InstagramInstagram

クアトロ検査(クアトロテスト)とは?わかること・費用・結果の見方と、受けるべきかの考え方を医師が解説

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

クアトロ検査(クアトロテスト)は、妊娠15週以降に妊婦さんの血液を採り、赤ちゃんがダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、開放性神経管奇形である確率を調べる検査です。結果は「1/500」のような数字で届きます。病気があるかないかを決める検査ではありません。この記事では、何を測ってどこまでわかるのか、いつ受けるのか、費用の目安、結果の数字の読み方、陽性・陰性のあとの流れ、受けるかどうかを決めるときの考え方を、確認できたデータにもとづいて順に説明します。NIPT(新型出生前診断)との違いもあわせて説明します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約18分
🧪 クアトロ検査・出生前検査
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤クアトロ検査で測る4つの成分と、わかること・わからないこと
  • ➤受けられる時期(妊娠15週0日〜21週6日)と、結果が出るまでの日数
  • ➤費用の目安と、陽性だったときに追加でかかるもの
  • ➤「1/295」というカットオフ値と、検出率・陽性的中率の読み方
  • ➤陽性・陰性のあとにできることと、受けるかどうかの決め方
  • ➤ダウン症候群だけで大丈夫? クアトロ検査の3つの病気の外にある病気

⏱️ 30秒でわかる要約

🧪 Q. クアトロ検査とは?

妊婦さんの血液中の4つの成分(AFP・hCG・uE3・インヒビンA)を測り、年齢や妊娠週数などと合わせて、赤ちゃんがダウン症候群・18トリソミー・開放性神経管奇形である確率を計算する検査です。確率を出すスクリーニング検査で、診断はつきません。

🧩 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言い切れません。クアトロ検査で確率がわかるのは、ダウン症候群・18トリソミー・開放性神経管奇形の3つです。一方で、ご家族の子育ての負担をいちばん大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題だとわかっています。こうした問題を伴いやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患は、クアトロ検査や三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTなら、これらの病気まで調べられます。

🤔 Q. クアトロ検査は受けるべき?

一律の答えはありません。採血だけで受けられ、費用も抑えられます。一方で国内の集計では、受けた人の約9%が陽性になり、そのうち実際にダウン症候群だったのは約2%でした。陽性のときに羊水検査を受けるかどうかまで考えてから決める検査です。

📊 Q. 陽性ならダウン症候群が確定?

いいえ。陽性は「確率が基準の1/295より高い」という意味で、確定には羊水検査が必要です。陰性も「確率が基準より低い」という意味で、可能性がなくなるわけではありません。

ダウン症候群だけで大丈夫ですか?

クアトロ検査で確率がわかる病気は3つですが、当院のNIPTでは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医と相談しながら決められます。

📅 NIPTを予約する

ダウン症候群のほかに調べられる病気を見る | 東京のNIPTプランを見る

クアトロ検査(クアトロテスト)とは?

クアトロ検査は、妊婦さんの血液に含まれる4つの成分を測り、赤ちゃんがダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、開放性神経管奇形である確率を計算する検査です[1]。「クアトロ」は「4」を意味し、測る成分が4つであることからこう呼ばれます。医療の場では「母体血清マーカー検査(ぼたいけっせいマーカーけんさ)」と呼ばれる検査の一つで、「クアトロテスト」はその商品名として広まった呼び方です。

この検査は、病気があるかどうかを決める検査ではなく、可能性が高い人を見つけるためのスクリーニング検査です。結果は「1/500」のような確率で届き、あらかじめ決められた基準より高ければ「スクリーニング陽性」、低ければ「スクリーニング陰性」と報告されます[1]。陽性でも赤ちゃんに病気があると決まったわけではなく、陰性でも可能性がなくなったわけではありません。羊水検査などの確定検査を受けるかどうかを考えるための材料になる検査だと考えてください。

測るのは4つの成分(AFP・hCG・uE3・インヒビンA)

測るのは、AFP、hCG、uE3、インヒビンAの4つです。どれも妊娠中に赤ちゃんや胎盤で作られ、その一部がお母さんの血液に流れ込んでいます[1]。これらの量は妊娠週数が進むにつれて増えたり減ったりしますが、赤ちゃんに特定の病気があるときにも、平均的な値からずれる傾向があることがわかっています。クアトロ検査はこのずれを利用します。

🧪 クアトロ検査で測る4つの成分

成分 正式な名前 主に作られる場所 ダウン症候群のとき
AFP α-フェトプロテイン 赤ちゃん 低めになる
hCG ヒト絨毛性(じゅうもうせい)ゴナドトロピン 胎盤 高めになる
uE3 非抱合型(ひほうごうがた)エストリオール 赤ちゃんと胎盤 低めになる
インヒビンA インヒビンA 胎盤 高めになる

作られる場所とダウン症候群での増減は[2]による。増減は集団としての傾向で、一人ひとりの値だけで判断できるものではありません。

4つの値は、そのまま見るのではなく、同じ妊娠週数の妊婦さんの平均的な値と比べて計算します。そこに妊婦さんの年齢、体重、家族歴などの情報を加えて、一人ひとりの確率を出します[3]。同じ測定値でも、年齢や週数が違えば結果の確率は変わります。採血の前に聞かれる項目を正確に伝える必要があるのはこのためです。

わかること・わからないこと

わかるのは、次の3つについての確率です[1]。1つめはダウン症候群(21トリソミー)で、21番染色体が3本あることで起こります。2つめは18トリソミーで、18番染色体が3本あることで起こります。3つめは開放性神経管奇形で、染色体の病気ではなく、赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる管がうまく閉じなかった状態です。原因や予防については神経管閉鎖障害の解説にまとめています。

一方で、この3つ以外のことはわかりません。13トリソミー、性染色体の数の変化、染色体の小さな欠け(微細欠失)、一つの遺伝子の変化による病気は、クアトロ検査の対象ではありません。心臓の形など体のつくりの変化の多くも、この検査ではわかりません。「陰性だった」という結果は、対象の3つについて確率が低いという意味であって、赤ちゃんに何もないことを示すものではありません。対象外の病気のうち、ご家族の子育てに大きくかかわるものについては、「ダウン症候群だけで大丈夫?」の章で説明しています。

💡 用語解説:開放性神経管奇形(かいほうせいしんけいかんきけい)

