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ミネルバクリニックが羊水・絨毛検査を自院で始めた理由|NIPT専門の臨床遺伝専門医による包括的ケア

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。2025年国際誌『Global Woman Leader』表紙抜擢など、世界基準の出生前診断と遺伝カウンセリングを提供。

📍 クイックナビゲーション

ミネルバクリニックでは、2025年6月より自院での羊水検査・絨毛検査を開始しました。これは単なるサービス拡充ではなく、ある患者さんのケースを通じた深い気づきから生まれた決断です。NIPTで染色体異常が疑われながら羊水検査は正常、しかしその後の超音波でFallot四徴症が発見されるという経験は、検査の限界を正しく理解した専門家が一貫してサポートすることの重要性を私たちに教えてくれました。

この記事でわかること
📖 読了時間:約12〜15分
📊 約6,000文字
臨床遺伝専門医監修

  • 自院での確定検査開始に至ったきっかけとなった具体的な症例
  • Fallot四徴症と染色体異常(トリソミー22・22q11.2欠失症候群)の関連
  • 羊水検査が「正常」でも見落とされうるモザイク異常の仕組み
  • 産婦人科・小児科とは異なる、中立的な遺伝専門医の役割
  • NIPTから確定検査までのワンストップ対応体制の全体像

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※NIPT検査のご相談も受け付けています:NIPT詳細ページ

本記事では、ある患者さんのケースを振り返りながら、検査技術の限界とそれを正しく理解した専門医が関わることの重要性についてお伝えします。また、ミネルバクリニックが2025年6月より自院での確定検査を開始するに至った背景と、NIPTから確定検査まで一貫したサポートを提供する理由についても詳しく解説します。

きっかけとなった症例

ミネルバクリニックでは、これまで産婦人科を併設していなかったため、NIPT陽性時の確定検査(羊水検査・絨毛検査)が必要な患者さんには他院をご紹介してまいりました。しかし、ある患者さんのケースを通じて、検査から診断、そして治療方針決定までの一貫したサポートの重要性を強く実感し、2025年6月より自院での羊水・絨毛検査を開始するに至りました。

NIPT検査での発見と確定検査の経緯

ある患者さんのNIPT検査において、染色体異常が検出されました。当時の当院のシステムに従い、確定診断のための羊水検査を他院にご紹介いたしました。

羊水検査の結果は正常でした。しかし、その後の超音波検査において、Fallot四徴症という先天性心疾患が発見されました。

Fallot四徴症とは

Fallot四徴症は、以下の4つの心奇形を特徴とする先天性心疾患です。

1. 心室中隔欠損(VSD)

左心室と右心室を隔てる壁に穴が開いており、血液の異常な流れが生じます。

2. 肺動脈狭窄(PS)

右心室から肺動脈への血流が狭くなっており、肺への血流が減少し酸素化が不十分になります。

3. 大動脈騎乗

大動脈が正常位置からずれて心室中隔欠損の上に位置するため、酸素濃度の低い血液も全身に送られます。

4. 右室肥大

肺動脈狭窄により右心室の負担が増加し、心筋が厚くなる二次的な変化です。

これらの異常により、チアノーゼ(皮膚の青紫色化)、呼吸困難、発育障害などの症状が現れます。運動後にしゃがみ込む「蹲踞(そんきょ)」という特徴的な行動も見られることがあります。

染色体異常との関連

Fallot四徴症は様々な染色体異常と関連することが知られています。最も有名なのは22q11.2欠失症候群(DiGeorge症候群)で、Fallot四徴症の約15〜20%がこの症候群に合併します。

💡 22q11.2欠失症候群とは:22番染色体の長腕11.2部位が微小欠失することで生じる遺伝子疾患。心奇形・免疫不全・口蓋裂・学習障害などを特徴とし、DiGeorge症候群やヴェロ心臓顔面症候群とも呼ばれます。約4,000人に1人の頻度で生じます。

また、極めて稀ですがトリソミー22との関連も報告されています。トリソミー22は非常に稀な染色体異常で、完全型では胎内死亡や新生児期早期の死亡が大半ですが、モザイク型では生存例があります。モザイク型トリソミー22症例の約50〜65%に何らかの先天性心疾患が認められ、その中でFallot四徴症は約8%の症例で報告されています。

心奇形の種類 トリソミー22での発症率
心房中隔欠損(ASD) 約28%
心室中隔欠損(VSD) 約24%
肺動脈弁狭窄(PS) 約16%
動脈管開存(PDA) 約12%

興味深いことに、22番染色体の異常(欠失と重複)では共に円錐幹(心臓流出路)の奇形が高頻度に起こることが知られています。

治療の進歩と予後

現在の小児心臓外科では、乳児期の姑息手術を経て1〜2歳頃に根治手術を行う段階的治療が確立されています。根治手術の死亡率は2〜3%以下まで改善し、20年生存率は95%以上となっています。適切な時期に手術を受ければ、多くの患者さんが正常に近い生活を送ることが可能です。

