目次
NIPTの「認可施設」とは、日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会が基準を満たすと認めた「認証医療機関」のことで、国の許認可ではありません。「無認可施設」は、この認証を受けずにNIPTを行っている医療機関を指します。認証を受けていないこと自体は違法ではなく、検査の受け方の差は、医師の専門性と陽性だったときの体制にあらわれます。この記事では、認証制度のしくみ、両者の違い、無認可施設のリスクと見分け方を、公的な資料にもとづいて整理します。
30秒でわかる要約
Q. NIPTの認可施設と無認可施設は何が違いますか?
日本医学会の運営委員会による「認証」を受けているかどうかの違いです。認証施設では、説明を担当する医師の資格、調べる項目(21・18・13トリソミー)、陽性のときの確定検査の体制が共通の基準で決まっています。無認可(非認証)施設は、内容が施設ごとに異なります。
Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
大丈夫とは言えません。認証施設のNIPTが対象にしているのは三大トリソミー(21・18・13トリソミー)ですが、子育ての負担をいちばん大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動・自傷・睡眠の問題といった行動の問題だと報告されています。行動の問題を伴いやすい病気は、ダウン症候群よりも微小欠失症候群や単一遺伝子疾患に多く、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTは、こうした病気まで調べられます。施設を選ぶときは、認証の有無とあわせて、どこまで調べるかも考えてみてください。
Q. 無認可施設は危険ですか?
認証がないこと自体が危険なのではありません。差が出るのは、検査前の説明と、結果が出た後の対応です。臨床遺伝専門医の関与、検査前後の遺伝カウンセリング、確定検査までの道筋の3点を確かめてください。
Q. 無認可施設でNIPTを受けるのは違法ですか?
違法ではありません。認証を受けていない医療機関がNIPTを行うことを禁じる法令は確認されていません。ただし、認証制度は妊婦さんが認証施設で検査を受けるよう促すことを目的としています。
\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? /
認証の有無とあわせて、どこまで調べるかも、施設を選ぶときの物差しになります。当院のNIPTでは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで調べられます。どのプランにするかは、90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医と一緒に決められます。
Q. 認可施設と無認可施設のどちらで受けるかは、何を見て決めればよいですか?
A. 認証の有無に加えて、誰が説明し、陽性のときにどこで確定検査を受けるのかを見て決めます。認証施設では、これらが共通の基準で決められています。無認可(非認証)施設では施設ごとに異なるため、臨床遺伝専門医の関与、検査前後の遺伝カウンセリング、確定検査までの道筋を、ご自身で確かめる必要があります。
- ➤認可・認証・認定 → 正式には「認証」。認可は通称、認定は2013年に始まった旧制度での呼び方
- ➤認証施設の数 → 2024年度は基幹施設178、連携施設384の計562施設
- ➤年齢の扱い → 遺伝カウンセリングを受けても不安が残る場合は、年齢だけを理由に対象外とはされない
- ➤無認可のリスク → 認証がないこと自体ではなく、説明・陽性後の対応・検査内容の差が大きいこと
- ➤見分け方 → 臨床遺伝専門医の関与、検査前後の遺伝カウンセリング、確定検査までの道筋
1. NIPTの「認可」と「無認可」の違いは?まず結論
認可施設と無認可施設の違いは、日本医学会に置かれた出生前検査認証制度等運営委員会(以下、運営委員会)の認証を受けているかどうかです。NIPTは、妊婦さんの血液に含まれるDNAの断片を調べて、赤ちゃんの染色体の数の変化の可能性をみる検査で、正式には非侵襲性出生前遺伝学的検査(ひしんしゅうせいしゅっしょうぜんいでんがくてきけんさ)といいます。新型出生前診断と呼ばれることもあります。
認証を受けた施設では、誰が説明するのか、何を調べるのか、陽性のときにどこで確定検査を受けるのかが、指針という共通のルールで決められています[1]。認証を受けていない施設には共通のルールがないため、これらの内容は施設ごとに異なります。つまり「無認可」という言葉が示しているのは、質の高低ではなく、共通の基準に沿っていることを第三者が確認していない、という状態です。
📘 「認可」「認証」「認定」「無認可」の呼び方の整理
| 呼び方 | 意味 | 補足 |
|---|---|---|
| 認証施設(認証医療機関) | 運営委員会が認証した、NIPTを実施する医療機関 | 正式な呼び方。基幹施設と連携施設がある |
| 認可施設 | 認証施設を指す通称 | 国の許認可を意味する言葉ではない |
| 認定施設 | 2013年に始まった以前の制度での呼び方 | いまも認証施設の意味で使われることがある |
| 無認可・認可外・非認可・非認証施設 | 認証を受けずにNIPTを行っている医療機関 | 公的な資料では「非認証施設」と書かれる |
「認可」は通称で、正式には日本医学会の「認証」
「認可施設」という言い方が広く使われていますが、行政が許可や認可を出しているわけではありません。現在の制度では、2021年11月に日本医学会に設置された運営委員会が、指針に定めた要件を満たす医療機関を審査し、「認証医療機関」として登録しています[1]。運営委員会には、産婦人科・小児科・遺伝医学の関係学会のほか、看護の団体、倫理や法の有識者、障害者福祉の関係者、当事者団体、検査分析機関の関係者が加わり、厚生労働省の担当課も参画しています[1]。
