遺伝医学用語や行 羊水検査とは

羊水検査とは

文責:仲田洋美
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

 

子宮の中にいる赤ちゃんの周囲にある羊水をとって、赤ちゃんの皮膚からこぼれてくる細胞を培養して分裂期にみえる染色体を検査したり、細胞から遺伝子を検査したりする検査です

子宮の中の赤ちゃん

こちらに子宮の中の赤ちゃんがどんな風に存在しているのかを図でお示ししています。

このように、赤ちゃんは羊膜に包まれれて、羊水のなかに存在しています。

羊水検査はこの羊水をとって行う検査のことを言います。

どうやってとるの?


こんな風に超音波でみながらおなかから針を刺して、あかちゃんを傷つけないように羊水を取ります。

何のためにするの?

羊水には赤ちゃんの皮膚の細胞がおちています。
その細胞をつかって染色体や遺伝子を調べて赤ちゃんに病気がないかどうか調べるのが羊水検査です。

妊娠何週からできるの?

医療機関により異なります。15週からですが、16週からというところも多いです。

入院が必要なの?

医療機関により異なりますが、最近では外来で行っていて、特に異常がなければ30分安静にして経過観察したあと、1時間くらいで帰れることが多いと思います。

どんな病気がわかるの?

染色体疾患

羊水の細胞を培養して染色体に異常がないかどうかをみることができます。
染色体は細胞が分裂しているときにしか見えないので、分裂像が得られないと結果は出ません。

1.染色体の数の異常

ダウン症候群(21トリソミー
エドワーズ症候群(18トリソミー
パタウ症候群(13トリソミー
ターナー症候群
クラインフェルター症候群
など

2.染色体の構造の異常

転座
欠失
※普通の染色体検査では大きな異常しかわからないので、微小欠失(微細欠失)症候群はわかりません。FISH法と呼ばれる特別な検査が必要です。

遺伝子疾患

羊水の細胞を取って遺伝子を調べることにより、あかちゃんに遺伝子疾患がないかをみることができます。

開放性神経管奇形

開放性二分脊椎や無脳症などがないかどうかを
羊水のAFP(α‐フェトプロテイン)と呼ばれる赤ちゃんが作っているタンパクの量を測定して開放性神経管奇形の確率があがるかどうかを調べます。

結果はいつごろ出るの?

通常の染色体検査は2-3週間かかります。
培養して分裂期の細胞を染色し、染色体を同定するためお時間がかかります。
ターゲットが決まっていてFISH法で見れる場合は1週間程度に短縮いたします。

遺伝子検査の場合は検査内容により異なりますが、2-4週間程度が一般的だと思います。

リスクはないの?

出血・破水・おなかの痛み

穿刺後に出血や破水、腹痛がみられるとそのまま入院が必要となるでしょう。だいたい1%程度で認められます。

流産

羊水検査で有名なリスクと言えば、まず、胎児の流産でしょう。約0.1~0.3%程度といわれています。
しかし、この流産が実際に羊水検査のあきらかな合併症で起こったのかどうかは不明です。明らかな合併症はたとえば、羊水検査の穿刺が原因で子宮内に感染がおこり、赤ちゃんが亡くなってしまった場合などが考えられます。
そうでない場合には、自然に流産したのか、羊水検査のために流産したのかがわからないのです。

結果が出ない

さっきからお伝えしている通り、染色体検査は赤ちゃんの細胞を培養して分裂期にだけ見える染色体を検査するものなので、分裂が得られなかったらせっかく痛い思いをして羊水をとっても、検査が成り立ちません。
実は。この検査はすでにアメリカに出さないとできない状況です。
日本の検査会社は血液を培養して染色体検査をすることはできますが、皮膚の細胞はケラチンがあるため、血液細胞に比べると分裂増が得られにくいのです。こうした技術が日本から失われてしまったのは、本当に残念なことです。
約1.5%の方々は羊水がちゃんと取れていても、その中の胎児細胞が分裂を得られないことがあります。そうすると、染色体を見ることができないので、診断は不能となり、「分裂細胞が得られませんでした」という結果が返ってきます。

間違いはないの?

検査法の限界

FISH法でない通常のG-bandingと呼ばれる染色体検査では、数の異常や大きな構造異常はわかるのですが、細かい欠失挿入はわかりません。

モザイク

また、モザイクとよばれる正常と異常が混ざった特殊な状態があるのですが、羊水で正常細胞と異常細胞の両方が見つかれば、モザイクの診断が可能ですが、皮膚の細胞にはなくてそれ以外の細胞にモザイクがある場合は、羊水検査では検出することができません。

母体の細胞の混入

穿刺は母体→羊水の順ですので、どうしても母体の細胞が混入することがあります。

双子ってどうなるの?

多胎のばあいは、それぞれに穿刺する必要があります。
最初に穿刺→色素を注入。
次に穿刺→色素がなければちゃんと別の赤ちゃんの羊水を穿刺できている、となるのですが。
確実にそれぞれの胎児を取れるといいきれるものではありません。

 

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