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NIPT陽性で羊水検査なしの中絶は危険?偽陽性の真実|東京・ミネルバクリニック

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

NIPT(新型出生前診断)で「陽性」と告げられ、「もう結果は分かったのだから、羊水検査を受けずに産まないと決めてもいいのでは」と考えている方へ。最初にお伝えしたいのは、NIPTの陽性は「赤ちゃんに染色体の病気がある」という診断ではないということです。一般の妊婦さんを対象にした研究では、ダウン症候群(21トリソミー)で陽性と出た人の約半数が、実際には赤ちゃんの染色体は正常でした[3]。産む・産まないのどちらを選ぶとしても、決める前に羊水検査・絨毛検査で確かめることが、あとで後悔しないための前提になります。この記事では、その理由と、羊水検査の時期まで待てないときの選択肢を、臨床遺伝専門医の立場から順に解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🩺 NIPT陽性・確定検査
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤NIPTの位置づけ → スクリーニング検査で、陽性は「確定」ではない
  • ➤偽陽性の現実 → 一般の妊婦さんの研究で、ダウン症候群陽性の約半数が偽陽性
  • ➤待てないとき → 妊娠10〜13週の絨毛検査で、羊水検査より早く確かめられる
  • ➤当院の事例 → 18トリソミー陽性+超音波の所見から判断されたご夫婦の、そろっていた条件と残っていた可能性
  • ➤13トリソミー陽性 → 胎盤だけの変化が多く、羊水検査を勧めることがある
  • ➤当院の体制 → 羊水検査・絨毛検査を院内で行い、主要な項目は3日以内に結果

⏱️ 30秒でわかる要約

🩺 Q. 出生前診断(NIPT)で陽性。羊水検査を受けずに「産まない」と決めても大丈夫?

おすすめしません。NIPTは可能性の高さを示すスクリーニング検査で、一般の妊婦さんの研究ではダウン症候群陽性の約半数が偽陽性でした。米国産科婦人科学会も、確定検査の前に取り返しのつかない決断をしないよう求めています。

🔎 Q. 羊水検査の結果を待たずに判断した例はある?

当院には、NIPTで18トリソミー陽性となり、超音波で18トリソミーに特徴的な所見がはっきり確認され、ご夫婦の意思が固かったため、羊水検査の結果を待たずに判断された例があります。それでも偽陽性や胎盤だけの変化の可能性は残るため、確定検査で確かめるのが大原則です。

⏳ Q. 羊水検査ができる時期まで待てないときは?

妊娠10〜13週に受けられる絨毛検査で、羊水検査(妊娠15週ごろ以降)より早く確かめられます。ただし13トリソミーの陽性では、羊水検査を勧めることがあります。

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1. なぜ確定検査が必要なのか?NIPTの限界を正しく理解する

「NIPTで陽性だった…どうしよう」「羊水検査は怖いから受けたくない」。そう感じるのは自然なことです。そのうえで、一歩立ち止まって知っていただきたいのが、NIPTは「スクリーニング検査」であり、「確定診断」ではないということです。陽性の結果が出たら、羊水検査・絨毛検査による確定検査で確かめる必要があります[1][5]。

💡 用語解説:スクリーニング検査とは

スクリーニング検査は「ふるい分け」のための検査です。「この人は可能性が高いから、もっと詳しく調べましょう」と判断するための検査で、その結果だけで診断が確定するわけではありません。がん検診で「要精密検査」と言われても、精密検査で「がんではない」と分かることがあるのと同じです。

NIPTの検査原理と限界

NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん側のDNAの断片(cell-free DNA)を分析する検査です。ただし、この「赤ちゃん側のDNA」の多くは、赤ちゃん本人ではなく胎盤の細胞から流れ出たものです。胎盤と赤ちゃんの染色体はふつう同じですが、ときに食い違うことがあり、これがNIPTの結果と赤ちゃんの実際が一致しない原因の一つになります[8]。NIPTの仕組みはNIPTトップページで解説しています。

🧬 NIPTと確定検査の違い

項目 NIPT(スクリーニング) 羊水検査・絨毛検査(確定検査)
調べるもの 母体血中の、主に胎盤由来のDNA断片 羊水中の赤ちゃんの細胞、または絨毛(胎盤のもとになる組織)
方法 お母さんの採血のみ お腹などから針で採取
流産のリスク なし 検査による上乗せは0.2〜0.3%程度と推定[6]
結果の意味 「可能性が高い・低い」 染色体の診断

2. 偽陽性とは?健康な赤ちゃんが「陽性」と出る理由

「陽性=赤ちゃんに染色体異常がある」と思い込んでいませんか?NIPTの陽性結果には、一定の割合で「偽陽性」が含まれています。偽陽性とは、検査で陽性と出たけれど、実際には赤ちゃんの染色体は正常であるケースのことです。

