目次
PGT-A(着床前遺伝子検査)とは?基本情報を解説
PGT-Aとは?体外受精とセットで行われる遺伝子検査
PGT-A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy)は、日本語で「着床前遺伝子検査(異数性検査)」と呼ばれ、体外受精(IVF)で得られた受精卵の染色体異常を検出するための検査です。
通常、健康な人間の細胞には46本(23対)の染色体が存在します。しかし、受精卵の段階で染色体異常(トリソミーやモノソミーなど)が発生することがあり、これが流産や着床不成功の原因となる場合があります。PGT-Aでは、受精卵の細胞を一部採取し、染色体の本数異常をスクリーニングすることで、遺伝的に正常な胚を選択し、妊娠率を高めることを目的としています。
体外受精(IVF)との関係性
PGT-Aは、体外受精(IVF)のプロセスの一環として行われる検査です。自然妊娠では、受精卵の染色体異常を事前に検査することはできませんが、体外受精では以下のステップでPGT-Aを実施することが可能です。
- ① 採卵:ホルモン治療によって複数の卵子を採取
- ② 受精:採取した卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を培養
- ③ 胚盤胞まで培養:受精卵を5~7日間培養し、胚盤胞まで成長させる
- ④ PGT-Aの実施:胚盤胞の一部の細胞を採取し、染色体異常を解析
- ⑤ 正常胚の選択と移植:染色体異常がない胚を選び、子宮に移植
このように、PGT-Aは着床前に胚の遺伝的な正常性を確認するための重要なスクリーニング検査であり、特に高齢妊娠や習慣性流産のリスクがある方に推奨されています。
PGT-AとNIPTの違い
PGT-Aは「受精卵の段階」で染色体異常を検査するスクリーニングであり、一方、NIPT(非侵襲的出生前検査)は「妊娠後」に母体血中の胎児DNAを検査するものです。どちらも遺伝子スクリーニングに役立ちますが、それぞれ目的が異なります。
- PGT-A:体外受精時に実施し、異数性のある胚を除外する
- NIPT:妊娠10週以降に受ける検査で、胎児の染色体異常のリスクを判定
PGT-Aを受けていてもNIPTを受けることが推奨される理由については、こちらの記事をご覧ください。
PGT-Aの目的と役割
染色体異常の検出と移植成功率の向上
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)は、受精卵の染色体異常をスクリーニングすることで、正常な胚を選択し、妊娠の成功率を向上させることを目的とした検査です。
受精卵の染色体異常(トリソミーやモノソミーなど)は、自然流産や着床不成功の主な原因とされています。特に高齢妊娠の場合、卵子の染色体異常の確率が高まるため、PGT-Aを行うことで異常のある受精卵を除外し、着床の可能性を高めることができます。
具体的には、PGT-Aでは以下のような染色体異常を検出することができます:
- トリソミー:通常2本ある染色体が3本になっている(例:21トリソミー(ダウン症))
- モノソミー:染色体が1本しかない(例:Xモノソミー(ターナー症候群))
- 部分欠失・重複:染色体の一部が欠けたり増えたりしている
- モザイク異常:正常な細胞と異常な細胞が混在している
このように、PGT-Aを行うことで遺伝的に正常な胚を選択できるため、移植の成功率を大幅に向上させることができます。
着床率・妊娠率の向上、流産率の低下
PGT-Aを受けることで、移植する胚の選択精度が向上し、以下のようなメリットが期待できます:
- 着床率の向上:正常な胚を移植することで、着床する確率が高まる
- 妊娠率の向上:染色体異常のリスクを減らすことで、妊娠の継続率が上がる
- 流産率の低下:流産の主な原因である染色体異常を排除することで、流産リスクが低下
特に35歳以上の妊娠では、染色体異常のリスクが上昇し、それに伴い流産率も高くなります。PGT-Aを活用することで、高齢妊娠のリスクを軽減し、より安全な妊娠の実現をサポートすることが可能になります。
また、過去に流産を繰り返した方や、着床しづらい方(反復着床不全)にとっても、PGT-Aは非常に有効な選択肢となります。
PGT-A(着床前遺伝子検査)とは?基本情報を解説
PGT-Aとは?体外受精とセットで行われる遺伝子検査
PGT-A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy)は、日本語で「着床前遺伝子検査(異数性検査)」と呼ばれ、体外受精(IVF)の過程で受精卵の染色体異常を調べるために行われる検査です。
通常、人間の細胞には23対(計46本)の染色体があります。しかし、受精の過程で異常が発生し、染色体が過剰(トリソミー)または不足(モノソミー)している場合があります。こうした染色体異常は、着床不成功、流産、出生後の遺伝疾患の原因となることが知られています。
PGT-Aを行うことで、染色体異常のある胚を事前に検出し、遺伝的に正常な胚を選択して移植することが可能になります。これにより、着床率や妊娠成功率が向上し、流産リスクを低減することができます。
体外受精(IVF)との関係性
