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流産後の妊娠はいつから?すぐ妊娠しても大丈夫か・性行為の再開時期を臨床遺伝専門医が解説

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医として遺伝医療に携わっています。

妊娠初期の流産のあと、次の妊娠まで「何か月待たなければならない」という医学的な決まりはありません。性行為は、出血と腹痛がおさまり、子宮の中の組織が出きってから1〜2週間ほどあけるのが一般的な目安です。生理を待たずに妊娠しても、次の流産が増えるという根拠は見つかっていません。ただし胞状奇胎(ほうじょうきたい)のように妊娠を待つべき例外や、流産を2回以上繰り返したときに調べておきたいこともあります。この記事では、流産後の妊娠の時期、性行為の再開、排卵と生理の戻り方、すぐ妊娠したときのリスクを、国内外のガイドラインと研究をもとに臨床遺伝専門医が解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🤰 流産後の妊娠・性行為・生理
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. 流産のあと、次の妊娠はいつから大丈夫ですか?

A. 妊娠初期の流産なら、医学的に必ず守るべき待機期間はありません。米国産婦人科学会は、次の流産を防ぐ目的で妊娠を遅らせることを支持する質の高いデータはない、としています。日本産科婦人科学会も、流産後にわざわざ避妊期間を設ける必要はなさそう、と説明しています。ただし胞状奇胎の場合や、出血・感染が続く場合は、主治医の指示を優先してください。

  • ➤性行為 → 出血と腹痛がおさまり、組織が出きってから1〜2週間が目安
  • ➤排卵 → 最初の生理より先に来る。平均約4週、早い人は2週前後
  • ➤すぐの妊娠 → 間隔が短くても、次の流産や早産が増えるという根拠はない
  • ➤繰り返すとき → 2回以上で不育症として検査を考える。夫婦の染色体検査も選択肢

1. 流産後の妊娠はいつから?今の医学的な考え方

妊娠初期の流産のあと、次の流産を防ぐために妊娠を遅らせる必要があるという質の高いデータはありません。米国産婦人科学会(ACOG)の診療指針はこの点をはっきり述べています[1]。日本産科婦人科学会も、前回の流産から次の妊娠までの間隔が短くても流産の確率は高まらず、流産後にわざわざ避妊期間を設ける必要はなさそうだと市民向けに説明しています[2]。

一方で、「半年は待って」「生理を2〜3回見送って」と言われた方もいるはずです。推奨が分かれている理由を知っておくと、自分の場合にどうするかを主治医と話し合いやすくなります。

待つ期間は必要?WHOの「6か月」とその後の研究

世界保健機関(WHO)は2005年の専門家会議で、流産や人工妊娠中絶のあとは次の妊娠まで6か月以上あけることを推奨しました。この会議の報告書は2007年に公表されています[3]。その後、流産後の妊娠間隔と次の妊娠の経過を調べた研究が増え、結論は「短くても問題はない」という方向に変わってきています。

2017年に発表されたメタ解析(複数の研究を統合して分析する手法)は、16研究・約104万人を検討しました。流産から次の妊娠までが6か月未満だった人は、6か月以上あけた人と比べて、次の流産のリスク比が0.82、早産のリスク比が0.79と、むしろ低い結果でした。死産、低出生体重、妊娠高血圧腎症には、はっきりした差がありませんでした[4]。スコットランドの病院データを使った研究でも、流産後6か月未満に妊娠した人の経過は、それ以上あけた人より良好でした[5]。

3か月という、さらに短い間隔を調べた研究もあります。米国の514人を追った研究では、流産後3か月未満に妊娠した人の再流産は7.3%で、比較した群の22.1%より少なく、調整後のハザード比は0.33でした[6]。ノルウェーの全国データを使った研究も、流産や人工妊娠中絶から3か月以内の妊娠は、早産や妊娠高血圧腎症などの有害な結果の増加とは関連しなかったと結論づけています[7]。

📘 流産後の妊娠時期についての主な見解

機関・研究 次の妊娠までの考え方
WHO(2005年会議) 流産・人工妊娠中絶のあとは6か月以上あけることを推奨
米国立小児保健発達研究所(NICHD) 少なくとも1回、正常な月経を待ってから妊娠を試みるのが一般的
米国産婦人科学会(ACOG) 次の流産を防ぐ目的で妊娠を遅らせることを支持する質の高いデータはない
日本産科婦人科学会 間隔が短くても流産の確率は高まらず、避妊期間を設ける必要はなさそう

※WHO[3]、NICHD[8]、ACOG[1]、日本産科婦人科学会[2]による。いずれも妊娠初期〜中期前半までの流産を主な対象としています。

これらはすべて観察研究です。「短い間隔のほうが結果がよい」という数字には、体調がよく妊娠しやすい人ほど早く妊活を再開する、といった背景の違いが混ざっている可能性があります。したがって「早く妊娠したほうがよい」とまでは言えず、「急いでも不利になるという根拠はない」と受け取るのが正確です。

