目次
📍 クイックナビゲーション
「新生児のダウン症はいつわかるの? 生後何か月で?」「ダウン症の赤ちゃんは小さく生まれるの?」。出産を控えた方や、生まれたばかりの赤ちゃんを前にした方から、よく聞かれる疑問です。ダウン症候群(21トリソミー)は、多くの場合生まれた直後に身体的特徴から疑われ、染色体検査で確定します。施設によっては数日で結果が出る迅速検査(FISH法など)で見当をつけ、確定に使う染色体の核型分析(G分染法)は結果まで2〜3週間ほどかかります。出生体重は、妊娠38週までは一般の赤ちゃんとほとんど変わらず、38週を過ぎると軽めになる傾向があります。また、妊娠中にお母さんの体重が増えないこと自体は、ダウン症候群のサインではありません。この記事では、診断がつく時期、出生体重と胎児期の体重、一重まぶたなどの特徴、生まれてからの体重の増え方と発達、体重に関わる合併症、そして出生前に知る方法までを、臨床遺伝専門医の立場から順に解説します。
- ➤新生児のダウン症候群は生後いつわかるか(生後何か月・1歳を過ぎてわかる場合)
- ➤ダウン症候群の赤ちゃんの出生体重と胎児期の体重(38週以降に差が開く)
- ➤妊娠中にお母さんの体重が増えないこととの関係、一重まぶたなどの身体的特徴
- ➤生まれてからの体重の増え方・発達の目安と、ダウン症候群専用の成長曲線
- ➤体重に影響する合併症と、NIPT(妊娠9週から)で事前に知るという選択肢
⏱️ 30秒でわかる要約
📅 Q. 新生児のダウン症はいつわかる? 生後何か月で?
多くは生まれた直後に、つり目や筋緊張低下などの特徴から疑われ、採血による染色体検査で確定します。迅速検査(FISH法)なら数日で見当がつきますが、確定に使う核型分析(G分染法)は結果まで2〜3週間ほどかかります。特徴がはっきりしないモザイク型などでは、生後数か月〜1歳を過ぎて、発達のゆっくりさから分かることもあります。
👶 Q. ダウン症の赤ちゃんの出生体重は? 小さく生まれる?
英国の8,825人の調査では、妊娠38週までは一般の赤ちゃんとほとんど差がなく、38週を過ぎて生まれると軽めになると報告されています。4,000g以上の大きな赤ちゃんで生まれることは少なく、生まれた後はダウン症候群専用の成長曲線でその子のペースを見ていきます。
🤰 Q. 妊娠中に体重が増えないのは、ダウン症のサイン?
いいえ。お母さんの体重の増え方は、つわりや食事、もともとの体格で変わるもので、赤ちゃんの染色体を表すものではありません。ただし体重の増えが少なすぎると、赤ちゃんが小さめに生まれたり早産になったりしやすいので、健診で相談してください。
1. ダウン症児の出生体重の特徴
【結論】 ダウン症候群の赤ちゃんの出生体重は、妊娠38週までに生まれた場合は一般の赤ちゃんとほとんど変わらず、38週を過ぎてから差が開いて軽めになる傾向があります[1]。平均すると軽めになりますが、一般の赤ちゃんと同じくらいの体重で生まれるお子さんも多く、体重だけでダウン症候群かどうかは分かりません。
「ダウン症の赤ちゃんは小さく生まれるのかな」「体重が心配」。そんな不安を抱えてこのページをご覧になっている方も多いと思います。まずは、数字が何を意味していて、何を意味していないのかを確認していきましょう。
ダウン症候群(21トリソミー)は、21番染色体が通常より1本多い3本になっている状態です。英国(イングランドとウェールズ)で1989〜2010年に生まれたダウン症候群の赤ちゃん8,825人の出生体重を、一般の赤ちゃんの基準(UK-WHO成長曲線)と比べた研究では、38週までは発育の遅れがほとんど見られず、38週以降に生まれた赤ちゃんで差が大きくなることが示されました[1]。そのため研究者は、38週以降に生まれた場合はダウン症候群専用の成長曲線を使うよう勧めています。
言いかえると、おなかの中にいる時期(胎児期)の体重は、妊娠の終わりごろまでは一般の赤ちゃんとほぼ同じように増えていくということです。胎児の体重は、健診の超音波検査で測った推定体重を、胎児の成長曲線(胎児発育曲線)に当てはめて確かめます。ダウン症候群の胎児専用の成長曲線が健診で使われることはなく、一般の曲線で見ていきます。胎児の成長曲線の見方は胎児の成長曲線とは?赤ちゃんの大きさ・発育曲線グラフの見方で解説しています。
📊 出生体重について押さえておきたいこと
妊娠中にお母さんの体重が増えないと、ダウン症?
