目次
- 1 NIPTとは?採血だけで赤ちゃんの染色体を調べる「スクリーニング検査」
- 2 なぜお母さんの血液で赤ちゃんのことがわかるのか
- 3 NIPTで何がわかる?プランで変わる「調べられる範囲」
- 4 自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる ― 当院で調べられること
- 5 NIPTでわからないこと
- 6 NIPTの精度の考え方:陽性なら確定検査で確かめる
- 7 NIPTはいつから受けられる?何週までに受ける?
- 8 NIPTを受ける流れと、結果が出るまで
- 9 NIPTの費用の考え方と、料金に含まれるもの
- 10 ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
- 11 陽性だったら?確定検査と、施設選びで確かめたいこと
- 12 よくある質問(FAQ)
- 13 関連記事
- 14 参考文献
NIPT(エヌアイピーティー)とは、妊婦さんの採血だけで、赤ちゃんの染色体の数の異常などの可能性を調べる出生前のスクリーニング検査です。日本語では「非侵襲性出生前遺伝学的検査」、一般には「新型出生前診断」とも呼ばれます。お腹に針を刺さないので流産の心配はありませんが、確定診断ではなく、陽性なら羊水検査・絨毛検査で確かめる必要があります。この記事では、NIPTのしくみ、何がわかって何がわからないのか、精度の考え方、受けられる時期、費用の考え方、陽性だったときの流れまでを、臨床遺伝専門医の立場から1ページにまとめました。
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. NIPTとは?
妊婦さんの採血だけで、血液の中に含まれる赤ちゃん側(主に胎盤)のDNAを調べ、赤ちゃんの染色体の数の異常などの「可能性」をみるスクリーニング検査です。確定診断ではないので、陽性なら羊水検査・絨毛検査で確かめます。
🤔 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
大丈夫とは言えません。ご家族の子育てのストレスを最も一貫して左右するのは、お子さんの行動の問題だと報告されています。攻撃的な行動や自傷が多いと報告されている病気には微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が含まれ、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。
🧩 Q. NIPTで何がわかる?自閉症や発達障害は?
調べる範囲はプランで変わります。染色体の数の異常に加えて、当院では微小欠失・重複や単一遺伝子の病気まで調べられるプランがあり、自閉症・発達障害・知的障害の原因の一部もわかります。ただし、陰性でも自閉症・発達障害の心配がなくなるわけではありません。
📅 Q. いつから受けられる?
当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日で出ます。
🏥 Q. 陽性だったら?
陽性は確定ではありません。当院では確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられ、確定検査の費用は羊水検査互助会(カトレア会)で補助しています(補助の上限なし)。
\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? /
当院のNIPTは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と一緒に決められます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。
まだプランを決めていない方は、調べられる範囲と費用を比べたページからご覧ください:プラン別の料金と含まれるもの | スタンダードプラン | インペリアルプラン
NIPTとは?採血だけで赤ちゃんの染色体を調べる「スクリーニング検査」
NIPTは、Non-Invasive Prenatal Testing(非侵襲性出生前遺伝学的検査)の頭文字をとった名前で、「エヌアイピーティー」と読みます。「非侵襲性」とは、体を傷つけないという意味です。妊婦さんの腕から血液を10〜20mLほど採り、その中に含まれるDNAのかけらを調べます[2]。お腹に針を刺す羊水検査や絨毛検査と違い、検査そのものによる流産の心配がありません。
