目次
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19トリソミーや22トリソミーは、赤ちゃんの19番・22番の染色体が1本多く、3本ある状態です。どちらも、すべての細胞で1本多い「完全型」のまま生まれてくることはまれで、多くは妊娠初期に流産となります。生まれた赤ちゃんの報告の多くは、一部の細胞だけが1本多い「モザイク型」です。この記事は全染色体検査ガイドのVol.3として、17番〜22番の染色体と性染色体(X・Y)を取り上げ、トリソミーの種類ごとの経過と、NIPTのどのプランで調べられるかを、臨床遺伝専門医が出典を示しながら解説します。
- ➤19トリソミー → 完全型で生まれた報告は見当たらず、モザイク型の報告も1981年の2例だけ
- ➤22番染色体トリソミー → トリソミーによる流産の11〜16%。完全型で生まれた30例の生存期間の中央値は3.5日
- ➤トリソミーの種類 → 13・18・21番以外のトリソミーと、17・20番のモザイク型の経過
- ➤遺伝子密度 → 19番は約26個、18番は約4.4個(100万塩基あたり)。トリソミーで生まれてくるかどうかに関係
- ➤性染色体異常 → ターナー・クラインフェルター・トリプルX・XYYの頻度と特徴
- ➤当院の検査 → 17〜22番と性染色体を、5つのプランのどれで調べられるか
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. 19トリソミーとは?赤ちゃんは生まれますか?
19番染色体が1本多く、3本ある状態です。すべての細胞が19トリソミーの「完全型」で生まれた報告は見当たりません。医学論文に残っているのは、一部の細胞だけが19トリソミーの「モザイク型」の2例(1981年。1例は死産、1例は生後13日で亡くなっています)です。
🔎 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
大丈夫とは言えません。この記事で扱う希少なトリソミーの多くは流産になりますが、生まれたあとの子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題です。それを伴いやすいのは、ダウン症候群よりも微小欠失症候群や単一遺伝子疾患で、三大トリソミーだけの検査では調べられません。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。
📋 Q. トリソミーにはどんな種類がありますか?
常染色体では、生まれてくることがあるのは主に21・18・13番の3つです。それ以外(13・18・21番以外)は、16番や22番のように流産した組織で見つかるものが大半で、生まれた例の多くはモザイク型です。性染色体では47,XXX・47,XXY・47,XYYがあり、こちらは多くが生まれてきます。
⏳ Q. 22トリソミー・17トリソミーの寿命は?
まとまった統計はありません。完全型の22トリソミーで生まれた30例をまとめた報告では、生存期間の中央値は3.5日(数時間〜最長3年)でした。モザイク型は経過の幅が広く、モザイク型22トリソミーでは19歳、モザイク型17トリソミーでは9歳の方の報告があります。
🏥 Q. 17〜22番・性染色体の異常はNIPTで調べられますか?
当院ではプランによって範囲が違います。1〜22番すべての常染色体は双子マックス・インペリアル、22番トリソミーはそれに加えてプレミアム・ダイヤモンド、18・21番は全プランで調べられます。性染色体の数の異常は、双子マックス以外の4プランが対象です。陽性のときは院内で確定検査を受けられます。
\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? /
当院のNIPTは、13・18・21番以外の染色体や、子育ての負担につながりやすい微小欠失症候群・単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と一緒に決められます。妊娠9週から受けられます(妊娠6〜8週は臨床研究)。
1. なぜ希少トリソミーは認証施設で検出できないのか?
