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次の妊娠が怖い方へ|再発率とNIPTでわかること

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

流産や死産、NIPTや羊水検査で赤ちゃんの病気が分かった経験のあと、「次の妊娠でもまた同じことが起きたらどうしよう」と、妊娠そのものが怖くなる方は少なくありません。最初にお伝えしたいのは、多くの染色体の数の異常は偶然起こるもので、次の妊娠で同じことが起こらない可能性のほうが高いということです。ただし、再発率は「ゼロに戻る」わけではなく、前回の原因によって考え方が変わります。この記事では、怖さの正体、再発率の数字の読み方、次の妊娠で何を調べられるのかを、臨床遺伝専門医の立場から順に整理します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🧬 再妊娠・再発率・出生前診断
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤次の妊娠が怖くなる理由と、怖さを2つに分けて考える方法
  • ➤トリソミーの再発率の数字(年齢から予想される頻度の約2.4倍)の読み方
  • ➤転座など、ご両親側に背景がある場合の考え方と夫婦の染色体検査
  • ➤一度流産したあと、次の妊娠で流産が起こりやすくなるのか
  • ➤NIPTでわかること・わからないことと、前回の経験別に考えたい検査
  • ➤「ダウン症候群だけで大丈夫?」――調べられる範囲で検査を選ぶ考え方

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 次の妊娠でも同じ染色体異常が起きる?

多くの数の異常は偶然起こるもので、次の妊娠で同じことが起こらない可能性のほうが高いと考えられます。ただし北米のデータでは、前回21トリソミーだった方の次の妊娠で同じ21トリソミーが見つかる頻度は、年齢から予想される頻度の約2.4倍でした。転座などご両親側に背景がある場合は、別に評価します。

👶 Q. 次もダウン症候群だけ調べれば大丈夫?

ダウン症候群を調べる大切さは変わりません。そのうえで、出生前検査で調べる病気はダウン症候群だけではありません。微小欠失症候群や単一遺伝子疾患のなかには、子育ての負担が大きくなりやすいものがあり、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。

🌸 Q. 一度流産したら、次も流産しやすい?

大規模な研究では、流産が1回あった方の次の流産の起こりやすさは、経験がない方の約1.5倍でした。上がるのはわずかで、多くの妊娠は流産せずに経過します。2回以上続いたら、不育症の検査を考えます。

\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? /

前回の経験があるからこそ、次の妊娠では「何を調べるか」から選びたい方へ。当院のNIPTは、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と一緒に決められます。

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1. 次の妊娠が怖くなるのは自然な反応です

【結論】 前回の妊娠でつらい経験があれば、次の妊娠が怖くなるのはごく自然な心の反応です。

流産や死産、NIPT陽性、中絶を経験した方の多くが「また同じことが起きたらどうしよう、次に妊娠するのも怖い」という感覚に悩まれます。これは弱さではなく、心があなたと赤ちゃんを守ろうとしているサインです。

怖さの正体は大きく2つに分かれます。ひとつは「確率(再発率)が分からない」という不確実性、もうひとつは「結果を知った後にどうすればいいか分からない」という孤立感です。前者は、前回の原因と数字の意味を知ることで小さくできます。後者は、検査の前に「陽性だったら誰に相談し、どこで確定検査を受けるか」を決めておくことで小さくできます。

出産そのものへの怖さ(出産トラウマ)が中心の方は2人目の妊娠が怖い…出産トラウマの正体を、中絶のあとの心の反応については中絶後の心の反応|涙・罪悪感・安堵は普通?をご覧ください。この記事では、「再発率とは何を指すのか」から整理します。

⚠️ 大切な前提

この記事は不安を煽るためのものではありません。出生前診断は医学的な問題であると同時に倫理的な問題でもあり、どの検査を選ぶかはご家族が決めるものです。医師は結論を押し付けず、情報提供と意思決定の支援を行います。

2. 再発率の考え方|「次も同じ」が起きる確率

【結論】 多くの染色体異常は偶発的に起こるため、「次も同じことが高い確率で起きる」とは限りません。ただし、背景(転座・モザイク・家族歴など)によって再発率の評価は変わります。

再発率は「前回と同じ結果が出る確率」という1つの数字ではなく、原因のタイプによって変わるリスクの考え方です。たとえば、数の異常(トリソミーなど)と、構造の異常(転座など)では意味が異なります。

