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【医師監修】羊水検査はいつからいつまで受けられる?検査時期と結果が出るまでの流れ

羊水検査は、胎児の染色体異常や遺伝子疾患を調べるための検査ですが、いつからいつまで受けられるのか、適切な時期はいつなのか、多くの妊婦さんが疑問に思われています。このページでは、羊水検査の適切な時期、検査の流れ、結果が出るまでの期間などについて、専門医の視点から詳しく解説します。

この記事でわかること
  • 羊水検査を受けるのに最適な時期(いつからいつまで)
  • 検査の流れと結果が出るまでの期間
  • 検査後のリスク管理と注意点
  • 多胎妊娠での羊水検査の特徴

羊水検査の基本情報 – 検査の目的と特徴

羊水検査(羊水穿刺検査・amniocentesis)は、超音波ガイド下で母体の腹部から針を刺して羊水を少量採取し、その中に含まれる胎児の細胞を分析する検査です。主に以下のような目的で行われます。

  • 1 染色体異常(ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトー症候群など)の診断
  • 2 遺伝子疾患の診断
  • 3 神経管閉鎖障害のスクリーニング
  • 4 胎児感染症の検査

羊水検査は出生前診断の中でも確定診断として位置づけられており、非確定的なスクリーニング検査(NIPT等)で陽性となった場合の確認検査としても行われています。羊水検査は医学的に必要な場合に検討される検査であり、検査を受けるかどうかは十分な情報提供と遺伝カウンセリングの上で判断することが重要です。

羊水検査を受けるベストな時期 – いつからいつまでが適切か

羊水検査は、一般的に妊娠15週から20週までの間に行われます。この時期が推奨される理由には医学的な根拠があります。

妊娠時期 羊水検査の特徴
15週未満 羊水量が少なく、流産リスクが高まる可能性があるため、一般的には推奨されません。
15週〜16週 羊水検査が可能になる最初の時期。羊水量が検査に適した量になり始めます。
16週〜18週 羊水検査の最適な時期。羊水量が十分で、検査のリスクが相対的に低くなります。
18週〜20週 まだ検査は可能な時期。ただし、結果が出るまでに時間がかかることを考慮する必要があります。
20週以降 特別な医学的理由がある場合のみ。この時期の検査は医療機関によって対応が異なります。

15週未満の羊水検査について

妊娠15週未満での羊水検査は、以下の理由から一般的には推奨されていません:

  • 羊水量が少なく、採取が技術的に難しい
  • 流産のリスクが比較的高い
  • 胎児細胞の数が少なく、培養が難しい場合がある

16週〜18週が最適な理由

妊娠16週から18週の期間は、羊水検査を行うのに最も適した時期と考えられています:

  • 羊水量が検査に十分な量になっている
  • 胎児の細胞が羊水中に十分に存在し、分析が容易
  • 流産リスクが相対的に低下している
  • 検査結果が出るまでの時間を考慮しても、選択肢を検討する十分な時間がある

18週〜20週の羊水検査

この時期も羊水検査は可能ですが、以下の点を考慮する必要があります:

  • ! 検査結果が出るまでに2〜3週間かかることがある
  • ! 結果が陽性だった場合の選択肢を検討する時間が限られる
  • ! 日本では人工妊娠中絶が可能な時期は妊娠22週未満と法律で定められている
検査時期の決定に影響する要素
  • 妊婦さんの年齢や既往歴: 高齢妊娠や遺伝疾患の家族歴がある場合は、早めの検査が検討されることがあります。
  • 超音波検査の所見: 超音波検査で異常が疑われた場合、その時点での羊水検査が検討されます。
  • スクリーニング検査の結果: NIPTなどのスクリーニング検査で陽性結果が出た場合、確定診断のために羊水検査が必要になります。
  • 医療機関の予約状況: 混雑状況によっては、希望する時期にすぐに予約が取れないこともあります。

双子・多胎児の場合の羊水検査の時期と特徴

双子や多胎児の妊娠の場合、羊水検査の時期や方法は単胎妊娠とは異なる点があります。多胎妊娠では、それぞれの胎児について個別に検査を行う必要があり、その分技術的にも難しくなります。

