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NIPT後に流産|トリソミー22と判明したときに知っておくべきこと

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

NIPT(新型出生前診断)で「22トリソミーの可能性が高い」と告げられたあとに流産した方、あるいは流産した組織の検査で22トリソミーだったと分かった方へ。最初にお伝えしたいのは、22トリソミーは受精の段階で偶然起こる染色体の数の変化で、妊娠中の過ごし方で起きたものではないということです。22トリソミーは、妊娠初期の流産で見つかることの多い染色体異常の一つで、完全型の赤ちゃんが生まれることはまれです。この記事では、22トリソミーとは何か、特徴と寿命、流産との関係、次の妊娠でまた起こる確率、そして22番まで調べられるNIPTと、調べられないNIPTの違いを、臨床遺伝専門医の立場から順に解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🧬 22トリソミー・流産・NIPT
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤22トリソミー(トリソミー22)とは何か、原因と頻度
  • ➤完全型・モザイク型それぞれの特徴と寿命
  • ➤22トリソミーを調べられるNIPTのプランと、調べられないプラン
  • ➤NIPTで陽性でも赤ちゃんは正常なことがある理由(胎盤限局性モザイク)
  • ➤22トリソミーで流産したあと、次の妊娠で再び起こる確率

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 22トリソミーとは?

22番染色体が本来の2本ではなく3本ある状態です。妊娠初期の流産で見つかることの多いトリソミーの一つで、全身の細胞が3本の「完全型」で生まれることはまれです。生まれた場合の生存期間は中央値4日と報告されています。

🔎 Q. 22トリソミーはNIPTでわかる?

13・18・21番だけを調べるNIPTでは22トリソミーは対象外です。ミネルバクリニックではプレミアム・ダイヤモンド(15・16・22番を追加)、双子マックス・インペリアル(全常染色体)で調べられ、スタンダードプランでは調べません。

🌸 Q. 次の妊娠でもまた起こる?

多くは偶然で、同じことがくり返すとは限りません。ただ、流産でトリソミーが見つかった方は、次の妊娠でトリソミーが見つかる割合が年齢から予想される値の約1.8倍だったという研究があります。次の妊娠では調べる範囲を選んでNIPTを受けることが一つの方法です。

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22トリソミー(トリソミー22)とは何か?

ヒトの染色体は、2本ずつ23組(46本)あります。22トリソミーとは、そのうち22番染色体だけが3本ある状態です。「トリソミー22」「22番染色体トリソミー」と呼ばれることもありますが、同じものを指します。

原因:卵子ができるときの偶然の「染色体不分離」

22トリソミーの多くは、卵子ができるときの細胞分裂で22番染色体がうまく分かれず、1本多いまま受精すること(染色体不分離)で起こります。これは受精の時点ですでに決まっていることで、妊娠中の仕事や運動、ストレス、食事で起こるものではありません。7,118例の流産組織を調べた研究では、22トリソミーは13・15・18・21番のトリソミーと同じく、お母さんの年齢が上がるほど多くなるグループに入っていました[2]。

頻度:流産で見つかることの多いトリソミー

確認された妊娠のおよそ15%は流産に終わると見積もられており[1]、初期流産の組織を調べると約67%に染色体異常が見つかります[2]。その中で、22トリソミーは流産で見つかることの多いトリソミーの一つとされています[3]。一方で、生まれてくる赤ちゃんで見つかることは非常にまれです。つまり、22トリソミーの妊娠の多くは、妊娠初期のうちに流産という形で終わります。

💡 用語解説:22トリソミーと22q11.2欠失症候群は別のもの

「22番染色体の異常」でよく知られているのが、22番染色体のごく一部が欠ける22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)です。これは染色体が1本多い22トリソミーとは別の状態で、生まれてくる赤ちゃんで比較的多くみられます。22q11.2欠失症候群については2人目もディジョージ症候群?再発率とNIPTで、22番染色体の異常全体は22番染色体異常とは?で解説しています。

22トリソミーの特徴と寿命:完全型とモザイク型

22トリソミーには、全身のすべての細胞で22番染色体が3本ある「完全型」と、3本の細胞と2本の細胞が混ざっている「モザイク型」があります。どちらの型かで、見通しは大きく変わります。