妊娠のごく初期に、赤ちゃんの脳と脊髄のもとになる「神経管」が作られます。この管がうまく閉じなかった状態が神経管閉鎖障害で、二分脊椎(にぶんせきつい)や無脳症(むのうしょう)が含まれます。皮膚に覆われず神経の組織が外に出ている場合を「開放性」と呼び、このときAFPが羊水やお母さんの血液に多く出てくるため、血液検査で手がかりが得られます。

トリプルマーカー・コンバインド検査との違い

似た検査に「トリプルマーカーテスト」があります。これはAFP・hCG・uE3の3つを測る検査で、クアトロ検査はそこにインヒビンAを加えたものです。国内の検査会社の集計では、ダウン症候群の検出率はトリプルマーカーが85%、クアトロ検査が87%で、陽性と出る人の割合はそれぞれ14%と9%でした[3]。4つめの成分を加えることで、見つける力を保ちながら、陽性と出る人を減らせるということです。18トリソミーと開放性神経管奇形については、使う成分が同じなので、2つの検査に精度の差はありません[3]。

「コンバインド検査」は、クアトロ検査より早い妊娠11〜13週に行う検査で、超音波で赤ちゃんの首の後ろの厚み(NT)を測り、血液中の2つの成分と組み合わせて確率を出します。約3万8千人を対象にした米国の研究では、陽性と出る人を5%にそろえた場合、ダウン症候群の検出率はコンバインド検査が妊娠11週で87%、12週で85%、13週で82%、クアトロ検査が81%でした[4]。早い週数ではコンバインド検査のほうがやや高く、13週ではほぼ同じという結果です。

コンバインド検査はNTを正確に測れる施設でしか受けられません。妊娠15週以降になってから出生前検査を考え始めた場合は、採血だけで受けられるクアトロ検査が選択肢になります。

クアトロ検査はいつ受ける?時期と流れ

クアトロ検査は、受けられる期間が決まっています。早すぎると検査ができず、遅すぎると、陽性だったときに次の検査を受ける時間が足りなくなります。ここでは、いつ受けられるのかと、採血から結果までの流れを説明します。

受けられる時期

検査ができるのは、妊娠15週0日から21週6日までです。妊娠15週より前には受けられません[1]。4つの成分の量は週数とともに変わるため、確率を計算するためのデータがそろっている期間に限って検査が行われています。

ただし、期間の終わりぎりぎりに受けることは勧められていません。陽性だったときに羊水検査を受けると、その結果が出るまでにさらに約2週間かかるからです。妊娠20〜21週頃までに羊水検査の結果を得るには、妊娠15〜17週頃にクアトロ検査を受けておくことが勧められています[1]。「受けられる期間」と「受けるのに向いた期間」は別だと覚えておいてください。

時期を考えるときにもう一つ関係するのが、妊娠週数の正確さです。クアトロ検査は、その週数の平均的な値と比べて確率を計算します。実際の週数と申告した週数がずれていると、それだけで確率が変わってしまいます。最終月経から数えた週数と、超音波で確認した週数が違う場合は、採血のときに伝えてください。

採血から結果までの流れと日数

検査そのものは採血だけです。お腹に針を刺すことはなく、検査が原因で流産が起こることはありません。採血から結果が出るまでの日数は約10日です[1]。流れをまとめると次のようになります。

① 説明を受けるわかること・限界・陽性後の流れを確認
▶
② 採血妊娠15〜17週頃が目安
▶
③ 結果約10日後に確率で報告
▶
④ その後陽性なら確定検査を受けるか考える

採血の前には、年齢、体重、妊娠週数、家族歴、糖尿病の有無などを聞かれます。これらは問診のためだけではなく、確率の計算に直接使われる情報です[3]。たとえば体重は、体が大きいほど血液の量が多く、成分が薄まって測定されるため、計算で補正されます。申告した内容が実際と違うと、結果の確率もずれます。

結果が出るのは、15週で採血した場合でも16〜17週頃になります。そこから羊水検査を受けると、結果が出るのはおおよそ19週前後です。採血の時期が1〜2週間遅れると、その分だけ後ろにずれます。検査を受けるかどうかを決めるときは、採血の日だけでなく、陽性だった場合に最終的な結果がわかる時期まで見通しておくと、あとで慌てずにすみます。

クアトロ検査の費用

クアトロ検査の費用は、おおむね2〜3万円台が目安です。妊婦健診の一部として公費で受けられる検査ではなく、健康保険も使えない自費診療のため、金額は施設ごとに決められています。全国で統一された価格はなく、同じ検査でも施設によって数千円から1万円ほどの差があります。受ける前に、その施設での金額を確認してください。

確認するときは、金額だけでなく、その中に何が含まれているかも見てください。検査の前の説明や、結果を聞くときの診察が検査料に含まれている施設もあれば、別にかかる施設もあります。結果の説明をどのような形で受けられるのか、陽性だったときに次の検査をどこで受けることになるのかも、施設によって違います。

もう一つ知っておきたいのは、陽性だったときには、次の検査の費用が別にかかるという点です。確定のために羊水検査を受ける場合、その費用もクアトロ検査とは別に自費でかかります。国内の集計では、クアトロ検査を受けた人の約9%が陽性になっています[1]。およそ11人に1人は、次の検査を受けるかどうかを考える立場になるということです。検査を選ぶときは、最初の検査の金額だけでなく、その先まで含めて考えておくと見通しが立てやすくなります。

NIPTや羊水検査など、ほかの検査の費用との比較や、医療費控除の扱いは、別のページで一覧にしています。費用を「調べられる病気1つあたり」で考える見方は、「ダウン症候群だけで大丈夫?」の章で紹介しています。

クアトロ検査の結果の見方

結果には、病気ごとに「確率」と「スクリーニング陽性・陰性」が書かれています。陽性か陰性かに目が行きがちですが、読むべきなのは確率の数字のほうです。

結果は「確率」で届く(年齢だけの確率と、検査後の確率)

結果は「1/500」のような形で報告されます。これは、同じ1/500という結果を受け取った妊婦さんが500人いたとすると、そのうち1人が対象の病気の赤ちゃんを妊娠している可能性があるという意味です[1]。裏返せば、残りの499人の赤ちゃんはその病気ではありません。分母の数字が小さいほど確率は高く、大きいほど低くなります。