数字でみる再発率:同じトリソミーは「年齢から予想される頻度の約2.4倍」

北米で、前の妊娠がトリソミーだった女性が次の妊娠で出生前検査(羊水検査・絨毛検査)を受けたデータをまとめた研究があります[1]。前の妊娠が21トリソミー(ダウン症候群)だった場合、次の妊娠で同じ21トリソミーが見つかる頻度は、その年齢から予想される頻度の約2.4倍でした。21トリソミーのあとに別のトリソミー(18トリソミーなど)が見つかる頻度も約2.3倍で、こちらは年齢によって変わりませんでした[1]。

この「約2.4倍」は、「同じ年齢の人と比べて何倍か」という倍率であって、「2.4%」という意味ではありません。もともとの頻度が高くない年齢では、倍率が上がっても、次の妊娠で同じことが起こらない可能性のほうが大きいことに変わりはありません。一方で、この研究の結果は「一部の方は、同じ年齢の方より染色体の不分離が起こりやすい可能性がある」ことも示しており[1]、「一度起きたから、次は大丈夫」とも「次もきっと起きる」とも言えないのが正確なところです。

13・18・21トリソミーそれぞれの再発確率は上の子がトリソミー…次の子の再発確率とNIPTで、ダウン症候群の標準型・転座型・モザイク型ごとの違いはダウン症は遺伝する?2人目の再発率と転座型のリスクで詳しく解説しています。

🔍 用語の確認

新生突然変異(de novo):ご両親に同じ変化がなく、卵子・精子ができるときや受精卵の段階で偶然起きた変化です(De Novo変異とは)。
モザイク:同じ体の中に、染色体の違う細胞が混ざっている状態です。
確定診断:羊水や絨毛の細胞で赤ちゃんの染色体を直接調べ、診断を確定させる検査です。

⚠️ 再発率の注意点

インターネット上には一律の数字が多く出回っていますが、出生前診断では「背景情報によって解釈が変わる」ことが少なくありません。数字だけで自分を追い詰めないでください。

3. 同じ染色体異常は繰り返す?原因パターンで整理

【結論】 「次も同じ異常が起きるか」は、原因が偶然の数の異常なのか、ご両親側に背景がある構造の異常(転座など)なのかで大きく変わります。

多くのトリソミーは、卵子ができるときの細胞分裂で染色体がうまく分かれないこと(染色体不分離)で偶然生じます。一方で、ご両親のどちらかが均衡型転座をもっている場合は、同じしくみで次の妊娠でも染色体の過不足が起こることがあり、再発率は転座の種類や、どちらの親がもっているかで大きく変わります。ここを見分けるには、前回の染色体検査の結果(標準型か転座型か)や家族歴の整理が必要です。

🧬 前回の原因と、次の妊娠での考え方

前回の原因 次の妊娠での考え方 確かめること
数の異常(標準型のトリソミーなど) 多くは偶然。同じ年齢の人より頻度は上がるが、起こらない可能性のほうが高い 前回の染色体検査の結果(標準型か)
構造の異常(転座型など) ご両親が保因者なら、同じしくみで再発することがある ご両親の染色体検査
モザイク 検査の種類によって見え方が変わり、解釈に専門的な判断が必要 どの組織で、どの検査で分かったか
微小欠失・単一遺伝子の病気 多くは新生突然変異だが、親から受け継いでいることもある ご両親が同じ変化をもっていないか

※再発率の評価は、前回の検査結果・家族歴によって一人ひとり異なります。遺伝カウンセリングで個別に確認してください。

転座のしくみは均衡型構造異常の解説とロバートソン転座で、流産をくり返す方の夫婦の染色体検査は不育症の原因になる染色体異常とはで解説しています。

一度流産したら、次の妊娠でも流産しやすい?

流産を経験した方からとても多く聞かれる疑問です。ノルウェーの全国登録を使った大規模な研究では、妊娠のうち流産に終わった割合は全体で12.8%でした[2]。流産の経験がない女性と比べると、流産が1回あった女性では次の流産の起こりやすさが約1.5倍、2回では約2倍、3回続いた場合は約4倍でした[2]。

裏を返せば、1回の流産のあとでも、次の妊娠の多くは流産せずに経過するということです。妊娠初期の流産の多くは赤ちゃん側の偶然の染色体異常によるもので、お母さんの行動で防げたものではありません。一方、流産が2回以上続いた場合は、偶然だけでは説明しにくくなるため、不育症として原因を調べる段階に入ります(不育症とは?基礎知識と検査方法)。流産後の妊娠で気をつけたいことは流産後の妊娠について知っておきたい3つのポイントにまとめています。

