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不妊症遺伝子検査

不妊の原因を遺伝子から調べる検査

不妊の原因を遺伝子から調べる不妊症遺伝子検査

不妊症の一部には、遺伝的な要因が関わっていることがわかっています。たとえば女性の早発卵巣不全や、男性の重い精子形成障害・無精子症では、原因となる遺伝子の変化や染色体の変化が見つかることがあります。不妊症遺伝子検査は、不妊に関連することが知られている遺伝子に変化がないかを調べる検査です。

原因の手がかりがわかると、治療方針を考えるうえでの参考になります。卵巣機能が早く低下する可能性がわかれば卵子凍結などの備えを早めに検討できますし、お子さんに受け継がれる可能性がある変化であれば、その点も含めて遺伝カウンセリングでご説明できます。

「なぜ授からないのだろう」とひとりで悩むのではなく、原因を知るための選択肢のひとつとして、不妊症遺伝子検査をご検討ください。

不妊症の原因

不妊症の原因

日本産科婦人科学会は、妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交しているにもかかわらず、1年間妊娠しない状態を「不妊」と定義しています。避妊をしていない夫婦の場合、およそ8割が1年以内に、約9割が2年以内に妊娠するとされています。
「不妊の原因は女性にある」と思われがちですが、実際にはそうではありません。世界保健機関(WHO)の調査では、原因が女性のみにあるのが41%、男女両方にあるのが24%、男性のみにあるのが24%、原因不明が11%と報告されています。不妊治療を始めるときは、女性だけでなく、ご夫婦そろって原因を調べることが大切です。

女性の不妊症

女性の不妊症

日本生殖医学会によれば、子どもを望んでいるのに授からないご夫婦は、おおよそ10組に1組とされています。

また、年齢は女性の妊娠のしやすさと大きく関わります。妊娠する力(妊孕性)は20代後半から徐々に低下し、不妊の頻度は20代後半で8.9%、30代前半で14.6%、30代後半で21.9%、40代前半で28.9%と報告されています。

※参考:日本生殖医学会「一般のみなさまへ 不妊症Q&A」http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa22.html

女性の不妊の主な原因

不妊の原因はさまざまで、特定が難しいことも少なくありません。女性側の主な原因として、次のようなものがあります。

  • 排卵因子
  • 卵管因子
  • 頸管因子
  • 免疫因子
  • 子宮因子

卵管閉塞や無排卵症などの病気が原因となっている場合は、生殖医療の専門医による検査と治療が必要です。

妊娠に向けて日常生活でできること

妊娠に向けて日常生活でできること

不妊の改善には、原因を正しく知り、医療機関で適切な診療を受けることが基本です。そのうえで、妊娠を考える時期に日常生活で心がけたいことを紹介します。

1.たばこをやめ、お酒は控える

1.たばこをやめ、お酒は控える

喫煙は、女性の卵巣機能や妊娠のしやすさに悪い影響を与えることが知られています。妊娠がわかる前の時期から胎児への影響も考えられるため、妊娠を考えはじめた時点での禁煙と節酒をおすすめします。

2.適正な体重を保つ

2.適正な体重を保つ

やせすぎも太りすぎも、排卵が不規則になる原因になります。過度なダイエットはホルモンの分泌を妨げ、排卵障害につながることがあるためおすすめできません。無理のない範囲で、継続できる運動を取り入れましょう。

3.睡眠と休養をとる

3.睡眠と休養をとる

強いストレスや極端な生活リズムの乱れは、月経周期が乱れるきっかけになることがあります。妊活は長期にわたることも多いため、睡眠と休養をしっかりとり、ひとりで抱え込みすぎないことも大切です。

4.栄養バランスのよい食事と葉酸

4.栄養バランスのよい食事と葉酸

主食・主菜・副菜のそろった食事を心がけましょう。また、妊娠を計画している女性は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げるため、食事に加えて葉酸を摂ることが勧められています。