「妊娠中なのに体重が増えない」ことと、赤ちゃんのダウン症候群は直接の関係はありません。ダウン症候群の多くは、卵子や精子ができるときに染色体がうまく分かれないこと(染色体不分離)で、受精の時点ですでに決まっているものです[5]。お母さんの体重の増え方は、つわりの重さ、食事の量、妊娠前の体格などで変わり、赤ちゃんの染色体を映すものではありません。
ただし、体重の増え方そのものには意味があります。妊娠中の体重増加と赤ちゃんの経過を調べた研究を集めて解析した報告では、体重の増え方が推奨より少ないと、赤ちゃんが在胎週数に比べて小さく生まれること(SGA)や早産が増え、反対に多すぎると大きく生まれることが増えていました[2]。赤ちゃんが順調に育っているかは、お母さんの体重ではなく、健診の超音波検査で測る推定体重で確かめます。妊娠中の体重の目安と対処法は妊娠中に体重が増えないけど大丈夫?で、赤ちゃんが小さめと言われたときのことは胎児発育不全(FGR)とはで解説しています。
💡 用語解説:SGA(エスジーエー)
Small for Gestational Age の略で、生まれた週数に比べて体重や身長が小さい赤ちゃんのことです。2,500g未満で生まれる「低出生体重児」とは別の物差しで、週数を考えに入れて小ささを判断します。
出生体重が軽くなる理由
ダウン症候群の赤ちゃんの出生体重が軽めになりやすい背景には、いくつかの要因が重なっていると考えられています。
🔍 体重に関わる要因
なお、健診で「赤ちゃんが大きめ・小さめ」と言われた場合のエコー所見の読み方はダウン症はエコーで指摘されない?わかる時期と特徴で、つわりやお腹の大きさなど妊娠中の「予兆」の噂はダウン症の予兆はある?で解説しています。
2. 新生児ダウン症はいつわかる?診断時期を詳しく解説
【結論】 新生児のダウン症候群は、生まれた直後の身体的特徴から疑われ、染色体検査で確定します。迅速検査(FISH法など)は数日、確定に使う核型分析(G分染法)は2〜3週間ほどが結果までの目安です。出生前であれば、NIPTで可能性を調べることができ、ミネルバクリニックでは妊娠9週から受けられます(妊娠6〜8週は臨床研究として実施)。
「赤ちゃんのダウン症はいつわかるの?」「生まれてすぐにわかるの?」という疑問を持つ方は少なくありません。診断のタイミングは、大きく分けて「出生前」と「出生後」の2つがあります。出生前と出生後の違いはダウン症はいつわかる?出生前・出生後の診断の違いでも詳しく解説しています。
🔍 ダウン症候群の診断タイミング
| 時期 | 主な方法・きっかけ |
|---|---|
| ① 出生前(妊娠中) | NIPT(ミネルバクリニックでは妊娠9週〜。6〜8週は臨床研究)/コンバインド検査(妊娠11〜13週)/絨毛検査(確定検査・妊娠11〜14週)/羊水検査(確定検査・妊娠15〜18週ごろ) |
| ② 出生直後(生後数時間〜数日) | 一重まぶた・つり目・筋緊張低下などの身体的特徴から疑い、採血して染色体検査。迅速検査(FISH法)は数日、核型分析(G分染法)は2〜3週間ほど |
| ③ 乳児期以降 | 首すわり・寝返りなどの発達の遅れから気づかれることもある |
| ④ モザイク型 | 特徴がはっきりしないことがあり、幼児期〜学童期に診断されることもある |
生後何か月でわかる? 1歳を過ぎてわかることは?