完全型の特徴と寿命

完全型の22トリソミーで生まれることはまれで、報告されている特徴には、お腹の中での発育の遅れ(胎児発育不全)、小頭症、耳や顔つきの特徴、口唇口蓋裂、心臓の病気、腎臓や外性器の異常、鎖肛などがあります[3][4]。

寿命については、報告をまとめた文献で生存期間は数分から数年と幅があり、中央値は4日、生後2週間を超えることはまれとされています。最も長い報告は3歳近くまでで、長く生存した例では心臓の病気がないことが多かったと記されています[3]。

モザイク型の特徴

モザイク型は、3本ある細胞の割合や、どの臓器にその細胞があるかで症状が変わります。報告されている特徴には、成長の遅れ、発達の遅れ、体の左右差(片側の萎縮)、皮膚の色むら(線状の色素の変化)、まぶたが下がる、難聴、指がくっつく、心臓の病気などがあります[5]。ただし、これらは症状があって受診した子どもの報告が中心で、症状が軽い人は見つかりにくいため、実際より重く見積もられている可能性があります。

🧬 22トリソミーの型と見通し

型 どんな状態か 見通し
完全型 全身の細胞で22番が3本 多くは妊娠初期に流産。生まれた場合の生存期間は中央値4日[3]
モザイク型 3本の細胞と2本の細胞が混在 症状の幅が大きい。成長・発達の遅れ、体の左右差、皮膚の色むらなど[5]
胎盤限局性モザイク(CPM) 胎盤だけに3本の細胞があり、赤ちゃん本人は正常 赤ちゃんは正常に育つことが多いが、胎盤の働きが落ちて発育が遅れることがある

17〜22番のほかのトリソミー(18・19・20番など)との比較は19トリソミー・22番染色体トリソミーとは?【全染色体ガイドVol.3】で解説しています。

NIPT(新型出生前診断)とは?22トリソミーはどのプランでわかるか

NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAの断片を調べ、決められた染色体の変化があるかどうかを推定するスクリーニング検査です。採血だけで行えるため、検査そのものが流産を起こすことはありません。ただし、「陰性」が意味するのは、そのNIPTが対象にしている異常について可能性が低いということだけで、対象外の染色体については何も言えません。

13・18・21番だけのNIPTでは22トリソミーは調べられない

NIPTの多くは、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)を基本の項目にしています。三大トリソミーは出生前検査で広く調べられている基本の項目ですが、22トリソミーはこの3つに入っていません。22トリソミーを調べたい場合は、22番を対象に含むプランを選ぶ必要があります。全染色体を対象にしたNIPTのデータをまとめた総説でも、13・18・21番以外の「まれな常染色体トリソミー」の中で、22番は16番・7番などと並んで多く見つかると報告されています[6]。

🔎 ミネルバクリニックのNIPTで22トリソミーを調べられるか

プラン 22トリソミー 調べる染色体の数の変化 そのほかの対象 料金
スタンダード 調べない 13・18・21番+性染色体 微小欠失6種類7疾患(22q11.2欠失症候群を含む)/単胎・双胎 220,000円
プレミアム 調べる 13・18・21・15・16・22番+性染色体 微小欠失12種類13疾患/単胎のみ 264,000円
ダイヤモンド 調べる プレミアムと同じ プレミアムの範囲+単一遺伝子56遺伝子/単胎のみ 407,000円
双子マックス 調べる 全常染色体 微小欠失・重複92種類+5Mbを超える構造異常/単胎・双胎 440,000円
インペリアル 調べる 全常染色体+性染色体 微小欠失・重複92種類+5Mbを超える構造異常+単一遺伝子 最大155遺伝子(202疾患)/単胎のみ 550,000円

料金は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の金額(税込)です。このほかに検査結果の作成費用3,300円と、全員加入の互助会(カトレア会8,000円・安心検査結果保障制度6,000円)がかかります。

前回の妊娠が22トリソミーだった方が、次の妊娠で22番を含めて調べたい場合は、プレミアム・ダイヤモンド・双子マックス・インペリアルの4つのプランが選択肢になります。さらに、16番や7番など22番以外のまれなトリソミーも含めて調べたい場合は、全常染色体を対象にした双子マックス・インペリアルが対象です。

NIPT後に流産が起こることはある?

