共同研究機関が倫理審査委員会の審査を受けており、その実施が適当であるとの意見が得ている場合の審査
(3) 侵襲を伴わない研究であって、介入を行わないものに関する審査
(4) 軽微な侵襲を伴う研究であって、介入を行わないものに関する審査
2 迅速審査の対象か否かの判断は委員長が行うものとする。
3 迅速審査は、委員長が行い、第6条第8項により判定し、第6条第10項に従って院長へ報告する。但し、当該研究の当事者が委員長である場合は、副委員長が代行しするものとする。
4 委員長は、次回の委員会にて迅速審査の内容と決定を報告する。
5 迅速審査の結果を受けた委員は、委員長に対し理由を付した上で、改めて委員会での審査を求めることができる。この場合において、委員長は相当の理由があると認めたときは、委員会で審査を行うものとする。
6 第1項第1号の軽微な変更とは、研究の実施に影響を及ぼさない範囲内で、研究対象者への負担やリスクが増大しない変更のことを指す。
(個人情報等及び匿名加工情報)
第8条 個人情報、匿名加工情報及び非識別加工情報の取扱いに関して、指針の規定のほか、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法及び地方公共団体において制定される条例等を遵守しなければならない。
2 死者の尊厳及び遺族等の感情を考慮し、死者について特定の個人を識別することができる情報に関しても、生存する個人に関するものと同様且つ適切に取り扱い必要な措置を講じなければならない。
3 研究対象者等に係る個人情報に関し、研究対象者等に説明しまた、個人情報の取扱いを含む研究の実施についての情報を研究対象者等に通知し、若しくは公開している場合を除き、保有する個人情報等に関し、当該個人情報によって識別される特定の個人(以下「本人」という)又はその代理人が容易に知り得る状態(本人又はその代理人(以下「本人等」という)の求めに応じ遅滞なく回答する場合を含む。以下同じ)に置かなければならない。
(研究に関する登録・公表)
第9条 研究責任者は、介入を行う研究について、国立大学附属病院長会議、一般財団法人日本医薬情報センター又は公益社団法人日本医師会が設置している公開データベースに、当該研究の概要をその実施に先立ち登録し、研究の進捗及び研究計画書の変更に応じて適宜更新する必要があり、また研究を終了したときは、遅滞なく当該研究の結果を登録しなければならない。
(研究の申請、審査手続き)
第10条 研究責任者は、臨床研究を実施しようとするときは、第5条における最新の資料を院長に提出し、実施許可を受けなければならない。
2 院長は、研究責任者から臨床研究の実施の許可を求められたときは、当該研究の実施の適否について、「臨床研究審査依頼書」を用いて、委員会に審査を依頼し意見を求めるものとする。
(研究計画の変更)
第11条 研究責任者は、承認された研究計画に変更が生じたときは、第5条における最新の資料を院長に提出し、実施許可を受けなければならない。
(研究結果の報告等)
第12条 委員長は実施中の研究において研究期間が1年を超える場合は、最低でも年1回実施状況について「臨床研究の実施状況報告書」を院長に提出しなければならない。
2 研究責任者は侵襲を伴う研究において不具合等の発生及び重篤な有害事象を知った場合は 「重篤な有害事象および不具合に関する報告書」を提出し、直ちにその旨を院長に報告しなければならない。
3 研究責任者は臨床研究の信頼性と適切性を確保するために必要な情報を収集し研究の継続に影響を与える可能性があると考えられた場合は「安全性情報等に関する報告書」と「臨床研究の倫理指針不適合に関する報告書」を速やかに院長に提出し、報告を行なわなければならない。また、必要に応じて委員会にて研究の停止又は中止を審議し、審議結果によって研究計画書を変更しなければならない。
4 研究責任者は、研究を終了した場合(中止・中断の場合を含む)は、終了後3か月以内を目安に「臨床研究終了(中止・中断)報告書」を院長に提出し、報告しなければならない。
(規程の改正)
第13条 この規程の改正は、委員会の議を経て、院長の承認を得るものとする。
附則
この規定は令和3年4月23日から施行する。