21番染色体が3本ある細胞だけでできている「標準型」のダウン症候群では、特徴がそろっていることが多いため、生後数日のうちに疑われ、核型分析(G分染法)の結果が出る生後2〜3週間ほどで診断が確定するのが一般的です。一方、21トリソミーの細胞と正常な細胞が混ざっている「モザイク型」では、特徴が目立たないことがあり、生まれた直後には気づかれず、首すわりや歩き始めのゆっくりさなどをきっかけに、生後数か月〜1歳を過ぎてから、あるいは幼児期〜学童期に分かることもあります。モザイク型についてはモザイク型ダウン症とは?気づかない特徴といつわかるかで解説しています。
反対に、生まれた直後に「ダウン症候群かもしれない」と言われても、染色体検査の結果、ダウン症候群ではなかったということも珍しくありません。一重まぶたやつり目、体のやわらかさは、ダウン症候群でない赤ちゃんにもよく見られるからです。疑いを伝えられた段階では、結果が出るまで決めつけずに待つことが大切です。
出生後の診断プロセス
出生後にダウン症候群が疑われる場合、通常は次のような流れで診断が進みます。
🩺 出生後の診断の流れ
| 段階 | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 臨床的な疑い | 出生直後 | 身体的特徴(顔つき、筋緊張など)の観察 |
| 迅速検査(施設による) | 採血から数日 | FISH法などで、21番染色体が3本あるかどうかの見当をつける |
| 核型分析(確定) | 採血から2〜3週間ほど | G分染法で染色体の数と形を調べ、標準型・転座型・モザイク型を見分ける |
| 結果の説明 | 核型分析の結果が出てから | 確定診断と今後の説明 |
| 合併症の検査 | 生後1か月ごろまで | 心臓の超音波検査、甲状腺の検査など[3] |
迅速検査で21番染色体が多いと分かっても、核型分析まで待つのには理由があります。ダウン症候群の約95%は21番染色体がまるごと1本多い「標準型」ですが、約4%は21番染色体がほかの染色体にくっついた「転座型」、約1%は「モザイク型」です[5]。転座型の一部は、ご両親のどちらかが転座をもっていて受け継がれたもので、その場合は次の妊娠で同じことが起こる可能性が高くなります。FISH法では21番染色体の数は分かっても、この「形」までは分からないため、転座型かどうかを見分ける核型分析が確定診断に必要です。転座型と分かった場合は、ご両親の染色体検査と遺伝カウンセリングで、次の妊娠での可能性を確かめます。
🩺 院長コラム【「いつわかる」より「どう備えるか」が大切】
「いつわかるのか」は、多くの方が最初に知りたいことだと思います。答えは「出生前でも出生後でも診断できる」ですが、私が大切だと考えているのは、「いつわかるか」よりも「知ったあとにどう備えるか」です。
出生前に分かれば、新生児集中治療室(NICU)のある病院を選ぶ、小児循環器の医師と出生前から連携しておく、ご家族で話し合う時間を持つ、といった準備ができます。出生後に分かった場合でも、早期療育や支援制度の情報を集め、お子さんの成長を支える準備はできます。どちらであっても、正確な情報が次の一歩を決める土台になると考えています。
3. ダウン症の身体的特徴|一重まぶた・つり目など
【結論】 ダウン症候群の赤ちゃんには、一重まぶたに見える目頭のひだ(内眼角贅皮)、つり目(眼裂斜上)、平坦な顔つきなどの特徴がみられることがあります[5]。ただし、これらには個人差があり、すべての赤ちゃんに当てはまるわけではありません。
「ダウン症は一重まぶたが特徴?」「どんな見た目でわかるの?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。ダウン症候群には特徴的な身体所見がありますが、これらは診断の「手がかり」であり、確定診断は必ず染色体検査で行います。
目の特徴(一重まぶた・つり目)
👁️ 目の特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 内眼角贅皮(ないがんかくぜいひ) | 目頭を覆う皮膚のひだ。いわゆる「一重まぶた」「蒙古ひだ」として見えることが多い |
| 眼裂斜上(がんれつしゃじょう) | 目が外側上方に傾いている、いわゆる「つり目」 |
| ブラッシュフィールド斑 | 虹彩(黒目の周り)に見られる白い斑点 |
| 斜視・強い屈折異常 | 36〜80%にみられると報告されている[3] |
⚠️ 注意
「一重まぶた」や「つり目」は、日本人(東アジアの人)では一般的によく見られる特徴です。これらの特徴があるからといってダウン症候群とは限りません。診断は必ず染色体検査で確定されます。
その他の身体的特徴
🧒 顔・手足・全身の特徴
| 部位 | 主な特徴 |
|---|---|
| 顔 | 平坦な顔つき(鼻の付け根が低い)、小さめの耳(位置が低いことも)、舌が出やすい、短い首 |
| 手足 | 短い指(特に小指)、手のひらの横一文字のしわ、小指の内側への曲がり、足の親指と人差し指の間が広い(サンダルギャップ) |
