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2人目もディジョージ症候群?再発率とNIPT精度|22q11.2欠失症候群の検査

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

「上の子がディジョージ症候群(22q11.2欠失症候群)だった。心臓の手術や、感染症をくり返した日々を思うと、2人目の妊娠に踏み出すのが怖い」。そう感じるのは、この病気をいちばん近くで見てきたご家族だからこそです。最初にお伝えしたいのは、2人目に同じ欠失が起こる確率は、ご両親のどちらかが同じ欠失を持っているかどうかで大きく変わるということです。ご両親が持っていなければ確率は一般の方よりわずかに高い程度ですが、どちらかが持っていればお子さんごとに50%です。この記事では、再発率の根拠と親の検査、次の妊娠で使える検査(NIPT・絨毛検査・羊水検査)の選び方を、臨床遺伝専門医の立場から順に解説します。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 上の子がディジョージ症候群。2人目も同じになる確率は?

ご両親のどちらかが同じ欠失を持っていれば、お子さんごとに50%です。欠失の9割以上は親から受け継いだものではなく新しく起きたもので、その場合の確率は一般の方より「わずかに高い」程度とされています(精子や卵子のもとになる細胞だけに欠失があるケースが報告されているため、ゼロではありません)。どちらに当たるかは、ご両親の検査で確かめられます。

🌸 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。子育ての負担を大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題だと報告されています。こうした行動の問題を伴いやすいスミス・マゲニス症候群やアンジェルマン症候群、そして上のお子さんと同じ22q11.2欠失症候群は、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはスタンダードプランから、これらの病気まで調べられます。

🔬 Q. 22q11.2欠失はNIPTでわかりますか?

当院ではスタンダードを含むすべてのプランで調べられます。ただし、染色体の数の異常に比べて陽性的中率が低めなので、陽性なら絨毛検査・羊水検査で確かめることが前提です。ご両親のどちらかが欠失を持っていると分かっている場合は、NIPTではなく、最初から確定検査を検討します。

🧩 Q. 自閉症や発達障害もNIPTでわかりますか?

一部はわかります。22q11.2欠失症候群のように、自閉スペクトラム症を伴うことがある染色体の変化の一部は、当院のNIPTで妊娠中に調べられます。ただし、NIPTは自閉症そのものを診断する検査ではなく、陰性でも自閉症や発達障害がないとは言えません。

\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? 当院のNIPTは、上のお子さんと同じ22q11.2欠失症候群を含む微小欠失症候群まで、スタンダードプランから調べられます /

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この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🧬 22q11.2欠失症候群・再発率・NIPT
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤再発率:新しく起きた欠失か、親から受け継いだ欠失かで、2人目の確率がどう変わるか
  • ➤親の検査:ご両親の検査で何が分かり、次の妊娠の計画がどう変わるか
  • ➤症状の幅:同じ欠失でも、きょうだいで症状の重さが違うことがある理由
  • ➤検査の選び方:NIPT(全プランで22q11.2欠失を調べられる)と、絨毛検査・羊水検査の使い分け
  • ➤家族の支え:小児慢性特定疾病・指定難病など、使える公的制度

1. ディジョージ症候群(22q11.2欠失症候群)の再発率と遺伝学の真実

22q11.2欠失症候群は、22番染色体の長腕(q11.2という領域)の一部が欠けることで起こります。欠ける範囲は多くの方で約250万〜300万塩基対(2.5〜3Mb)で、この中には30〜40ほどの遺伝子が含まれています[2][11]。そのうちのTBX1遺伝子がなくなることが、この病気の特徴の多くに関わっていると考えられています[11]。症状や経過の全体像は22q11.2欠失症候群(DiGeorge症候群)の全体像で詳しく解説しています。このページでは、上のお子さんが22q11.2欠失症候群だったご家族が、次の妊娠をどう考えるかに絞ってお話しします。

どのくらいの頻度で起こるのかについては、調べる時期によって数字が変わります。妊娠中の赤ちゃんでは約1,000人に1人とされ[1][3]、米国アトランタの出生児の調査では約5,950人に1人でした[4]。日本の難病情報センターは4,000〜5,000人に1人としています[12]。症状の軽い方は診断されないまま過ごしていることもあるため、出生後の数字は実際より少なく見積もられている可能性があります。

