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NIPT判定保留と子宮筋腫の関係|再検査・羊水検査の選択肢を専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。2025年国際誌『Global Woman Leader』表紙抜擢など、世界基準の出生前診断と遺伝カウンセリングを提供。

📍 クイックナビゲーション

子宮筋腫があるとNIPTで「判定保留(No-call)」になりやすいと聞いて不安を抱えている方は少なくありません。筋腫の数・大きさと判定保留リスクの関係、再検査で結果が出る確率、羊水検査に進むべきタイミングまで、臨床遺伝専門医が根拠に基づいてわかりやすく解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約12〜15分
👩‍⚕️ 専門医監修
実臨床の判断目安つき

  • NIPTの「判定保留(No-call)」とは何か・発生率は?
  • 子宮筋腫が胎児分画(FF)に与える影響とメカニズム
  • 筋腫の数・総体積と判定保留リスク(実務の閾値目安)
  • 判定保留後に取り得る3つの選択肢と成功率の目安
  • ミネルバクリニックの判定保留対策(COATE法・4Dエコー等)
  • よくある質問(費用、時期、次の一手)

NIPTの「判定保留(No-call)」とは?

NIPT(新型出生前診断)の結果は一般に「陽性 / 陰性 / 判定保留」に分かれます。判定保留とは、統計学的に信頼できる判断ができる条件(品質基準)に達しないため、結果を出さない安全側の運用を指します。検査の失敗や赤ちゃんの異常を直ちに示すものではありません。

🔬 用語解説:胎児分画(Fetal Fraction / FF)とは

胎児分画(FF)とは、母体血中のcell-free DNA(cfDNA)全体に占める胎児由来cfDNAの割合のことです。NIPTでは多くのプラットフォームでFF 4%以上が品質基準とされており、これを下回ると「判定保留(No-call)」となります。FFは妊娠週数が進むにつれて上昇する傾向があります。

📊 代表的な判定保留の原因
  • 胎児分画(FF)の不足:多くのプラットフォームで4%未満はNo-callになりやすい
  • 母体要因:子宮筋腫、BMI高値、腫瘍、自己免疫疾患、抗凝固薬など
  • 技術的要因:採血・輸送・前処理・解析品質など

子宮筋腫が判定保留を招くメカニズム

子宮筋腫は良性腫瘍ですが、母体由来cfDNAの放出量循環血漿量の増加を介して相対的に胎児分画を低下させ、No-callのリスクを高めます。特に巨大筋腫や多発筋腫では影響が顕著です。

メカニズム 生じる変化 NIPTへの影響
筋腫組織からのcfDNA放出 母体cfDNAが増加 胎児分画の相対低下 → No-call増
循環血漿量の増大 希釈効果 FF低下 → 品質基準に未達
炎症・壊死などの局所環境 断片長分布の変化等 プラットフォーム依存の解析影響

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「筋腫があるから受けられない」は誤りです】

「子宮筋腫があるとNIPTは受けられない」とお伝えしている施設があると患者さんから聞くことがあります。それは誤りで、筋腫の数と大きさによってリスクを正しく評価したうえで最適な方法を選ぶことが正しいアプローチです。

重要なのは「筋腫がある・なし」ではなく、「筋腫の総体積と数がどれくらいか」です。小さな筋腫が1〜2個あっても通常通り結果が出ることがほとんどです。一方、5個以上・総体積400mL超の場合は、COATE法などの低FF対応技術を選ぶか、羊水検査への早期移行を検討すべき状況です。正確な情報のもとで意思決定することが大切です。

筋腫の数・総体積とNo-callリスク(臨床運用の目安)

⚠️ 判断のための閾値イメージ
区分 筋腫の数 総体積(概算) No-callリスク 推奨
低リスク 1–2個 < 100 mL 通常範囲 通常のNIPTで可
中リスク 3個 100–200 mL やや上昇 高精度NIPT(例:COATE法)を推奨
高リスク 4個以上 200–400 mL 高い 高精度NIPT必須・再検査の可能性考慮
超高リスク 5個以上 > 400 mL 著しく高い COATE法 + 羊水検査の早期検討

※体積は超音波での三径(縦×横×高さ)から概算。各プラットフォームの品質基準により運用は異なります。

判定保留後の3つの選択肢と成功率の目安

① NIPTの再検査

✅ 再検査の特徴
  • 非侵襲で安全。2週間程度あけ妊娠週数が進むとFFが上がることがある
  • 原因別成功率の目安:週数早い70–80%、技術要因90%+、BMI高値30–50%筋腫1–3個40–50%4個以上/400mL超では10–20%
  • COATE法など低FF対応の手法では成功率の改善が見込める

② 確定検査(羊水検査・絨毛検査)

項目 羊水検査 絨毛検査
実施時期 妊娠16週以降 妊娠10–13週
確定診断 可能 可能
流産リスク 約0.3% 約1%

優先検討の目安:再検査で再度No-call/筋腫4個以上または総体積>400 mL/妊娠週数が進んで時間的余裕が少ない/確実な診断を早期に得たい場合。

③ 経過観察(追加検査なし)

📋 経過観察について

リスク低い妊娠、超音波で有意所見なし、検査方針が結果で変わらない等では選択肢になり得ます。ただし確定診断には至らない点を理解して選択します。

筋腫の体積はどう把握する?

