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ダウン症新生児の特徴と診断方法 | 出生前診断前に知っておくべき全ガイド

この記事のポイント
  • 出生前診断を検討する前に知っておきたいダウン症新生児の特徴
  • ダウン症が診断される時期と検査方法
  • 出生後のダウン症新生児の体重増加と発達の特徴
  • 将来に備えて知っておきたい合併症とその医療ケア
  • ダウン症児を育てる際の社会的支援とリソース

ダウン症(ダウン症候群、21トリソミー)は、新生児の染色体疾患の中で最も頻度が高い染色体異常です。21番目の染色体が通常より1本多くなることで特徴的な症状が現れます。出生前診断でダウン症の可能性を検査する方が増えていますが、診断の前に、ダウン症とはどのような状態なのか、出生後の赤ちゃんにはどのような特徴があるのかを理解しておくことが大切です。

この記事では、出生前診断を検討される方や、ダウン症について知りたい方に向けて、ダウン症新生児の特徴、診断方法、そして将来の子育てに備えて知っておくべき知識を詳しく解説します。将来のための準備や心構えとして、参考にしていただければ幸いです。

ダウン症はいつわかる?診断時期と検査方法について

ダウン症は出生前診断で発見されることもあれば、出生後に特徴から診断されることもあります。それぞれのタイミングで診断される場合の特徴と検査方法について見ていきましょう。

出生前診断によるダウン症の検査

妊娠中にダウン症の可能性を調べるための検査方法はいくつかあります:

検査名 検査時期 特徴
超音波検査(NT測定) 妊娠11週〜13週 胎児の首の後ろのむくみ(NT)が厚い場合、ダウン症の可能性を示唆
NIPT(新型出生前診断) 妊娠10週以降 母体血から胎児のDNAを分析し、高い精度でダウン症の可能性を調べる非確定的検査
母体血清マーカー検査 妊娠16週〜18週 母体の血液中のタンパク質やホルモン値からリスクを算出
羊水検査 妊娠15週以降 確定診断が可能だが、流産リスクを伴う侵襲的検査

出生前診断を検討する際には、各検査の特性や限界について理解しておくことが重要です。特にNIPT(新型出生前診断)は非侵襲的で高精度ですが、あくまでスクリーニング検査であり、確定診断には羊水検査などの追加検査が必要となります。

NIPT検査を検討される方へ

NIPT検査は、母体の血液からごく微量に含まれる胎児のDNAを分析することで、高い精度(99%以上)でダウン症などの染色体異常の可能性を調べることができます。検査は妊娠10週以降に受けることができ、結果は通常1〜2週間程度で判明します。検査前後の遺伝カウンセリングも大切です。ミネルバクリニックでは、検査の詳細や費用、カウンセリングについてのご相談を承っています。

超音波検査でわかるダウン症の兆候

妊婦健診での超音波検査で、ダウン症の可能性を示唆する所見が見られることがあります。詳しくは「ダウン症(21トリソミー)のエコー所見の特徴」をご覧ください:

  • 1 頸部浮腫(NT):胎児の首の後ろのむくみが厚い
  • 2 鼻骨の低形成:鼻骨が短い、または確認できない
  • 3 心臓の構造異常:ダウン症では心臓の異常を伴うことが多い
  • 4 腸管エコー輝度の上昇:腸が通常より明るく映る
  • 5 大腿骨短縮:大腿骨が週数に対して短い
要注意

超音波検査で見られる所見はあくまで可能性を示唆するものであり、確定診断ではありません。健常な赤ちゃんにもこれらの所見が見られることがあります。複数の所見が重なる場合には、より詳細な検査を検討する参考となります。検査結果に不安がある場合は、専門医に相談することをお勧めします。

出生後のダウン症の診断

出生前診断を受けていない場合や、検査で見逃された場合には、出生後に赤ちゃんの特徴から医師がダウン症を疑うことがあります。出生後の診断は、主に以下のようなプロセスで行われます:

1
身体的特徴の観察

特徴的な顔貌や手足の特徴を医師が確認

2
身体診察

筋緊張の低下など、全身の状態をチェック

3
染色体検査(確定診断)

血液検査による染色体分析で21トリソミーを確認

確定診断後は、心臓や消化器、聴覚、視覚など、ダウン症に伴う可能性のある合併症の有無を調べるための検査が行われます。これらの情報は、将来の医療ケアや支援計画を立てる上で重要です。

出生前診断前に知っておきたい ダウン症新生児の顔と身体の特徴

出生前診断を検討する際には、ダウン症の新生児にどのような特徴があるのかを理解しておくことが、将来の準備にとって役立ちます。ただし、すべての特徴が同じように現れるわけではなく、個人差があることにご留意ください。

顔の特徴

部位 特徴
・やや吊り上がった目(上外側に向かって傾いている)
・目と目の間が広い
・内眼角贅皮(蒙古ひだ)がある
・鼻筋が低い(扁平な鼻)
・小さな鼻
口・舌 ・小さな口
・舌が大きく見える(実際には口腔が小さいため)
・口が開いていることが多い
・小さな耳
・低位置についていることが多い
・特徴的な形
顔全体 ・丸い顔
・平坦な顔貌(顔の中心部が凹んでいない)
ダウン症の顔の特徴が生じる医学的背景

ダウン症の顔の特徴は、21番染色体のトリソミー(3本ある状態)によって引き起こされます。この染色体異常により、顔の骨や筋肉、結合組織の発達に影響が生じます。特に頭蓋骨の発達や顔の中心部の骨の成長に関わる遺伝子(DYRK1A、RUNX1など)の働きが変わることで、特徴的な顔貌が形成されます。これは単なる「見た目の特徴」ではなく、遺伝子の影響を受けた発達過程の結果であることを理解することが大切です。

手足の特徴

手の特徴

  • 短く幅広い手
  • 小指が内側に曲がっている(第5指弯曲)
  • 手のひらに「猿線」と呼ばれる一本の横線がある(単一手掌線)
  • 指が短い

足の特徴

  • 親指と人差し指の間の隙間が広い
  • 足の裏に特徴的なシワがある

その他の身体的特徴

1

筋緊張の低下:全身の筋肉の緊張が低く、抱っこしたときに「ぐにゃっ」としている印象

2

首の後ろの皮膚:余分な皮膚がある

3

小さな頭囲:頭が小さい傾向

4

低身長:成長に伴い低身長になる傾向

出生前診断を検討される方へ

ダウン症の身体的特徴を理解することは、出生前診断の結果を受け止める際の心の準備になります。また、これらの特徴は医学的な視点から理解することで、より適切な対応を考えることができます。ダウン症の診断を受けた場合に必要となる医療ケアや教育支援について、事前に情報を得ておくことも大切です。遺伝カウンセリングでは、これらの情報とともに、検査の意味や結果の解釈について詳しく説明を受けることができます。

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ミネルバクリニックでは、NIPT(新型出生前診断)を専門に提供しています。検査前後の遺伝カウンセリングでは、検査の内容や意味、結果の解釈について詳しくご説明します。不安やご質問があれば、専門医にご相談ください。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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