💡 用語解説:新生突然変異(de novo)と常染色体顕性遺伝

新生突然変異(de novo変異)は、親から受け継いだのではなく、精子や卵子ができるときなどに新しく起きた変化のことです。常染色体顕性(優性)遺伝は、2本ある染色体のうち1本に変化があるだけで症状が出る遺伝のしかたで、変化を持つ親から子に伝わる確率はお子さんごとに50%です。22q11.2欠失症候群はこの形で遺伝します。

再発率の具体的数値:親の染色体検査が必要な理由

上のお子さんが22q11.2欠失症候群の場合、2人目の確率は大きく2つのパターンに分かれます。

  • ➤新しく起きた欠失(de novo):9割以上
    ご両親のどちらも欠失を持っていない場合です。2人目に同じ欠失が起こる確率は、一般の方より「わずかに高い」程度とされています[2]。ゼロと言えないのは、ご両親の血液の検査では欠失が見つからなくても、精子や卵子のもとになる細胞の一部だけに欠失がある「性腺モザイク(生殖細胞系列モザイク)」が報告されているためです[2][5]。ご両親の血液が正常で、きょうだい2人に同じ欠失が見つかった報告もあります[5]。この場合の確率を正確な数字で示したデータはありません。
  • ➤親から受け継いだ欠失:約1割
    ご両親のどちらかが同じ欠失を持っている場合です[2]。常染色体顕性遺伝の形をとるため、次のお子さんに伝わる確率はお子さんごとに50%です[2][12]。22q11.2欠失症候群は、同じ家族の中でも症状の現れ方が大きく違うことが知られており[2]、親御さん自身は目立った症状がなく、お子さんの診断をきっかけに初めて自分の欠失が分かることもあります。

つまり、2人目の確率が「一般の方よりわずかに高い程度」なのか「50%」なのかは、ご両親の検査をしなければ分かりません。インターネット上の「新しく起きることが多いから大丈夫」という一般論ではなく、ご自身の家族がどちらに当たるのかを確かめることが、次の妊娠の計画の出発点になります。

🧬 ご両親の検査結果と、次の妊娠の考え方

ご両親の検査結果 次のお子さんの確率 次の妊娠で考える検査
どちらも欠失なし 一般の方よりわずかに高い程度(性腺モザイクの可能性) NIPTでスクリーニング、または希望に応じて絨毛検査・羊水検査
どちらかが欠失あり お子さんごとに50% 絨毛検査・羊水検査による確定検査、または妊娠前の着床前検査
まだ調べていない どちらに当たるか分からない まずご両親の検査を検討

確率の根拠:GeneReviews「22q11.2 Deletion Syndrome」[2]。ご家族ごとの確率は、遺伝カウンセリングで家系の情報と検査結果をもとに確認します。

ご両親の検査は、どうやって受ける?

ご両親の検査では、上のお子さんで見つかった欠失を確実に見つけられる方法を選ぶことが勧められています[2]。具体的には、22q11.2の領域を狙って調べるFISH法やMLPA法、全染色体の細かな欠失・重複を調べる染色体マイクロアレイ(CMA)などがあり、上のお子さんの検査結果(欠失の大きさや位置)を見て選びます。

ご両親のどちらかが欠失を持っていると分かった場合、次の妊娠では、家族で分かっている欠失を絨毛検査・羊水検査でFISH法・MLPA法・マイクロアレイなどを使って直接調べる方法と、妊娠前の着床前検査という方法があります[2]。また、心臓の病気を伴うことがあるため、妊娠18〜22週ごろの胎児心エコーなど、超音波での詳しい確認も勧められています[2]。親が遺伝性の変化を持つ場合の選択肢は着床前診断(PGT-M)だけが選択肢ではない理由でも解説しています。

2. 合併症の多様性と予後の詳細:ライフステージごとの課題

22q11.2欠失症候群は、症状の重さが人によって大きく異なります。同じ欠失を持つきょうだいや親子でも、一方は心臓の手術が必要で、もう一方は軽い言葉の遅れだけ、ということがあります[2]。そのため、上のお子さんの経過から、次のお子さんの症状の重さを予測することはできません。ここでは、次の妊娠を考えるうえで知っておきたい要点だけをまとめます。

