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【医師監修】38歳妊娠の「壁」とは?ダウン症確率・二人目不妊のリスクとNIPT

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。2025年国際誌『Global Woman Leader』表紙抜擢など、世界基準の出生前診断と遺伝カウンセリングを提供。

📍 クイックナビゲーション

この記事でわかること
📖 読了時間:約6分
📊 約5,500文字
⭐ 臨床遺伝専門医監修

  • 「38歳の壁」の正体 → 卵子の質が急変する分岐点。正常胚率は30%まで低下します。
  • ダウン症の確率は? → 38歳での確率は約1/180。35歳(1/365)と比較して約2倍に倍増します。
  • 二人目不妊のリアル → 30代後半は「妊孕性障害」の割合が急増する時期。一人目が自然でも注意が必要です。
  • NIPTの活用戦略 → 染色体リスクが加速する今だからこそ、高精度なスクリーニングが重要になります。

38歳妊娠の現実:「35歳の延長」ではない

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【38歳妊娠の現実】

「35歳を過ぎて高齢出産になったけれど、まだ40歳ではないから大丈夫」

そう考えている方は少なくありません。しかし、生殖医学のデータは、38歳という年齢がリスクの「加速地点」であることを明確に示しています。

35歳から緩やかに始まった変化が、37〜38歳を境に急激なカーブを描き始めるのです。

⚠️ 「37-38歳の壁」を示す衝撃データ

卵子の残り数を示す「卵巣予備能(AMH)」が低下している割合(DOR)は、37歳から38歳にかけて劇的に増加します。

  • 37歳:55.8%
  • 38歳:64.0%(1年で8.2ポイント急増)

たった1歳の差ですが、この時期に卵子の枯渇が加速し始めることがデータから読み取れます。

38歳の自然妊娠率:月に1割以下という現実

「まだ若い」と感じていても、卵子の数と質の低下は妊娠率という数字に直接表れます。月経周期1回あたりに妊娠できる確率(妊娠率)は、35歳を超えると緩やかな低下から急激な低下へと転じます。

母体年齢別 自然妊娠率の目安
母体年齢 月経周期あたりの妊娠率 1年以内の妊娠率の目安
25〜29歳 約20〜25% 約90〜95%
30〜34歳 約15〜20% 約80〜86%
35〜37歳 約10〜15% 約70〜78%
38〜39歳 約8〜10% 約60〜65%
40〜41歳 約5% 約40〜44%

※数値はACOG(米国産婦人科学会)・ASRM(米国生殖医学会)のガイドラインおよび複数の大規模コホート研究をもとにした推定値です。個人差があります。

38歳では、毎月の妊娠チャンスはおよそ10回に1回以下です。20代と比べると半分以下になっていることがわかります。さらに重要なのは「妊娠できても流産する確率」が同時に上昇している点です。妊娠率の低下と流産率の上昇が重なることで、最終的に赤ちゃんを抱ける確率(生産率)はより低くなります。

💡 ポイント:ACOGのガイドラインでは、35歳以上は6ヶ月間妊活しても妊娠しない場合、早めに不妊専門医へ相談することを推奨しています(35歳未満は1年間が目安)。38歳ではこの目安を意識した行動が特に重要です。

🔬 AMH(卵巣予備能)の基準値と38歳の現実

卵子の残り数の指標となるAMH(抗ミュラー管ホルモン)は、年齢とともに不可逆的に低下します。血液検査1回で調べることができ、不妊治療の方針を決める上でも重要な指標です。

年齢別 AMH平均値の目安(ng/mL)
年齢 AMH平均値の目安 DOR(卵巣予備能低下)判定
30歳 約2.5〜3.5 ng/mL 正常範囲内が多い
35歳 約1.5〜2.5 ng/mL 低めの方が増え始める
38歳 約1.0〜1.5 ng/mL 64%がDOR域(1.0未満)
40歳 約0.5〜1.0 ng/mL 多くがDOR域

