蛍光in situハイブリダイゼーション

蛍光in situハイブリダイゼーションとは?

東京でNIPT他の遺伝子検査を提供しているミネルバクリニックです。NIPTなどの遺伝子検査遺伝性疾患を理解するためには、基礎的なヒトゲノム染色体の構造についての理解が必要となってきます。このページでは、一般的なGバンドよりもずっと小さな領域を検出できるFISH法について説明します。NIPTでターゲットが決まると羊水検査FISH法を併用して1週間以内に結果が出ます。

特定領域を詳細に解析する高精度分染法は、1990年代初頭に蛍光insituハイブリダイゼーション(fluorescencein situ hybridization : FlSH)法に殆ど置き換わりました。
FISH法は、特定のDNA配列の有無を検出したり、染色体染色体領域の数やその構成を細胞内の元の位置(in situ) で評価する方法です。

ゲノム学と細胞遺伝学の手法を融合させたこの手法は、分子細胞遺伝molecular cytogeneticsと サイトゲノミクスcytogenomics、クロモノミクスchromonomicsなどさまざまな呼び方をされましたが、現在はほとんどFISHで統一されています。
FISH法は日常診療における染色体検査の範囲と精度を飛躍的に向上させました。
FISH技術は、全ゲノムからのDNAを含む、整列化した組換えDNAクローンのコレクションが利用できるようになったことで可能になったがこれらはもともとヒトゲノム計画の一環として作成されたものです。

FISHではよくプローブという言葉が出てきますが、プローブとは測定や実験などのために、試料に接触または挿入する針、探針 (たんしん)や、ある物質を検出するために用いる物質をさします。FISH法のプローブとは、標的遺伝子相補的な塩基配列を有する合成遺伝子のことをさします。
Fluorescence in situ hybridization法(FISH法)では、蛍光物質をつけたプローブを標的遺伝子と結合させ、蛍光顕微鏡下で可視化することで当該遺伝子を含む領域がその細胞内にあることを示す手法です。

FISH法ではプローブと蛍光標識の組み合わせによって、同一視野で複数種の遺伝子領域を検出できることが特長で、これを多重染色FISH法といいます。また、FISH法は、他の分子生物学的手法と同様に培養操作を伴わず、遺伝子の情報さえ入手できれば、必要な領域を検出することが可能という特徴があります。

個々の染色体染色体の一部、あるいは遺伝子に特異的なDNAプローブは異なる蛍光色素で標識することにより、臨床検体の特定の染色体再構成を同定したり、染色体数の異常の存在を迅速に診断したりするために用いられます。

上の図は、乳癌のHer2遺伝子の増幅をみるためのFISHです。
パラフィン包埋切片である病理組織標本を用いて、FISHをすることもできるので、乳癌の細胞の中でHer2遺伝子が何個あるのか数えることも可能です。

反復配列DNA プローブを用いれば特定の染色体領域に局在するサテライトDNAや他の反復配列DNAが検出可能となります。特にセントロメア反復配列のaサテライトファミリーに属するサテライトDNAプローブは特定の染色体のコピー数を決定(染色体の同定、染色体異数性の検出)するために広く用いられています。

FlSH法ではG分染法による染色体検査よりも高い解像度と特異性で解析できるのですが、G分染法のように全ゲノムを一度に対象とする方法ではないため、ターゲットが決まっている特定の疾患を診断あるいは除外するために特定のゲノム領域を解析する、という限定的な利用の仕方となります。

 

この図は、22q11.2欠失症候群のFISHです。
緑色が 22q13.33に位置するARSA遺伝子領域に対するプローブ、赤が22q11.2に対するプローブです。左側は赤緑それぞれ2つあるので正常ですが、右側は赤が一つ足らないので22q11.2欠失症候群と診断されます。

【関連記事】

遺伝病を理解するためのヒトゲノム入門編:索引にもどる

この記事の筆者

1995年医師免許取得。血液・呼吸器・感染症内科を経て、臓器別・疾患別の縦割りの医療の在り方に疑問を感じ、人を人として”全人的”に診療したいという思いを強くし、臓器を網羅した横断的専門医となり、2010年にがん薬物療法専門医取得(2019年現在全国1200人程度)。臓器を網羅すると遺伝性がんへの対策が必要と気づき、2011年に臨床遺伝専門医取得(2019年現在全国1000人程度)。遺伝相談はセンシティブな分野にもかかわらず、昼間の短い時間しか対応できない大病院のありかたに疑問を感じて、もっと必要な人がハードルを感じずに診療を受けられるようにしたいと2014年12月に開業。以来、全国から大学病院でも難しい内容の対応を求める人々を受け入れ、よろづお悩み相談所として多くの人々の様々な”家族(計画)の問題”を改善に導く。

著書に”女性のがんの本当の話”(ワニブックス)、”遺伝するがん・しないがん”(法研)がある。
少ない専門家で、正直で嘘のない言葉選びから週刊誌等の取材も多く、医療系の特集に時折コメントが掲載。(週刊現代、週刊ポスト、週刊新潮など)。
テレビ出演も時々あり、小林真央さんの病状を市川海老蔵さんが初めて記者会見した日、フジテレビの午後4時台のニュース番組に生出演して解説。その他TBS, AbemaTVなど出演。

一人一人の事情に合わせた個別対応をするべく、しっかり時間を取って本当のニーズは何かを聞き取りすることを大切にしている。短い時間でもお互いが出会ったことが相手の人生に大きな意味があるような医師患者関係の構築を理想として日々精進。

患者さんが抱えている問題を解決するにはどうしたらよいのかを考えて医師歴8年目に法学部に学士入学した程度に”凝り性”。女医が少なかった時代に3人の母親として難関専門医を3つ取得して社会進出を続けた経験から、女性のライフスタイルを医学以外の部分でも支援したいと願っている。
いろんな人生経験から心に響く言葉を投げかけるため、”会うと元気になる”ということで有名。飼いネコ3匹。

プロフィールはこちら

 

Pocket