● 新生児期〜乳幼児期

ファロー四徴症などの心臓の病気、低カルシウム血症によるけいれん、胸腺が小さいことによる免疫の働きの低下などがみられることがあります[1][2]。

● 学童期

言葉の遅れ、口蓋裂や鼻に抜ける話し方による発音の問題、学習面の苦手さがみられることがあります。自閉スペクトラム症を伴う割合は、複数の研究をまとめた解析で約11%と報告されています[6](約20%とする総説もあります[2])。

● 思春期〜成人期

成人では約25%が統合失調症を発症すると報告されています[2]。言い換えれば、多くの方は発症しません。生まれる前やお子さんのうちに診断が分かっていれば、こうした変化に早く気づき、早めに相談先につなげることができます。

3. 低免疫状態と家族のQOL:親の葛藤と「きょうだい児」の孤独

感染症による入院が続く時期には、ご両親が交代で仕事を休み、上のお子さんや下のお子さんが寂しい思いをすることもあります。病気のお子さんのきょうだいは「きょうだい児」と呼ばれ、その気持ちへの配慮も家族の支えの一つです。次の妊娠を慎重に考えることは、上のお子さんを大切に思う気持ちと矛盾しません。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【家族全員の暮らしを考えることは、わがままではない】

上のお子さんの看病を続けながら、「もう一人ほしい」「でも、また同じだったらどうしよう」と揺れるのは、ご家族にとってごく自然なことだと考えています。上のお子さんを大切に思う気持ちと、家族全員の暮らしを守りたいという気持ちは、どちらも本物です。

臨床遺伝専門医としてお渡しできるのは、「なんとかなる」という気休めではなく、ご家族にとっての正確な確率と、それを確かめる方法です。ご両親の検査、NIPT、確定検査のどれを使い、どの順番で進めるかが分かれば、漠然とした怖さは、自分たちで選べる計画に変わります。どの選択をされても、その選択を尊重します。

22q11.2欠失症候群で使える公的な制度

22q11.2欠失症候群は国の指定難病(告示番号203)です[12]。お子さんの場合は、小児慢性特定疾病の「免疫疾患」の中に「胸腺低形成(ディ・ジョージ症候群/22q11.2欠失症候群)」として載っており、医療費の自己負担を軽くする助成の対象になります[13]。助成の内容は症状の程度や世帯の所得によって変わるため、お住まいの自治体の窓口(保健所など)で確認してください。そのほかの手当や手帳の制度も、お子さんの状態によって対象になるかどうかが変わるため、あわせて窓口で相談しておくと安心です。

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4. NIPTプランの選び方:認証施設のNIPTと、22q11.2欠失まで調べるNIPTの違い

「2人目はNIPTで早く知りたい」と考えたとき、まず確認したいのはそのNIPTが22q11.2欠失を調べる対象にしているかどうかです。日本医学会の出生前検査認証制度のもとで認証施設が行うNIPTは、21トリソミー・18トリソミー・13トリソミーを対象にしています[14]。22q11.2欠失症候群は、染色体の本数は正常で、その一部が欠けている「微小欠失」なので、この3つを対象にした検査では調べられません。

当院のNIPTでは、22q11.2欠失症候群をスタンダードを含むすべてのプランで調べられます。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに、22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しています(条件付きの推奨)[7]。22q11.2欠失の多くは親の年齢と関係なく新しく起こるためです[3]。微小欠失症候群の全体像は微小欠失症候群とは?12種類の症状と検査で解説しています。

🧬 当院のNIPTプランと22q11.2欠失症候群

プラン 22q11.2欠失 微小欠失・重複 単一遺伝子 双子
スタンダード 対象 6種類7疾患 ― 受けられる
プレミアム 対象 12種類13疾患 ― 単胎のみ
ダイヤモンド 対象 12種類13疾患 56遺伝子 単胎のみ
双子マックス 対象 92種類+5Mbを超える構造異常 ― 受けられる
インペリアル 対象 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子(202疾患) 単胎のみ

染色体の数の異常は、スタンダードが13・18・21トリソミー+性染色体、プレミアム・ダイヤモンドが13・18・21・15・16・22トリソミー+性染色体、双子マックス・インペリアルが全常染色体+性染色体です。

ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)で検査します。SNP法は、お母さん由来のDNAと赤ちゃん由来のDNAを見分けながら調べる方法です。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

