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📍 クイックナビゲーション
「ダウン症のお子さんは、どうしてみんな顔が似ているのだろう」——そう感じたことがある方は少なくないと思います。逆に、「うちの子はダウン症ではないと言われたのに、顔つきが似ている気がする」「自分の顔立ちが気になる」と悩む方もいらっしゃいます。この記事では、顔つきに共通した傾向が出る医学的な理由と、顔つきだけでは診断できない理由を、臨床遺伝専門医の立場から整理してお伝えします。
- ➤顔つきに共通の傾向が出るのは、顔の中心部をつくる細胞の育ち方がゆっくりになるため
- ➤それでも、ご両親から受け継いだ顔立ちは確かに残っている
- ➤ダウン症ではないのに似て見えるとき、何が起きているのか
- ➤顔つきがはっきりしてくる時期と、軽度・モザイク型で目立たない場合
- ➤顔つきでは診断できない理由と、正確に確かめるための方法
- ➤出生前検査で調べられる、ダウン症候群のほかの病気
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. ダウン症の顔つきは、なぜ似て見えるの?
21番染色体が3本になると、顔の中心部(中顔面)をつくる神経堤細胞の増え方がゆっくりになり、鼻すじが低く見える・顔が平坦に見えるといった同じ方向の変化が共通して出るためです。顔全体が置き換わるわけではありません。
👪 Q. 本当に「みんな同じ顔」なの?
いいえ。3本になっているのは46本のうち21番の1本だけで、残りの設計図はご両親から受け継いだものです。目元はお母さん似、口元はお父さん似といった家族の面影はしっかり残ります。
🔍 Q. 顔つきでダウン症かどうか分かる?
分かりません。専門医が直接診察しても、見た目から疑って染色体が通常だった例が報告されています。新生児期はむくみでいちばん分かりにくく、モザイク型では顔つきがほとんど目立たないこともあります。
🧪 Q. 確かめるにはどうすればいい?
妊娠中はNIPTで可能性を調べ、陽性なら羊水検査・絨毛検査で確かめます。当院のNIPTは妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として)受けられ、確定検査まで院内で受けられます(主要な検査項目は3日以内に結果)。生まれたあとは染色体検査(Gバンド法)で確認します。
\ 顔つきでは分からないことを、検査で確かめたい方へ /
ダウン症候群のほかに、子育ての負担につながりやすい病気まで調べられることも知っておいてください。当院のNIPTは妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として)受けられ、陽性なら確定検査まで院内で受けられます。
なぜ顔つきが似て見えるのか ― 顔の中心部の育ち方がゆっくりになる
はじめに結論からお伝えします。ダウン症のお子さんの顔つきに共通した傾向があらわれるのは、21番染色体が3本になることで、顔の中心部(中顔面)をつくる細胞の増え方がゆっくりになるからです。顔全体が別のものに置き換わるわけではなく、同じ方向へ少しだけ寄せられる、というイメージが実際に近いものです。
「染色体が1本多い」と、体の中で何が起きるのか
ダウン症候群(21トリソミー)は、通常2本ある21番染色体が3本ある状態です[1]。染色体の上には遺伝子が並んでいますから、3本になるとその領域の遺伝子が1.5倍の量ではたらくことになります。これを遺伝子量(gene dosage)の変化と呼びます。
ここが大切な点なのですが、「悪い遺伝子が加わった」のではありません。もともと誰もが持っている遺伝子の量が変わっただけです。ところが体の発生は量のバランスに敏感で、とくに細胞が増えるスピードが影響を受けやすいことが分かっています。
💡 用語解説:遺伝子量(gene dosage)
遺伝子量…ある遺伝子が体の中で「何本分」はたらいているか、という量のことです。ふつうは父由来・母由来の2本分ですが、トリソミーでは3本分になります。レシピの材料を1.5倍にすると、味そのものは変わらなくても仕上がりのバランスが変わる——そんなイメージが近いかもしれません。染色体の数的異常について、さらにくわしく解説しています。
顔の骨格をつくるのは「神経堤細胞」という特別な細胞
私たちの顔の骨や軟骨は、赤ちゃんがおなかの中にいるごく早い時期に、神経堤細胞(しんけいていさいぼう)という細胞が背中側から顔の方へ大移動してつくられます。この細胞が十分な数に増えて、正しい場所へ届くことが、顔立ちの土台になります。
動物モデルを用いた研究では、21番染色体に対応する領域が3本分になっていると、この神経堤細胞の数が少なくなり、顎のもとになる部分が小さくなることが報告されています[2]。さらに近年の研究では、顔つきの特徴にはDYRK1A遺伝子を含む複数の遺伝子の量の変化が関わることが示されています[3]。