「認定施設」という言葉は、それ以前の制度に由来します。2013年3月に日本産科婦人科学会が指針を定め、日本医学会など関係5団体が共同で「認定制度」を運用していた時期があり、その枠組みの施設が認定施設、枠の外の施設が非認定施設と呼ばれていました[2]。検索で「認可」「認定」「認証」が混ざって使われるのは、この経緯によるものです。
この記事では、検索でよく使われる「認可」「無認可」という言葉も併記しながら、制度の説明では正式な「認証」「非認証」を使います。指している対象は同じです。
無認可(非認証)施設は違法ではない
認証を受けていない医療機関がNIPTを行うことを禁じる法令は、確認されていません。厚生労働省の専門委員会の報告書は、学会が定める指針には学会員以外の医療関係者に対する拘束力や影響力が欠ける、と整理しています[2]。同じ報告書によると、議論の過程では非認証施設も含めた登録制度や法的な規制を設けるべきだという意見も出されましたが、まず認証制度を新設し、運用の状況を見ながら対応を検討することになりました[2]。
一方で、違法でないことと、制度がすすめていることは別です。この認証制度は、NIPTを希望する妊婦さんとパートナーが、非認証施設ではなく認証施設で検査を受けるよう促すことを目的としています[2]。指針も、認証されていない医療機関は妊婦さんの不安を受け止めたうえで、NIPTの希望があれば認証医療機関に紹介する、という流れを示しています[1]。
また、非認証施設も医療機関である以上、医療に関する一般の法令の対象になります。法律面の考え方は、認証を受けていない施設でNIPTを受けるのは違法かで別にまとめています。
2. 日本医学会の認証制度のしくみ
現在の認証制度は、2022年2月に運営委員会が公表した指針にもとづいて運用されています。指針の柱は、出生前検査についての情報提供、NIPTを実施する医療機関の認証、NIPTの解析を受託する検査分析機関の認証の3つです[1]。情報提供は出生前検査全般を対象とし、施設の認証はNIPTだけを対象としています。
制度の目的と、2022年に新しくなった経緯
認証制度の目的は、NIPTを受ける妊婦さんが、十分な説明と遺伝カウンセリング、検査後の支援を受けられる体制を確保することです。NIPTは2013年3月の指針と認定制度のもとで始まり、2020年8月の時点で認定施設は109施設でした[2]。2016年頃から、認定を受けていない医療機関でNIPTが行われる例が目立つようになり、厚生労働省は2019年10月から2020年7月にかけてワーキンググループを開いて実態を調べました[2]。
これを受けて2020年10月に専門委員会が設置され、2021年5月に報告書がまとめられました。報告書は、NIPTが倫理的・法的・社会的な課題を含む検査であることから、1つの学会だけで対応するのではなく、幅広い関係者が参画する形で認証制度を新設すべきだと結論づけています[2]。2021年11月に運営委員会が設置され、2022年2月に現在の指針が公表されました[1]。
指針が従う基本的な考え方には、出生前検査は妊婦さんとパートナーの意思決定を支えるためのものであること、すべての妊婦に一律に行うことやそれをすすめることは否定されること、受ける際には十分な説明と遺伝カウンセリングが欠かせないことが挙げられています[1]。2022年より前の体制については、NIPTコンソーシアムと認証制度の違いで説明しています。
基幹施設と連携施設の違い
認証施設には、基幹施設(きかんしせつ)と連携施設の2種類があります。基幹施設は検査から確定検査、その後の対応までを自施設で行える施設、連携施設は基幹施設の支援を受けながらNIPTを行う施設です。制度は、基幹施設とその支援を受ける連携施設とで、地域ごとの体制を組む形になっています[1]。
基幹施設には、産婦人科専門医と小児科専門医がともに常時勤務し、少なくともどちらかが臨床遺伝専門医であることが求められます。遺伝に関する専門外来を置き、羊水検査や絨毛検査を行えること、検査後の妊娠の経過観察やその後の対応を自施設で行えることも要件です[1]。
連携施設には、常時勤務する産婦人科専門医が臨床遺伝専門医であるか、NIPTを含む出生前検査の研修の修了認定を受けていることが求められます。原則として妊婦健診と分娩の管理に対応していることも要件です[1]。連携施設で陽性や判定保留の結果が出て、自施設で対応できない場合は、基幹施設が遺伝カウンセリングと確定検査を引き受けます[1]。
認証は一度受ければ終わりではなく、5年ごとに更新の審査があります[3]。運営委員会の集計では、2024年度の認証施設は基幹施設178、連携施設384の計562施設で、制度が始まった2022年度の375施設から増えています[4]。連携施設には産婦人科のクリニックも含まれるため、認証施設が大学病院に限られているわけではありません。
💡 用語解説:判定保留
判定保留とは、採血した検体から陽性とも陰性とも判定できなかった状態のことです。血液中の赤ちゃん由来とされるDNAの割合が少ない場合などに起こります。指針は、判定保留のときには妊娠週数を考えたうえで、再検査を受けるか確定検査を受けるかといった選択肢を説明するよう求めています[1]。2024年度の認証施設の集計では、初回検査の0.6%が判定保留でした[4]。
35歳未満でも受けられる?2022年の指針での年齢の扱い
現在の指針では、35歳未満であることだけを理由に、認証施設でNIPTを受けられないということはありません。指針は、NIPTが選択肢となる妊婦として、高年齢の妊婦、母体血清マーカー検査や胎児超音波検査で染色体の数の変化の可能性が示された妊婦、染色体の数の変化のある赤ちゃんを妊娠したことのある妊婦など、5つの状態を挙げています[1]。
そのうえで指針は、適切な遺伝カウンセリングを受けても赤ちゃんの染色体の数の変化に対する不安が解消されない妊婦については、対象となる疾患の発生頻度によらず、十分な情報提供と支援を行ったうえで本人の意思決定が尊重されるべきだ、としています[1]。年齢の条件が単純に撤廃されたというより、遺伝カウンセリングを受けることを前提に、年齢を問わず選択肢になりうる形に改められた、と読むのが正確です。
