InstagramInstagram

43歳の妊娠率と出産のリスク|自然妊娠の確率、流産率・ダウン症の確率と自閉症・発達障害

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

43歳で妊娠を考えている方、あるいは思いがけず43歳で妊娠がわかった方が最初に知りたいのは、「どのくらいの確率で妊娠し、無事に出産までたどり着けるのか」ではないでしょうか。結論から言うと、43歳の妊娠率は30代に比べてはっきり低く、妊娠しても流産になる割合は約半数にのぼります。原因の多くは、年齢とともに卵子の染色体の分配がうまくいかなくなることにあり、同じ理由でダウン症候群などの染色体の病気の頻度も上がります。この記事では、43歳の自然妊娠と体外受精の確率、週数ごとの流産率、ダウン症候群の確率を「出生時」と「妊娠初期」に分けて示したうえで、自閉症・発達障害・知的障害を伴う一部の遺伝性疾患まで対象にできるNIPTの考え方を、臨床遺伝専門医の立場から順に解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約17分
🧬 43歳の妊娠・出産・NIPT
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤43歳の自然妊娠の確率と、体外受精の妊娠率・出産率(日本のデータ)、保険適用の年齢
  • ➤43歳の流産率と、心拍確認後の週数別の流産率の目安
  • ➤43歳のダウン症候群・18トリソミー・13トリソミーの確率(出生時と妊娠初期の違い)
  • ➤ダウン症候群だけを調べれば大丈夫なのか ― 自閉症・発達障害・知的障害を伴う一部の遺伝性疾患まで対象にできるNIPTと、父親の年齢の考え方
  • ➤43歳の初産・経産婦の出産で気をつけたい合併症

⏱️ 30秒でわかる要約

🌱 Q. 43歳の妊娠率は?

体外受精でも、日本のデータでは43歳の出産率は1回の治療あたり約4%です。自然妊娠の確率も30代より大きく下がります。体外受精の保険適用は、治療開始時に43歳未満の方に限られます。

🤔 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題です。それを伴いやすいのは、ダウン症候群よりも微小欠失症候群や単一遺伝子疾患で、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。

📊 Q. 43歳の流産率は?

体外受精で妊娠した43歳の方の流産率は約47%で、およそ2人に1人です。42歳で妊娠の半数以上が流産・死産などに終わるとする大規模研究もあります。

🧬 Q. 43歳でダウン症の赤ちゃんが生まれる確率は?

出生時ではおよそ50人に1人前後(約2%)です。妊娠初期は、その後に自然に亡くなる赤ちゃんを含むため、これより高くなります。

🧩 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?

自閉症そのものを出生前に診断する検査ではありません。当院のNIPTでは、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある一部の染色体・遺伝子疾患を対象にできます。ただし、陰性でも将来それらがないとは言えません。

ダウン症候群だけで大丈夫ですか? 当院のNIPTは、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群や単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と一緒に決められます。

📅NIPTを予約する

NIPTのプランを見る | オンラインNIPT

43歳の妊娠率は?自然妊娠と体外受精の確率

妊娠する力(妊孕性:にんようせい)は、30代前半から少しずつ下がり始め、37歳ごろからは下がり方が急になることが、米国産婦人科学会の見解でも示されています[1]。43歳はその下り坂のさらに先にあり、「妊娠できるかどうか」と同時に「妊娠を続けて出産にたどり着けるかどうか」が大きな問題になる年齢です。

43歳の自然妊娠の確率(初産・経産婦)

43歳の方が自然妊娠する確率を、1周期ごと・1年ごとに正確に測った大規模な研究は多くありません。インターネット上には「1周期あたり1〜2%」といった数字も見られますが、根拠が示されていないものがほとんどです。確かに言えるのは、後で示す体外受精の成績からもわかるように、40代前半では妊娠に至る確率も、妊娠を続けられる確率も、30代とは別の水準まで下がるということです。

「2人目・3人目なら自然に妊娠しやすいのでは」と考える経産婦の方もいます。過去に妊娠・出産できたということは、卵管や子宮などに大きな問題がなかった目安にはなります。ただし、妊娠しにくくなる主な原因である卵子の年齢による変化は、初産か経産婦かに関係なく進みます。経産婦であっても、半年ほど試して妊娠しない場合は、早めに生殖医療の専門施設に相談することをお勧めします。

43歳の体外受精の妊娠率・出産率と保険適用

日本産科婦人科学会がまとめた2022年の全国データでは、体外受精などの生殖補助医療で、43歳の方の胚移植1回あたりの妊娠率は18.2%でした。一方、採卵から始める治療1回あたりで出産に至った割合(生産率)は4.2%、妊娠した方のうち流産になった割合は47.3%です[2]。

📊 生殖補助医療の年齢別成績(日本・2022年)