📏 体積の測定方法

妊婦健診の超音波で三径(縦×横×高さ)を測り体積を算出(楕円体近似:縦×横×高さ×0.52 など)。複数ある場合は総和をとり、概算総体積としてカウンセリングに反映します。

ミネルバクリニックの判定保留対策

🏥 患者さん思いの取り組み
  • COATE法による高精度NIPT:胎児分画約3%から解析可能とされ、低FF例のNo-call低減が期待できます
  • 検査前4Dエコー(2022年11月~):胎盤や筋腫の状況を当日に確認し、検査方針へ反映
  • 再検査サポート:再検が必要になったのに流産等で不可能となった場合の返金保証(2025年1月~)
  • 確定検査の自院実施(2025年6月~):羊水検査・絨毛検査を院内で迅速に実施
  • 臨床遺伝専門医の一貫ケア:検査選択から結果説明、次の一手まで伴走
  • 24時間相談体制:判定保留時の不安をいつでもご相談ください

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【判定保留になったあなたへ——陽性後と同じくらい、伴走が必要な瞬間です】

判定保留の連絡を受けたとき、多くの患者さんが「何かよくないことが起きているのでは」と思い、一人でその不安を抱えてしまいます。でも判定保留は、赤ちゃんの異常のサインではありません。主に解析条件(胎児分画)が基準を満たせなかったということです。

当院では、判定保留になった患者さんに対して次の選択肢(再検査・確定検査・経過観察)を丁寧に説明し、一緒に最善の道を考えます。COATE法が使える環境では再検査の成功率も上がります。「判定保留でも、ひとりにしない」——これが当院の姿勢です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 子宮筋腫があると必ずNo-callになりますか?

いいえ。小さい筋腫が1–2個程度なら通常通り結果が出ることが多いです。4個以上または総体積>400 mLの多発・巨大筋腫ではリスクが高まります。

Q2. 判定保留は赤ちゃんの異常のサインですか?

直接のサインではありません。主に解析条件(FFなど)が満たせなかったことを意味します。必要に応じて再検査や確定検査で評価します。

Q3. 再検査と羊水検査、どちらを選ぶべき?

週数が早い・技術要因などでは再検査が有効。一方で筋腫4個以上/総体積>400 mLや時間的制約が強い場合は羊水検査の早期検討をお勧めします。低FF対応のCOATE法が使える環境では再検査成功率が改善することがあります。

Q4. 費用はどのくらい?再検査は有料ですか?

施設により異なりますが、当院では再検査の追加費用は原則なし。万一、流産等で再検不可になった場合は返金保証(2025年1月~)を用意しています。確定検査費用はNIPT互助会(カトレア会)での補償制度をご確認ください。

Q5. いつ受け直すと良いですか?

原因にもよりますが、1–2週間あけて週数を進めるとFFが上がりやすいです。筋腫が主因の場合はCOATE法など低FF対応のNIPTを選ぶ意義が大きくなります。

🏥 判定保留でお困りの方へ|専門医が伴走します

筋腫の数・体積、妊娠週数、これまでの検査履歴を踏まえて最適解をご提案。
COATE法の再検査から自院での確定検査までワンストップで対応します。

🏥 ミネルバクリニックの特徴
患者さん思いの医療を実現!
✓ 低FF対応のCOATE法を採用/判定保留の最小化を追求
4Dエコーで当日の胎児・胎盤・筋腫を確認してから採血(2022年11月~)
確定検査を院内で実施(2025年6月~)
✓ 臨床遺伝専門医が初回から結果説明・次の一手まで一貫フォロー

「患者のための医療を実現することを貫いています」

参考文献

  1. 日本産科婦人科学会「NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)に関する指針」[公式サイト]
  2. 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPTとは」[公式サイト]
  3. Bianchi DW, et al. DNA Sequencing versus Standard Prenatal Aneuploidy Screening. N Engl J Med. 2014;370:799–808. [PubMed]
  4. Canick JA, et al. The impact of maternal plasma DNA fetal fraction on next generation sequencing tests for common fetal aneuploidies. Prenat Diagn. 2013;33(7):667–674. [PubMed]
  5. ミネルバクリニック「NIPTトップページ」[公式サイト]

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プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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