実際に、認証を受けた検査分析機関の2024年度の集計では、受検者の年齢は35〜39歳が37.8%、30〜34歳が33.0%、40歳以上が15.3%、25〜29歳が13.1%でした[4]。35歳未満の方が半数近くを占めています。
ただし指針は、母体の年齢が下がるほど陽性的中率が下がり、偽陽性が増えるという検査の限界を十分に説明するよう求めています[1]。年齢と受検の考え方については、35歳でNIPTを受ける割合と判断の基準も参考になります。
認証施設で調べるのは3つのトリソミー(21・18・13)
認証施設のNIPTで調べるのは、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの3つです。トリソミーとは、本来2本ある染色体が3本になっている状態のことです。指針は、これら3つ以外の疾患については分析的妥当性や臨床的妥当性が現時点では十分に確立されていないとし、対象を広げる場合はまず臨床研究などの形で評価する、という立場をとっています[1]。認証を受けた検査分析機関が提供する検査項目も、この3つに限られています[5]。
💡 用語解説:分析的妥当性と臨床的妥当性
分析的妥当性とは、検査が調べようとしている変化を、正確に、くり返し同じように測れるかどうかを指します。臨床的妥当性とは、検査の結果が、実際の病気の有無をどのくらい正しく言い当てるかを指します。検査の技術として測定ができることと、その結果を医療の判断に使えることは別であり、新しい検査項目ではこの2つを順に確かめていきます。
報告書によると、先天性の疾患は生まれてくる赤ちゃんの約3〜5%にみられ、染色体の疾患はそのうちの25%程度、3つのトリソミーは染色体の疾患の70%程度を占めます[2]。NIPTで調べているのは、数多くある先天性の疾患の一部です。それぞれの疾患については、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーのページで解説しています。
性別や性染色体は、認証施設のNIPTの対象に含まれていません。この点はNIPTで性別を教えてくれない理由で扱っています。
認証施設の探し方
認証施設は、運営委員会のウェブサイトに一覧が公開されています。認証医療機関・認証検査分析機関の一覧では、基幹施設と連携施設の別、所在地を確認できます。お住まいの地域で探す場合は、この公式の一覧から探せます。
指針は、妊婦健診を受けている産婦人科が認証施設でない場合でも、出生前検査の質問や不安をまず受け止め、NIPTを希望する場合は認証医療機関につなぐ、という役割を示しています[1]。健診先でNIPTの案内がなかったときは、健診先に相談して紹介を受ける方法と、一覧から自分で探す方法があります。予約の方法や紹介状が必要かどうかは施設によって異なるため、各施設の案内で確認してください。
ある施設が認証を受けているかどうかを確かめたいときも、施設の広告の表現ではなく、この一覧に載っているかどうかで判断できます。
3. 認可(認証)施設と無認可(非認証)施設の比較表
認証施設の内容は指針で決まっているため一律に書けますが、非認証施設には共通の基準がないため、多くの項目が「施設により異なる」になります。この表は、どちらが優れているかを示すものではなく、何が決まっていて何が決まっていないかを並べたものです。
📊 認証施設と非認証施設の違い
| 項目 | 認証施設(認可施設) | 非認証施設(無認可施設) |
|---|---|---|
| 認証 | 運営委員会の認証あり(5年ごとに更新) | なし |
| 調べる項目 | 21・18・13トリソミー | 施設により異なる(3つ以外を扱う施設がある) |
| 対象となる妊婦 | 指針が示す状態にある妊婦。遺伝カウンセリング後も不安が残る場合は年齢を問わない | 施設により異なる |
| 遺伝カウンセリング | 検査の前後に実施。臨床遺伝専門医や研修を修了した産婦人科専門医などが担当 | 施設により異なる |
| 陽性・判定保留のとき | 基幹施設、または体制のある連携施設で確定検査まで対応 | 施設により異なる |
| 検査を解析する機関 | 認証を受けた検査分析機関 | 施設により異なる |
| 実績の公表 | 年次報告を運営委員会が集計して公表 | 共通の仕組みはない |
| 費用 | 施設ごとに設定 | 施設ごとに設定 |
※認証施設の欄は指針[1]と医療機関認証細則[3]による。NIPTは公的医療保険の対象外で、費用は施設ごとに異なります。相場はNIPTの費用相場で解説しています。
認証施設で受ける利点
認証施設の利点は、説明・検査・陽性後の対応が共通の基準にそろえられ、その実績が公表されていることです。どの認証施設で受けても、検査の前後に遺伝カウンセリングがあり、解析は認証を受けた検査分析機関が行い、陽性や判定保留のときは基幹施設が確定検査とその後の対応を担います[1]。妊婦さんが希望すれば、小児医療の専門家の支援を受けられるようにすることも求められています[1]。
実績も毎年集計されています。2024年度は、NIPTに関する遺伝カウンセリングが75,657件行われ、そのうちNIPTを受けたのは63,408人(83.8%)でした[4]。説明を受けたうえで受けない選択をした方が一定数いることがわかります。初回検査の結果は、陽性が1.1%、陰性が98.3%、判定保留が0.6%でした[4]。
陽性だった方のうち確定検査を受けた方で、実際に診断が確定した割合(陽性的中率)は、21トリソミーが96.1%、18トリソミーが88.4%、13トリソミーが44.6%でした[4]。こうした数字が公開されていること自体が、制度の特徴です。
非認証施設で受ける利点と注意点
非認証施設の特徴は、調べる項目や対象の決め方が指針に縛られていないことで、これが利点にも注意点にもなります。厚生労働省のワーキンググループの調査では、非認定施設は受検者の年齢の要件を設けず、3つのトリソミーに加えて全染色体や微小欠失(びしょうけっしつ)などの検査を扱う傾向がある、と報告されています[2]。調べたい範囲が3つのトリソミーより広い方にとっては、選択肢になりえます。