年齢 胚移植あたりの妊娠率 治療あたりの生産率 妊娠あたりの流産率
40歳 31.3% 10.8% 32.6%
42歳 22.2% 5.4% 43.2%
43歳 18.2% 4.2% 47.3%
44歳 13.8% 2.6% 51.7%
45歳 9.5% 1.5% 57.1%

出典:日本産科婦人科学会「2022年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」[2]。体外受精を受けた方の数字で、自然妊娠の確率そのものではありません。

40歳から45歳までの5年間で、治療1回あたりの生産率は10.8%から1.5%へと約7分の1になります。1年の違いが結果に大きく響くのが40代前半の特徴です。

体外受精・顕微授精の保険適用には年齢の条件があり、治療開始時に女性が43歳未満であることが必要です。胚移植の回数は、治療開始時に40歳未満なら通算6回まで、40歳以上43歳未満なら通算3回までと決められています[3]。43歳の誕生日を迎える前に治療を始めるかどうかで費用の負担が大きく変わるため、検討している方は早めに確認してください。数え方の詳細は不妊治療の保険適用の条件で解説しています。

💡 用語解説:生産率(せいさんりつ)

生殖補助医療の成績でいう生産率は、治療を受けた回数のうち、赤ちゃんが生きて生まれた回数の割合です。妊娠率は「妊娠が確認できた割合」なので、流産や死産になった妊娠も含みます。40代では流産が多いため、妊娠率と生産率の差が大きくなります。

43歳で妊娠しにくく、流産しやすくなる理由

43歳で妊娠しにくくなり、妊娠しても流産しやすくなる最大の理由は、卵子の染色体の数の異常が増えることです。子宮や体力の衰えを心配する方も多いのですが、卵子提供(若い女性の卵子を使う体外受精)では40代でも成績が保たれることから、主な原因は卵子の側にあると考えられています。

卵子のもとになる細胞は、お母さんがまだ胎児のころにつくられ、減数分裂という特別な細胞分裂の途中で止まったまま、何十年も卵巣の中で待機しています。排卵の直前に分裂が再開し、46本の染色体を23本に半分にして卵子が完成します。ところが、年齢を重ねると、染色体どうしをつなぎとめるたんぱく質が弱まり、染色体がうまく分かれずに染色体不分離が起こりやすくなります。その結果、染色体が1本多い(トリソミー)、または1本少ない卵子ができる割合が増えます。

染色体の数に異常がある受精卵の多くは、着床しないか、着床しても妊娠初期に成長が止まります。これが、43歳で妊娠率が下がり、流産率が上がる理由です。一部は妊娠を続けて生まれてくることがあり、その代表が21トリソミー(ダウン症候群)です。つまり、「妊娠しにくい」「流産しやすい」「ダウン症候群の確率が上がる」は、すべて同じ仕組みから生じているのです。卵子の老化の仕組みは卵子が老化する原因で、胚の見た目と染色体の関係は胚盤胞グレードと染色体異常の関係で詳しく解説しています。

💡 用語解説:トリソミー

ヒトの染色体は2本ずつ23組(46本)あります。そのうち特定の1組だけが3本になった状態をトリソミーと呼びます。21番が3本ならダウン症候群、18番なら18トリソミー(エドワーズ症候群)、13番なら13トリソミー(パトウ症候群)です。詳しくはトリソミーとはをご覧ください。

43歳の流産率と、週数ごとの目安

43歳で妊娠した場合の流産率は、およそ2人に1人と考えてください。前の章の日本のデータでは、体外受精で妊娠した43歳の方の流産率は47.3%でした[2]。自然妊娠を含む海外の大規模研究でも、同じ傾向が示されています。

ノルウェーの約42万件の妊娠を調べた研究では、流産率は25〜29歳で約10%と最も低く、30歳を過ぎると急に上がり、45歳以上では53%に達しました[4]。デンマークの約120万件の妊娠を追った研究では、流産・子宮外妊娠・死産を合わせた胎児喪失の割合は、20〜24歳の8.9%に対して45歳以上では74.7%で、42歳ではすでに妊娠の半数以上が胎児喪失に終わっていました[5]。

心拍が確認できた後の週数別の流産率

流産の多くは妊娠12週より前の初期に起こり、赤ちゃんの心拍が確認できて週数が進むほど、流産の割合は下がります。出血や腹痛などの症状がなく、健診で心拍と正常な発育が確認された妊婦さんを追った研究では、その後の流産率は次のとおりでした[6]。

📊 心拍を確認した週数ごとのその後の流産率

心拍を確認した健診の週数 その後の流産率
妊娠6週 9.4%
妊娠7週 4.2%
妊娠8週 1.5%
妊娠9週 0.5%
妊娠10週 0.7%

出典:Tongら(Obstetrics and Gynecology, 2008)[6]。年齢を問わない症状のない妊婦さんの数字です。

この表は全年齢の妊婦さんの数字で、研究者自身も、年齢が高い方や体外受精で妊娠した方では流産の確率がこれより高いと注意を促しています[6]。40代では、心拍確認後も流産の可能性がしばらく残ると考えてください。週数が進むにつれて流産リスクが低下する傾向はありますが、43歳の方にこの表の数値をそのまま当てはめることはできません。

