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微小欠失症候群とは?NIPTで検査できる12種類の症候群と検査方法|ミネルバクリニック

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

微小欠失症候群(びしょうけっしつしょうこうぐん)とは、染色体のごく一部(数百万塩基対以下)が欠けることで起こる病気の総称です。「微小欠損」「微細欠失」と呼ばれることもあり、意味は同じです。顕微鏡で染色体を見る従来の検査(Gバンド法)では見えないほど小さな変化ですが、心臓の病気や発達の遅れ、知的障害などにつながることがあります。もう一つ大切なのは、ダウン症候群などの染色体の数の異常と違い、お母さんの年齢に関係なく起こることです。この記事では、主な12種類(13疾患)の症状と頻度、NIPT(新型出生前診断)でプランごとに調べられる範囲、陽性だったときの確定検査までを、臨床遺伝専門医の立場から解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🧬 微小欠失・NIPT
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤微小欠失症候群とは何か、どのくらいの確率で起こるのか
  • ➤NIPTで調べられる12種類(13疾患)の症状と頻度
  • ➤プランごとの対象(6種類7疾患/12種類13疾患/92種類)の違い
  • ➤一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因との関係
  • ➤陽性的中率の考え方と、陽性のときの確定検査(マイクロアレイ)

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 微小欠失症候群とは?なる確率は?

染色体のごく一部が欠けて起こる病気の総称です。最も多い22q11.2欠失症候群は胎児のおよそ1,000人に1人と報告されています。年齢などの理由で羊水・絨毛を調べた研究では、染色体の数が正常な妊娠の約1.7%に、病気につながる微小な欠失・重複が見つかりました。お母さんの年齢に関係なく起こります。

🤔 Q. ダウン症候群だけで大丈夫?

ダウン症候群などの数の異常は年齢とともに増えますが、微小欠失は20代でも同じように起こります。当院のNIPTはいちばん基本のスタンダードプランでも、22q11.2欠失症候群を含む6種類7疾患の微小欠失を調べます。

🔍 Q. NIPTで陽性だったら?

微小欠失の陽性的中率は数の異常より低め(項目により60〜70%程度)なので、陽性なら必ず確定検査で確かめます。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行い、微小欠失の確認に使うマイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。

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微小欠失症候群の基本知識

微小欠失症候群とは

ヒトの染色体は46本あり、それぞれに数百から数千の遺伝子が並んでいます。微小欠失症候群は、そのうち特定の場所が数十万〜数百万塩基対(0.5〜5Mb程度)の長さで欠けてしまい、そこに含まれる複数の遺伝子が1つずつしか働かなくなることで起こります。欠ける場所が決まっている症候群が多く、場所ごとに症状の組み合わせに特徴があります。

この大きさは、顕微鏡で染色体の模様を見るGバンド法では見えないことがほとんどです。そのため、見つけるにはマイクロアレイ検査やFISH法、NIPTのようにDNAを数えたり読み取ったりする方法が必要になります。反対に、同じ場所が余分に1つ多いものを「微小重複」といい、欠失と重複をまとめて「コピー数変異(CNV)」と呼びます。言葉の意味や仕組みは用語解説:微小欠失症候群とは?種類・原因・遺伝で詳しく説明しています。

染色体の一部が欠ける微小欠失の模式図

💡 用語解説:微小欠失・微小欠損・微細欠失

どれも「染色体のごく一部が欠けている」状態を指す言葉で、意味は同じです。英語では microdeletion といいます。「〇〇欠失症候群」の〇〇には、欠けている場所の番地(例:22q11.2=22番染色体の長腕[q]の11.2という区画)が入ります。

症状と特徴

症状は欠ける場所や大きさで異なり、同じ症候群でも人によって重さに幅があります。多くの症候群に共通してみられるのは次のような特徴です。

  • 生まれつきの体の病気:心臓の病気、口蓋裂(こうがいれつ)、腎臓の病気など
  • 知的障害・発達の遅れ:言葉の遅れや学習の困難さなど
  • 成長の問題:低身長、体重が増えにくいなど
  • 神経の症状:てんかん、筋肉の緊張の低さ(筋緊張低下)
  • 免疫やホルモンの異常:感染症にかかりやすい、低カルシウム血症など

心臓の病気のように妊娠中の超音波検査で見つかるものもありますが、知的障害や発達の遅れは、妊娠中の超音波ではほとんど分かりません。これが、遺伝学的な検査で調べる意味のひとつです。