注意点は2つあります。1つは、説明を誰が行うのか、陽性のときにどう対応するのか、どの機関が解析するのかを、施設ごとに自分で確かめなければならないことです。もう1つは、3つのトリソミー以外の検査について、国内の指針は妥当性が十分に確立されていないとしていることです[1]。項目を広げて調べる場合に知っておきたい点は、6章で説明します。
4. 無認可(非認証)施設のリスクとは?「無認可だから危険」ではない
無認可(非認証)施設のリスクは、認証がないこと自体ではなく、説明・陽性後の対応・検査の内容に共通の基準がなく、施設による差が大きいことにあります。採血の方法そのものは、どの施設でも変わりません。差が出るのは、採血の前と、結果が出た後です。
非認証施設は幅が広い
非認証施設と一口にいっても、体制は施設によって大きく異なります。厚生労働省のワーキンググループが2019年から2020年にかけて行った調査では、非認定施設について、産婦人科以外の診療科の医師が検査を行っている場合が多いこと、遺伝カウンセリングを行っていないか希望者だけに行っている場合があること、異常の所見が出ても郵送や電話、メールで通知される場合があることが報告されました[2]。
ただし、この調査は非認定施設からの回答率が低く、施設の数や検査の件数を正確に把握することは難しい、と報告書自身が述べています[2]。調査の時期も現在の制度が始まる前です。この結果をもって、非認証施設はどこも同じだとみることはできません。
同じ報告書は、認定施設の側にも、説明の内容が標準化されていない場合があるなどの課題があったことを記しています[2]。非認証施設のなかには、臨床遺伝専門医が検査前の説明から結果説明までを担当し、確定検査まで自施設で行う施設もあります。認証の有無は出発点の情報であり、その先は施設ごとの体制を確かめることになります。
起こりうる3つの問題(説明が足りない・陽性後の行き先がない・費用が後からかさむ)
体制が整っていない施設で受けた場合に起こりうる問題は、説明の不足、陽性後の行き先の不在、想定していなかった費用の3つに整理できます。
1つ目は、説明が足りないことです。NIPTは可能性を調べる非確定的検査で、結果だけでは診断が確定しません。この前提を知らないまま結果を受け取ると、陽性を確定と受け止めたり、陰性を「何も心配がない」と受け止めたりするおそれがあります。検査の位置づけはスクリーニング検査と確定診断の違いで説明しています。説明を担当する人の資格については、NIPTの無料カウンセリングで確認したい点も参考にしてください。
2つ目は、陽性だったときの行き先がないことです。確定検査には受けられる時期があり、絨毛検査(じゅうもうけんさ)は妊娠11〜14週、羊水検査(ようすいけんさ)は妊娠15週以降に行われます[2]。結果が郵送やメールで届き、確定検査を受ける施設を自分で探すことになると、その間にも妊娠週数は進みます。こうした事例は陽性後に困らないための施設選びで取り上げています。
3つ目は、費用が後からかさむことです。報告書は、非認定施設ではオプションの検査を選ぶことで費用が高額になる場合があると指摘しています[2]。NIPTも確定検査も公的医療保険の対象外であるため、検査の費用に何が含まれ、陽性のときの確定検査の費用を誰が負担するのかを、申し込む前に確かめておく必要があります。
🩺 院長コラム【「無認可」という言葉で見えにくくなること】
認可か無認可かという二択で語られることが多いのですが、検査を受ける方に直接かかわるのは、誰が説明し、陽性のときに誰が次の検査まで責任を持つのかという点です。認証制度が施設に求めている中身も、まさにこの部分です。
当院は認証を受けていない施設です。そのうえで、指針が重視している検査前後の遺伝カウンセリングと、確定検査までの対応を、自院の体制として整えています。制度の内と外のどちらで受ける場合も、確かめる点は同じだと考えています。
偽陽性・偽陰性はどの施設でも起こりうる
NIPTの偽陽性と偽陰性は、認証施設でも非認証施設でも起こります。偽陽性とは、結果は陽性なのに赤ちゃんには該当する変化がない場合、偽陰性とは、結果は陰性なのに実際には変化がある場合のことです。指針は、陽性の結果だけで診断を確定させることにはならないこと、陰性の結果でも対象の変化がないと確定させることにはならないことを、結果説明で伝えるよう求めています[1]。
認証施設の2024年度の実績でも、13トリソミーの陽性的中率は44.6%でした[4]。確定検査を受けた65人のうち、診断が確定したのは29人です。陽性と出ても半数以上は該当しなかったことになり、確定検査の位置づけの重さがわかります。
なお、陽性や陰性の結果を確かめる目的でNIPTをもう一度受けることには、意味がないとされています[1]。陽性のときに診断を確定できるのは、羊水検査や絨毛検査です。偽陰性についてはNIPTの偽陰性で詳しく解説しています。
5. 無認可施設の見分け方:医師の専門性と陽性後の体制
無認可(非認証)施設を見分けるときは、指針が認証施設に求めている体制を物差しにすると、確かめる点がはっきりします。具体的には、臨床遺伝専門医が関わっているか、検査の前後に遺伝カウンセリングがあるか、陽性のときに確定検査までの道筋があるか、の3点です。
臨床遺伝専門医が関わっているか
1つ目に確かめるのは、検査の説明と結果の説明を、遺伝医療の専門資格を持つ医師が担当しているかどうかです。臨床遺伝専門医(りんしょういでんせんもんい)は、日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が認定している専門医です[1]。指針は、出生前検査に関する遺伝カウンセリングについて、臨床遺伝専門医や、一定のトレーニングを受けて運営委員会に認められた医師などが対応することが望ましい、としています[1]。
NIPTの結果の意味は、年齢、調べた項目、妊娠週数、超音波検査の所見などによって変わります。同じ「陽性」でも、21トリソミーと13トリソミーでは的中率が大きく違います。こうした違いを個別の状況に合わせて説明するには、遺伝医学の知識が欠かせません。
