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PGT-AとNIPTの違いを徹底解説
近年、体外受精(IVF)においてPGT-A(着床前遺伝子検査)を実施するケースが増えています。PGT-Aは、受精卵の染色体異常をスクリーニングし、正常と判定された胚のみを移植することで、妊娠率を向上させる有用な検査です。
一方、NIPT(非侵襲的出生前検査)は、妊娠後に胎児の染色体異常や特定の遺伝子疾患を調べる検査です。「PGT-Aを受けたからNIPTは不要では?」と考える方もいますが、PGT-AとNIPTには異なる役割があり、**PGT-Aを受けた後でもNIPTを受けることが推奨**されます。
PGT-AとNIPTの主な違い
- PGT-A(着床前遺伝子検査):体外受精で得られた受精卵の一部の細胞を分析し、染色体数の異常をスクリーニングする検査
- NIPT(非侵襲的出生前検査):妊娠後、母体血中の胎児DNAを分析し、染色体異常や特定の遺伝子疾患を調べる検査
PGT-A後でもNIPTが必要な理由:Aさんのケース
Aさん(38歳)は、体外受精でPGT-Aを実施し、正常な胚を移植しました。「染色体異常のリスクは低い」と考え、当初はNIPTを受ける予定はありませんでした。
しかし、妊娠12週頃にかかりつけの医師から「**PGT-Aでは検出できない遺伝子疾患があるため、NIPTを受けることをおすすめします**」と言われ、検査を受けることを決意しました。
結果、赤ちゃんに微細欠失症候群の可能性が示唆されました。Aさんにとってこれは大きな衝撃でしたが、早期にリスクを把握できたことで、医師と相談しながら出産や子育ての準備を進めることができました。
「PGT-Aを受けているから大丈夫」と考えていたAさんにとって、NIPTを併用することの重要性を実感する出来事となりました。
米国産婦人科学会(ACOG)も推奨!PGT-A後のNIPTの重要性
米国産婦人科学会(ACOG)は、PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)を受けた妊婦に対しても、NIPTを含む出生前診断を推奨しています。PGT-Aは体外受精の際に胚の染色体異常をスクリーニングする検査ですが、完全な診断ではなく、**妊娠後の追加検査が必要**とされています。
ACOGの公式ガイドライン
- ACOG Practice Bulletin 226:「胎児染色体異常のスクリーニング」
2020年に発行されたこの指針では、PGT-Aの有無に関わらず、すべての妊婦に出生前遺伝子スクリーニングと侵襲的診断検査を提供すべきとされています。 - ACOG委員会意見書:「着床前遺伝子検査」
この文書では、PGT-Aを受けた妊婦にも、他のすべての妊婦と同様に、NIPTを含む出生前診断を提供すべきと明記されています。
PGT-AとNIPTに関するよくある質問(FAQ)
Q1. PGT-Aを受けたらNIPTは不要ですか?
A. いいえ、PGT-Aはスクリーニング検査であり、すべての遺伝的リスクを排除できるわけではありません。そのため、妊娠後のNIPTを受けることが推奨されます。
Q2. NIPTはどの週数で受けるべきですか?
A. NIPTは妊娠10週以降から受けることが可能です。早めに検査を受けることで、より早く結果を知ることができます。
Q3. PGT-AとNIPTを両方受けると、どれくらいのリスクをカバーできますか?
A. PGT-AとNIPTを併用することで、染色体異常や特定の遺伝子疾患のリスクを大幅に低減できます。ただし、すべての疾患を検出できるわけではありません。全ての疾患を検出できるわけではないのは、羊水検査・絨毛検査についても同様です。
PGT-AとNIPTを併用することでより安心な妊娠へ
PGT-Aは、体外受精での成功率を高め、流産のリスクを減らすための重要な検査ですが、それだけではすべての遺伝的リスクを排除することはできません。妊娠後にNIPTを受けることで、胎児の健康状態をより詳しく把握し、安心して妊娠生活を送ることができます。
PGT-AとNIPTについて、より詳しい情報を知りたい方は以下のページも参考にしてください。
ミネルバクリニックでは、PGT-Aを受けた方にもNIPTを推奨しており、より精度の高い出生前診断を提供しています。「PGT-Aを受けたから安心」と考えるのではなく、追加の検査を受けることで、より確実な情報を得ることが大切です。
「本当に大丈夫なのか不安……」という方は、ぜひ専門の医師に相談してみてください。