「生理を2〜3回待って」と言われる理由

生理を待つようにすすめられるのは、主に妊娠週数の数え方と、体と気持ちの回復を確かめるためです。待たないと次の流産が増えるから、という理由ではありません。NICHDも、少なくとも1回の正常な月経を待つのが一般的としています[8]。

妊娠週数と出産予定日は、通常は最終月経の開始日から数えます。流産のあとに一度も生理が来ないまま妊娠すると、この起点がありません。その場合は超音波検査で週数を決めることになり、手間は増えますが、医学的に困ることはありません。

もう一つの理由は、流産の出血と次の生理を区別し、子宮の中がきれいになったかを確かめやすいことです。自然排出を待った場合、組織の一部が残って出血が長引くことがあります。1回生理が来れば、体のリズムが戻ったことの目安になります。また、心理的な回復に要する時間には個人差があるため、妊活再開の時期は身体面だけでなく本人の希望も踏まえて決めます。

つまり「2〜3回待つ」は、医学的に必須の条件ではありません。見通しを立てやすくするための目安です。主治医から待つように言われた場合は、残っている組織、感染、胞状奇胎など、あなたに固有の理由がないかを確認してみてください。

流産後、何ヶ月で妊娠する人が多い?

妊娠初期の流産を経験した女性を追った米国の研究では、76%が3か月以内に妊活を再開していました。この研究(EAGeR試験)は、20週未満の流産を経験した18〜40歳の女性1,083人を最大6周期まで追跡しました。3か月以内に妊活を始めた人の妊娠率は69%、生児を得た割合は53%でした。3か月以上待った人ではそれぞれ51%、36%でした[9]。

この数字は、流産後もかなり早い時期に妊娠している人が多いことを示しています。ただし、これは集団の平均です。あなたが何か月で妊娠するかの予測には使えません。妊娠までの期間を最も大きく左右するのは年齢で、ほかに卵巣の働きや、もともと妊娠までにかかっていた期間なども影響します。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「待たなくていい」と「待ってもいい」は両立します】

研究の結論は「急いでも不利にはならない」です。これは「すぐに次へ進むべき」という意味ではないと考えています。体が回復していても、気持ちの整理には人それぞれの時間が必要です。

待つ理由が医学的なものでなくても、それは十分な理由です。逆に、年齢を考えて早く妊活を再開したい方が、根拠のない待機期間に縛られる必要もありません。どちらを選んでも、次の流産が増えるわけではないことを知ったうえで決めてほしいと考えています。

2. 流産後の性行為はいつから?

流産後の性行為は、出血と腹痛がおさまり、子宮の中の組織が完全に出てから1〜2週間ほどあけるのが一般的な目安です。米国産婦人科学会も、組織が完全に排出されてから1〜2週間は腟からの性交を控えることが一般に推奨される、としています[1]。

目安は「出血と腹痛が止まってから」1〜2週間

性行為を控える主な目的は、感染を防ぐことです。流産の直後は子宮の入り口(子宮頸管)が開き気味で、子宮の内側には胎盤がついていた部分の傷が残っています。この時期に細菌が入ると、子宮内膜炎などの感染を起こすことがあります。

ただし「1〜2週間」という期間は、厳密な比較試験で決まったものではありません。慣習的な目安で、根拠の強さは限られています。日数よりも、出血が止まっていること、痛みや発熱がないこと、おりものの色やにおいに異常がないことのほうが大切です。流産手術を受けた場合は、術後の診察で問題がないと確認されてからにしてください。

手術後・自然排出後それぞれの注意

自然排出を待った場合は、組織が出きったことを超音波検査で確かめてから性行為を再開するのが安全です。組織の一部が残っていると、出血がだらだら続いたり、感染の原因になったりします。自然排出の経過や、手術が必要になる場合については流産の自然排出で詳しく解説しています。

流産手術(子宮内容除去術)を受けた場合は、術後の診察で子宮の状態と出血を確認します。そこで問題がなければ、性行為や入浴などの制限が解除されるのが一般的です。手術の方法や術後の過ごし方は流産手術が必要なケースにまとめています。

血液型がRh陰性の方の抗D免疫グロブリン(RhIg)については、妊娠週数によって対応が異なります。ACOGは2024年に指針を更新し、妊娠12週未満の流産ではRhIgを一律に投与するのではなく、個別に判断する考え方を示しています。一方、妊娠12週以降の流産ではRhIgが推奨されます[19]。Rh陰性で投与の要否がわからない場合は、処置を受けた医療機関に確認してください。

妊娠を望まないなら、生理が来る前でも避妊を

流産後の最初の排卵は、最初の生理より前に起こります。そのため「まだ生理が来ていないから妊娠しない」とは言えません。しばらく妊娠を避けたい場合は、性行為を再開した時点から避妊が必要です。

ホルモンを使う避妊法(低用量ピルなど)は、流産が完了した直後から始められます[1]。コンドームは感染予防の面でも役立ちます。逆に、すぐに次の妊娠を望む場合は、避妊をせずに性行為を再開してかまいません。その場合は、妊娠がわかったときに流産の日付を医師へ伝えられるよう、記録しておくと役立ちます。

3. 流産後、排卵と生理はいつ戻る?