💡 知っておいてほしいこと:流産はお母さんのせいではありません

40代の流産の多くは、受精の時点で決まっていた赤ちゃん側の染色体の数の異常によるものです。仕事や家事、軽い運動、「体を冷やした」といったことが原因ではありません。妊娠中の過ごし方で防げたものではないことを、知っておいてください。流産と年齢の関係は流産しやすいのはどんな人?でも整理しています。

43歳で妊娠がわかったら ― 出生前検査の時期と流れ

43歳での妊娠は、待ち望んでいた妊娠であることもあれば、予定していなかった妊娠であることもあります。「43歳で妊娠してしまった」と戸惑い、喜びと不安が入り混じるのは自然なことです。どちらの場合でも、まず産婦人科で正常な妊娠であることと週数を確かめ、そのうえで赤ちゃんの染色体の状態をどう確かめるかを考えていく流れになります。

出生前検査はいつから受けられる?

当院のNIPTは通常妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。妊娠12週以降に妊娠を続けない選択をした場合は中期中絶となり、体への負担が大きくなります。また、妊娠4か月(85日)以降の流産・死産・人工妊娠中絶は、労働基準法では「出産」として扱われ、産後休業(少なくとも6週間)が必要になるため、仕事への影響を心配される方もいます。

早い時期に結果を知ることで、考える時間を持てます。ただし、週数が早いほど、血液中の赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。43歳では流産の確率も高いため、再検査を待つ間に流産してしまう可能性もあります。当院の「安心検査結果保障制度」(1回のNIPTにつき6,000円)は、再検査が必要になったのに、流産して再検査ができず結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金する制度です。早期NIPTの詳細は早期NIPTとはで解説しています。また、採血の前には超音波で赤ちゃんの心拍を確認します(理由はNIPTの前に心拍を確認する重要性)。

① 妊娠の確認産婦人科で週数と心拍を確認
▶
② 遺伝カウンセリング調べる範囲と限界を確認
▶
③ NIPT採血のみ・流産のリスクなし
▶
④ 陽性なら確定検査絨毛検査・羊水検査

迷う気持ち、「中絶したら後悔するのでは」という不安

43歳で妊娠がわかった方の中には、「産むかどうか」「もし病気がわかったらどうするか」を考え、中絶を選んだら後悔するのではと悩む方もいます。答えは一人ひとり違い、正解を外から決めることはできません。当院は中絶を勧めることも否定することもありません。臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングでは、検査でわかること・わからないことを確かめながら、ご自身の考えを整理する時間を持つことができます。40代での思いがけない妊娠については40代で妊娠してしまった時の心の支えと選択肢も参考にしてください。

43歳のダウン症の確率 ― 出生時と妊娠初期は違う

年齢ごとのダウン症候群の確率を見るときに大切なのは、「出生時の頻度」と「妊娠初期(検査を受ける時点)の頻度」を混ぜないことです。ダウン症候群の赤ちゃんの一部は妊娠の途中で自然に亡くなるため、妊娠初期の頻度は出生時より高くなります。

出生時の確率

英国の全国登録をもとにした推計では、ダウン症候群の赤ちゃんが生まれる頻度は、母体年齢40歳で1,000人あたり11.6人(約86人に1人)、45歳で1,000人あたり27.8人(約36人に1人)です[7][8]。43歳はその間にあり、計算上はおよそ50人に1人前後(約2%)になります。18トリソミーと13トリソミーも年齢とともに増えますが、出生時の頻度はダウン症候群よりずっと低くなります。

🧬 母体年齢別・出生時の頻度(1,000人あたり)

母体年齢 ダウン症候群(21トリソミー) 18トリソミー 13トリソミー
40歳 11.6(約86人に1人) 1.36(約740人に1人) 0.70(約1,430人に1人)
43歳 約20(約50人に1人前後・計算値) 40歳と45歳の間 40歳と45歳の間
45歳 27.8(約36人に1人) 4.68(約210人に1人) 1.46(約680人に1人)

出典:Morrisら(2002)、Cuckle・Morris(2021)[7][8]。43歳の値は40歳と45歳の値から求めた概算です。

妊娠初期(NIPTを受ける時期)の確率

ダウン症候群の赤ちゃんが妊娠の途中で自然に亡くなる割合は年齢とともに上がり、妊娠10週から出産までで、母体年齢35歳では約32%、45歳では約44%と報告されています[9][8]。これを出生時の頻度に当てはめると、43歳の方が妊娠10週ごろの時点では、およそ30〜35人に1人の割合でダウン症候群の赤ちゃんを妊娠していると見積もられます。18トリソミーでは妊娠12週以降に約7割、13トリソミーでは約5割が出産までに亡くなるため[8]、妊娠初期の頻度は出生時よりさらに大きく上回ります。