【結論】認証施設のNIPTは、日本医学会の指針で、対象が13・18・21トリソミーの3つと決められています[1]。19トリソミーや22番染色体トリソミーなどの「希少トリソミー」(13・18・21番以外の常染色体のトリソミー)は対象に入っていないため、結果として報告されません。
指針は、その理由を「これら3つ以外の病気については、検査の正確さ(分析的妥当性や臨床的妥当性)が現時点では十分に確立されていない」と説明しています[1]。実際に、希少トリソミーは陽性になっても胎盤だけの変化であることが多く(2章で数字を示します)、結果の受け止め方が難しい検査です。一方で、希少トリソミーは流産や赤ちゃんの発育の遅れにかかわることがあり、調べておきたいと考える方がいるのも自然なことです。調べる染色体の範囲は、施設やプランによって違います。検査を申し込む前に「何番の染色体を調べるのか」を確かめてください。
トリソミーの種類一覧(13・18・21番以外も含めて)
トリソミーは、何番の染色体が3本になるかで種類が分かれ、経過が大きく違います。生まれてくることがある常染色体のトリソミーは主に21・18・13番の3つで、それ以外は流産した組織で見つかるものが大半です。この記事で扱う17〜22番と性染色体を中心に、全体を一覧にします。
📋 トリソミーの種類と、生まれてくるかどうか
| 種類 | 生まれてくるか | 詳しい解説 |
|---|---|---|
| 21トリソミー(ダウン症候群) | 生まれてくる。生まれる赤ちゃんの約700人に1人[2] | この記事の5章 |
| 18トリソミー(エドワーズ症候群) | 生まれてくる。生まれる赤ちゃんの6,000〜8,000人に1人[3] | この記事の4章 |
| 13トリソミー(パトウ症候群) | 生まれてくる。1年生存率は11.5%[4] | Vol.2 |
| 16トリソミー | 流産で最も多いトリソミー[5]。生まれた例はモザイク型 | Vol.2 |
| 22トリソミー | 流産の原因になるトリソミーで2〜3番目に多い[5][6]。完全型で生まれることはまれ | この記事の3章 |
| 17・19・20トリソミー | 生まれた赤ちゃんの報告は、ほぼモザイク型に限られる | この記事の2章・4章 |
| 1〜12番・14番・15番のトリソミー | 多くは流産。一部はモザイク型で生まれる | Vol.1・Vol.2 |
| 性染色体のトリソミー(47,XXX・47,XXY・47,XYY) | 多くが生まれてくる。47,XXXと47,XYYは約1,000人に1人、47,XXYは約650人に1人[7][8][9] | この記事の6章 |
「トリソミー」という言葉の意味や、モノソミーとの違いはトリソミーとは(医学用語の解説)で説明しています。
遺伝子密度が生存可能性を決める
なぜ21トリソミー(ダウン症候群)の赤ちゃんは生まれてくるのに、19トリソミーの赤ちゃんは生まれてこないのでしょうか。手がかりの1つが「遺伝子密度」、つまり染色体の長さあたりに遺伝子がどれだけ詰まっているかです。
🧬 染色体ごとの遺伝子密度と、トリソミーのときの経過
遺伝子密度は、それぞれの染色体の配列を解読した論文の報告値です。論文ごとに遺伝子の数え方が違うため、目安としてご覧ください。
💡 なぜ遺伝子密度が重要なのか?
染色体が1本多いと、その染色体にある遺伝子の量がすべて1.5倍になります。遺伝子がたくさん詰まっている染色体(19番など)ほど、影響を受ける遺伝子の数が多くなります。反対に、13番・18番・21番は、常染色体の中で遺伝子が少ない染色体です。18番染色体の配列を解読した論文は、遺伝子の少なさが、18番が13番・21番とともに「トリソミーでも生まれてくる3つの常染色体」の1つである理由だろうと述べています[15]。21番染色体の論文にも同じ趣旨の記述があります[13]。
2. 19トリソミーとは|世界で数例の超希少トリソミー
【結論】19トリソミーは、19番染色体が3本ある状態です。すべての細胞が19トリソミーの「完全型」で生まれた赤ちゃんの報告は、医学論文を調べた範囲では見当たりません。一部の細胞だけが19トリソミーの「モザイク型」も、生まれた例として報告されているのは1981年の2例だけです[16][17]。
19トリソミーは、流産した組織を調べた研究でもほとんど見つかりません。ドイツの研究では、染色体の異常が見つかった237例の中に19トリソミーは1例もなく、同じ論文がまとめた別の報告でも、染色体異常1,099例のうち1例だけでした[5]。1,252例を調べた中国の研究でも、19番のトリソミーは「まれ」とされています[18]。妊娠に気づく前後のごく早い時期に発育が止まるため、検査の対象になりにくいと考えられています。
📋 19トリソミーの基本情報
報告されている臨床的特徴
報告が2例しかないため、「19トリソミーの特徴」として確立したものはありません。それぞれの論文に記録されている所見は次のとおりです。