| 全身 | 筋緊張低下(体がやわらかい)、関節がやわらかい、低身長の傾向、皮膚が乾燥しやすい |
妊娠中の超音波検査で見える特徴(エコー写真や顔つき)については、ダウン症はエコーで指摘されない?わかる時期と特徴にまとめています。
4. 巨大児とダウン症の関係
【結論】 ダウン症候群の赤ちゃんは、むしろ出生体重が軽めになる傾向があり[1]、4,000g以上の大きな赤ちゃん(巨大児)で生まれたからといって、ダウン症候群の可能性が高まるわけではありません。
「赤ちゃんが大きいとダウン症のリスクは?」「巨大児とダウン症は関係ある?」という疑問を持つ方もいらっしゃいます。結論から言うと、両者の関係は一般に思われているものとは逆の傾向です。巨大児の主な背景は、妊娠糖尿病、お母さんの肥満、妊娠中の体重の増えすぎ[2]、予定日を大きく過ぎての出産などです。
⚖️ 出生体重による分類とダウン症候群の傾向
| 分類 | 出生体重 | ダウン症候群の赤ちゃんの傾向 |
|---|---|---|
| 極低出生体重児 | 1,500g未満 | 早産や合併症に伴うことがある |
| 低出生体重児 | 2,500g未満 | 38週以降の出生体重が軽めのため、一般より多い傾向[1] |
| 正常出生体重 | 2,500〜4,000g未満 | 多くのお子さんがここに入る |
| 巨大児 | 4,000g以上 | 少ない(出生体重はむしろ軽めの傾向) |
💡 巨大児の主な背景
巨大児の主な背景は、妊娠糖尿病、お母さんの肥満、妊娠中の体重の増えすぎ、予定日を大きく過ぎての出産、男の子などです。ダウン症候群は巨大児の背景にはあたりません。ただし、お母さんが妊娠糖尿病の場合は、ダウン症候群の赤ちゃんでも大きめに生まれることはありえます。妊娠糖尿病については妊娠糖尿病とは?で解説しています。
5. ダウン症児の体重増加の目安
【結論】 ダウン症候群のお子さんの成長は「ゆっくり」でも着実に進みます。一般の成長曲線ではなく、ダウン症候群専用の成長曲線を使って、その子のペースを見ていくことが大切です[3][4]。
「うちの子の体重の増えが遅い気がする」「母乳が足りているか心配」。そんな不安を感じることもあるでしょう。米国では、ダウン症候群のお子さんの身長・体重・頭囲のデータから専用の成長曲線が作られており[4]、米国小児科学会の指針もこの専用曲線で成長を確かめるよう勧めています[3]。ダウン症候群のお子さんは身長が低めになる傾向があるため、身長も一般の曲線ではなく専用の曲線で評価します[4]。
年齢別の体重増加の目安
📈 時期ごとに体重で見ておきたいポイント
⚠️ 重要
体重の増え方には個人差があります。ダウン症候群専用の成長曲線を使い、定期的な健診で小児科の主治医に確認してもらうことが大切です。
新生児期の哺乳と体重増加
ダウン症候群の赤ちゃんは、筋緊張低下(筋肉の張りが弱いこと)のために、哺乳に時間がかかることがあります。米国小児科学会の指針では、逆流や飲み込みの難しさを含む哺乳の問題は31〜80%にみられるとされています[3]。母乳育児を希望される場合も、工夫とサポートで続けられることが多くあります。
🍼 哺乳のポイント
・少量ずつ、回数を多めに授乳する
・授乳の姿勢を工夫する(頭を少し高くするなど)
・母乳が難しい場合は、搾乳や混合栄養も選択肢に
・助産師や療育機関に早めに相談する
6. ダウン症児の発達の特徴
【結論】 ダウン症候群のお子さんの発達は「ゆっくり」ですが、着実に進みます。運動の発達も言葉の発達も一般のお子さんより時間がかかりますが、早い時期からの療育やリハビリが発達を後押しします。
「いつ首がすわるの?」「歩けるようになるのはいつ?」と、発達の目安が気になる方も多いでしょう。下の表は、報告によって幅のあるおおよその目安です。
運動発達のマイルストーン
🚶 運動発達のおおよその目安
| 発達の目安 | 一般的な時期 | ダウン症候群のお子さんの目安 |
|---|---|---|
| 首すわり | 3〜4か月 | 4〜6か月 |
| 寝返り | 5〜6か月 | 6〜9か月 |
| お座り | 7〜8か月 | 9〜12か月 |
| ハイハイ | 8〜10か月 | 12〜18か月 |
| つかまり立ち | 9〜11か月 | 15〜24か月 |
| ひとり歩き | 12〜15か月 | 18〜36か月 |
※おおよその目安です。お子さんによって幅があり、早く歩き始めるお子さんもいます。
言語発達の特徴
言葉の発達も、運動の発達と同じようにゆっくり進みます。言葉を理解する力は比較的よく育つ一方で、言葉を話すことには時間がかかる傾向があります[5]。
💬 言葉の発達のおおよその目安
・はじめての意味のある言葉:1歳半〜3歳ごろ
・二語文:3〜4歳ごろ
・言葉の理解は、話すことより先に育つことが多い
・ベビーサインや絵カードを使ったやりとりも役に立つ
7. 合併症と体重への影響
【結論】 ダウン症候群のお子さんにはさまざまな合併症がみられることがあり、体重の増え方や発達に影響することがあります。特に先天性心疾患は40〜50%にみられ[3]、適切な時期の治療が体重の増え方にも関わります。