頻度が高い年齢では、NIPTが陽性だったときに本当に病気がある割合(陽性的中率)も高くなります。それでも陽性の場合は、絨毛検査や羊水検査による確定検査が必要です。NIPTは、可能性のある赤ちゃんを見逃さずに拾い上げるための検査で、陽性になったときに大切なのは、確定検査で本当にそうかを確かめてから考えることです。当院では、その確定検査まで院内で受けられます。年齢ごとの詳しい確率表はダウン症胎児の流産メカニズムと自然流産率に、陽性的中率の考え方はNIPTの精度・確率にまとめています。18トリソミー・13トリソミーについては18トリソミーとはと13トリソミーとはをご覧ください。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「35歳を過ぎたら産まない」と思っていたころ】

医学生のころ、母体年齢とダウン症候群の頻度を示すグラフを初めて見て、「35歳を過ぎたら産まない」と思ったことがあります。30代後半から曲線が急に立ち上がる形は、それほど強い印象を残しました。数字だけを見れば、43歳の妊娠には厳しい面が多いのは事実です。

けれども今は、40代で子どもを育てることには、気持ちの面でも経済的な面でも余裕をもって向き合えるよさがあると考えています。大切なのは、年齢を理由に一律にあきらめることでも、数字から目をそらすことでもなく、正確な数字を知ったうえで、ご自身にとって納得できる選択をすることだと考えています。

自閉症・発達障害・知的障害を伴う遺伝性疾患の一部をNIPTで調べられる ― 当院で対象となる疾患

高齢での妊娠では、ダウン症候群だけでなく、自閉症や発達障害、知的障害を心配される方も少なくありません。そうした心配をもつのは自然なことです。自閉症や発達障害の原因はさまざまで、多くはまだわかっていませんが、一部は染色体や遺伝子の変化が原因だとわかっています。当院のNIPTでは、そうした特徴を伴うことがある一部の染色体・遺伝子疾患を対象にできます。

ダウン症候群だけを調べればよいわけではない

出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんの命や発達、そしてご家族の暮らしに大きくかかわるものです。ただ、その中身は病気によって大きく異なります。

ダウン症候群は、医療や支援の進歩で平均寿命が50〜60歳まで延び[10][11]、成人して働いたり地域で暮らしたりする方も多い病気です。知的障害のあるお子さんを比べた研究では、ダウン症候群のお子さんは、自閉症や原因不明の発達の遅れのあるお子さんに比べて、行動の問題が少ないと報告されています[12]。自閉スペクトラム症を伴う割合も、出生前検査で調べるほかの病気と比べて少ないことが分かっています(ダウン症候群16%)[13]。

一方、18トリソミーや13トリソミーでは、1歳まで生きられる赤ちゃんは約1割(18トリソミー13.4%、13トリソミー11.5%)にとどまります[14]。また、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患の中には、知的障害やてんかんに加えて、自閉スペクトラム症を高い割合で伴い、継続的な医療・発達支援を必要とする疾患があります。自閉スペクトラム症を伴う割合は、レット症候群61%、コルネリア・デ・ランゲ症候群43%、アンジェルマン症候群34%、CHARGE症候群30%と報告されています[13]。ダウン症候群だけでなく、こうした病気まで調べられるかどうかは、検査を選ぶうえで大切なポイントです。

知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高いと報告されています[25]。ストレスを最も強く左右していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題、睡眠の問題でした[25]。アンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群では他人への攻撃的な行動が、コルネリア・デ・ランゲ症候群やスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群では自傷が多いことが分かっています[26]。当院のNIPTでは、スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群はすべてのプランで、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンドプランとインペリアルプランで、ウィリアムズ症候群はインペリアルプランと双子マックスプランで調べられます。ダウン症候群だけを調べればよいのか、検査を選ぶ前に考えていただきたい点です。

微小欠失症候群の中で最も多いのが22q11.2欠失症候群で、妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられます[28]。多くは親から受け継いだものではなく新しく起こる変化で、母親の年齢とは関係がありません[28]。心臓の病気、免疫の働きの低下、低カルシウム血症、口蓋裂、発達の遅れなどを伴うことがあり、自閉スペクトラム症を伴う割合も一般より高いと報告されています[13][28]。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに、22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しています[27]。一方、米国母体胎児医学会(SMFM)は、22q11.2欠失を調べる場合は検査前に十分な説明を受けて選ぶことを求めており、だからこそ検査前の遺伝カウンセリングが大切です。生まれる前に分かっていれば、出産する施設の選び方や、生まれてすぐの心臓・カルシウム・免疫の検査など、赤ちゃんを迎える準備ができます。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を調べられます(微小欠失は数の異常より陽性的中率が低めなので、陽性の場合は確定検査で確かめます)。