微小欠失症候群になる確率(発生頻度)

「微小欠失症候群になる確率はどのくらいか」は、多くの方が気にされる点です。代表的なデータは次のとおりです。

  • 出生前に羊水・絨毛を調べた大規模研究では、年齢や母体血清マーカーなどの理由で検査を受け、染色体の数が正常だった妊娠の約1.7%(約60人に1人)に、病気につながる微小な欠失・重複が見つかりました[1]。NIPTで調べられるのは、このうちの一部です。
  • 微小欠失症候群でいちばん多い22q11.2欠失症候群は、胎児のおよそ1,000人に1人に起こると推定されています[2]。
  • 一般の妊婦さん約2万人を対象にした前向き研究でも、22q11.2欠失症候群は1,524人に1人の頻度で確認されました[3]。

ここで知っておいていただきたいのは、これらの確率はお母さんの年齢でほとんど変わらないということです。ダウン症候群(21トリソミー)は卵子ができるときの染色体の分かれ方の誤りで起こるため年齢とともに増えますが、微小欠失は染色体の中の似た配列どうしの組み換えの誤りなどで起こり、年齢との関係はほとんどありません。そのため、20代の妊婦さんでは、22q11.2欠失症候群の頻度がダウン症候群と同じくらいになることがあります。

📊 主な染色体の変化の頻度の目安

変化 頻度の目安 母体年齢との関係
ダウン症候群(21トリソミー) 出生児で約700〜1,000人に1人(年齢で大きく変わる) 年齢とともに増える
22q11.2欠失症候群 胎児で約1,000人に1人[2] ほぼ関係しない
1p36欠失症候群 出生児で約5,000〜10,000人に1人 ほぼ関係しない
病気につながる微小な欠失・重複全体 数が正常な妊娠の約1.7%[1] ほぼ関係しない

※1.7%は羊水・絨毛のマイクロアレイ検査で見つかった数字で、NIPTの対象になっていない欠失・重複も含みます。

発生の原因と遺伝

微小欠失症候群の多くは、ご両親のどちらにもない変化が、卵子や精子ができる過程で新しく生じたもの(新生突然変異、de novo)です。たとえば22q11.2欠失症候群では、約9割が新生の変化と報告されています[4]。この場合、次の妊娠で同じことが起こる確率は低いと考えられます。

一方、残りの一部は親から受け継いだものです。親が同じ欠失をもっていても症状が軽く、本人が気づいていないこともあります。欠失をもつ親から子に伝わる確率は50%です。お子さんに欠失が見つかった場合は、ご両親の検査で「新生か、受け継いだものか」を確かめると、次の妊娠の見通しが立てやすくなります。

一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因との関係

自閉症(自閉スペクトラム症)や発達障害、知的障害の原因はさまざまで、多くは一つに特定できません。ただ、その一部は、特定の場所の微小な欠失や重複が原因になっていることが分かっています。代表的なのが16番染色体の16p11.2という場所の欠失・重複で、自閉症の方の約1%にみられたと報告されています[5]。この記事で紹介する22q11.2欠失症候群やアンジェルマン症候群なども、自閉的な特徴や知的障害を伴うことがあります。

当院のNIPTでは、こうした自閉症・発達障害・知的障害の原因の一部を、妊娠中に調べることができます(16p11.2の欠失・重複は、92種類を調べる双子マックスプラン・インペリアルプランが対象です)。ただし、調べられるのはあくまで原因の一部であり、陰性でも自閉症や発達障害の可能性がなくなるわけではありません。詳しくはNIPTで自閉症はわかる?検査の範囲と限界をご覧ください。

ミネルバクリニックで検査可能な12種類の微小欠失症候群

「12種類」は、当院のプレミアムプランとダイヤモンドプランで調べる数です。微小欠失の対象は、プランによって次のように違います。

「12種類13疾患」となっているのは、15番染色体の同じ場所(15q11.2-q13)の欠失が、お父さん由来の染色体で起こればプラダー・ウィリー症候群、お母さん由来で起こればアンジェルマン症候群と、別の病気になるためです。