PGT-Aは、自然妊娠では行えず、体外受精(IVF)のプロセスの一環として実施される検査です。自然妊娠では、受精卵の染色体異常を事前に確認することはできませんが、体外受精では以下のステップでPGT-Aを組み込むことが可能です。
- ① 採卵:ホルモン治療によって複数の卵子を採取
- ② 受精:採取した卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を培養
- ③ 胚盤胞まで培養:受精卵を5~7日間培養し、胚盤胞まで成長させる
- ④ PGT-Aの実施:胚盤胞の一部の細胞を採取し、染色体異常を解析
- ⑤ 正常胚の選択と移植:染色体異常のない胚を選び、子宮に移植
このように、PGT-Aは着床前に胚の遺伝的な正常性を確認するための重要なスクリーニング検査であり、特に高齢妊娠や習慣性流産のリスクがある方に推奨されています。
PGT-Aを受けるメリット
PGT-Aを受けることで、以下のようなメリットがあります:
- 着床率の向上:正常な胚を移植することで、着床する確率が高まる
- 妊娠率の向上:染色体異常のある胚を除外することで、妊娠の成功率を上げる
- 流産リスクの低減:染色体異常のある胚の移植を避けることで、流産率を下げる
- 高齢妊娠のリスク軽減:加齢による染色体異常のリスクを最小限に抑えられる
PGT-AとNIPTの違い
PGT-Aは「受精卵の段階」で染色体異常を検査するスクリーニングであり、一方、NIPT(非侵襲的出生前検査)は「妊娠後」に母体血中の胎児DNAを検査するものです。どちらも遺伝子スクリーニングに役立ちますが、それぞれ目的が異なります。
- PGT-A:体外受精時に実施し、異数性のある胚を除外する
- NIPT:妊娠10週以降に受ける検査で、胎児の染色体異常のリスクを判定
PGT-Aを受けていてもNIPTを受けることが推奨される理由については、こちらの記事をご覧ください。
PGT-Aの目的と役割
染色体異常の検出と移植成功率の向上
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)は、受精卵の染色体異常をスクリーニングし、遺伝的に正常な胚を選択することで、妊娠の成功率を向上させることを目的とした検査です。
染色体の本数に異常があると、着床不成功や流産、遺伝性疾患の原因となることが知られています。特に35歳以上の高齢妊娠では、卵子の染色体異常のリスクが上昇するため、PGT-Aを実施することで異常のある胚を除外し、健康な妊娠を目指すことが可能になります。
PGT-Aでは、以下のような染色体異常を検出できます:
- トリソミー:通常2本ある染色体が3本になっている(例:21トリソミー(ダウン症候群))
- モノソミー:染色体が1本しかない(例:Xモノソミー(ターナー症候群))
- 部分欠失・重複:染色体の一部が欠けたり増えたりしている
- モザイク異常:正常な細胞と異常な細胞が混在している状態
このように、PGT-Aを行うことで遺伝的に問題のない胚を選択し、移植の成功率を向上させることができます。
着床率・妊娠率の向上、流産率の低下
PGT-Aを受けることで、移植する胚の選択精度が向上し、以下のようなメリットが期待できます:
- 着床率の向上:遺伝的に正常な胚を選択することで、子宮に移植した際の着床成功率が向上
- 妊娠率の向上:着床後の発育がスムーズになり、妊娠継続の可能性が高まる
- 流産率の低下:染色体異常が原因での流産を防ぐことで、流産リスクを低減
特に35歳以上の妊娠では、染色体異常のリスクが上昇し、それに伴い流産率も高くなります。PGT-Aを活用することで、高齢妊娠のリスクを軽減し、より安全な妊娠の実現をサポートすることが可能になります。
PGT-Aが推奨されるケース
以下のようなケースでは、PGT-Aが特に推奨されます:
- 35歳以上の高齢妊娠:年齢とともに染色体異常のリスクが増加するため、遺伝的に正常な胚を選択することで妊娠成功率を高める
- 流産の経験がある方:過去に流産を繰り返した場合、染色体異常が原因である可能性が高く、PGT-Aによってそのリスクを減らすことができる
- 着床不成功が続いている方:体外受精で複数回の移植を試みたが成功していない場合、PGT-Aで染色体異常をスクリーニングすることで妊娠率を向上させることが期待できる
- 遺伝的リスクを持つ家系の方:家族に遺伝性疾患のある場合、PGT-Aを利用することで遺伝子異常のリスクを回避できる
PGT-Aは、体外受精を行う方にとって、より安全で確実な妊娠を目指すための重要な手段となります。
PGT-AとNIPTの併用の重要性
PGT-Aを受けることで染色体異常を事前に検出できますが、それだけではすべての遺伝的リスクを排除することはできません。例えば、PGT-Aでは検出できない微細欠失症候群や新生突然変異(デノボ変異)も存在します。そのため、妊娠後にNIPT(非侵襲的出生前検査)を併用することで、胎児の健康状態をより包括的に確認することが推奨されます。
PGT-AとNIPTを併用することで、出生前診断の精度を向上させ、安心して妊娠を進めることができます。PGT-Aを受けていてもNIPTを受けることが推奨される理由については、こちらの記事をご覧ください。
PGT-Aのメリットと限界
PGT-Aを受けるメリット
染色体異常による流産リスクの低減