💡 用語解説:陽性的中率・偽陽性・偽陰性

陽性的中率(PPV)は「陽性と出た人のうち、本当にその病気がある人の割合」です。偽陽性は「陽性と出たが、実際には病気がない」こと、偽陰性は「陰性と出たが、実際には病気がある」ことです。NIPTの結果は、必ず確定診断とセットで理解する必要があります。

4. 年齢との関係|「再発」と「確率」は別物

【結論】 母体年齢が上がると、数の異常(特にトリソミー)の確率は上がりますが、それは「前回があったから次も起きる」という意味の再発とは別の考え方です。

年齢による確率の上昇は、誰にでも起こりうる統計的な傾向です。一方で、前回の結果が特定の原因(転座など)に由来している場合は、年齢とは別の要素が影響します。両方を混ぜてしまうと、必要以上に自分を責めたり、不安が強くなったりします。

先ほどの北米の研究では、この2つの関係も見えています。前回・今回とも30歳未満の女性では、同じ21トリソミーの頻度が年齢から予想される頻度の約8倍、30歳以上では約2.1倍でした[1]。若い方ほど倍率が大きく見えるのは、もともとの年齢による頻度が低いためです。若い方では「前回があったこと」の影響が、年齢が上がると「年齢そのもの」の影響が、相対的に大きくなると考えると整理しやすくなります。

💡 不安が強いときの考え方

「年齢が上がったから怖い」と感じるのは当然です。ただし、数字はあなたを責めるためにあるのではなく、備えを整えるための情報です。備えの中心は、検査そのものよりも「結果をどう受け止め、次に何をするか」です。

5. NIPTでわかること・わからないこと(必須整理)

【結論】 NIPTは母体血から胎児由来のDNA断片を解析し、特定の染色体異常などの可能性を調べるスクリーニング検査です。結果は確定診断ではなく、陽性の場合は羊水検査・絨毛検査による確定診断が必要です。

「早く知れば安心できるのでは」と思う一方で、「陰性でも不安が残るのでは」と感じる方もいます。大切なのは、NIPTを「安心の道具」として扱いすぎないことです。検査には得意・不得意があり、限界も含めて理解することで、不安が大きくなるのを防げます。

🔬 検査ごとのわかること・わからないこと

区分 わかること わからないこと
NIPT 決められた染色体の数の異常・微小欠失など(プランによって範囲が異なる) 確定診断ではない/調べていない病気については何も言えない
超音波検査 体の形の異常や発育の情報 遺伝学的な診断の確定はできない
確定検査(羊水検査・絨毛検査) 出生前の確定診断 病気の重さや予後までは確定できないことがある

💡 胎児分画(たいじぶんかく)と再検査

胎児分画は、お母さんの血液に含まれるDNAのうち、赤ちゃん(胎盤)由来のDNAの割合です。低いと正確に判定できないため、当院では、検査会社が正確性を保証できる基準をプランごとに設けています(スタンダード・プレミアム・ダイヤモンドは3%、双子マックス・インペリアルは3.5%)。足りない場合は再検査(再採血)になり、当院ではこれを「判定保留」とは呼びません。当院の判定保留は0%で、再検査が必要になる割合は、当院のデータでは妊娠8週で約5%です。

胎児分画が低いこと自体が、ただちに「異常の可能性が高い」ことを意味するわけではありません。お母さんの体重や妊娠週数などさまざまな要因が影響します(胎児分画が低いとどうなる?)。また、NIPTが調べているDNAの多くは胎盤から出たもので、胎盤と赤ちゃんの染色体が食い違う胎盤限局性モザイク(CPM)があると、結果が赤ちゃんの実際と一致しないことがあります(NIPTのモザイクとは?)。

6. 確定診断の必要性|出生前と出生後を分けて理解

【結論】 NIPTは確定診断ではないため、陽性の場合は羊水検査・絨毛検査が出生前の確定診断になります。出生後は、赤ちゃんの血液を用いた検査で確定診断を行います。

「確定診断」と聞くと、出生前だけの話に感じる方もいます。実際には、出生前にも出生後にも確定診断があり、目的と検査方法が異なります。さらに、微小欠失などGバンド法(顕微鏡で染色体を見る方法)では見つけられない小さな変化があるため、どの検査で何を調べるかの理解が大切です。

