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NIPTがもたらす希望:難聴遺伝子検査の進化(GJB2)

新型出生前診断NIPT)の革新が、未知の疾患に対する理解を深め、ご両親に新しい選択肢を提供しています。最新の進展の中でも特に注目されるのは、NIPTが単一遺伝子疾患にも対応するようになったことです。この拡大は、我が子の健康に対する予測が一層具体的かつ個別化される可能性を示唆しています。

難聴遺伝子検査の導入は、例えばGJB2遺伝子の変異に焦点を当て、難聴のリスクを把握する手段を提供しています。この進歩により、難聴の家族歴がないご夫婦も、保因者である可能性を知り、遺伝子的なリスクに基づいた適切な対応が可能になりました。

ミネルバクリニックでの実例では、NIPTを受けたご夫婦がGJB2遺伝子の病的バリアントを保有していることが判明しました。この情報を通じて、お子さんが将来的に難聴になるリスクや保因者である可能性に対する理解が深まり、家族は十分なサポートやケアを検討することができました。

単一遺伝子疾患へのNIPTの拡大は、家族計画において未知のリスクに対処する新たな一歩と言えます。これにより、ご両親はより具体的な情報を手にし、潜在的なリスクに対して前向きに向き合うことができます。科学の進歩は、我々が未来に向けてより確かな一歩を踏み出す手助けとなっています。 NIPTの進化は、新たな希望と理解をもたらし、家族にとって未来がより明るくなることでしょう。

先天性難聴とは

先天性難聴は、生まれつきまたは生まれてから早い段階で聴覚に問題がある状態を指します。この難聴は生まれる前(妊娠中)、生まれた直後、または初期の幼児期に発現することがあります。先天性難聴は、聴覚器官や聴覚神経に異常があるか、または音の伝達や処理に問題があることが原因です。

主な原因として以下の要因が挙げられます。

遺伝的な要因
遺伝子の変異や遺伝子の組み合わせによって引き起こされることがあります。両親が保因者である場合、子供が先天性難聴となるリスクが高まります。
母体の感染症
妊娠中に母体が感染症にかかると、胎児の発育や発達に影響を与え、先天性難聴の原因となることがあります。
出生時の合併症
出産時に生じる合併症や早産などが原因で、聴覚器官や聴覚神経に損傷が生じることがあります。
遺伝子の変異
特定の遺伝子の変異が、聴覚に関する適切な発達を妨げることがあります。
薬物や化学物質の影響
妊娠中に一部の薬物や化学物質にさらされることが、胎児の聴覚に影響を与える可能性があります。

先天性難聴は程度によって異なり、軽度から深刻なものまで様々です。早期に発見し、適切な治療やサポートを提供することで、患者の聴覚と言語の発達を支援することが重要です。

先天性難聴の頻度(確率)とは

先天性難聴(先天性の難聴、先天性聴覚障害)は、生まれつきの状態で難聴が存在する状態を指します。先天性難聴の頻度は地域や人口集団によって異なりますが、一般的には比較的低い頻度で発生しています。
先天性難聴の発生頻度は、世界中でおおよそ1000人に1人の割合で報告されています。これは一般的な推定値であり、実際の頻度は地域や人口統計の違いによって変動します。

先天性難聴は早期に発見されることが重要であり、治療や支援を早期に受けることで、患者の生活の質を向上させることが期待されます。

遺伝子に問題がある難聴の頻度と原因遺伝子

遺伝子に関連する難聴はさまざまな原因が考えられ、頻度も異なります。以下は一般的な情報ですが、具体的な症例により異なる可能性があります。

1. 頻度

遺伝子に問題がある難聴は、先天性難聴の原因の一部を占めていますが、全体の割合は相対的に低いです。先天性難聴の約50%は遺伝的な要素が関与しており、その内訳のうち遺伝子に問題がある場合はその一部です。

2. 原因遺伝子

  • GJB2遺伝子: GJB2遺伝子の変異は非常に一般的な原因で、先天性難聴の中でも特に発症率が高いです。この遺伝子の変異は感音性難聴の主要な原因となります。
  • SLC26A4遺伝子: これはある種の感音性難聴、特に進行性の難聴と関連しています。この遺伝子の変異はペンドレッド症候群などの疾患も引き起こす可能性があります。
  • MITF遺伝子: これは白毛症と結びつくことがあり、難聴の原因としても関連しています。
  • OTOF遺伝子: これは遺伝性難聴として知られており、感音性難聴の原因となります。
  • CDH23遺伝子: これは先天性難聴の原因として関与することがあります。

これらは一部であり、実際には160以上のさまざまな遺伝子の変異が難聴を引き起こす可能性があります。また、環境要因も難聴に影響を与えるため、個々の症例においてはそれらの因子が組み合わさって難聴が発症することがあります。

お子さんが難聴かどうかを早くから知ることができるメリット

お子さんが難聴である可能性を早期に知ることは、様々な面でメリットがあります。以下はその主な点です。

1. 早期介入と治療の開始
早期に難聴の可能性を検知することで、適切な早期介入や治療が始まります。これにより、言語やコミュニケーションの発達において遅れを最小限に抑え、お子さんの成長にプラスの影響を与えることが期待されます。
2. 教育環境の適応
難聴の診断が早い段階で得られれば、教育環境をより効果的に適応させることが可能です。特別な学習サポートや補助技術を導入することで、お子さんの学び舎における成功の可能性が高まります。
3. 家族の精神的なサポート
早い段階で難聴の可能性を知ることは、家族にとっても重要です。これにより、適切なサポートや情報を得ることができ、家族全体が結束してお子さんをサポートできるでしょう。
4. コミュニケーションの発達
早期に難聴を把握することで、コミュニケーションのスキルを向上させるためのプログラムや訓練が開始されます。これはお子さんが他の子どもたちと同じくらいの効果的なコミュニケーションスキルを発展させるのに役立ちます。
5. 家庭環境の整備
難聴の早期発見は、家庭環境の整備にも繋がります。特に、家庭内でのコミュニケーションや聴覚環境の調整が必要な場合、これに早くから対応することができます。

NIPTによる難聴遺伝子検査の導入は、これらのメリットをより具体的かつ効果的に提供する可能性があります。お子さんの将来に対する適切な対応を検討する際に、早い段階で情報を得ることが大切です。

双方がGJB2病的バリアント保因者だと突然知ることになったご夫婦の感想

先生に呼ばれたときは、もっと重たい疾患で産めないんじゃないかと怖かったけど、赤ちゃんも保因しているだけじゃないかとわかって安心しました。
今後のこともあるし、次に妊娠しても、毎回この検査をやらないといけないな、と思いました。受けてよかったと心底思っています。

院長アイコン

ミネルバクリニックでは、NIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度、かつ、ご希望に合わせてたくさんの疾患検査を提供してくれる確かな技術力のある検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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