流産の主な原因の一つは、受精卵の染色体異常です。特に妊娠初期の流産の約50〜70%は、染色体異常が原因であるとされています。
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)を受けることで、染色体異常を持つ胚を事前に検出し、正常な胚のみを移植できるため、流産のリスクを大幅に低減できます。特に以下のような方にとって、PGT-Aは流産予防の大きな助けになります:
- 流産を繰り返している方(習慣性流産)
- 高齢での妊娠を希望する方(35歳以上)
- 染色体異常のリスクが高いと診断された方
染色体異常がある場合、胚が着床しなかったり、着床しても発育が停止してしまうことがあります。PGT-Aを活用することで、こうしたリスクを最小限に抑えることが可能です。
妊娠成功率の向上
PGT-Aは、遺伝的に正常な胚を選択することで、妊娠の成功率を向上させる効果があります。特に、体外受精(IVF)を行う際には、複数の胚の中から妊娠しやすいものを選ぶことが重要です。
PGT-Aを受けることで:
- 染色体異常のある胚を除外できる
- 着床率の高い正常な胚を選択できる
- 移植1回あたりの妊娠率を向上させる
このため、着床の成功率を高め、結果として妊娠率を向上させることが期待できます。また、妊娠成功率が向上することで、何度も体外受精を繰り返す必要が減り、精神的・経済的負担を軽減できるというメリットもあります。
高齢出産におけるリスク軽減
35歳以上の妊娠(いわゆる高齢出産)では、卵子の染色体異常の確率が上昇するため、流産や先天性疾患のリスクが高まります。例えば:
- 30代後半になると、卵子の約40%に染色体異常がみられる
- 40歳以上では、染色体異常のある胚の割合が50%以上に達する
PGT-Aを活用することで、こうした異常を持つ胚を移植前にスクリーニングし、遺伝的に正常な胚のみを選択して移植することができます。これにより、高齢妊娠のリスクを低減し、妊娠の成功率を高めることが可能になります。
特に以下のようなケースでは、PGT-Aが有効です:
- 35歳以上の女性が妊娠を希望する場合
- 体外受精での妊娠を計画している場合
- 過去に染色体異常による流産の経験がある場合
PGT-Aは、こうしたリスクを軽減し、安全で健康な妊娠をサポートする重要な検査といえます。
PGT-Aのメリットを最大限に活かすために
PGT-Aは染色体異常のスクリーニング検査であり、すべての遺伝子疾患を検出できるわけではありません。そのため、妊娠後にはNIPT(非侵襲的出生前検査)を併用することで、さらに詳細な出生前診断を行うことが推奨されます。
PGT-Aの限界と注意点
検出できる異常とできない異常の違い
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)は、体外受精(IVF)で得られた受精卵の染色体異常を検出するためのスクリーニング検査ですが、すべての遺伝的異常を検出できるわけではありません。
PGT-Aで検出可能な異常には、以下のようなものがあります:
- トリソミー:通常2本ある染色体が3本になっている(例:ダウン症候群(21トリソミー))
- モノソミー:染色体が1本しかない(例:ターナー症候群(Xモノソミー))
- 染色体の部分欠失・重複:染色体の一部が欠損または重複している
- モザイク異常:正常細胞と異常細胞が混在している胚
一方で、PGT-Aでは以下のような異常は検出できません:
- 単一遺伝子疾患(遺伝子の突然変異による疾患): 例:嚢胞性線維症、鎌状赤血球症、筋ジストロフィーなど
- 微細欠失症候群(小さな染色体異常): 例:22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)
- 新生突然変異(デノボ変異): 受精後に突然変異が発生するため、受精卵の段階では検出不可
このため、PGT-Aだけではすべての遺伝的リスクを排除できないため、妊娠後にNIPT(非侵襲的出生前検査)や確定検査(羊水検査・絨毛検査)を受けることが推奨されます。
モザイク胚の問題
PGT-Aの結果には、「正常胚」と「異常胚」のほかに、「モザイク胚」と呼ばれるものがあります。モザイク胚とは、正常な細胞と異常な細胞が混在している状態の胚です。
モザイク胚の問題点:
- 一部の細胞が正常であれば、着床や発育が可能な場合がある
- 異常な細胞の割合によっては、妊娠後に問題が発生する可能性がある
- PGT-Aの検査では胚の一部の細胞しか解析しないため、胚全体の状態を完全に把握することはできない
そのため、モザイク胚の移植を行うかどうかは、遺伝カウンセリングや医師との相談が必要です。また、モザイク胚の移植後は、NIPTや確定検査を受けることで、胎児の健康状態をより詳しく確認することが重要です。
費用と倫理的側面
PGT-Aは高度な遺伝子検査技術を用いるため、費用が高額になることが一般的です。日本ではPGT-Aは一部の施設でしか提供されておらず、費用は数十万円~100万円以上かかることもあります。
また、倫理的な問題についても議論されています。PGT-Aは、遺伝的に正常な胚を選択するスクリーニング検査ですが、以下のような倫理的課題が指摘されています:
- 「正常」と「異常」の判断基準の難しさ: モザイク胚のように、異常細胞が含まれていても妊娠が可能なケースがある