COATE法の精度データはCOATE法のエビデンスで解説しています。

22q11.2欠失のNIPTの精度と、陽性のときに必要なこと

微小欠失・重複のNIPTは、染色体の数の異常に比べて陽性的中率(陽性と出た人が本当にその病気である割合)が低めで、項目によって60〜70%程度です。22q11.2欠失については、6か国21施設で約1万8千人の妊婦さんを確定検査や出生後の検査まで追った国際研究で、SNP法のNIPTが欠失のある赤ちゃん12人のうち10人(83.3%)を見つけ、陽性的中率は52.6%だったと報告されています[8]。つまり、陽性と出ても、確定検査で確かめるまでは本当に欠失があるとは言えません。陽性のときは、絨毛検査や羊水検査で確かめてから考えることが前提です。陽性的中率の考え方はNIPT 微小欠失の陽性的中率はどのくらい?で解説しています。

なお、ご両親のどちらかが欠失を持っていると分かっている場合は、次のお子さんの確率が50%になるため、スクリーニングであるNIPTではなく、最初から絨毛検査・羊水検査による確定検査を検討するのが一般的です。どちらを選ぶかは、ご両親の検査結果をもとに遺伝カウンセリングで一緒に考えます。

自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる

自閉症や発達障害、知的障害の原因はさまざまで、多くは特定できません。ただし一部は、染色体の細かな欠失・重複や、一つの遺伝子の変化が原因です。22q11.2欠失症候群も、自閉スペクトラム症を伴う割合が一般より高い病気の一つです[6]。当院のNIPTでは、22q11.2欠失症候群・アンジェルマン症候群・プラダー・ウィリー症候群(全プラン)、レット症候群・コルネリア・デ・ランゲ症候群(ダイヤモンド・インペリアル)など、自閉症や発達障害・知的障害を伴うことがある病気の一部を妊娠中に調べられます。

ただし、NIPTは自閉症そのものを診断する検査ではありません。陽性なら確定検査が必要で、陰性でも自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。脆弱X症候群のように、NIPTでは調べられない原因もあり、症状の重さを予測することもできません。詳しくは自閉症はNIPTでわかりますか?で解説しています。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんの命や発達、家族の暮らしに大きく関わります。ただ、その中身は病気によって違います。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究をまとめた報告では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群などのご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高いと報告されています[9]。ストレスを最も一貫して左右していたのは、お子さんの感情や行動の問題でした[9]。アンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群では他人への攻撃的な行動が、コルネリア・デ・ランゲ症候群やスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群では自傷が多いことも分かっています[10]。

これは、ダウン症候群の検査に意味がないということではありません。言いたいのは、ダウン症候群のほかにも、妊娠中に調べられる病気があるということです。スミス・マゲニス症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群は当院の全プラン、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンド・インペリアル、ウィリアムズ症候群はインペリアル・双子マックスで調べられます。上のお子さんが22q11.2欠失症候群だったご家族にとっては、22q11.2欠失を確実に対象に含めることが、プラン選びの最初の条件になります。

検査を「値段」だけで比べると、調べられる範囲の違いが見えにくくなります。そこで、料金を「調べられる病気の数」で割った、1つの病気あたりの金額で比べてみます。

📊 1つの病気あたりで考える

検査 料金 調べられる病気の数 1つの病気あたり
三大トリソミーのみ(仮の例) 100,000円 3 約33,333円
スタンダード 220,000円 14 約15,714円
プレミアム 264,000円 23 約11,478円
ダイヤモンド 407,000円 79 約5,152円
双子マックス 440,000円 114+α 約3,860円
インペリアル 550,000円 320+α 約1,719円

※料金は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。料金には臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリング・4Dエコー・性別判定が含まれ、検査結果の作成費用(3,300円)は別途かかります。
※病気の数は、各プランで対象にしている病気を数えたものです。性染色体の数の異常は4種類として数え、5Mbを超える構造異常は数に入れていません(「+α」)。
※三大トリソミーのみの検査は、比べるための仮の例です。当院では三大トリソミーだけを調べるプランは2026年7月に廃止しています。

ただし、調べる病気が多いほど良い検査、というわけではありません。範囲が広がれば、陽性になって確定検査を考える場面も増えます。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医が行う遺伝カウンセリングで、上のお子さんのことも含めて一緒に考えます。

5. 診断技術とミネルバの強み:院内完結の「トリプルリスクヘッジ」

次の妊娠でNIPTを受けるときに確かめておきたいのは、検査の範囲だけではありません。陽性だったときに、誰が説明し、確定検査をどこで受けられるかまで含めて選ぶことが大切です。