一方で、NIPTは「病気がある可能性が高いか低いか」をふるい分けるスクリーニング検査です。陽性でも実際には病気がない場合(偽陽性)があるため、確かめるための確定検査が必要になります[2]。この「スクリーニング」と「確定」の違いが、NIPTを理解するうえでいちばん大切なポイントです。
スクリーニング検査と確定検査の違い
出生前の検査は、大きく「スクリーニング検査」と「確定検査」に分かれます。どちらが優れているということではなく、役割が違います。
🧪 出生前検査の種類と役割
| 検査 | 方法 | 位置づけ | ポイント |
|---|---|---|---|
| NIPT | お母さんの採血 | スクリーニング | 流産の心配がない。結果は「可能性」で、陽性なら確定検査へ |
| 超音波検査(エコー) | お腹の上からの観察 | スクリーニング | 赤ちゃんの体のつくりを見る。所見があれば精密検査へ |
| 絨毛検査 | 胎盤の一部(絨毛)を採取 | 確定検査 | 羊水検査より早い時期に行える |
| 羊水検査 | お腹に針を刺して羊水を採取 | 確定検査 | 赤ちゃんの細胞で染色体を確かめる。必要に応じてマイクロアレイ検査も行う |
※確定検査はお腹に針を刺す検査のため、検査前に利点と負担について説明を受けて選びます。
確定検査について詳しくは羊水検査・絨毛検査で解説しています。出生前の検査全体で「何がわかって何がわからないか」を整理したい方は、出生前診断でわかること・わからないこともご覧ください。
🩺 院長コラム【「拾い上げて、確かめる」がNIPTの役割】
NIPTを「答えを出す検査」と思うと、陽性という結果に強く振り回されてしまいます。臨床遺伝専門医としては、NIPTは「可能性のある赤ちゃんを見逃さずに拾い上げ、確定検査につなぐための検査」だと考えています。
だからこそ大切なのは、陽性になったときに、すぐに確定検査で確かめられる体制があるかどうかです。当院が、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で行う体制をとっているのは、この考え方からです。検査を選ぶときは、検査の中身と同じくらい「陽性のあと何が起こるか」も確かめていただきたいと考えています。
なぜお母さんの血液で赤ちゃんのことがわかるのか
結論からいうと、お母さんの血液には、胎盤から出たDNAのかけらが混ざっているからです。このDNAを数えたり読んだりすることで、赤ちゃんの染色体の変化を推定します。
cfDNA(セルフリーDNA)と胎盤
血液の中には、細胞が入れ替わるときに細胞の外へ出たDNAの断片が流れています。これをcfDNA(シーエフディーエヌエー:セルフリーDNA)といいます。妊婦さんの血液中のcfDNAのうち、おおよそ10%は胎盤に由来するとされています[2]。胎盤は赤ちゃんと同じ受精卵からできるため、胎盤のDNAは、多くの場合赤ちゃんのDNAと同じです。
たとえば21番染色体が3本あれば、血液中の21番染色体由来のかけらが、わずかに多く見つかります。NIPTはこの「わずかな差」を、たくさんのDNAを読んで数えることで見つけ出します。cfDNAのくわしい説明はセルフリーDNA(cfDNA)とはをご覧ください。
胎児分画(胎児ゲノム率)が足りないときは再検査に
血液中のcfDNAのうち赤ちゃん側(胎盤)に由来する割合を、胎児分画(たいじぶんかく)または胎児ゲノム率といいます。この割合が低いと、わずかな差を見分けられません。そのため検査ごとに、正確さを保証できる胎児分画の基準が決められています。当院の基準は、スタンダード・プレミアム・ダイヤモンドプランで3%、インペリアル・双子マックスプランで3.5%です。
基準に届かないときは、再検査(再採血)になります。当院ではこれを「判定保留」とは呼ばず、当院のNIPTの判定保留は0%です。論文やほかの施設では、胎児分画が足りずに結果が出ない場合も「判定保留(No-Call)」に含めることが多いので、言葉の使い方が違う点にご注意ください。週数が早いほど赤ちゃん由来のDNAが少ないため、再検査になることがあります。詳しくは胎児ゲノム率(胎児分画)が低いときの考え方とNIPTの判定保留で解説しています。
💡 用語解説:cfDNA・胎児分画
cfDNA(cell-free DNA)は「細胞の外にあるDNA」。胎児分画(fetal fraction)は、お母さんの血液中のcfDNAのうち、胎盤(赤ちゃん側)から来たものの割合です。