確かめ方としては、施設の案内に説明を担当する医師の氏名と資格が書かれているか、検査前の説明と結果の説明を同じ医師が行うのか、陽性のときにその医師から直接説明を受けられるのかを見ます。理由はNIPTを受けるなら臨床遺伝専門医のいる施設がいい理由で詳しく述べています。
検査の前後に遺伝カウンセリングがあるか
2つ目は、採血の前と結果が出た後の両方に、遺伝カウンセリングの時間が設けられているかどうかです。遺伝カウンセリングとは、相談に来た方の求めに応じて遺伝に関する情報を提供し、その内容を十分に理解したうえで自分で決められるよう支える行為のことです[1]。受けるように、あるいは受けないように誘導しない、非指示的な姿勢で行われます。
指針は、検査前に説明する内容として、NIPTが3つのトリソミーを対象とする検査であること、陽性的中率や確定検査の必要性といった検査の限界、対象となる疾患の特徴と、その疾患のある子どもの成長や福祉の支援体制などを挙げています[1]。専門の外来は、通常の妊婦健診とは別に30〜45分程度の時間をとる想定です[1]。
結果の伝え方も確かめたい点です。報告書は、検査結果は対面で説明し、原則として電話や手紙、電子メールだけで伝えるべきではない、としています[2]。説明を受けた結果として検査を受けない選択をすることも、遺伝カウンセリングの正当な結論の1つです。
陽性のとき確定検査までの道筋があるか
3つ目は、陽性や判定保留の結果が出たときに、確定検査をどこで受け、その結果を誰が説明するのかが、検査を受ける前から決まっているかどうかです。確定検査である羊水検査・絨毛検査は、お腹に針を刺して羊水や絨毛を採る検査です。報告書は、羊水検査にはおよそ300〜500回に1回、絨毛検査にはおよそ100回に1回の割合で流産に至るリスクがあるとし、お腹の上から行う絨毛採取のリスクは羊水穿刺と同等だとする報告があることも記しています[2]。
確かめる点は、確定検査を自施設で行うのか、紹介先の医療機関が決まっているのか、確定検査の費用は誰が負担するのか、確定検査の結果が出た後の説明と支援は誰が担うのか、です。指針は、NIPTの結果にかかわらず出産を希望する場合は、必ずしも確定診断を要しないことも説明するよう求めています[1]。受けるかどうかを決めるのは、妊婦さんとパートナーです。
ここまでの3点は、認証制度の要件に沿った見方です。通いやすさ、結果が出るまでの日数、費用に含まれるものなど、施設を比べるときの項目全体は、NIPTはどこで受ける?施設の選び方にチェックリストとしてまとめています。
6. 検査の中身の違い:調べる項目と精度
認証施設と非認証施設では、調べる項目の範囲が違うことがあります。項目が増えると、項目ごとに検査の当たりやすさが変わる点を知っておく必要があります。ここでは、3つのトリソミー以外を調べる場合の考え方と、検査方式の違いを説明します。
3つのトリソミー以外を調べるときに知っておきたいこと(陽性的中率)
3つのトリソミー以外の項目については、国内の指針と海外のガイドラインで扱いが分かれています。国内の指針は、3つ以外は妥当性が十分に確立されていないという立場です[1]。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)の2022年のガイドラインは、3つのトリソミーのNIPTをすべての妊娠に対して強く推奨し、22q11.2欠失症候群については条件付きで推奨する一方、そのほかのコピー数の変化や、まれな常染色体のトリソミーについては推奨するだけの根拠が不十分だとしています[6]。
💡 用語解説:陽性的中率
陽性的中率(ようせいてきちゅうりつ)とは、検査で陽性と出た人のうち、実際にその変化があった人の割合のことです。検査そのものの性能だけでなく、調べる変化がもともとどのくらいの頻度で起こるかによって変わります。頻度の低い変化ほど、同じ性能の検査でも陽性的中率は低くなります。陽性的中率が50%なら、陽性と出た人の半分は実際には該当しないことになります。
項目による違いを示す例として、22q11.2欠失症候群(22番染色体の一部が欠けることで起こる微小欠失症候群)を対象にした前向き研究があります。この研究では、感度は75.0%、特異度は99.84%、陽性的中率は23.7%で、解析方法を改良した場合の陽性的中率は52.6%でした[7]。認証施設での21トリソミーの陽性的中率96.1%[4]と比べると、項目によって陽性の重みが大きく違うことがわかります。
このため、範囲を広げた検査で陽性と出たときは、その結果だけで判断せず、確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめることが前提になります。当院では、この確定検査まで院内で受けられます(7章)。
偽陽性が起こる理由の1つに、胎盤限局性モザイク(たいばんげんきょくせいモザイク)があります。NIPTで調べている赤ちゃん由来とされるDNAは主に胎盤に由来するため、胎盤にだけ染色体の変化がある場合、赤ちゃんには変化がなくても陽性になることがあります。しくみは胎盤限局性モザイクと偽陽性・偽陰性で、陽性的中率の考え方は感度・特異度と陽性的中率で解説しています。
検査方式による違い
NIPTには複数の解析方式があり、方式によって調べられる範囲や得意とする変化が異なります。ゲノム全体を広く読んで染色体ごとのDNA断片の量を比べる方式、調べたい領域に絞って深く読む方式、個人差のある塩基の並び(SNP)を手がかりに母体と赤ちゃんのDNAを区別する方式などがあります。どの方式であっても、NIPTが非確定的検査であることは変わりません。
当院の一部のプランで用いているCOATE法は、調べたい領域を絞って読む方法とSNPを使う方法を組み合わせた方式です。開発時の研究では、1,129人の妊婦を対象に、染色体の数の変化、微小欠失・微小重複、単一遺伝子の変化を合わせて、感度100%、特異度99.3%と報告されました[8]。2024年に報告された前向き研究では、遺伝性疾患のリスクが高い1,090人の妊婦を対象に、135人で遺伝学的な変化を検出し、標準的な診断法と比べた感度は98.5%、特異度は99.3%でした[9]。