女性不妊症に関連する遺伝子変異スクリーニングの対象遺伝子

AIRE, ANOS1, EIF2B3, BMP15, CAPN10, CHD7, CYP11A1, CYP17A1, CYP19A1, DENND1A, DUSP6, EIF2B2, FEZF1, FGF8, FGF17, FGFR1, FIGLA, FLRT3, FMR1, FOXL2, FSHB, FSHR, GALT, GDF9, GNAS, GNRH1, GNRHR, HESX1, HS6ST1, INSR, IRS1, IRS2, KISS1, KISS1R, LHB, LHCGR, IL17RD, INS, NOBOX, NR5A1, NSMF, POF1B, POLG, PROK2, PROKR2, PSMC3IP, SEMA3A, SPRY4, STAG3, TAC3, TACR3, TH, ADA, WDR11, WT1, ZP1

男性の不妊症

男性の不妊症

不妊の原因は女性にあると思われがちですが、WHOの調査では約半数のケースで男性側にも原因があるとされています。男性不妊は、見た目や一般的な健康状態からはほとんど判断できません。精液検査をはじめとする適切な検査で原因を調べることが大切です。

精巣は熱に弱く、長時間の高温環境は精子をつくる働きに影響する可能性があるとされています。

男性の不妊の主な原因

男性の不妊の主な原因

男性側の不妊の原因としては、次のようなものが挙げられます。

  • 精子の数が少ない、運動率が低い、形態に異常がある(造精機能障害)
  • 精子の通り道がふさがっている(閉塞性無精子症など)
  • ホルモンの異常(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症など)
  • 精索静脈瘤
  • 勃起障害・射精障害などの性機能障害
  • 喫煙、過度の飲酒、肥満や糖尿病、薬の影響

これらのほか、生まれつきの遺伝的な要因が原因となっていることもあります。

妊娠に向けて日常生活でできること

男性が妊娠に向けて日常生活でできること

男性不妊の改善には、原因の特定と適切な治療が基本です。あわせて、生活習慣を見直すこともおすすめします。

1.禁煙する。
2.アルコールはほどほどにする。
3.適度な運動を続けて、肥満を解消・予防する。
4.栄養バランスのよい食事をとる。
5.十分な睡眠をとる。
6.熱い湯船への長風呂や、長時間のサウナを避ける。

男性不妊症に関連する遺伝子変異スクリーニング

男性不妊の原因となる遺伝子の変化を調べます。主な対象は、Kallmann症候群を含む低ゴナドトロピン性性腺機能低下症、先天性両側精管欠損(CFTR)、精子の形成・形態の異常(AURKCなど)、アンドロゲン受容体の異常(AR)などに関わる遺伝子です。

遺伝的な原因を知ることが治療方針に役立つ理由

無精子症の男性では、精子の正常な男性に比べて、Y染色体の微小欠失(AZF欠失)や、クラインフェルター症候群などの染色体の変化が見つかる頻度が高いことが知られています。

Y染色体微小欠失は、欠失している領域(AZFa・AZFb・AZFc)によって、精巣内精子採取術(TESE)で精子が見つかる可能性が大きく異なります。AZFc領域だけの欠失であれば精子が回収できることがありますが、AZFa・AZFb領域全体の欠失では精子の回収はほぼ期待できないとされています。このため、手術の前に遺伝学的な原因を調べておくことが大切です。

なお、染色体の数や構造の変化は染色体検査で、Y染色体微小欠失はそれを調べるための専用の検査で評価します。どの検査が必要かは、遺伝カウンセリングでご相談ください。

男性不妊症に関連する遺伝子変異スクリーニングの対象遺伝子

ANOS1, AR, AURKC, CATSPER1, CFTR, CHD7, DAZL, DDX25, DUSP6, FGF17, FGF8, FGFR1, FLRT3, FMR1, FSHB, FEZF1, FSHR, GNRH1, GNRHR, HESX1, HS6ST1, IL17RD, KISS1, KISS1R, LHB, LHCGR, NR5A1, NSMF, PRM1, PROK2, PROKR2, SEMA3A, SRD5A1, SRY, SPRY4, TAC3, TACR3, USP26, USP9Y, WDR11

