目次
1p36欠失症候群(いちピーさんじゅうろくけっしつしょうこうぐん)は、1番染色体の短い腕の端(1p36)がわずかに欠けることで起こる病気で、出生5,000〜10,000人に1人と、染色体の端が欠ける病気の中では最も多いものです[2]。日本では指定難病197に指定されています[4]。この記事では、症状や顔つきの特徴、寿命・予後、遺伝するかどうか、診断の方法を論文と公的な情報にもとづいて整理し、妊娠中にNIPT(新型出生前検査)で調べられるのかまで、臨床遺伝専門医の立場から解説します。
- ➤1p36欠失症候群の頻度・症状と、それぞれの症状がどのくらいの割合でみられるか
- ➤顔つきの特徴(まっすぐな眉・奥まった目・とがったあご など)
- ➤寿命・予後について分かっていること、分かっていないこと
- ➤遺伝するのか、次のお子さんで再び起こる可能性はあるのか
- ➤NIPTで調べられるか、陽性のときに確定検査で何をするか
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. 1p36欠失症候群とはどんな病気?
1番染色体の端(1p36)が欠けて起こる生まれつきの病気で、出生5,000〜10,000人に1人です。60人を調べた研究では、全員に発達の遅れと言葉の遅れがあり、筋肉の張りの弱さが95%、心臓の形の異常が71%、てんかんが44%にみられました。
👤 Q. 顔つきの特徴は?
同じ研究では、まっすぐな眉・奥まった目・平らで広い鼻のつけ根・長い人中・とがったあごが全員にみられ、大きく閉じるのが遅い大泉門が77%にありました。ただし顔つきだけでは診断できず、遺伝学的検査で確かめます。
🩺 Q. 寿命・予後は?
平均寿命を示す確かな統計はありません。予後を左右するのは心筋症・難治性てんかん・飲み込みの障害などで、ゆっくりでも発達は進み続けると報告されています。当院のNIPTでは、スタンダードを含むすべてのプランで1p36欠失を調べられます。
1. 1p36欠失症候群とは|基本情報
【結論】1p36欠失症候群は、1番染色体の短腕(p)の末端にある1p36という領域が欠けることで起こる、生まれつきの染色体の病気です。サブテロメア(染色体の端に近い部分)の欠失の中で最も多く、厚生労働省の指定難病197に指定されています[4]。
60人を調べたBattagliaらの研究では、原因のはっきりしない知的障害のある人の0.5〜1.2%がこの欠失によると紹介されています[1]。欠けている範囲の大きさや、そこに含まれる遺伝子によって、症状の出方には個人差があります。
💡 用語解説:「サブテロメア欠失」とは?
染色体の一番端を「テロメア」、そのすぐ内側を「サブテロメア」といいます。サブテロメアには遺伝子が多く集まっているため、この部分が欠けると複数の遺伝子が一度に失われ、いろいろな症状が出ることがあります。1p36欠失症候群はその代表例です。
1p36欠失症候群の概要
出典:Unique(RareChromo.org)
📋 1p36欠失症候群の基本データ
頻度は海外の報告にもとづく数字です。日本の患者数は難病情報センターの資料に記載された数で、診断されていない人を含みません。
⚠️ 知っておきたいポイント
1p36欠失症候群は、となり合う複数の遺伝子が同時に失われて起こる「隣接遺伝子症候群」の一つです。一般に欠失が大きいほど症状が重い傾向がありますが、大きさと重さは単純には対応しません。指定難病の診断では、テロメアから約1.8〜2.2Mb(メガ塩基対)の範囲を含む欠失を確認することが求められています[4]。
欠失のパターン
1p36欠失のかたちは、大きく次の4つに分けられます[2]。どのかたちかによって、ご両親の検査の意味が変わります。
末端欠失(約52%)
1番染色体の端(テロメア)を含めて、1か所で切れた先がなくなっているかたちです。最も多いパターンです。
中間欠失(約29%)
端(テロメア)は残っていて、その少し内側が2か所で切れて抜け落ちているかたちです。染色体マイクロアレイ検査が広まって、見つかることが増えました[3]。
複合的再編成(約12%)・派生1番染色体(約7%)
欠失に重複や逆位が組み合わさった複雑なかたち(約12%)と、1番染色体の端がほかの染色体の端に置き換わった「派生1番染色体」(約7%)があります。派生1番染色体の約3分の1は、親の均衡型転座から受け継いだものです[2]。
2. 1p36欠失症候群の主な症状
