InstagramInstagram

NIPT陽性だったらどうする?本当の確率と羊水検査・その後の流れ

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

NIPT(新型出生前診断)で「陽性」と言われても、それだけで赤ちゃんの病気が確定したわけではありません。NIPTはお母さんの血液で可能性の高さを調べるスクリーニング検査で、診断を確定させるには羊水検査か絨毛検査(確定検査)が必要です。日本の多施設研究では、確定検査で陽性が本当だったと確かめられた割合は、ダウン症候群(21トリソミー)で96.5%、13トリソミーで63.6%と、病気によって大きく違いました[1]。いちばん避けたいのは、確定検査で確かめる前に結論を出してしまうことです。この記事では、陽性の意味、まずすること、羊水検査と絨毛検査の選び方、いつまでに何をするか、費用の補助までを、臨床遺伝専門医の立場から順に解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🧬 NIPT陽性・確定検査
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤NIPTの「陽性」が本当だった割合(病気ごと・プランごと)
  • ➤陽性と言われた日から確定検査までに、まずすること
  • ➤羊水検査と絨毛検査の違いと、陽性の種類・エコー所見による選び方
  • ➤陽性が出た週数ごとの、いつまでに何をするかの目安
  • ➤確定検査の費用と、当院の互助会・陽性後の遺伝カウンセリング

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. NIPTで陽性だったら、赤ちゃんは病気と決まったのですか?

決まっていません。NIPTはスクリーニング検査です。日本の多施設研究で、確定検査で陽性が本当だった割合は21トリソミー96.5%、18トリソミー82.8%、13トリソミー63.6%でした。微小欠失はさらに低めです。

📋 Q. 陽性と言われたら、まず何をすればいい?

結果の説明を受けて「どの病気で陽性か」を確かめ、確定検査(羊水検査か絨毛検査)を受けることです。確定検査の前に、妊娠を続けるかどうかを決めないでください。

🔬 Q. 羊水検査と絨毛検査、どちらを受ける?

絨毛検査は妊娠11〜14週、羊水検査は妊娠15週以降に行います。NIPTも絨毛検査も胎盤の細胞を見ているため、エコーで異常が見えないときは羊水検査を選ぶ考え方が示されています。

🧩 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?

一部はわかります。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる染色体や遺伝子の変化の一部を調べられます。陰性でも、自閉症や発達障害がないとは言えません。

💰 Q. 確定検査の費用は?

当院でNIPTを受けた方は、全員加入の羊水検査互助会(カトレア会)で陽性時の確定検査の費用が補助されます(上限なし)。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。

\ 陽性でも、確定検査まで院内で受けられるNIPTを /

当院では陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。

📅NIPTを予約する

まだ決めていない方は、陽性になったときの体制から施設を比べるページをご覧ください:NIPTクリニックの選び方 | プラン別の料金

NIPTで陽性だったら——「陽性=確定」ではない理由と本当の確率

NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAの断片を数えたり読んだりして、特定の染色体や遺伝子の変化がある可能性を推定する検査です。「陽性」とは、その病気の可能性が高いと判定されたという意味で、診断ではありません。国の専門委員会の報告書でも、NIPTは診断が確定できない「非確定的検査」、羊水検査と絨毛検査は「確定的検査」と分けて整理されています[2]。

陽性が本当だったかどうかは、確定検査で赤ちゃんの染色体を直接調べて初めて分かります。陽性の結果を受け取った時点では、「本当に病気がある場合」と「病気はないのに陽性と出た場合(偽陽性)」の両方の可能性が残っています。

陽性のうち、本当に病気だった割合(陽性的中率)

陽性と判定された人のうち、確定検査で本当に病気があった人の割合を「陽性的中率」といいます。日本では2013年4月から2016年3月まで、55の医療機関で行われた多施設の臨床研究で、30,613件のNIPTが実施されました。このうち陽性は554件(1.81%)で、陽性のあと確定検査を受けた人の結果は次のとおりでした[1]。

📊 日本の多施設研究:NIPT陽性のあと確定検査で本当だった割合

陽性になった病気 確定検査を受けた人 確定検査でも陽性だった人 割合
21トリソミー(ダウン症候群) 289人 279人 96.5%
18トリソミー 128人 106人 82.8%
13トリソミー 44人 28人 63.6%