💡 用語解説:偽陽性(ぎようせい)と陽性的中率(PPV)

偽陽性は、本当は陰性(正常)なのに検査で陽性と出てしまうことです。火災報知器が誤作動で鳴ったようなもので、センサーは反応したけれど火事ではなかった、という状態です。陽性的中率(PPV)は、「陽性と出た人のうち、本当に病気がある人の割合」です。陽性的中率が50%なら、陽性と出た100人のうち、実際に染色体異常があるのは50人、残りの50人は偽陽性ということになります。

「NIPTは99%以上の精度」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは主に感度(異常がある赤ちゃんを陽性と判定できる割合)のことで、大規模な解析では、ダウン症候群の検出率は99.7%、偽陽性率は0.04%と報告されています[2]。ところが、陽性と出た方が本当に知りたいのは「自分の赤ちゃんが本当に病気である確率」、つまり陽性的中率です。こちらは感度ほど高くはありません。

3. 年齢別の陽性的中率|若いほど偽陽性が多い理由

陽性的中率は、検査の性能だけでなく、その病気がもともとどのくらいの頻度で起こるかで大きく変わります。ダウン症候群などのトリソミーは母体年齢とともに増えるため、同じ検査でも、年齢が若い方ほど陽性的中率は低く、偽陽性の割合は高くなります[1][5]。病気の頻度が低い若い集団では、ごくわずかな偽陽性率でも、本当の陽性に比べて偽陽性の数が相対的に多くなるからです。

実際に、一般の妊婦さんを対象にした2つの大きな研究で、陽性的中率は次のように報告されています。

📊 一般の妊婦さんを対象にした研究でのNIPTの陽性的中率

研究 21トリソミー 18トリソミー 13トリソミー
Bianchiら(米国・約1,900人) 45.5% 40.0% ―
Nortonら(国際・約1万6,000人) 80.9% 90.0% 50.0%

出典:Bianchi DWら(N Engl J Med, 2014)[3]、Norton MEら(N Engl J Med, 2015)[4]。どちらも平均年齢が30歳前後の、一般の妊婦さんの集団での結果です。13トリソミーは陽性数が少なく、数字の幅が大きい点に注意してください。

つまり、一般の妊婦さんでは、ダウン症候群で陽性と出てもおよそ2割から半数が偽陽性でした。18トリソミーや13トリソミーは、ダウン症候群より頻度が低いため、陽性的中率が下がりやすい傾向があります。年齢の高い方では陽性的中率は上がりますが、それでも偽陽性はゼロにはなりません。どの年齢でも、陽性の結果だけで決めないことが大切です。精度と陽性的中率の考え方はNIPTの精度・的中率と限界で、微小欠失の陽性的中率はNIPT 微小欠失の陽性的中率で解説しています。

陽性的中率が低いと『無駄な確定検査』が増える? ― がん検診と比べて考える

「陽性的中率が50%なら、半分の人は受けなくてよい羊水検査を受けることになるのでは」と感じる方もいるかもしれません。ここで、がん検診を思い出してください。がん検診で「要精密検査」となった人の多くは、精密検査で「がんではない」と分かります。それでも、がん検診が不要だとは考えられていません。検診の役割は、可能性のある人を拾い上げて、精密検査につなげることだからです。

NIPTも同じです。NIPTはスクリーニング検査なので、確定検査ほど高い的中率は求められていません。大切なのは、陽性で拾い上げたあと、確定検査で本当にそうかを確かめる道筋が用意されていることです。陽性的中率が100%でない以上、その確かめる段階を飛ばして決断することこそが、いちばん避けたい事態です。

4. 羊水検査なしで中絶するリスク|取り返しのつかない後悔

NIPTの陽性結果だけで確定検査を受けずに中絶すると、染色体に異常のない赤ちゃんを失う可能性があります。この決断は取り返しがつきません。米国産科婦人科学会(ACOG)は、スクリーニング検査の結果だけにもとづいて妊娠を終わらせるような、取り返しのつかない決断をする前に、確定検査を受けるべきだとしています[1]。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)も同じ立場です[5]。

⚠️ 確定検査なしで決めるリスク

①偽陽性だった場合、染色体に異常のない赤ちゃんを失うことになる ②あとから「あの子は病気ではなかったかもしれない」という思いを抱え続けることがある ③不確かな情報にもとづく決断は、心に長く影響を残すことがある ④産む選択をする場合も、確定した診断がなければ、生まれたあとの準備を具体的に進めにくい

羊水検査のリスクを正しく比べる

「羊水検査は流産のリスクがあるから」とためらう方は少なくありません。複数の研究をまとめた解析では、検査そのものによって上乗せされる流産のリスクは、羊水検査で約0.30%、絨毛検査で約0.20%と推定されています[6]。1,000人に2〜3人程度で、しかも統計的にはゼロと区別しきれないほど小さな値です。