【結論】60人を調べた研究では、全員に発達の遅れと言葉の遅れがあり、筋肉の張りの弱さ(筋緊張低下)が95%、脳の形の異常が88%、心臓の形の異常が71%、てんかんが44%にみられました[1]。症状の出方には個人差があります。
症状の出現頻度
下の表は、Battagliaらが60人を診察した研究を中心に、GeneReviews(米国の遺伝性疾患の解説書)と総説の数字を加えたものです。研究によって数字に幅があるものは、幅をそのまま示しています。
📊 症状と頻度
| 症状 | 頻度 | 詳しく |
|---|---|---|
| 発達の遅れ・知的障害 | 全員 | 約9割が重度〜最重度[2] |
| 言葉の遅れ | 全員 | 言葉が出ない人が約75%、ほかの人も数語程度[2] |
| 筋緊張低下 | 95% | 赤ちゃんのころから。哺乳や飲み込みの難しさにつながる |
| 脳の形の異常 | 88% | 脳室の拡大、脳梁の低形成など |
| 心臓の形の異常 | 71%(43〜71%) | 研究によって幅がある[2] |
| 緻密化障害型心筋症 | 23% | 心臓の筋肉が網目状のまま残るタイプの心筋症 |
| 目・見え方の異常 | 52% | 見たものへの反応が乏しい(視覚的不注意)は64% |
| 行動の問題 | 47% | 自分をたたく・かんしゃくなど |
| てんかん | 44%(44〜58%) | 点頭てんかん(ウエスト症候群)が約2割[2] |
| 感音難聴 | 28% | より高い割合(47〜82%)とする報告もある[2] |
| 骨格の異常 | 41% | 指の短さ・曲がり、足の短さなど |
| 腎臓の異常 | 22% | 乳児期の腎臓の超音波検査がすすめられる[2] |
| 甲状腺機能低下症 | 15〜20% | 定期的な血液検査で確かめる[3] |
特に記載のないものはBattagliaら(2008年、60人)[1]の数字です。
特徴的な顔貌
1p36欠失症候群には、比較的共通した顔つきの特徴があります。Battagliaらの研究では、次の6つが60人全員にみられました[1]。

出典:Unique(RareChromo.org)より引用
- 眉:まっすぐで平らな眉
- 目:奥まった目(deep-set eyes)。内眼角贅皮(目頭のひだ)が約50%
- 顔の中央:顔の中央部が平ら(中顔面の低形成)
- 鼻:鼻のつけ根が広く平ら
- 口元:鼻の下から上くちびるまで(人中)が長い
- あご:小さくとがったあご
- 頭:前後に短く小さい頭(小短頭)が65%、大きく閉じるのが遅い大泉門が77%
- 耳:低い位置にあり形の異なる耳が40%
ただし、顔つきは成長とともに変わり、似た特徴はほかの病気でもみられます。顔つきだけで1p36欠失症候群と決めることはできません。診断は、染色体マイクロアレイ検査などの遺伝学的検査で欠失を確かめて確定します[4]。
心疾患について
心臓の病気は、1p36欠失症候群の予後を左右する大切な合併症です。乳児期に心エコー検査で確かめることがすすめられています[2]。
心筋症(約4人に1人)
乳児期から小児期に心筋症がみられる人が27%、そのうち多くは左室緻密化障害(心臓の筋肉が網目状のまま残るタイプ)で、60人の研究では23%でした[1][2]。1p36領域にあるPRDM16遺伝子が、緻密化障害や心筋症に関わる遺伝子として報告されています[3]。
構造異常(43〜71%)
心室中隔欠損・心房中隔欠損・動脈管開存などの心臓の形の異常です[2]。軽いものは自然に閉じることもあり、程度に応じて経過をみるか治療するかを決めます。
🩺 院長コラム【症状の個人差について】
1p36欠失症候群と分かったとき、ご家族がまず知りたいのは「この子にはどのくらいの症状が出るのか」ということだと思います。けれども、欠失の大きさだけで症状の程度を正確に予測することはできません。同じくらいの大きさの欠失でも、含まれる遺伝子の組み合わせや、ほかの遺伝的な背景によって症状は変わります。
だからこそ、表の数字を「この子の未来」として読むのではなく、「何を早めに確かめておけばよいかのリスト」として使うことが大切だと考えています。心エコー、脳波、聴力、甲状腺の検査を早めに受けておけば、見つかったものから順に手を打てます。
3. 原因と遺伝的背景|責任遺伝子
【結論】原因は、1p36領域にある複数の遺伝子が1コピーずつ失われるハプロ不全です。PRDM16(心筋症)、MMP23B(大泉門)などは症状との関係が報告されていますが、どの遺伝子がどの症状を起こすかは、まだすべては分かっていません[3]。
💡 用語解説:「ハプロ不全」とは?