性染色体の数の異常は、ほかの病気とは分けて考える

クラインフェルター症候群(47,XXY)、トリプルX(47,XXX)、47,XYY、ターナー症候群(45,X)などの性染色体の数の異常は、ほかの染色体の病気とは事情が大きく異なります。知的障害を伴うことは少なく、成人の多くは自立して生活しています[15]。ただし、言葉の発達がゆっくりだったり、読み書きなど学習面に苦手さが出たりすることがあり、自閉スペクトラム症などの発達特性がみられる割合も一般より高いと報告されています(XYY 19%、XXY 11%)[15][16]。早く分かっていれば、ことばの支援や学習の支援を早めに始めることができます。詳しくはターナー症候群とは、クラインフェルター症候群とはで解説しています。

NIPTでわかる自閉症・発達障害・知的障害の原因

知的障害の遺伝的な原因で最も多いのはダウン症候群です。そのほか、出生後に原因不明の発達遅滞・知的障害・自閉スペクトラム症などがある方を染色体マイクロアレイで調べると、病的なコピー数変化が約15〜20%で検出されると報告されています[17]。これは出生後の診断検査における検出率であり、胎児一般に同じ割合で異常があるという意味ではありません。さらに、1つの遺伝子の変化で起こる単一遺伝子疾患は、1つひとつはまれです。cfDNAを用いた単一遺伝子疾患スクリーニングについては、複数のde novo優性遺伝性疾患を対象とした臨床報告があります[18][19]。ただし、これらを一般集団における出生頻度としてダウン症候群と単純比較することはできません。当院のインペリアルプランでは、最大155遺伝子のde novo変異を対象にしています(ダイヤモンドプランは56遺伝子)。

🧩 当院のNIPTで調べられる範囲(プラン別)

プラン 微小欠失・重複 単一遺伝子 自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な疾患
スタンダード 6種類7疾患 対象外 22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、プラダー・ウィリー症候群 など
プレミアム 12種類13疾患 対象外 上記に加え、ジェイコブセン症候群、9p欠失症候群 など
ダイヤモンド 12種類13疾患 56遺伝子(de novo変異) 上記に加え、レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群 など
インペリアル 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子(202疾患) 上記に加え、16p11.2欠失・重複、フェラン・マクダーミッド症候群、ピット・ホプキンス症候群 など
双子マックス 92種類+5Mbを超える構造異常 対象外 16p11.2欠失・重複、ウィリアムズ症候群 など(単胎・双胎)

染色体の数の異常は、スタンダードが13・18・21トリソミー、プレミアム・ダイヤモンドが13・18・21・15・16・22トリソミー、インペリアル・双子マックスが全常染色体(1〜22番)を対象にしています。性染色体の数の異常は、スタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアルで調べます(双子マックスは対象外)。

de novo変異を対象とする拡張cfDNAスクリーニングの臨床検証では、研究対象となった検査法について陽性的中率96.9%・感度100%・特異度99.9%と報告されています[20]。一方、微小欠失・重複は、染色体の数の異常に比べて陽性的中率が低めで、項目によって60〜70%程度です(微小欠失の陽性的中率)。

正直にお伝えしておくべき限界もあります。陽性の場合は必ず確定検査が必要です(当院では院内で実施しています)。また、陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。原因の多くはまだわかっておらず、脆弱X症候群のようにNIPTでは調べられない原因もあり、症状の重さを予測することもできません。ここに挙げた病気は、大多数のお子さんには当てはまらないものであることも、あわせて知っておいてください。もっと詳しく知りたい方は自閉症はNIPTでわかりますか?と高齢出産と自閉症の確率をご覧ください。

💡 用語解説:de novo変異(新生突然変異)

ご両親のどちらももっていない遺伝子の変化が、精子や卵子ができる過程で新しく生じ、赤ちゃんに初めて現れるものをde novo変異(新生突然変異)といいます。家族に同じ病気の人がいなくても起こるため、家族歴からは予測できないのが特徴です。

\ 陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます /

📅NIPTを予約する

インペリアルプラン | ダイヤモンドプラン

父親の年齢とde novo変異 ― 年齢に応じたプランの考え方

43歳の方のパートナーも40代以上ということは珍しくありません。お母さんの年齢は主に染色体の数の異常に影響しますが、お父さんの年齢は、de novo変異の数に影響します。

精子のもとになる細胞は、思春期から生涯にわたって分裂を繰り返し、そのたびにDNAが複製されます。複製のたびに小さな写し間違いが起こるため、年齢とともに変化が積み重なります。アイスランドの親子の全ゲノムを調べた研究では、子どもに見つかるde novo変異の大部分は父親由来で、父親の年齢が1歳上がるごとに約2個ずつ増え、約16.5年で2倍になると報告されています[21]。一方、母親の年齢が自閉症の頻度に与える影響は、小さいもののゼロではないとされています[22]。

