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モザイク型ダウン症とは?気づかない特徴・顔つき・いつわかるかを専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

「症状が軽くて、大人になるまで気づかないことがあるって本当?」「エコーで少し気になると言われたけれど、NIPTは陰性だったから大丈夫だよね…」。断片的な情報を前に、夜も眠れないほど不安を抱えている妊婦さんやご家族は少なくありません。ダウン症のなかでも稀なモザイク型は、正常な細胞が混じるために症状が軽く出やすい一方、検査をすり抜けてしまう複雑なしくみも持っています。この記事では、その特徴や顔つき、いつわかるのか、そしてNIPTで偽陰性になる理由まで、臨床遺伝専門医の立場からお伝えします。

この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🧬 ダウン症・染色体・NIPT
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤モザイク型ダウン症とは何か ― 標準型・転座型との違いと「細胞の混在」
  • ➤特徴・顔つきが軽くなりやすい理由と、知的障害を伴わないケース
  • ➤いつわかるのか ― 出生前・出生後・大人になってから気づく場合
  • ➤NIPTが「陰性」でも安心できない理由(胎盤限局性モザイク・組織特異的モザイク)
  • ➤確定検査の位置づけと、当院のカウンセリング・サポート体制

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. モザイク型ダウン症とは?

1人のからだの中に、染色体が46本の細胞と、21番染色体が3本ある細胞が混ざっている型で、ダウン症全体の約1〜2%です。受精後の細胞分裂で偶然に起こる変化で、妊娠中の過ごし方が原因ではありません。

🔎 Q. NIPTが陰性なら、モザイク型も否定できますか?

否定しきれません。NIPTは主に胎盤由来のDNAを調べるため、胎盤の細胞と赤ちゃんの細胞で染色体が食い違うと、陰性でも赤ちゃんにモザイクがあることがあります。超音波で気になる所見があるときは、確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめます。

🏥 Q. 陽性になったとき、モザイクが疑われたときは?

確定検査で確かめます。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性のカウンセリングは何度でも無料です。

\ 陽性のときは、確定検査まで院内で受けられます /

ダウン症候群のほかに、子育ての負担につながりやすい病気まで調べられることも知っておいてください。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医と決められます。

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モザイク型ダウン症とは? ― 標準型・転座型との違いと「細胞の混在」

人の細胞は通常、23対46本の染色体を持っています。このうち21番染色体が1本多く、合計3本(トリソミー)になることで生じるのがダウン症候群(21トリソミー)です。ダウン症は大きく分けて「標準型(約95%)」「転座型(約3〜4%)」「モザイク型(約1〜2%)」の3つに分けられます。数の異常・構造の異常・モザイクという分け方の全体像は、染色体異常の種類で整理しています。

モザイク型とは、ひとつのからだのなかに「正常な染色体を持つ細胞」と「21番染色体が3本ある細胞」が、モザイク画のように入り混じっている状態を指します。標準型の多くが卵子や精子ができる過程(減数分裂)のエラーで起こるのに対し、モザイク型は受精後に細胞が分裂してからだを形づくる過程(体細胞分裂)で染色体の不分離が起きるために生じます。

モザイク型ダウン症の仕組みを示す模式図。受精後の細胞分裂で正常細胞と21トリソミー細胞が混在するメカニズム、体内での分布、モザイク率と症状の関係、胎盤限局性モザイク(CPM)によるNIPT偽陰性を解説したインフォグラフィック。

図1 モザイク型ダウン症では、受精後の細胞分裂で染色体異常が生じた細胞と正常細胞が混在します。細胞の割合や分布は臓器ごとに異なるため、症状やNIPTの結果にも影響することがあります。

💡 用語解説:トリソミーと染色体不分離

トリソミー…本来2本であるべき染色体が3本になっている状態。21番染色体で起こったものがダウン症です。くわしくはトリソミーとはをご覧ください。

染色体不分離…細胞が分裂するときに、染色体がうまく2つに分かれず、片方の細胞に偏ってしまうこと。染色体の不分離が受精後に起こると、正常な細胞と異常な細胞が混在するモザイク型になります。

診断がついたとき、「私の遺伝でしょうか」「妊娠中の過ごし方が悪かったのでしょうか」とご自身を責めてしまう方は少なくありません。けれども、これは偶然に起こる変化であり、誰のせいでもありません。ダウン症のうち、親から受け継ぐことがあるのは転座型の一部です。くわしくはダウン症は遺伝する?2人目の再発率と転座型のリスクで解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「私のせい?」と自分を責めないでください】