流産後の最初の排卵は平均で約4週後に起こり、そのおよそ2週間後に最初の生理が来ます。早い人では2週前後で排卵が戻ることもあり、個人差はかなり大きいものです。

hCGが下がると排卵が再開する

妊娠中は、胎盤のもとになる絨毛(じゅうもう)からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌され、妊娠を維持するしくみが働いています。この間、次の卵胞を育てる周期はお休みの状態です。流産によって絨毛がなくなるとhCGは下がり始め、脳から卵巣への指令が再開します。そして新しい卵胞が育ち、排卵に至ります。

流産絨毛がなくなる
▶
hCGが下がる妊娠を保つ信号が止まる
▶
排卵平均約4週後
▶
最初の生理排卵の約2週後

自然流産後の女性18人のホルモンを調べた研究では、全員で最初の生理より前に排卵が確認されました。排卵は流産から平均29日後で、早い人は13日後、遅い人は103日後でした[10]。人数の少ない研究ですが、「生理より先に排卵が来る」「時期には大きな幅がある」という2点ははっきりしています。基礎体温をつけていれば、高温期に入ったことで排卵の再開に気づけることがあります。

💡 用語解説:hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)

hCGは、受精卵が着床したあと絨毛から分泌されるホルモンで、妊娠検査薬が検出しているのもこのホルモンです。卵巣の黄体を支えて、妊娠を続けるためのホルモン(プロゲステロン)を出させます。流産後もhCGはすぐには消えず、数週間かけて下がっていきます。そのため、流産後しばらくは妊娠検査薬が陽性のままになることがあります。

最初の生理は多くが1〜2か月ごろ

流産後の最初の生理は、多くは1〜2か月ごろに来ますが、個人差があります。もともと生理不順の方や、流産前の妊娠週数が進んでいた方、組織が残っていた方では、遅れることがあります。最初の生理は、量が多い、周期がずれるなど、いつもと違うことも珍しくありません。

流産後の生理がいつ来るか、どんな生理なら受診したほうがよいかについては、流産後の生理の解説で詳しく扱っています。長く生理が来ない場合は、妊娠している可能性も含めて、まず妊娠検査で確認してください。

生理を待たずに妊娠したときの妊娠週数

流産後に生理を待たずに妊娠した場合、妊娠週数と予定日は妊娠初期の超音波検査で決めます。米国産婦人科学会は、妊娠初期に超音波で測る赤ちゃんの頭からお尻までの長さ(頭殿長、CRL)が、週数を決める最も正確な方法だとしています[11]。最終月経がわからないことは、妊娠の経過にとって不利にはなりません。

注意したいのは、流産後しばらくは前の妊娠のhCGが残っていることです。流産から日が浅い時期に妊娠検査薬が陽性になっても、それが新しい妊娠によるものか、前の妊娠の名残なのかは区別がつきません。受診の際は「いつ流産したか」を伝えると、医師は血液検査のhCGの推移や超音波の所見と合わせて判断できます。

💡 用語解説:妊娠週数の数え方

妊娠週数は、最終月経が始まった日を「妊娠0週0日」として数えます。実際に排卵・受精が起こるのは、およそ妊娠2週ごろです。流産後に生理が来ないまま妊娠すると、この最終月経の日がないため、超音波で測った赤ちゃんの大きさから週数を逆算します。妊娠初期の計測は誤差が小さく、予定日をかなり正確に決められます。

4. 流産の種類別|次の妊娠までの目安

化学流産、自然に出きった流産、稽留流産(けいりゅうりゅうざん)の自然排出や手術のいずれでも、医学的に必須の待機期間はありません。例外は胞状奇胎で、hCGの経過観察が終わるまで妊娠を避けます。それぞれの流産の定義は流産の種類で解説しています。ここでは次の妊娠との関係に絞って整理します。

📋 流産の種類別・次の妊娠までの目安

流産の種類 次の妊娠の目安 気をつけること
化学流産 待機期間は不要。次の周期から妊活可能 検査薬の陰性化を確認。流産回数には数えない
完全流産(自然に出きった) 出血がおさまれば、待機期間は不要 組織が出きったかを超音波で確認
稽留流産(自然排出・薬・手術) 処置が終わり出血がおさまれば、待機期間は不要 残存・感染がないか、術後の診察で確認
妊娠12週以降の流産 主治医と相談して決める 頸管や子宮の要因など、原因の評価を優先することがある
胞状奇胎 hCGの経過観察が終わるまで妊娠を避ける まれに治療が必要な病変に変化するため

※妊娠間隔の研究は主に妊娠20週未満の流産を対象としています[4]。胞状奇胎の経過観察は英国王立産婦人科医会の指針[12]による。個別の判断は主治医の指示を優先してください。

化学流産のあと:すぐ妊活してよい?妊娠しやすい?