🧬 プラン別:NIPTで調べられる微小欠失症候群

症候群(部位) 主な特徴 スタンダード プレミアム・ダイヤモンド 双子マックス・インペリアル
22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群) 心臓の病気、口蓋裂、免疫低下、低カルシウム血症 ○ ○ ○
1p36欠失症候群 知的障害、てんかん、筋緊張低下 ○ ○ ○
スミス・マゲニス症候群(17p11.2) 知的障害、睡眠障害、行動の特徴 ○ ○ ○
ウォルフ・ヒルシュホーン症候群(4p16.3) 成長障害、重い知的障害、てんかん ○ ○ ○
プラダー・ウィリー症候群(15q11.2-q13・父由来) 乳児期の筋緊張低下、のちの過食・肥満 ○ ○ ○
アンジェルマン症候群(15q11.2-q13・母由来) 重い知的障害、言葉の遅れ、てんかん ○ ○ ○
猫鳴き症候群(5p欠失) 乳児期の甲高い泣き声、知的障害 ○ ○ ○
2q33欠失症候群 重い言葉の遅れ、口蓋裂、歯の異常 - ○ ○
ランガー・ギーディオン症候群(8q23q24) 多発性の骨のこぶ(外骨腫)、まばらな髪 - ○ ○
9p欠失症候群 三角頭蓋、知的障害、性分化の異常 - ○ ○
ジェイコブセン症候群(11q23q25) 血小板減少、心臓の病気、発達の遅れ - ○ ○
18p欠失症候群 低身長、軽度〜中等度の知的障害 - ○ ○
18q欠失症候群(18q22q23) 低身長、難聴、知的障害 - ○ ○
上記以外の微小欠失・重複 ウィリアムズ症候群、ミラー・ディーカー症候群、16p11.2欠失・重複、1q41-q42欠失など - - ○(92種類+5Mb超の構造異常)

※症候群名をクリックすると、それぞれの病気の詳しい解説ページに移動します。

ミネルバクリニックで検査可能な12か所13疾患の詳細

ここでは、プレミアムプラン・ダイヤモンドプランで調べる12か所13疾患について、頻度の目安と主な症状をまとめます。頻度は報告によって幅があるため、目安としてご覧ください。症状の現れ方は一人ひとり異なり、ここに挙げたすべてが現れるわけではありません。

22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)

頻度:胎児で約1,000人に1人[2]、出生児で約4,000人に1人前後

  • 先天性心疾患(ファロー四徴症、大動脈弓の異常など)
  • 免疫の低下(T細胞の減少)
  • 低カルシウム血症(副甲状腺の働きの低下)
  • 口蓋裂・鼻にかかった声(軟口蓋の閉鎖不全)
  • 学習障害・軽度の知的障害、自閉的な特徴
  • 成人期の精神疾患(統合失調症など)のリスクの上昇

1p36欠失症候群

頻度:出生児で約5,000〜10,000人に1人

  • 中等度〜重度の知的障害、言葉の遅れ
  • てんかん
  • 筋緊張低下、乳児期の哺乳の弱さ
  • 特徴的な顔つき(落ちくぼんだ目、とがったあごなど)
  • 心臓の病気(心筋症を含む)、難聴、視覚の異常

2q33欠失症候群

頻度:まれ(正確な頻度は不明)

  • 重い言葉の遅れ(言葉がほとんど出ないこともある)
  • 知的障害・発達の遅れ
  • 口蓋裂、歯の異常
  • 行動の特徴(多動、自閉的な特徴など)
  • 成長の遅れ

ウォルフ・ヒルシュホーン症候群(4p16.3欠失)

頻度:出生児で約20,000〜50,000人に1人

  • 胎児期からの成長障害、低身長
  • 重い知的障害
  • 特徴的な顔つき(「ギリシャ戦士の兜」と表現される顔立ち)、小頭症
  • てんかん
  • 心臓の病気、尿道下裂、腎臓の異常

猫鳴き症候群(5p欠失)

頻度:出生児で約15,000〜50,000人に1人

  • 乳児期の猫の鳴き声に似た甲高い泣き声
  • 知的障害、言葉の遅れ
  • 小頭症、丸い顔、目と目の間が広い
  • 筋緊張低下
  • 心臓の病気

ランガー・ギーディオン症候群(8q23q24欠失)

頻度:まれ(正確な頻度は不明)

  • 骨にできる多発性のこぶ(多発性外骨腫)
  • まばらな髪、丸みのある鼻、長い人中(鼻の下の溝)
  • 指の骨の形の異常
  • 軽度〜中等度の知的障害(ない人もいる)
  • 低身長

9p欠失症候群

頻度:まれ(正確な頻度は不明)