こうした背景から、お父さんの年齢が高い場合には、染色体に加えてde novo変異を調べられるダイヤモンドプランやインペリアルプランを選ぶという考え方があります。超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんを対象にした研究では、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています(この研究の検査の感度98.5%・特異度99.3%)[23]。これはハイリスクの妊婦さんの研究で、すべての方で1.6倍になるわけではありません。どこまで調べるかは、ご夫婦の考え方によって変わります。父親の年齢とNIPTについては父親の高齢化リスクはNIPTで分かる?で詳しく解説しています。

ダイヤモンドプランでは「COATE法」(SNP法とターゲット法を組み合わせた解析法)を用います。精度のデータはCOATE法のエビデンスにまとめています。

体外受精で妊娠した場合のNIPT

43歳の妊娠では、体外受精で妊娠した方も多くいます。体外受精で妊娠した場合でも、NIPTの受け方や意味は自然妊娠と基本的に同じです。着床前検査(PGT-A)を受けて移植した胚であっても、胚の一部の細胞を調べる検査であるため、赤ちゃん本人の染色体を確定するものではありません。また、PGT-Aの多くは染色体の数を調べる検査で、微小欠失や単一遺伝子の変化は対象外です。

体外受精で妊娠した方は、心拍が確認できる時期や妊娠週数が正確にわかっていることが多く、早い時期のNIPTを計画しやすい面もあります。体外受精後のNIPTの考え方は体外受精後の染色体異常リスクと拡大NIPTで解説しています。

43歳の出産のリスク ― 初産・経産婦で気をつけたいこと

43歳の妊娠では、赤ちゃんの染色体だけでなく、お母さんの体の合併症にも注意が必要です。日本の周産期データベースを使った研究では、45歳以上の妊婦さんは30〜34歳と比べて、妊娠高血圧腎症が約1.9倍、前置胎盤が約2.2倍、緊急帝王切開が約1.8倍、早産が約1.2倍多いと報告されています[24]。40代前半でも、年齢とともにこうした合併症は増えていきます。

初産の方は、出産の経過がまだわからないぶん、分娩に時間がかかったり帝王切開になったりする可能性を想定しておくと安心です。経産婦の方は、前回が帝王切開だった場合の子宮の状態や、前回の妊娠で起きた合併症を主治医に伝えてください。いずれの場合も、血圧や血糖の管理、体重の管理が大切になります。妊娠高血圧症候群と妊娠糖尿病については、妊娠高血圧症候群とはと妊娠糖尿病とはで解説しています。当院は分娩を行っていないため、分娩施設は早めに決めておくことをお勧めします。

💡 用語解説:前置胎盤(ぜんちたいばん)

胎盤が子宮の出口(子宮口)をふさぐ位置にできている状態です。妊娠中や出産時に大量出血を起こすことがあるため、多くは帝王切開での出産になります。年齢が高いことや、帝王切開の経験があることがリスクを高めます。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

「ダウン症候群だけが心配」という方は少なくありません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[25]。こうした行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれます[25][26]。三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。

出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。「安さ」だけで選んで大丈夫でしょうか。

三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,700円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。

プラン 主に調べる範囲 数えた病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーだけを調べる検査
(仮に10万円とした場合)
13・18・21トリソミー 3 約33,333円
スタンダード
(220,000円)
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 14 約15,714円
プレミアム
(264,000円)
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 23 約11,478円
ダイヤモンド
(407,000円)
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 79 約5,152円
双子マックス
(440,000円)
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 114+α 約3,860円
インペリアル
(550,000円)
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 320+α 約1,719円

※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。

ただし、病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がれば、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、どこまで調べたいかは、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えてから選んでいただきたいと考えています。どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。

各プランの詳しい内容は、スタンダードプラン、プレミアムプラン、ダイヤモンドプラン、双子マックスプラン、インペリアルプランの各ページをご覧ください。

ミネルバクリニックでNIPTを受けるには

当院は臨床遺伝専門医が運営する遺伝診療のクリニックで、90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、検査範囲と限界をご説明します。料金には、遺伝カウンセリング、4Dエコー、性別判定が含まれています(検査結果の作成費用3,300円は別途かかります)。結果が出るまでの目安は、プランによっては3〜4週間です。陰性の場合は結果をマイページでお知らせし、陽性の場合は陽性後のカウンセリングを何度でも無料で受けられます。事前学習動画を見た方には当日割引が適用されます。料金はNIPTの費用・料金のページをご覧ください。

2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査とも院内で実施しています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます(羊水検査・絨毛検査)。陽性時の確定検査の費用は、1回のNIPTにつき8,000円の羊水検査互助会(カトレア会)で補助され、補助に上限はありません。NIPTを受ける方は全員この互助会に加入します。なお、NIPTはスクリーニング検査で、まれですが偽陰性の可能性もあります。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【43歳の妊娠で「何を調べるか」を決めるということ】