化学流産のあとは、次の周期からすぐに妊活を再開してかまいません。化学流産は、妊娠検査薬や血液検査でhCGが陽性になったものの、超音波で胎嚢(たいのう)が確認される前に妊娠が終わった状態です。医学的には「生化学的妊娠」と呼ばれ、多くは生理とほぼ同じ時期の出血として終わります。子宮の中に処置が必要な組織が残ることはまれで、体への負担は通常の生理とあまり変わりません。

日本の「不育症管理に関する提言2021」は、生化学的妊娠を流産の回数に数えないとしています[13]。化学流産を1回経験しても、それだけで不育症の検査が必要になるわけではありません。

「化学流産のあとは妊娠しやすい」という話を見かけることがありますが、これを裏づける医学的な根拠はありません。反対に、妊娠しにくくなるという根拠も見当たりません。着床が起きたことは確認できますが、それを根拠に次の周期の妊娠率が上がるとまでは言えません。

稽留流産・流産手術のあと

稽留流産を自然排出・薬・手術のどれで処置した場合も、処置が終わって出血がおさまれば、次の妊娠を急いではいけない医学的理由はありません。第1章で紹介した研究の多くは、処置の方法を問わず妊娠初期の流産を対象にしています。短い間隔での妊娠が不利になるという結果は出ていません[4]。

ただし、組織が残っていないことの確認は欠かせません。自然排出では、組織が残って出血が続き、あとから手術が必要になることがあります。手術を受けた場合も、術後の診察で子宮の状態を確かめてから妊活を再開するのが安全です。出血が長引く、生理が極端に少ないまま戻らない、といった場合は、次の妊娠の前に受診して原因を確かめてください。

妊娠を少し待ったほうがよいケース

いちばんはっきりした例外は胞状奇胎です。胞状奇胎は、受精のときの異常で絨毛が異常に増えた状態で、処置後にごくまれに治療が必要な病変(絨毛性腫瘍)に変わることがあります。そのため処置のあとは、血液のhCGが正常まで下がり、その状態が続くかを定期的に確認します。英国王立産婦人科医会の指針では、経過観察が終わるまで妊娠を避けるよう勧めています[12]。

  • 全胞状奇胎:hCGが56日以内に正常化すれば、子宮内容の除去から6か月間の経過観察。遅れた場合は、正常化から6か月間
  • 部分胞状奇胎:4週以上あけた2回の検査でhCGが正常なら経過観察を終了
  • 化学療法を受けた場合:治療終了後1年間は妊娠を避けることが勧められている

日本での経過観察の期間は施設によって細部が異なることがあるため、主治医の指示に従ってください。胞状奇胎のしくみや、父親由来の染色体だけで起こる理由については、胞状奇胎とはで遺伝の視点から解説しています。

このほか、次のような場合は、妊活の再開を少し待ったほうがよいことがあります。発熱や、においの強いおりものなど感染が疑われる場合。出血が続いている場合。出血で強い貧血になった場合。Rh陰性で妊娠12週以降の流産後に抗D免疫グロブリンの投与状況を確認できていない場合。妊娠12週以降の流産で原因の評価が済んでいない場合です。心理的な準備が整うまで妊活を再開しないという選択もあります。

⚠️ すぐに受診してほしい症状

流産後に、38度以上の発熱、においの強いおりもの、生理の多い日を大きく超える出血(1時間にナプキンが何枚も必要になるなど)、強くなっていく下腹部の痛みがある場合は、次の妊娠の時期に関係なく、すぐに処置を受けた医療機関へ連絡してください。子宮内の感染や組織の残存が考えられます。

5. 流産後すぐ妊娠しても大丈夫?リスクと赤ちゃんへの影響

流産後に間隔をあけずに妊娠しても、次の流産、早産、死産、妊娠高血圧腎症が増えるという根拠はありません。ここでは、よく心配される点を一つずつ整理します。その際、「妊娠間隔の短さ」と「流産を経験したこと自体」は、分けて考える必要があります。

間隔が短くても次の流産は増えない(流産歴そのものはリスクを少し上げる)

妊娠の間隔が短いことで、次の流産が増えることはありません。第1章のメタ解析では、6か月未満の妊娠のほうが次の流産は少なく[4]、3か月未満に絞った研究でも同じ傾向でした[6]。

一方で、流産を経験したこと自体は、次の妊娠での流産リスクを少し上げます。ノルウェーで約42万件の妊娠を分析した研究では、人工妊娠中絶を除いた流産の割合は全体で12.8%でした。流産の既往が1回ある人では次の流産のリスクがおよそ1.5倍、2回で約2倍、3回続いた人では約4倍でした[14]。

1.5倍と聞くと大きく感じるかもしれません。それでも、1回流産した人の大多数は、次の妊娠を続けることができます。NICHDも、1回の流産はほとんどの場合「一度きりの出来事」だと説明しています[8]。この数字は集団全体の傾向で、あなた個人の確率を示すものではありません。年齢の影響のほうがずっと大きいことは、第6章で説明します。

赤ちゃんの障害(先天異常)は増える?