ただし、この2024年の研究の対象は、超音波検査で赤ちゃんに形の変化が見つかった方などを多く含む、リスクの高い集団です。リスクが高い集団では陽性的中率が高く出やすいため、一般の妊婦さんにそのまま当てはめることはできません。論文の詳しい内容はCOATE法のエビデンスにまとめています。方式を比べるときは、どのような集団で、何と比べて得られた数字なのかをあわせて確認してください。
🩺 院長コラム【調べる項目は、多ければよいとは限りません】
調べる項目を増やすと、わかる可能性のあることは増えますが、陽性や判定保留の結果を受け取る機会も増えます。そして、その陽性がどのくらい当たっているかは、項目ごとに違います。
3つのトリソミーだけを調べるという選択も、範囲を広げるという選択も、検査の限界の説明を受けたうえでご本人が決めることです。臨床遺伝専門医として、陽性と出たときにどうするかを検査を受ける前に考えておくとよいと思います。
7. ミネルバクリニックは認可施設?当院の位置づけと体制
ミネルバクリニックは、運営委員会の認証を受けていない非認証施設(いわゆる無認可施設)です。ここでは、その理由と、当院の体制を事実として記します。
当院は非認証施設です
当院が認証施設でない理由は、認証制度の枠組みと当院の診療内容が一致しないためです。1つは検査項目です。認証制度が対象とするのは3つのトリソミーで、認証を受けた検査分析機関は認証医療機関からの検査だけを受託します[1][5]。当院のプランは、3つのトリソミーに加えて、性染色体や微小欠失、プランによっては一部の単一遺伝子の変化も調べており、これらは認証制度の対象に含まれていません。
もう1つは施設の種類です。連携施設は、原則として妊婦健診と分娩の管理に対応する産婦人科であることが要件です[1]。当院は遺伝診療と出生前検査を専門とするクリニックで、妊婦健診や分娩は扱っていません。
3つのトリソミー以外の項目について、国内の指針が妥当性は十分に確立されていないとしていることは、2章と6章で述べたとおりです。当院では、項目ごとの限界と陽性的中率を検査の前に説明したうえで、検査を行っています。
当院の体制(常駐する臨床遺伝専門医・院内の確定検査・互助会)
当院では、常駐する臨床遺伝専門医が、検査前の遺伝カウンセリングから結果の説明までを担当します。90分の受診枠の中で行う検査前の遺伝カウンセリングでは、検査でわかることとわからないこと、陽性的中率、陽性だった場合の確定検査の流れを説明します。陽性や判定保留の結果が出た場合も、同じ医師が結果の意味を説明し、その後の検査について案内します。
確定検査については、2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査と絨毛検査を院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。NIPTを受けた施設と確定検査を受ける施設が同じであるため、陽性のあとに医療機関を探す必要がありません。
費用の面では、当院でNIPTを受ける方は全員、互助会(会費8,000円)に加入します。NIPTが陽性または判定保留となり、当院の医師の説明を受けたうえで羊水検査または絨毛検査を受ける場合は、検査費用の実費を互助会が全額負担します(入院費とマイクロアレイ検査は対象外です。性染色体の数の変化の陽性など、対象にならない場合があります)。遠方にお住まいの方には、オンラインNIPTの仕組みがあります。
受けられる時期は、妊娠9週以降が通常の受付です。妊娠6〜8週は、臨床研究として受け付けています。
検査プランと費用
当院のNIPTには、スタンダード、プレミアム、ダイヤモンド、双子マックス、インペリアルの5つのプランがあり、調べる範囲がそれぞれ異なります。範囲がいちばん狭いスタンダードプランでも、13・18・21トリソミーに加えて、性染色体の数の変化と微小欠失6種類7疾患を調べます。3つのトリソミーの検査の精度の根拠はスタンダードプランのエビデンスに、範囲の広いプランの内容はダイヤモンドプランとプレミアムプランのページに記載しています。
どのプランを選ぶかは、何を知りたいのか、陽性のときにどうするのかによって変わります。範囲が広いプランほど費用は高くなり、陽性や判定保留の結果を受け取る機会も増えます。当院のプランは、いずれも認証施設のNIPT(3つのトリソミー)より広い範囲を調べます。範囲をどこまで広げるかを考えるときは、6章で述べた項目ごとの陽性的中率の違いを踏まえてください。各プランの料金と、料金に含まれるものは、NIPTの費用・料金に一覧で示しています。
プランごとの検査内容と限界は、検査前の遺伝カウンセリングで説明します。
3つのトリソミーのほかに調べる意味 ― 行動の問題と22q11.2欠失症候群
認証施設のNIPTが3つのトリソミーに絞っているのに対して、当院が範囲の広いプランを用意しているのには理由があります。知的障害を伴う遺伝性の病気のお子さんを育てるご家族についての研究をまとめた報告では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高いとされています[10]。ストレスの強さにいちばん関係していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷といった行動の問題と、睡眠の問題でした[10]。別の研究では、他人への攻撃的な行動はアンジェルマン症候群とスミス・マゲニス症候群で、自傷はコルネリア・デ・ランゲ症候群、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群で多いことが示されています[11]。当院では、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群はすべてのプランで、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプランとインペリアルプランで、ウィリアムズ症候群はインペリアルプランと双子マックスプランで調べられます。ダウン症候群を調べることに意味がない、ということではありません。ダウン症候群のほかにも、生まれる前に調べられる病気がある、ということです。