43歳の妊娠では、ダウン症候群の確率が上がることはよく知られています。けれども、出生前検査で調べられる病気はそれだけではなく、生命予後、発達特性、合併症、必要となる医療・福祉・教育的支援は、疾患ごとに大きく異なります。お父さんの年齢によって、de novo変異の影響が大きくなることもあります。

どこまで調べるかに、誰にでも当てはまる正解はありません。大切なのは、検査で何がわかり、何がわからないのかを正確に知ったうえで選ぶことだと考えています。そして陽性だったときに、結果の説明から確定検査まで責任をもって対応することが、臨床遺伝専門医が運営するクリニックの役割だと考えています。

🏥 43歳の妊娠、NIPTで調べる範囲から選びたい方へ

ダウン症候群だけでなく、18・13トリソミーや微小欠失症候群、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある一部の遺伝性疾患まで、当院のNIPTで対象にできます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 43歳で自然妊娠する確率はどれくらいですか?

43歳に限って自然妊娠の確率を正確に測った大規模な研究は多くありませんが、妊娠する力は37歳ごろから急に下がります。体外受精でも、日本のデータでは43歳の出産率は治療1回あたり約4%です。経産婦でも卵子の年齢による変化は同じように進むため、半年ほど試して妊娠しない場合は早めに生殖医療の専門施設に相談してください。

Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

ダウン症候群だけを調べれば大丈夫、とは言えません。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高く、ストレスを最も強く左右していたのは知的障害の程度よりも行動の問題でした。こうした病気は三大トリソミーだけを調べる検査ではわかりません。当院ではスタンダードプランから22q11.2欠失症候群やプラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

Q3. 43歳の流産率はどのくらいですか?

日本のデータでは、体外受精で妊娠した43歳の方の流産率は47.3%で、およそ2人に1人です。流産の多くは妊娠12週より前に起こり、心拍が確認できて週数が進むほど流産の割合は下がりますが、40代では心拍確認後も流産の可能性がしばらく残ります。

Q4. 43歳でダウン症の赤ちゃんが生まれる確率は?

出生時の頻度は、40歳で約86人に1人、45歳で約36人に1人で、43歳はその間のおよそ50人に1人前後(約2%)です。妊娠10週ごろの時点では、その後に自然に亡くなる赤ちゃんを含むため、およそ30〜35人に1人と見積もられます。

Q5. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?

自閉症そのものを出生前に診断する検査ではありません。当院のNIPTでは、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある一部の微小欠失・重複症候群や単一遺伝子疾患を対象にできます(範囲はプランによって異なります)。ただし、原因の多くはNIPTの対象外で、陰性でも将来それらがないとは言えません。

Q6. 43歳で体外受精は保険がききますか?

体外受精・顕微授精の保険適用は、治療開始時に女性が43歳未満であることが条件です。40歳以上43歳未満で治療を始めた場合、胚移植は通算3回までです。43歳の誕生日を迎えてから治療を始める場合は保険の対象外になります。

Q7. NIPTは妊娠何週から受けられますか?

当院のNIPTは通常妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。週数が早いほど判定できずに再検査になることがあるため、安心検査結果保障制度で備えることができます。

Q8. NIPTで陽性だったら、確定検査はどこで受けますか?

当院では2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査とも院内で実施しています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。確定検査の費用は、羊水検査互助会(カトレア会、1回のNIPTにつき8,000円)で補助され、補助に上限はありません。

Q9. 43歳の初産は危険ですか?

40代では妊娠高血圧腎症、前置胎盤、帝王切開、早産などが30代前半より多くなります。初産の方は分娩に時間がかかったり帝王切開になったりする可能性を想定し、血圧や血糖、体重の管理を主治医と相談しながら進めてください。分娩施設は早めに決めておくことをお勧めします。