顔の中でも、鼻すじ・上あご・目のまわりといった中央のパーツはとくに神経堤細胞に依存しています。ですから、この部分の育ちがゆっくりになると、鼻すじが低く見える、顔が平坦に見える、目のまわりの形が変わって見える——といった、似た方向の変化がみなさんに共通して出ることになります。これが「顔が似ている」と感じられる正体です。
🔬 用語解説:神経堤細胞・中顔面低形成
神経堤細胞…胎児のごく早い時期に、顔の骨・軟骨・歯・末梢神経などをつくるもとになる細胞。顔立ちの「設計と施工」の両方を担っています。関連して神経堤病変という考え方もあります。
中顔面低形成…目の下から上あごにかけての、顔の中央部分の育ちがゆっくりであること。鼻根部が低く見える、横顔が平坦に見える、といった印象につながります。
🩺 院長コラム【「顔で分かる」という言葉に、いつも引っかかります】
「ダウン症は顔を見れば分かる」という言い方を、私はあまり好みません。医学的に不正確であるだけでなく、その言葉が、目の前のお子さんを「特徴の集合体」として見る目線につながってしまうからです。
ご家族にとっては、「この子は目元がお父さん似で」「笑い方がおばあちゃんそっくりで」というほうが、ずっと本当のことなのだと考えています。共通した傾向は確かにありますが、それは顔立ちのごく一部分にすぎません。
それでも「ご両親に似ているところ」は必ず残っている
「みんな同じ顔に見える」という言葉を耳にすると、ご家族はつらい思いをされることがあります。ここは、はっきりとお伝えしておきたいところです。
顔立ちを決める遺伝情報は、46本の染色体すべてに散らばっています。3本になっているのは、そのうち21番の1本だけです。残りのほぼすべての設計図は、ご両親から半分ずつ受け継いだもののままです。だからこそ、目の形はお母さん似、口元はお父さん似、笑い方はおじいちゃん似——という家族の面影が、しっかりと残ります。
では、なぜ「似ている」と感じられるのでしょうか。ひとつには、人の目は共通点に強く引きつけられるという性質があります。中顔面の傾向という共通のサインを先に見つけてしまうと、そこに注意が集まり、一人ひとりの違いが見えにくくなるのです。ご家族が「うちの子はお姉ちゃんにそっくり」と感じ、初対面の方が「似ている」と感じる。どちらも、見ている場所が違うだけで、どちらも本当のことです。
ダウン症ではないのに、顔つきが似て見えるとき
「検査では何も言われていないのに、うちの子の顔つきが気になる」「ネットで調べたら特徴に当てはまる気がして眠れない」——こうした不安を抱える方は少なくありません。まず知っていただきたいのは、ダウン症の「特徴」とされる所見の多くは、ダウン症のない方にもごくふつうにみられるという事実です。
日本人にはもともと多い所見が含まれている
代表的なのが内眼角贅皮(ないがんかくぜいひ)です。目頭にかぶさる皮膚のひだのことで、かつて古い呼び名が使われていましたが、現在は用いません。この所見は東アジアの赤ちゃんにはごく一般的で、成長とともに目立たなくなることも多いものです。目尻がやや上がって見える眼裂斜上(がんれつしゃじょう)も同様です。
手のひらを横切る一本の線——かつて「猿線」と呼ばれた単一手掌屈曲線も、ダウン症のない方に珍しくありません。赤ちゃんの鼻すじが低いことも、成長の途中では当たり前のことです。これらは単独では何も意味しません。医師が診断の手がかりにするのは、あくまで多数の所見の組み合わせと、全身の状態です。
専門医でも、見た目だけの判断は外れることがある
これは強調しておきたいところです。北アイルランド全域を対象に、臨床診断と染色体検査の結果を突き合わせた研究では、見た目からダウン症を疑って検査に出したものの、染色体は通常だったという例が一定数あったことが報告されています[4]。専門的な訓練を受けた医師が、実物のお子さんを直接診察したうえでの話です。
ですから、スマートフォンの写真を見比べて心配を深めることには、医学的な根拠がありません。写真は角度・光・レンズの歪み・その日のむくみで、いくらでも印象が変わります。
⚠️ 大切なこと
顔つきは、その人の能力や人生を何ひとつ決めません。特徴を「見分ける」ための知識ではなく、不必要な不安を手放すための知識として読んでいただければと思います。
顔つきに特徴が出る状態は、ほかにもある
顔つきに共通の傾向があらわれる状態は、ダウン症だけではありません。ターナー症候群、ヌーナン症候群、ソトス症候群、ウィリアムズ症候群、13トリソミーなどが知られています。また、目のまわりの形が特徴的なBPES(眼瞼裂狭小・眼瞼下垂・逆内眼角贅皮症候群)のように、まぶたの所見が前面に出るものもあります。
