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化学流産の出血は、量も見た目も生理とあまり変わらないことが多く、出血を見ただけで化学流産かどうかを見分けることはできません。化学流産(生化学的妊娠)とは、妊娠検査で陽性になったあと、超音波(エコー)で妊娠を確認できるより前に、hCG(妊娠すると作られるホルモン)の値が下がって終わる妊娠のことです[1]。出血がほとんどないまま過ぎることもあれば、陽性のあとに出血しても妊娠が続いていることもあります。強い腹痛や大量の出血があるときは、化学流産かどうかを考える前に受診が必要です。この記事では、化学流産の出血の特徴、出血しないケース、生理や着床出血との違い、「化学流産かと思ったら継続していた」ときの見分け方を、臨床遺伝専門医の立場から解説します。
Q. 化学流産の出血はどんな出血ですか?
A. 生理と同じくらいの量で、生理予定日の前後か、少し遅れて始まることがあります。ただし見た目で生理や妊娠が続いているときの出血と区別することはできません。出血がほとんどないまま終わることもあります。陽性のあとに出血しても妊娠が続いていることがあり、確かめるには血液中のhCGの推移と超音波検査が必要です。
- ➤出血の特徴 → 量・色・塊は生理と似ていて、見た目での区別は難しい
- ➤出血なし → 出血がほとんどないまま、陽性が薄くなって終わることもある
- ➤継続の可能性 → 陽性後の出血でも、妊娠が続いていることはめずらしくない
- ➤確かめ方 → 血液中のhCGを48時間あけて2回測る方法と、経腟超音波
- ➤すぐ受診 → 大量の出血、強い腹痛、肩の先の痛み、めまいや失神
1. 化学流産の出血はどんな出血?
化学流産の出血は、多くの場合、生理とよく似た出血です。妊娠に備えて厚くなった子宮内膜がはがれて出てくる出血なので、量も色も、普段の生理と大きくは変わらないことがあります。
化学流産では、受精卵がいったん子宮内膜に着床し、hCGが作られ始めます。hCGは妊娠を維持するためのホルモンで、妊娠検査薬はこのhCGを尿から検出して陽性を示します。ところが受精卵がその後育たないと、hCGは下がっていき、妊娠を支えるホルモンの働きも弱まります。すると厚くなっていた子宮内膜がはがれ、出血が起こります。妊娠が成立しなかった周期に生理が来る仕組みとよく似た流れです。
こうした妊娠の終わりは、実はめずらしいものではありません。女性の尿中のhCGを毎日測って追跡した米国の研究では、hCGで確認された妊娠のうち22%が、臨床的に妊娠と気づかれる前に終わっていました[2]。妊娠検査薬を使っていなければ、こうした妊娠の多くは本人にとって「普通の生理」として過ぎていたと考えられます。化学流産の出血を生理と区別しにくいのは、仕組みそのものが似ているためです。
量・色・塊の特徴
量は普段の生理と同じくらいのことが多く、少し多いと感じる人もいます。色は鮮やかな赤から暗い赤、茶色までさまざまで、出始めや終わりかけは茶色っぽくなることがあります。これは生理と同じで、血液が体の外に出るまでに時間がかかると、酸化して黒っぽく見えるためです。
血の塊や、レバーのような塊が出ることもあります。生理でも経血の多い日には塊が出ることがあるので、塊が出たことだけで化学流産と決めることはできません。化学流産のときに出てくる白い塊や血の塊の正体については、別の記事で詳しく解説しています。
下腹部の痛みについても、生理痛のような痛みを感じる人もいれば、ほとんど痛みを感じない人もいます。化学流産の出血量や痛みを多くの人で比べた研究は見当たらず、「生理より重い」「生理より軽い」といった傾向は、現時点でははっきりしていません。いつもの生理と比べて明らかに量が多い、痛みが強いという場合は、化学流産かどうかに関係なく受診してください。
出血が始まる時期
化学流産の出血は、生理予定日の前後、または予定日を少し過ぎてから始まることがあります。「予定日から何日後に出血すれば化学流産」という決まった目安はありません。