診断を知ったとき、「何がいけなかったのか」とご自分を責めてしまう方は少なくありません。けれども、モザイク型は受精後の細胞分裂で偶然に生じる変化で、生活習慣や妊娠中の過ごし方が原因ではありません。

臨床遺伝専門医としてお伝えしたいのは、ご自分を責める必要はないということです。大切なのは原因さがしではなく、お子さんとご家族がこれからどう歩んでいくかを、正確な情報をもとに考えていくことだと考えています。

モザイク型の特徴・顔つきと発達 ― なぜ軽くなりやすいのか

モザイク型の最大の特徴は、「正常な細胞がどれくらいの比率で存在するか」によって、症状の現れ方が一人ひとり大きく異なる点です。正常な細胞の割合が高いほど、ダウン症に見られる顔つき(目もとの形や鼻の低さなど)が目立ちにくく、知的発達の遅れや心疾患などの合併症も、標準型に比べて軽くなる傾向があります。ダウン症の顔つきの特徴そのものはダウン症の顔つきはなぜ似ているの?で、合併症の種類と頻度はダウン症の合併症が起こる確率で解説しています。

補足

「顔つきが軽い=必ず症状も軽い」とは限りません。顔立ちの特徴が目立たなくても発達の面で支援が必要なこともあり、その逆もあります。見た目だけで重さを判断することはできません。

「モザイク型 顔つき」「モザイク型 見た目」と検索される方の多くは、写真や外見の特徴だけで見分けたいと願っておられます。しかし、モザイク型は細胞の混じり方によって表れ方の幅が非常に広く、外見だけで判断することはできません。診断は最終的に、細胞の染色体を調べる検査で行われます。

なかには、はっきりした知的障害を伴わないケースもあります。正常な細胞の比率が高い場合、日常生活にほとんど支障がなく過ごしている方もいらっしゃいます。ただし、これも個人差が大きく、「モザイク型だから軽い」と一律に言えるものではありません。軽度の場合の知的発達や性格の特徴は、ダウン症の特徴と知能指数(IQ)でくわしく扱っています。

🔬 用語解説:モザイク率(細胞の割合)

モザイク率とは、調べた細胞のうち21トリソミーの細胞がどれくらいの割合を占めるかを示すものです。この割合が低い(正常な細胞が多い)ほど症状は軽くなりやすい傾向がありますが、調べる組織によって割合が違うため、血液の検査だけでからだ全体の状態を正確に反映できるとは限りません。この点が、後述する偽陰性のしくみにつながります。

「症状が軽いなら、普通学級でみんなと過ごせるかもしれない」という希望と、「支援の網から漏れて、社会に出てから本人が苦労するのでは」という心配。モザイク型では、この両方を同時に抱えることがあります。大切なのは、ほかのお子さんや「正常・異常」の枠で比べることではなく、早めに療育の環境を整え、そのお子さんが持つ力を伸ばしていくことだと考えています。学校や就労、利用できる支援はダウン症の子は将来どうなる?日本の教育・就労・支援の現実にまとめています。

モザイク型ダウン症はいつわかる? ― 出生前・出生後・大人になってから

「いつわかるのか」は、多くの方が気にされる点です。モザイク型は、症状の軽い・重いによって気づかれる時期が大きく異なります。おおまかには、次の3つのタイミングがあります。ダウン症全般の「いつわかるか」はダウン症はいつわかる?出生前にわかること・生まれてからわかることで解説しています。

① 出生前(妊娠中)にわかる場合

NIPTや超音波検査をきっかけに疑われ、絨毛検査・羊水検査といった確定検査で診断されることがあります。ただしモザイク型は、後述するように検査をすり抜けやすく、出生前に必ずわかるとは限りません。エコーで見られる所見はダウン症はエコーで指摘されない?わかる時期と特徴をご覧ください。

② 出生後〜乳幼児期にわかる場合

生まれてからの顔立ちや筋緊張の低さ、発達の遅れ、心疾患などをきっかけに検査が行われ、診断されるケースです。標準型に比べて特徴が目立ちにくいため、気づかれるまでに時間がかかることもあります。生まれたばかりの赤ちゃんに見られる特徴はダウン症の新生児・赤ちゃんの特徴で解説しています。