ただし、ここでも「顔つきから病名を探しにいく」という順番は正しくありません。発達の様子、身長や体重の伸び、心臓や耳・目の所見など、全体を診たうえで必要があれば検査を検討する、という順序になります。気になることがあれば、遺伝診療の場でご相談ください。
顔つきがはっきりしてくる時期 ― 新生児期はいちばん分かりにくい
「生まれた瞬間に分かるのですか」と気になる方も多いと思います。答えは「新生児期は、むしろいちばん分かりにくい時期です」です。
生まれたばかりの赤ちゃんは、どのお子さんも顔がむくんでいます。骨格の輪郭は皮下のふくらみに隠れ、まぶたは腫れぼったく、鼻すじも低く見えます。つまり生後まもない時期は、すべての赤ちゃんが「特徴に当てはまって見える」状態にあるのです。「新生児のうちの子が二重あごに見える」「まぶたが腫れている」といったご心配の多くは、ここに由来しています。
実際に新生児期に医師が疑うきっかけになりやすいのは、顔立ちよりも全身の筋緊張が弱いことです。抱いたときの手ごたえがやわらかく、おっぱいを吸う力が弱い、といった状態をフロッピーインファントと呼びます。米国小児科学会の健康管理指針でも、新生児期は複数の所見と全身状態を総合して評価することが前提とされています[5]。
⏰ 顔つきの見え方が変わっていく流れ
出生直後…どの赤ちゃんもむくんでおり、顔立ちからの判断はもっとも難しい時期です。
生後数か月…むくみが引き、骨格の輪郭が見えてきます。中顔面の傾向が分かりやすくなるのはこの頃からです。
乳幼児期以降…成長とともに、ご両親から受け継いだ個性的な顔立ちがはっきりしてきます。
顔つきがほとんど目立たない場合もある ― 軽度・モザイク型
「顔つきに特徴がないから、ダウン症ではない」——これは成り立ちません。顔つきのあらわれ方には大きな個人差があり、周囲がまったく気づかないまま成長される方もいらっしゃいます。
とくにモザイク型では、体の中に21番染色体が3本の細胞と、通常どおり2本の細胞が混ざっています。3本の細胞の割合が低いほど、身体的な所見は目立ちにくく、発達の経過も穏やかな傾向があることが報告されています[6]。しかも、その割合は組織によって異なるため、血液の検査だけでは全体像がつかみにくいという難しさもあります。
💡 ここが大事です
顔つきが目立たないことは「軽い」「重い」という価値判断とは別の話です。所見の見えやすさと、そのお子さんの育ちや必要なサポートは、必ずしも一致しません。
顔つきでは診断できない ― 正確に確かめるための方法
ここまでお読みいただいたとおり、顔つきは診断の材料にはなりません。では、確かめたいときはどうすればよいのでしょうか。段階を追って整理します。
妊娠中のエコー所見は「可能性を示すサイン」まで
妊娠初期のエコーでは、鼻骨がみえないことや、首のうしろのむくみ(NT)が指摘されることがあります。ただし数字を正しく理解しておく必要があります。妊娠11〜13週の大規模な検討では、鼻骨がみえない割合は21トリソミーの胎児で約60%だった一方、染色体が通常の胎児でも2〜3%程度にみられました[7]。しかもこの割合は人種や妊娠週数によって変わることが分かっています[8]。
つまり、21トリソミーの胎児でも4割は所見が出ませんし、所見があってもダウン症でないことのほうが多いのです。エコー所見については、当院のくわしい解説記事をご覧ください。
NIPTと確定検査 ― 役割がはっきり分かれています
NIPTは、お母さんの血液に含まれるDNAのかけらを調べる検査で、一般に妊娠9〜10週以降に受けられます[9]。当院のNIPTは妊娠9週から受けられます。妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。採血のみで流産の心配がなく、可能性を絞り込む力にすぐれています。ただしNIPTは非確定的検査です。陽性の場合は、必ず確定検査で確かめます。
確定検査は羊水検査[10]と絨毛検査[11]で、赤ちゃん由来の細胞そのものから核型を確認します。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。NIPTの精度や、陽性のときに確定検査が必要な理由はNIPTの精度は本当に高い?的中率と限界を解説で説明しています。
生まれたあとに確かめる場合は、染色体検査(Gバンド法)で確認します。顔つきをどれだけ見比べても、この一歩には代わりません。
🩺 院長コラム【「調べない」という選択も、同じ重さで尊重します】
顔つきが気になって眠れない、という状態が続くのは、それ自体がとてもおつらいことです。そういうときには、「正確な情報を手に入れて不安を終わらせる」という選択肢もあると考えています。
同時に、検査を受けないという選択も、まったく同じ重さで尊重されるべきものだと考えています。当院は特定の答えへ誘導することはいたしません。何をどこまで知りたいのかは、ご家族によって違います。ご自身で決めていくための正確な材料をお渡しすることが、臨床遺伝専門医の役割だと考えています。