合併症と聞くと不安になるかもしれませんが、多くは治療や管理ができるものです。生まれた後に必要な検査を計画的に受けることで、早く見つけて対応できます。
体重に影響する主な合併症
🏥 体重に関わる主な合併症(頻度は米国小児科学会の指針[3])
| 合併症 | 頻度 | 体重への影響 |
|---|---|---|
| 先天性心疾患 | 40〜50% | 哺乳で疲れやすく、体重が増えにくい原因になる |
| 消化管の閉鎖(十二指腸閉鎖など) | 12% | 手術が必要になり、栄養のとり方に影響する |
| 甲状腺の病気 | 生まれつきの甲状腺機能低下症2〜7%、成長とともに24〜50% | 代謝が下がり、体重が増えやすくなる・成長がゆっくりになる |
| セリアック病 | 1〜5% | 栄養の吸収が悪くなり、体重が増えにくい |
| 閉塞性睡眠時無呼吸 | 50〜79% | 睡眠の質が下がる。肥満があると悪化しやすい |
💡 先天性心疾患と体重の関係
ダウン症候群に多い心室中隔欠損や房室中隔欠損(心内膜床欠損)などの心臓の病気は、心臓に負担がかかるため、哺乳のときに疲れやすく、体重の増えが遅れることがあります。適切な時期に手術などの治療を受けて心臓の負担が軽くなると、体重の増え方も整っていくことが多いです。
8. NIPTで事前に知ることのメリット
【結論】 NIPT(新型出生前診断)でダウン症候群の可能性を事前に知ることで、NICUのある病院選び、小児循環器などの医師との連携、ご家族の心の準備など、出産に向けた準備ができます。
「事前に知ることに意味があるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ここまで見てきたように、ダウン症候群の赤ちゃんは心臓や消化管の病気を伴うことがあり、生まれてすぐの検査や治療が必要になる場合があります。出生前に分かっていれば、その準備を前もって整えられます。
🏥 事前に知ることでできる準備
| 準備 | 内容 |
|---|---|
| 出産する施設を選ぶ | NICUのある病院、小児循環器の医師がいる施設を選べる |
| 医療チームとの連携 | 出産前から小児科・小児循環器の医師と連携しておける |
| ご家族の心の準備 | 気持ちを整え、情報を集める時間が持てる |
| 療育・支援の情報を集める | 早期療育や支援制度について前もって調べられる |
NIPTの精度と検査の流れ
NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAの断片(cell-free DNA)を調べ、ダウン症候群を含む染色体の変化の可能性を推定する検査です。研究をまとめた解析では、ダウン症候群の検出率は99.7%、偽陽性率は0.04%と報告されています[6]。
🧬 ミネルバクリニックのNIPTの基本
⚠️ 大切なこと
NIPTはスクリーニング検査です。陽性の場合は、羊水検査・絨毛検査などの確定検査で確かめます。ミネルバクリニックでは確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性的中率など精度の考え方はNIPTの精度・確率は?感度・特異度と陽性的中率で解説しています。
子育ての負担を左右するものと、22q11.2欠失症候群
知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、子育てのストレスと最も一貫して関係していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動などの行動の問題や睡眠の問題でした。こうした特徴を伴いやすい病気には、スミス・マゲニス症候群やプラダー・ウィリー症候群などの微小欠失症候群も含まれています[7]。また、微小欠失症候群の中で最も多い22q11.2欠失症候群は、妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられ、お母さんの年齢とは関係なく起こります[8]。これらは三大トリソミーだけを調べる検査では分かりませんが、ミネルバクリニックではスタンダードプランから22q11.2欠失症候群・スミス・マゲニス症候群・プラダー・ウィリー症候群を含む微小欠失を調べられます。
🩺 院長コラム【NIPTを受ける前に知っておいてほしいこと】
NIPTは「受けるか、受けないか」だけでなく、「結果が出たあとにどうするか」まで考えておくことが大切だと考えています。陽性だった場合の選択肢、陰性だった場合に分かること・分からないこと、判定保留になった場合の進め方。こうした場面を前もって想定しておくと、結果を落ち着いて受け止めやすくなります。
ミネルバクリニックでは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、検査の意味と結果の読み方、その後の選択肢をお伝えしています。陽性の場合は、陽性のカウンセリングを何度でも無料で受けられ、確定検査まで院内で進められます。どのような結果であっても、ご家族が納得して次の一歩を選べることがいちばん大切だと考えています。