NIPTは採血だけの検査なので、NIPTを受けたことが原因で流産することはありません。NIPTのあとに流産した場合は、もともと赤ちゃん側にあった染色体の変化や、お母さん側の要因によるものと考えます。22トリソミーとの関係では、次の2つの場合があります。

NIPTで22トリソミー陽性と出たあとに流産した場合

22トリソミーを対象にしたNIPTで陽性となり、その後に心拍が止まった場合、赤ちゃん本人が完全型の22トリソミーで、それが流産の原因だった可能性が考えられます。NIPTで先に分かっていたことで、「なぜ流産したのか」の説明がつくことになります。流産した組織の染色体検査ができれば、22トリソミーだったかを確かめられます。

13・18・21番だけのNIPTで陰性だったのに流産し、組織の検査で22トリソミーと分かった場合

この場合は検査の誤りではありません。22番は、もともとそのNIPTの対象に入っていなかったためです。「陰性だったのに」と自分や検査を責める必要はありません。NIPTが陰性だったのに流産した場合の原因の全体像(三倍体・胎盤限局性モザイク・お母さん側の要因など)と流産率の目安は、NIPT陰性だったのに流産したのはなぜ?原因・流産率と次の妊娠のための検査でまとめています。

NIPTで22トリソミー陽性でも、赤ちゃんは正常なことがある

NIPTで調べているDNAの多くは、赤ちゃん本人ではなく胎盤から血液中に流れ出たものです。22トリソミーのような「まれなトリソミー」では、異常な細胞が胎盤だけにあり、赤ちゃん本人の染色体は正常という胎盤限局性モザイク(CPM)が少なくありません[6]。この場合、赤ちゃんは正常に育つことが多い一方、胎盤の働きが落ちて発育が遅れることがあり、妊娠経過を注意して見ていく必要があります。

絨毛検査は胎盤の組織を調べるため、CPMをそのまま拾ってしまうことがあります。そのため、まれなトリソミーでNIPTが陽性のときは、羊水検査で赤ちゃん本人の染色体を確かめることが勧められています[6]。実際の経過はトリソミー22のNIPT陽性から羊水検査陰性へ:限局性胎盤モザイクの事例で紹介しています。

💡 用語解説:胎盤限局性モザイク(たいばんげんきょくせいモザイク)

モザイクとは、同じ体の中に染色体の数が違う細胞が混ざっている状態です。胎盤限局性モザイクは、その「違う細胞」が胎盤だけにあり、赤ちゃん本人にはない状態をいいます。NIPTは胎盤由来のDNAを多く見ているため、NIPTの結果と赤ちゃんの実際の染色体が一致しない原因になります。

22トリソミーで流産したあと、次の妊娠で再び起こる確率

22トリソミーの多くは卵子ができるときの偶然の誤りで起こり、ご両親の染色体に原因があるわけではありません。次の妊娠で同じことがくり返すとは限らず、多くの方が次の妊娠で出産に至っています。

一方で、北米のデータを調べた研究では、流産の組織でトリソミーが見つかった女性が次の妊娠で出生前検査を受けたとき、生まれてくることのできるトリソミー(21番など)が見つかる割合は、同じ年齢の女性から予想される値の約1.8倍でした[7]。また、トリソミーの妊娠を経験した女性では、次の妊娠で前回とは別の染色体のトリソミーが起こる割合も高くなっていました[7]。同じ年齢の人の中にも、染色体不分離が起こりやすい人がいる可能性を示す結果と考えられています。

「1.8倍」と聞くと大きく感じますが、もとになる年齢ごとの確率に掛け合わせた値なので、多くの方では次の妊娠でトリソミーが起こらない可能性のほうがずっと高いことに変わりはありません。そのうえで、次の妊娠では22番に限らず、ほかのトリソミーも含めて調べるかどうかを考えておくと安心につながります。

① 流産組織の染色体検査ができるか確認
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② 22トリソミーと判明偶然の数の変化で説明がつく
▶
③ 2回以上なら不育症・夫婦の染色体検査も検討
▶
④ 次の妊娠調べる範囲を選んでNIPT

流産した組織の染色体検査は、日本では2022年4月から2回目以降の流産で保険適用になっています(Gバンド法)[8][9]。流産が2回以上続いた場合は、偶然だけでは説明しにくくなるため、不育症として抗リン脂質抗体・甲状腺・子宮の形・夫婦の染色体などを調べる段階に入ります[10]。詳しくはNIPT陰性後の流産と不育症の検査をご覧ください。