当院でできること
ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が常駐し、2025年6月に産婦人科を併設して、NIPTから確定検査(羊水検査・絨毛検査)までを院内で受けられる体制をとっています。90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。
🏥 当院の検査・サポート体制
臨床遺伝専門医が常駐
90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います
産婦人科併設(2025年6月〜)
NIPTから確定検査までを院内で。転院の必要がありません
確定検査の結果が早い
主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます
陽性のカウンセリングは何度でも無料
陽性のときは、確定検査(羊水検査・絨毛検査)もそのまま院内で受けられます
日曜・祝日に確定検査
確定検査は基本的に日曜日か祝日に実施。遠方の方も予定を立てやすくなります
妊娠9週から・全国から
妊娠6〜8週は臨床研究として。オンラインNIPTの提携施設は全国110か所
検査前後の遺伝カウンセリングは、臨床遺伝専門医が担当します。当院でNIPTを受ける方は全員、2つの互助会に加入していただきます。羊水検査互助会(カトレア会、会費8,000円)は、陽性となった場合の羊水検査・絨毛検査の費用を補助するもので、補助に上限はありません。安心検査結果保障制度(会費6,000円)は、結果が出ず再検査が必要になったのに、流産によって再検査ができなかった場合に備える互助会です。どちらも収益を目的としない事業のため、会費は消費税の対象外です。遠方の方はオンラインNIPTもご利用いただけます。検査の方式についてはCOATE法の解説もご覧ください。
ダウン症候群のほかにも、生まれる前に調べられる病気があります
顔つきの話から少し離れますが、出生前検査を考えるときに知っておいていただきたいことがあります。NIPTで調べられるのは、ダウン症候群(21トリソミー)だけではありません。染色体のごく一部が欠ける微小欠失症候群や、1つの遺伝子の変化で起こる単一遺伝子疾患も、プランによっては調べられます。
子育ての負担を左右する「行動の問題」
知的障害を伴うさまざまな病気のお子さんのご家族を対象にした研究をまとめた報告では、子育てのストレスと最も一貫して関係していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題でした[12]。睡眠の問題との関係を示した研究もあります[12]。同じ報告では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族で、子育てのストレスが高い傾向がまとめられています[12]。
また、アンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群では他人への攻撃的な行動が、コルネリア・デ・ランゲ症候群やスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群では自傷が多いことが分かっています[13]。
こうした病気は、どれも当院のNIPTで調べられます。スミス・マゲニス症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群はスタンダードプランから、ウィリアムズ症候群は双子マックスプランとインペリアルプラン、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプランとインペリアルプランが対象です。ダウン症候群のことを気にかけて出生前検査を調べている方にも、検査を選ぶ前に、ほかにどんな病気を調べられるのかを知っておいていただきたいと考えています。
22q11.2欠失症候群を調べる意味
22q11.2欠失症候群は、妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられ、微小欠失症候群の中で最も多い病気です[15]。多くは親から受け継いだものではなく新しく起こる変化で、母親の年齢とは関係がありません[15]。心臓の病気、免疫の働きの低下、低カルシウム血症、口蓋裂、発達の遅れなどを伴うことがあり、自閉スペクトラム症を伴う割合も一般より高いと報告されています[14][15]。
米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに、22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しています[16]。生まれる前に分かっていれば、出産する施設の選び方や、生まれてすぐの心臓・カルシウム・免疫の検査など、赤ちゃんを迎える準備ができます。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を調べられます。