🩺 モザイク型19トリソミーの2例(1981年)
⚠️ NIPTや絨毛検査で希少トリソミーが陽性になったとき
19番だけを集めたデータはありませんが、希少トリソミー全体では、陽性でも赤ちゃん本人には染色体の変化がなく、胎盤だけの変化(胎盤限局性モザイク)であることが多いと分かっています。196,662件のNIPTを集めた研究では、希少トリソミーの陽性は634件(0.32%)で、追跡できた151例のうち羊水検査で赤ちゃん本人に確認されたのは14例(9.3%)でした[20]。一方で、同じ151例のうち27.2%は流産・胎児死亡となり、14.6%は赤ちゃんの発育の遅れや低出生体重でした[20]。胎盤だけの変化でも、胎盤の働きに影響することがあるためです。陽性のときは、羊水検査で赤ちゃん本人の染色体を確かめ、その後も超音波検査で発育を見ていくことが大切です。
3. 22番染色体トリソミーとは|流産の主要原因
【結論】22番染色体トリソミー(22トリソミー)は、流産の原因になるトリソミーの中で3番目に多く、トリソミーによる流産の11〜16%を占めます[6]。完全型で生まれることはまれで、生まれた30例をまとめた報告では、生存期間の中央値は3.5日でした[6]。モザイク型は、生まれたあとに診断された例が約25例、出生前に診断された例が18例報告されています[21]。
ドイツの研究では、流産した組織で見つかったトリソミー125例のうち、16番が25例(20%)、22番が21例(17%)、15番が19例(15%)でした[5]。流産全体でみると、22トリソミーが占める割合は3〜5%ほどとされています[21]。流産の原因が22トリソミーだったと分かるのは、流産した組織の染色体を調べた場合に限られます。
22トリソミーの臨床的特徴
完全型の22トリソミーで生まれた赤ちゃんの報告をまとめた総説では、次のような所見が挙げられています[6]。それぞれの頻度(何%にみられるか)は示されていません。
🩺 完全型22トリソミーで報告されている所見
| 部位 | 主な所見 |
|---|---|
| 頭・顔 | 小頭症など頭の形の変化、両眼の間が広い、鼻の付け根が平らで幅広い、顔の中央部が小さい、あごが小さい |
| 耳 | 耳の形の変化、耳の前の小さなくぼみや突起 |
| 口 | 口蓋裂 |
| 心臓 | 先天性心疾患 |
| おなか・腎臓 | 肛門がうまく形づくられない(鎖肛など)、腎臓の形の変化 |
| 外性器 | 外性器の形の変化 |
| 妊娠中の所見 | 赤ちゃんの発育の遅れ(胎児発育不全)、へその緒の動脈が1本 |
モザイク型では、顔や体の左右差、心臓の病気(生後に診断された例の65%)、成長の遅れ、思春期の遅れ、発達の遅れ(程度はさまざま)が報告されています[21]。羊水検査で22番のモザイクが見つかった11例の集計では、6割以上に何らかの異常がみられました[19]。
🩺 院長コラム【22トリソミーと猫の目症候群】
22番染色体に関係する病気に、猫の目症候群(キャットアイ症候群)があります。22番染色体の一部からできた小さな余分な染色体があり、その部分が4つ分になることで起こる病気で、22番染色体がまるごと1本多い22トリソミーとは別の状態です。
虹彩の一部が欠ける変化(瞳が猫の目のように見える)、肛門の形成の異常、耳の前のくぼみや突起の3つが知られていますが、3つがそろうのは71例のまとめで41%[23]、43例の調査では16%でした[24]。同じ調査では、心臓の病気が51%にみられています[24]。
22番染色体には、数が多くなる変化のほかに、一部が欠ける変化もあります。その代表が22q11.2欠失症候群で、当院ではスタンダードプランから調べられます。猫の目症候群のような小さな余分な染色体は、NIPTで分かるとは限らず、羊水検査などで染色体を直接調べて診断します。「何番の染色体か」だけでなく「どんな種類の変化か」によって、合う検査が変わると考えています。
\ 22番や全常染色体まで調べたい方へ /
22番トリソミーはプレミアム・ダイヤモンドプラン、1〜22番すべての常染色体はインペリアルプラン(双子の妊娠は双子マックスプラン)で調べられます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。
4. 17・18・20番染色体トリソミー
【結論】17番と20番のトリソミーは、生まれた赤ちゃんの報告のほとんどがモザイク型です。18番のトリソミー(エドワーズ症候群)は、ダウン症候群に次いで多い常染色体のトリソミーで、認証施設のNIPTでも対象になっています。
17番染色体(モザイク17トリソミー)
17トリソミーとは、17番染色体が3本ある状態です。完全型は流産した組織で見つかることがあり[5]、生まれた赤ちゃんの報告はモザイク型です。2006年の論文によると、それまでに報告されたモザイク型17トリソミーは23例で、生まれたあとに赤ちゃん本人の細胞でモザイクが確かめられたのは5例だけでした[25]。