多胎妊娠における羊水検査の時期

多胎妊娠の場合も、基本的な検査可能時期は単胎妊娠と同じ15週〜20週ですが、以下のような考慮点があります:

  • 双胎妊娠では単胎妊娠よりも流産リスクがわずかに高まる可能性がある
  • 胎児の位置によっては、技術的に検査が難しい場合がある
  • 双胎間輸血症候群(TTTS)のリスクがある場合は、検査のタイミングに特別な配慮が必要

一卵性双生児と二卵性双生児の違い

双生児の種類 羊水検査の特徴
一卵性双生児 遺伝的に同一であるため、理論的には1つの羊水を検査するだけで両方の胎児の遺伝情報がわかりますが、一般的には両方の羊水を採取します。
二卵性双生児 遺伝的に異なるため、それぞれの胎児から個別に羊水を採取する必要があります。
双子妊娠の羊水検査に関するよくある質問
  • Q 双子の両方の胎児に対して必ず検査する必要がありますか?
    A: 二卵性双生児の場合は、個別に検査する必要があります。一卵性双生児でも、通常は両方の羊水を採取して確認します。
  • Q 双子の羊水検査は1日で両方行いますか?
    A: 一般的には同日に両方の胎児の検査を行いますが、状況によっては別日に分けることもあります。
  • Q 双子の羊水検査のリスクは単胎の2倍になりますか?
    A: リスクは単純に2倍になるわけではありませんが、若干高くなる可能性があります。詳細は担当医と相談しましょう。

羊水検査の予約から検査当日までの流れ

羊水検査を受けるには、事前の予約と準備が必要です。ここでは、予約から検査当日までの流れを詳しく解説します。

検査前の予約と準備

1
担当医との相談

まずは担当の産婦人科医に相談し、羊水検査が必要かどうか、そのメリットとリスクについて説明を受けます。

2
遺伝カウンセリング

多くの医療機関では、羊水検査前に遺伝カウンセリングを受ける必要があります。

3
検査予約

検査を受けることを決めた場合、医療機関に予約をします。予約状況によっては希望する時期にすぐに検査が受けられないこともあるので、早めの予約をお勧めします。

4
検査前の健康確認

感染症や出血リスクがある場合は、検査が延期されることがあります。

検査当日の流れ

1

受付・問診:予約時間に医療機関を訪れ、受付と問診を行います。体調や不安なことなど、気になることは担当医に相談しましょう。

2

超音波検査:胎児の状態、位置、羊水量などを確認するため、超音波検査を行います。

3

消毒・準備:腹部を消毒し、検査の準備をします。場合によっては局所麻酔を行うこともあります。

4

羊水採取:超音波ガイド下で、細い針を腹部から子宮内に挿入し、羊水を約20〜30ml採取します。針の挿入時に痛みや圧迫感を感じることがありますが、採取自体は数分で終わることが多いです。

5

検査後の観察:採取後は、胎児の心拍や状態を超音波で確認します。多くの場合、30分〜1時間程度の安静観察を行います。

検査前に確認すべきチェックリスト
  • 食事制限の有無を確認する(多くの場合、普通に食事を摂っても問題ありません)
  • 付き添いの人を同伴できるか確認する(医療機関によって方針が異なります)
  • 検査当日は、ゆったりとした服装で来院する
  • 検査後の休息のために、仕事や予定を入れないようにする
  • 帰宅手段を事前に確保しておく(公共交通機関でも基本的には問題ありませんが、自家用車や付き添いの方と帰宅できると安心です)
  • 質問や不安なことをメモしておき、担当医に相談する

羊水検査後の管理 – いつまで安静にすべきか

羊水検査後の適切な管理は、合併症リスクを最小限に抑えるために重要です。検査後にどの程度安静にすべきか、日常生活にはいつから戻れるのかなど、多くの妊婦さんが疑問に思う点について解説します。