関連記事

参考文献

  • [1] American College of Obstetricians and Gynecologists Committee on Gynecologic Practice; Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine. Female age-related fertility decline. Committee Opinion No. 589. Obstet Gynecol. 2014;123(3):719-721. [PubMed 24559617]
  • [2] 日本産科婦人科学会. 2022年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績. [日本産科婦人科学会]
  • [3] 厚生労働省. クイズ感覚で学ぼう!働く女性のための妊娠・出産(不妊治療の保険適用). [厚生労働省]
  • [4] Magnus MC, Wilcox AJ, Morken NH, Weinberg CR, Håberg SE. Role of maternal age and pregnancy history in risk of miscarriage: prospective register based study. BMJ. 2019;364:l869. [PubMed 30894356]
  • [5] Nybo Andersen AM, Wohlfahrt J, Christens P, Olsen J, Melbye M. Maternal age and fetal loss: population based register linkage study. BMJ. 2000;320(7251):1708-1712. [DOI 10.1136/bmj.320.7251.1708]
  • [6] Tong S, Kaur A, Walker SP, Bryant V, Onwude JL, Permezel M. Miscarriage risk for asymptomatic women after a normal first-trimester prenatal visit. Obstet Gynecol. 2008;111(3):710-714. [PubMed 18310375]
  • [7] Morris JK, Mutton DE, Alberman E. Revised estimates of the maternal age specific live birth prevalence of Down’s syndrome. J Med Screen. 2002;9(1):2-6. [PubMed 11943789]
  • [8] Cuckle H, Morris J. Maternal age in the epidemiology of common autosomal trisomies. Prenat Diagn. 2021;41(5):573-583. [DOI 10.1002/pd.5840]
  • [9] Savva GM, Morris JK, Mutton DE, Alberman E. Maternal age-specific fetal loss rates in Down syndrome pregnancies. Prenat Diagn. 2006;26(6):499-504. [DOI 10.1002/pd.1443]
  • [10] Glasson EJ, Sullivan SG, Hussain R, et al. The changing survival profile of people with Down’s syndrome: implications for genetic counselling. Clin Genet. 2002;62(5):390-393.
  • [11] Zhu JL, Hasle H, Correa A, et al. Survival among people with Down syndrome: a nationwide population-based study in Denmark. Genet Med. 2013;15(1):64-69.
  • [12] Eisenhower AS, Baker BL, Blacher J. Preschool children with intellectual disability: syndrome specificity, behaviour problems, and maternal well-being. J Intellect Disabil Res. 2005;49(Pt 9):657-671.
  • [13] Richards C, Jones C, Groves L, Moss J, Oliver C. Prevalence of autism spectrum disorder phenomenology in genetic disorders: a systematic review and meta-analysis. Lancet Psychiatry. 2015;2(10):909-916.
  • [14] Meyer RE, Liu G, Gilboa SM, et al. Survival of children with trisomy 13 and trisomy 18: A multi-state population-based study. Am J Med Genet A. 2016;170A(4):825-837. [DOI 10.1002/ajmg.a.37495]
  • [15] Leggett V, Jacobs P, Nation K, Scerif G, Bishop DVM. Neurocognitive outcomes of individuals with a sex chromosome trisomy: XXX, XYY, or XXY: a systematic review. Dev Med Child Neurol. 2010;52(2):119-129.
  • [16] Bishop DVM, Jacobs PA, Lachlan K, et al. Autism, language and communication in children with sex chromosome trisomies. Arch Dis Child. 2011;96(10):954-959.
  • [17] Miller DT, Adam MP, Aradhya S, et al. Consensus statement: chromosomal microarray is a first-tier clinical diagnostic test for individuals with developmental disabilities or congenital anomalies. Am J Hum Genet. 2010;86(5):749-764.
  • [18] Mohan P, et al. Ultrasound Obstet Gynecol. 2022;59(1):33-39. [DOI 10.1002/uog.23756]
  • [19] Zhang J, et al. Non-invasive prenatal sequencing for multiple Mendelian monogenic disorders using circulating cell-free fetal DNA. Nat Med. 2019;25(3):439-447. [DOI 10.1038/s41591-018-0334-x]
  • [20] Expanded noninvasive prenatal screening for dominant single-gene disorders: proof-of-concept, performance, and challenges. Am J Obstet Gynecol. 2025. [PubMed 40550458]
  • [21] Kong A, Frigge ML, Masson G, et al. Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk. Nature. 2012;488(7412):471-475.
  • [22] Sandin S, Hultman CM, Kolevzon A, et al. Advancing maternal age is associated with increasing risk for autism: a review and meta-analysis. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2012;51(5):477-486.
  • [23] Zhang J, Wu Y, Chen S, et al. Prospective prenatal cell-free DNA screening for genetic conditions of heterogenous etiologies. Nat Med. 2024;30(2):470-479. [DOI 10.1038/s41591-023-02774-x]
  • [24] Ogawa K, Urayama KY, Tanigaki S, et al. Association between very advanced maternal age and adverse pregnancy outcomes: a cross sectional Japanese study. BMC Pregnancy Childbirth. 2017;17:349. [DOI 10.1186/s12884-017-1540-0]
  • [25] Fitzgerald J, Gallagher L. Parental stress and adjustment in the context of rare genetic syndromes: A scoping review. J Intellect Disabil. 2022;26(2). [DOI 10.1177/1744629521995378]
  • [26] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [DOI 10.1111/j.1365-2788.2010.01337.x]
  • [27] Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. [DOI 10.1016/j.gim.2022.11.004]
  • [28] McDonald-McGinn DM, Sullivan KE, Marino B, et al. 22q11.2 deletion syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2015;1:15071. [DOI 10.1038/nrdp.2015.71]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。妊娠・出産や検査については、主治医・専門医にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

関連記事