羊水検査でモザイクが見つかっても、生まれたあとの血液と皮膚の細胞が正常だった17人は、全員が健康でした[25]。羊水検査のモザイクを集計した別の報告でも、17番(7例)は異常が出にくいグループに入っています[19]。羊水の細胞で見つかったモザイクが、赤ちゃんの体にはない場合が多いためです。
📋 モザイク17トリソミーの報告と寿命
18番染色体(エドワーズ症候群)
18トリソミー(エドワーズ症候群)は、ダウン症候群に次いで2番目に多い常染色体のトリソミーです。生まれる赤ちゃんの6,000〜8,000人に1人にみられ、妊娠中に診断される例を含めると2,500〜2,600人に1人です[3]。認証施設のNIPTでも対象になっています。
📋 18トリソミー(エドワーズ症候群)の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 頻度 | 生まれる赤ちゃんの6,000〜8,000人に1人[3] |
| 主な症状 | 心臓の病気(90%以上)、握った手の指が重なる[3]、揺り椅子状足底(下の用語解説) |
| 1年生存率 | 13.4%(5年生存率は12.3%)[4] |
| 詳細ページ | 18トリソミー(エドワーズ症候群)とは?原因・症状・寿命と検査 / 18トリソミーの寿命と長期生存例 |
💡 用語解説:揺り椅子状足底(ゆりいすじょうそくてい)
足の裏が、揺り椅子の底のように下に向かって丸くふくらんだ形の足のことです。「揺り椅子状の足」「ロッカーボトム足」とも呼ばれます。土踏まずがなく、かかとが後ろに突き出て見えます。医学的には「先天性垂直距骨」という、足の骨(距骨)の向きが生まれつき違う状態で、生まれる赤ちゃんのおよそ1万人に1人にみられます[26]。約半数はほかの病気や症候群を伴い、13番・15番・18番染色体の数の異常との関係が知られています[26]。残りの約半数は、ほかに病気のない赤ちゃんに起こります。足の形だけで18トリソミーと診断されるわけではありません。
20番染色体(モザイク20トリソミー)
モザイク型の20トリソミーは、羊水検査で見つかるモザイクの中では報告の多いタイプで、103例をまとめた報告があります[27]。この報告では、約90%(101例中90例)は外見上の異常がありませんでした[27]。152例を調べた別の報告でも、異常がみられたのは10例(6.5%)でした[28]。
📋 モザイク20トリソミーの特徴
5. 21番染色体(ダウン症候群)
【結論】21トリソミー(ダウン症候群)は、生まれる赤ちゃんの約700人に1人にみられる、最も多い染色体の数の変化です[2]。21番染色体は遺伝子が少ない染色体の1つで[13]、トリソミーでも多くの赤ちゃんが生まれてきます。医療の進歩により、平均寿命は約60歳まで延びています[14]。
ダウン症候群は認証施設のNIPTでも対象になっており、多くの妊婦さんがご存じの病気です。ここでは、ほかのトリソミーと比べるために要点だけをまとめます。
📋 21トリソミー(ダウン症候群)の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 頻度 | 生まれる赤ちゃんの約700人に1人(米国の全国推計では707人に1人)[2] |
| 遺伝子密度 | 100万塩基あたり約6.7個(遺伝子が少ない染色体の1つ)[13] |
| 主な特徴 | 知的障害(程度には幅があります)、先天性心疾患(40〜50%)[29] |
| 平均寿命 | 約60歳(西オーストラリアの調査で58.6歳)[14] |
| 詳細ページ | ダウン症候群の寿命・死因 / ダウン症候群の顔つき |
6. 性染色体異常|常染色体のトリソミーより命への影響が小さい理由
【結論】性染色体(X・Y染色体)が1本多いトリソミーは、常染色体のトリソミーと比べて命への影響が小さく、多くの赤ちゃんが生まれてきます。X染色体不活化というしくみで、余分なX染色体の働きが抑えられるためです。一方、X染色体が1本だけのターナー症候群(45,X)は、妊娠の約99%が出生に至らないと推定されています[30]。
性染色体の数の異常には、ターナー症候群(45,X)、クラインフェルター症候群(47,XXY)、トリプルX症候群(47,XXX)、XYY症候群(47,XYY)などがあります。認証施設のNIPTの対象は13・18・21トリソミーの3つなので[1]、これらは対象に入っていません。当院では、スタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアルの4プランで調べられます。
主な性染色体異常の比較
🩺 ターナー症候群とクラインフェルター症候群の主な特徴