妊娠週数は最終月経の初日を0週0日として数えるため、生理周期が28日前後の人では、生理予定日がおおむね妊娠4週0日にあたります。一般的な妊娠検査薬は生理予定日ごろから陽性が出るように作られているので、化学流産は妊娠4週前後から、超音波で胎嚢が見えるようになるまでの間に分かることが多くなります。予定日より前から使える早期妊娠検査薬を使った場合には、予定日とほぼ同じ時期に来た出血が、実は化学流産だったと分かることもあります。
出血の始まる日には個人差があり、予定日とほぼ同じ日に始まることもあれば、数日遅れて始まることもあります。排卵日そのものが周期ごとにずれることもあるため、予定日からの日数だけで判断するのは難しいのが実情です。陽性が出たあとに出血した場合、妊娠検査薬の陽性がいつごろ消えるのかは化学流産はいつまで陽性かで解説しています。
💡 用語解説:胎嚢(たいのう)
胎嚢は、子宮の中で赤ちゃん(胎芽)を包んでいる袋のことです。妊娠のごく初期に、経腟超音波で子宮の中に黒い丸い影として見えることで、子宮の中で妊娠が成立していると確認できます。化学流産は、この胎嚢が超音波で確認できるより前に妊娠が終わった状態を指します。胎嚢が見えたあとで妊娠が止まった場合は、化学流産ではなく、稽留流産などほかの流産として扱われます。
出血は何日続く?
化学流産の出血が何日続くかについて、はっきりした日数の目安を示したデータはありません。生理と同じくらいの日数で落ち着くことが多いと考えられますが、人によって差があります。
目安として参考になるのが、英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインです。妊娠6週未満で出血があり、痛みがない場合は、まず経過を見て、7〜10日後に尿の妊娠検査をもう一度行うことが勧められています[3]。出血そのものの日数を数えるより、出血が落ち着いたあとに検査薬が陰性になったかどうかを確かめるほうが、経過を判断する材料になります。
一方で、出血が長引く、いったん止まったのにまた増える、生理より明らかに量が多い、といった場合は、日数を数えて待つより受診を優先してください。化学流産ではなく、妊娠が続いている中での出血や、子宮外妊娠による出血である可能性もあるためです。
2. 化学流産でも出血しないことはある?
あります。化学流産は「hCGが下がって妊娠が終わったこと」で判断されるもので、出血があるかどうかは定義に含まれていません。欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)の専門家グループは、化学流産(biochemical pregnancy loss)を、超音波検査を行わないまま、血液や尿のhCGが下がっていくことで判断される妊娠の終わりと定義しています[1]。
化学流産の出血は生理予定日の前後に起こることが多いため、「少し遅れて来た生理」「いつもより軽い生理」と区別がつかず、化学流産だと気づかないまま過ぎることがよくあります。先に紹介した研究でも、臨床的に気づかれる前に終わった妊娠が、hCGで確認された妊娠の2割ほどありました[2]。「出血なし」と感じている場合でも、実際には生理程度か、それより少ない出血があって、生理と区別されていないことが多いと考えられます。
一方で、出血がごく少ないまま、hCGが下がっていくこともあります。この場合は、検査薬の陽性が日ごとに薄くなる、やがて陰性になる、少し遅れて次の生理が来る、といった形で分かります。
出血がないまま陽性が薄くなる場合
陽性だった検査薬が、日をあけて検査するたびに薄くなっていく場合は、hCGが下がっている可能性があります。ただし、検査薬の線の濃さは、尿の濃さや検査した時間帯にも左右されるため、1回ごとの比較だけで結論は出せません。朝一番の濃い尿と、水分をとったあとの薄い尿とでは、同じhCGの量でも線の見え方が変わります。
出血がなくても、陽性が薄くなり、やがて陰性になれば、化学流産として経過を見ることが多いと考えられます。反対に、日数がたっても陽性が消えない場合は、そのまま様子を見続けるのではなく、医療機関で確認することが必要です。陽性が続くときに考えるべきことを、次の項目で説明します。
出血がないのに陽性が続く・お腹が痛い場合
出血がほとんどないのに陽性が続く、あるいは下腹部の片側が痛むといったときは、化学流産ではなく子宮外妊娠(異所性妊娠)の可能性を考える必要があります。