「胎盤のDNA」だから、確定検査が必要になる
NIPTが読んでいるのは、正確には赤ちゃん本人ではなく胎盤のDNAです。まれに、胎盤だけに染色体の変化があり、赤ちゃんにはない(またはその逆の)ことがあります。これを胎盤限局性モザイク(たいばんげんきょくせいモザイク)といい、NIPTの偽陽性・偽陰性の原因の一つです。陽性のときに、赤ちゃんの細胞を調べる羊水検査で確かめる必要があるのはこのためです。しくみはNIPTのモザイクとはで詳しく説明しています。
NIPTで何がわかる?プランで変わる「調べられる範囲」
NIPTで何がわかるかは、どの検査(プラン)を選ぶかで大きく変わります。日本医学会の認証制度で認証を受けた施設のNIPTは、精度や意義を考えて、対象をダウン症候群(21トリソミー)・18トリソミー・13トリソミーの3つに限っています[2]。当院のNIPTは、この3つに加えて、微小欠失・重複や、単一遺伝子の病気まで調べられるプランを用意しています。
🧬 当院のNIPTプランと調べられる範囲
※三大トリソミーだけを調べるプランとライトプランは廃止しました。プラン名をクリックすると各プランのページに移ります。
染色体の数の異常(トリソミー)
染色体は通常2本ずつ対になっていますが、1本多い状態をトリソミーといいます。代表はダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)の3つです。米国の複数の州の出生データを使った研究では、5年生存率は18トリソミーで12.3%、13トリソミーで9.7%でした[9]。双子マックスプランとインペリアルプランでは、1〜22番すべての常染色体の数の異常を調べます。
微小欠失・重複
染色体の数は正常でも、ごく一部が欠けていたり(欠失)、重なっていたり(重複)することがあります。顕微鏡で染色体を見る検査では見つけにくいほど小さな変化で、微小欠失症候群と呼ばれます。代表的なものに、22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)、1p36欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などがあります。22q11.2欠失症候群は、微小欠失の中で最も多く、およそ1,000人の赤ちゃん(胎児)に1人にみられると報告されています[8]。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を調べられます。くわしくは微小欠失症候群とはと22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)をご覧ください。
単一遺伝子の病気(de novo変異)
1つの遺伝子の変化で起こる病気を単一遺伝子疾患といいます。NIPTで調べるのは、ご両親にはなく、赤ちゃんで新しく起きた変化(de novo変異)による病気です。家族に同じ病気の人がいなくても起こるのが特徴です。
こうした病気は1つひとつはまれですが、ある25の優性遺伝の病気を合わせると、約600人に1人の頻度になると報告されています[12]。また、新しく起こる遺伝子の変化は父親の年齢とともに増え、父親の年齢が1歳上がるごとに約2個ずつ増えると推定されています[13]。当院のダイヤモンドプランは56遺伝子、インペリアルプランは最大155遺伝子(202疾患)のde novo変異を対象にしています。詳しくはNIPTと単一遺伝子疾患|父親の年齢リスクで解説しています。
(父親由来の遺伝子変異が子へ伝わるイメージ)
ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※で検査します。超音波で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんなど、遺伝的な病気のリスクが高い妊婦さん1,090人を対象にした研究では、感度98.5%・特異度99.3%でした[3]。根拠の詳しい読み方はCOATE法のエビデンスをご覧ください。
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
性染色体の数の異常