47,XXX・47,XXY・47,XYYでは、知的障害を伴うことは少なく、47,XYYのIQは正常範囲、47,XXXの平均IQは85〜90と報告されています[33][7]。ただし、ことばの遅れや学習面の苦手さは多く、自閉スペクトラム症の診断も一般より多くみられます(47,XYYで19%、47,XXYで11%)[34]。診断されないまま過ごしている方も多く、47,XXXで症状をきっかけに見つかるのは約10%[7]、47,XYYでは85%以上が診断されていないと推定されています[8]。早く分かっていれば、ことばや学習の支援を早い時期から始められます。
💡 なぜ性染色体のトリソミーは命への影響が小さいのか?
女性は通常2本のX染色体をもちますが、そのうち1本は「X染色体不活化」というしくみで働きが抑えられています。X染色体が1本多くても(47,XXX、47,XXY)、余分な1本は同じように抑えられるため、影響が小さくなります。ただし、X染色体の遺伝子の約15%はこのしくみを逃れて働き続けるため[35]、身長やことばの発達などに影響が出ます。Y染色体は、もともと遺伝子の数が少ない染色体です。
🧬 各染色体異常の詳細(第17番〜第22番・性染色体)
17番から22番の染色体と性染色体について、数の異常や微小欠失・重複で起こる病気と経過を、染色体ごとに詳しく解説しています。
▶ 17番染色体異常 / ▶ 18番染色体異常 / ▶ 19番染色体異常 / ▶ 20番染色体異常 / ▶ 21番染色体異常 / ▶ 22番染色体異常 / ▶ X染色体異常 / ▶ Y染色体異常
7. ミネルバクリニックの検査体制
ミネルバクリニックのNIPTには5つのプランがあり、調べる染色体の範囲がプランごとに決まっています。17番〜22番の染色体と性染色体を、どのプランで調べられるかを表にまとめます。
🏥 17〜22番・性染色体を調べられるプラン
| プラン | 17〜22番の数の異常 | 性染色体の数の異常(4種類) | 17〜22番の微小欠失など |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 18・21番 | 対象 | 22q11.2欠失症候群(22番)、スミス・マゲニス症候群(17番)など6種類7疾患 |
| プレミアム | 18・21・22番 | 対象 | 上に加えて18p欠失・18q欠失など12種類13疾患 |
| ダイヤモンド | 18・21・22番 | 対象 | 12種類13疾患+単一遺伝子(56遺伝子) |
| 双子マックス | 17〜22番すべて(1〜22番) | 対象外 | 92種類の微小欠失・重複+5Mbを超える構造異常 |
| インペリアル | 17〜22番すべて(1〜22番) | 対象 | 92種類の微小欠失・重複+5Mbを超える構造異常+単一遺伝子(最大155遺伝子・202疾患) |
プレミアム・ダイヤモンド・インペリアルは単胎の妊娠が対象です。双子の妊娠では、スタンダードまたは双子マックスをお選びいただきます。
ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※で検査します(しくみはCOATE法とは、データはCOATE法のエビデンスで解説しています)。インペリアルプランは、低深度全ゲノムシーケンスとターゲット法を組み合わせた方式です。
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
📋 検査を受ける流れと、陽性だったときの体制
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受けられる時期 | 妊娠9週から。妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます |
| 結果が出るまで | 基本は10〜14日。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけ3〜4週間 |
| 遺伝カウンセリング | 常駐する臨床遺伝専門医が、90分の受診枠の中で遺伝カウンセリングを行います |
| 陽性だったとき | 陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料。2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で受けられます |
| 確定検査の結果 | 主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほど |
| 費用の備え | 羊水検査互助会(8,000円)で確定検査の費用を補助(上限なし)。安心検査結果保障制度(6,000円)は、再検査が必要になったのに流産して再検査ができなかったときに検査代金を返金 |
希少トリソミーは、2章で示したとおり、NIPTで陽性でも赤ちゃん本人に染色体の変化が確認されるのは約9%です[20]。陽性になったら、必ず確定検査で確かめてから考えることが前提になります。当院では、その確定検査まで院内で受けられます。NIPTの精度の考え方はNIPTの精度・的中率と限界で解説しています。