子宮外妊娠は、受精卵が子宮の中ではなく、卵管などの子宮の外に着床した状態で、妊娠の約1〜2%に起こるとされています[4]。子宮外妊娠でもhCGは作られるので、妊娠検査薬は陽性になります。出血は少量のことも多く、化学流産や生理と見分けがつかないことがあります。
子宮外妊娠が進んで卵管が破れると、突然の強い下腹部痛や、ふらつき・失神が起こり、おなかの中の出血によって命に関わることがあります[4]。「出血が少ないから大丈夫」とは言えないのが、子宮外妊娠の怖いところです。陽性が出たあとに腹痛がある場合は、出血の量にかかわらず受診してください。
🩺 院長コラム【気づかれない化学流産はめずらしくない】
化学流産という言葉は、妊娠検査薬が身近になってから広く知られるようになりました。以前なら生理として過ぎていた妊娠の終わりが、検査薬の陽性によって「流産」として意識されるようになった、という面があります。hCGで追跡した研究を見ると、妊娠のごく早い段階での終わりが決して少なくないことが分かります。
出血が多かった、少なかった、なかったという違いだけで妊娠の経過を判断することはできません。それよりも、陽性がいつまで続くか、腹痛がないかといった、受診の判断につながるサインを確認することが重要です。
3. 化学流産の出血と生理・着床出血の違い
化学流産の出血を、生理や妊娠初期の少量の出血と見た目で見分けることはできません。それぞれの出血には一般的な傾向はありますが、重なる部分が大きく、1回の出血の様子から判断できるものではありません。
生理との違い:見た目では区別できない
化学流産の出血も生理の出血も、子宮内膜がはがれて起こる出血です。量、色、塊の有無、痛みの程度はいずれも重なり合っていて、「この色なら化学流産」「この量なら生理」という線は引けません。
両者の違いは、出血する前に妊娠検査薬が陽性になっていたかどうかです。化学流産は、hCGで妊娠が確認されていてはじめて「化学流産」と呼ばれるので[1]、検査薬を使っていなければ、医学的にも区別されないまま過ぎていきます。
陽性が出たあとに出血した場合は、それが化学流産なのか、妊娠が続いている中での出血なのかを考えることになります。ただ、これも出血の見た目からは決められません。確かめる方法は第4章で説明します。
妊娠初期の少量の出血(いわゆる着床出血)との違い
一般に「着床出血」と呼ばれる少量の出血は、化学流産の出血より量が少なく短いことが多いとされますが、時期や量だけで化学流産と区別することはできません。
着床出血は、受精卵が子宮内膜にもぐり込むときに起こる出血と説明されることがよくあります。ところが、妊娠を毎日記録した米国の研究では、臨床的に妊娠が確認された151人のうち、妊娠8週までに1日以上の出血を記録したのは9%で、出血は生理予定日のころに多く、着床の日に起きることはまれでした[5]。研究者は、着床そのものが出血を起こすという考えを支持する結果は得られなかったとしています[5]。また、出血のあった14人のうち12人は出産に至っていました[5]。
つまり、「着床出血」と呼ばれている出血の多くは、着床の瞬間に起こる出血というより、妊娠のごく早い時期に起こる少量の出血と考えるほうが実態に近いといえます。そして、その多くは妊娠が続いているときに起こっています。着床出血の一般的な特徴については、着床出血はいつ?生理との違いで解説しています。
🩸 化学流産の出血と妊娠初期の少量の出血(いわゆる着床出血)
| 項目 | 化学流産の出血 | 妊娠初期の少量の出血(いわゆる着床出血) |
|---|---|---|
| 時期 | 生理予定日の前後〜少し遅れて | 生理予定日のころが多い |
| 量 | 生理と同じくらいのことが多い | 少量のことが多いが、生理並みのこともある |
| 続く期間 | 生理と同じくらいのことが多い(決まった目安はない) | 短いことが多い(決まった目安はない) |
| その後の妊娠検査薬 | 陽性が薄くなり、やがて陰性になる | 妊娠が続いていれば陽性のまま |
| 見た目での区別 | できない | できない |
※時期・量・期間は一般的な傾向で、個人差が大きく、これだけで判断することはできません。着床と出血の関係はHarvilleらの研究[5]による。
4. 「化学流産かと思ったら継続」はある?見分け方