流産後すぐの妊娠で、赤ちゃんの先天異常が増えるという報告は見当たりません。妊娠間隔と次の妊娠の経過を調べた研究では、死産、低出生体重、妊娠高血圧腎症に差はありませんでした[4]。ノルウェーの研究でも、3か月以内の妊娠で、早産、在胎週数に比べて小さい赤ちゃん、妊娠糖尿病などが増えることはありませんでした[7]。

ただし、先天異常そのものを主な評価項目にして、流産後の妊娠間隔との関係を調べた大規模な研究は多くありません。そのため「増えないと証明されている」とまでは言えず、「増えるという根拠はない」というのが正確な表現です。

染色体の数の異常(ダウン症候群など)の起こりやすさを主に左右するのは、妊娠間隔ではなく母体の年齢です。流産したことで次の赤ちゃんの染色体異常が増えるわけではありません。二分脊椎などの神経管閉鎖障害は、妊娠前からの葉酸でリスクを下げられることがわかっています。これについては第8章で説明します。

「流産後は妊娠しやすい」は本当?

「流産後は妊娠しやすくなる」とまでは言えません。EAGeR試験では、3か月以内に妊活を始めた人のほうが妊娠率も生児を得た割合も高い結果でした[9]。ただしこれは観察研究です。もともと妊娠しやすい人や体調のよい人が早く再開した、という違いが結果に表れている可能性を否定できません。

「子宮の中がリセットされる」「ホルモンの働きがよくなる」といった説明を見かけることもあります。しかし、これらを直接確かめた研究はありません。流産後に妊娠しやすくなるとも、しにくくなるとも言えない、というのが現在わかっている範囲です。

すぐ妊娠したら怒られる?受診時に伝えてほしいこと

流産後すぐに妊娠したことを、医学的に責められる理由はありません。米国産婦人科学会も日本産科婦人科学会も、流産後の待機期間を必須とはしていません[1][2]。「待つように言われていたのに」と気にする必要はありません。

受診のときには、前回流産した日、処置の方法(自然排出か手術か)、流産後に生理があったかどうかを伝えてください。これらがわかると、医師は週数の見積もりや、前の妊娠のhCGが残っている可能性を考えながら、超音波検査の時期を調整できます。妊娠がわかったら早めに受診し、子宮の中に胎嚢があることを確認してもらいましょう。

6. 流産は次の妊娠に持ち越す?遺伝専門医の視点

妊娠初期の流産の多くは、受精卵(胚)の染色体の数の異常によって起こります。この異常はほとんどが偶然に生じるもので、次の妊娠に持ち越されるものではありません。「次も同じことが起こるのでは」という不安は、流産の原因を知ることで、ある程度整理できます。

早期流産の多くは胚の染色体の数の異常で、偶然起こる

米国産婦人科学会は、妊娠初期の流産のおよそ50%が胎児の染色体異常によると説明しています[1]。日本産科婦人科学会は、妊娠12週未満の流産組織の染色体を調べると約80%に異常が見つかった、というデータを紹介しています[2]。1,000例の流産組織を染色体検査(Gバンド法)で調べた研究では、50.1%に異常がありました。その内訳は、トリソミー(ある染色体が1本多い)59.7%、倍数体(染色体の組が丸ごと多い)22%、モノソミー(1本少ない)7.5%でした。トリソミーのなかで最も多かったのは16トリソミーでした[15]。

50%から80%まで幅があるのは、調べ方と対象が違うためです。Gバンド法は組織の培養がうまくいかないと結果が出ません。マイクロアレイや次世代シーケンサーを使うと、より多くの異常が見つかります。流産した時期や年齢の構成によっても割合は変わります。いずれにしても「約半数、あるいはそれ以上」が染色体の数の異常だと考えられています。

染色体の数の異常の多くは、卵子や精子ができる途中の減数分裂で、染色体がうまく分かれないこと(不分離)によって生じます。これはその卵子に偶然起こる出来事で、両親の体質として毎回繰り返されるものではありません。16トリソミーは、妊娠初期の流産の原因として最も多い染色体異常です。赤ちゃんが生まれることはほとんどありません。詳しくは16トリソミーと9〜16番染色体の異常で解説しています。

💡 用語解説:染色体の数の異常(異数性)

ヒトの細胞には、通常46本(23対)の染色体があります。このうちある番号の染色体が1本多い状態をトリソミー、1本少ない状態をモノソミーといい、まとめて異数性と呼びます。染色体には多くの遺伝子が乗っているため、本数がずれると遺伝子の量のバランスが大きく崩れます。多くの場合、胚は育ち続けることができず、妊娠初期の流産になります。21番のトリソミー(ダウン症候群)のように、出生に至ることのある異数性は一部です。

年齢とともに卵子の染色体の数の異常が増える

流産のリスクに最も強く影響するのは、女性の年齢です。ノルウェーの研究では、流産の割合は25〜29歳で約10%と最も低く、30歳を過ぎると上がり始め、45歳以上では53%でした[14]。日本産科婦人科学会も、40歳を過ぎると妊娠の40%以上が流産に終わると説明しています[2]。1,000例の流産組織の研究でも、40歳を超える女性では、35歳未満と比べて染色体異常のある流産の割合が高くなっていました[15]。