※DOR(Diminished Ovarian Reserve)の判定基準:AMH 1.0 ng/mL未満。数値は個人差が大きく、あくまで目安です。

AMH検査は月経周期に関係なくいつでも受けられます。妊活を始める前に現在の卵巣予備能を把握しておくことで、自然妊娠を続けるか、早めに不妊治療へ進むかの判断材料になります。婦人科・不妊クリニックで検査可能です。

ダウン症の確率は35歳の「約2倍」に倍増

卵子の質の変化は、染色体異常の発生率に直結します。特にダウン症候群(21トリソミー)のリスクは、35歳時点と比較して38歳では約2倍に跳ね上がります。

母体年齢別 ダウン症候群発生確率(出産時)
母体年齢 ダウン症の確率 35歳との比較
35歳 約 1/365 (0.27%) 基準
38歳 約 1/180 (0.56%) 約 2.0倍
40歳 約 1/100 (1.0%) 約 3.7倍

※数値は出産時(Live Birth)の確率です。流産率が高まるため、妊娠初期(NIPTを受ける時期)の胎児における発生率はこれより高く、1/125程度と推定されます。

ダウン症以外の染色体異常も:18・13トリソミーのリスク

染色体異常は21番染色体(ダウン症)だけではありません。18トリソミー(エドワーズ症候群)13トリソミー(パタウ症候群)も、母体年齢の上昇とともにリスクが高まります。これらはダウン症よりも重篤で、出生後の予後が非常に厳しい疾患です。

母体年齢別 主要3染色体異常の発生確率(妊娠時)
母体年齢 21トリソミー
(ダウン症)
18トリソミー
(エドワーズ症候群)
13トリソミー
(パタウ症候群)
35歳 約1/365 約1/600 約1/1,000
38歳 約1/180 約1/300 約1/600
40歳 約1/100 約1/150 約1/350

※妊娠時の推定確率です。NIH・ACOG等の文献をもとにした参考値であり、個人差があります。

💡 NIPTが3疾患をまとめてスクリーニングできる理由:一般的なNIPTは21・18・13トリソミーの3疾患を1回の採血で同時に調べることができます。38歳以降はいずれのリスクも上昇するため、3疾患をまとめて確認できるNIPTのスクリーニング価値は非常に高くなります。

正常胚率は30%へ低下:流産率上昇の主因

「なかなか妊娠しない」「妊娠しても流産してしまう」

38歳でこの悩みが急増する原因は、卵子の染色体異常率の上昇にあります。体外受精(IVF)のデータによると、染色体が正常な「正倍数性胚(Euploid)」の割合は、35歳以下と比較して38歳ではほぼ半減してしまいます。

📉 正常なタマゴ(胚)の割合
  • 35歳以下:約58%
  • 37〜38歳:約30%

つまり、38歳で妊娠したとしても、その受精卵の約7割は染色体異常を持っている可能性があります。これが、38歳での流産率(25〜30%)の高さを招く最大の要因です。

流産率は年齢とともに段階的に上昇しますが、38歳前後でその傾きが急になります。下の表で他の年代と比較してみましょう。

母体年齢別 流産率の目安(臨床的妊娠における割合)
母体年齢 流産率の目安 主な原因
〜34歳 約10〜15% 染色体異常(一定割合)
35〜37歳 約20% 染色体異常の増加
38〜39歳 約25〜30% 染色体異常が主因(約70%)
40〜44歳 約33〜40% 染色体異常が主因(約80%以上)
45歳以上 50%超 染色体異常がほぼ全体を占める

※ACOG(米国産婦人科学会)・Advanced Fertility Center of Chicago のデータをもとにした推定値です。

💡 重要:38歳での流産の約70%は受精卵の染色体異常が原因です。これは「母体の体力不足」や「生活習慣の問題」ではなく、卵子の老化に伴う避けがたい変化です。流産を繰り返す場合(反復流産)は、染色体検査や不育症の精査を専門医に相談することが重要です。

