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羊水検査のすべて|針は太いほうがが安全など目からウロコの22のポイント

羊水検査に使う針は太いほうが安全などという目からウロコな羊水検査のすべてを出生前診断のエキスパートである臨床遺伝専門がお伝えします。

羊水検査のポイント1.羊水検査とは?

 

羊水穿刺とは、妊婦さんのお腹の中から少量の羊水を取り出す手術のことです。
羊水とは、母体の子宮の中で胎児を包んでいる液体のことです(下図参照)。

胎児の健康を評価するための臨床検査は、羊水で行うことができます。羊水は主に胎児の物質、つまり胎児の尿、分泌物、剥脱細胞、および漏出液から構成されているからです。

羊水穿刺は,超音波ガイド下で20~22Gの脊髄麻酔針を用いて清潔操作で行います。子宮の中にいる赤ちゃんの周囲にある羊水には、赤ちゃんの皮膚からこぼれてくる細胞がありますのでそれを培養して分裂期にみえる染色体を検査したり、細胞から遺伝子を検査したりします。

羊水検査のポイント2.羊水ってどこにあるの?

こちらに子宮の中の赤ちゃんがどんな風に存在しているのかを図でお示ししています。

このように、赤ちゃんは羊膜に包まれれて、羊水のなかに存在しています。

羊水検査はこの羊水をとって行う検査のことを言います。

羊水検査のポイント3.羊水検査はどうやって針を刺すの?

医師が超音波検査を行います。医師は、超音波画像診断装置の画面(テレビのようなものでモニターといいます)で赤ちゃんと子宮内の羊水の動きを見ることができます。

医師または別の医師が画面を見ながら、お腹に針を刺し、羊水の中に針を刺します。あかちゃんを傷つけないように羊水を取ります。超音波によって子宮の大きさと形状を認識し、正中線(体の真ん中)に近い羊水腔を確認します。針を皮膚に垂直に穿刺し、胎児と臍帯を避けて羊水腔の最も深い部分に挿入します。

針と注射器を使って少量の羊水を取り出します。検査には大さじ1~2杯(15~30㏄)の羊水が必要です。
採取した液は検査機関に送られ、検査が行われます。

羊水検査のポイント4.羊水検査の時お腹から針がさせない場合はどうするの?

お腹側に胎盤があったりすると、お腹側から刺すのが難しくなることがあります。
可能であれば胎盤を避けて、最適な針刺入部位を選択します。経胎盤的羊水穿刺による胎児合併症のリスクが高いことを示唆する研究もあるためですが、この研究結果はほかの研究で異議を唱えられていて、議論のあるところです。
羊水検査で経胎盤的アプローチが必要な場合、選択肢としては、胎盤を横断するか、または妊娠が進むにつれてより大きな子宮内体積となるので、胎盤のないウインドウを作り出せる可能性があるために、処置を1週間遅らせることがあります。

羊水検査のポイント5.胎盤を刺して羊水を採取する場合もあるって本当?

胎盤がお腹側にあってどうしても胎盤のないウインドウが作り出せない場合には、胎盤を貫いて羊水に到達するルートを選ばざるを得ません。胎盤を貫通する方法を選択する場合は、針を胎盤の最も薄い部分を通すようにすべきです。超音波画像診断装置のカラーフローマッピングは、臍帯挿入部位の決定やおおきな絨毛膜血管を同定し、これを回避するのに役立つことがあります。羊水検査では母体の膀胱が針の経路を妨げる場合もあるので、患者さんは針を挿入する前に排尿しておきましょう

羊水検査のポイント6.羊水穿刺に使用する針は大きめのほうが安全ってホント?