出典:Samuraら(J Obstet Gynaecol Res, 2017)[1]。対象は年齢などで染色体の病気の可能性が高いとされた妊婦さん(ハイリスク)で、検査は一定水準の遺伝カウンセリングを行うことを条件に実施されました。

この数字が意味するのは、13トリソミーで陽性と言われた人のおよそ3人に1人は、赤ちゃんに13トリソミーがなかったということです。一方、21トリソミーの陽性は、確定検査で本当だった割合が高い結果でした。同じ「陽性」でも、どの病気で陽性になったかによって意味の重さが違います。ご自身の結果の数字の読み方はNIPTで陽性・陰性と言われたら?確率の意味と羊水検査の判断で詳しく解説しています。

病気・プランによって的中率が違う理由

陽性的中率は、検査の正確さだけでなく、その病気がもともとどのくらいの頻度で起こるかに左右されます。頻度の低い病気ほど、本当の陽性に比べて偽陽性の割合が目立ちやすくなるためです。お母さんの年齢によって染色体の数の変化の起こりやすさが変わるので、同じ検査でも年齢によって陽性的中率は変わります。

もう一つの大きな理由は、NIPTが調べている赤ちゃん由来のDNAの多くが、実は胎盤の細胞から出ていることです。胎盤と赤ちゃんの染色体が一致しない「胎盤限局性モザイク」があると、赤ちゃんには異常がないのに陽性と出ることがあります[3]。このほか、双子の一人が妊娠初期に亡くなったバニシングツインや、お母さん自身の染色体の変化が偽陽性の原因になることもあります。

当院のプランで調べる項目でも、陽性的中率は項目ごとに違います。微小欠失・重複は、数の異常より陽性的中率が低め(項目によって60〜70%程度)で、陽性なら必ず確定検査が必要です。一方、インペリアルプランの単一遺伝子(新しく起こる遺伝子の変化=de novo変異)の検証データ(155遺伝子・202疾患・750例)では、陽性的中率96.9%と報告されています[5]。陽性の結果は、どの項目で陽性かによって次の一手が変わるので、結果の説明で必ず確かめてください。

💡 用語解説:陽性的中率(ようせいてきちゅうりつ)と偽陽性(ぎようせい)

陽性的中率は「陽性と判定された人のうち、本当にその病気があった人の割合」です。偽陽性は「病気がないのに陽性と判定されること」をいいます。NIPTの陽性的中率は、病気の種類・お母さんの年齢・検査の項目で変わるため、一つの数字で言い表すことはできません。

陽性と言われたら、まずすること

陽性の連絡を受けた直後は、頭が真っ白になって当然です。ここでは、結果を受け取ってから確定検査を受けるまでにすることを、順番に整理します。することは多くありません。大切なのは順番を間違えないことです。

① 結果の説明を受け、「どの病気で陽性か」を確かめる

最初にするのは、検査を受けた施設で結果の説明を受けることです。報告書で確かめたいのは、どの病気(どの染色体・どの領域・どの遺伝子)で陽性になったか、そして今の妊娠週数です。前の章で見たように、病気によって陽性が本当である割合は大きく違い、確定検査の選び方も変わります。説明は、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングとして受けるのが望ましいと考えています。

② 確定検査で確かめる前に、結論を出さない

陽性の結果だけで、妊娠を続けるかどうかを決めてしまうことは避けてください。確定検査を受けずに妊娠をやめると、本当は病気のなかった赤ちゃんを失うおそれがあります。13トリソミーの陽性で確定検査でも陽性だったのが63.6%だったように[1]、陽性の結果にはまだ「外れ」が含まれています。確定検査を受けずに中絶を選ぶ危険についてはNIPT陽性で羊水検査なしの中絶は危険?偽陽性の真実を解説で詳しく解説しています。

③ パートナーと結果を共有し、自分を責めない

結果はできるだけ早くパートナーと共有し、確定検査の説明も一緒に聞くことをおすすめします。確定検査の結果が出たあとの判断は、ご家族で考えることになるからです。

そして、染色体の数の変化の多くは、卵子や精子ができるときや受精の段階で偶然に起こるものです。妊娠中の仕事や食事、運動などで起こるものではありません。ショック、不安、自分を責める気持ち、誰にも話せない孤独感は、陽性の結果を受け取った方に自然に起こる反応です。気持ちが落ち着かないうちは、大きな決断を急がないでください。