「二人目不妊」とNIPTの重要性

38歳での妊娠希望者の多くは、すでに一人のお子様がいる経産婦さんです。「一人目は自然にすぐできたから」と油断しがちですが、ここにも年齢の壁が存在します。

データによると、35〜39歳の女性における妊孕性障害(妊娠しにくさ)の割合は21.5%に達し、30代前半(13.4%)と比較して約1.6倍に増加します。

さらに、上のお子様がいる場合、「下の子に障害があった場合、上の子の将来や生活はどうなるのか?」という、初産とは異なる切実な悩みが生まれます。

👶 「一人目は自然妊娠だったのに…」の医学的理由

二人目不妊でよく聞かれる声が「一人目は苦労しなかったのに」というものです。これは本人の努力不足ではなく、年齢による卵巣機能の変化と、授乳・育児による身体的負荷が重なることで起こる、医学的に説明のできる現象です。

  • 授乳中はプロラクチンが上昇し、排卵が抑制されます。卒乳後すぐに排卵が再開するとは限らず、月経が再開してもしばらくは無排卵のケースも少なくありません。
  • 一人目の妊娠・出産から二人目の妊活開始まで2〜3年経過すると、38歳の「壁」を越えてしまいます。36歳で一人目を出産し、育児が落ち着いた38〜39歳から二人目を考えるケースは非常に多いです。
  • AMH(卵巣予備能)は加齢とともに不可逆的に低下します。一人目が生まれた時点ですでにAMHが低い場合、その後の低下は想像以上に速いことがあります。

第一子との年齢差と、妊活開始タイミングの目安

二人目を希望する場合、「上の子が何歳になったら妊活を始めるか」は非常に重要な判断です。一般的に「上の子が1〜2歳になったら」と考える方が多いですが、38歳以降は時間の価値が急激に高まります。

一人目出産年齢別 二人目妊活の推奨タイミング
一人目出産年齢 二人目妊活の推奨開始 ポイント
35歳 卒乳後すぐ(上の子1歳〜) 37〜38歳での出産を目指す
36〜37歳 産後6ヶ月〜月経再開後すぐ AMH検査を先に受けることを推奨
38歳以上 産後の月経再開後、直ちに 6ヶ月で結果が出ない場合は不妊専門医へ

💡 二人目不妊と染色体リスクは同時に対策できます:二人目の妊活中に妊娠できた場合も、38歳という年齢に応じた染色体リスクは確実に存在します。妊娠が確認されたら、NIPTの受検を早めに検討することが、上の子も含めたご家族全体への備えになります。

💎

【当院の強み】将来のリスクまで見通す検査

38歳のリスクはダウン症だけではありません。自閉症スペクトラム障害(ASD)などの発達障害リスクも、両親の年齢とともに上昇します。

ミネルバクリニックの「ダイヤモンドプラン(COATE法)」は、一般的なNIPTではわからない微細な遺伝子異常まで検査可能です。

🧬 ダイヤモンドプランでわかること

  • 全染色体検査:ダウン症以外のすべての染色体数の異常をチェック。
  • 微小欠失症候群:症候性自閉症や発達遅滞の原因となる微細な遺伝子欠失を高精度に検出。
  • 父方のリスク:精子の老化に起因する遺伝子変異リスクもスクリーニング可能。

38歳の「初産」:経産婦と何が違うのか

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【38歳の「初産」:経産婦と何が違うのか】

38歳での妊娠希望者には、一人目を授かる「初産婦」の方も多くいます。「まだ一度も産んでいないから大丈夫」という安心感を持つ方もいますが、染色体リスクという観点では、初産か経産かは関係ありません。

38歳の卵子は、初産でも経産でも同じように老化しています。

38歳 初産婦 vs 経産婦 主なリスク比較
リスク項目 初産婦 経産婦
ダウン症リスク(染色体) 約1/180 約1/180(同じ)
分娩所要時間 長くなりやすい 比較的短い
帝王切開率 高め やや低め
妊娠高血圧症候群 リスク高め 比較的低め
卵巣機能低下への気づき 遅れやすい※ 一人目で経験あり

※初産婦は妊活が初めてのため、AMH低下や排卵障害に気づかないまま時間が経過するケースがあります。

⚠️ 初産婦が特に注意すべきこと
  • 「妊娠歴がない=卵巣が若い」ではない:出産経験と卵子の老化は無関係です。AMH検査で現在の卵巣予備能を確認することを推奨します。
  • 妊活開始から6ヶ月で専門医へ:35歳以上では、妊活開始から6ヶ月以内に妊娠しない場合、不妊専門医への相談が推奨されます(20代の目安「1年」より短い)。
  • 染色体リスクのスクリーニングは必須:初産であっても38歳での妊娠はダウン症リスクが1/180。NIPTによるスクリーニングは、初産婦にとっても重要な選択肢です。