患者さんとご家族の想い

診断を受けた患者さんはすでに小児心臓外科医をご紹介されていました。心臓外科医からは「Fallot四徴症であれば手術で治療可能です」との説明を受けられました。これは心臓外科医として当然の、誠実な見解でした。

長年待ち望んでいた赤ちゃんで、手術により治療可能であれば出産したいと考えるのも、親として自然な想いでした。患者さんとご家族は、出産の決断をされました。

大切にしたい想い

私たちは決して、このお子さんが生まれてこなければよかったと思っているわけではありません。むしろ、正しい情報を余すことなくお伝えし、患者さんとご家族が十分な理解のもとで決定できる環境の重要性をお伝えしたいのです。どのような選択をされても、それはご家族にとっての最善の判断であり、私たちはその決断を全力でサポートいたします。

検査の限界について考える

この症例を通じて、私たちは羊水検査の限界について改めて深く考えさせられました。

検査の限界と課題

羊水検査は主に外胚葉由来の細胞を検査するため、モザイク型の染色体異常では中胚葉や内胚葉に異常があっても検出されない場合があります。

特に心臓は中胚葉由来の臓器であり、心奇形を伴う症例では、羊水検査が正常であっても組織特異的なモザイクの可能性を完全に除外することはできません。

産婦人科や小児心臓外科からの説明は、羊水検査の結果を基に「染色体異常がない」ことを前提としたものでしたが、検査技術の限界を考慮したより詳細なインフォームドコンセントが必要だったのではないかと私たちは振り返っています。

🔬 用語解説:モザイク型染色体異常とは

モザイク型染色体異常とは、同じ個体の中に染色体構成の異なる細胞が混在している状態をいいます。完全型(すべての細胞に異常)と異なり、異常をもつ細胞の割合・分布する組織によって症状が大きく異なります。羊水検査で採取できるのは羊膜・羊水中の細胞(主に外胚葉系)に限られるため、心臓などの中胚葉系臓器における異常細胞の割合を反映しないことがあります。

羊水検査の限界を正しく理解して患者さんに俯瞰した立場から説明できる医師も少ないというのが現状かもしれません。各専門科の医師は自身の専門領域には精通していても、遺伝学的検査の技術的限界や結果の解釈について包括的に理解している医師は限られています。患者さんやご家族が真に十分な情報に基づいて意思決定できるよう、私たち医療従事者はこうした検査の限界についても適切に説明する責任があると考えます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「正常」という言葉が持つ重さ】

羊水検査の結果が「正常」と出ると、ご家族は大きな安堵を覚えます。それは当然のことですし、多くの場合において「正常」はその通りの意味を持ちます。しかし、遺伝専門医として私がいつも意識するのは、その「正常」という言葉が何を意味し、何を意味していないかを丁寧に伝えることです。

検査技術には必ず限界があります。モザイク型の異常は羊水中の細胞に必ずしも現れるわけではなく、心臓のような中胚葉由来の臓器での異常は検出されないことがあります。この事実をお伝えすることは、患者さんを不安にさせるためではなく、より確かな判断の土台を作るためです。情報の不足は、後から大きな苦しみになることがあります。

中立的な遺伝専門医が関わることの重要性

この経験から、出生前診断においては産婦人科でも小児科でもない、中立的な立場の遺伝専門医が関わることの重要性を強く感じました。

産婦人科医は母体と胎児の安全な出産を最優先に考える立場にあり、小児心臓外科医は生まれてくる赤ちゃんの治療可能性に焦点を当てる専門性を持っています。どちらも患者さんにとって必要不可欠な専門性ですが、それぞれ特定の視点からのアプローチとなりがちです。

遺伝専門医の独自の価値

包括的な遺伝学的知識

染色体異常の全体像とその表現型の幅を理解している

検査技術の限界への理解

偽陰性の可能性やモザイクの複雑さを正確に説明できる

中立的な立場

治療の可能性だけでなく長期予後についてもバランス良く情報提供。ミネルバクリニックの院長は内科ベースであり、小児科・産婦人科どちらにも偏らず、胎児・家族の一生を俯瞰できます。

非指示的カウンセリング

患者さん自身の価値観に基づいた意思決定を支援する

シェアードディシジョンメイキングとインフォームドコンセントの違い

インフォームドコンセント

医師が医学的情報を説明し、患者が理解した上で同意する従来型のアプローチ。情報提供の主導権は医師側にある。

シェアードディシジョンメイキング

医師と患者が対等な立場で情報を共有し、患者の価値観や生活背景を考慮して共に最適な選択肢を見つけるアプローチ。決定の主体は患者にある。

学んだこと、そして新たな取り組みへ

この症例を通じて、私たちは重要なことを学びました。

  • 1 検査から診断、カウンセリングまでの一貫したサポートの必要性
  • 2 患者さんとご家族が適切な情報のもとで決断できる環境の重要性
  • 3 専門的な知識に基づいた継続的なフォローアップの意義