年齢とともに流産が増える主な理由は、卵子の減数分裂で染色体を束ねておくしくみが、年月とともに弱くなることです。卵子は生まれる前から体の中にあり、排卵されるまで何十年も減数分裂の途中で止まっています。その間に染色体をつなぎとめるタンパク質が少しずつ失われ、分かれるときに間違いが起こりやすくなります。このしくみについては卵子で染色体の数の異常(異数性)が起こる理由で詳しく解説しています。

このことは、流産後の妊娠の時期を考えるうえでも意味があります。30代後半から40代で流産した場合、根拠のない待機期間を置くことは、それだけ年齢が進むことを意味します。年齢以外のリスク因子を含めて整理したい方は、流産しやすい人の特徴もご覧ください。

1回の流産で検査は必要?

1回の流産では、原因を調べる検査は通常行いません。日本の不育症の提言も[13]、欧州ヒト生殖学会(ESHRE)の指針も[16]、流産を2回以上経験した場合を検査の対象としています。1回目の流産の多くは偶然の染色体異常で、次の妊娠は多くの場合うまくいくためです。

ただし、1回目でも検討されることがあります。妊娠12週以降の流産だった場合や、血縁者に染色体の構造異常がわかっている場合、以前に染色体異常のある赤ちゃんを妊娠したことがある場合です。流産手術で組織が得られた場合には、その染色体を調べて、流産の原因が胚の染色体の数の異常だったかを確かめる検査もあります。検査でわかることと限界は、不育症の原因になる染色体異常で解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「自分のせい」ではないことを、染色体から説明できます】

流産のあと、「あのとき重い荷物を持ったから」「仕事を休まなかったから」と原因を自分の行動に探してしまうことがあります。けれども、妊娠初期の流産の多くは、受精の時点で胚の染色体の本数がずれていたことによるものです。日常の動作で防げるものではないと考えています。

臨床遺伝専門医として大切だと考えているのは、「偶然に起きたこと」と「繰り返す理由があること」を分けて考えることです。1回の流産の多くは前者です。流産が続く場合に初めて、夫婦の染色体の構造など、次の妊娠にも関わる理由がないかを調べる意味が出てきます。

7. 流産を2回以上繰り返したら|不育症と染色体検査

流産や死産を2回以上経験した場合は、不育症として原因を調べることが勧められています。繰り返す流産の中には、治療や対策につながる原因が見つかるものがあります。一方で、検査をしても原因がはっきりしない場合も少なくありません。

不育症の定義と検査の目安

「不育症管理に関する提言2021」は、2回以上の流死産の既往がある場合を不育症としています。異所性妊娠や絨毛性疾患、生化学的妊娠は流産の回数に数えません。すでにお子さんがいる場合も、2回以上の流死産があれば不育症に含めます[13]。ESHREの指針も、2回以上の妊娠喪失を定義としています[16]。流産が2回の場合を反復流産、3回以上を習慣流産と呼びます。日本の調査では、2回以上の流産既往がある女性は4.2%、3回以上は0.88%でした[13]。

主な原因(リスク因子)としては、抗リン脂質抗体症候群(血液が固まりやすくなる自己免疫の病気)、子宮の形の異常、甲状腺などの内分泌の異常、夫婦どちらかの染色体の構造異常が知られています。ただし、検査をしても原因が特定できないことも少なくありません。原因がわからなかった場合でも、同じ提言には、薬を使わなくても81.3%が次の妊娠を継続できたというデータが示されています[13]。検査の内容や治療については、不育症とはで詳しく解説しています。

流産組織の染色体検査と夫婦の染色体検査

不育症の検査で遺伝に関わるのは、流産した組織の染色体検査と、夫婦の染色体検査の2つです。流産組織の検査では、その流産が胚の染色体の数の異常によるものだったかがわかります。数の異常が見つかれば、その流産は偶然の要素が大きかったと考えられます。

夫婦の染色体検査では、どちらかが均衡型転座などの構造異常を持っていないかを調べます。提言に示された国内の不育症1,340例のデータでは、夫婦の染色体構造異常は3.7%に見つかりました。内訳は均衡型相互転座が3.0%、ロバートソン型転座が0.7%です[13]。検査は血液を使った染色体検査(Gバンド法)で行います。

💡 用語解説:均衡型転座

均衡型転座とは、2本の染色体の一部が入れ替わっているものの、遺伝情報の過不足はない状態です。遺伝子の量はそろっているため、本人は健康で、検査をするまで気づかないのが普通です。ところが卵子や精子ができるときには、入れ替わった染色体の組み合わせによって、一部の遺伝情報が多すぎたり少なすぎたりする配偶子ができることがあります。そうした受精卵は育ちにくく、流産の原因になります。

夫婦に転座がある場合:自然妊娠とPGT-SR

夫婦のどちらかに均衡型転座が見つかっても、自然妊娠で出産に至る人は少なくありません。すべての受精卵が不均衡になるわけではなく、遺伝情報のバランスがとれた受精卵ができる場合もあるからです。転座の種類や、どの染色体が関わっているかによって見通しは変わるため、結果は染色体の図を見ながら具体的に確認していく必要があります。