38歳からの戦略的ロードマップ

38歳は、まだ妊娠の可能性が十分に高い年齢ですが、同時に「時間の価値」が非常に高い時期でもあります。漫然と過ごすのではなく、戦略的に行動することが成功への鍵です。

今日からできること:卵子の質を守る生活習慣

卵子の老化そのものを止めることはできませんが、生活習慣の改善で卵子のミトコンドリア機能を保護し、質の低下を緩やかにすることは可能です。妊活と並行して、以下の点を意識してみましょう。

💊 葉酸(400〜800μg/日)

妊娠1〜3ヶ月前からの摂取が推奨されています(厚生労働省)。神経管閉鎖障害の予防に有効で、妊活開始と同時に飲み始めるのが理想です。食事からの摂取(緑黄色野菜など)に加え、サプリメントでの補充が確実です。

⚡ CoQ10(コエンザイムQ10)

卵子のエネルギー産生に関わるミトコンドリアの機能をサポートする抗酸化物質です。加齢とともに体内での産生量が低下します。複数の研究で卵子の質への好影響が示唆されていますが、エビデンスレベルはまだ発展途上であり、摂取する場合は医師に相談の上で行いましょう。

🚭 禁煙・節酒

喫煙は卵巣予備能を低下させ、AMH値を実年齢より低くすることが複数の研究で確認されています。また過度のアルコール摂取は卵子の質に悪影響を与えます。妊活開始と同時に禁煙・禁酒を徹底することが重要です。

😴 睡眠・ストレス管理

慢性的な睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、排卵に影響します。1日7〜8時間の質の良い睡眠を確保し、過度な妊活ストレスは逆効果になることも。無理のないペースで取り組みましょう。

⚖️ 適正体重の維持(BMI)

BMIが極端に低い(痩せすぎ)または高い(肥満)場合、排卵障害や妊娠合併症のリスクが上がります。BMI18.5〜24.9の範囲が妊活に適した体重の目安とされています。急激なダイエットは卵巣機能に悪影響を与えるため避けましょう。

🏃 適度な運動

適度な有酸素運動(ウォーキング・水泳など)は血流改善と体重管理に効果的です。一方、激しすぎる運動は排卵を抑制することがあります。週3〜4回、1回30分程度の軽〜中程度の運動が妊活中の目安です。

💡 サプリメントは「補助」であることを忘れずに:葉酸以外のサプリメント(CoQ10・鉄・ビタミンD等)はあくまで補助的な役割です。過剰摂取は逆効果になる場合もあります。妊活中のサプリメント選びは、産婦人科医や臨床遺伝専門医に相談した上で行うことを推奨します。

🏥 ミネルバクリニックの安心体制

👨‍⚕️ 臨床遺伝専門医が直接担当

アルバイト医師ではなく、院長の臨床遺伝専門医が責任を持って監修します。陰性の場合は、待ち時間を減らすためマイページで速やかに結果をご確認いただけます(メッセージ機能でいつでも質問可能)。万が一「陽性」の場合は、見逃さないよう強調表示され、改めて専門医によるカウンセリング予約をお取りいただき、詳細な説明とサポートを行います。

💰 陽性時の費用を全額カバー

万が一NIPTで陽性が出た場合、確定検査(絨毛検査・羊水検査など約15〜20万円)の費用を、当院独自の「互助会」システムで全額負担します(※一部対象外となる検査もございます)。追加費用の心配なく、必要な検査に進めます。

🆕 確定検査までワンストップ

2025年6月より産婦人科を併設し、陽性時の確定検査(絨毛検査・羊水検査)を自院で実施可能になりました。検査を受けて終わりではなく、診断がつくまで一貫してサポートします。