- 「生命の選択」に関する倫理的問題: PGT-Aの導入が進むことで、胚の選別が倫理的に許容される範囲を超える可能性がある
- 遺伝情報の扱い方: 遺伝子検査の結果をどのように扱い、将来の親がどのように判断するのかが課題となる
PGT-Aを受けるかどうかは、医学的なメリットと倫理的な側面を慎重に考慮することが必要です。検査を受ける前に、遺伝カウンセリングを通じて十分な情報を得ることが重要です。
PGT-AとNIPTの併用の重要性
PGT-Aは、染色体異常をスクリーニングする優れた検査ですが、限界もあるため、妊娠後にはNIPTを受けることが推奨されます。
例えば、PGT-Aでは微細欠失症候群や単一遺伝子疾患は検出できませんが、NIPTでは一部の疾患をスクリーニングすることが可能です。そのため、PGT-AとNIPTを併用することで、胎児の健康状態をより詳細に評価することができます。
PGT-Aの検査方法と流れ
PGT-Aの検査の仕組み
受精卵(胚盤胞)からの細胞採取(バイオプシー)
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)は、受精卵の遺伝的異常をスクリーニングするために体外受精(IVF)の過程で行われる検査です。PGT-Aを実施するためには、受精卵(胚盤胞)から細胞を採取し、その遺伝情報を解析する必要があります。この細胞採取のプロセスを「バイオプシー」と呼びます。
通常、受精後5〜7日目の胚盤胞まで成長した受精卵の外側(栄養外胚葉)から、約5〜10個の細胞を採取します。この時点で細胞を採取する理由は以下の通りです:
- 受精直後では細胞数が少なく、検査に十分なDNAが得られないため
- 胚盤胞の栄養外胚葉の細胞を採取することで、胚本体(将来の胎児部分)に影響を与えにくいため
バイオプシーは非常に高度な技術を必要とするため、熟練した胚培養士が顕微鏡下で慎重に実施します。
染色体解析(NGS技術の活用)
採取した細胞は、次世代シークエンシング(NGS:Next Generation Sequencing)技術を用いて染色体解析を行います。NGS技術を活用することで、以下のような異数性異常を高精度に検出することが可能になります:
- トリソミー:通常2本ある染色体が3本に増えている異常(例:ダウン症候群(21トリソミー))
- モノソミー:通常2本ある染色体が1本しかない異常(例:ターナー症候群(Xモノソミー))
- 部分欠失・重複:染色体の一部が欠損または重複している異常
- モザイク異常:正常な細胞と異常な細胞が混在している状態
従来の染色体解析技術(FISH法やaCGH法)と比較して、NGS技術は以下の点で優れています:
- 高精度な異数性スクリーニング:従来法よりも小さな異常まで検出可能
- 低コスト化:大量のサンプルを同時に解析できるため、コストが抑えられる
- 検査の信頼性向上:微細な染色体変化まで解析できるため、誤診のリスクが低減
このように、PGT-Aは「バイオプシーによる細胞採取」と「NGS技術を用いた染色体解析」の2つのステップを組み合わせることで、高精度な異数性スクリーニングを実現しています。
PGT-Aの結果の見方と判断基準
正常胚・異数性胚・モザイク胚の判定
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)の結果は、受精卵(胚)の染色体異常の有無に基づいて分類されます。主に以下の3つのタイプに分類され、それぞれの特徴が異なります。
- 正常胚(Euploid): 23対(計46本)の正常な染色体を持つ胚
- 異数性胚(Aneuploid): 染色体数に異常がある胚(トリソミーやモノソミーなど)
- モザイク胚(Mosaic): 正常な細胞と異常な細胞が混在している胚
PGT-Aの結果を正しく理解し、適切な判断を行うためには、それぞれの胚の特性を把握することが重要です。
正常胚(Euploid)
染色体異常がなく、妊娠成功率が最も高い胚です。正常胚は:
- 着床率が高く、妊娠継続率も高い
- 流産率が低く、健康な赤ちゃんが生まれる可能性が高い
PGT-Aの目的は、できる限りこの正常胚を選択し、移植することで妊娠の成功率を向上させることにあります。
異数性胚(Aneuploid)
染色体数に異常があるため、通常は移植に適さない胚と判断されます。異数性胚の特徴:
- 着床しても発育が停止しやすい
- 流産率が非常に高い
- 出生後に重篤な遺伝疾患を引き起こす可能性がある
例えば、以下のような異常が検出されることがあります:
- 21トリソミー: ダウン症候群の原因となる
- 18トリソミー: エドワーズ症候群(重度の発達遅延・短命)
- 13トリソミー: パトウ症候群(重篤な合併症)
- Xモノソミー: ターナー症候群(女性のみに影響し、不妊や成長障害)
これらの異常が判明した場合、通常は移植の対象外となりますが、医師と相談しながら今後の妊娠計画を立てることが重要です。
モザイク胚(Mosaic)
モザイク胚は、正常な細胞と異常な細胞が混在している胚のことを指します。モザイク胚の割合や異常の種類によっては、着床や発育に影響を与える可能性があります。
モザイク胚の特徴:
- 一部の細胞が正常なため、着床・妊娠の可能性がある
- 異常細胞の割合によっては、流産や先天性疾患のリスクが上昇