  • 知的障害・発達の遅れ、言葉の遅れ
  • 三角頭蓋(頭蓋骨の縫い目が早く閉じる)
  • 特徴的な顔つき(上向きの鼻の穴、長い人中など)
  • 性分化の異常(46,XYで外性器が女性型など)
  • 心臓の病気

ジェイコブセン症候群(11q23q25欠失)

頻度:出生児で約100,000人に1人

  • 血小板の減少と血小板の働きの異常(出血しやすい)
  • 心臓の病気(左心低形成症候群など左心系の病気)
  • 知的障害・発達の遅れ
  • 成長の遅れ、特徴的な顔つき(まぶたの下がりなど)
  • 行動の特徴(注意の困難さなど)

プラダー・ウィリー症候群(15q11.2-q13欠失・父由来)

頻度:出生児で約10,000〜30,000人に1人

  • 乳児期の強い筋緊張低下と哺乳の弱さ
  • 幼児期以降の過食と肥満
  • 知的障害、行動の特徴(こだわり、かんしゃくなど)
  • 性腺の働きの低下、低身長

アンジェルマン症候群(15q11.2-q13欠失・母由来)

頻度:出生児で約12,000〜20,000人に1人

  • 重い知的障害、言葉がほとんど出ない
  • てんかん、小頭症
  • 歩き方の不安定さ(運動失調)
  • よく笑う、手をひらひらさせるなどの行動の特徴
  • 睡眠障害

スミス・マゲニス症候群(17p11.2欠失)

頻度:出生児で約15,000〜25,000人に1人

  • 知的障害・発達の遅れ
  • 睡眠障害(体内時計のずれによる夜間の覚醒)
  • 行動の特徴(自分をたたく・かむなどの行動、多動)
  • 特徴的な顔つき(眉がつながる、上唇の形など)
  • 難聴、心臓や腎臓の異常

18p欠失症候群

頻度:出生児で約50,000人に1人

  • 軽度〜中等度の知的障害
  • 低身長(成長ホルモンの不足を伴うことがある)
  • まぶたの下がり、丸い顔
  • 免疫の異常(IgAの低下など)
  • まれに全前脳胞症(脳の左右の分かれ方の異常)

18q欠失症候群(18q22q23)

頻度:出生児で約40,000人に1人

  • 低身長(成長ホルモンの不足を伴うことがある)
  • 耳の穴が狭い・閉じていることによる難聴
  • 知的障害・発達の遅れ、筋緊張低下
  • 脳の白質の発達(髄鞘形成)の遅れ
  • 足の形の異常(内反足など)

微小欠失症候群の検査方法

NIPT(新型出生前診断)による検査

NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん(胎盤)由来のDNAの断片を調べ、染色体の数の異常や微小欠失の可能性を推定する検査です。採血だけなので、流産のリスクはありません。当院では妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けることができます。結果は基本的に10〜14日で出ます(インペリアルプランの単一遺伝子の結果のみ3〜4週間)。

検査の方式はプランごとに異なります。スタンダードプランは標的捕捉濃縮法、インペリアルプランは低深度全ゲノムシーケンスとターゲット法の組み合わせです。ダイヤモンドプランでは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)を使っています。COATE法の仕組みと従来法との違いはCOATE法とは?従来法との違いで、当院が扱ってきた検査の移り変わりはミネルバクリニックのNIPT技術の変遷で紹介しています。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

陽性的中率は数の異常より低め:陽性なら確定検査へ

NIPTはスクリーニング検査です。微小欠失は調べる範囲が小さいぶん、ダウン症候群などの数の異常に比べて陽性的中率(陽性と出た人が本当にその病気である割合)が低めで、項目により60〜70%程度です。そのため、陽性の場合は必ず確定検査で確かめてから判断します。陽性的中率の詳しいデータはNIPT 微小欠失の陽性的中率はどのくらい?で、微小欠失検査を受けるかどうかの考え方はNIPT微小欠失検査は必要?で解説しています。

また、一般の妊婦さんを対象にした研究で、22q11.2欠失症候群をNIPTで見つけられた割合(検出率)は、改良した解析方法で83.3%(12例中10例)でした[3]。陰性でも、対象の病気の可能性がゼロになるわけではない点もあわせて知っておいてください。

💡 用語解説:マイクロアレイ検査

染色体全体のDNAの量を細かく測り、どこかが欠けていないか・多くないかを調べる検査です。Gバンド法(顕微鏡で染色体の模様を見る方法)では見えない微小な欠失・重複を見つけられるため、NIPTで微小欠失が陽性だったときの確定検査では、羊水や絨毛を使ったマイクロアレイ検査が中心になります。