一般に、羊水穿刺には20または22ゲージの脊椎針が用いられます。一般的な採血の針が22ゲージ、ちょっと細めの採血の針が23ゲージなので、割と細めな方でしょう。あまりに細いと、しなるため、目的の場所にまっすぐ到達せず、手間取る原因となりますので、深い場所をさす場合に細すぎる針は使用しません。
臨床試験の結果、より大きな内径の針を使用することで、胎盤を通して針を挿入した場合の子宮内出血のリスクが低下し、内腔が大きいため22ゲージの針を使用した場合と比較してより迅速な羊水採取が可能となったが、母体の不快感をより多く引き起こしました。大きなサイズの針のほうが予想外に出血が減少したことについては、羊水の吸引に必要な時間が少なくなる、短い針は ”しなる” ため痛みが少ない代わりに思ったように進まない、つまり刺して目的に到達するのに時間がかかる、などで大きな針のほうが手技の期間が短いことに関連している可能性があると考えられています。産婦人科医がそこまで説明してくれるかどうかわからないので、当ページをご覧になった妊婦さんは、手技を行う医師と使用する針の大きさについて話し合ったほうがいいかもしれません。
羊水検査には脊椎針を使用し、この標準長は8.9cmですが、より長い15㎝の針もあります。針の長さは、母体の脂肪織の厚さ、体液の標的ポケットの位置、および子宮収縮のような介在する事象が皮膚と標的との間の距離を増加させる可能性を考慮して決定すべきでしょう。
針挿入のとき、羊水穿刺前の超音波評価ではなく超音波ガイド(超音波画像診断装置のモニターで針をみながら針を進める)を同時に使用することは、対照試験で流産率の低下とは関連していないことが報告されています。しかしながら、胎児は突然動いて針に当たるなどという事故もあるため、直接的な胎児の損傷を避け、穿刺回数や血液の混入を減らすためには、手技を通して針を連続的に可視化した超音波モニタリングを行うべきであると考えるのが一般的です。

ポイント7.羊水穿刺でわかることは何ですか?どうして痛いし怖いのに行わないといけないの?

羊水穿刺は、羊水のサンプル(検体)を採取するために行われます。羊水を検査することで、胎児の健康状態についてより多くの情報を得ることができます。
つまり、羊水検査でわかることは、赤ちゃんの健康状態です。健康状態にもいろいろあるのですが、羊水が検査される最も一般的な理由は、胎児がダウン症(21トリソミー)やその他の遺伝的な問題を持っているかどうかを調べることです。その他の遺伝子検査は、胎児の超音波検査や母親と父親の血液検査などの別の検査で、胎児に遺伝的問題があるかもしれないことが示された場合に行われることがあります。
そのほかにも、羊水検査でわかることには、赤ちゃんが感染症にかかっているかどうかということもあります。

羊水穿刺でわかることその1:染色体疾患

羊水の細胞を培養して染色体に異常がないかどうかをみることができます。
染色体は細胞が分裂しているときにしか見えないので、分裂像が得られないと結果は出ません。

1.染色体の数の異常

ダウン症候群21トリソミー
エドワーズ症候群(18トリソミー)(18トリソミー
パトウ症候群13トリソミー
ターナー症候群モノソミーX)
クラインフェルター症候群
など
羊水検査では1~22番の常染色体性染色体、つまりすべての染色体の異常を知ることができます。

2.染色体の構造の異常

転座
欠失
※普通の染色体検査では大きな異常しかわからないので、微小欠失微細欠失)症候群はわかりません。FISH法と呼ばれる特別な検査が必要です。

羊水穿刺でわかることその2:遺伝子疾患

羊水の細胞を取って遺伝子を調べることにより、あかちゃんに遺伝子疾患がないかをみることができます。

羊水穿刺でわかることその3:開放性神経管奇形

開放性二分脊椎や無脳症などがないかどうかを羊水のAFP(α‐フェトプロテイン)と呼ばれる赤ちゃんが作っているタンパクの量を測定して開放性神経管奇形の確率があがるかどうかを調べます。最近では超音波画像診断装置の発達により、この目的で羊水検査をすることはほとんどないと思います。

羊水検査のポイント8.羊水を採取して終わった後はどうするの?

