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NIPT(新型出生前診断)は医療費控除や補助金の対象になる?

NIPTを受ける際には、10〜20万円と大きなお金がかかります。できれば医療控除や補助金など、安くできる方法があれば知りたいものです。
結論からお伝えすると、NIPTは医療控除や補助金の対象にはなりません。
ここではNIPTの費用相場や、医療控除や補助金の対象とならない理由、妊娠したらもらえる給付金などに触れていきます。出産を控えたご家庭にとって重要な情報をまとめたガイドとして役立ててください。

NIPT(新型出生前診断)とは

NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)は、非侵襲的な出生前遺伝子検査の略称です。この検査は、妊娠中の胎児の染色体異常遺伝疾患のリスクを非侵襲的な方法で評価するために行われます。従来の方法と比べてリスクが低く、高精度な結果が期待できるため、多くの妊婦に選択されています。

医療費控除の概要

医療費控除は、日本の所得税法に基づく税制優遇措置の一つで、医療費支出に関連して課税所得から差し引かれる控除です。この制度の概要は以下の通りです。

対象費用
医療費控除の対象費用には、自身または扶養家族の医療費が含まれます。これには診療費、薬代、入院費、手術費、検査費などが含まれます。ただし、一部の費用は対象外となることがあります。
控除限度額
医療費控除は所得に応じて控除限度額が設定されており、通常は支出額がこの限度額を超えている場合のみ控除が受けられます。控除限度額は年度ごとに改定されることがあります。
申請手続き
医療費控除を受けるためには、所得税の確定申告書に関連情報を記載して提出する必要があります。控除を受けるためには、医療費に関する領収書や明細書などの証拠書類を添付することが一般的です。
適用範囲
医療費控除は、自身または扶養家族の医療費に適用されます。扶養家族には配偶者や子供、親などが含まれます。ただし、扶養親族に関する条件があります。
控除の利点
医療費控除を受けることで、医療費に関連する一部の負担を軽減できます。これは、家計における医療費負担を軽くし、経済的なサポートを提供します。

まとめると、医療費控除は、医療費にかかる費用を一部軽減するための制度であり、納税者とその家族の医療費負担を軽減するために利用できる税制優遇措置です。控除を受けるためには、所得税の確定申告書を提出し、対象の医療費に関する証拠書類を提出する必要があります。

NIPTを受けた場合の医療費控除

通常の場合は、NIPTの費用は医療費控除を受けることは出来ません。NIPTは胎児の健康状態を確認するもの、つまり胎児の健康診断だからです。健康診断はけがや病気の治療に当たらないので、医療費とはみなされません。

例外的に、NIPTで陽性結果が出て、羊水検査等の確定検査を受けた場合には、「中絶」という治療が必要となるため、医療費控除を受けることができます。この場合は、羊水検査や中絶費用も含めて領収書を添付して、医療費控除を受けるための手続きをすることになります。

NIPTと医療費控除に関するよくある質問と回答

質問1: NIPTの医療費は医療費控除の対象となりますか?
回答: いいえ、NIPTを受けるために支払った医療費は、通常、医療費控除の対象となりません。
質問2: 医療費控除の申請手続きはどのように行うのですか?
回答: 医療費控除を受けるためには、年度ごとに確定申告書を提出する必要があります。この確定申告書には、医療費に関する詳細情報を記載し、NIPTにかかる医療費を証明するための診療明細書や領収書などの証拠書類を添付する必要があります。

NIPTを受けた場合の補助金も対象外

NIPTは自費診療であるため、医療費控除同様、補助金も対象となりません。
NIPTを受ける際にはいずれも対象外であることを承知の上で検査を受けるようにしましょう。

妊娠中に受給できる補助金一覧と対象

このように、NIPTには保険や医療費控除は適用されませんが、妊娠に関しての補助金は数多く存在します。自治体の役所に妊娠届を提出することで、さまざまな助成金を受け取ることができますので、活用しましょう。

妊婦健診費用の補助

妊娠して最初に必要となる費用が、妊婦健診です。
厚生労働省によれば、妊娠23週までの4週間に1回、出産直前は毎週の計14回ほどの受診を行うことが推奨されており、赤ちゃんや妊婦さん自身の健康を守ることができます。
その妊婦健診には各回3,000円〜7,000円の費用がかかり、これに特別な検査を加えると追加費用がかかり、合計で10~15万円必要となります。

このことから、各自治体から助成金を受け取ることができるようになっています。
妊婦健診自体に関しては保険適用になりませんが、妊娠の診断を受けた医療機関の名前を記載して妊娠届を提出し、手続きを行うことで、各自治体からの助成金を受け取ることができます。
自治体により内容が異なりますので、お住まいの自治体の情報を確認してみてください。
受診回数の都合で、14枚つづりの受診券の方式を取っている場合もあります。

出産育児一時金

出産にかかる高額な費用への対策として、出産時に健康保険の加入者が受け取れる助成金です。
もともと40万円ほどの一時金が受け取れる制度でしたが、健康保険法の改正により2023年4月から50万円支給に引き上げになりました。(産科医療補償制度の対象外の場合は48万8,000円になります)
この一時金制度は、健康保険の加入者もしくは健康保険の上で配偶者の被扶養者であれば受け取ることができます。
妊娠4か月(85日)以上の出産が受給対象となっていて、死産や流産、中絶であっても助成金の対象となります。また、双子以上の多胎であっても、人数分受け取れるのもポイントです。

この一時金制度は、分娩機関が請求と受け取りを行う場合と、自分で受け取りを行う場合があり、混乱しやすいため一度自治体のホームページの確認をおすすめします。

参照:協会けんぽ 出産育児一時金について

児童手当

最後にご紹介するのは、児童手当です。
内閣府によれば「子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として」制定されているこの制度は、0歳から中学校卒業までの児童を養育している人が支給対象になります。

3歳未満までの児童であれば15,000円、中学生までは10,000円が支給となりますが、第3子以降であれば支給額が増えたり、所得制限があったりと特別なケースが多いため、こちらもお近くの自治体のホームページを確認するとよいでしょう。

まとめ

●NIPTは非侵襲的な出生前遺伝子検査で、妊娠中の胎児の染色体異常や遺伝的疾患のリスクを評価するために利用されます。

●NIPTを受ける際の費用は、通常は医療費控除の対象となりません。

●例外的にNIPT結果が陽性で、羊水検査や中絶に進まれた場合には医療費控除の対象となります。

関連リンクと参考資料:母体血を用いた出生前遺伝学的検査の費用(国税庁疑義照会)

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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