母親の年齢に関係なく起こる病気もあります。22q11.2欠失症候群は、妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられる、微小欠失症候群のなかで最も多い病気で、多くは親から受け継いだものではなく新しく起こった変化です[12]。心臓の病気、免疫の働きの低下、低カルシウム血症、口蓋裂、発達の遅れなどを伴うことがあります[12]。6章で触れたとおり、米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを、条件付きで推奨しています[6]。生まれる前にわかっていれば、出産する施設を選んだり、生まれてすぐに心臓・カルシウム・免疫を調べたりする準備ができます。当院ではスタンダードプランから調べられます。ただし、陽性的中率は染色体の数の変化より低めなので、陽性のときは確定検査で確かめることが前提です。
8. ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
施設を比べていると、認証の有無の次に目が向くのが費用です。「ダウン症候群だけが心配なので、3つのトリソミーだけの検査で十分」と考える方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわります。そして7章で述べたとおり、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと報告されています[10]。行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれ[10][11]、三大トリソミー(21・18・13トリソミー)だけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。施設やプランを選ぶ物差しが「安さ」だけでよいのか、申し込む前に考えてみてください。
考え方の1つとして、検査の費用を、調べられる病気の数で割ってみます。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、調べる病気は3つなので、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、同じように割ると1つの病気あたりは約1,700円です。5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、実際には、この数に入らない変化も調べています。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード (220,000円) |
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム (264,000円) |
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド (407,000円) |
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス (440,000円) |
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル (550,000円) |
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
各プランの検査内容は、スタンダードプラン、プレミアムプラン、ダイヤモンドプラン、双子マックスプラン、インペリアルプランのページに記載しています。
調べる病気の数が多いほどよい検査、ということではありません。範囲が広がると、陽性や判定保留になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます(6章)。認証施設のNIPTが3つのトリソミーに絞っているのも、妥当性が確かめられた範囲で行うという考え方によるものです。だからこそ当院では、検査前の遺伝カウンセリングで項目ごとの限界を説明したうえで、プランを選んでいただいています。
どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。当院では、90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。
よくある質問(FAQ)
Q1. NIPTの認可施設と無認可施設の違いは何ですか?
日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会の認証を受けているかどうかの違いです。認証施設(認可施設)では、説明を担当する医師の資格、調べる項目、陽性のときの確定検査の体制が共通の基準で決まっています。無認可(非認証)施設には共通の基準がなく、内容は施設ごとに異なります。
Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
ダウン症候群だけを調べれば大丈夫、とは言えません。認証施設のNIPTが対象にしているのは21・18・13トリソミーの3つですが、知的障害を伴う病気のお子さんを育てるご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族のほうが、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高いと報告されています。ストレスにいちばん強く関係していたのは、知的障害の程度よりも行動の問題でした。こうした病気は、三大トリソミーだけを調べる検査ではわかりません。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプランとインペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。範囲を広げると陽性的中率が低めの項目も含まれるため、どこまで調べるかは検査前の遺伝カウンセリングで決めます。
Q3. 無認可施設でNIPTを受けても大丈夫ですか?危なくないですか?