あります。陽性が出たあとに出血しても、妊娠が続いていることはめずらしくありません。出血したことだけで「妊娠が終わった」と判断することはできません。
そもそも妊娠初期の出血は、多くの妊娠で起こるものです。米国で妊娠初期から追跡した4,510人の研究では、27%が妊娠初期に性器出血を経験していました[6]。この研究では、1〜2日で終わる軽い出血(スポッティング)は流産と有意な関連がありませんでした。一方、大量の出血では流産のリスクが約3倍で、大量の出血に痛みを伴う場合にリスクが最も高くなっていました[6]。
ただし、これは多くの人をまとめた集団のデータです。軽い出血だから必ず妊娠が続く、大量の出血だから必ず流産する、ということではありません。出血の様子は判断の手がかりの1つにとどまり、最終的には検査で確かめることになります。
出血しても妊娠が続いているケース
陽性のあとの出血で妊娠が続いているときには、主に次のような原因が考えられます。
妊娠初期の少量の出血(いわゆる着床出血):前の章で紹介したとおり、生理予定日ごろの少量の出血で、出血があった人の多くは出産に至っています[5]。量が生理並みだったのに妊娠していたという例もあり、生理並みの出血でも妊娠が続いていた例で紹介しています。
絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ):絨毛膜下血腫は、赤ちゃんを包む膜(絨毛膜)と子宮の壁のあいだに血液がたまった状態で、妊娠初期の出血の原因の1つです。多くは妊娠が続きますが、複数の研究をまとめた解析では、流産などのリスクの上昇との関連が報告されています[7]。超音波検査で見つかることが多く、出血がなくても偶然見つかることもあります。
切迫流産(せっぱくりゅうざん):出血や下腹部の痛みがあっても、赤ちゃんが子宮の中で育っている状態を切迫流産といいます。名前に「流産」とつきますが、流産したという意味ではなく、流産の可能性がある状態を指す言葉です。
腟や子宮の入り口からの出血:腟や子宮頸部(子宮の入り口)の炎症、子宮頸管のポリープなど、子宮の外側に近い場所からの出血もあります[8]。この場合、妊娠そのものとは別の場所から出血しているので、妊娠の経過とは関係がないことも少なくありません。
🩺 院長コラム【「出血=終わり」と決めつけない】
陽性のあとに出血しても、出血したことだけで妊娠が終わったとは判断できません。出血の有無と、妊娠が続いているかどうかは、別々に確かめる必要があります。ここまで見てきたように、妊娠初期の出血は多くの妊娠で起こり、その後も妊娠が続く例があります。
出血の見た目や量だけで判断せず、hCGの推移と超音波所見を確認することが、より確かな判断材料になります。結果が確定するまでの間は、強い腹痛や大量の出血など、緊急受診につながる症状がないかを確認することが重要です。
自宅でわかること・わからないこと
自宅で妊娠検査薬や基礎体温を見ても、妊娠が続いているかどうかは確定できません。参考にはなりますが、判断は医療機関での検査で行います。
市販の妊娠検査薬は、尿の中のhCGが一定の量を超えたかどうかを判定するもので、hCGの量そのものを測る道具ではありません。線の濃さは、尿の濃さ、検査した時間帯、製品の感度によって変わるため、「濃くなった」「薄くなった」という印象は目安にとどまります。線の濃さの読み方は、妊娠検査薬のラインの濃さの記事で詳しく扱っています。
基礎体温も、妊娠が続いていれば高温期が続き、妊娠が終わると下がっていくことが多いとされます。ただ、睡眠時間や測る時刻などの条件で上下しやすく、1日ごとの値で判断するのは難しい指標です。化学流産のときの基礎体温の変化は、化学流産したときの基礎体温にまとめています。
確かめる方法:血中hCGの推移と超音波
妊娠が続いているかどうかは、血液中のhCGを48時間ほどあけて2回測り、増え方をみる方法と、経腟超音波で妊娠の場所を確認する方法を組み合わせて判断します。hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、妊娠が順調に育っていれば、妊娠初期には日ごとに増えていくホルモンです。