羊水穿刺によって得られる細胞に対して実施される遺伝学的検査をどう選択するかは、検査の適応を考えて行なうことになります。
染色体分析(核型分析)は結果を得るのに7~14日を要します。

羊水検査のポイント9.羊水検査に結果が返ってくるのが速いFISH法があるって本当?

間期蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は24~48時間以内に限られた核型結果を出すことができます。最も頻繁に使用されるFISHプローブは、異数性の最も一般的な原因である13、18、21、X、およびY染色体の異数性を検出するためのものです。American College of Medical Genetics monograph Standards and Guidelines for Clinical Genetics Laboratoriesには、「染色体分析によっても確実に検出可能と考えられる間期FISHによって検出される異常は、従来の細胞遺伝学的分析によって確認すべきである」と記載されています。つまり、FISHだけで判断してはいけないということです。
関連記事:羊水検査とFISH

羊水検査のポイント10.羊水検査でマイクロアレイというやり方があるそうですが本当ですか?

染色体マイクロアレイの使用は、微小欠失および微小重複を同定できるため、従来の核型分析よりも診断率を高めることができます。また、単離した細胞から抽出した高品質のDNAについて直接試験を行うことができるため、培養に時間を要しない(直接試験では3~5日、培養細胞を用いた場合は10~14日の結果を要する)ため、結果が返ってくるまでのターンアラウンド時間も早くなっています。培養の必要条件がないため、死産児の評価も可能で診断率が高まっています。

羊水検査のポイント11.羊水検査は妊娠何週からできるの?

羊水検査はいつからできるのでしょうか?
出生前遺伝学的検査のための羊水穿刺は、妊娠約11週以降のどの妊娠週齢でも技術的に可能ではあるのですが、妊娠15~17週で行うのが最適です。15週以前に実施されると流産および培養不全(細胞が培養できず染色体検査結果が出ない)を含む合併症発生率が高く、避けるべきなのです。妊娠中期以降の処置は安全ではあるのですが、検査の結果異常であれば妊娠中絶をするという場合は問題となる可能性があります。
以上、羊水検査は15週から行えるのですが、16週からというところも多いです。通常,羊膜は隣接する絨毛膜と妊娠16週までに融合します。絨毛膜と羊膜の融合が起きるまでは、通常は穿刺しません。

羊水検査のポイント12.妊娠中絶できない22週以降でも羊水検査することがあるって本当?

妊娠中絶ができない週数であっても、遺伝学的研究のための妊娠中期後期および後期の手技は、妊娠後期に胎児の異常が発見された場合など、その情報がご両親のカウンセリングのための準備、ならびに最適な時間を出産までに持っていただくために、および自然分娩窩帝王切開かなど分娩方法の計画、生まれた後の医学的ケアを考えておくためなどに有用となりうるため、場合によっては実施されることがあります。

羊水検査のポイント13.羊水穿刺って痛いの?

手技による痛みは少ないので、局所麻酔の使用は有益であると認められていません。
リファレンス:Analgesia for amniocentesis or chorionic villus sampling
妊娠中はなるだけ不要な薬剤は避けたほうがよいでしょう。
関連記事:羊水検査って痛いの?

羊水検査のポイント14.羊水検査で避けるべきことは?

胎盤は、約半数の妊婦さんで子宮前壁にあります。この場合、約60%で経胎盤穿刺となるのですが、経胎盤穿刺は可能であれば回避すべきではあります。しかし、幸いなことに妊娠損失率(流産率)との相関性はみられないため、必要があればすべきでしょう。

羊水検査のポイント15.羊水検査って入院が必要なの?

医療機関により異なりますが、最近では外来で行っていて、特に異常がなければ30分安静にして経過観察したあと、1時間くらいで帰れることが多いと思います。

羊水検査のポイント15.羊水検査のリスクとは?

羊水検査で問題が起こることはまれですが、起こる可能性はあります。羊水検査のリスクについては別のページで詳しくお伝えします。

羊水検査のポイント16.羊水検査後に医師に連絡すべき症状とは?

