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NIPTのアフターサポートについて

当院では、検査結果が出た後のサポートもご用意しております。
もし「陽性」の判定が出た場合、以下の3つで患者様の体と心をサポートします。

  • 羊水検査の費用の全額を互助会が負担
  • ・羊水検査実施院を患者様の検査結果に合わせてご紹介
  • ・24時間院長に相談可能

どうして上記のサポートを始めたのか次の章で詳しくご紹介します。
先にお話しておきたいのが、NIPTの検査をしてきて最初から最後まできちんと患者様と一緒に伴走したいという思いからです。

ミネルバクリニックでは、NIPT陽性となり、最も混乱している妊婦さんたちに最適なサポートを提供するために現在のアフターサポートを行っています。

アフターサポートの詳細

当院で行っているアフターサポートの詳細についてご紹介します。

羊水検査の費用の全額を互助会が負担

NIPTは非確定診断です。陽性と判定された場合、確定診断である羊水検査を受けるというのが選択肢として入ってきます。
もし検査を受けたいとご決断されたらネックになってくるのが検査費用です。
羊水検査の費用は約10万円から20万円もかかります。
自由診療は全額自己負担ですので患者様のご負担も大きいでしょう。

当院では、少しでも患者様のご負担を軽くするべく羊水検査の費用を全額負担いたします。
ただ、事前に検査費用を支払う互助会(カトレア会)に入会していただかないといけません。
費用はNIPT1回につき8000円です。
羊水検査を受けない方にもご入会していただきますので予めお知りおきください。

羊水検査を受ける病院を当院で紹介

羊水検査を受ける病院も当院でご紹介します。
患者様ご自身で探すこともできますが、NIPTで陽性と判定された患者様の心身のダメージは想像よりも大きいものです。
自分で病院を探すのも困難といえます。
しかも羊水検査は受検できる期間が限られており、結果が出るまで2~3週間かかります。
心身のダメージが残っている中でさらに検査結果を待つのは大きな負担です。
そうした煩わしいことをしなくてもいいように当院で検査可能な病院をご紹介します。

24時間つながる電話相談窓口の開設

もう一つのアフターサポートが24時間電話でつながるホットラインの開設です。
院長といつでも電話で相談ができます。
先述したようにNIPTで陽性と判定された患者様は大きなショックを受けています。
ご自分のせいじゃないのに自分を責めたり、一日中泣いていたりする方も珍しくありません。

そして意外と多いのが「12週以降は中期中絶になるから避けたい」という理由で中絶を決断したい方です。
この決断をすると「命の選別」と批判をされて、患者様の中には傷つく方もいます。
しかし、胎児の異常を理由に妊娠を中断した女性は、重大な精神的苦痛を経験する可能性が高く、妊娠中期に胎児異常のために妊娠中絶を行った女性は、妊娠初期に中絶を行った女性に比べて、心的外傷後ストレス症状を持つ可能性が高いことが報告されているのです。

関連記事:妊娠中絶の精神的な影響|胎児異常による中絶は心理的負担が大きいので特にケアが必要

3つのアフターサポートをしている理由

NIPTが導入された2013年頃、マスコミからは「NIPTは命の選別」という報道がされました。
陽性の結果が出た妊婦さんが中絶を選択することへの批判です。

せっかく妊娠できたのにどうして中絶を決断するのでしょうか?

せっかくやどった命を自ら失う判断をするのにどれだけの思いをしているのかを見てきて、なぜ女性ばかりが傷つかないといけないのかと疑問に思います。

先生、わたしは酷い母親ですよね。元気に動いているのに中絶することにして。そう涙を流す女性たち。でも。そのお子さんは生まれて来れないはるかに確率の方が高い状態だったりする。うまれてきても早い時期にサヨナラしないといけなかったりする。辛い思いをなるだけ減らす選択は防衛反応として当然です。責められるべきではありません。

生まれてきてくれたら自分たちが生きている間は何とか支えられる。しかし、子どもが一人になったときに幸せな生活を送れるのか?
自分たちが子どもが幸せになれるような生活をさせてあげられるのか?不安が尽きない。不安を乗り越えられない。色々なことを真剣に考えて家族という単位でのしあわせの最大化のために決断するのです。

今の日本では、障がいのあるお子さんへの社会的なサポートが整っているとは言い難い現状です。
昔に比べれば体制ができつつあるのかもしれませんが、保護者には監護権があり、保護責任を果たさねばなりません。法律の仕組みとしては、一方的に親御さんが経済的・労力的双方の側面で養育をしなければならない決まりになっています。ダウン症をはじめとする障害のあるお子さんが大人になって自立するためのサポートは不十分でしょう。今の日本の福祉体制では障がいを持つ子どもを育てるのに相当な覚悟が必要です。人間はみんながみんなそんなに強くはありません。

もう一つの理由としてはアラフォーで出産が増えている現状に加えて、親御さんの高齢化とダウン症候群の平均寿命の長期化があると思います。50年前、ダウン症候群のお子さんの平均寿命は2年でした。今は平均寿命が60歳です。お子さんが60歳になったとき、親御さんはおいくつでしょうか。「自信ががない」と思ってしまっても仕方がない側面があるように感じます。