- 異常の種類によっては、健康な赤ちゃんとして生まれる可能性もある
モザイク胚の扱いは施設や医師によって判断が分かれるため、移植を検討する場合は遺伝カウンセリングを受けることが推奨されます。また、モザイク胚を移植した場合は、妊娠後にNIPTや確定検査(羊水検査・絨毛検査)を受けることが推奨されます。
医師と相談しながらの判断の重要性
PGT-Aの結果が出た後、どの胚を移植するかを決定する際には、医師や遺伝カウンセラーと十分に相談することが重要です。以下の点を考慮しながら、最適な判断を行いましょう。
- 正常胚がある場合: できるだけ正常胚を選択し、移植する
- 正常胚がない場合: モザイク胚の移植を検討するか、再度採卵を行うかを決定
- モザイク胚の移植を考える場合: 胎児の健康状態を慎重にモニタリングする
また、PGT-Aの限界として、単一遺伝子疾患や微細欠失症候群の検出はできないため、妊娠後のNIPTを併用することで、より確実な遺伝スクリーニングが可能になります。
PGT-Aが特に推奨されるケース
35歳以上の高齢妊娠を希望する人
高齢になるほど染色体異常のリスクが上昇
妊娠を希望する女性の年齢が高くなるにつれて、卵子の染色体異常のリスクが上昇することが知られています。特に35歳以上の女性では、受精卵の染色体異常の確率が高まり、着床不成功や流産のリスクが増加します。
年齢とともに卵子の染色体異常率が上がることは、以下のデータからも明らかです:
- 35歳: 約50%の卵子に染色体異常がある
- 40歳: 約70%の卵子に染色体異常がある
- 45歳以上: 90%以上の卵子に染色体異常がある
染色体異常がある受精卵は、以下のような問題を引き起こす可能性があります:
- 着床しにくくなる(着床率の低下)
- 妊娠しても初期の段階で流産する(流産率の上昇)
- 出生後の遺伝疾患のリスクが高くなる
そのため、高齢妊娠を希望する場合には、PGT-Aを活用して遺伝的に正常な胚を選択し、妊娠成功率を向上させることが推奨されます。
PGT-Aの導入による高齢妊娠の成功率向上
PGT-Aを利用することで、高齢妊娠においても以下のようなメリットが期待できます:
- 着床率の向上: 染色体異常のある胚を除外し、正常な胚を移植することで着床率を高める
- 流産率の低減: 遺伝的に正常な胚を選択することで、流産のリスクを軽減
- 健康な赤ちゃんが生まれる可能性を向上: 先天性疾患のリスクを減らす
特に、40歳以上での妊娠を希望する場合は、PGT-Aの実施がより強く推奨されます。これは、染色体異常のある胚を移植することで、着床しない、または流産してしまう可能性が非常に高くなるためです。
高齢妊娠とPGT-Aの重要性
高齢妊娠では、受精卵の遺伝的な健康状態を確認することが、妊娠成功率を高めるための重要なステップとなります。PGT-Aを利用することで、以下のような流れで安全な妊娠を目指すことができます。
- 体外受精(IVF)を行い、複数の受精卵を培養する
- PGT-Aを実施し、遺伝的に正常な胚を選別
- 選択した正常な胚を移植し、着床成功率を向上させる
- 妊娠後、NIPTなどの出生前診断を実施し、さらなる健康評価を行う
このように、PGT-Aを導入することで、高齢妊娠のリスクを低減し、安全に妊娠・出産を進めることが可能になります。
高齢妊娠を希望する方へのアドバイス
35歳以上で妊娠を希望する場合、PGT-Aの導入を検討することで、妊娠の成功率を高めることができます。しかし、PGT-Aだけではすべてのリスクを排除できるわけではないため、妊娠後にはNIPT(非侵襲的出生前検査)を併用することが推奨されます。
PGT-AとNIPTを併用することで、出生前診断の精度を向上させ、安心して妊娠を進めることができます。PGT-Aを受けていてもNIPTを受けることが推奨される理由については、こちらの記事をご覧ください。
習慣性流産・不妊治療の経験がある人
反復着床不全や流産経験があるケースでの有用性
妊娠を希望していても、何度も流産を繰り返してしまう習慣性流産や、体外受精で胚移植を繰り返しても着床しない反復着床不全に悩む方は少なくありません。特に、原因不明の流産や着床不成功が続く場合、染色体異常が関与している可能性があります。
研究によると、流産の50〜70%は染色体異常が原因とされており、特に高齢妊娠や不妊治療を受けている方にとって、受精卵の遺伝的異常を事前にスクリーニングすることが重要です。PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)は、胚移植前に染色体異常の有無を判定し、正常な胚を選択することで、流産や着床不成功のリスクを軽減することができます。
PGT-Aが有効なケース
以下のような状況にある方は、PGT-Aを受けることで妊娠の成功率を向上させることが期待できます:
- 過去に2回以上の流産を経験した方(習慣性流産)
- 体外受精で複数回移植しても妊娠に至らない方(反復着床不全)
- 高齢妊娠(35歳以上)で流産リスクが高い方
- 夫婦いずれかに染色体異常のキャリア(保因者)がいる場合
特に、流産や着床不成功の原因が特定できない場合、PGT-Aを実施することで胚の遺伝的要因を調べることができ、次の妊娠に向けた適切な対策を立てることが可能になります。