遺伝子は通常、父と母から1コピーずつ、合わせて2コピーあります。そのうち1コピーがなくなると、残りの1コピーだけでは十分に働けないことがあり、これをハプロ不全といいます。1p36欠失症候群では、複数の遺伝子が同時にハプロ不全になるため、いろいろな症状が出ます。
主な責任遺伝子と臨床症状
2015年の総説では、1p36領域にある遺伝子のうち、次のものが症状に関わる「候補」として挙げられています[3]。人での裏づけの強さは遺伝子によって大きく違うため、表の右の列に根拠の種類を書きました。
🧬 1p36領域の主な候補遺伝子
| 遺伝子 | 関わると考えられている症状 | 根拠の種類 |
|---|---|---|
| PRDM16 | 左室緻密化障害・心筋症 | 人の心筋症で遺伝子の変化が見つかっている |
| MMP23B | 大きく閉じるのが遅い大泉門 | 人で欠失と大泉門の関連が報告されている |
| SKI | 顔つき・口唇口蓋裂など | 人ではSKIの変化がシュプリンツェン・ゴールドバーグ症候群を起こす。1p36欠失との関係は主に動物実験 |
| RERE | 発達・脳・目・心臓など | 主に動物(マウス)の研究 |
| KCNAB2 | てんかん | 主に動物(マウス)の研究 |
| GABRD | てんかん | てんかんとの関連は研究によって結果が分かれる |
出典:Jordanら(2015年)[3]。
欠失の発生機序と遺伝形式
新たに起こるもの(大部分)
ご両親の染色体には変化がなく、卵子や精子ができるときなどに新たに欠失が起こるもの(新生(de novo))です。1p36欠失の大部分はこのタイプで、新たに起こる欠失の約60%は母親由来の染色体に起こると報告されています[2]。この場合、次のお子さんで同じ病気が起こる可能性は一般の人とほぼ同じですが、生殖細胞系列モザイク(親の卵子や精子の一部だけに変化がある状態)と考えられる家系の報告が1つあります[2]。
親の均衡型転座に由来するもの(一部)
ご両親のどちらかが均衡型転座をもっていて、お子さんには不均衡型として伝わるものです。派生1番染色体(全体の約7%)の約3分の1がこれにあたります[2]。親ご本人は健康ですが、次のお子さんで再び起こる可能性が一般より高くなるため、ご両親の染色体の検査が大切です。
💡 ご両親の検査は「マイクロアレイ」ではない理由
均衡型転座は遺伝子の量に過不足がないため、量の変化を見る染色体マイクロアレイ検査では見つかりません。GeneReviewsは、ご両親には染色体検査(Gバンド法)やFISH法で、1p36がかかわる転座がないかを調べるようすすめています[2]。お子さんの診断と、ご両親の検査では、使う検査が違うことを知っておいてください。
4. 1p36欠失症候群の診断方法
【結論】診断には染色体マイクロアレイ検査(CMA)が最も役立ち、95%を超える例で欠失や再編成を見つけられます[2]。日本では、1p36欠失症候群は染色体マイクロアレイ検査(区分番号D006-26 染色体構造変異解析)の保険の対象疾患に含まれています[5]。
診断のきっかけ
- 赤ちゃんのころの筋緊張低下・哺乳の難しさ
- 原因の分からない発達の遅れ・知的障害
- 特徴的な顔つきと発達の遅れの組み合わせ
- てんかん(特に点頭てんかん)と発達の遅れ
- 心筋症(特に左室緻密化障害)
- 出生前検査:NIPTで1p36欠失の可能性を指摘された、羊水検査・絨毛検査のマイクロアレイで見つかった
遺伝学的検査の種類
🔬 検査ごとの見つけやすさ
ご両親が均衡型転座をもっているかどうかは、マイクロアレイでは分かりません(上の用語解説を参照)。
💡 用語解説:染色体マイクロアレイ(CMA)とは?
