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ゲノム解析の解像度

ゲノム解析の解像度

ゲノム解析の解像度とは

ゲノム解析の解像度とは、検査の方法を理解するのに重要です。ゲノム解析と言っても塩基一つから染色体1本レベルまであるからです。たとえば染色体分染法で代表的なGバンドのバンド一つの大きさが大体5~15Mb というように検出したいものの大きさで検査を選ぶ必要があります。

染色体検査

染色体検査に使用する細胞は、培養して増殖できるものでなければなりません。
なぜなら、染色体は通常は見えないのですが、細胞分裂するときにだけ見えるようになるからです。
このため、大体は血液を採取して白血球、特にTリンパ球を用います。

まず、末梢血を採取して白血球を集めます。
次に培養液を加えて分裂させるように刺激します。
通常はphytohemaggulutinin(PHA)を添加します。
数日後に分裂している細胞の紡錘体の働きを阻害するために、コルセミドなどの薬剤をを添加して
分裂中期で細胞分裂を停止させます。
関連記事:紡錘体
細胞を低張液で処理して染色体を分散させた後てから染色体を、固定しスライドグラスに広げて診断法に応じていくつかある染色方法のなかから必要なものを実行します。

染色体の1~22番と性染色体1本のセットをハプロイド(一倍体)といいますが、これには30億対の塩基が含まれています。

解像度

どのくらいの小ささまで見えるのか?ということです。

塩基対の数と検出方法
こちらの図はトンプソン&トンプソン遺伝医学第2版から引用しました。

Gバンド

たとえば、ハプロイドをみるなら普通の染色方法で十分ですね。
染色体1本を見るにも普通の染色(Gバンド)で十分です。
5~15Mb(mega base = 100万塩基)くらいまでこの普通の分染法で十分です。

21番染色体のトリソミー

高精度分染法

これに対して、Gバンドのバンドより小さいものは大きな欠失や重複などはGバンドで可能ですが、それより小さなものは目を凝らしても見えませんので、もっと小さいものをみえるような解析法を取ります。
これが高精度分染法と呼ばれるもので、1~3Mbを見ることができます。
1980年代初頭に高精度分染法が開発され、2~3Mb程度の大きさの微細なゲノムの欠失や重複により引き起こされる微細欠失症候群(microdeletionsyndrome) がいくつも発見されることになりました。

FISH

特定領域を詳細に解析する高精度分染法は1990年代初頭に蛍光insituハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization : FlSH)法が開発されたことで置き換わりました。FISH法は特定のDNA配列の有無を検出したり、染色体や染色体領域の数やその構成を細胞内の"元の位置(in situ)" で評価する方法です。
25~50Kbを検出することができます。

FI SH法

マイクロアレイ

さらに小さな10Kb~ を検出できます。
これに関しては別に説明します。

全ゲノムシークエンス

シークエンサーという機械を使って、すべての塩基配列を決定するものです。
1~1000baseの検査に対応しています。
大きな欠失や重複の検出には向いていません。

 

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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