確定診断までの流れ

① 遺伝カウンセリング臨床遺伝専門医が検査の範囲と限界を説明
▶
② NIPT(採血)妊娠9週から。結果は10〜14日
▶
③ 陽性のとき陽性のカウンセリングは何度でも無料
▶
④ 確定検査羊水・絨毛検査を院内で。マイクロアレイは2週間ほど

陰性の場合、結果はマイページでお知らせします。陽性の場合は、臨床遺伝専門医による陽性のカウンセリングを何度でも無料で受けられ、確定検査(羊水検査・絨毛検査)も院内で行います。確定検査の結果は、主要な検査項目は3日以内に、微小欠失の確認に使うマイクロアレイ検査は2週間ほどで出ます。確定検査については羊水検査・絨毛検査のページで説明しています。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

NIPTを選ぶとき、つい金額だけを比べてしまいがちです。けれども、ここまで見てきたように、微小欠失はお母さんの年齢に関係なく起こり、ダウン症候群などの三大トリソミーだけを調べる検査では分かりません。三大トリソミーは出生前検査で広く調べられている基本の項目ですが、当院ではいちばん基本のスタンダードプランでも、22q11.2欠失症候群を含む微小欠失を調べます。

参考までに、各プランで調べる病気の数で料金を割った「1つの病気あたり」の目安を示します。三大トリソミーだけを調べる検査は仮に10万円として並べています。

📋 1つの病気あたりで考える(調べる範囲の比較)

プラン 調べる病気の数 料金 1つの病気あたり
(仮)三大トリソミーのみ 3(13・18・21) 100,000円(仮定) 約33,333円
スタンダード 14(トリソミー3+性染色体4+微小欠失7) 220,000円 約15,714円
プレミアム 23(トリソミー6+性染色体4+微小欠失13) 264,000円 約11,478円
ダイヤモンド 79(プレミアムの23+単一遺伝子56) 407,000円 約5,152円
双子マックス 114+α(全常染色体22+微小欠失・重複92+5Mb超の構造異常) 440,000円 約3,860円
インペリアル 320+α(全常染色体22+性染色体4+微小欠失・重複92+単一遺伝子202疾患+5Mb超の構造異常) 550,000円 約1,719円

※料金は事前学習動画を見てご来院いただいた場合の割引後の金額(税込)です。互助会(カトレア会8,000円・安心検査結果保障制度6,000円)と結果の作成費用は別にかかります。「+α」の5Mb超の構造異常は数に含めていません。病気の重さや頻度は項目ごとに違うため、あくまで調べる範囲を比べるための目安です。

どのプランがよいかは、ご年齢や家族歴、知りたいことによって変わります。「何を調べ、何を調べないのか」を知ったうえで選ぶことが、後悔しない選び方につながります。

ミネルバクリニックでの検査の特徴

臨床遺伝専門医が常駐し、検査前から結果まで説明

ミネルバクリニックには常駐する臨床遺伝専門医がおり、検査前の遺伝カウンセリングで、選ぶプランで何を調べ、何を調べないのかを説明します。90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。陽性だった場合のカウンセリングは何度でも無料です。

確定検査まで院内で

2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。NIPTで陽性が出ても転院の必要がなく、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。NIPTを受ける方は全員、羊水検査の費用を補助する互助会「カトレア会」(8,000円、補助の上限なし)と、流産で再検査ができず結果が出ない場合に備える互助会「安心検査結果保障制度」(6,000円)に加入します。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「12種類」という数字の読み方】

出生前検査というと、ダウン症候群を思い浮かべる方がほとんどです。年齢が上がると起こりやすくなるので、「若いから大丈夫」と考える方も少なくありません。けれども微小欠失は、年齢に関係なく、受精の前後に偶然起こります。若い方ほど、年齢とともに増えるトリソミーより、こちらの割合が相対的に大きくなる。この点こそ、もっと知られてよいと考えています。

一方で、「12種類」「92種類」という数字は、すべての微小欠失を調べられるという意味ではありません。NIPTで調べられるのは、決まった場所の、ある程度の大きさの変化に限られます。陽性なら確定検査で確かめる必要があり、陰性でも可能性はゼロになりません。数字の大きさだけでなく、何を調べ、何を調べないのかを理解して選んでいただくこと。それが、臨床遺伝専門医が検査前に説明する意味だと考えています。

🏥 微小欠失まで調べるNIPTを、確定検査まで院内で

ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が常駐し、スタンダードプランでも22q11.2欠失症候群を含む6種類7疾患の微小欠失を調べます。陽性なら羊水検査・絨毛検査まで院内で行います。NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768

よくある質問(FAQ)

Q1. 微小欠失症候群になる確率はどのくらいですか?