  • ➤費用の備え(互助会は全員加入):羊水検査互助会(カトレア会)は1回のNIPTにつき8,000円で、陽性のときの確定検査の費用を補助します(補助の上限はありません)。安心検査結果保障制度は1回のNIPTにつき6,000円で、再検査が必要になったのに再検査ができず結果が出なかった場合に、検査代金(諸費用を除く)をお返しする制度です。
  • ➤時間の備え(院内の確定検査):2025年6月から産婦人科を併設し、絨毛検査・羊水検査を院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。
  • ➤受けられる時期:NIPTは通常妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本的に10〜14日で出ます(インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけ3〜4週間)。
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「2人目が怖い」という素直な感情を否定しないで】

上のお子さんがかわいいからこそ、2人目を妊娠したときに「また同じ病気だったらどうしよう」と怖くなるのは、親としてごく自然なことです。その気持ちを「上の子に申し訳ない」と否定する必要はないと考えています。

22q11.2欠失症候群は、ご両親の検査で確率がはっきり変わり、妊娠中に調べる方法もある病気です。怖さを「なんとかなる」でやり過ごすのではなく、確率と検査の方法を正確に知ったうえで、ご家族が納得できる道を選んでいただきたいと考えています。

🛡️ 次の妊娠の検査を、正確な確率にもとづいて選ぶために

ダウン症候群だけで大丈夫か迷っている方へ。当院のNIPTは、上のお子さんと同じ22q11.2欠失症候群をスタンダードプランから調べられます。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うか、確定検査から始めるべきかを一緒に考えます。陽性の場合も、絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。

NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768 | 来院が難しい方は、Zoomでの遺伝カウンセリングと全国110か所の提携施設での採血によるオンラインNIPTもご利用いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 上の子がディジョージ症候群です。2人目も同じになる確率は?

ご両親のどちらかが同じ欠失を持っていれば、お子さんごとに50%です。欠失の9割以上は親から受け継いだものではなく新しく起きたもので、その場合の確率は一般の方より「わずかに高い」程度とされています。精子や卵子のもとになる細胞だけに欠失がある性腺モザイクの報告があるため、ゼロではありません。どちらに当たるかは、ご両親の検査で確かめられます。

Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?

大丈夫とは言えません。子育ての負担を大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題だと報告されています。こうした行動の問題を伴いやすいスミス・マゲニス症候群やアンジェルマン症候群、そして上のお子さんと同じ22q11.2欠失症候群は、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはスタンダードプランから、これらの病気まで調べられます。

Q3. ディジョージ症候群はいつわかりますか?妊娠中にわかりますか?

妊娠中に調べる方法があります。NIPTは当院では通常妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として)受けられ、22q11.2欠失をすべてのプランで調べられます。NIPTはスクリーニングなので、陽性なら絨毛検査や羊水検査で確かめます。ご両親のどちらかが欠失を持っている場合は、最初から絨毛検査・羊水検査を検討します。心臓の病気は、妊娠18〜22週ごろの胎児心エコーで詳しく確認することが勧められています。

Q4. 認証施設のNIPTでディジョージ症候群がわからないのはなぜですか?

認証施設で行うNIPTは、21トリソミー・18トリソミー・13トリソミーの3つを対象にしています。ディジョージ症候群(22q11.2欠失症候群)は、染色体の本数は正常で一部が欠けている「微小欠失」なので、この3つを対象にした検査では調べられません。当院のNIPTは、スタンダードを含むすべてのプランで22q11.2欠失を調べられます。

Q5. エコーで異常なしと言われれば、ディジョージ症候群ではないと言えますか?

そうとは言えません。22q11.2欠失症候群は症状の現れ方に大きな幅があり、心臓の病気を伴わない方もいます。免疫の働き、カルシウムの値、発達などの特徴は、超音波検査では分かりません。欠失があるかどうかを確かめるには、絨毛検査や羊水検査で赤ちゃんの染色体を調べる必要があります。

Q6. NIPTで陽性と出たら、どうなりますか?

22q11.2欠失のNIPTは陽性的中率が低めなので、陽性でも確定検査で確かめるまでは本当に欠失があるとは言えません。当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行い、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で、確定した場合に赤ちゃんに必要な医療や支えについても説明します。どの選択をされても、その選択を尊重します。

Q7. 22q11.2欠失症候群は自閉症と関係がありますか?