この確率を読むときは、「年齢だけから見た確率」と並べてみると意味がつかみやすくなります。ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠する確率は年齢とともに上がることがわかっていて、年齢ごとの目安があります。クアトロ検査は、この年齢だけの確率を出発点にして、血液の成分の値で上げたり下げたりした結果を返しています。つまり、検査の結果は「年齢だけの確率より高くなったか、低くなったか」を見ることができるのです。

たとえば38歳の方の年齢だけの確率は1/145です[3]。この方の結果が1/200だった場合、あとで説明する基準(1/295)より高いので「陽性」と報告されますが、年齢だけの確率よりは低くなっています。逆に、25歳の方の年齢だけの確率は1/1040です。結果が1/400なら「陰性」と報告されますが、年齢だけの確率よりは高くなっています。陽性・陰性の2文字だけでは、この違いは読み取れません。

陽性・陰性を分ける基準値(カットオフ値)

陽性と陰性を分ける線を「カットオフ値」といいます。ダウン症候群のカットオフ値は1/295で、結果の確率がこれより高ければスクリーニング陽性、低ければスクリーニング陰性と報告されます[3]。年齢ごとの確率の表では35歳が1/297なので、「35歳の方の年齢だけの確率とほぼ同じところに線が引かれている」と考えるとわかりやすいでしょう。18トリソミーと開放性神経管奇形にも、それぞれ別のカットオフ値が決められています。

ここで押さえておきたいのは、カットオフ値は病気がある人とない人を分ける境目ではないということです。確率は連続した数字で、1/290と1/300の間に医学的な段差があるわけではありません。どこかに線を引かないと「次の検査を考える目安」が示せないので、便宜上決められている線です。陽性は「確率がカットオフ値より高いが、赤ちゃんがその病気だと決まったわけではない」、陰性は「確率がカットオフ値より低いが、その病気の赤ちゃんが絶対に生まれないということではない」と読みます[1]。

線を厳しくすれば見つかる人は増えますが、病気でないのに陽性と出る人も増えます。カットオフ値の決まり方や、線のすぐ近くの結果の考え方は、クアトロテストのカットオフ値とNIPTとの違いで説明しています。

年齢が高いほど陽性になりやすい理由

クアトロ検査は、年齢が高い方ほど陽性になりやすい検査です。血液の成分が年齢で変わるからではありません。計算の出発点になる「年齢だけの確率」が、年齢とともに高くなるからです[1]。出発点が高ければ、成分の値が平均的であっても、結果の確率は高めに出ます。

📊 年齢だけから見たダウン症候群の確率(妊娠中期)

出産時の年齢 ダウン症候群 カットオフ値(1/295)との関係
25歳 1/1040 大きく下回る
30歳 1/700 下回る
35歳 1/297 ほぼ同じ
38歳 1/145 上回る
40歳 1/86 大きく上回る
42歳 1/50 大きく上回る

年齢ごとの確率は[3]に掲載の表による。集団としての目安で、一人ひとりの確率を決めるものではありません。

表のとおり、35歳より上では、検査を受ける前の時点ですでに確率がカットオフ値を上回っています。この年代の方が陰性と報告されるには、血液の成分が「確率を下げる方向」にはっきり出ている必要があります。そのため、35歳以上の方では、赤ちゃんに病気がなくても陽性と報告されることが多くなります。逆に20代の方は出発点が低いので、陽性になる人は少なくなります。

「36歳なら何%が陽性になるのか」といった年齢別の陽性率は、公開されている集計では確認できませんでした。全体では約9%の方が陽性になっており[1]、年齢が高い方はこれより高いと考えておくのが妥当です。

結果に影響するもの(妊娠週数のずれ・体重・双子など)

確率の計算には、4つの成分の値のほかに、いくつかの情報が使われます。国内の検査で使われているのは、人種ごとの基準値、妊娠週数、体重、家族歴、インスリンを使う糖尿病の有無です[3]。妊娠前からインスリンで治療している糖尿病がある方では成分の値が低めに出るという報告があり、計算で補正されます。ダウン症候群や神経管閉鎖障害の家族歴がある場合は、計算式そのものが変わります。

双子の妊娠では、結果の出方に制限があります。2人分の成分がお母さんの血液の中で混ざるため、一人ひとりの確率を分けて出すことができないからです。

👶 双子の妊娠でのクアトロ検査の報告

対象 陽性・陰性の報告 確率の報告
ダウン症候群 あり 推定の確率として報告
18トリソミー なし なし
開放性神経管奇形 あり 条件つきで報告

[3]による。三つ子の場合は、開放性神経管奇形だけが報告の対象です。

双子の場合、ダウン症候群の確率は「少なくともどちらか一方がそうである確率」の推定値として報告されます。検出率ははっきりわかっていませんが、一人の妊娠の場合より低いと考えられています[3]。18トリソミーは、双子でのデータが少ないため報告されません。双子を妊娠している方がクアトロ検査を考える場合は、一人の妊娠の場合と同じ情報は得られないことを知ったうえで判断してください。

クアトロ検査の精度:検出率・偽陽性率・陽性的中率

クアトロ検査の精度を表す数字はいくつかあり、それぞれ意味が違います。「精度は約80%」とだけ聞くと、「陽性なら80%の確率で病気」と受け取ってしまいそうですが、そうではありません。ここでは数字を一つずつ分けて説明します。

💡 用語解説:検出率・偽陽性率・陽性的中率

検出率は、病気のある赤ちゃんを妊娠している人のうち、検査で陽性と出る人の割合です。偽陽性率は、病気のない赤ちゃんを妊娠している人のうち、陽性と出てしまう人の割合です。陽性的中率は、陽性と出た人のうち、実際に病気のある赤ちゃんを妊娠していた人の割合です。「陽性と言われた自分はどのくらいの確率か」に答えるのは、検出率ではなく陽性的中率です。

検出率と偽陽性率

ダウン症候群の検出率については、条件の違う2つのデータがあります。一つは約3万8千人を対象にした米国の研究で、陽性と出る人が5%になるように線を引いた場合、検出率は81%でした[4]。もう一つは国内の検査会社が1999年から2004年に行った19,112例の集計で、ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していた45例のうち39例が陽性となり、検出率は87%でした[1]。