③ 大人になってから偶然わかる場合

正常な細胞の割合が多い場合、身体的な特徴や発達の遅れがごく軽度にとどまり、大人になってから別の病気の検査などをきっかけに、偶然モザイク型のダウン症だと気づかれることがあります。「隠れダウン症」「気づかない」といった言葉で語られるのは、主にこのケースです。

ポイント

「いつわかるか」は症状の軽重で幅があり、一律には決まりません。軽い場合ほど気づかれる時期が遅くなる、と理解しておくとよいでしょう。

NIPTで「陰性」でも安心できない? ― 偽陰性が起こるしくみ

「NIPTを受けたから、もう染色体の心配はない」と思われがちですが、モザイク型にはやや厄介なしくみがあります。NIPTは、お母さんの血液中を流れる胎盤由来のDNA(cfDNA)を分析する検査です[1]。そのため、胎盤の細胞が正常で、赤ちゃんの細胞にだけ異常が混ざっている場合、NIPTでは陰性(偽陰性)と判定されてしまうことがあります。

💡 用語解説:胎盤限局性モザイク(CPM)

胎盤限局性モザイク(CPM)とは、胎盤と赤ちゃん(胎児)とで染色体の状態が異なる現象です。NIPTが調べているのは胎盤由来のDNAなので、胎盤と胎児で状態が食い違うと、結果と実際がずれることがあります。くわしくは限局性胎盤モザイクで解説しています。NIPTの結果とのずれが起こるしくみは、NIPTの教科書のモザイクとNIPTの偽陽性・偽陰性でも説明しています。

とくに、超音波で赤ちゃんの首の後ろのむくみ(NT肥厚)などを指摘されている方は、NIPTが陰性でも、その結果だけで判断しないことが大切です。NIPTの陰性は「調べた範囲では可能性が低い」という意味で、モザイク型まで否定するものではありません。まれですが偽陰性の可能性があることを検査の前に知っておくこと、そして、陰性のあとに気になる所見が見つかったときにも確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで進める施設かどうかを、検査を受ける前に確かめておくことをお勧めします。偽陰性の確率と原因はNIPT陰性だったのにダウン症…偽陰性の確率と原因で解説しています。実際の経過はNIPT陰性だったのにダウン症だった20代の方の事例で紹介しています。

特定の臓器にだけ潜む「組織特異的モザイク」

さらに複雑なのが、特定の臓器にだけ異常な細胞が集中するケースです。過去には、心室中隔欠損症(心臓の左右の部屋を隔てる壁に穴がある疾患)を持つお子さんで、血液や皮膚の細胞はほぼ正常だったのに、心臓の筋肉(心筋)や肺の細胞を調べると大部分に21トリソミーが検出された、という報告があります[2]。

専門医の解説

血液の検査では正常に見えても、特定の内臓組織にだけモザイクが現れる現象を「組織特異的モザイク」と呼びます。血液を調べるNIPTや通常の染色体検査だけでは、からだのすべての状態を完璧に把握できるわけではありません。

こうしたしくみは、体細胞モザイクという考え方で整理できます。「陰性=すべての可能性がゼロ」ではなく、検査には得意・不得意があると知っておくことが、落ち着いて次を考える助けになります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【検査結果の紙一枚で、未来は決まりません】

白か黒か、はっきりした答えを求めて検索を続け、眠れないほどの不安を抱えてしまう方は少なくありません。けれども、人のからだは複雑で、モザイク型の表れ方は一人ひとり違います。

だからこそ、スクリーニング検査の結果一枚だけで、赤ちゃんのすべてを判断してはいけないと考えています。NIPTで陽性になったときも、陰性のあとに超音波で気になる所見が見つかったときも、まず確定検査で確かめる。そのうえで、ご家族がご自身で考え、選べるように情報をお伝えするのが、臨床遺伝専門医の役割だと考えています。

当院でできること ― 確定検査とサポート体制

NIPTはあくまでスクリーニング(非確定的検査)です[3]。陽性のときやモザイク型が疑われるときは、羊水検査・絨毛検査という確定検査で確かめます[4]。当院は2025年6月に産婦人科を併設し、遺伝カウンセリングからNIPT、確定検査までを院内で受けられます。確定検査の結果は、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで出ます。NIPTの精度(陽性的中率など)の見方は、NIPTの検査精度のページで解説しています。