PGT-Aによる習慣性流産・不妊治療の改善
PGT-Aを実施すると、以下のようなメリットが期待できます:
- 流産率の低減: 異数性(染色体数異常)のある胚を除外し、流産リスクを軽減
- 着床率の向上: 遺伝的に正常な胚を選択し、着床成功率を向上
- 移植の回数を減らすことができる: 正常な胚を移植することで、妊娠の確率が高まり、治療期間の短縮につながる
例えば、体外受精においてPGT-Aを実施すると、移植あたりの妊娠率が向上し、流産率が低下することが報告されています。これにより、不妊治療にかかる経済的・精神的負担を軽減できる可能性があります。
PGT-AとNIPTの併用の重要性
PGT-Aは受精卵の段階で染色体異常をスクリーニングする検査ですが、妊娠後にはさらに詳細な遺伝情報を確認するためにNIPT(非侵襲的出生前検査)を併用することが推奨されます。
特に、PGT-Aでは検出できない微細欠失症候群や新生突然変異(デノボ変異)を確認するために、妊娠後にNIPTを受けることで出生前診断の精度を向上させることが可能です。
PGT-AとNIPTを併用することで、出生前診断の精度を向上させ、安心して妊娠を進めることができます。PGT-Aを受けていてもNIPTを受けることが推奨される理由については、こちらの記事をご覧ください。
遺伝性疾患を持つ家系の人
家族歴や遺伝リスクがある場合の適用
遺伝性疾患を持つ家系の方にとって、自分の子どもに遺伝的な病気が受け継がれるリスクは大きな懸念事項です。特定の遺伝性疾患は、両親のいずれかが遺伝子の変異を持っている場合、子どもに受け継がれる可能性があります。
こうした遺伝リスクを軽減するために、PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)を実施することで、染色体異常を持つ胚を選別し、健康な赤ちゃんを授かる可能性を高めることができます。
PGT-Aが有効なケース
以下のようなケースでは、PGT-Aの実施が特に推奨されます:
- 家族に染色体異常を持つ人がいる場合
- 夫婦のいずれかが染色体異常のキャリア(保因者)である場合
- 過去に染色体異常による流産や出生経験がある場合
例えば、以下のような染色体異常のリスクがある場合、PGT-Aによって遺伝リスクを低減できます:
- 均衡型転座: 親の染色体の一部が別の染色体と入れ替わっているが、本人に症状はないものの、子どもに異常をもたらす可能性がある
- ロバートソン転座: 特定の染色体(13番・14番・15番・21番・22番)が融合することで、次世代の染色体異常のリスクが高まる
こうした遺伝的リスクを持つ場合、PGT-Aを実施することで、遺伝子異常を持たない胚を選択し、妊娠の安全性を高めることが可能になります。
PGT-AとPGT-M(着床前遺伝子検査-単一遺伝子疾患)の違い
PGT-Aは染色体の本数異常(異数性)を検出するスクリーニング検査ですが、特定の遺伝子疾患(単一遺伝子疾患)を検出するためにはPGT-M(着床前遺伝子検査-単一遺伝子疾患)が必要です。
PGT-Mは、以下のような特定の遺伝子変異を検出するために使用されます:
- 嚢胞性線維症(CF)
- 筋ジストロフィー(Duchenne型)
- 血友病(X染色体連鎖性疾患)
- サラセミア(地中海性貧血)
そのため、両親が特定の遺伝子疾患の保因者である場合は、PGT-AではなくPGT-Mが適用されることになります。
PGT-Aの限界とNIPTの併用の重要性
PGT-Aは胚の段階で染色体異常をスクリーニングできる有用な検査ですが、すべての遺伝的リスクを排除できるわけではありません。特に、微細欠失症候群や新生突然変異(デノボ変異)はPGT-Aでは検出できません。
そのため、妊娠後にはNIPT(非侵襲的出生前検査)を併用することが推奨されます。
PGT-AとNIPTを併用することで、出生前診断の精度を向上させ、安心して妊娠を進めることができます。PGT-Aを受けていてもNIPTを受けることが推奨される理由については、こちらの記事をご覧ください。
PGT-A後の胚移植と妊娠成功率の変化
PGT-Aを受けた胚を移植した場合のデータ
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)は、染色体異常を持たない正常な胚を選択することで、着床率・妊娠成功率を向上させることを目的としています。近年の研究では、PGT-Aを受けた胚を移植することで以下のような成果が報告されています。
- PGT-Aを実施した移植の着床率: 約60〜70%
- PGT-Aなしの移植の着床率: 約40〜50%
- PGT-Aを実施した場合の流産率: 約10%
- PGT-Aなしの場合の流産率: 約25〜30%
このデータからも分かるように、PGT-Aを受けた胚を移植することで、着床率が向上し、流産率が低下する傾向が見られます。特に高齢妊娠(35歳以上)の場合、受精卵の染色体異常のリスクが高くなるため、PGT-Aを活用することで安全な妊娠を目指すことが可能になります。
PGT-A後の移植で成功率が向上する理由
PGT-Aによる胚選択が妊娠成功率を向上させる主な理由は以下の通りです:
- 染色体異常のある胚を除外できる: 着床しやすい正常な胚を選択することで、移植後の妊娠率が上昇