📊 クアトロ検査の精度(ダウン症候群)

項目 米国の研究 国内の集計
対象 約3万8千人 19,112例(1999〜2004年)
検出率 81% 87%(45例中39例)
陽性と出た人の割合 5%にそろえて比較 約9%(1,763例)
陽性のうち実際にダウン症候群 — 約2%(1,763例中39例)

米国の研究は[4]、国内の集計は[1]による。

2つの検出率が違うのは、どちらかが間違っているからではなく、陽性とする線の引き方が違うからです。国内の集計では陽性と出た人が約9%いて、米国の研究の5%より多くなっています。陽性と出る人を多くとれば、その中に含まれる病気の赤ちゃんも増えるので、検出率は上がります。検出率は約80〜87%で、どの条件の数字かによって変わります。

見方を変えると、ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していても、およそ13〜19%は陰性と報告されるということです。国内の集計では、45例のうち6例が陰性でした。ほかの2つの病気については、同じ国内の集計で、18トリソミーの検出率が77%、開放性神経管奇形の検出率が83%と報告されています[1]。

陽性的中率と陰性的中率

陽性と言われた方が最も知りたいのは、「自分の赤ちゃんが実際にそうである確率」でしょう。国内の集計では、陽性と報告された1,763例のうち、実際にダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していたのは39例、約2%でした[1]。陽性と言われた方の大半は、赤ちゃんがダウン症候群ではなかったことになります。

検出率が80%を超えているのに、陽性的中率がこれほど低いのはなぜでしょうか。理由は、もともとダウン症候群の赤ちゃんを妊娠している人が少ないからです。19,112例のうちダウン症候群は45例でした。残りの約1万9千人のうち9%ほどが陽性と出れば、それだけで1,700人を超えます。めったにない病気を広く拾おうとする検査では、陽性の中に「病気ではない人」が多く混ざるのは、検査の性能が低いからではなく、仕組み上そうなるのです。

陰性の場合はどうでしょうか。同じ集計から計算すると、陰性と報告されたのは17,349例で、そのうちダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していたのは6例でした。約2,900人に1人の割合です。陰性であれば確率はかなり低いと言えますが、ゼロではありません。この数字はもともと病気が少ないことの影響を強く受けるので、検査の力を比べるときは検出率を見ます。指標の考え方は感度・特異度と陽性的中率・陰性的中率の解説で説明しています。

陽性的中率は年齢でも変わります。年齢が高いほど該当する人が多くなるため、同じ陽性でも的中率は高くなります。約2%は、さまざまな年齢の方を合わせた値です。

この検査の役割と限界

ここまでの数字を見て、「あてにならない検査なのでは」と感じた方もいるかもしれません。クアトロ検査は、お腹に針を刺す確定検査を受けるかどうかを、年齢だけでなく、もう一段くわしい確率で考えるための検査です。採血だけで受けられ、検査による流産のリスクがなく、費用も比較的抑えられます。NIPTは染色体を調べる検査なので神経管の状態は対象になりませんが、クアトロ検査では神経管についても手がかりが得られます。

一方で限界もあります。ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していても1〜2割は陰性と出ること、受けた人の約9%が陽性になり、その大半は該当する病気がないこと、13トリソミーなどは対象外であること、受けられるのが妊娠15週以降であることです。これらを理解せずに受けると、陽性・陰性という言葉だけで結果を解釈し、検査の限界を正しく評価できない可能性があります。

役割と限界の両方を知ったうえで選ぶなら、クアトロ検査は今も選択肢の一つです。NIPTが登場する前の出生前スクリーニングの組み立ては、下の関連記事で説明しています。

陽性的中率が低いと『無駄な確定検査』が増える? ― がん検診と比べて考える

クアトロ検査で陽性になった方のうち、実際にダウン症候群だったのは約2%でした。NIPTでも、微小欠失のように調べる範囲を広げた項目では、染色体の数の異常に比べて陽性的中率が低めになります。そのため、「陽性的中率の低い検査は、受けなくてよかった確定検査を増やすだけではないか」という意見があります。この疑問を、がん検診と並べて考えてみます。

まず、がん検診でも陽性的中率は数%にとどまります。胸部X線で行う日本の自治体の肺がん検診について、国が2008年にまとめた報告書では、陽性反応適中度(要精密検査とされた人のうち、実際に肺がんだった人の割合)の許容値が「1.3%以上」とされています[11]。米国の大規模試験(NLST)でも、低線量CTで2.4〜5.2%、胸部X線で4.4〜6.7%でした[12]。X線は「怪しい」と判定する人がCTより少ないぶん陽性的中率は少し高くなりますが、そのかわり見逃しも多くなります。CTは拾い上げる範囲を広げたことで陽性的中率が下がった一方、肺がんによる死亡を減らすことが示されました[13]。陽性的中率が低いことは、それだけで「悪い検査」を意味しません。

がん検診のあとの精密検査にも、体への負担があります。米国の診療データ(保険請求データ)を使った調査では、肺の異常を調べる精密検査を受けた人は、受けなかった人に比べて、重い合併症が針生検で4.0%、気管支鏡で13.4%、胸部手術で11.3%多く起きていました[14]。出生前検査の確定検査については、英国の1つの医療施設で行われた研究で、絨毛検査・羊水検査を受けた人と受けなかった人の流産の割合に、統計的な差は見られませんでした(絨毛検査0.29%、羊水検査−0.36%で、どちらも統計的な差なし)[15]。研究の規模や方法が違うため数字を直接並べて比べることはできませんが、「陽性的中率が低いと、体に負担のかかる検査が増える」という心配は肺がん検診にも同じように当てはまり、それでもがん検診は行われています。

それでも、出生前検査で慎重な意見が出るのには理由があります。検査の結果が、妊娠を続けるかどうかの判断に直結すること。陽性のあと確定検査を受けずに妊娠をやめる選択をしてしまうと、陽性的中率が低い場合、本当は病気のない赤ちゃんが失われるおそれがあること。結果を待つ間の不安が大きく、判断できる期間にも限りがあること。微小欠失などは症状の幅が広く、わかっても見通しを立てにくい場合があり、学会によって考え方が分かれていること。どれも大切な指摘です。