🧪 確定診断の種類

区分 主な検査 位置づけ
出生前 羊水検査・絨毛検査(Gバンド法など) 出生前の確定診断
出生前 羊水検査・絨毛検査+マイクロアレイ検査(CMA) Gバンド法では見えない微小欠失・重複まで確かめられる。ACOGは、超音波で体の形に大きな異常があり確定検査を受ける場合に勧めている[3]
出生後 赤ちゃんの血液でのマイクロアレイ検査など 出生後の確定診断。微小欠失・重複(CNV)を評価する

⚠️ インプリンティング(ゲノム刷り込み)が関わる病気の検査の順序

プラダー・ウィリー症候群やアンジェルマン症候群のように、ゲノム刷り込み(インプリンティング)の異常が本態となる病気が疑われる場合、まず行うのはメチル化解析です。マイクロアレイ検査は、メチル化の異常が確かめられたあとの原因の詳しい検査(欠失か片親性ダイソミーか)として位置づけます。

当院では、2025年6月から羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性のときの流れはNIPTで陽性の結果が出たときの確定診断で解説しています。

7. 検査・施設選びで後悔しないために

【結論】 検査を選ぶときに大切なのは「早さ」だけではなく、何を調べられるかと、陽性のときに誰が説明し、確定検査をどこで受けられるかまで含めた体制です。

出生前診断は、結果を知った瞬間から意思決定が始まります。だからこそ、検査の性能だけでなく、結果の意味づけ、確定検査の案内、心理的な支えまで含めて、一貫して相談できる体制があるかが大切です。施設を選ぶときは、認証の有無だけでなく、こうした点まで確かめてください。

前回の経験別に、次の妊娠で考えたい検査

📋 前回の経験と、次の妊娠で検討する検査

前回の経験 次の妊娠で検討する検査 ポイント
13・18・21トリソミー(標準型) NIPT(すべてのプランで対象)。陽性なら確定検査 前回の結果が標準型かを確認。別のトリソミーも気になる方は、15・16・22番まで含むプランも検討
転座型・ご両親が転座保因者 ご両親の染色体検査、絨毛検査・羊水検査 NIPTだけで判断せず、確定検査を計画に入れる
微小欠失(22q11.2欠失症候群など) ご両親の検査、その領域を調べられるNIPTプラン、確定検査+マイクロアレイ 22q11.2欠失症候群はスタンダードプランから対象
単一遺伝子の病気 原因の遺伝子が分かっていれば、遺伝カウンセリングで調べ方を個別に相談 ダイヤモンドプラン(56遺伝子)・インペリアルプラン(最大155遺伝子・202疾患)の対象か確認
原因の分からない流産・死産 流産組織の染色体検査、2回以上なら不育症の検査 心拍と発育を超音波で確かめてからNIPTへ
超音波で体の形の異常 確定検査+マイクロアレイ検査 ACOGはこの場合にマイクロアレイ検査を勧めている[3]

※どの検査が合うかは、前回の検査結果・ご家族の状況によって異なります。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

前の妊娠がダウン症候群だった方ほど、次の妊娠でもまずダウン症候群が気になるのは自然なことです。ダウン症候群を調べる大切さは変わりません。そのうえで知っておいていただきたいのは、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるもので、ダウン症候群だけではないということです。

たとえば、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患のなかには、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題を伴いやすいものがあります。アンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群では他人への攻撃的な行動が、コルネリア・デ・ランゲ症候群やスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群では自傷が多いことが分かっています[4]。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、こうした行動の問題だと報告されています[5]。これらの病気は、三大トリソミーだけを調べる検査では分かりません。

当院では、スミス・マゲニス症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群はすべてのプランで、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプラン・インペリアルプランで調べられます。出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べ、数えられる病気だけで320になります。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、実際にはこれより多くの変化を調べています。

🧮 調べられる病気の数で割ると(1つの病気あたり)

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード(220,000円) 13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム(264,000円) 13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド(407,000円) プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス(440,000円) 全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル(550,000円) 全常染色体・性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は、事前学習動画を見て理解を深める協力をしてくださった方に対する割引(事前学習協力割引)後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(双子マックスプランは性染色体を調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

ただし、調べる範囲が広がるほど、陽性になる可能性や確定検査が必要になる場面も増えます。微小欠失・重複は、数の異常に比べて陽性的中率が低め(項目により60〜70%程度)なので、陽性なら必ず確定検査で確かめます。どこまで調べたいかはご家族によって違うため、90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。