検査後の過ごし方

期間 推奨される過ごし方
検査当日 帰宅後は横になって休息。シャワーは可能だが入浴は避ける。軽い食事を摂る。
検査翌日 可能であれば自宅で安静に過ごす。軽い家事は可能だが、休息を優先する。
検査後2〜3日 徐々に通常の活動に戻るが、重い物の持ち上げや激しい運動は避ける。
検査後4〜7日 通常の日常生活に戻れるが、過度の疲労や腹部への圧迫は避ける。
検査後1〜2週間 通常通りの生活が可能。ただし、異常を感じたらすぐに医療機関に連絡する。
検査後の異常を感じたらすぐに連絡すべき症状
  • 出血: 少量のスポッティングは珍しくありませんが、生理のような出血は要注意です。
  • 持続する腹痛や腰痛: 軽い不快感は正常ですが、鎮痛剤が必要なほどの痛みは報告しましょう。
  • 破水の兆候: 膣からの水様の分泌物が続く場合は注意が必要です。
  • 発熱: 37.5℃以上の発熱は感染の可能性があります。
  • 胎動の減少: 胎動が著しく減少した場合は報告しましょう。
  • 悪寒や倦怠感: 体調不良を感じる場合は医師に相談してください。

羊水検査の結果はいつ出る?結果を待つ間の過ごし方

羊水検査を受けた後、多くの妊婦さんが最も気になるのは「結果がいつ出るのか」ということでしょう。ここでは、検査結果が出るまでの期間と、その間の過ごし方について解説します。

検査結果が出るまでの期間

羊水検査の結果は、検査の種類によって以下のようなタイムラインで報告されます:

検査種類 結果が出るまでの期間 検査内容
迅速FISH法 1〜3日 主要な染色体異常(13、18、21番染色体、性染色体)の検査
染色体培養検査 2〜3週間 全染色体の数的・構造的異常の検査
マイクロアレイ検査 2〜4週間 より詳細な微小欠失・重複の検査
特定の遺伝子検査 2〜4週間 特定の遺伝子疾患の検査

医療機関や検査内容によって結果が出るまでの期間は異なりますので、検査時に担当医に確認することをお勧めします。

結果の通知方法

検査結果の通知方法は医療機関によって異なりますが、一般的には以下のいずれかの方法で行われます:

  • 予約された外来診察時に直接説明
  • 電話での連絡(陰性結果の場合のみ、医療機関によっては可能)
  • 特別な遺伝カウンセリング予約での説明(特に陽性結果の場合)
結果を待つ間のメンタルケアのコツ
  • 「考えすぎないようにする」よりも、「不安な気持ちを認める」ことから始める
  • 短期的な目標や楽しみを作り、一日一日を大切にする
  • パートナーや家族と過ごす時間を増やし、サポートを得る
  • 妊娠日記をつけるなど、気持ちを表現する方法を見つける
  • 過去の経験から、自分がストレスを乗り越えた方法を思い出す
  • 必要以上にインターネットで検索しすぎないようにする

羊水検査のリスク管理 – 検査後いつまで注意が必要か

羊水検査には一定のリスクが伴います。ここでは、検査後にどのようなリスクがあり、いつまで注意が必要かについて解説します。

流産リスクが高まる期間

羊水検査後の流産リスクは、以下のようなタイムラインで考えられています:

!

検査直後〜24時間:最も注意が必要な時期です。検査による直接的な合併症が生じる可能性があります。

!

検査後1〜3日:まだリスクが高い時期です。安静を心がけ、異常に注意しましょう。

!

検査後4〜14日:リスクは徐々に低下しますが、まだ検査に関連した流産が起こる可能性がある期間です。

検査後2週間以降:検査に関連した流産リスクは通常の妊娠と同程度まで低下します。

羊水検査による流産リスクは約0.1〜0.3%(300〜1,000件に1件程度)と報告されていますが、これは検査を行わない場合の自然流産リスクに追加されるリスクです。検査の技術向上により、以前よりもリスクは低下していますが、ゼロではないことを理解しておくことが重要です。

リスクを最小限にするための注意点

検査後の注意事項

  • 適切な休息: 検査後数日間は十分な休息を取り、無理をしないようにする
  • 水分補給: 十分な水分を摂取し、羊水の再生を促す
  • 腹部への圧迫を避ける: きつい衣服やベルトで腹部を圧迫しないようにする
  • 重い物の持ち上げを避ける: 検査後1週間程度は、5kg以上の重い物は持ち上げない
  • 長距離の移動を控える: 検査後数日間は長時間の移動や旅行を避ける