- 流産リスクの低減: 異常胚の移植を避けることで、妊娠初期の流産を防ぐ
- 治療の負担を軽減: 余分な移植回数を減らし、経済的・精神的負担を軽減
これらの点から、PGT-Aを行うことでより効率的な不妊治療が可能になることが分かります。
妊娠後の経過観察の重要性
PGT-Aを受けたからといって、妊娠後のすべてのリスクがなくなるわけではありません。妊娠後の経過観察を適切に行うことが、健康な赤ちゃんを出産するために非常に重要です。
特に、以下のような検査を受けることで、胎児の健康状態をより詳細に確認することが推奨されます:
- NIPT(非侵襲的出生前検査): 胎児の染色体異常を確認するための検査
- 超音波検査: 胎児の発育状況や形態異常を確認
- 確定検査(羊水検査・絨毛検査): 必要に応じてより詳細な遺伝子検査を実施
PGT-Aで染色体異常のない胚を選択しても、微細欠失症候群や新生突然変異(デノボ変異)などのリスクはゼロではないため、妊娠後の適切な経過観察が不可欠です。
PGT-A後の出生前検査(NIPT)の推奨
PGT-Aはあくまでスクリーニング検査であり、すべての遺伝的リスクを排除できるわけではありません。そのため、妊娠後にはNIPTを併用することで、より詳細な胎児の健康状態を確認することができます。
PGT-AとNIPTを併用することで、出生前診断の精度を向上させ、安心して妊娠を進めることができます。PGT-Aを受けていてもNIPTを受けることが推奨される理由については、こちらの記事をご覧ください。
PGT-Aを受けた後の注意点
PGT-Aを受けてもNIPTを推奨する理由
PGT-Aはスクリーニング検査であり、完全な診断ではない
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)は、体外受精(IVF)の過程で胚の染色体数異常をスクリーニングする検査です。しかし、PGT-Aは完全な診断ではなく、スクリーニング検査であるため、妊娠後の追加検査も重要になります。
PGT-Aは胚盤胞の段階で数個の細胞を採取し、染色体異常の有無を調べます。しかし、以下のような限界があります:
- 胚の一部の細胞しか検査できない: 検査対象外の細胞が異常を持っている可能性がある
- 微細欠失や特定の遺伝子疾患は検出不可: PGT-Aでは微小な染色体異常や単一遺伝子疾患は発見できない
- モザイク胚の判定が難しい: 胚の一部が正常であっても、他の部分に異常細胞が含まれる可能性がある
そのため、PGT-Aの結果が正常であっても、妊娠後の遺伝的リスクを完全に排除できるわけではありません。安全な妊娠・出産を目指すためには、妊娠後の追加検査を受けることが推奨されます。
妊娠後の追加検査(NIPTなど)の必要性
妊娠後の胎児の健康状態を確認するためには、NIPT(非侵襲的出生前検査)をはじめとする追加検査が重要です。NIPTは、妊娠10週以降に母体の血液を採取し、胎児のDNAを解析することで染色体異常のリスクを評価する検査です。
PGT-AとNIPTの併用には、以下のようなメリットがあります:
- PGT-Aでは検出できない微細欠失症候群をスクリーニング可能: 例:22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)
- PGT-Aでは確認できない新生突然変異(デノボ変異)のリスクを評価: 例:自閉症関連遺伝子変異
- 妊娠後の胎児の発育を直接モニタリングできる: 胚の段階では分からなかった成長の異常を確認
また、NIPTの結果が陽性だった場合、確定検査として羊水検査や絨毛検査を受けることで、より詳細な診断を行うことが可能になります。
PGT-AとNIPTを併用することでより安心な妊娠へ
PGT-Aは、妊娠前に胚の染色体異常をスクリーニングする強力なツールですが、それだけではすべてのリスクを排除することはできません。したがって、妊娠後にはNIPTを受けることで、より包括的な遺伝スクリーニングが可能になります。
PGT-AとNIPTを併用することで、出生前診断の精度を向上させ、安心して妊娠を進めることができます。PGT-Aを受けていてもNIPTを受けることが推奨される理由については、こちらの記事をご覧ください。
PGT-A後の胚移植と妊娠成功率の変化
PGT-Aを受けた胚を移植した場合のデータ
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)は、染色体異常のない正常な胚を選択して移植することで、妊娠の成功率を向上させ、流産のリスクを低減することを目的とした検査です。
近年の研究では、PGT-Aを受けた胚を移植した場合、以下のような結果が報告されています:
- PGT-Aを実施した移植の着床率: 約60〜70%
- PGT-Aなしの移植の着床率: 約40〜50%
- PGT-Aを実施した場合の流産率: 約10%
- PGT-Aなしの場合の流産率: 約25〜30%
このデータからも分かるように、PGT-Aを受けた胚を移植することで、着床率が向上し、流産率が低下する傾向が見られます。特に35歳以上の高齢妊娠では、染色体異常のある胚の割合が高くなるため、PGT-Aを活用することで安全な妊娠を目指すことが可能になります。
PGT-A後の移植で成功率が向上する理由
PGT-Aを実施した胚移植の成功率が高まる理由は以下の通りです:
- 染色体異常のある胚を除外できる: 正常な胚のみを移植することで、着床率を向上
- 流産リスクの低減: 異常胚を移植しないことで、流産の可能性が低くなる
- 治療の負担を軽減: 着床率が向上することで、不妊治療の回数を減らせる
特に、習慣性流産(2回以上の流産)や反復着床不全(複数回の移植失敗)の経験がある方にとって、PGT-Aは有効な選択肢となる可能性があります。
妊娠後の経過観察の重要性
PGT-Aを受けた胚を移植して妊娠が成立した場合でも、妊娠後の経過観察が非常に重要です。PGT-Aは染色体の本数異常をスクリーニングする検査ですが、すべての遺伝的異常を検出できるわけではありません。
妊娠後には以下の検査を受けることで、胎児の健康状態をより詳細に確認することが推奨されます:
- NIPT(非侵襲的出生前検査): 胎児の染色体異常をスクリーニング
- 超音波検査: 胎児の発育状況や形態異常を確認
- 確定検査(羊水検査・絨毛検査): 必要に応じて遺伝子の詳細な分析を実施
特に、PGT-Aでは検出できない微細欠失症候群や新生突然変異(デノボ変異)のリスクも存在するため、妊娠後のスクリーニング検査を適切に行うことが重要です。
PGT-A後の出生前検査(NIPT)の推奨
PGT-Aは着床前のスクリーニングとして非常に有効ですが、妊娠後にはさらに詳細な検査が必要です。特に、NIPT(非侵襲的出生前検査)は、胎児のDNAを解析することで染色体異常のリスクを評価できるため、PGT-Aと併用することで、より包括的な遺伝スクリーニングが可能になります。
PGT-AとNIPTを併用することで、出生前診断の精度を向上させ、安心して妊娠を進めることができます。PGT-Aを受けていてもNIPTを受けることが推奨される理由については、こちらの記事をご覧ください。
PGT-Aに関するよくある質問(FAQ)
PGT-Aを受けることでどれくらいの成功率が上がるのか?
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)を受けることで、着床率の向上・流産率の低下・妊娠成功率の向上が期待できます。特に、35歳以上の高齢妊娠や習慣性流産・反復着床不全の方にとって、PGT-Aは有効な選択肢となります。
以下は、PGT-Aを実施した場合としなかった場合の妊娠成功率の比較データです:
- PGT-Aありの着床率: 約60〜70%
- PGT-Aなしの着床率: 約40〜50%
- PGT-Aありの流産率: 約10%
- PGT-Aなしの流産率: 約25〜30%
PGT-Aを行うことで、染色体異常のある胚を除外し、正常な胚のみを移植できるため、着床成功率が高まり、流産リスクを低減することが可能です。
ただし、PGT-Aを実施しても妊娠が必ず成功するわけではなく、妊娠後も適切な経過観察が必要です。
PGT-Aの費用はどれくらい?保険適用はあるのか?
PGT-Aの費用は、施設や検査方法によって異なりますが、日本国内では30万円〜100万円程度が相場とされています。
主な費用の内訳:
- 体外受精(IVF)費用:約40〜70万円(1回あたり)
- PGT-A検査費用:約30〜50万円(胚数による)
- 胚凍結・保存費用:約5〜10万円
2022年4月から、日本では一部の体外受精が保険適用となりましたが、PGT-Aは保険適用外のため、自費診療となります。そのため、PGT-Aを希望する場合は、追加費用を考慮する必要があります。
また、PGT-Aは一部の認可施設のみで実施されており、自由診療として提供されるケースがほとんどです。実施を希望する場合は、専門のクリニックに相談することをおすすめします。
PGT-Aで異常なしと判定されたら100%安心できる?
PGT-Aで「異常なし(正常胚)」と判定された場合でも、100%安心できるわけではありません。PGT-Aには以下のような限界があるため、妊娠後の追加検査(NIPTなど)が推奨されます。
PGT-Aの限界
- 胚の一部の細胞のみを検査するため、すべての異常を検出できるわけではない
- 微細欠失症候群や単一遺伝子疾患(例:筋ジストロフィー、嚢胞性線維症など)は検出できない
- 新生突然変異(デノボ変異)はPGT-Aでは確認できない
そのため、妊娠後にはNIPT(非侵襲的出生前検査)を受けることで、より包括的な遺伝スクリーニングを行うことが推奨されます。
PGT-AとNIPTを併用することで、出生前診断の精度を向上させ、安心して妊娠を進めることができます。PGT-Aを受けていてもNIPTを受けることが推奨される理由については、こちらの記事をご覧ください。
PGT-Aについてさらに詳しく知りたい方へ
PGT-A(着床前遺伝子検査-異数性)は、体外受精(IVF)を受ける方にとって、妊娠成功率を向上させ、流産のリスクを低減するための重要な検査です。しかし、PGT-Aだけではすべての遺伝的リスクを排除できるわけではありません。妊娠後にはNIPT(非侵襲的出生前検査)などの追加検査を受けることで、胎児の健康状態をより詳しく把握することが推奨されます。
PGT-AやNIPTについて、より詳しい情報を知りたい方は、以下のコンテンツもぜひご覧ください。
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