染色体の小さな欠け(欠失)や重なり(重複)を、ゲノム全体にわたって細かく調べる検査です。顕微鏡で染色体を見るGバンド法では見つからない小さな変化も分かります。日本では、1p36欠失症候群を含む決められた症候群が疑われる場合に、施設基準を満たす医療機関で保険診療として行われます[5]。
5. 治療と長期管理
【結論】欠失そのものを治す治療はなく、症状に合わせた治療と療育が中心です[4]。心臓・脳波・聴力・目・腎臓・甲状腺を早めに調べ、見つかったものに対応していきます[2]。
ライフステージ別の管理
症状別の治療・対応
発達遅滞・言語障害
一人ひとりに合わせたリハビリテーション(理学療法・作業療法・言語療法)を続けます[2]。話し言葉が難しい場合は、身ぶりや絵カードなどの補助代替コミュニケーション(AAC)も使われます。
てんかん
点頭てんかんにはACTH療法、そのほかの発作には一般的な抗てんかん薬が使われます[2]。60人の研究では、多くの発作が薬で抑えられていました[1]。一方で、約3分の1が薬の効きにくいてんかんになったという報告もあります[2]。
心疾患
軽い構造異常は経過をみることもあり、重いものは手術を検討します。緻密化障害型心筋症には、心不全の標準的な薬物治療が行われ、60人の研究では薬で管理できていました[1][2]。
摂食・栄養
飲み込みの検査で、のどの飲み込みの障害が72%に見つかったと報告されています[2]。食べる練習や専用の器具を使い、一部の人では胃ろうを使います[2]。
6. 予後と寿命
【結論】1p36欠失症候群の平均寿命を示す確かな統計はありません。難病情報センターは、知的障害は生涯続くこと、てんかんの経過は人によって違うこと、100人中2人程度で原因の分からない突然死の報告があることを挙げ、注意が必要としています[4]。
生命予後に影響する因子
⚠️ リスク因子
- 重い心筋症(心不全)
- 薬の効きにくいてんかん
- 重い飲み込みの障害(誤嚥性肺炎)
- いくつもの重い合併症が重なること
✅ 予後改善因子
- 早く診断し、心臓・脳波・聴力などを早めに確かめること
- てんかんをきちんと管理すること
- 心臓を定期的にフォローすること
- 小児科・循環器・神経・リハビリなどが連携してみること
💡 発達の将来像について
60人を調べた研究では、全員が年齢とともに発達の進歩を続けていたと報告されています[1]。一人で歩けるようになったのは26%で[1]、歩ける場合も2〜7歳ごろと遅れます[2]。言葉は出ないか数語にとどまることが多いため、身ぶりや絵カードなど、言葉以外で気持ちを伝える方法を一緒に育てていくことが大切です。
🩺 院長コラム【寿命・予後についての正直な話】
「この子はどのくらい生きられますか」という問いに、今の医学は「◯歳まで」と答えられる統計を持っていません。それを正直に伝えることも、臨床遺伝専門医の務めだと考えています。
そのうえで、予後を左右するもの(心筋症、薬の効きにくいてんかん、飲み込みの障害)ははっきりしています。これらを早く見つけて管理することは、ご家族と医療者が一緒にできることです。大切なのは「いつまで生きられるか」だけではなく、そのときどきのお子さんの力を引き出す支えを整えることだと考えています。
7. 出生前診断について|NIPTと羊水検査
【結論】1p36欠失は、NIPTの微小欠失の検査でスクリーニングでき、ミネルバクリニックではスタンダードを含むすべてのプランが1p36欠失を調べる対象です。ただしNIPTはスクリーニング検査で、陽性のときは羊水検査・絨毛検査のマイクロアレイで確かめます。
出生前検査での検出方法
🤰 出生前に1p36欠失を調べる方法
| 検査 | 位置づけ | ポイント |
|---|---|---|
| NIPT(微小欠失を含む) | △ スクリーニング | 採血だけで流産の心配がない。微小欠失の陽性的中率は数の異常より低め(項目により60〜70%程度)なので、陽性なら確定検査が必要 |
| 絨毛検査+マイクロアレイ | ◎ 確定診断 | 胎盤のもとになる組織(絨毛)を調べる。妊娠初期に受けられる |
| 羊水検査+マイクロアレイ | ◎ 確定診断 | Gバンド法では見つからない小さな欠失も確かめられる |
微小欠失の陽性的中率の考え方は「NIPTの微小欠失の陽性的中率」のページで詳しく説明しています。
陽性的中率が低めなのは、1p36欠失症候群がまれな病気であるうえ、NIPTが調べているDNAの多くが胎盤由来だからです。だからこそ、陽性の結果だけで判断せず、確定検査で赤ちゃん本人の染色体を確かめることが欠かせません。微小欠失の陽性的中率についてはNIPT 微小欠失の陽性的中率はどのくらい?で解説しています。
遺伝カウンセリングの重要性