採血そのものの方法は施設によって変わりません。差が出るのは、検査前の説明と、結果が出た後の対応です。臨床遺伝専門医が関わっているか、検査の前後に遺伝カウンセリングがあるか、陽性のときに確定検査を受ける先が決まっているかを、申し込む前に確かめてください。
Q4. 無認可施設でNIPTを受けるのは違法ですか?
違法ではありません。認証を受けていない医療機関がNIPTを行うことを禁じる法令は確認されていません。ただし、認証制度は妊婦さんが認証施設で検査を受けるよう促すことを目的としており、違法でないことと制度がすすめていることは別です。
Q5. 35歳未満でも認証施設でNIPTを受けられますか?
受けられる場合があります。2022年の指針は、適切な遺伝カウンセリングを受けても不安が解消されない妊婦については、年齢にかかわらず本人の意思決定が尊重されるべきだとしています。2024年度の集計では、受検者の半数近くが35歳未満でした。年齢が若いほど陽性的中率が下がる点の説明も行われます。
Q6. 認証施設で調べるのが3つだけなのはなぜですか?
指針が、21・18・13トリソミー以外の疾患については、検査の分析的妥当性や臨床的妥当性が現時点では十分に確立されていない、としているためです。対象を広げる場合は、まず臨床研究などの形で評価することになっています。
Q7. 基幹施設と連携施設の違いは何ですか?
基幹施設は、産婦人科専門医と小児科専門医が常時勤務し、確定検査とその後の対応まで自施設で行える施設です。連携施設は、基幹施設の支援を受けながらNIPTを行う産婦人科で、陽性や判定保留のときに自施設で対応できない場合は基幹施設が引き受けます。2024年度は基幹施設が178、連携施設が384です。
Q8. ミネルバクリニックのNIPTは認可されていますか?
当院は認証を受けていない非認証施設です。認証制度の対象は3つのトリソミーですが、当院のプランはそれ以外の項目も調べており、妊婦健診や分娩も扱っていないためです。常駐する臨床遺伝専門医が検査前の遺伝カウンセリングから結果説明までを担当し、羊水検査と絨毛検査は院内で行っています。
Q9. NIPTで陽性が出たらどうすればいいですか?
陽性は確定ではありません。診断を確定するには羊水検査か絨毛検査が必要です。まず結果の意味と陽性的中率について医師から説明を受け、確定検査を受けるかどうかをパートナーと決めます。流れはNIPTが陽性だったらで解説しています。
まとめ
NIPTの「認可施設」は、日本医学会の運営委員会が認証した医療機関のことで、国の許認可ではありません[1]。認証施設には基幹施設と連携施設があり、2024年度は合わせて562施設です[4]。調べる項目は21・18・13トリソミーの3つで、年齢については、遺伝カウンセリングを受けても不安が残る場合は年齢を問わず選択肢になりえます[1]。
無認可(非認証)施設で受けることは違法ではありませんが、説明・陽性後の対応・検査内容に共通の基準がないため、臨床遺伝専門医の関与、検査前後の遺伝カウンセリング、確定検査までの道筋の3点を自分で確かめる必要があります。偽陽性と偽陰性はどの施設でも起こり、陽性のときに診断を確定できるのは羊水検査と絨毛検査です[1]。施設を比べるときの項目全体は、NIPTはどこで受ける?施設の選び方をご覧ください。
🏥 NIPTをお考えの方へ
当院では、常駐する臨床遺伝専門医が検査前の遺伝カウンセリングから結果の説明までを担当し、陽性の場合の羊水検査・絨毛検査も院内で行っています。検査の内容と費用をご確認のうえ、ご予約ください。
参考文献
- [1] 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会. NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針. 令和4年2月. [出生前検査認証制度等運営委員会]
- [2] 厚生科学審議会科学技術部会 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会. NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書. 令和3年5月. [厚生労働省]
- [3] 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会. NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針 医療機関認証細則. [出生前検査認証制度等運営委員会]
- [4] 出生前検査認証制度等運営委員会. 令和6年度(2024年度)実施状況報告. [出生前検査認証制度等運営委員会]
- [5] 日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会. NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針 検査分析機関認証細則. [出生前検査認証制度等運営委員会]
- [6] Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. [DOI]
- [7] Cell-free DNA screening for prenatal detection of 22q11.2 deletion syndrome. Am J Obstet Gynecol. 2022;227(1):79.e1-79.e11. [DOI]
- [8] Genetic deconvolution of fetal and maternal cell-free DNA in maternal plasma enables next-generation non-invasive prenatal screening. Cell Discov. 2022. [PMC9562363]
- [9] Prospective prenatal cell-free DNA screening for genetic conditions of heterogenous etiologies. Nat Med. 2024;30(2):470-479. [DOI]
- [10] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. [DOI]
- [11] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI]
- [12] McDonald-McGinn DM, Sullivan KE, Marino B, et al. 22q11.2 deletion syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2015;1:15071. [DOI]






