NIPT(新型出生前診断)でわかること
NIPT(新型出生前診断)は、妊娠9週目から調べられる非確定診断です。検査の前に遺伝カウンセリングを行っていることから医師に遺伝子に関する専門的な知識が必要となります。
NIPT(新型出生前診断)でわかることとは?
NIPT(新型出生前診断)でわかることは、染色体の数の異常により起こる疾患や、染色体の構造の異常により起こる疾患、遺伝子変異により起こる胎児の疾患です。最近では技術革新により検査できる疾患も増えてきました。ダウン症(21トリソミー)以外のもっと重篤な疾患を検査可能です。
赤ちゃんの先天性疾患には様々なものがあります。3%の赤ちゃんに先天異常があり、80%は原因不明、15%に染色体異常、4%に遺伝子異常があります。
NIPT(新型出生前診断)でわかること:その1;赤ちゃんの染色体の数に異常があるかどうか
染色体異常の中で52%を占める最も多い疾患がダウン症候群(21トリソミー)、次にエドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー) などがあり、この3つで染色体異常の71%を占めます。
トリソミーとは、通常2本の対からなる染色体が1本多くなってしまっていて、3本ある状態のことです。これらの染色体疾患は、妊婦さんの加齢とともにリスクが上がることが知られています。卵子が生れた時からずっと同じ状態で長期間存在し続け、その間にDNAにダメージが蓄積されていくためとされていますが、卵子についてはリンク先をご覧下さい。
NIPT(新型出生前診断)でわかることは様々ですが、一義的にはダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)といった染色体異常の検出のために開発されてきました。
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NIPT/新型出生前診断でわかること:その2;赤ちゃんの染色体の構造に異常があるかどうか
最近ではこれらの染色体の数の異常(異数性:本来2本であるところが3本になり起こる疾患群)に加えて、染色体の一部に小さな欠損がある、つまり構造に異常があることで生じる染色体の数の異常も検出可能となってきました。
NIPT/新型出生前診断でわかること:その3;赤ちゃんの遺伝子に異常があるかどうか
さらに、常染色体劣性遺伝性疾患やX連鎖性疾患の一部が赤ちゃんだけでおこる新生突然変異を含めてわかるようになってきましたし、NIPT de novoでは精子の加齢と関係する胎児の疾患の一部もわかるようになってきました。de novoのページをクリックしてみていただけるとわかりますが、父親の年齢が上がるとともにリスクが上がる疾患がいくつかあり、de novoはこうした疾患たちを検査することができるようになっています。
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NIPT/新型出生前診断でわかること:その4;赤ちゃんの性別
赤ちゃんがY染色体をもっているかどうかがわかりますので性別がわかります。
結語
まだまだ出生前診断によってすべての先天性疾患が分かるわけではありませんが、技術革新とともにだんだんと対象疾患も広がりを見せてきています。
また、開発されてからちょうど10年くらいたってきましたので、この間の技術革新もめまぐるしく、精度も上がってきて羊水検査とそん色なくなってきた疾患もあります。
原因の特定が難しい先天性疾患も多く、出生後に判明する病気も少なくありませんが、たとえばNIPT de novoでわかる精子の加齢と関係する胎児の疾患の一部のなかでも骨系統性疾患は、20週近くにならないと判明しないので、中絶可能なぎりぎりの週数になって追い立てられてトラウマになったり、中絶可能週数を過ぎて判明したりします。9週という早い段階でこの疾患の一部でもわかるようになったことは大変な進歩だと感じています。
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この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号