最も多い22q11.2欠失症候群は胎児のおよそ1,000人に1人と推定され、一般の妊婦さん約2万人の研究では1,524人に1人でした。また、染色体の数が正常な妊娠でも約1.7%に、病気につながる微小な欠失・重複が見つかったという報告があります。いずれもお母さんの年齢にほとんど関係なく起こります。

Q2. NIPTはダウン症候群だけで大丈夫ですか?

ダウン症候群などの数の異常は年齢とともに増えますが、微小欠失は年齢に関係なく起こり、三大トリソミーだけの検査では分かりません。当院では基本のスタンダードプランでも22q11.2欠失症候群を含む6種類7疾患を、プレミアム・ダイヤモンドプランでは12種類13疾患を、双子マックス・インペリアルプランでは92種類を調べます。何を調べるかを知ったうえで選ぶことが大切です。

Q3. 微小欠失検査で何がわかりますか?

22q11.2欠失症候群、1p36欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群、猫鳴き症候群など、決まった場所の染色体の欠失が起きている可能性が分かります。これらの症候群は心臓の病気や知的障害、発達の遅れなどを伴うことがあり、知的障害や発達の遅れは妊娠中の超音波ではほとんど分かりません。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性の場合は確定検査で確かめます。

Q4. 微小欠失症候群は遺伝しますか?

多くは、卵子や精子ができる過程で新しく生じた変化(新生突然変異)で、22q11.2欠失症候群では約9割が新生と報告されています。一方、親が同じ欠失をもっている場合は、子に伝わる確率は50%です。親の症状が軽く気づいていないこともあるため、お子さんに欠失が見つかった場合はご両親の検査で確かめると、次の妊娠の見通しが立てやすくなります。

Q5. 微小欠失症候群の寿命はどのくらいですか?

症候群の種類や、合併する心臓の病気などの重さによって大きく異なり、ひとまとめには言えません。22q11.2欠失症候群のように、心臓の病気の治療を受けて成人し、社会で暮らしている方が多い症候群もあります。それぞれの症候群の見通しは、各症候群の解説ページでご確認ください。

Q6. 微小欠失症候群は治療できますか?

欠けた染色体そのものを元に戻す治療はありません。ただし、心臓の病気の手術、てんかんの薬、低カルシウム血症の治療、早期からのリハビリテーションや療育など、症状に応じた治療と支援があります。生まれる前に分かっていれば、出産する施設や生まれた直後の対応を準備しておくこともできます。

Q7. NIPTで微小欠失が陽性だったら、必ず病気がありますか?

いいえ。微小欠失の陽性的中率は数の異常より低めで、項目により60〜70%程度です。陽性の場合は、羊水検査や絨毛検査によるマイクロアレイ検査などの確定検査で確かめます。当院では確定検査を院内で行い、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性のカウンセリングは何度でも無料です。

Q8. 検査はいつから受けられますか?

当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けることができます。結果は基本的に10〜14日で出ます(インペリアルプランの単一遺伝子の結果のみ3〜4週間)。検査前には臨床遺伝専門医が、選ぶプランで何を調べ、何を調べないのかを説明します。

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参考文献

  • [1] Wapner RJ, Martin CL, Levy B, et al. Chromosomal microarray versus karyotyping for prenatal diagnosis. N Engl J Med. 2012;367(23):2175-2184. [PubMed 23215555]
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  • [3] Dar P, Jacobsson B, Clifton R, et al. Cell-free DNA screening for prenatal detection of 22q11.2 deletion syndrome. Am J Obstet Gynecol. 2022;227(1):79.e1-79.e11. [DOI 10.1016/j.ajog.2022.01.002]
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  • [5] Weiss LA, Shen Y, Korn JM, et al. Association between microdeletion and microduplication at 16p11.2 and autism. N Engl J Med. 2008;358(7):667-675. [PubMed 18184952]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査の選び方や結果の解釈は、臨床遺伝専門医にご相談ください。

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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