不妊症遺伝子検査のメリット

不妊症遺伝子検査のメリット

不妊症遺伝子パネル検査は、不妊に関わる複数の遺伝子を一度に調べる検査です。原因となる遺伝子の変化が見つかった場合、治療方針を考えるうえでの手がかりになります。たとえば、卵巣機能が早く低下する可能性がわかれば卵子凍結を早めに検討する、精子が回収できる見込みを踏まえて治療法を選ぶ、といった判断に役立ちます。

また、見つかった変化がお子さんに受け継がれる可能性についても、遺伝カウンセリングでご説明します。なお、原因となる遺伝子の変化が見つからないことも少なくありません。その場合でも、不妊の原因がないという意味ではない点にご注意ください。

保因者検査・不妊検査・アクショナブル疾患遺伝子の検査を組み合わせた遺伝子ブライダルチェックパネル検査もご用意しています。

不妊症遺伝子パネル検査がすすめられる方

不妊症遺伝子パネル検査は、次のような方に適しています。

  • 妊活を1年以上しているが妊娠しない
  • 月経不順である、月経がない
  • 早発卵巣不全と診断された、または卵巣機能の低下を指摘された
  • 精子の数が少ない、運動率が低い、形態異常がある、無精子症と診断された
  • 第二次性徴が遅い、または来ない
  • 不妊症と診断され、原因がわかっていない

流産を繰り返している場合は、まずご夫婦の染色体検査など、不育症の検査を受けることが基本になります。どの検査から始めるのがよいかは、遺伝カウンセリングでご相談ください。

女性不妊症に関連する遺伝子変異スクリーニング

女性の不妊に関わる遺伝子の変化を調べます。主な対象は、次の病気や状態に関連する遺伝子です。

  • 早発卵巣不全
  • 多嚢胞性卵巣症候群
  • 卵巣過剰刺激症候群
  • 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
  • Kallmann(カルマン)症候群

多嚢胞性卵巣症候群のように多くの要因が関わる病気では、関連が報告されている遺伝子を調べるもので、変化が見つかっても診断が確定するわけではありません。

一方、早発卵巣不全のリスクが早い段階でわかれば、若いうちに卵子を採取して凍結保存し、将来に備えることもできます。

反復流産・不育症に関連する血栓症関連遺伝子の検査(オプション追加検査)

ACE, AGT, AGTR1, APOB, APOE, F13A1, F5, GP1BA, GSTP1, ITGA2, ITGA2B, ITGB3, MTHFR, MTR, MTRR, SERPINE1(16遺伝子)

これらは血液の固まりやすさに関わり、流産との関連が研究されている遺伝子です。ただし、国際的な不育症の診療指針では、これらの遺伝子検査は標準的な検査としては推奨されていません。結果の意味については、遺伝カウンセリングで丁寧にご説明します。

費用

検査費用(税込)

お一人(男性・女性とも) 330,000円
カップルで同時検査(おふたり) 660,000円
オプション追加検査(血栓症関連遺伝子)
おふたり同時の場合
33,000円
44,000円

遺伝カウンセリング料(税込)

基本料金 30分22,000円
以後30分ごとに22,000円加算
カップルで同日・同時に受けられる場合 おふたりで30分22,000円
(1人分が無料)
  • 本検査は自費診療となり、健康保険は適用されません。
  • カップルで同じ検査を同日・同時に、同じ説明でお受けになる場合は、遺伝カウンセリング料をおふたりで1人分(30分22,000円)とさせていただきます。別々に受けられるより22,000円お安くなります。
  • 検査料・遺伝カウンセリング料のほかに、マイページ使用料550円と検査結果作成手数料3,300円がかかります。

わかりやすく動画で紹介

【不妊症、本当の原因は遺伝子かもしれません】現役医師がこっそり教えます

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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