クラインフェルター症候群(47,XXY)、トリプルX症候群(47,XXX)、47,XYY、ターナー症候群(45,X)などの性染色体の数の異常は、ほかの染色体の病気とは事情が大きく異なります。性染色体が1本多い人の研究をまとめた報告では、知能はおおむね正常の範囲で、成人の多くは自立して生活している一方、言葉や運動、学習面の苦手さが出やすいとされています[10]。自閉スペクトラム症の診断は、XYYの子どもの19%、XXYの子どもの11%にみられたという報告もあります[11]。早く分かっていれば、ことばや学習の支援を早めに始めることができます。詳しくはNIPTでわかる性染色体異常をご覧ください。
自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる ― 当院で調べられること
「自閉症や発達障害は、生まれる前にわかるの?」と心配になるのは自然なことです。自閉症・発達障害・知的障害の原因はさまざまで、その一部は、染色体や遺伝子の変化が原因だと分かっています。当院のNIPTが調べる微小欠失・重複や単一遺伝子の病気には、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気が含まれているため、その原因の一部はNIPTでわかります。
🧩 自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な病気と、調べられるプラン
| プラン | 微小欠失・重複 | 単一遺伝子 | 主な病気 |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 6種類7疾患 | ― | 22q11.2欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群、スミス・マゲニス症候群 など |
| プレミアム | 12種類13疾患 | ― | スタンダードの病気に加えて、ジェイコブセン症候群 など |
| ダイヤモンド | 12種類13疾患 | 56遺伝子 | 上記に加えて、コルネリア・デ・ランゲ症候群、レット症候群、CHARGE症候群 など |
| 双子マックス | 92種類+5Mbを超える構造異常 | ― | ウィリアムズ症候群、16p11.2欠失・重複 など |
| インペリアル | 92種類+5Mbを超える構造異常 | 最大155遺伝子(202疾患) | 上記に加えて、フェラン・マクダーミッド症候群、ピット・ホプキンス症候群 など |
※病気ごとに症状の幅は広く、同じ病気でも自閉症・発達障害・知的障害を伴うかどうか、その程度は人によって異なります。
ダウン症候群だけを調べればよいわけではない
出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんの命や発達、そしてご家族の暮らしに大きくかかわるものです。ただ、その中身は病気によって大きく違います。違いは「命の見通し」だけでなく、「自立の見通し」「行動の問題を伴うか」「ご家族の見守りの負担」にも表れます。
自閉スペクトラム症のお子さんの親の子育てのストレスを調べたメタ解析では、ほかの障害のお子さんの親と比べても、子育てのストレスが高いという結果でした。著者は、とくにダウン症候群のお子さんの親との比較について、その子育てに特有の事情が関わっている可能性があるとして、解釈に注意を添えています[4]。
子育ての負担を左右するのは「行動の問題」
珍しい遺伝性の病気のお子さんの親を対象にした研究をまとめた報告では、親のストレスを最も一貫して左右していたのは、お子さんの気持ちや行動の問題でした[6]。さらに、遺伝性の病気ごとに行動を比べた研究では、他人への攻撃的な行動はアンジェルマン症候群とスミス・マゲニス症候群で、自傷はコルネリア・デ・ランゲ症候群、プラダー・ウィリー症候群、スミス・マゲニス症候群などで多いことが分かっています[7]。アンジェルマン症候群・プラダー・ウィリー症候群・スミス・マゲニス症候群は全プランで、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンド・インペリアルプランで調べられます。
22q11.2欠失症候群は、知的発達への影響は軽めのことがあっても、心臓・免疫・精神面の合併症が多い病気です。国際共同研究では、6〜12歳の子どもの37%にADHD、26歳以上の大人の約41%に統合失調症などの精神病性の障害がみられました[5]。生まれる前に分かっていれば、出産する施設の選び方や、生まれてすぐの心臓や免疫の検査など、赤ちゃんを迎える準備ができます。
正直にお伝えしたい限界
- ➤陽性なら確定検査が必要です。微小欠失・重複は、染色体の数の異常より陽性的中率が低め(項目により60〜70%程度)です。