💡 用語解説:遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングは、検査の結果や病気について医学的な情報を説明し、ご家族が自分たちで判断できるように支える医療です。当院では、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。詳しくは遺伝カウンセリングとは、臨床遺伝専門医とはをご覧ください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【陽性の日に、決めなくていいこと】

NIPTの陽性は、検査の終わりではなく、確定検査に進むための入口だと考えています。スクリーニング検査は、可能性のある赤ちゃんを見逃さずに拾い上げるための検査なので、「外れの陽性」が一定の割合で含まれることを前提に作られています。だからこそ、陽性の結果だけで妊娠の行方を決めてしまうことが、この検査のいちばん大きな落とし穴になります。

陽性の結果を受け取った日に決めなければならないことは、ほとんどありません。決めるのは、確定検査をいつ、どの方法で受けるかだけです。妊娠を続けるかどうかは、確定検査の結果と、病気についての正確な説明を聞いたうえで考えればよい。ご自身に合った選択を考えるための材料は、そのあとで十分にそろえられます。

確定検査は羊水検査と絨毛検査——陽性の種類とエコー所見で選ぶ

確定検査には、羊水を採る羊水検査と、胎盤のもとになる組織(絨毛)を採る絨毛検査があります。どちらもお腹(または子宮の入口)から針や管を入れて検体を採る「侵襲的検査」で、赤ちゃんの染色体を直接調べて診断を確定させます[2]。

羊水検査と絨毛検査の違い

🔬 羊水検査と絨毛検査の比較

項目 絨毛検査 羊水検査
受けられる時期 妊娠11〜14週 妊娠15週以降
調べるもの 絨毛(胎盤のもとになる組織)の細胞 羊水の中にある赤ちゃん由来の細胞
国の報告書にある流産のリスク およそ1/100 およそ1/300〜1/500
注意点 NIPTと同じく胎盤の細胞を見るため、胎盤限局性モザイクの影響を受けることがある 受けられる時期が遅く、結果を受けて考える期間が短くなる

出典:厚生科学審議会 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書(2021年)[2]。流産のリスクの数字は施設や研究によって異なり、英国の1施設の研究では、検査を受けた人と受けなかった人で流産の割合に統計的な差が見られなかったという報告もあります[4]。

絨毛検査の利点は、羊水検査より早い時期に結果が分かることです。一方で、羊水検査は赤ちゃん由来の細胞をより直接に調べられます。どちらにも長所と短所があり、「いつでもこちらが正解」というものはありません。

エコーで異常が見えないときは、羊水検査を考える理由

ここが、陽性のあとの判断でいちばん専門的な部分です。NIPTで調べているDNAの多くは胎盤由来で、絨毛検査が調べるのも胎盤のもとになる組織です。つまり、胎盤だけに染色体の変化がある「胎盤限局性モザイク」のときは、絨毛検査もNIPTと同じ「外れ」を拾ってしまうおそれがあります。

英国の医療機関の報告では、NIPTで21・18・13トリソミーが陽性になったあとに絨毛検査と羊水検査のどちらで確かめるかは意見が分かれるとしたうえで、超音波検査(エコー)で異常がなければ羊水検査を、異常があれば絨毛検査か羊水検査のどちらかを選ぶ方法が提案されています[3]。エコーで病気に特徴的な所見が見えていれば、赤ちゃん自身に変化がある可能性が高いので、早く結果が分かる絨毛検査を選びやすくなります。

日本の多施設研究で陽性が本当だった割合が最も低かったのは13トリソミー(63.6%)、次いで18トリソミー(82.8%)でした[1]。13・18トリソミーで陽性になり、エコーで異常が見えないときほど、絨毛検査の結果をそのまま信じてよいかを慎重に考える必要があります。臨床遺伝専門医としては、陽性の病気の種類、エコーの所見、妊娠週数の3つをそろえて、どちらの検査にするかを決めることが大切だと考えています。13トリソミーで陽性になった場合の確定検査の考え方はNIPTでトリソミー13陽性の場合の確定検査の重要性で、胎盤限局性モザイクのしくみはNIPTのモザイクとは?胎盤限局性モザイクが偽陽性・偽陰性を起こすしくみで解説しています。