検査は「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ ― 1つの病気あたりで考えると
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。「安さ」だけで選んで大丈夫でしょうか。
ひとつの目安として、調べられる病気の数で割って考えてみます。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、調べる病気は3つなので、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,700円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。
🧬 調べられる範囲と「1つの病気あたり」の目安
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード (220,000円) |
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム (264,000円) |
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド (407,000円) |
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス (440,000円) |
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル (550,000円) |
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
ただし、病気の数が多いほどよい検査というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、検査の前に遺伝カウンセリングで、ご家族にとって必要な範囲を一緒に考えることが大切です。
9. ミネルバクリニックのサポート体制
ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が常駐し、検査前の遺伝カウンセリングから、陽性のときの確定検査まで院内で対応しています。
🔬 プランごとの検査方式
スタンダードプランは標的捕捉濃縮法で検査します(精度のデータはスタンダードプランのエビデンス)。ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※で、インペリアルプランは低深度全ゲノムシーケンスとターゲット法を組み合わせて検査します。
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
🏥 院内で確定検査まで対応
2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。転院の手続きがいらず、結果を待つ時間も短くできます。
👩⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐
臨床遺伝専門医が常駐し、90分の受診枠の中で遺伝カウンセリングを行います。陽性の場合は、陽性のカウンセリングを何度でも無料で受けられます。
💰 互助会2つ(NIPTを受ける方は全員加入)
羊水検査互助会(カトレア会)は会費8,000円で、陽性のときの羊水検査の費用を上限なく補助します。安心検査結果保障制度(6,000円)は、結果が出ず再検査が必要なのに、流産で再検査ができない場合に備える互助会で、検査料金(諸費用を除く)が返金されます。どちらも収益を目的としない事業のため、消費税の対象外です。
🏥 ダウン症候群のこと、検査のこと、臨床遺伝専門医に相談できます
ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が常駐し、NIPTは妊娠9週から。陽性なら羊水検査・絨毛検査まで院内で受けられます。遠方の方は、全国110か所の提携施設で採血できるオンラインNIPTもご利用いただけます。
NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768
よくある質問(FAQ)
Q1. 新生児のダウン症はいつわかりますか? 生後何か月でわかりますか?
多くは生まれた直後に、身体的特徴(一重まぶたに見える目頭のひだ、つり目、筋緊張低下など)から疑われ、採血による染色体検査で確定します。迅速検査(FISH法)なら数日で見当がつきますが、確定に使う核型分析(G分染法)は結果まで2〜3週間ほどかかり、標準型・転座型・モザイク型の区別もこの検査で分かります。標準型では生後2〜3週間ほどで診断が確定するのが一般的ですが、特徴が目立たないモザイク型では、生後数か月〜1歳を過ぎてから、発達のゆっくりさをきっかけに分かることもあります。出生前であれば、NIPTで可能性を調べられます。ミネルバクリニックでは妊娠9週から受けられます(妊娠6〜8週は臨床研究として実施)。
Q2. 出生前の検査は、ダウン症候群だけを調べれば大丈夫ですか?