出生前の検査で1p36欠失が見つかった場合、遺伝カウンセリングでは次のことを整理します。
- 欠失の大きさと位置(末端欠失か中間欠失か、ほかの染色体の重複を伴うか)
- 症状の個人差:同じような欠失でも、症状の程度はさまざまであること
- ご両親の検査:均衡型転座がないかをGバンド法やFISH法で確かめ、次のお子さんの可能性を見積もること
- 生まれたあとの準備:心臓・脳波・聴力などの検査と、療育の体制
再発リスク
8. ミネルバクリニックのサポート体制
ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が運営するクリニックです。1p36欠失を含む微小欠失のNIPTから、陽性のときの確定検査、結果の説明まで院内で行います。
🔬 1p36欠失はスタンダードプランから調べられます
当院のNIPTは、どのプランでも1p36欠失を調べます。プランによって、同時に調べる範囲が変わります。
🧬 当院のNIPTプランと1p36欠失
| プラン | 1p36欠失 | 同時に調べる主な範囲 | 料金(事前学習協力割引後・税込) |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 対象 | 13・18・21トリソミー+性染色体/微小欠失6種類7疾患/単胎・双胎 | 220,000円 |
| プレミアム | 対象 | 13・18・21・15・16・22トリソミー/微小欠失12種類13疾患/単胎のみ | 264,000円 |
| ダイヤモンド | 対象 | プレミアムと同じ範囲+単一遺伝子56遺伝子/単胎のみ | 407,000円 |
| 双子マックス | 対象 | 全常染色体/92種類の微小欠失・重複+5Mb超の構造異常/単胎・双胎 | 440,000円 |
| インペリアル | 対象 | 全常染色体/92種類+5Mb超の構造異常+単一遺伝子 最大155遺伝子(202疾患)/単胎のみ | 550,000円 |
料金には遺伝カウンセリング・4Dエコー・性別判定が含まれます。結果の作成費用は別途3,300円です。事前学習協力割引は、事前動画を見て理解を深める協力をしてくださった方に対する割引です。
スタンダードプランの微小欠失6種類7疾患は、1p36欠失のほか、22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)、スミス・マゲニス症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群、猫鳴き症候群です。ダイヤモンドプランは、SNP法とターゲット法を組み合わせたCOATE法で検査します。検査は通常妊娠9週から受けられ(妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます)、結果は基本10〜14日で出ます。当院のNIPTの判定保留は0%です。
🏥 院内で確定検査まで対応
2025年6月に産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。1p36欠失を確かめるにはマイクロアレイ検査が必要で、こちらは2週間ほどかかります。
👩⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐
臨床遺伝専門医が常駐し、90分の受診枠の中で遺伝カウンセリングを行います。陽性のときのカウンセリングは何度でも無料です。
💰 互助会の仕組み
NIPTを受ける方は全員、2つの互助会に加入します。カトレア会(羊水検査互助会)は8,000円で、陽性のときの羊水検査の費用を補助します(現在は補助の上限はありません)。安心検査結果保障制度は6,000円で、結果が出ず再検査が必要になったのに再検査ができなかった場合に備える仕組みです。
🏥 1p36欠失を含む微小欠失を、スタンダードプランから
ミネルバクリニックでは、すべてのNIPTプランで1p36欠失を調べます。陽性なら、羊水検査・絨毛検査とマイクロアレイによる確認まで院内で行い、臨床遺伝専門医が結果を説明します。
NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768
よくある質問(FAQ)
Q1. 1p36欠失症候群の寿命はどのくらいですか?
平均寿命を示す確かな統計はありません。予後を左右するのは、重い心筋症、薬の効きにくいてんかん、飲み込みの障害による誤嚥性肺炎などです。難病情報センターは、100人中2人程度で原因の分からない突然死の報告があるとして注意をよびかけています。心臓・脳波・飲み込みなどを早めに調べ、見つかったものを管理していくことが大切です。
Q2. 1p36欠失症候群の顔つきの特徴は?