💡 用語解説:胎盤限局性モザイク(たいばんげんきょくせいモザイク)

モザイクとは、一人の体の中に染色体の数が違う細胞が混ざっている状態です。胎盤限局性モザイクは、その違う細胞が胎盤だけにあり、赤ちゃん本人にはない状態をいいます。NIPTや絨毛検査で陽性でも、羊水検査では赤ちゃんの染色体が正常と分かることがあるのはこのためです。

微小欠失・重複で陽性なら、マイクロアレイ検査まで

22q11.2欠失症候群などの微小欠失・重複でNIPTが陽性になった場合、染色体の数を数える検査だけでは小さな欠失・重複を確かめられないことがあります。このときは、羊水や絨毛の細胞を使って染色体の微細な欠失・重複を調べるマイクロアレイ検査が必要になることがあります。マイクロアレイ検査は、ほかの項目より結果が出るまでに時間がかかります。また、妊娠15週ごろは羊水の量が少なく、羊水の中の細胞も少ないため、羊水でマイクロアレイ検査を行うなら妊娠18週ごろが適していると考えています。検査のしくみはマイクロアレイ染色体検査(CMA)をご覧ください。

いつまでに何をする?陽性から確定検査の結果までの流れ

陽性のあとの流れは、おおむね次の4段階です。確定検査は受けられる週数が決まっていて、結果が出るまでにも日数がかかるため、陽性の結果を受け取った週数から逆算して予定を立てます。

① 結果の説明どの病気で陽性か・週数を確認
▶
② 確定検査絨毛は11〜14週、羊水は15週以降
▶
③ 結果を待つ項目によって日数が違う
▶
④ 結果の説明病気の説明を受けて考える

陽性が出た週数ごとの目安

🗓 陽性の結果を受け取った週数と、確定検査の選択肢

陽性の結果を受け取った時期 確定検査の選択肢 考えておきたいこと
妊娠10週ごろまで エコー所見を見て、11〜14週の絨毛検査か、15週以降の羊水検査 エコーで異常が見えなければ、羊水検査まで待つ考え方もある
妊娠11〜14週 絨毛検査、または15週以降の羊水検査 陽性の病気の種類とエコー所見で選ぶ
妊娠15週以降 羊水検査 結果が出るまでの日数を含めて、早めに日程を決める。羊水でマイクロアレイ検査まで行うなら、妊娠18週ごろが適している

受けられる時期は国の専門委員会報告書による[2]。実際の日程は、エコーの所見や施設の体制によって変わります。

NIPTを早い週数で受けておくと、陽性だったときに絨毛検査と羊水検査のどちらも選べる時間が残ります。当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられる体制を整えています。

結果が出るまでの日数と、法律上の期限

当院では確定検査を院内で行い、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。微小欠失・重複で陽性になった場合はマイクロアレイ検査が必要になることがあります。羊水でマイクロアレイ検査を行うときは、検査に適した妊娠18週ごろと、結果まで2週間ほどかかることの両方を見込んで予定を立てます。

確定検査で陽性が確かめられたあと、妊娠を続けるかどうかを考えるご家族もいます。日本では、人工妊娠中絶ができる時期は母体保護法などで決められていて、時期を過ぎると選べなくなります。確定検査の結果が出たあとに、ご家族で考える時間を残しておくことも、早めに日程を決める理由です。法律上の期限と考え方はNIPT陽性時の中絶はいつまで?法律と期間を専門医が解説で解説しています。なお、当院は人工妊娠中絶を行っていません。

確定検査の結果が出たら——陰性だったとき、陽性だったとき

確定検査で陰性だったとき

確定検査で赤ちゃんの染色体に変化がなければ、NIPTの陽性は偽陽性だったと考えられます。陽性になった理由としては、前の章で説明した胎盤限局性モザイクなどが考えられます。確定検査の結果は、NIPTの結果より優先して判断の土台にします。その後の妊娠の経過は、かかりつけの産科の健診で見ていきます。陽性から確定検査で陰性になった経過と原因はNIPT偽陽性の確率は?原因や体験談の真実を専門医が解説で詳しく解説しています。

