NIPTでわかる微小欠失症候群

更新日 02/03/2020
文責 仲田洋美(総合内科専門医、がん薬物療法専門医臨床遺伝専門医

 

微細欠失(微小欠失)症候群について

検査可能な5種類の微細欠失(微小欠失)症候群の頻度を合計すると、
この5つのいずれかの微細欠失(微小欠失)症候群の出生確率は約0.07%となります。

1000人で約0,7人、これを低いととらえるか、
高いと捉えるのかは個々人により異なるのでしょう。

しかし、該当する個体にとっては当たる当たらないは、0か1の世界。

確率の世界と現実との間には埋められない溝があります。
現実は何もかもを凌駕するのです。

だから「実際に当たるかどうか教えてほしい」
というご意見はあってしかるべきであって、それを受けて自己決定したいという要求を
間違っていると決めつけることは出来ないと思います。

微細欠失(微小欠失)症候群ってなあに?

微細欠失(微小欠失)症候群は染色体の一部の小さな断片がなくなることが原因で起こる疾患群です。
通常の染色体検査では検出できません。

ある一定の染色体に特異的かつ一般的に起こり、
よく知られた遺伝性症候群に関連しています。

ほとんどは両親からの遺伝ではなく、新生突然変異
(祖先から受け継いだものではなく精子や卵子ができるときにおこる突然変異のことです)で起こり、
危険因子や家族歴がありません。

検査の利益はなあに?

多くの微細欠失(微小欠失)症候群は、身体的精神的双方に障害をもたらし、
深刻な健康問題を起こします。

ダウン症は約1/1000。
これに対してベリファイ・プラスでわかる5か所の微細欠失(微小欠失)は合算すると約1/1400。
これを多いとみるか少ないとみるかは個人差がありますが
前から言っている通り、少ないと当たらないは同一ではありません。
統計学的に少ない数字でも、当たるか当たらないかはその人それぞれゼロか1の世界なのです。

これらは血清マーカーテストや超音波検査では検出できません。

ベリファイ・プラスでは、絨毛検査や羊水検査といった侵襲的な検査に比較して、
非侵襲的な検査オプションとして微細欠失(微小欠失)症候群を提供いたします。

なぜベリファイ・プラス?

ベリファイでは新型出生前診断を5つの微細欠失(微小欠失)症候群の検出に拡大しました。
妊娠期のマネージメントや新生児を迎えるにあたり準備をすることができることを意図しています。

ベリファイ・プラスでは、臨床や研究のサンプル11万5千のなかから検討し、
偽陽性の低さと22q11欠失で99.0%という陽性的中率、10.5%から66.7%というその他の微細欠失(微小欠失)症候群の陽性的中率を得ることができました。

微細 欠失(微小欠失)症候群の<a href=陽性的中率” width=”484″ height=”282″ />

陽性的中率が10%くらいというものもあるので、
意味がないのではという方もいますがそれは誤りです。
この検査はスクリーニング検査といって、
正常と思われる人から異常かもしれない人をはじき出して確定診断につなげるための検査です。
検査の役割が違うのです。
肺がん検診でも、異常なしは確定。
異常があれば診断までいろんな検査を重ねますよね?
それと同じです。

1p36欠失症候群

1p36の欠失、発生頻度は 1/4,000-10,000.

成長障害・重度精神発達遅滞・難治性てんかんなどの症状を来たします。

落ちくぼんだ眼、尖った顎などの特徴的な顔貌もほぼ全例に認められます。
乳児期には筋緊張低下、哺乳不良が認められることもあります。
合併症として、先天性心疾患・難聴・斜視・白内障・肥満、稀に神経芽細胞腫を生じることがあります。

4p16.3欠失症候群

Wolf-Hirschhorn Hirschhorn症候群 頻度は1/9,6000.

4番染色体短腕に位置する遺伝子群の欠失により引き起こされる疾患で、
重度の精神発達の遅れ、成長障害・難治性てんかん・多発形態異常を主徴といたします。

特徴的顔貌・成長障害・重度の精神発達の遅れ・筋緊張低下・難治性てんかん・摂食障害などが認められます。

5p-症候群

猫鳴き症候群

1/15,000~50,000.

低出生体重(2,500g未満)、成長障害、新生児期から乳児期に認める甲高い猫のなき声のような啼泣は高頻度に認められる特徴的所見です。
この他に、小頭・丸顔・眼間開離・小顎・内眼角贅皮・耳介低位などの顔貌所見や、
筋緊張低下・精神運動発達の遅れの所見を伴います。

15q12欠失症候群

Prader-Willi症候群 父由来。 出生1/10,000~1/25,000.

内分泌・神経・奇形症候群。
内分泌学的異常(肥満・低身長・性腺機能障害・糖尿病など)、神経学的異常(筋緊張低下・特徴的な性格障害・異常行動)がみられる。
小さな手足・アーモンド様の目・色素低下など奇形徴候を示します。
臨床症状の特徴は、年齢毎に症状が異なることです。
乳児期は、筋緊張低下による哺乳障害・体重増加不良。
幼児期から学童期には、過食に伴う肥満。
思春期には二次性徴発来不全・性格障害・異常行動。
成人期には、肥満・糖尿病などが問題となります。

Angelman症候群 母由来。 出生1/12,000.