来院が難しい方は、オンラインNIPTもご利用いただけます。Zoomで臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングを受け、全国110か所の提携施設で採血します(採血料は施設ごとに別にかかります)。
🩺 院長コラム【全染色体検査の意義】
認証施設のNIPTが調べるのは、22本ある常染色体のうち13番・18番・21番の3本です。指針がこの3つに絞っているのは、それ以外の染色体では検査の正確さが十分に確立されていないという理由からで、根拠のある考え方だと受け止めています。
そのうえで、希少トリソミーは「生まれてくる赤ちゃんの病気」としてはまれでも、流産や胎盤の働きの低下にかかわることは少なくありません。22トリソミーだけでも、トリソミーによる流産の11〜16%を占めています。調べる意味があるかどうかは、ご家族が何を知りたいかによって変わります。
大切なのは、陽性になったとき、それが胎盤だけの変化なのか、赤ちゃん本人の変化なのかを確定検査で確かめる道筋が用意されていることだと考えています。調べる範囲を広げるほど、結果を正確に読み解く力が検査を行う側に求められます。
ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
19トリソミーや22トリソミーを調べている方の中には、「まずはダウン症候群だけ分かればよい」と考えていた方もいるかもしれません。けれども、出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわるものです。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと報告されています[36]。行動の問題を伴いやすい病気には、ダウン症候群ではなく、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれ[36][37]、三大トリソミーだけを調べる検査では、これらの病気は調べられません。
病気ごとの違いを数字でみると、1年生存率は18トリソミーで13.4%、13トリソミーで11.5%です[4]。ダウン症候群は平均寿命が約60歳で[14]、自閉スペクトラム症の特徴を伴う割合も16%と、レット症候群(61%)、コルネリア・デ・ランゲ症候群(43%)、アンジェルマン症候群(34%)より低いと報告されています[38]。ダウン症候群は、出生前検査で調べるほかの病気と比べると、見通しを立てやすい病気です。
この記事で扱った17番・22番の染色体にも、行動の問題にかかわる病気があります。17番染色体の一部が欠けるスミス・マゲニス症候群は、他人への攻撃的な行動や自傷が多いことが分かっており[37]、22番染色体の一部が欠ける22q11.2欠失症候群は、自閉スペクトラム症の特徴を伴う割合が11%と報告されています[38]。当院では、この2つとアンジェルマン症候群・プラダー・ウィリー症候群は全プランで、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンド・インペリアルプランで、ウィリアムズ症候群はインペリアル・双子マックスプランで調べられます。
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。「安さ」だけで選んで大丈夫でしょうか。考え方の1つとして、検査の費用を、調べられる病気の数で割ってみます。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。
当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、同じように割ると1つの病気あたりは約1,700円です。5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、実際には、この数に入らない変化も調べています。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード (220,000円) |
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム (264,000円) |
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド (407,000円) |
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス (440,000円) |
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル (550,000円) |
全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