一方で、陽性的中率の数字ばかりを見ていると、「外れの陽性」にだけ目が向きがちです。拾い上げなかった場合には、本当に病気がある赤ちゃんについて、ご家族が生まれる前に知り、出産する施設や生まれてすぐの治療を準備したり、妊娠を続けるかどうかを考えたりする機会そのものがなくなります。見逃しにも、外れの陽性と同じように重い結果があるのです。実際に、先天的な病気が生まれる前にわかったお母さんは、生まれてから初めて知ったお母さんに比べて、心の面の生活の質が高かったという報告があります[16]。また、重い心臓の病気では、生まれる前にわかっていると生まれてすぐの治療を早く始められ、大血管転位症では手術の前後に亡くなる赤ちゃんが減ったと報告されています[17]。ただし[16]はポルトガルの小規模な研究で、生まれる前に知ることで出産までの不安やつらさが増えるという報告もあり、研究によって結果は分かれています。

こう考えると、弱点は検査そのものではなく、確定検査で確かめる前に結論を出してしまうことにあります。当院では、NIPTで陽性になったら院内で確定検査(絨毛検査・羊水検査)を受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で、確定検査の費用は互助会から補助されます(補助の上限はありません)。NIPTは、可能性のある赤ちゃんを見逃さずに拾い上げるための検査です。陽性になったときは、確定検査で本当にそうかを確かめてから考えることが大切で、その確定検査まで当院の中で受けられます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【数字は「どの条件の数字か」まで読む】

出生前検査の説明には、80%、5%、2%といった数字がたくさん出てきます。どれも正しい数字ですが、何を分母にしているかが違います。検出率は「病気のある赤ちゃんを妊娠している人」が分母で、陽性的中率は「陽性と出た人」が分母です。この2つを取り違えると、「検出率80%の検査で陽性だから、80%の確率でそうなのだ」という誤解が生まれます。

検査の数字を解釈するときは、「この数字は誰を100人集めたときの話か」を明確にすることが重要です。クアトロ検査で陽性になった100人を集めると、国内の集計ではダウン症候群の赤ちゃんを妊娠している方は2人ほどです。同じ検査について「検出率87%」という数字もありますが、検出率と陽性的中率では分母が異なります。

内科医としてがん検診にも向き合ってきた立場からは、陽性的中率が数%でも検診そのものは必要とされている、という点も見ておいてほしいと考えています。大切なのは数字の高さだけではなく、陽性のあとに確かめる仕組みが整っているかどうかだと考えています。

\ 早い時期に、染色体をくわしく調べたい方へ /

📅 NIPTを予約する

東京のNIPTプランを見る | NIPTの費用

陽性・陰性だったら、そのあとどうする?

陽性のとき、陰性のとき、神経管について高い確率が出たときで、そのあとにできることが違います。

陽性のとき

ダウン症候群または18トリソミーで陽性と報告された場合、赤ちゃんが実際にそうであるかを確かめるには、羊水検査が必要です[1]。羊水検査は、お母さんのお腹に細い針を刺して羊水を採り、その中に含まれる赤ちゃんの細胞の染色体を直接調べる検査です。染色体そのものを見るので、結果は確率ではなく診断になります。結果が出るまでには2週間ほどかかるのが一般的です[3]。

羊水検査には、針を刺すことによる流産のリスクがあります。2019年にまとめられた複数の研究の統合解析では、羊水検査を受けたことで上乗せされる流産の割合は0.30%(95%信頼区間0.11〜0.49%)でした。もともとの条件が近い人どうしで比べた場合は0.12%で、検査を受けなかった人との間にはっきりした差は認められませんでした[5]。国内の資料では約0.3%(300人に1人)と説明されています[1]。おおむね0.1〜0.3%と考えておくとよいでしょう。リスクの内訳は羊水検査のリスクの解説にまとめています。

陽性だったからといって、羊水検査を受けなければならないわけではありません。受けるかどうかは、結果の確率、羊水検査の流産リスク、年齢だけから見た確率の3つを見比べて決める方が多いとされています[3]。確率が流産のリスクより高いので受けるという方もいれば、流産のリスクを避けたいので受けないという方もいます。どちらが正しいということはありません。

羊水検査の前にNIPTを受けて、もう一度確率を確かめるという方法もあります。NIPTも確定検査ではありませんが、病気でないのに陽性と出る割合が0.04%と低いため[6]、羊水検査を受けるかどうかを考える材料が増えます。この選び方についてはクアトロ検査で陽性と言われたときの選択肢で説明しています。

陰性のとき

陰性の場合、対象の3つの病気について確率は低いと言えます。国内の集計から計算すると、陰性だった方のうちダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していたのは約2,900人に1人でした。多くの場合、追加の検査を受けずに妊婦健診を続けることになります。

ただし、陰性は「可能性がなくなった」という意味ではありません。ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していた方のうち1〜2割は、クアトロ検査で陰性と報告されています[1][4]。また、陰性という結果が示しているのは対象の3つについてだけです。13トリソミーや、体のつくりの変化など、クアトロ検査が対象にしていないものについては、陰性という結果からは何もわかりません。

陰性だったあとに、妊婦健診の超音波で気になる所見を指摘されることもあります。その場合は、クアトロ検査が陰性だったことを理由に見送るのではなく、所見そのものについて主治医の説明を受けてください。陰性だったのに不安が残る場合の考え方や、クアトロ検査が「あてにならない」と言われる理由については、クアトロ検査が陰性でも心配なときで詳しく説明しています。

神経管の異常の確率が高いと言われたら

開放性神経管奇形で陽性と報告されるのは、お母さんの血液中のAFPが高かったときです。神経管が開いたままだと、赤ちゃんのAFPが羊水に多く出て、それがお母さんの血液にも移るためです。ただし、AFPが高くなる理由はほかにもあります。AFPは妊娠週数が進むほど増えるので、実際の週数が申告より進んでいた場合には高めに出ます[3]。双子の妊娠でも高くなります[2]。そのため、結果を読むときには、妊娠週数が正しいか、双子ではないかの確認が欠かせません。

確かめる方法は、超音波などの画像で赤ちゃんの頭や背骨をくわしく見る検査と、羊水を採って羊水中のAFPを測る検査の2つです[1][3]。染色体の病気の場合と違って、神経管については超音波で形を直接確かめられることが多いのが特徴です。超音波でくわしく見る検査については胎児ドックの解説をご覧ください。