選択肢の一つに、体外受精で得た胚の染色体の構造を調べてから子宮に戻すPGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)があります。流産の回数を減らせる可能性がある一方で、体外受精に伴う負担や費用がかかります。そのため、自然妊娠と比べてどちらが合うかは、年齢や転座の種類、これまでの経過を踏まえて考えることになります。妊娠したあとに赤ちゃんの染色体を確かめる出生前検査も、組み合わせて検討されます。

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8. 次の妊娠に向けてできること

流産の多くは防ぎようのないものですが、次の妊娠に向けて整えておけることもあります。ここでは、根拠がはっきりしているものに絞って紹介します。

葉酸・体重・禁煙・節酒

妊娠を考え始めたら、食事に加えて葉酸を1日400μg、とり始めてください。厚生労働省は2000年の通知で、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性に、神経管閉鎖障害のリスクを下げるため、食事に加えて1日400μgの葉酸をとることを勧めています。期間は、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までです[17]。赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる神経管は妊娠のごく初期に閉じるため、妊娠がわかってからでは間に合わないことがあります。流産後すぐに妊活を再開する場合は、今日から始めるのが実際的です。サプリメントの選び方や時期は葉酸サプリはいつからいつまでで解説しています。

喫煙は、妊娠のしやすさや妊娠経過のさまざまな面に悪影響を及ぼすことが知られています。妊娠を考えた時点でやめるのが原則です。飲酒も、妊娠がわかる前の時期から控えておくのが望ましいとされています。やせすぎ・太りすぎも妊娠経過に影響するため、極端な食事制限は避け、適正な体重を目指してください。ESHREの不育症の指針は2022年の改訂で、男性パートナーの年齢、喫煙、飲酒、運動習慣、体重も確認することを強い推奨に引き上げています[16]。妊娠の準備は女性だけのものではありません。

心の回復とパートナーと話すこと

流産のあとに気持ちが沈んだり、涙が止まらなくなったりするのは自然な反応です。体の回復よりも気持ちの回復に時間がかかることは珍しくありません。次の妊娠を考えられるようになる時期も、人によって大きく違います。

「ストレスが流産の原因になったのでは」と心配される方もいます。複数の研究をまとめた分析では、心理的なストレスと流産の間に関連(オッズ比1.42)が報告されています[18]。ただし、この分析の著者自身が、研究の方法の違いや、流産のあとに記憶をたどることによる偏りがあり、解釈には注意が必要だと述べています。ストレスが流産を引き起こすとまでは言い切れません。まして流産があなたの気持ちの持ち方のせいだということにはなりません。ストレスと流産の関係はストレスは流産の原因になる?でも解説しています。

パートナーとは、次の妊娠をいつ考えるか、どのくらい不安を感じているかを、言葉にして共有しておくとよいでしょう。悲しみ方や立ち直る速さは、二人の間でも違うことがあります。気分の落ち込みが長く続く、眠れない、日常生活がつらいといった状態が続く場合は、心療内科や精神科、処置を受けた医療機関に相談してください。

9. 次に妊娠がわかったら

流産後に妊娠がわかったら、いつもより少し早めに受診し、前回の流産の経過を伝えてください。子宮の中に胎嚢があるか、心拍が確認できるかを順に見ていきます。流産歴がある妊娠では心理的負担が生じることもあるため、必要に応じて健診の間隔を主治医と相談してください。

妊娠初期の過ごし方について、性行為は妊娠経過に問題がなければ控える必要はないとされています。ただし出血やお腹の張りがある場合は別です。詳しくは妊娠初期の性行為で解説しています。重い物を持つ、仕事をするといった日常の動作が、妊娠初期の流産の原因になることは基本的にありません。

赤ちゃんの染色体について知りたい場合には、出生前検査という選択肢があります。母体の血液で調べるNIPT(新型出生前診断)は、採血だけで行うため、検査そのもので流産することはありません。一方でNIPTは、染色体の変化の可能性を推定するスクリーニング検査です。陽性の場合は羊水検査や絨毛検査で確定する必要があり、結果が当たる割合(陽性的中率)は年齢や疾患によって変わります。受けるかどうかは、何を知りたいのか、結果をどう使うのかを考えたうえで決めるものです。流産を経験したからといって、受けなければならない検査ではありません。

よくある質問(FAQ)

Q1. 流産後1ヶ月で妊娠できますか?

できます。流産後の最初の排卵は平均約4週後、早い人では2週前後に起こり、最初の生理より前に来ます。そのため、生理を一度も見ないまま妊娠することもあります。流産後1か月での妊娠が次の流産を増やすという根拠はありません。

Q2. 生理を待たずに妊娠しても大丈夫ですか?

妊娠初期の流産であれば、医学的には問題ないと考えられています。米国産婦人科学会は、妊娠を遅らせることを支持する質の高いデータはないとしています。最終月経がわからない場合は、妊娠初期の超音波検査で週数と予定日を決めます。受診時に前回の流産の日付を伝えてください。

Q3. 流産後の妊娠は、また流産しやすいですか?