- ➤陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。原因の多くは、NIPTでは調べられないものです。
- ➤脆弱X症候群など、NIPTでは調べられない原因もあります。
- ➤病気がわかっても、症状の重さまでは予測できないことがあります。
こうした限界も含めて、どこまで調べるかを選んでいただくために、検査前に臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを行っています。
🔍 関連記事
🧬 ダウン症候群だけで大丈夫か、調べる範囲から考える
ダウン症候群だけでなく、18・13トリソミーや微小欠失症候群、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで、当院のNIPTでわかります。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。
まだ決めていない方は:NIPTを受けるべきか迷う方へ | ダイヤモンドプラン | インペリアルプラン
NIPTでわからないこと
NIPTは万能の検査ではありません。調べていない病気については、陰性でも何も言えません。主に次のようなことは、NIPTではわかりません。
- ➤ご両親が病気の遺伝子を持っているか(保因者かどうか)、潜性(劣性)遺伝やX連鎖遺伝の病気。脆弱X症候群(FMR1)や脊髄性筋萎縮症(SMA)も、当院のNIPTのどのプランでも調べられません。
- ➤プランの対象に入っていない遺伝子・染色体の変化。
- ➤DNAの変化を伴わない、体のつくりの異常。
- ➤病気がわかった場合の、症状の重さ。
ご両親が保因者かどうかを調べたい方には、NIPTと同時に行うカップルの保因者検査ファミリーセーフティ プラスがあります。女性787遺伝子・男性714遺伝子を調べ、NIPTと同じ日に採血できます(単独では受けられません)。脆弱X症候群(FMR1)やSMAは、こちらの保因者検査で調べられます。
赤ちゃんの体のつくりを見るには、超音波検査が欠かせません。当院では、NIPTの前に4Dエコーを行ってから検査に進みます。
NIPTの精度の考え方:陽性なら確定検査で確かめる
NIPTの精度を見るときは、「感度」「特異度」「陽性的中率」の3つを分けて考えます。
📊 精度を表す3つの言葉
| 言葉 | 意味 | 読み方のポイント |
|---|---|---|
| 感度 | 病気がある赤ちゃんを「陽性」と判定できる割合 | 高いほど見逃し(偽陰性)が少ない |
| 特異度 | 病気がない赤ちゃんを「陰性」と判定できる割合 | 高いほど外れの陽性(偽陽性)が少ない |
| 陽性的中率 | 「陽性」と出た人のうち、実際に病気がある割合 | もともとの病気の頻度(年齢など)で大きく変わる |
35の研究をまとめた解析では、単胎のNIPTでダウン症候群の約99.7%、18トリソミーの約97.9%、13トリソミーの約99.0%を見つけることができ、偽陽性の割合はいずれも0.04%以下でした[1]。また、認証施設が対象としている3つの病気については、陰性の場合に実際にその病気がない確率は99.99%以上と説明されています[2]。
一方で、陽性的中率は、もともとの病気の頻度が低いほど下がります。若い方や、もともと頻度の低い微小欠失では、陽性でも実際には病気がないことが増えます。だからこそ、陽性なら確定検査で確かめることが前提です。当院では、確定検査まで院内で受けられます。偽陰性はまれですが、可能性はあります。
精度の数字の詳しい読み方はNIPTの精度と陽性的中率、見逃しについてはNIPTの偽陰性、微小欠失については微小欠失の陽性的中率で解説しています。
🩺 院長コラム【数字より先に「何と比べた数字か」を見る】
「精度99%」という数字は、それだけでは安心にも不安にもつながりません。大切だと考えているのは、その数字が「どんな人を対象に、何で答え合わせをした数字か」です。リスクの高い妊婦さんを対象にした研究の数字を、そのまま一般の妊婦さんに当てはめることはできません。
そして、どの方式のNIPTでも、陽性なら確定検査で確かめる、陰性でも調べていない病気については何も言えない、という2つは変わりません。この2つを知ったうえで検査を選ぶことが、結果を正しく受け止める準備になると考えています。
NIPTはいつから受けられる?何週までに受ける?