流産後の心と体のケア

流産を経験したあとは、体にも心にも大きな負担が残ります。体の症状が落ち着いても、喪失感や「何か自分にできたことがあったのでは」という思いは、時間をかけて少しずつ整理していくものです。無理に元気になろうとせず、ご自身のペースで過ごしてください。

まずは体の回復を優先しましょう。出血や腹痛が続く、発熱があるといった場合は、早めに流産の処置を受けた医療機関を受診してください。ホルモンの変化で、気分の落ち込みや眠れなさが出ることもあります。

心のケアでは、パートナーや家族、信頼できる人に気持ちを話すことが支えになります。22トリソミーによる流産は受精の段階で決まっていたことで、誰のせいでもありません。気持ちがつらい状態が続くときは、かかりつけの医師に相談し、必要に応じて心の専門家の支援も受けてください。次の妊娠を考える時期については流産後の妊娠について知っておきたいポイントで解説しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「なぜ」に答えがあることの意味】

流産のあと、多くの方が最初に抱くのは「なぜ」という問いだと思います。22トリソミーと分かることは、つらい知らせであると同時に、その問いに医学的な答えが出たということでもあります。卵子ができるときの偶然の誤りで起きたことであり、妊娠中の過ごし方で防げたものではありません。この事実を、ご自身を責める気持ちから離れるための手がかりにしていただきたいと考えています。

そのうえで臨床遺伝専門医として大切だと考えているのは、次の妊娠で「何を調べ、何を調べないか」をご自身で選べるようにすることです。三大トリソミーだけを調べるのか、22番を含めるのか、全常染色体まで広げるのか。検査の範囲と限界を知ったうえで選ぶことが、納得できる次の一歩につながると考えています。

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ミネルバクリニックでできるサポート

ミネルバクリニックは、常駐する臨床遺伝専門医が運営するクリニックです。次の妊娠でNIPTを受ける場合の流れは、次のとおりです。

🏥 ミネルバクリニックのNIPTの流れ

項目 内容
受けられる時期 妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます)
受診時 90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、超音波で赤ちゃんの心拍と発育を確認してから採血
結果までの目安 基本は10〜14日。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)
陽性のとき 陽性のカウンセリングは何度でも無料。羊水検査・絨毛検査も院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます
互助会(全員加入) カトレア会(8,000円)で羊水検査の費用を補助。安心検査結果保障制度(6,000円)は、流産で再検査ができず結果が出ない場合に備える互助会です

22トリソミーで流産した経験がある方にとって、気がかりなのは「陽性が出たあと、確定検査の前にまた流産してしまうのでは」という点だと思います。院内で確定検査まで行えることで、転院の手間がなく、結果を待つ時間も短くできます。遠方の方はオンラインNIPT(全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。臨床遺伝専門医が行うNIPTの考え方は臨床遺伝専門医による「医療としてのNIPT」への取り組みをご覧ください。

まとめ:22トリソミーによる流産と向き合うために

22トリソミーは、22番染色体が3本ある状態で、流産で見つかることの多い染色体異常の一つです。完全型で生まれることはまれで、多くは妊娠初期に流産という形で終わります。原因は受精の段階での偶然の誤りで、お母さんの行動で防げたものではありません。

次の妊娠でまた起こるとは限りませんが、トリソミーの妊娠を経験した方では、次の妊娠でトリソミーが見つかる割合がやや高いという研究もあります。13・18・21番だけのNIPTでは22トリソミーは調べられないことを知ったうえで、調べる範囲を選んでください。一人で抱え込まず、主治医や臨床遺伝専門医に相談しながら、次の一歩を考えていきましょう。

🏥 次の妊娠のNIPTを考えている方へ

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が常駐し、プランごとに調べる範囲を説明したうえで検査を行います。陽性なら確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 22トリソミーとは何ですか?

22番染色体が本来の2本ではなく3本ある状態です。多くは卵子ができるときの細胞分裂で染色体がうまく分かれないこと(染色体不分離)で偶然起こり、お母さんの年齢が上がるほど多くなります。妊娠初期の流産で見つかることの多いトリソミーの一つで、完全型で生まれることはまれです。

Q2. 22トリソミーはNIPTでわかりますか?

13・18・21番だけを調べるNIPTでは、22トリソミーは対象外です。ミネルバクリニックでは、プレミアムプランとダイヤモンドプラン(13・18・21番に15・16・22番を追加)、双子マックスプランとインペリアルプラン(全常染色体)で22トリソミーを調べられます。スタンダードプランでは調べません。

Q3. 22トリソミーの寿命はどのくらいですか?