自閉スペクトラム症を伴う割合が一般より高いことが知られており、複数の研究をまとめた解析では約11%と報告されています。当院のNIPTでは、22q11.2欠失症候群のように自閉症や発達障害を伴うことがある病気の一部を調べられます。ただし、NIPTは自閉症そのものを診断する検査ではなく、陰性でも自閉症や発達障害がないとは言えません。

Q8. 陽性になった後の確定検査の費用はどうなりますか?

当院のNIPTを受ける方は全員、羊水検査互助会(カトレア会、1回のNIPTにつき8,000円)に加入し、陽性のときの確定検査の費用が補助されます(補助の上限はありません)。安心検査結果保障制度(6,000円)は、再検査が必要になったのに再検査ができず結果が出なかった場合に検査代金(諸費用を除く)をお返しする制度です。

Q9. ディジョージ症候群は指定難病ですか?公的な助成はありますか?

22q11.2欠失症候群は指定難病(告示番号203)です。お子さんの場合は、小児慢性特定疾病の「免疫疾患」に「胸腺低形成(ディ・ジョージ症候群/22q11.2欠失症候群)」として載っており、医療費の助成の対象になります。助成の内容は症状の程度や所得によって変わるため、お住まいの自治体の窓口(保健所など)で確認してください。

Q10. ディジョージ症候群の芸能人や有名人はいますか?

病名を公表するかどうかは本人やご家族が決めることなので、この記事では個人名は挙げません。22q11.2欠失症候群は同じ家族の中でも症状の現れ方が大きく違い、親御さん自身は目立った症状がなく、お子さんの診断をきっかけに初めて自分の欠失が分かることもあります。見た目や活躍の様子だけで、この病気があるかどうかは分かりません。

関連記事

参考文献

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  • [2] McDonald-McGinn DM, Hain HS, Emanuel BS, Zackai EH. 22q11.2 Deletion Syndrome. In: GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 1999 (last revision 2025). [NCBI Bookshelf NBK1523]
  • [3] Blagowidow N, Nowakowska B, Schindewolf E, et al. Prenatal Screening and Diagnostic Considerations for 22q11.2 Microdeletions. Genes (Basel). 2023;14(1):160. [DOI 10.3390/genes14010160]
  • [4] Botto LD, May K, Fernhoff PM, et al. A population-based study of the 22q11.2 deletion: phenotype, incidence, and contribution to major birth defects in the population. Pediatrics. 2003;112(1):101-107. [PubMed 12837874]
  • [5] Sandrin-Garcia P, Macedo C, Martelli LR, et al. Recurrent 22q11.2 deletion in a sibship suggestive of parental germline mosaicism in velocardiofacial syndrome. Clin Genet. 2002;61(5):380-383. [PubMed 12081724]
  • [6] Richards C, Jones C, Groves L, Moss J, Oliver C. Prevalence of autism spectrum disorder phenomenology in genetic disorders: a systematic review and meta-analysis. Lancet Psychiatry. 2015;2(10):909-916. [PubMed 26341300]
  • [7] Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. [PubMed 36524989]
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  • [10] Arron K, Oliver C, Moss J, Berg K, Burbidge C. The prevalence and phenomenology of self-injurious and aggressive behaviour in genetic syndromes. J Intellect Disabil Res. 2011;55(2):109-120. [PubMed 20977515]
  • [11] MedlinePlus Genetics. 22q11.2 deletion syndrome. U.S. National Library of Medicine. [MedlinePlus]
  • [12] 難病情報センター. 22q11.2欠失症候群(指定難病203). [難病情報センター]
  • [13] 小児慢性特定疾病情報センター. 胸腺低形成(ディ・ジョージ症候群/22q11.2欠失症候群). [小児慢性特定疾病情報センター]
  • [14] 日本産科婦人科学会・日本小児科学会・日本人類遺伝学会 協力. NIPT(母体血を用いた出生前遺伝学的検査)説明冊子. 2022. [出生前検査認証制度等運営委員会]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。ご家族の確率や検査の選び方は、遺伝カウンセリングで個別にご相談ください。

プロフィール

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

Google公認:仲田洋美 公式プロフィール

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。当サイトの記事は、院長が自ら執筆し、医学的な内容を確認してから公開しています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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