重度の発達障害(特に言語表出障害)、失調性歩行・睡眠障害、容易に惹起される笑い発作・多動傾向・水の嗜好性・色白の皮膚・顔貌の特徴・小頭症など。
一方、他人との関わりをもちたがる点、洞察力や観察力が鋭い点、感受性が豊かな点などの長所も知られている。
重症精神遅延・難治性てんかん(非定型欠神発作・ミオクロニー発作など)・発達遅延・心合併症(肥大型心筋症・心奇形・不整脈)、嚥下障害・呼吸不全・斜視などを合併。

22q11.2欠失症候群

DiGeorge症候群 出生1/4,000.

患者の80%は先天性心疾患を合併し、胸腺発達遅延・無形成による免疫低下、特徴的顔貌・口蓋裂・軟口蓋閉鎖不全・低カルシウム血症などを主徴とする。
心疾患は、ファロー四徴症・肺動脈弁欠損・肺動脈閉鎖・主要体肺側副動脈の合併などがある。
さらに合併する免疫低下、血小板減少・肺高血圧などによる手術死亡の報告もあり、
未だ効果的な治療方法は未確立、予後不良の疾患である。
患者はたとえ生存しても、発達遅延や精神疾患・統合失調症などによる生活面の長期にわたる支障を来す。発達遅延・特徴的顔貌・先天性心血管疾患・口蓋裂・胸腺低形成・低カルシウム血症など、多様な臨床症状を伴う。
重症な心奇形に加え、低身長・血小板減少・汎血球減少・痙攣・斜視・気管支軟化症・脳萎縮・白内障・尖足・側弯症・腎奇形・尿道下裂・鎖肛・鼠径ヘルニアなど、180以上の臨床症状が報告されている。

Smith-Magenis症候群 (17p11.2)

www.shouman.jp/disease/details/13_01_003/
*こちらはイルミナの検査には含まれておりません。
患者数は全国2000人。
17p11.2の欠失による先天異常症候群。
特徴的な顔貌、短い指、中度から重度の知的障害、特徴的な行動特性、睡眠障害を示す。
乳児期に筋緊張低下を示し、特徴的な顔貌や合併奇形に気づかれる。
顔貌は短頭、前額突出、眉毛癒合、耳介低位、内眼角開離、斜視、顔面正中低形成、下顎突出が特徴。
幅広く短い指を伴う。発達の遅れ、中度から重度知的障害を示す。
行動の障害が主要な問題であり、多動、衝動性、気分の変化、自傷他害などを示す。
重度の睡眠障害、特に睡眠リズム障害を示す。

keyword: 染色体異常 微細欠失(微小欠失) ダウン症候群 新生児
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この記事の筆者

1995年医師免許取得。血液・呼吸器・感染症内科を経て、臓器別・疾患別の縦割りの医療の在り方に疑問を感じ、人を人として”全人的”に診療したいという思いを強くし、臓器を網羅した横断的専門医となり、2010年にがん薬物療法専門医取得(2019年現在全国1200人程度)。臓器を網羅すると遺伝性がんへの対策が必要と気づき、2011年に臨床遺伝専門医取得(2019年現在全国1000人程度)。遺伝相談はセンシティブな分野にもかかわらず、昼間の短い時間しか対応できない大病院のありかたに疑問を感じて、もっと必要な人がハードルを感じずに診療を受けられるようにしたいと2014年12月に開業。以来、全国から大学病院でも難しい内容の対応を求める人々を受け入れ、よろづお悩み相談所として多くの人々の様々な”家族(計画)の問題”を改善に導く。

著書に”女性のがんの本当の話”(ワニブックス)、”遺伝するがん・しないがん”(法研)がある。
少ない専門家で、正直で嘘のない言葉選びから週刊誌等の取材も多く、医療系の特集に時折コメントが掲載。(週刊現代、週刊ポスト、週刊新潮など)。
テレビ出演も時々あり、小林真央さんの病状を市川海老蔵さんが初めて記者会見した日、フジテレビの午後4時台のニュース番組に生出演して解説。その他TBS, AbemaTVなど出演。

一人一人の事情に合わせた個別対応をするべく、しっかり時間を取って本当のニーズは何かを聞き取りすることを大切にしている。短い時間でもお互いが出会ったことが相手の人生に大きな意味があるような医師患者関係の構築を理想として日々精進。

患者さんが抱えている問題を解決するにはどうしたらよいのかを考えて医師歴8年目に法学部に学士入学した程度に”凝り性”。女医が少なかった時代に3人の母親として難関専門医を3つ取得して社会進出を続けた経験から、女性のライフスタイルを医学以外の部分でも支援したいと願っている。
いろんな人生経験から心に響く言葉を投げかけるため、”会うと元気になる”ということで有名。飼いネコ3匹。

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