結果が出てからの選択肢とタイムライン

羊水検査の結果が出た後、その結果に応じて様々な選択肢があります。ここでは、検査結果別の選択肢とタイムラインについて解説します。

検査結果が陰性だった場合

  • 通常の妊婦健診を継続します
  • 検査で調べなかった他の疾患や異常の可能性は残ることを理解しておきましょう
  • 超音波検査などで胎児の発育を引き続き確認します
  • 心配事があれば担当医に相談しましょう

検査結果が陽性だった場合

1

詳細な遺伝カウンセリング

検査結果の意味と、それが胎児に与える影響について詳しい説明を受けます。

2

追加検査の検討

場合によっては、より詳細な検査(精密超音波検査など)が提案されることがあります。

3

選択肢の検討

診断された状態について理解し、妊娠継続または中断についての選択肢を検討します。

法的なタイムライン

検査結果が出てからの選択肢を考える上で、以下の法的なタイムラインを理解しておくことが重要です:

  • 日本では、母体保護法により妊娠22週未満であれば、医学的理由による人工妊娠中絶が認められています
  • 羊水検査結果が出るのは通常検査から2〜3週間後であるため、検査を20週で受けた場合、結果が出る頃には法的期限に近づいていることがあります
  • このため、選択肢を十分に検討する時間を確保するためには、できるだけ早い時期(15〜18週)に検査を受けることが推奨されます
検査結果を家族と共有する際のアドバイス
  • パートナーとは可能な限り一緒に結果を聞くようにする
  • 重要な情報をメモしておき、後で振り返られるようにする
  • 分からないことや不安なことは、遠慮せずに医療者に質問する
  • 家族や親戚に結果を伝える範囲と方法を事前にパートナーと相談しておく
  • 自分の感情を率直に表現することを恐れない
  • 決断を急がず、十分な情報と時間を確保する

羊水検査に関するよくある質問(FAQ)- 時期と流れについて

Q: 検査後いつから入浴できますか?

A: 羊水検査後のシャワーは多くの場合当日から可能ですが、入浴(湯船につかること)は一般的に検査後24〜48時間は避けることが推奨されています。これは穿刺部位からの感染リスクを減らすためです。ただし、医療機関によって指示が異なる場合がありますので、検査後に担当医から具体的な指示を受けることをお勧めします。

Q: 羊水検査後いつまでに破水や流産のリスクがありますか?

A: 羊水検査後の破水や流産のリスクは、検査後2週間程度が最も注意が必要な期間とされています。特に検査後48時間以内は最も注意が必要です。検査に関連した流産の大部分は検査後2週間以内に発生するとされていますが、リスク自体は非常に低く(約0.1〜0.3%)、検査後2週間を経過すると、検査に関連したリスクは通常の妊娠とほぼ同じレベルまで低下します。

Q: 20週を過ぎると羊水検査はできないのですか?

A: 20週を過ぎても羊水検査自体は技術的に可能ですが、一般的には推奨されません。その理由は主に結果が出るまでの時間(2〜3週間)を考慮すると、結果に基づいて選択肢を検討する時間が限られてしまうためです。日本では人工妊娠中絶が可能な期間は妊娠22週未満と法律で定められています。ただし、特定の医学的理由(超音波検査で異常が疑われた場合など)がある場合には、20週以降でも実施されることがあります。詳細は担当医にご相談ください。

Q: 羊水検査はいつまでに予約すべきですか?

A: 羊水検査は妊娠15週〜20週の間に行うのが一般的ですが、医療機関によっては予約が混み合うこともあります。検査を検討される場合は、スクリーニング検査(NIPTなど)の結果が出た時点で、できるだけ早く予約することをお勧めします。遅くとも希望する検査時期の2〜3週間前には予約の問い合わせをしておくと安心です。

Q: 検査当日はどのくらいの時間を確保すべきですか?

A: 羊水検査当日は、医療機関での滞在時間として1.5〜2時間程度を見込んでおくと良いでしょう。検査前の説明や超音波検査、実際の羊水採取、そして検査後の安静観察を含めた時間です。また、検査後は自宅でも休息が必要ですので、その日は仕事や予定を入れないことをお勧めします。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。


仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

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