神経管について陽性と言われても、クアトロ検査の段階ではあくまで確率です。国内の集計での検出率は83%で、ダウン症候群の場合と同じように、陽性でも実際には異常がない場合と、陰性でも異常がある場合の両方があります[1]。陽性という結果だけで結論を出さず、画像での確認の結果を待ってください。

クアトロ検査は受けるべき?決める前に考えること

「クアトロ検査は受けるべきですか」という問いに、全員に当てはまる答えはありません。出生前検査を受けるかどうかは、十分で正確な情報にもとづいて本人が選ぶものとされています[7]。ここでは、どのくらいの人が受けているのか、受ける前に何を決めておくとよいのか、どんな人に合う検査なのかを整理します。

受ける人の割合

国内の主な検査施設への調査では、2016年に行われた母体血清マーカー検査は推定で約35,900件でした[8]。この年の出生数は約97.7万人なので、単純に割ると約3.7%、妊婦さんのおよそ27人に1人にあたります。1998年の21,708件と比べると約1.7倍に増えていますが、それでも受けている人は少数です。

同じ調査では、母体血清マーカー検査、羊水検査、絨毛検査、NIPTを合わせた件数は延べ約7万件で、出生数の7.2%にあたると報告されています[8]。「みんな受けているのでは」と気になる方もいますが、受けないことは珍しい選択ではありません。なお、20代・30代・40代といった年代別の割合は、この調査では示されていません。

出生前検査についての情報提供のあり方は、国の方針としても変わってきました。母体血清マーカー検査については、1999年に国の専門委員会が見解をまとめました[9]。その後20年あまりを経て、2021年にまとめられた報告書で、妊婦さんへの情報提供のあり方が見直されています[10]。検査を勧めるのでも遠ざけるのでもなく、正確な情報を得たうえで本人が決められるようにする、というのが現在の考え方です。

受ける前に決めておきたいこと

クアトロ検査を受けてから困る場面の多くは、結果が出たあとのことを考えていなかった場合に起こります。受ける前に、次の3つを考えておくことをお勧めします。

1つめは、陽性だったら羊水検査を受けるかどうかです。受けた人のおよそ11人に1人が陽性になります。陽性のときに確定検査を受けるつもりがないのであれば、確率だけを知って妊娠期間を過ごすことになります。それでも知っておきたいのか、知らないままのほうがよいのかは、人によって違います。

2つめは、陰性でも不確かさが残ることを受け入れられるかです。陰性は確率が低いという意味で、ゼロという意味ではありません。「陰性と言われればそれで十分」という方もいれば、「見逃しの可能性が1〜2割ある検査では足りない」と感じる方もいます。後者であれば、クアトロ検査だけでは求めている答えは得られません。

3つめは、結果を知って何をしたいのかです。生まれてくる赤ちゃんの状態に合わせて準備をしたいのか、妊娠を続けるかどうかを考えたいのか、ただ知っておきたいのか。目的によって、必要な検査の種類も、結果が必要な時期も変わります。パートナーと考えが異なる場合もあるため、採血の前に話し合っておくと、結果が出たあとの判断に必要な時間を確保しやすくなります。

クアトロ検査が合う人・ほかの検査も考えたい人

クアトロ検査が合うのは、たとえば次のような場合です。妊娠15週以降になってから出生前検査を考え始めた方。お腹に針を刺す検査の前に、まず採血だけでわかる範囲を知りたい方。費用を抑えたい方。神経管についても手がかりがほしい方。

一方、次のような場合は、ほかの検査も合わせて考える価値があります。妊娠のもっと早い時期に知りたい方。陽性と出て確定検査を考えることになる可能性をできるだけ下げたい方。13トリソミーや性染色体なども調べたい方。35歳以上で、仕組み上クアトロ検査では陽性になりやすい方。双子を妊娠していて、18トリソミーについても知りたい方。ダウン症候群・18トリソミー以外の、子育ての負担につながりやすい病気まで知っておきたい方。

これは優劣の話ではなく、知りたいことと検査の設計が合っているかどうかの話です。足りないと感じる理由がはっきりしているなら、最初から別の検査を選ぶほうが、費用も時間も無駄になりません。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「受けるか」より先に「結果をどう使うか」】

出生前検査について考えるとき、多くの方は「受けるか、受けないか」から考え始めます。けれども、順番を逆にしたほうが決めやすくなります。まず「どんな結果が出たら、自分は何をするか」を考え、そのために必要な確かさと時期を満たす検査はどれか、と進めるのです。

クアトロ検査は、確率を知ることで次の検査を受けるかどうかを考えるためのスクリーニング検査です。検査を選ぶ前に、結果をどのように使いたいのかを整理することは、必要な確かさと検査時期を考えるうえで重要です。検査の種類だけを並べるのではなく、陽性・陰性それぞれの結果のあとに何を選択するかまで含めて検討します。

\ 確定検査まで同じ施設で受けられるNIPTをお探しの方へ /

📅 NIPTを予約する

東京のNIPTプランを見る | 互助会について

NIPTなど、ほかの検査との違い(早見表)

「クアトロ検査とNIPTはどちらがよいですか」という質問には、こう答えられます。ダウン症候群を見つける力と、病気でないのに陽性と出る割合の低さでは、NIPTが上回ります。費用と、神経管も対象になる点では、クアトロ検査に利点があります。どちらも確定検査ではないので、陽性のときに確定検査が必要になる点は同じです。

NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAの断片を調べる検査です。複数の研究をまとめた解析では、一人の妊娠の場合、ダウン症候群の検出率は99.7%、偽陽性率は0.04%と報告されています[6]。クアトロ検査の検出率が約80〜87%、陽性と出る人が5〜9%であるのと比べると、差は小さくありません。主な検査を並べると次のようになります。

📋 出生前検査の早見表

検査 時期 方法 ダウン症候群の検出率 結果の形
クアトロ検査 妊娠15週0日〜21週6日 採血 約80〜87% 確率
コンバインド検査 妊娠11〜13週 超音波と採血 82〜87% 確率
NIPT 当院では妊娠9週以降(6〜8週は臨床研究) 採血 99.7% 陽性・陰性・判定保留
羊水検査 多くの施設で妊娠15〜18週 お腹に針を刺して羊水を採る 確定検査 診断