NICEのガイドラインでは、超音波で妊娠の場所が分からない場合、血液中のhCGをできるだけ48時間の間隔をあけて2回測ることが勧められています[3]。48時間で63%を超えて上がっていれば、子宮の中で妊娠が育っている可能性が高いと判断されます。ただし、それだけで子宮外妊娠が否定されるわけではありません。48時間で50%を超えて下がっていれば、妊娠が続いている可能性は低いとされます[3]。1回の測定値だけでは判断できず、変化の仕方をみることが大切です。
超音波では、子宮の中に胎嚢が見えるかどうかを確認します。一般には、血液中のhCGが1,000〜2,000 mIU/mLほどになると経腟超音波で胎嚢が見えるとされていますが、3,510 mIU/mLを超えるまで見えないこともあるとされています[8]。妊娠週数でいえば5〜6週ごろに見え始めることが多いものの、排卵日のずれによって見える時期は前後します。1回の超音波で胎嚢が見えなかったことだけで、化学流産と決まるわけではありません。
💡 用語解説:hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
hCGは、受精卵のうち、のちに胎盤になる部分(絨毛)から作られるホルモンです。卵巣に働きかけて妊娠を維持するホルモンの分泌を続けさせる役割があり、妊娠検査薬は尿中のこのホルモンを検出しています。尿の検査薬は「一定量を超えたかどうか」しか分かりませんが、血液検査では量を数値で測れるため、2回の値を比べて増えているか減っているかを判断できます。
5. すぐ受診すべき出血と症状
陽性が出たあとに次のような症状があるときは、化学流産かどうかを考えるより先に、夜間や休日でも医療機関に連絡してください。
🚨 すぐに受診を考える症状
・生理の多い日よりも明らかに多い出血が続く
・我慢できないほどの強い下腹部痛、片側だけの強い痛み
・肩の先の痛み
・めまい、ふらつき、失神
・出血は少ないのに、腹痛が続いている
NICEは、子宮外妊娠を疑う症状として、腹痛や骨盤の痛み、生理が来ないこと、性器出血に加えて、肩の先の痛み、めまい、失神を挙げています[3]。肩の先の痛みは、おなかとは関係がなさそうに見えますが、子宮外妊娠で見られることのある症状として挙げられています。
子宮外妊娠は妊娠の1〜2%と多いものではありませんが[4]、妊娠初期の出血を診るときには、症状が典型的でなくても常に考えておくべき病気とされています[8]。また、大量の出血に痛みを伴う場合は、流産が進んでいる可能性も高くなります[6]。
強い症状がない場合でも、陽性が続いている、陽性のあとに出血があった、というときは、産婦人科に連絡して受診のタイミングを相談してください。受診の際は、最終月経の開始日、検査薬で陽性が出た日、出血が始まった日と量の変化、腹痛の有無と場所をメモして伝えると、医師が判断するときの助けになります。
6. 化学流産の出血のあとに知っておきたいこと
化学流産のあとは、多くの場合、特別な処置は必要ありません。出血が落ち着き、妊娠検査薬が陰性になったことを確かめて、次の生理を待ちます。NICEのガイドラインでも、妊娠6週未満で痛みのない出血に対しては、まず経過を見ることが勧められています[3]。
化学流産の原因は確定しておらず、胚の染色体異常を含む複数の要因が検討されています。子宮内膜の状態、精子側の要因なども候補として報告されていますが、すべてが分かっているわけではありません[9]。体外受精で1つの胚を移植した研究では、移植周期の8.1%が化学流産に終わっていたという報告もあり[9]、治療の方法や対象によって頻度は変わります。
染色体の数の異常は、卵子や精子ができる過程で起こるもので、妊娠に気づく前後の行動や生活が化学流産の原因になったと考える根拠はありません。染色体の数の変化がどのように起こるのかは、染色体の数的異常とはで詳しく解説しています。
化学流産を何度か繰り返している場合は、化学流産を繰り返す理由と対処法をご覧ください。化学流産を含む流産全体の分類は、流産の種類で整理しています。また、その後の妊娠が続いた場合に、赤ちゃんの染色体について調べる方法の1つとして、NIPT(新型出生前診断)などの出生前検査があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 化学流産の出血は何日続く?