確定検査でも陽性だったとき

確定検査でも陽性だった場合は、その病気についての正確な説明を受けたうえで、ご家族で今後を考えることになります。妊娠を続ける場合は、生まれる前に分かっていることで、出産する施設の選び方や、生まれてすぐの検査・治療の準備ができます。病気の特徴や見通しは病気ごとに大きく違うため、18トリソミー(エドワーズ症候群)とは、13トリソミー(パトウ症候群)とはなど、病気ごとのページも参考にしてください。

妊娠を続けない選択を考えるご家族もいます。どちらを選んでも、決めるのはご家族自身で、どちらかが正しい選択というものではありません。陽性のあとにどのような選択をした人がどれくらいいるかはNIPT陽性後の中絶率|いつまで可能?で、確定後に出産を選んだ方の経過はNIPT陽性でも産んだ|羊水検査でダウン症確定後の決断で紹介しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【陽性的中率が低い項目を、なぜ調べるのか】

「陽性的中率が低い項目を調べると、不安になるだけでは」という意見があることは承知しています。たしかに、拾い上げる範囲を広げれば、外れの陽性に出会う人も増えます。一方で、拾い上げなければ、本当に病気がある赤ちゃんについて、ご家族が生まれる前に知り、準備をしたり考えたりする機会そのものがなくなります。見逃しにも、外れの陽性と同じように重い結果があると考えています。

内科医として長くがん診療にも携わってきた立場からみると、がん検診も「要精密検査」の多くは外れで、それでも精密検査で確かめることを前提に検診が行われています。NIPTも同じで、弱点は検査そのものより、確定検査で確かめる前に決めてしまうことにあります。だから、陽性になったときに確定検査まで責任をもって受けられる体制が欠かせないと考えています。

確定検査の費用と、当院の陽性後の体制

確定検査の費用は施設や検査の項目(染色体検査・マイクロアレイ検査など)によって違い、自費になるのが一般的です。陽性の不安の中で、費用のことまで心配しなければならないのは大きな負担です。そこで当院では、NIPTを受ける方に次の仕組みを用意しています。

  • ➤羊水検査互助会(カトレア会):NIPTを受ける方は全員加入(1回のNIPTにつき8,000円)。陽性時の確定検査の費用を補助し、補助の上限はありません。
  • ➤陽性後の遺伝カウンセリング:何度でも無料で受けられます。
  • ➤院内の確定検査:2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査とも院内で実施しています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。
  • ➤安心検査結果保障制度:NIPTを受ける方は全員加入(1回のNIPTにつき6,000円)。再検査が必要になったのに流産して再検査ができず結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金します。

陽性になったとき、費用・時間・気持ちの3つの面で困らないように、という考えで作った仕組みです。互助会の会費は、収益を目的としない事業のため消費税の対象外です。互助会の規約はミネルバクリニックNIPT羊水検査互助会|カトレア会で、NIPTの検査費用以外にかかる費用はNIPTは検査費用以外に何がかかる?でまとめています。

これからNIPTを受ける方へ——「陽性だったら」から施設を選ぶ

このページを、まだNIPTを受ける前に読んでいる方もいると思います。13・18・21トリソミーを調べた日本の多施設研究では、ハイリスクの妊婦さんで陽性は1.81%でした[1]。一方、当院のNIPTは微小欠失・重複や単一遺伝子疾患まで幅広い病気を対象にしているため、当院のデータでは約30人に1人が陽性になっています。調べる範囲を広げれば、陽性になる人も、確定検査が必要になる場面も増えます。それでも調べなければ、本当に病気がある赤ちゃんについて、ご家族が生まれる前に知り、準備をしたり考えたりする機会そのものがなくなります。だからこそ、陽性になったときにどこで確定検査を受け、誰から説明を受けるかは、施設を選んだ時点でほぼ決まります。確かめておけるのは、検査を受ける前です。

当院では、他院でNIPTを受けて陽性になった方の確定検査(絨毛検査・羊水検査)もお引き受けしています(他院でNIPT陽性「確定検査の病院が決まらない」方へ)。ただ、陽性の結果を受け取ってから確定検査を受けられる施設を探すのは、時間の限られた中で大きな負担になります。だからこそ、最初の施設選びが大切です。NIPTを選ぶときには、次の4点を確かめることをおすすめします。