一般には、NIPTは妊娠9〜10週以降に行う検査とされています[2]。当院のNIPTは妊娠9週から受けられます。さらに、できるだけ早い時期に結果を知りたい方のために、妊娠6〜8週から臨床研究として受けられる体制を整えています。当院のおすすめは8週です。
ただし、週数が早いほど、血液中の赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。妊娠8週で受けた場合の再検査率は約5%です(当院のデータ)。10週を過ぎても、16週でも受けられます。
早めに受ける理由
当院では、受けられる週数の上限を区切ってはいませんが、早めに受けることをおすすめしています。陽性だったときに確定検査を受け、その結果を待ち、これからのことを考える時間が必要だからです。妊娠12週以降に妊娠を続けない選択をした場合は中期中絶となり、体への負担が大きくなります。また、妊娠4か月(85日)以降の流産・死産・人工妊娠中絶は、労働基準法では「出産」として扱われ、産後休業(少なくとも6週間)が必要になるため、仕事への影響を心配される方もいます。早い時期に結果を知ることで、考える時間を持てるという意味があります。
早い時期のNIPTについては早期NIPTとはで詳しく解説しています。
NIPTを受ける流れと、結果が出るまで
当院でNIPTを受ける流れは次のとおりです。予約から結果まで、何をすればよいかを先に知っておくと安心です。
- ➤予約:WEBで予約します。プラン選びに必要な説明は、予約時に事前学習動画でご覧いただけます。
- ➤来院:90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。4Dエコーで赤ちゃんの様子を確かめてから採血します。
- ➤結果:基本は10〜14日です。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)。陰性の結果はマイページでお知らせします。
- ➤陽性のとき:陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。
来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。
NIPTの費用の考え方と、料金に含まれるもの
NIPTは自費の検査で、費用は施設やプランによって大きく違います。費用を比べるときは、金額だけでなく、どこまで調べられるかと、陽性になったあとどうなるかもあわせて確かめることをおすすめします。一般的な費用の相場はNIPTの費用相場で解説しています。
💴 当院のNIPT料金に含まれるもの・別にかかるもの
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 料金に含まれるもの | 臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング(90分の受診枠の中で行う)、4Dエコー、性別判定 |
| 別にかかるもの | 検査結果の作成費用3,300円 |
| 互助会(全員加入) | 羊水検査互助会(カトレア会):1回のNIPTにつき8,000円/安心検査結果保障制度:1回6,000円 |
※互助会の会費は消費税の対象外です。プランごとの料金は料金ページでご確認ください。
羊水検査互助会(カトレア会)は、陽性のときの確定検査の費用を補助する仕組みで、補助の上限はありません。安心検査結果保障制度は、再検査が必要になったのに、流産して再検査ができず結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金する仕組みです。プランごとの料金はNIPTの費用・料金(プラン別の値段と含まれるもの)、互助会の詳細は羊水検査互助会(カトレア会)をご覧ください。
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ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、お子さんの気持ちや行動の問題だと報告されています[6]。攻撃的な行動や自傷を伴いやすいと報告されている病気には、アンジェルマン症候群、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群など、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が含まれます[7]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。「安さ」だけで選んで大丈夫でしょうか。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,719円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード(220,000円) | 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム(264,000円) | 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド(407,000円) | プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス(440,000円) | 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル(550,000円) | 全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※『三大トリソミーだけを調べる検査』は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
ただし、病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、検査前の遺伝カウンセリングでプランを選ぶことが大切です。最新の料金は料金ページでご確認ください。
陽性だったら?確定検査と、施設選びで確かめたいこと
NIPTで陽性になっても、それだけで診断が決まるわけではありません。次は、赤ちゃん側の細胞を調べる確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめます。
当院では確定検査まで院内で
当院は2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査とも院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。微小欠失・重複がNIPTで陽性になった場合は、確定にマイクロアレイ検査が必要になることがあります。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で、確定検査の費用は羊水検査互助会(カトレア会)で補助します(補助の上限なし)。陽性のときの考え方はNIPT陽性だったらどうする?で詳しく解説しています。
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どこで受ける?認証施設と認証外の施設
日本には、日本医学会の出生前検査認証制度で認証を受けた施設(認証施設)と、認証を受けていない施設(認証外の施設)があります。認証施設は、NIPTの対象をダウン症候群・18トリソミー・13トリソミーの3つに限っています[2]。「認証外=質が低い」というわけではありません。施設を選ぶときは、次の点を確かめることをおすすめします。
- ➤調べられる範囲(どの病気まで調べるか)
- ➤陽性のあと、どこで確定検査を受けられるか
- ➤検査前後の遺伝カウンセリングを、誰が行うか
- ➤確定検査の費用の補助があるか
当院は認証外の施設ですが、臨床遺伝専門医が常駐し、検査前の遺伝カウンセリングから結果の判定、陽性後のケア、確定検査まで院内で行っています。NIPTのメリットとデメリットを並べて考えたい方はNIPTのメリット・デメリット、受けるかどうか迷っている方はNIPTを受けるべきか迷う方へもご覧ください。
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🏥 NIPTを、確定検査まで院内で
90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どこまで調べるかを決められます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要項目は3日以内に結果が出ます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。
各プランを見る:スタンダードプラン | プレミアムプラン | ダイヤモンドプラン | 双子マックスプラン | インペリアルプラン
まだ決めていない方は:NIPTの施設選びで確かめたいこと
よくある質問(FAQ)
Q1. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
ダウン症候群だけを調べれば大丈夫、とは言えません。珍しい遺伝性の病気のお子さんのご家族を調べた研究をまとめた報告では、親のストレスを最も一貫して左右していたのは、お子さんの気持ちや行動の問題でした。攻撃的な行動はアンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群で、自傷はコルネリア・デ・ランゲ症候群やプラダー・ウィリー症候群、スミス・マゲニス症候群で多いと報告されています。こうした病気は、三大トリソミーだけを調べる検査ではわかりません。当院ではスタンダードプランから22q11.2欠失症候群やプラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで決められます。
Q2. NIPTとは簡単にいうとどんな検査ですか?