調べる病気の数が多いほど良い検査、ということではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。希少トリソミーのように、陽性でも胎盤だけの変化であることが多い項目もあります。だからこそ、検査の前の遺伝カウンセリングでプランを選ぶことが大切です。どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。
一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因も、当院のNIPTで調べられます
発達の遅れや知的障害のあるお子さんを染色体マイクロアレイ検査で調べると、15〜20%で原因となる染色体の変化が見つかります[39]。当院のNIPTは、こうした原因の一部を妊娠中に調べられます。22q11.2欠失症候群・アンジェルマン症候群・プラダー・ウィリー症候群は全プラン、レット症候群・コルネリア・デ・ランゲ症候群・CHARGE症候群はダイヤモンド・インペリアルプラン、16p11.2欠失・重複はインペリアル・双子マックスプランが対象です。ただし、NIPTは自閉症そのものを診断する検査ではありません。陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えず、脆弱X症候群のようにNIPTで調べられない原因もあります。症状の程度も予測できません。陽性のときは確定検査が必要です。詳しくは自閉症はNIPTでわかりますか?をご覧ください。
🏥 どの染色体まで調べるかを、検査の前に決めるために
ダウン症候群だけで大丈夫ですか? 当院のNIPTは、22番を含む希少トリソミーや性染色体の数の異常、微小欠失症候群、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで、プランに応じて調べられます。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。まだ決めていない方は、料金とプランの違いからご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 19トリソミーとは何ですか?赤ちゃんは生まれますか?
Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
Q3. トリソミーにはどんな種類がありますか?13・18・21番以外にもありますか?
あります。トリソミーは1番から22番の常染色体と性染色体のどれにも起こりえます。生まれてくることがある常染色体のトリソミーは、主に21番(ダウン症候群)・18番(エドワーズ症候群)・13番(パトウ症候群)の3つです。13・18・21番以外は、16番や22番のように流産した組織で見つかるものが大半で[5]、生まれた例の多くはモザイク型です。性染色体のトリソミー(47,XXX・47,XXY・47,XYY)は、多くが生まれてきます。
Q4. 22番染色体トリソミーはどのくらいの頻度で発生しますか?寿命は?
Q5. 17トリソミーとは何ですか?寿命はどのくらいですか?
Q6. なぜ認証施設のNIPTでは19トリソミーや22トリソミーを検査できないのですか?
Q7. 遺伝子密度とトリソミーの生存可能性はどう関係していますか?
Q8. 性染色体異常はなぜ常染色体トリソミーより命への影響が小さいのですか?
Q9. モザイク型トリソミーとは何ですか?
モザイク型トリソミーは、体の一部の細胞だけが3本の染色体をもち、正常な細胞と混ざっている状態です。受精後の細胞分裂の途中で起こります。完全型(すべての細胞が3本)では生まれてこない17・19・20・22番などのトリソミーでも、モザイク型では生まれた例が報告されています。経過の幅は広く、モザイク型20トリソミーでは約90%に外見上の異常がなかったと報告されています[27]。血液や羊水の検査で分かるモザイクの割合から、症状を正確に予測することはできません。
Q10. 胎盤限局性モザイクとは何ですか?
Q11. 揺り椅子状足底(揺り椅子状の足)とは何ですか?
Q12. トリソミーと三倍体はどう違いますか?
トリソミーは、23種類ある染色体のうち1種類だけが3本ある状態で、染色体は合計47本です。三倍体は、23種類すべてが3本ずつある状態で、合計69本になります。どちらも受精の前後に偶然起こる変化ですが、別のものです。19トリソミーや22トリソミーは、19番または22番の染色体だけが3本あるトリソミーです。
Q13. 遠方ですが検査を受けられますか?
はい、オンラインNIPTをご利用いただけます。Zoomで臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを受け、全国110か所の提携施設で採血します。採血料は施設ごとに別にかかります。
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査の結果や妊娠の経過については、主治医・専門医にご相談ください。