ただし、微小欠失は染色体の数の異常に比べて陽性的中率が低めです。陽性のときは、確定検査で本当にそうかを確かめることが前提になります。くわしくはNIPT 微小欠失の陽性的中率はどのくらい?をご覧ください。
検査は「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ ― 1つの病気あたりで考えると
「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担と最も一貫して関係しているのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷といった「行動の問題」だと報告されています[12]。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[12][13]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。「安さ」だけで選んで大丈夫でしょうか。
三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。
当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,700円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード (220,000円) |
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム (264,000円) |
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド (407,000円) |
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス (440,000円) |
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル (550,000円) |
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
ただし、病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族が何をどこまで知りたいのかを確かめてからプランを選ぶことが大切です。
📋 各プランの詳しい内容
どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。
まとめ
- ➤似て見える理由:21番染色体が3本になり、顔の中心部をつくる神経堤細胞の育ちがゆっくりになるため
- ➤それでも家族の面影は残る:顔立ちの設計図は46本すべてに散らばっており、3本になっているのは1本だけ
- ➤似て見えても違う場合:内眼角贅皮や単一手掌屈曲線などは、ダウン症のない方にもよくみられる
- ➤時期による変化:新生児期はむくみでもっとも分かりにくく、生後数か月から輪郭が見えてくる
- ➤目立たない場合もある:モザイク型など、顔つきからはほとんど気づかれないこともある
- ➤確かめる方法:顔つきは診断材料にならず、確認は染色体検査(核型)による。妊娠中はNIPTで調べ、陽性なら確定検査で確かめる
- ➤ほかに調べられる病気:NIPTでは、プランによって22q11.2欠失症候群などの微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで調べられる
顔つきの話は、どうしても「見分ける」という方向に流れがちです。けれど本当に必要なのは、根拠のない不安から自由になることだと私たちは考えています。気がかりなことがあれば、どうかお一人で抱え込まず、ご相談ください。
🏥 顔つきでは分からないことを、確かめる方法があります
ミネルバクリニックでは臨床遺伝専門医が常駐し、NIPTは妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として)受けられます。陽性のときのカウンセリングは何度でも無料で、確定検査(羊水検査・絨毛検査)もそのまま院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。お生まれになったお子さんの染色体検査のご相談も承ります。
📞 NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768
よくある質問(FAQ)
Q1. ダウン症の子はなぜみんな同じ顔に見えるのですか?