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✅ 後悔しないためのチェック

わかる範囲:NIPTで「何を」調べるのか、プランごとの差を理解している
わからない範囲:陰性でも「ゼロではない」こと、検査の限界を理解している
確定診断:陽性のときに羊水検査・絨毛検査が必要なことと、どこで受けるかを知っている
支え:結果のあとに相談できる体制(遺伝カウンセリング)がある

8. 心の準備|怖いままでも、情報で守れることがあります

【結論】 怖さをゼロにすることより、怖さがある状態でも判断できるように、情報と支えを整えることが現実的で安全です。

「もう二度とあんな思いをしたくない」と感じるのは当然です。ここで大切なのは、怖さの中で無理に前進することではなく、怖さが増えない備えをつくることです。たとえば、検査の限界を理解し、陽性時の手順を先に知り、相談先を決めておく。それだけで不安は整理されやすくなります。前回の妊娠で羊水検査が陽性だった方の次の妊娠については、羊水検査陽性での中絶から次の妊娠へもあわせてご覧ください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「早く知る」より「正確に理解する」】

出生前診断では「早く結果が出ること」ばかりが注目されがちです。けれども、生涯に関わる検査だからこそ、最も重要なのは正確性だと考えています。結果が出た瞬間に、気持ちは大きく揺れます。そのときに誤解や不確実性が重なると、心の傷が深くなってしまうことがあります。

だからこそ、検査そのものだけでなく、結果の意味づけを丁寧に説明し、陽性後の不安な時間をできるだけ短くし、必要な確定検査へ安全につなぐことまで含めて「医療」だと考えています。前回つらい経験をされた方にとって、次の妊娠の検査は「何が起きたかを確かめ直す」機会でもあります。前回の結果を一緒に読み直すことから始めてよいのです。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「どの選択でも支える」ための遺伝カウンセリング】

遺伝カウンセリングは「結論を出す場」ではありません。医師は決定者ではなく、情報提供者であり、意思決定の支援者です。知る権利も知らないでいる権利も、どちらも大切です。

怖い気持ちがあるときほど、乱暴な言葉の情報に触れて傷つくことがあります。だからこそ、気持ちが崩れない形で情報を整理し、どの選択でも医療として支えることが大切だと考えています。

9. ミネルバクリニックのサポート体制(情報として整理)

ミネルバクリニックには臨床遺伝専門医が常駐し、検査前の遺伝カウンセリングから結果の説明、陽性のときの確定検査まで院内で対応しています。短期間で結果を出すことよりも、正確性と、陽性後の心の安全を重視しています。

🏥 当院の体制(事実で整理)

項目 内容
精度の根拠 スタンダードプランの精度データとダイヤモンドプランのエビデンスを公開し、検査の限界も含めて説明しています
検査方式 スタンダードプラン=標的捕捉濃縮法/ダイヤモンドプラン=米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※/インペリアルプラン=低深度全ゲノムシーケンス+ターゲット法
確定検査 2025年6月から羊水検査・絨毛検査を院内で実施。主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます
陽性のとき 陽性のときの遺伝カウンセリングは何度でも無料です
互助会(全員加入) カトレア会(羊水検査互助会)8,000円:陽性のときの羊水検査の費用を補助(上限なし)/安心検査結果保障制度6,000円:結果が出ず再検査が必要なのに、流産で再検査ができないときに検査料金(諸費用を除く)を返金
料金に含まれるもの 遺伝カウンセリング・4Dエコー・性別判定(結果の作成費用3,300円は別途)
受けられる時期 通常は妊娠9週から。妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本10〜14日(インペリアルプランの単一遺伝子だけ3〜4週間)
遠方の方 オンラインNIPT(全国110か所の提携施設で採血)

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

🏥 一人で抱え込まないでください

次の妊娠が怖いと感じるときほど、ネットの断片的な情報がつらくなることがあります。臨床遺伝専門医が常駐し、前回の結果の読み直しから、次の妊娠で何を調べるか、陽性のときの確定検査まで院内で対応します。NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768

よくある質問(FAQ)

Q1. 次の妊娠でも同じ染色体異常が起きますか?