確定検査でもモザイクが見つかることがあり、結果の読み方には注意が要ります。くわしくは羊水検査・絨毛検査の精度とは?確定検査の正確性と限界(モザイク・偽陽性)をご覧ください。NIPTで陽性だったときの進み方はNIPTで陽性だったらどうする?確率・羊水検査・次のステップにまとめています。

🏥 当院の検査・サポート体制

項目 内容
臨床遺伝専門医が常駐 90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。
確定検査を院内で
(2025年6月〜産婦人科併設)
陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。
陽性のカウンセリング 陽性のカウンセリングは何度でも無料で受けられます。
互助会(カトレア会) NIPTを受ける方は全員加入します(8,000円)。陽性のときの確定検査の費用が補助されます(補助の上限なし)。
安心検査結果保障制度 NIPTを受ける方は全員加入します(6,000円)。再検査が必要になったのに、流産のため再検査ができず結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金します。
中立・非指示的な遺伝カウンセリング 特定の選択へ誘導せず、ご家族がご自身で選べるよう情報をお伝えします。

※互助会の会費は、収益を目的としない事業のため消費税の対象外です。制度の内容は互助会のページをご確認ください。

遺伝カウンセリングでは、検査を受けるかどうかも含めて、ご家族が納得して選べるように、中立的な立場で情報をお伝えします。特定の疾患を出生前に見つけることが常に利益になるとは限らないため、恐怖をあおったり、特定のプランを強要したりすることはありません。どのプランを選ぶか、あるいは検査を受けないという選択も含めて、ご家族で話し合ってお決めください。

ダウン症候群のほかに、NIPTで調べられる病気

この記事ではモザイク型ダウン症を取り上げてきましたが、出生前検査で調べられる病気は、ダウン症候群だけではありません。どの病気も、赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。全体像はダウン症だけが全てではありません|出生前診断で後悔しないための疾患の全体像にまとめています。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族についての研究をまとめた報告では、子育てのストレスを最も強く左右していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題、そして睡眠の問題でした[5]。

行動の問題の表れ方は、病気によって違います。アンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群では他人への攻撃的な行動が、コルネリア・デ・ランゲ症候群やスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群では自傷が多いことが分かっています[6]。当院のNIPTでは、スミス・マゲニス症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群は全プランで、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプランとインペリアルプランで調べられます。ご家族の子育てのストレスが高いと報告されているウィリアムズ症候群[5]は、インペリアルプランと双子マックスプランの対象です。

22q11.2欠失症候群 ― 母親の年齢に関係なく起こる微小欠失

なかでも頻度が高いのが22q11.2欠失症候群です。妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられ、微小欠失症候群の中では最も多いとされています[7]。多くは親から受け継いだものではなく新しく生じる変化で、母親の年齢に関係なく起こります[7]。心臓の病気、免疫の働きの低下、低カルシウム血症、口蓋裂、発達の遅れなどを伴うことがあります[7]。このため米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに、22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しています[8]。生まれる前に分かっていれば、出産する施設を選んだり、生まれてすぐに心臓・カルシウム・免疫の検査をしたりと、赤ちゃんを迎える準備ができます。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を調べられます。

ただし、微小欠失の陽性的中率は、染色体の数の異常より低め(項目によって60〜70%程度)です。陽性になったときは、必ず確定検査で確かめる必要があります。また、陰性でも、すべての病気が否定されるわけではありません。

検査は「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ ― 1つの病気あたりで考えると

「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[5]。こうした行動の問題を伴いやすい病気は、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患に多く含まれます[5][6]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。「安さ」だけで選んで大丈夫でしょうか。

調べられる病気の数で割って考えてみます。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,700円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード
(220,000円)
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム
(264,000円)
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド
(407,000円)
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス
(440,000円)
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル
(550,000円)
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

各プランで調べる内容は、それぞれのページで確認できます:スタンダードプラン/プレミアムプラン/ダイヤモンドプラン/双子マックスプラン/インペリアルプラン

微小欠失や単一遺伝子まで調べるかどうかを考える材料は、NIPTの微小欠失検査は必要?と単一遺伝子疾患のNIPT(父親の年齢とデノボ変異)にまとめています。

ただし、調べる病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だから当院では、検査の前の遺伝カウンセリングで、ご家族ごとにプランを選びます。

\ どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで決められます /

どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。

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まとめ

モザイク型ダウン症について、要点を整理します。

📌 重要ポイントのまとめ

  • しくみ:正常な細胞と21トリソミーの細胞が混在。受精後の体細胞分裂で起こり、誰のせいでもない
  • 特徴・顔つき:正常な細胞が多いほど軽くなりやすいが、見た目だけでは判断できず個人差が大きい
  • いつわかる:出生前・出生後・大人になってからと幅があり、軽いほど気づかれる時期が遅くなる
  • 偽陰性:胎盤限局性モザイクや組織特異的モザイクにより、NIPTで陰性になることがある
  • 陽性のとき・疑われるとき:確定検査(絨毛検査・羊水検査)で確かめる。当院では院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出る

検査で分かることが増えても、いちばん大切なのは、おなかのお子さんとご家族がこれから穏やかに歩んでいくことです。気がかりなことは、お一人で抱え込まず、主治医や臨床遺伝専門医に確かめてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. モザイク型のダウン症は、大人になるまで気づかないことがありますか?

正常な細胞の割合が多い場合、身体的な特徴や発達の遅れが非常に軽度となり、大人になって別の病気の検査などをきっかけに、偶然ダウン症だと気づかれるケースが実際に存在します。

Q2. ダウン症候群のほかにも、調べておいたほうがよい病気はありますか?

どこまで調べるかはご家族によって違いますが、出生前検査で調べられる病気はダウン症候群だけではありません。たとえば22q11.2欠失症候群は、妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられ、母親の年齢に関係なく起こります。当院ではスタンダードプランから22q11.2欠失症候群やプラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性や確定検査が必要になる場面も増えるため、どのプランにするかは検査前の遺伝カウンセリングで臨床遺伝専門医と一緒に考えます。

Q3. モザイク型は顔つきや見た目で見分けられますか?

正常な細胞が多いほどダウン症特有の顔つきが目立ちにくくなりますが、表れ方の幅が非常に広く、外見だけで見分けることはできません。診断は最終的に、細胞の染色体を調べる検査で行われます。

Q4. モザイク型ダウン症はいつわかりますか?

出生前(妊娠中)、出生後〜乳幼児期、大人になってから、と幅があります。症状が軽いほど気づかれる時期が遅くなる傾向があり、一律には決まりません。

Q5. モザイク型では知的障害を伴わないこともありますか?

正常な細胞の比率が高い場合、はっきりした知的障害を伴わず日常生活を送っている方もいらっしゃいます。ただし個人差が大きく、モザイク型だから軽いと一律に言えるものではありません。

Q6. NIPTで陰性なら、モザイク型も完全に否定できますか?

完全に否定することはできません。胎盤や特定の臓器にのみ異常な細胞が偏るケース(胎盤限局性モザイクや組織特異的モザイク)があり、お母さんの血液を調べるNIPTでは偽陰性となることがあります。

Q7. モザイク型の子どもの発達は、標準型とどう違いますか?

正常な細胞が混在しているため、標準型よりも発達の遅れがゆるやかで、心疾患などの合併症も少ない傾向があります。ただし症状の現れ方は一人ひとり異なります。

Q8. モザイク型が疑われるとき、確定診断はどうしますか?

出生前は羊水検査・絨毛検査、出生後は血液などによる染色体検査で確認します。当院では確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。

🏥 モザイク型や偽陰性が気になる方のNIPT

ミネルバクリニックには臨床遺伝専門医が常駐し、90分の受診枠の中で遺伝カウンセリングを行います。陽性の場合は、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性のカウンセリングは何度でも無料です。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでの遺伝カウンセリングと、全国110か所の提携施設での採血)もご利用いただけます。

お急ぎの方は、NIPT専用ダイヤル 03-3408-3768 へ

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参考文献

  • [1] 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは」 [公式サイト]
  • [2] Yokoyama Y, Narahara K, Kamada M, Tsuji K, Seino Y. Tissue-specific mosaicism for trisomy 21 and congenital heart disease. J Pediatr. 1992;121(1):80-82. [PubMed 1385628]
  • [3] 日本産科婦人科学会「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針」 [公式サイト]
  • [4] 出生前検査認証制度等運営委員会「羊水検査とは/絨毛検査とは」 [公式サイト]
  • [5] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2):522-544. [DOI 10.1177/1744629521995378]
  • [6] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
  • [7] McDonald-McGinn DM, Sullivan KE, Marino B, et al. 22q11.2 deletion syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2015;1:15071. [DOI 10.1038/nrdp.2015.71]
  • [8] Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. [PubMed 36524989]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査や妊娠の経過については、主治医・専門医にご確認ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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