21番染色体が3本になることで、顔の中心部をつくる神経堤細胞の増え方がゆっくりになり、鼻すじが低く見える・顔が平坦に見えるといった同じ方向の変化が共通して出るためです。ただし顔全体が置き換わるわけではなく、ご両親から受け継いだ顔立ちはしっかり残っています。「同じ顔」ではなく「共通した傾向がある」というのが正確な表現です。
Q2. ダウン症ではないのに、顔つきが似ている気がします
目頭にかぶさる内眼角贅皮や、やや上がって見える目尻、手のひらを横切る一本の線などは、ダウン症のない方にもよくみられる所見です。とくに内眼角贅皮は東アジアの赤ちゃんにはごく一般的で、成長とともに目立たなくなることも多いものです。これらは単独では医学的な意味を持ちません。
Q3. 顔つきだけでダウン症と診断できますか?
できません。専門的な訓練を受けた医師がお子さんを直接診察した場合でも、見た目から疑って検査に出したところ染色体は通常だった、という例が一定数あることが報告されています。確認には染色体検査(核型の確認)が必要です。
Q4. 生まれたばかりの赤ちゃんの顔で分かりますか?
新生児期は、むしろもっとも分かりにくい時期です。どの赤ちゃんも顔がむくんでいて骨格の輪郭が隠れているため、すべての赤ちゃんが「特徴に当てはまって見える」状態にあります。医師が新生児期に気づくきっかけになりやすいのは、顔立ちよりも全身の筋緊張が弱いこと(フロッピーインファント)です。
Q5. 赤ちゃんが二重まぶただと、ダウン症ではないのですか?
まぶたが一重か二重かで判断することはできません。ダウン症のお子さんにも二重の方はいらっしゃいますし、ダウン症のないお子さんが一重であることも当然あります。まぶたの形は、新生児期のむくみが引く過程でも変わっていきます。判断材料にはなさらないでください。
Q6. 顔つきに特徴がなければ、ダウン症ではないと考えてよいですか?
そうとは限りません。顔つきのあらわれ方には大きな個人差があります。とくにモザイク型では、21番染色体が3本の細胞の割合が低いほど身体的な所見が目立ちにくいことが報告されており、周囲がまったく気づかないまま成長される方もいらっしゃいます。
Q7. エコーで鼻が低いと言われました。ダウン症でしょうか?
妊娠11〜13週の検討では、鼻骨がみえない割合は21トリソミーの胎児で約60%でした。裏を返せば約4割では所見が出ませんし、染色体が通常の胎児でも2〜3%程度にみられます。この割合は人種や妊娠週数でも変わります。エコー所見は可能性を示すサインであって、診断ではありません。確かめたい場合は、NIPTで可能性を調べ、陽性なら確定検査で確かめます。
Q8. ダウン症候群のほかにも、調べておいたほうがよい病気はありますか?
出生前検査で調べられる病気は、ダウン症候群だけではありません。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を対象にした研究をまとめた報告では、子育てのストレスと最も一貫して関係していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題でした。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などの微小欠失症候群や、コルネリア・デ・ランゲ症候群などの単一遺伝子疾患が含まれ、三大トリソミーだけを調べる検査ではわかりません。当院ではスタンダードプランから22q11.2欠失症候群やスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランではコルネリア・デ・ランゲ症候群などの単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで臨床遺伝専門医と相談して決められます。
Q9. 不安なとき、まず何をすればよいですか?
写真を見比べることは、残念ながら不安を大きくするだけで答えには近づきません。妊娠中であればNIPTや確定検査、お生まれになったあとであればかかりつけの小児科や遺伝診療の窓口で、ご相談いただくのが確実です。当院では、検査を受けるかどうかも含めて、臨床遺伝専門医が中立の立場で必要な情報をお伝えします。
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参考文献
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。気になることがあれば、主治医・専門医にご相談ください。