ダウン症候群は出生前検査でよく知られた病気ですが、赤ちゃんの病気はそれだけではありません。22q11.2欠失症候群などの微小欠失や、単一遺伝子の病気は、三大トリソミーだけを調べる検査では分かりません。どこまで調べるかはご家族によって違うので、検査前の遺伝カウンセリングで範囲を選ぶことをお勧めします。ミネルバクリニックでは、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を含む微小欠失を調べられます。
Q3. ダウン症の赤ちゃんは何グラムくらいで生まれますか?
英国の8,825人の調査では、妊娠38週までに生まれたダウン症候群の赤ちゃんの出生体重は一般の赤ちゃんとほとんど差がなく、38週を過ぎて生まれた場合に軽めになる傾向がありました。一般の赤ちゃんと同じくらいの体重で生まれるお子さんも多く、体重だけでダウン症候群かどうかは分かりません。
Q4. 妊娠中に体重が増えないと、赤ちゃんがダウン症ということはありますか?
お母さんの体重が増えないこと自体は、ダウン症候群のサインではありません。ダウン症候群は受精の時点で決まる染色体の変化で、お母さんの体重の増え方はつわりや食事、もともとの体格で変わります。ただし、体重の増えが推奨より少ないと、赤ちゃんが小さく生まれたり早産になったりしやすいことが分かっているので、健診で医師や助産師に相談してください。赤ちゃんの育ち具合は、超音波検査の推定体重で確かめます。
Q5. ダウン症は一重まぶたが特徴ですか?
ダウン症候群の赤ちゃんには、内眼角贅皮(ないがんかくぜいひ)という目頭を覆う皮膚のひだが見られることが多く、これが「一重まぶた」のように見えることがあります。つり目(眼裂斜上)も特徴の一つです。ただし、これらは日本人には一般的にもよく見られる特徴で、一重まぶたがあるからといってダウン症候群とは限りません。診断は染色体検査で確定し、生まれた直後に疑われても検査でダウン症候群ではなかったということも珍しくありません。
Q6. 4,000g以上(巨大児)で生まれると、ダウン症の可能性は高いですか?
いいえ、むしろ逆の傾向です。ダウン症候群の赤ちゃんの出生体重は軽めになる傾向があり、巨大児で生まれたからといってダウン症候群の可能性が高まるわけではありません。巨大児の主な背景は、妊娠糖尿病、お母さんの肥満、妊娠中の体重の増えすぎ、予定日を大きく過ぎての出産などです。
Q7. ダウン症の赤ちゃんは母乳で育てられますか?
はい、母乳で育てられる赤ちゃんは多くいます。筋緊張低下のために哺乳に時間がかかることがあるので、少量ずつ回数を多めに授乳する、姿勢を工夫するなどのサポートが役立ちます。搾乳や混合栄養も選択肢です。心臓の病気があって哺乳で疲れやすい場合は、主治医と相談しながら進めてください。
Q8. ダウン症の子どもは歩けるようになりますか?
はい、多くのお子さんが歩けるようになります。ひとり歩きの時期は一般のお子さんより遅く、18〜36か月ごろがおおよその目安です。早い時期からの理学療法などのリハビリが、運動の発達を後押しします。
Q9. NIPTでダウン症が陽性だった場合、必ずダウン症ですか?
NIPTはスクリーニング検査で、確定診断ではありません。陽性の結果が本当に当たっている割合(陽性的中率)は、お母さんの年齢などで変わります。陽性の場合は、羊水検査・絨毛検査などの確定検査で確かめてください。ミネルバクリニックでは確定検査まで院内で受けられ、陽性のカウンセリングは何度でも無料です。
Q10. モザイク型ダウン症はいつわかりますか?
モザイク型は、21トリソミーの細胞と正常な細胞が混ざっているタイプで、特徴がはっきりしないことがあり、生まれた直後には気づかれないこともあります。発達のゆっくりさなどから、幼児期〜学童期に診断されることもあります。NIPTでは見つけにくいことがあり、確定には染色体検査が必要です。
Q11. 遠方ですが検査を受けられますか?
はい、オンラインNIPTなら全国から受けられます。遺伝カウンセリングはオンラインで臨床遺伝専門医が行い、採血は全国110か所の提携施設で受けられます(採血料は施設ごとに異なります)。
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。妊娠中の体重や赤ちゃんの成長については、主治医にご相談ください。