体外受精(IVF)を視野に入れる場合:38歳の成功率と選択肢

6ヶ月間の妊活で妊娠しない場合や、AMHが低い場合は、体外受精(IVF)という選択肢が視野に入ります。38歳でのIVFは決して遅すぎるわけではありませんが、年齢による成功率の変化を正確に把握した上で、早めに判断することが重要です。

母体年齢別 IVF(体外受精)採卵あたりの生産率の目安
母体年齢 採卵あたりの生産率 正常胚(Euploid)率
〜35歳 約40〜45% 約55〜60%
38〜39歳 約15〜25% 約30%
40〜42歳 約10〜15% 約15〜20%

※SART(米国生殖技術協会)の統計データをもとにした推定値です。クリニックや個人差によって異なります。

🧬 PGT-AとNIPT:何が違う?

IVFを行う場合、PGT-A(着床前染色体異数性検査)という選択肢が加わります。NIPTとPGT-Aはどちらも「染色体の異常を調べる検査」ですが、目的とタイミングがまったく異なります。

  NIPT(新型出生前診断) PGT-A(着床前検査)
検査対象 妊娠中の胎児 体外受精で得た受精卵(胚)
タイミング 妊娠8週以降(当院) 子宮移植前(体外での培養中)
主な目的 染色体異常リスクのスクリーニング 正常胚を選んで移植し流産率を下げる
自然妊娠への適用 ✅ 可能 ❌ IVFが前提

自然妊娠・人工授精での妊娠の場合はPGT-Aは受けられません。NIPTはすべての妊婦さんが受けられる唯一の出生前染色体スクリーニングであり、38歳という年齢においてはその意義がより大きくなります。

まとめ:38歳は「迷っている時間」がない分岐点

38歳での妊娠は、医学的なリスクが35歳の頃から加速し始める、まさに「分岐点」と言える時期です。しかし、これは「怖い」ということだけではありません。「まだ大丈夫」と油断せず、この変化を正しく認識し、早期に行動することで、リスクを管理し、健康な赤ちゃんを迎えるための準備ができるということです。

✅ 38歳で大切にしてほしいこと
  • 自分の体を過信しない:「35歳の延長」ではなく、卵子の質が変わり始めている現実を受け入れましょう。
  • NIPTでリスクを可視化する:染色体異常のリスクが2倍になる今、精度の高い検査で赤ちゃんの状態を知ることは、将来への一番の備えになります。
  • 専門家を頼る:一人で悩まず、臨床遺伝専門医によるカウンセリングを受け、あなたとご家族にとって最善の選択をしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. 38歳で自然妊娠は難しいですか?

A: 不可能ではありませんが、月経周期あたりの自然妊娠率は10%以下と推定されます。35歳以上の場合、6ヶ月妊活しても妊娠しないなら専門医へ相談しましょう。

Q2. NIPTの結果は信頼できますか?

A: はい。38歳は対象疾患の有病率が高まっているため、NIPTの陽性的中率(PPV)も非常に高くなります。特にダウン症に関しては高い精度ですが、陽性の場合は必ず確定診断が必要です。

Q3. 陽性が出たらどうすればいいですか?

A: まずは臨床遺伝専門医にご相談ください。確定診断には絨毛検査(11週以降)または羊水検査(15〜16週以降)が必要です。8週にNIPTを受けて陽性だった場合、12週の壁(11週6日まで)を考えると絨毛検査が現実的な選択肢になります。ミネルバクリニックでは確定検査費用を互助会で全額カバーし、最後までサポートします。

Q4. 38歳でNIPTを受けるベストなタイミングはいつですか?

A: ミネルバクリニックでは妊娠8週からの受検をおすすめしています。6・7週に比べて胎児分画が安定し再検査率が低くなること、そして万が一陽性だった場合に12週の壁(11週6日までの中絶可能期間)を逆算した場合、8週採血→9〜10週で結果→11週から絨毛検査(確定検査)→結果3日以内、というタイムラインが最も意思決定に余裕をもてるためです。妊娠が確認されたらすぐにご予約ください。

Q5. 38歳での流産後、次の妊活はいつから始められますか?