クアトロ検査は[1][4]、コンバインド検査は[4]、NIPTは[6]、羊水検査の時期は[3]による。クアトロ検査とコンバインド検査の検出率は、陽性と出る人の割合の設定によって変わります。

費用は施設による差が大きいため、表には入れていません。また、ここに挙げた数字はどれも集団についてのもので、一人ひとりの結果を予測するものではありません。

クアトロ検査とNIPTの違いをさらに詳しく知りたい方は、クアトロ検査とNIPTの違いをご覧ください。超音波で赤ちゃんの形を見る検査も含めた全体像は、下の関連記事で一覧にしています。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

クアトロ検査で確率がわかるのは、ダウン症候群・18トリソミー・開放性神経管奇形の3つです。NIPTでも、三大トリソミーだけを調べるのか、もっと広く調べるのかで、わかることは大きく変わります。検査を比べるときに、「どの病気まで調べられるか」という物差しも持っておいてください。

子育ての負担を左右する「行動の問題」

知的障害を伴う病気のお子さんのご家族について調べた研究をまとめた報告では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族に比べて子育てのストレスが高いとされています[18]。そしてストレスに最も強く関係していたのは、知的障害の程度ではなく、攻撃的な行動や自傷といった行動の問題や、睡眠の問題でした[18]。他人への攻撃的な行動はアンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群で、自傷はコルネリア・デ・ランゲ症候群、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群で多いことも分かっています[19]。

これらの病気は、どれもクアトロ検査の3つには入っていません。当院のNIPTでは、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群はすべてのプランで、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプランとインペリアルプランで、ウィリアムズ症候群はインペリアルプランと双子マックスプランで調べられます。ダウン症候群だけを調べればよいのかは、検査を選ぶ前に一度考えていただきたい点です。

22q11.2欠失症候群を調べる意味

22q11.2欠失症候群は、妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられ、微小欠失症候群の中で最も多い病気です[20]。多くは親から受け継いだものではなく新しく起こった変化で、お母さんの年齢とは関係なく起こります[20]。心臓の病気、免疫の働きの低下、低カルシウム血症、口蓋裂、発達の遅れなどを伴うことがあり、自閉スペクトラム症を伴う割合も一般より高いと報告されています[20][21]。

米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに、22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しています[22]。生まれる前にわかっていれば、出産する施設を選んだり、生まれてすぐに心臓・カルシウム・免疫の検査を受けられるよう準備したりできます。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を調べられます。ただし微小欠失は、染色体の数の異常に比べて陽性的中率が低めなので、陽性のときは確定検査で確かめる必要があります。

1つの病気あたりで考えると

「心配なのはダウン症候群だけ」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわります。上で見たように、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題で[18]、それを伴いやすい病気には、ダウン症候群よりも微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[18][19]。こうした病気は、クアトロ検査でも、三大トリソミーだけを調べる検査でも調べられません。

出生前検査は、そのあとの人生を左右するかもしれない検査です。費用の安さだけを物差しにして選んでよいのか、一度立ち止まって考えてみてください。

たとえば、三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、調べる病気は3つなので、1つの病気あたりは約3万3千円になります。当院のインペリアルプランでは、すべての常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めると、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、実際にはこの数に入らない変化まで調べていることになります。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード
(220,000円)
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム
(264,000円)
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド
(407,000円)
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス
(440,000円)
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル
(550,000円)
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

ただし、病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がるほど、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ当院では、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族が何を知りたいかに合わせてプランを選んでいただいています。各プランの詳しい内容は、それぞれのページで確認できます。

ミネルバクリニックでできること

ミネルバクリニックが行っている出生前検査は、NIPTと、確定検査である羊水検査・絨毛検査です。ここでは、クアトロ検査とあわせて検討されることの多い点にしぼって、当院の体制を説明します。

NIPTは、妊娠9週以降に通常の検査として受けられます。妊娠6週から8週は臨床研究として受け付けています。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、検査の内容と限界を説明したうえで、採血の前に4Dエコーで赤ちゃんの様子を確認します。4Dエコーの費用はNIPTの料金に含まれています。

NIPTで陽性だった場合の確定検査(羊水検査・絨毛検査)は、院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。確定検査のために別の施設を探して転院する必要はありません。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で受けられます。

費用の面では、NIPTを受けるすべての方に、羊水検査の互助会(1回のNIPTにつき8,000円)に加入していただいています。NIPTで陽性となり確定検査を受けた場合、その費用は互助会から補助され、補助の上限はありません。陽性のときに確定検査の費用で迷わずにすむようにするための仕組みです。

🏥 ダウン症候群だけで大丈夫か、検査の前に一緒に考えます

どこまで調べたいかは、ご家族ごとに違います。ミネルバクリニックでは、90分の受診枠の中で常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。陽性のときの羊水検査・絨毛検査まで院内で受けられます。NIPTは妊娠9週以降(6〜8週は臨床研究)に受けられます。

よくある質問(FAQ)

Q1. クアトロ検査は受けるべきですか?

全員に当てはまる答えはありません。採血だけで受けられますが、国内の集計では受けた人の約9%が陽性になり、そのうち実際にダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していたのは約2%でした。陽性のときに羊水検査を受けるか、陰性でも不確かさが残ることを受け入れられるかを考えたうえで決めてください。

Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

ダウン症候群だけを調べれば安心、とは言い切れません。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族のほうが、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高く、そのストレスを最も強く左右していたのは知的障害の程度よりも行動の問題でした。こうした病気は、クアトロ検査や三大トリソミーだけを調べる検査ではわかりません。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群やプラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

Q3. 35歳以上でもクアトロ検査は受けられますか?

受けられます。ただし、計算の出発点になる年齢だけの確率が、35歳前後でカットオフ値(1/295)と同じくらいになります。そのため35歳以上の方は、赤ちゃんに病気がなくても陽性と報告されやすくなります。陽性のあとどうするかを、先に考えておくことをお勧めします。

Q4. クアトロ検査で陽性になる人はどのくらいいますか?

国内の検査会社による19,112例の集計では約9%でした。年齢が高いほど陽性になる割合は高くなりますが、年齢別の数字は、公開されている集計では確認できていません。

Q5. 陽性ならダウン症候群が確定ですか?