  • ➤どの病気まで調べられるか(調べる範囲によって、陽性になりうる病気も変わる)
  • ➤陽性のとき、確定検査をどこで受けられ、結果まで何日かかるか
  • ➤検査の前と陽性のあとに、誰が遺伝カウンセリングを行うか
  • ➤確定検査の費用の補助があるか、上限はいくらか

当院は認証外の施設ですが、常駐する臨床遺伝専門医が、検査前の遺伝カウンセリングから結果の判定、陽性後のケア、院内での確定検査までを行っています。90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。施設選びの物差しはNIPTクリニックの選び方|どこで受ける?とNIPT陽性で後悔しない!丸投げされない施設選びで詳しく解説しています。

当院のNIPTのプランは、スタンダードプラン(13・18・21トリソミー+性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患)、プレミアムプラン(13・18・21・15・16・22トリソミー、微小欠失12種類13疾患)、ダイヤモンドプラン(プレミアムと同じ範囲+単一遺伝子56遺伝子)、双子マックスプラン(全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、双胎にも対応)、インペリアルプラン(全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複+単一遺伝子 最大155遺伝子〔202疾患〕)の5つです。ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術『COATE法』(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※を使っています。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる——当院で調べられること

お子さんの自閉症や発達障害を心配するのは自然なことです。原因はさまざまですが、その一部は染色体や遺伝子の変化が原因だと分かっています。発達の遅れ・知的障害・自閉症のある子どもでマイクロアレイ検査を行うと、およそ15〜20%で染色体の微細な欠失・重複が原因として見つかると報告されています[6]。

当院のNIPTが調べる微小欠失・重複や単一遺伝子疾患には、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気が含まれています。そのため、自閉症・発達障害・知的障害の原因の一部は、当院のNIPTでわかります。

🧩 プラン別:自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な病気

プラン 微小欠失・重複 単一遺伝子 主な病気
スタンダード 6種類7疾患 なし 22q11.2欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群
プレミアム 12種類13疾患 なし スタンダードの病気に加え、微小欠失の対象が12種類13疾患に広がる
ダイヤモンド 12種類13疾患 56遺伝子 上記に加え、レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群
双子マックス 92種類+5Mbを超える構造異常 なし 16p11.2欠失・重複、ウィリアムズ症候群など
インペリアル 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子(202疾患) 上記に加え、フェラン・マクダーミッド症候群、ピット・ホプキンス症候群

プランごとに調べられる病気の詳細は、各プランのページでご確認ください。

ただし、正直にお伝えしなければならない限界もあります。陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。脆弱X症候群のように、NIPTでは調べられない原因もあります。微小欠失・重複は陽性的中率が低めなので、陽性なら必ず確定検査が必要です。また、病気が分かっても、症状の重さまでは予測できません。自閉症とNIPTの関係は自閉症はNIPTでわかりますか?で詳しく解説しています。

\ どこまで調べるかを、陽性のときの体制とあわせて選ぶ /

21・18・13トリソミーに加えて、微小欠失症候群や、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで、当院のNIPTでわかります。

📅NIPTを予約する

まだどのプランにするか決めていない方は、調べられる範囲を比べたページからご覧ください:ダイヤモンドプラン | インペリアルプラン

よくある質問(FAQ)

Q1. NIPTで陽性なら、赤ちゃんは必ず病気ですか?

必ずではありません。NIPTはスクリーニング検査で、診断を確定させるには羊水検査か絨毛検査が必要です。日本の多施設研究では、陽性のあと確定検査で本当だった割合は21トリソミーで96.5%、18トリソミーで82.8%、13トリソミーで63.6%でした。微小欠失・重複は、数の異常より陽性的中率が低めです。

Q2. 陽性でも、確定検査を受けずに決めてよいですか?

おすすめしません。陽性の結果には偽陽性が含まれるため、確定検査を受けずに妊娠をやめると、本当は病気のなかった赤ちゃんを失うおそれがあります。陽性の結果を受け取ったら、まず結果の説明を受け、確定検査をいつ、どの方法で受けるかを決めてください。

Q3. 羊水検査と絨毛検査は、どちらを受ければよいですか?