A: 一般的に、流産後1〜2回の正常な月経を確認してから妊活を再開することが推奨されます。ただし38歳では時間が貴重なため、流産の原因(染色体異常かどうか)を確認し、不育症の検査も含めて婦人科・不妊専門医に相談しながら進めることが重要です。精神的な回復も大切にしてください。

Q6. AMHが低い場合、NIPTを受ける意味はありますか?

A: はい、あります。AMHは卵子の「数」の指標であり、「質(染色体の正常性)」とは別の話です。AMHが低くても妊娠できた場合、その胎児の染色体リスクは年齢に応じて存在します。むしろAMHが低い方は卵巣予備能が限られているため、妊娠できた貴重な機会にNIPTで染色体の状態を確認しておくことは、より意義があると言えます。

Q7. 38歳だと双子になりやすいですか?

A: 自然妊娠では、年齢とともにFSH(卵胞刺激ホルモン)が上昇し複数の卵子が排卵されやすくなるため、二卵性双胎の確率はやや上がる傾向があります。一方、体外受精で排卵誘発剤を使用する場合も多胎リスクが上がります。多胎妊娠は母体・胎児ともにリスクが高まるため、担当医と事前によく相談しましょう。

Q8. 葉酸はいつから、どのくらい飲めばいいですか?

A: 厚生労働省は、妊娠を希望する女性に対して妊娠の1ヶ月以上前(可能であれば3ヶ月前)から葉酸400μg/日の摂取を推奨しています。葉酸は神経管閉鎖障害の予防に有効で、妊娠4週頃までの神経管形成期に特に重要です。妊娠に気づいた時点ではすでに形成期が過ぎていることも多いため、妊活開始と同時に飲み始めることが理想的です。

Q9. NIPTと確定検査(絨毛検査・羊水検査)の違いは何ですか?

A: NIPTは母体の血液から胎児のDNAを解析するスクリーニング検査です。精度は非常に高いですが、確定診断ではありません。陽性の場合は確定検査が必要です。確定検査には絨毛検査(11週以降)羊水検査(15〜16週以降)の2種類があります。8週にNIPTを受けて陽性だった場合、12週の壁(11週6日まで)を考えると絨毛検査が現実的な選択肢になります。ミネルバクリニックでは確定検査の結果をほとんどの項目で3日以内にお伝えしており、互助会制度で費用も全額カバーしています。

Q10. 38歳での初産と二人目、染色体リスクに差はありますか?

A: 染色体異常のリスクは、初産・経産に関係なく母体の年齢(卵子の年齢)によって決まります。38歳での妊娠であれば、初産でも二人目でもダウン症の確率は同じく約1/180です。「一度産んでいるから大丈夫」ということはありません。どちらの場合も、年齢に応じたリスクを正しく理解した上でNIPTを検討することが重要です。

🏥 まずは専門医にご相談ください

38歳は、不安と希望が交差する大切な時期です。後悔のない選択をするために、私たち遺伝子のプロフェッショナルにご相談ください。

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📚 引用文献・信頼できる情報源

本記事は、以下の医学的根拠および公的ガイドラインに基づき作成されています。

  1. AMH levels by age and how it relates to diminished ovarian reserve (DOR) – Remembryo
    www.remembryo.com/amh-levels-by-age-and-how-it-relates-to-diminished-ovarian-reserve-dor/
  2. Understanding Your Fertility in Your 30’s – Pinnacle Fertility
    www.pinnaclefertility.com/blog/understanding-your-fertility-in-your-30s/
  3. NSFG- Listing I – Key Statistics from the National Survey of Family Growth – CDC
    www.cdc.gov/nchs/nsfg/key_statistics/i.htm
  4. Maternal Age-Specific Rates for Trisomy 21 and Common… – NIH
    pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5094691/
  5. Female Age and Miscarriage – Advanced Fertility Center of Chicago
    www.advancedfertility.com/patient-education/causes-of-infertility/age-and-fertility
  6. P-253 Clinical efficacy of PGT-A according to maternal age… – Human Reproduction
    academic.oup.com/humrep/article/38/Supplement_1/dead093.611/7203425
  7. Positive Predictive Value of Cell Free DNA Calculator
    www.med.unc.edu/mfm/nips-calc/

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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