妊娠の間隔が短いことで流産が増えることはありません。ただし、流産を経験したこと自体は、次の流産リスクを少し上げます。大規模な研究では、流産の既往が1回あると次の流産リスクがおよそ1.5倍でした。それでも、1回流産した人の大多数は次の妊娠を続けられます。

Q4. 流産後に妊娠しにくくなることはありますか?

妊娠初期の流産そのもので妊娠しにくくなるという根拠はありません。流産後3か月以内に妊活を再開した女性の多くが、半年ほどの間に妊娠していたという研究もあります。長く妊娠しない場合は、流産とは別に、年齢や排卵、卵管などの要因を確認します。

Q5. 化学流産のあと、いつから妊活していいですか?

次の周期からすぐに再開してかまいません。化学流産は多くが生理とほぼ同じ時期の出血として終わり、処置が必要になることはまれです。日本の不育症の提言では、化学流産(生化学的妊娠)は流産の回数に数えません。

Q6. 40代で流産しました。待たないほうがいいですか?

医学的に必須の待機期間はないため、年齢を考えて早めに妊活を再開することには合理性があります。流産の割合は年齢とともに上がり、主な理由は卵子の染色体の数の異常が増えることです。体の回復を確認したうえで、再開の時期を主治医と相談してください。

Q7. 流産手術のあと、いつから性行為していいですか?

術後の診察で子宮の状態と出血に問題がないと確認されてからが目安です。一般には、組織が出きってから1〜2週間は控えることが推奨されています。発熱、においの強いおりもの、強い腹痛がある場合は、性行為を控えて受診してください。

まとめ

妊娠初期の流産のあと、次の妊娠まで必ず待たなければならない期間はありません。WHOはかつて6か月以上あけることを推奨しました。しかしその後の研究では、6か月未満や3か月未満の妊娠でも、次の流産、早産、死産、妊娠高血圧腎症が増えるという結果は出ていません[4][7]。性行為は出血と腹痛がおさまってから1〜2週間が目安です。排卵は最初の生理より先に戻ります[1][10]。

例外は胞状奇胎で、hCGの経過観察が終わるまで妊娠を避けます。妊娠初期の流産の多くは胚の染色体の数の異常によるもので、偶然に起こり、次の妊娠に持ち越されるものではありません。流産が2回以上続いた場合は不育症として検査を考え、夫婦の染色体検査もその一つです。待つか、すぐに再開するかは、医学的な制約がないことを知ったうえで、体と気持ちの状態に合わせて決めてください。

🧬 流産を繰り返す原因を調べたい方へ

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が夫婦の染色体検査(Gバンド法)と遺伝カウンセリングを行っています。検査結果は、染色体の構造と次の妊娠への影響を含めて説明します。均衡型転座などが見つかった場合の自然妊娠・PGT-SR・出生前検査の考え方も、検査結果に基づいて整理します。妊娠後の赤ちゃんの染色体を調べるNIPTも行っています。

参考文献

  • [1] ACOG Practice Bulletin No. 200: Early Pregnancy Loss. Obstet Gynecol. 2018;132(5):e197-e207. [Obstet Gynecol]
  • [2] 公益社団法人 日本産科婦人科学会. 流産・切迫流産. [日本産科婦人科学会]
  • [3] World Health Organization. Report of a WHO technical consultation on birth spacing: Geneva, Switzerland 13-15 June 2005. WHO/RHR/07.1. 2007. [WHO]
  • [4] Kangatharan C, Labram S, Bhattacharya S. Interpregnancy interval following miscarriage and adverse pregnancy outcomes: systematic review and meta-analysis. Hum Reprod Update. 2017;23(2):221-231. [DOI: 10.1093/humupd/dmw043]
  • [5] Effect of interpregnancy interval on outcomes of pregnancy after miscarriage: retrospective analysis of hospital episode statistics in Scotland. BMJ. 2010;341:c3967. [PubMed 20688842]
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  • [7] Tessema GA, Håberg SE, Pereira G, Regan AK, Dunne J, Magnus MC. Interpregnancy interval and adverse pregnancy outcomes among pregnancies following miscarriages or induced abortions in Norway (2008-2016): A cohort study. PLoS Med. 2022;19(11):e1004129. [DOI: 10.1371/journal.pmed.1004129]
  • [8] Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development (NICHD). Other FAQs About Pregnancy Loss (Before 20 Weeks of Pregnancy). [NICHD]
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  • [10] Return of ovarian function following spontaneous abortion. Clin Endocrinol. 1990. [PubMed 2401092]
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  • [13] 「不育症管理に関する提言」改訂委員会編. 不育症管理に関する提言2021. [不育症研究班]
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  • [17] 厚生労働省 e-ヘルスネット. 葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果. [e-ヘルスネット]
  • [18] The association between psychological stress and miscarriage: A systematic review and meta-analysis. Sci Rep. 2017;7:1731. [DOI: 10.1038/s41598-017-01792-3]
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プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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