羊水検査後に医師に連絡すべきかどうかは、どのような症状があるのか、どの程度ひどいのかによって異なります。
羊水穿刺の後、短時間の間、お腹に軽い痙攣があるのは普通です。
次のような場合は、医師に連絡してください。
1.出血しているか、膣から体液が漏れている。
2.痙攣が悪化している
3.38℃以上の熱がある。

羊水検査のポイント17.羊水検査で胎児に遺伝的な問題があることがわかったら?

羊水検査の前後には遺伝専門医から遺伝カウンセリングを受けましょう。遺伝専門医は、遺伝的問題とあなたの気持ちを理解し、何をすべきかを決める手助けをしてくれるでしょう。

羊水検査のポイント18.羊水検査をしても結果が出ないことはあるの?

染色体分析は細胞培養ができないと不可ですが、羊水細胞培養の成功率は99%以上ですが、胎児異常があると細胞が培養しにくくなるため、染色体分析ができないことがあります。

羊水検査のポイント19.羊水検査の結果はいつごろ出るの?

通常の染色体検査は2-3週間かかります。
培養して分裂期の細胞を染色し、染色体を同定するためお時間がかかります。
ターゲットが決まっていてFISH法で見れる場合は1週間程度に短縮いたします。
遺伝子検査の場合は検査内容により異なりますが、2-4週間程度が一般的だと思います。

羊水検査のポイント20.羊水検査でも結果に間違いがあるって本当?

はい。たとえ確定的検査であっても羊水検査にも検査法の限界はあります。
FISH法でない通常のG-bandingと呼ばれる染色体検査では、数の異常や大きな構造異常はわかるのですが、細かい欠失や挿入はわかりません。また、FISH法では細かい欠失や挿入をみること自体は出来るのですが、一般的ではない欠失場所だと引っかからないことがあります。たとえばアンジェルマン症候群アンジェルマン症候群ではリンク先のページにある場所が欠失しているのですが、一般的には欠失部分は先頭部分なので上市されているFISHプローブはこの先頭の部分を検出するものです。ところが、アンジェルマン症候群ではしっぽの部分が欠失していることがあり、そういう場合、FISHプローブで該当の部位が検出されて ”異常なし” と結果が返ってくるのですが、実際は欠失しているのでアンジェルマン症候群の表現型を示すお子さんが生れることになります。このように、検査は完璧なものはどのような場合においてもないというのが現状です。ですので、羊水検査だと結果は100%間違いない、という印象を持たれるかもしれませんが、羊水検査にも限界があることを理解してください。

羊水検査の限界1.モザイク

また、モザイクとよばれる正常と異常が混ざった特殊な状態があるのですが、羊水で正常細胞と異常細胞の両方が見つかれば、モザイクの診断が可能ですが、皮膚の細胞にはなくてそれ以外の細胞にモザイクがある場合は、羊水検査では検出することができません。

羊水検査の限界2.母体の細胞の混入

穿刺は母体→羊水の順ですので、どうしても母体の細胞が混入することがあります。

羊水検査のポイント21.羊水検査しないといけないけど双子って可能なの?

多胎のばあいは、それぞれに穿刺してひとりひとりの赤ちゃんの周囲の羊水を採取する必要があります。
最初に穿刺して色素を注入し、次に穿刺して先ほど入れた色素がなければちゃんと別の赤ちゃんの羊水を穿刺できている、となるのですが。確実にそれぞれの胎児の羊水を取れるといいきれるものではありません。

羊水検査のポイント22.羊水検査の代わりになる検査はないの?

検査中の状態によっては、羊水穿刺の侵襲的な代替法として、絨毛検査や胎児採血があります。
母体血中のセルフリーDNA検査(NIPT)は、最も一般的な常染色体および性染色体の異数性スクリーニングに最もよく用いられており、NIPTの適応で実施される診断的羊水穿刺の回数が大幅に減少しています。診断的羊水穿刺(羊水検査)は今はNIPTで陽性になった胎児の確定検査に用いられるというストラテジーであるため年々羊水検査手技件数自体は大幅に減少しています。

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この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号