多くの染色体の数の異常(トリソミーなど)は、受精の前後に偶然起こるもので、次の妊娠で同じことが起こらない可能性のほうが高いと考えられます。ただし、まったく同じ確率に戻るわけではありません。北米のデータでは、前の妊娠が21トリソミーだった女性が次の妊娠で出生前検査を受けると、同じ21トリソミーが見つかる頻度は、年齢から予想される頻度の約2.4倍でした。また、ご両親のどちらかが均衡型転座をもっている場合は、同じしくみで再発することがあるため、ご両親の染色体検査で確かめます。

Q2. 前の妊娠がダウン症候群でした。次もダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

前回がダウン症候群だった方ほど、次の妊娠でもダウン症候群が気になるのは自然なことで、ダウン症候群を調べる大切さは変わりません。そのうえで、出生前検査で調べる病気はダウン症候群だけではありません。微小欠失症候群や単一遺伝子疾患のなかには、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題を伴いやすく、ご家族の子育ての負担が大きくなりやすいものがあると報告されています。当院ではスタンダードプランから22q11.2欠失症候群やプラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

Q3. 一度流産したら、次の妊娠でも流産しやすいですか?

わずかに上がりますが、次の妊娠の多くは流産せずに経過します。ノルウェーの全国登録を使った大規模な研究では、妊娠のうち流産に終わった割合は全体で12.8%で、流産の経験がない女性と比べると、流産が1回あった女性では次の流産の起こりやすさが約1.5倍、2回では約2倍、3回続いた場合は約4倍でした。流産が2回以上続いた場合は、不育症の検査を考えます。

Q4. 再発率と年齢によるリスクは同じ意味ですか?

同じではありません。年齢による確率の上昇は、誰にでも起こりうる統計的な傾向です。再発率は、前回の原因が偶然の数の異常なのか、転座などご両親側に背景がある構造の異常なのかによって評価が変わります。2つを分けて考えると、必要以上に不安が大きくなるのを防げます。

Q5. NIPTが陰性なら安心できますか?

NIPTはスクリーニング検査で、陰性は「調べた範囲の異常の可能性が低い」という意味です。調べていない病気や、超音波で見つかる体の形の異常まで否定するものではありません。どの範囲を調べたのかを結果報告書で確かめ、妊婦健診の超音波検査とあわせて考えます。

Q6. NIPTが陽性なら確定ですか?

確定ではありません。陽性の場合は、羊水検査や絨毛検査で赤ちゃんの染色体を直接調べて確かめます。当院では羊水検査・絨毛検査を院内で行い、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性のときの遺伝カウンセリングは何度でも無料です。

Q7. マイクロアレイ検査(CMA)はどんなときに必要ですか?

マイクロアレイ検査は、顕微鏡で染色体を見るGバンド法では分からない小さな欠失・重複を調べる検査です。米国産婦人科学会(ACOG)は、超音波で赤ちゃんの体の形に大きな異常が見つかり、確定検査を受ける場合に勧めています。前の妊娠で微小欠失が見つかった方なども、検査前の遺伝カウンセリングで個別に相談します。

Q8. 胎児分画が低いと言われました。異常の可能性が高いのですか?

胎児分画が低いことだけで、異常の可能性が高いとはいえません。お母さんの体重や妊娠週数などの影響も受けます。当院では、検査会社が正確性を保証できる胎児分画の基準をプランごとに決めており、足りない場合は再検査(再採血)になります。当院ではこれを判定保留とは呼ばず、当院の判定保留は0%です。

Q9. 次の妊娠では、NIPTを何週から受けられますか?

当院のNIPTは、通常は妊娠9週から受けられます。妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。前回つらい経験をした方ほど、まず超音波で赤ちゃんの心拍と発育を確かめてから採血に進むことをお勧めします。結果は基本的に10〜14日で、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります。

関連記事

参考文献

  • [1] Warburton D, Dallaire L, Thangavelu M, Ross L, Levin B, Kline J. Trisomy recurrence: a reconsideration based on North American data. Am J Hum Genet. 2004;75(3):376-385. [PubMed 15248154]
  • [2] Magnus MC, Wilcox AJ, Morken NH, Weinberg CR, Håberg SE. Role of maternal age and pregnancy history in risk of miscarriage: prospective register based study. BMJ. 2019;364:l869. [BMJ]
  • [3] American College of Obstetricians and Gynecologists. Committee Opinion No. 682: Microarrays and next-generation sequencing technology: the use of advanced genetic diagnostic tools in obstetrics and gynecology. Obstet Gynecol. 2016;128(6):e262-e268.
  • [4] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
  • [5] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. [PubMed 33866895]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。次の妊娠での検査については、主治医・専門医にご相談ください。

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

Google公認:仲田洋美 公式プロフィール

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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