完全型の22トリソミーで生まれた赤ちゃんの生存期間は、報告をまとめた文献で数分から数年と幅があり、中央値は4日、生後2週間を超えることはまれとされています。最も長い報告は3歳近くまでです。モザイク型は3本ある細胞の割合などで見通しが大きく変わり、成人まで成長する人もいます。

Q4. 22トリソミーの特徴は何ですか?

完全型では、お腹の中での発育の遅れ、小頭症、耳や顔つきの特徴、口唇口蓋裂、心臓・腎臓の病気などが報告されています。モザイク型では、成長や発達の遅れ、体の左右差、皮膚の色むら、難聴などが報告されていますが、症状の幅が大きく、軽い人もいます。

Q5. 22トリソミーで流産しました。次の妊娠でもまた起こりますか?

多くは偶然で、同じことがくり返すとは限りません。ただ、流産でトリソミーが見つかった女性では、次の妊娠でトリソミーが見つかる割合が同じ年齢の女性から予想される値の約1.8倍だったという研究があります。次の妊娠では、22番を含めて調べるNIPTを選ぶことが一つの方法です。流産が2回以上続いた場合は不育症の検査も検討してください。

Q6. NIPTで22トリソミー陽性でも、赤ちゃんが正常なことはありますか?

あります。22トリソミーでは、異常な細胞が胎盤だけにあり赤ちゃん本人は正常という胎盤限局性モザイク(CPM)が少なくありません。そのため、陽性のときは羊水検査で赤ちゃん本人の染色体を確かめることが勧められています。CPMでは胎盤の働きが落ちて発育が遅れることがあるため、妊娠経過を注意して見ていきます。

Q7. NIPTを受けたせいで流産することはありますか?

ありません。NIPTはお母さんの採血だけで行う検査で、赤ちゃんに針を刺すことはありません。NIPTのあとに流産した場合は、22トリソミーなど赤ちゃん側の染色体の変化や、お母さん側の要因によるものと考えます。

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参考文献

  • [1] Quenby S, Gallos ID, Dhillon-Smith RK, et al. Miscarriage matters: the epidemiological, physical, psychological, and economic costs of early pregnancy loss. Lancet. 2021;397(10285):1658-1667. [PubMed 33915094]
  • [2] Pendina AA, et al. Chromosomal Abnormalities in Miscarriages and Maternal Age: New Insights from the Study of 7118 Cases. Cells. 2025;14(1):8. [DOI 10.3390/cells14010008]
  • [3] Phung V, Singh KE, Danon S, et al. Non-mosaic trisomy 22 and congenital heart surgery using the shared decision making model: a case report. BMC Pediatr. 2023;23:122. [DOI 10.1186/s12887-023-03949-8]
  • [4] Bacino CA, Schreck R, Fischel-Ghodsian N, et al. Clinical and molecular studies in full trisomy 22: further delineation of the phenotype and review of the literature. Am J Med Genet. 1995;56(4):359-365. [PubMed]
  • [5] Crowe CA, Schwartz S, Black CJ, Jaswaney V. Mosaic trisomy 22: a case presentation and literature review of trisomy 22 phenotypes. Am J Med Genet. 1997;71(4):406-413. [PubMed]
  • [6] Lannoo L, van Straaten K, Breckpot J, et al. Rare autosomal trisomies detected by non-invasive prenatal testing: an overview of current knowledge. Eur J Hum Genet. 2022. [DOI 10.1038/s41431-022-01147-1]
  • [7] Warburton D, Dallaire L, Thangavelu M, Ross L, Levin B, Kline J. Trisomy recurrence: a reconsideration based on North American data. Am J Hum Genet. 2004;75(3):376-385. [PubMed 15248154]
  • [8] こども家庭庁. 不妊症・不育症へ向き合いやすく 保険診療の基礎知識. 2023. [こども家庭庁]
  • [9] 横浜市立大学附属市民総合医療センター. 連携NEWS「不育症について」. [横浜市立大学附属市民総合医療センター]
  • [10] ESHRE Guideline Group on RPL. ESHRE guideline: recurrent pregnancy loss: an update in 2022. Hum Reprod Open. 2023;2023(1):hoad002. [DOI 10.1093/hropen/hoad002]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。流産後の検査や次の妊娠については、主治医・専門医にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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