今の日本の状況を考えると妊娠初期ではやく赤ちゃんをあきらめて、次の健康な赤ちゃんをお迎えする準備をするのは一つのファミリーとして合理的選択だと感じます。そして、こういう意見は決して障害のあるお子さんの生まれてくる権利を否定するものではありません。
しかし日本では先述したように中絶への批判がまだ強く残っているせいか、「命の選別」だとあからさまに言う人も少なくありません。産婦人科で出生前診断を受けたいと言えば、おなかの赤ちゃんに無礼だと怒鳴りつける助産師や看護師、産婦人科医もいまだにいるそうです。そうした批判をする人たちは、先天性異常を抱えたお子さんを育てるのに協力してくれるのでしょうか?答えはNOですよね。絶対に手伝ってはくれないでしょう。育てるのはご両親なのです。また、お子さんが障害をもって生まれたケースでは夫婦仲が悪くなり離婚に至るケースもあります。里親に出されるお子さんの4人に一人が障害を持っているという報道もあります。
自分たちが生きている間はサポートできたとしても亡くなった後が心配ですし、もしご兄弟がいたら彼らの人生にも大きく影響します。今でも兄弟姉妹に障害のあるお子さんがいることを隠して結婚する人たちもいます。こうしたことを考えたら軽々しく産むとはいえないでしょう。
それだけ今の日本は社会的な弱者が生きづらい国なのです。

しかも中絶手術も安全な方法とは言い難いのが現状です。
現在、国内の初期中絶手術は「掻爬法(そうはほう)」という処置が行われているのですが、このやり方はWHOから「時代遅れ」と指摘されている方法です。吸引法を採用しているクリニックはまだまだ少ないですね。日本の産婦人科は女性の味方ではないのではと感じてしまいます。こんな状況で、中期中絶のほうが母体にとって危険なので初期中絶を選択したい女性が多いのも無理からぬことではないでしょうか。日本では「おんなこども」という言い方がありますが、これは女性や子供を蔑視した表現だと思います。産婦人科は非常にパターナリズム(父親がこれがいいと思って子どもに押し付けるような態度をいいます)が強いと私は感じています。女性を診療する診療科なのに、実は女性を蔑視しているのではと疑いたくなります。

患者様が少しでも自分にとって、より良い判断をするサポートのために24時間電話相談をできるようにしています。そして産む、産まない、どのような判断をしたとしても、決して自分を責めることがなく前向きに生きていけるようにサポートしていけたらと願っています。

ちなみに、日本は12週を過ぎたら中期中絶でという問題があるのですが、海外では胎児の障害の可能性に基づいた中絶であればどのような時期でも可能としている国もたくさんあります。日本だとたとえば19週とかで脳室拡大が見つかった場合、その先を経過観察していたら、実際はおちついていくのかもしれませんが、21週までしか中絶ができないためにその場で判断を迫られる事態となります。本当に赤ちゃんとママとパパのことを考えるなら、この決まりも見直したほうがいいという意見もあってしかるべきでしょう。

プロ・チョイスとプロ・ライフ。前者は女性のリプロダクティブライツを大事にする、つまり有無も産まないも女性に決める権利があるという考え方です。プロ・ライフは赤ちゃんの権利を擁護する考えです。プロ・ライフの行きつくところはどのような理由であれ一切の中絶を禁止するという考えになります。

実は、アメリカの大統領選や議会の選挙の大きな争点がリプロダクティブライツです。今回、2022年11月の中間選挙で、共和党が大きく勝利するレッドウェーブが起こるという下馬評を覆し、民主党が善戦しました。共和党(赤)は福音派やカトリックに支持基盤があるため、プロ・ライフ。民主党(青)はリプロダクティブライツを大事にするプロ・チョイス。
共和党が州知事のところで中絶禁止が法制化され、お金のある人は中絶が合法に行える州に行って中絶するが、低所得者の人たちが中絶にアクセスできない事態になりました。アメリカの中間選挙でレッドウェーブを阻んだのが中絶問題です。

わたしとしては、いかなる人のいかなる自己決定も尊重されてほしいと思っています。そして女性たちがもっとずっと尊重されて自由に生きられる世の中になってほしいと思います。女性の一人として。

とはいえ、わたしもまた、100%プロ・チョイスと言う立場では全くありません。必要な人にはきちんと羊水検査を受けてもらい、障害もなくうまれてきても大丈夫な赤ちゃんが必要な確認もされずに命を落とすことはあってはならないと思っています。だからこその専門家が私たちなのです。ママの権利と赤ちゃんの権利を最大限どちらも尊重し、家族としてのバランスを保てるように誠心誠意サポートしています。

関連記事:他のクリニックで全染色体検査陽性となり、ミネルバクリニックに相談に来た事例。ママはそのまま中絶したいと言っていたのを思いとどまっていただいて羊水検査を受けて異常もなく、無事にお生まれになっています。

まとめ

ミネルバクリニックでは、ミネルバクオリティともいえる高い水準の医療を提供するという方針のもと、日々世界標準なサイエンティフィックなエビデンスを求め、また、日々の診療において真摯に患者さんたちと向き合う中で得られてきた経験や知見を一人一人にフィードバックして辛い結果でもミネルバクリニックに来てよかったと思っていただけるように頑張っています。これらはギルド体質の産婦人科では難しいものだと感じてる妊婦さんたちも多いのではないでしょうか。一人一人に合わせた最善を一緒に探しましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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