この経験を踏まえ、ミネルバクリニックでは2025年6月より羊水・絨毛検査を自院で実施することを決定いたしました。

新しいサポート体制の特徴

一貫したケア

初回相談から確定診断まで、同じ医療チームがサポート

専門的なカウンセリング

各段階での適切な情報提供と心理的サポート

迅速な対応

検査結果に応じた速やかな次のステップの提案

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【ワンストップにこだわる理由】

「陽性が出たので他院へ」というプロセスは、患者さんにとって大きな負担です。初めてお会いした医師に、あの不安の中で改めて経緯を説明し、一から信頼関係を築く。そのエネルギーは、精神的にも体力的にも、決して小さくありません。

私が自院での確定検査開始を決断したのは、患者さんに「ここにいれば大丈夫」と思っていただける場所を作りたいからです。検査技術の限界も、羊水検査の意味も、その先の選択肢も、同じ医師が継続してお伝えする。それが、真の意味でのインフォームドコンセントだと考えています。

ミネルバクリニックの特徴

他院にはない当院の強み

COATE法:次世代のNIPT技術

微細欠失症候群の陽性的中率を従来の70%台から99.9%以上へ向上させた最新技術を採用

臨床遺伝専門医常駐

専門医による遺伝カウンセリング(遺伝カウンセラーではなく医師が対応)

オンライン対応

全国どこからでも受検可能。100か所以上の採血施設と連携

24時間サポート

陽性時の手厚いフォロー体制

国内最大規模の検査範囲

国内最大12か所13疾患の微小欠失症候群を検査可能(2025年8月2日ミネルバクリニック調べ)

父親由来の異常検査

国内唯一、父親の高齢化により精子に生じる突然変異を56遺伝子検査可能(2025年8月2日ミネルバクリニック調べ)

陽性時の確定検査を自院で提供:NIPTから確定検査まで、ワンストップで対応いたします

非認証施設での唯一の臨床遺伝専門医

ミネルバクリニックは日本医学会の認証施設ではありませんが、非認証で唯一、臨床遺伝専門医がNIPTを行っているクリニックです。認証施設への通院が困難な方や、より幅広い検査をご希望の方に選ばれています。

NIPT検査について

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よくある質問(FAQ)

Q1. なぜ自院で確定検査を始めたのですか?

NIPT検査で染色体異常が検出されたものの羊水検査は正常で、その後の超音波でFallot四徴症が見つかったある患者さんのケースをきっかけに、検査の限界を理解した一貫したサポートの重要性を実感したためです。検査から診断まで同じ医療チームが担当することで、より質の高い医療を提供できます。

Q2. 羊水検査の限界とは何ですか?

羊水検査は主に外胚葉由来の細胞を検査するため、モザイク型の染色体異常で中胚葉や内胚葉に異常があっても検出されない場合があります。特に心臓は中胚葉由来の臓器であり、心奇形を伴う症例では組織特異的なモザイクの可能性を完全に除外することはできません。このような検査の限界について、十分な説明が重要です。

Q3. ミネルバクリニックの特徴は何ですか?

次世代のCOATE法による高精度NIPT、臨床遺伝専門医による専門的カウンセリング(遺伝カウンセラーではなく医師が直接対応)、オンライン対応、24時間サポート、国内最大規模の検査範囲、そして2025年6月からの自院での確定検査対応が特徴です。非認証施設で唯一、臨床遺伝専門医が直接NIPTを行っているクリニックです。

Q4. COATE法とはどのような技術ですか?

COATE法は次世代NIPT技術で、従来法と比較して微細欠失症候群の陽性的中率を70%台から99.9%以上に向上させた最新技術です。偽陽性をほぼゼロにまで低減し、より信頼性の高い検査結果を提供します。

Q5. 遺伝専門医と遺伝カウンセラーの違いは何ですか?

臨床遺伝専門医は医師資格を持つ遺伝学の専門家で、診断や治療方針の決定が可能です。一方、遺伝カウンセラーは医師ではないためカウンセリングのみを行います。当院では臨床遺伝専門医が直接対応するため、より専門的で包括的なサポートを提供できます。

ミネルバクリニックで次世代のNIPT検査を

COATE法による高精度検査と臨床遺伝専門医による専門サポートで、安心の出生前診断を提供いたします

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参考文献

  1. Trevisan et al., “Trisomy 22 Mosaicism from Prenatal to Postnatal Findings: A Case Series and Systematic Review,” Genes (2024). [DOI: 10.3390/genes15010054]
  2. O’Donnell et al., “Non-mosaic trisomy 22 and congenital heart surgery using the shared decision making model,” BMC Pediatrics (2023). [DOI: 10.1186/s12887-023-03998-9]
  3. 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)について」 [公式サイト]
  4. 厚生労働省「出生前診断に関する情報提供等について」 [PDF]
  5. 日本小児循環器学会「先天性心疾患の診断・治療ガイドライン」 [公式サイト]

※この記事の情報は2025年8月時点のものです。最新の情報については当院にお問い合わせください。

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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