60人を調べた研究では、まっすぐな眉、奥まった目、平らな顔の中央部、広く平らな鼻のつけ根、長い人中、とがったあごが全員にみられました。前後に短く小さい頭が65%、大きく閉じるのが遅い大泉門が77%にありました。ただし顔つきだけでは診断できず、染色体マイクロアレイ検査などで欠失を確かめて診断します。
Q3. 1p36欠失症候群はどのくらいの頻度で起こりますか?
出生5,000〜10,000人に1人と報告されており、染色体の端(サブテロメア)が欠ける病気の中では最も多いものです。原因のはっきりしない知的障害のある人の0.5〜1.2%がこの欠失によると紹介されています。
Q4. 1p36欠失症候群は遺伝しますか?次の子にも起こりますか?
大部分は親から受け継がずに新たに起こる欠失で、この場合の次のお子さんへの再発リスクは一般の人とほぼ同じです(生殖細胞系列モザイクと考えられる家系の報告が1つあります)。一方、親が1p36のかかわる均衡型転座をもつ場合は、再発リスクが一般より高くなります。均衡型転座はマイクロアレイでは分からないため、ご両親はGバンド法やFISH法で調べます。
Q5. NIPTで1p36欠失症候群は分かりますか?
NIPTの微小欠失の検査でスクリーニングできます。ミネルバクリニックでは、スタンダードを含むすべてのプランで1p36欠失を調べます。ただし微小欠失の陽性的中率は数の異常より低め(項目により60〜70%程度)なので、陽性のときは羊水検査や絨毛検査のマイクロアレイで確かめます。当院では確定検査も院内で行い、マイクロアレイの結果は2週間ほどで出ます。
Q6. 1p36欠失症候群に治療法はありますか?
欠失そのものを治す治療はなく、症状に合わせた治療が中心です。発達には理学療法・作業療法・言語療法などのリハビリテーション、点頭てんかんにはACTH療法、そのほかの発作には抗てんかん薬、緻密化障害型心筋症には心不全の標準的な薬物治療が行われます。
Q7. 1p36欠失症候群の子どもは歩けるようになりますか?話せるようになりますか?
60人の研究では、一人で歩けるようになったのは26%で、歩ける場合も2〜7歳ごろと遅れます。言葉は出ないか数語にとどまることが多く、言葉が出ない人は約75%とされています。一方で、全員が年齢とともに発達の進歩を続けていたと報告されており、身ぶりや絵カードなど言葉以外で気持ちを伝える方法も使われます。
Q8. 1p36欠失症候群は指定難病ですか?医療費助成は受けられますか?
はい、指定難病197です。難治性てんかんがある、日常生活・食事・呼吸の評価で一定以上の重さがある、心臓の病気が一定以上の重さである、のいずれかにあてはまる場合に、医療費助成の対象になります。くわしい条件は難病情報センターの資料で確認し、主治医や地域の保健所に相談してください。
Q9. 1p36欠失症候群の家族会はありますか?
英国の染色体の病気の患者家族団体Unique(ユニーク)が、1p36欠失についての家族向けの資料を公開しています(この記事の図の出典です)。国内の家族会やピアサポートの情報は、主治医や、各都道府県の難病相談支援センターに尋ねてみてください。
関連記事
参考文献
- [1] Battaglia A, et al. Further delineation of deletion 1p36 syndrome in 60 patients: a recognizable phenotype and common cause of developmental delay and mental retardation. Pediatrics. 2008;121(2):404-410. doi:10.1542/peds.2007-0929. [PubMed 18245432]
- [2] Battaglia A. 1p36 Deletion Syndrome. In: Adam MP, et al., editors. GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 2008 (last update 2013; 2019年に改訂終了・歴史的資料). [NBK1191]
- [3] Jordan VK, Zaveri HP, Scott DA. 1p36 deletion syndrome: an update. Appl Clin Genet. 2015;8:189-200. doi:10.2147/TACG.S65698. [DOI]
- [4] 難病情報センター. 1p36欠失症候群(指定難病197). [難病情報センター]
- [5] マイクロアレイ染色体検査普及のための産学連携コンソーシアム. マイクロアレイ染色体検査(区分番号D006-26 染色体構造変異解析)対象59疾患の責任領域表. [PDF]
※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。