陽性になった病気の種類、エコーの所見、妊娠週数で決めます。絨毛検査は妊娠11〜14週、羊水検査は妊娠15週以降に行います。絨毛検査はNIPTと同じく胎盤の細胞を見るため、胎盤限局性モザイクの影響を受けることがあります。エコーで異常が見えないときは羊水検査を、異常があるときは絨毛検査か羊水検査を選ぶ方法が提案されています。

Q4. 確定検査で陰性だったら、NIPTの陽性は何だったのですか?

確定検査で赤ちゃんの染色体に変化がなければ、NIPTの陽性は偽陽性だったと考えられます。理由としては、胎盤だけに染色体の変化がある胎盤限局性モザイクなどが考えられます。判断の土台にするのは確定検査の結果で、その後の妊娠の経過はかかりつけの産科の健診で見ていきます。

Q5. 確定検査の費用はどのくらいかかりますか?

確定検査の費用は施設や検査の項目によって違い、自費になるのが一般的です。当院でNIPTを受けた方は、全員加入の羊水検査互助会(カトレア会、1回のNIPTにつき8,000円)で、陽性時の確定検査の費用が補助されます。補助の上限はありません。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。

Q6. 他院でNIPTを受けて陽性でした。ミネルバクリニックで確定検査を受けられますか?

受けられます。当院では、他院でNIPTを受けて陽性になった方の確定検査(絨毛検査・羊水検査)もお引き受けしています。どちらの検査にするかは、陽性になった病気の種類、エコーの所見、妊娠週数をもとに決めます。

Q7. NIPTで陽性になるのは、どのくらいの割合ですか?

13・18・21トリソミーを調べた日本の多施設研究では、染色体の病気の可能性が高いとされた妊婦さん30,613人のうち、陽性は1.81%でした。当院のNIPTは微小欠失・重複や単一遺伝子疾患まで幅広い病気を対象にしているため、当院のデータでは約30人に1人が陽性になっています。陽性になる割合は、お母さんの年齢や、どの範囲まで調べるプランかによって変わります。陽性の場合も、確定検査まで院内で受けられます。

Q8. 陽性から確定検査の結果まで、どのくらいかかりますか?

確定検査を受けられる時期は、絨毛検査が妊娠11〜14週、羊水検査が妊娠15週以降です。ただし、妊娠15週ごろは羊水の量が少なく、羊水の中の細胞も少ないため、羊水でマイクロアレイ検査まで行う場合は妊娠18週ごろが適していると考えています。当院では確定検査を院内で行い、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性の結果を受け取った週数から逆算して、早めに日程を決めてください。

🏥 陽性のときの体制まで確かめて、NIPTを選ぶ

当院では陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられ、確定検査の費用は互助会で補助されます(上限なし)。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

まだ決めていない方へ:東京・北青山のミネルバクリニックのNIPTで、プランごとの調べられる範囲を比べられます。

関連記事

参考文献

  • [1] Samura O, Sekizawa A, Suzumori N, et al. Current status of non-invasive prenatal testing in Japan. J Obstet Gynaecol Res. 2017;43(8):1245-1255. doi:10.1111/jog.13373 [PubMed 28586143]
  • [2] 厚生科学審議会科学技術部会 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会. NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書. 2021年5月. [厚生労働省]
  • [3] Okoror CEM, Arora S. Prenatal diagnosis after high chance non-invasive prenatal testing for trisomies 21, 18 and 13, chorionic villus sampling or amniocentesis? – Experience at a district general hospital in the United Kingdom. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol X. 2023;19:100211. doi:10.1016/j.eurox.2023.100211 [PubMed 37456970]
  • [4] Beta J, Zhang W, Geris S, Kostiv V, Akolekar R. Procedure-related risk of miscarriage following chorionic villus sampling and amniocentesis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2019;54(4):452-457. [DOI 10.1002/uog.20293]
  • [5] Chen S, Xu W, Zhang L, et al. Expanded noninvasive prenatal screening for dominant single-gene disorders: proof-of-concept, performance, and challenges. Am J Obstet Gynecol. 2025;233(6):673.e1-673.e21. [PubMed 40550458]
  • [6] Miller DT, Adam MP, Aradhya S, et al. Consensus statement: chromosomal microarray is a first-tier clinical diagnostic test for individuals with developmental disabilities or congenital anomalies. Am J Hum Genet. 2010;86(5):749-764.

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。NIPTの結果や確定検査については、検査を受けた施設の医師にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

関連記事