何日続くかを示したはっきりした日数の目安はなく、生理と同じくらいで落ち着くことが多いと考えられますが、個人差があります。NICEのガイドラインでは、妊娠6週未満で痛みのない出血の場合、7〜10日後に尿の妊娠検査をやり直すことが勧められています。出血が長引く、量が増える、強い腹痛があるときは受診してください。
Q2. 妊娠5週で出血したら化学流産?
出血だけでは判断できません。妊娠初期の出血は多くの妊娠で起こり、1〜2日で終わる軽い出血は流産と関連がなかったという研究もあります。妊娠が続いているかどうかは、血液中のhCGの推移と超音波検査で確認します。子宮外妊娠の可能性もあるため、腹痛があるときは早めに受診してください。
Q3. 化学流産で出血しないことはある?
あります。化学流産はhCGが下がって妊娠が終わったことで判断されるもので、出血の有無は定義に含まれていません。生理と同じ時期・同じくらいの量の出血で気づかないことも多く、出血がごく少ないまま陽性が薄くなって終わることもあります。
Q4. 化学流産かと思ったら継続していたら、どうすればいい?
陽性が続いている場合は産婦人科を受診し、超音波で子宮の中に胎嚢があるかを確認します。胎嚢が見える前の時期であれば、血液中のhCGを48時間ほどあけて2回測り、増え方で判断します。出血が続く場合は絨毛膜下血腫や切迫流産などの可能性もあるため、医師の説明に沿って経過を見てください。
Q5. 化学流産と生理の出血量はどれくらい違う?
はっきりした差は分かっておらず、生理と同じくらいのことが多いと考えられます。多いと感じる人もいますが、量で化学流産と生理を見分けることはできません。違いは、出血の前に妊娠検査薬が陽性になっていたかどうかです。
Q6. ミネルバクリニックで化学流産の検査や診察はできますか?
いいえ、当院では化学流産の検査・診断・治療は行っておらず、この件についてのご予約・お問い合わせもお受けしていません。化学流産が疑われる場合や、陽性のあとに出血・腹痛がある場合は、産婦人科を受診してください。
まとめ
化学流産の出血は、生理と同じくらいの量で、生理予定日の前後か少し遅れて始まることが多く、見た目で生理や妊娠初期の少量の出血と区別することはできません。化学流産はhCGが下がって妊娠が終わることで判断されるもので[1]、出血がほとんどないまま、生理と区別されずに過ぎることもよくあります[2]。
陽性のあとに出血しても、妊娠が続いていることはめずらしくありません[5][6]。確かめるには、血液中のhCGを48時間ほどあけて2回測る方法と、経腟超音波で子宮の中の胎嚢を確認する方法を組み合わせます[3]。大量の出血、強い腹痛、肩の先の痛み、めまいや失神があるときは、子宮外妊娠の可能性も考えて、すぐに医療機関へ連絡してください。
🏥 化学流産の検査・診察をお考えの方へ
当院では、化学流産の検査・診断・治療を行っておりません。この件についてのご予約・お問い合わせはお受けしておりません。化学流産が疑われる場合や、陽性のあとに出血・腹痛がある場合は、産婦人科を専門とする医療機関へご相談ください。
この記事は化学流産の出血について正しく知っていただくための解説であり、当院での診療をご案内するものではありません。なお、流産を繰り返すなどして染色体などの遺伝学的な評価が必要と判断された場合に限り、遺伝カウンセリングが関係することがあります。
参考文献
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- [8] 妊娠初期における性器出血. MSDマニュアル プロフェッショナル版. [MSDマニュアル]
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