妊婦さんの腕から採血し、血液の中に含まれる赤ちゃん側(主に胎盤)のDNAのかけらを調べて、赤ちゃんの染色体の数の異常などの「可能性」をみるスクリーニング検査です。採血だけなので流産の心配はありませんが、確定診断ではないため、陽性なら羊水検査や絨毛検査で確かめます。
Q3. なぜお母さんの血液で赤ちゃんのことがわかるのですか?
妊娠中のお母さんの血液には、細胞の外に出たDNAのかけら(cfDNA)が流れていて、そのおよそ10%は胎盤に由来します。胎盤は赤ちゃんと同じ受精卵からできるので、このDNAを数えたり読んだりすると、赤ちゃんの染色体の変化を推定できます。ただし調べているのは胎盤のDNAなので、胎盤と赤ちゃんの染色体が食い違うことがあり、これが確定検査が必要な理由の一つです。
Q4. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?
一部はわかります。当院のNIPTが調べる微小欠失・重複や単一遺伝子の病気には、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気が含まれています。ただし自閉症・発達障害の原因はさまざまで、NIPTで調べられない原因も多いため、陰性でも自閉症・発達障害の心配がなくなるわけではありません。
Q5. NIPTは何週から何週まで受けられますか?
当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。当院のおすすめは8週で、妊娠8週で受けた場合の再検査率は約5%です(当院のデータ)。10週を過ぎても、16週でも受けられます。陽性だったときの確定検査や、その後のことを考える時間を残すためにも、早めに受けることをおすすめしています。
Q6. 結果はいつわかりますか?
基本は採血から10〜14日です。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)。陰性の結果はマイページでお知らせします。
Q7. 陽性なら確定ですか?陰性なら安心ですか?
陽性は確定ではありません。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら羊水検査や絨毛検査で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陰性は、調べた病気の可能性がとても低いという意味ですが、まれに偽陰性の可能性があり、調べていない病気については何もわかりません。
Q8. NIPTの費用はなぜ高いのですか?保険は使えますか?
NIPTは自費の検査です。費用には、検査そのものに加えて、どこまで調べるか(プラン)と、検査前後の体制が反映されます。当院の料金には、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング、4Dエコー、性別判定が含まれます。別途、互助会の会費(羊水検査互助会8,000円・安心検査結果保障制度6,000円)と検査結果の作成費用3,300円がかかります。プランごとの料金は料金ページでご確認ください。
Q9. 認証施設と認証外の施設は何が違うのですか?
認証施設は、日本医学会の出生前検査認証制度で認証を受けた施設で、NIPTの対象をダウン症候群・18トリソミー・13トリソミーの3つに限っています。認証外の施設は、この制度の認証を受けていない施設です。認証外だから質が低い、ということではありません。当院は認証外の施設ですが、臨床遺伝専門医が常駐し、検査前の遺伝カウンセリングから結果の判定、陽性後の確定検査まで院内で行っています。
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。検査については臨床遺伝専門医にご相談ください。