いいえ。陽性は確率がカットオフ値より高いという意味で、診断ではありません。国内の集計では、陽性と報告された方のうち、実際にダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していたのは約2%でした。確かめるには羊水検査が必要です。

Q6. 陰性だったのにダウン症候群の赤ちゃんが生まれることはありますか?

あります。ダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していた方のうち、1〜2割はクアトロ検査で陰性と報告されています。国内の集計から計算すると、陰性だった方のうち該当したのは約2,900人に1人でした。陰性は確率が低いという意味で、ゼロという意味ではありません。

Q7. クアトロ検査の結果は何日くらいで出ますか?

採血から約10日です。陽性で羊水検査を受ける場合は、その結果が出るまでにさらに2週間ほどかかります。そのため、妊娠15〜17週頃に採血することが勧められています。

Q8. クアトロ検査とNIPTはどちらがいいですか?

目的によります。ダウン症候群の検出率はNIPTが99.7%、クアトロ検査が約80〜87%で、病気でないのに陽性と出る割合もNIPTのほうが低くなります。一方、クアトロ検査は費用が抑えられ、NIPTでは調べられない開放性神経管奇形も対象です。どちらも確定検査ではなく、陽性のときは確定検査が必要です。

関連記事

参考文献

  • [1] クアトロテスト®(母体血清マーカー検査)一般の方向け情報. 国内の検査会社による公開資料. [検査会社公式サイト]
  • [2] UCSF Health. Quadruple screen test. Medical Tests. [UCSF Health]
  • [3] クアトロテスト® Q&A(一般の方向け). 国内の検査会社による公開資料. [検査会社公式サイト]
  • [4] Malone FD, Canick JA, Ball RH, et al. First-trimester or second-trimester screening, or both, for Down’s syndrome. N Engl J Med. 2005;353(19):2001-2011. doi:10.1056/NEJMoa043693. PMID:16282175. [PubMed 16282175]
  • [5] Salomon LJ, Sotiriadis A, Wulff CB, et al. Risk of miscarriage following amniocentesis or chorionic villus sampling: systematic review of literature and updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2019;54(4):442-451. doi:10.1002/uog.20353. PMID:31124209. [DOI 10.1002/uog.20353]
  • [6] Gil MM, Accurti V, Santacruz B, Plana MN, Nicolaides KH. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for fetal aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017;50(3):302-314. doi:10.1002/uog.17484. PMID:28397325. [PubMed 28397325]
  • [7] American College of Obstetricians and Gynecologists. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities. Practice Advisory. January 2026. [ACOG]
  • [8] 佐々木愛子, 左合治彦, 吉橋博史, ほか. 日本における出生前遺伝学的検査の動向1998-2016. 日本周産期・新生児医学会雑誌. 2018;54(1):101-107. [メディカルオンライン]
  • [9] 厚生科学審議会先端医療技術評価部会 出生前診断に関する専門委員会. 母体血清マーカー検査に関する見解(報告). 1999年6月23日. [厚生労働省・参考資料1として掲載]
  • [10] 厚生科学審議会科学技術部会 NIPT等の出生前検査に関する専門委員会. NIPT等の出生前検査に関する専門委員会報告書. 2021年5月. [こども家庭庁掲載PDF]
  • [11] 厚生労働省 がん検診事業の評価に関する委員会. 今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について(がん検診事業の評価に関する委員会報告書). 2008年3月.(肺がん検診のプロセス指標:陽性反応適中度の許容値1.3%以上) [厚生労働省]
  • [12] Aberle DR, DeMello S, Berg CD, et al; National Lung Screening Trial Research Team. Results of the two incidence screenings in the National Lung Screening Trial. N Engl J Med. 2013;369(10):920-931. doi:10.1056/NEJMoa1208962. [DOI 10.1056/NEJMoa1208962]
  • [13] National Lung Screening Trial Research Team; Aberle DR, Adams AM, Berg CD, et al. Reduced lung-cancer mortality with low-dose computed tomographic screening. N Engl J Med. 2011;365(5):395-409. doi:10.1056/NEJMoa1102873. [DOI 10.1056/NEJMoa1102873]
  • [14] Huo J, Xu Y, Sheu T, Volk RJ, Shih YT. Complication rates and downstream medical costs associated with invasive diagnostic procedures for lung abnormalities in the community setting. JAMA Intern Med. 2019;179(3):324-332. doi:10.1001/jamainternmed.2018.6277. [DOI 10.1001/jamainternmed.2018.6277]
  • [15] Beta J, Zhang W, Geris S, Kostiv V, Akolekar R. Procedure-related risk of miscarriage following chorionic villus sampling and amniocentesis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2019;54(4):452-457. doi:10.1002/uog.20293. [DOI 10.1002/uog.20293]
  • [16] Fonseca A, Nazaré B, Canavarro MC. Parental psychological distress and quality of life after a prenatal or postnatal diagnosis of congenital anomaly: a controlled comparison study with parents of healthy infants. Disabil Health J. 2012;5(2):67-74. doi:10.1016/j.dhjo.2011.11.001. [DOI 10.1016/j.dhjo.2011.11.001]
  • [17] Li YF, Zhou KY, Fang J, et al. Efficacy of prenatal diagnosis of major congenital heart disease on perinatal management and perioperative mortality: a meta-analysis. World J Pediatr. 2016;12(3):298-307. [PubMed]
  • [18] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: a scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. doi:10.1177/1744629521995378. PMID:33866895. [PubMed 33866895]
  • [19] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. doi:10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
  • [20] McDonald-McGinn DM, Sullivan KE, Marino B, et al. 22q11.2 deletion syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2015;1:15071. doi:10.1038/nrdp.2015.71. [DOI 10.1038/nrdp.2015.71]
  • [21] Richards C, Jones C, Groves L, Moss J, Oliver C. Prevalence of autism spectrum disorder phenomenology in genetic disorders: a systematic review and meta-analysis. Lancet Psychiatry. 2015;2(10):909-916. doi:10.1016/S2215-0366(15)00376-4. [DOI 10.1016/S2215-0366(15)00376-4]
  • [22] Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al; ACMG Board of Directors. Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: an evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. doi:10.1016/j.gim.2022.11.004. PMID:36524989. [PubMed 36524989]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。検査を受けるかどうかは、主治医の説明を受けたうえでご自身で判断してください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

関連記事