⚖️ 2つのリスクを並べてみる

比べるもの 数字の目安
羊水検査で上乗せされる流産のリスク 約0.30%(1,000人に3人程度)[6]
絨毛検査で上乗せされる流産のリスク 約0.20%(1,000人に2人程度)[6]
一般の妊婦さんで、ダウン症候群のNIPT陽性が偽陽性だった割合 約2割〜半数[3][4]

確定検査を受けずに決める場合、偽陽性の赤ちゃんを失う可能性は、確定検査の流産リスクよりはるかに大きくなります。確定検査を受けることで、確かな診断をもとに、産む・産まないのどちらも納得して選べるようになります。羊水検査・絨毛検査の流産リスクは羊水検査・絨毛検査のページでも説明しています。

5. 羊水検査まで待てないとき|絨毛検査で早く確かめる

NIPTで陽性と分かったあと、多くの方が苦しむのが「待つ時間」です。羊水検査は妊娠15週ごろ以降に行う検査なので、妊娠10〜11週ごろに陽性と分かった場合、検査まで1か月以上待ち、結果が出るころには妊娠16〜19週ごろになることがあります。その間にお腹は大きくなり、胎動を感じ始める方もいます。妊娠12週を過ぎてからの中絶は中期中絶となり、身体的・精神的な負担も大きくなります(期限についてはNIPT陽性時の中絶はいつまで?をご覧ください)。

この待つ時間を短くできるのが絨毛検査です。絨毛検査は妊娠10〜13週に受けられる確定検査で、羊水検査より早く赤ちゃんの染色体を確かめられます。

💡 用語解説:絨毛検査(じゅうもうけんさ)

胎盤のもとになる組織(絨毛)を少量採って、染色体を調べる確定検査です。羊水検査が妊娠15週ごろ以降に行うのに対し、妊娠10〜13週という早い時期に受けられるのが特徴です。詳しくは絨毛検査についてで解説しています。

早く確かめるためのスケジュールの例

当院のNIPTは通常妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。結果は基本的に10〜14日で出ます。陽性だった場合は、院内で絨毛検査を受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます(マイクロアレイ検査は2週間ほど)。

① NIPT通常は妊娠9週から(6〜8週は臨床研究)
▶
② 結果基本は10〜14日
▶
③ 絨毛検査妊娠10〜13週に院内で
▶
④ 確定の結果主要な項目は3日以内

早い時期にNIPTを受けておくと、陽性だったときに絨毛検査を受けられる期間に余裕が生まれます。早い時期のNIPTについては早期NIPTとはで、羊水検査との選び方は絨毛検査と羊水検査の違いで解説しています。また、超音波で赤ちゃんの全身のむくみ(嚢胞性ヒグローマ)が見つかった場合の考え方はNIPT陽性かつエコー異常(ヒグローマ)をご覧ください。

13トリソミー陽性のときの注意点

早く確かめられる絨毛検査にも、得意でない場面があります。絨毛は胎盤の組織なので、胎盤だけに染色体の変化があり、赤ちゃん本人は正常という場合(胎盤限局性モザイク)に、絨毛検査でも異常が出てしまうことがあります。13トリソミーは、こうした胎盤だけの変化が比較的多いことが知られています[8]。

⚠️ 13トリソミー陽性と胎盤限局性モザイク

NIPTで13トリソミー陽性となり、超音波で赤ちゃんの形の異常がはっきりしない場合は、絨毛検査ではなく、赤ちゃん本人の細胞を調べる羊水検査を勧めることがあります。どちらの検査を選ぶかは、陽性の染色体の種類と超音波の所見を見て、臨床遺伝専門医と相談して決めてください。詳しくはNIPTでトリソミー13陽性の場合の確定検査の重要性で解説しています。

当院の事例:18トリソミー陽性と超音波の所見から判断されたAさんご夫妻

ここまで「確定検査で確かめるのが大原則」とお伝えしてきました。そのうえで、羊水検査の結果を待たずに判断されたご夫婦の例を、特定されないよう細部を省いてご紹介します。これは「確定検査を受けなくてよい」というお勧めではありません。どんな条件がそろっていて、何が確かめられないまま残っていたのかを知っていただくための例です。

Aさんご夫妻は当院でNIPTを受け、結果は18トリソミー(エドワーズ症候群)の陽性でした。陽性のあと、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを行い、あわせて当院で超音波検査をしたところ、18トリソミーの赤ちゃんによく見られる超音波の所見がはっきり確認されました。

ご夫妻は「NIPTの陽性に加えて、超音波でも所見があるのなら、羊水検査の結果を待たずに早い段階で判断したい」という強いご意向でした。遺伝カウンセリングで、NIPTと超音波で分かること・分からないことを十分に説明し、ご納得いただいたうえで、お二人の希望を尊重しました。妊娠をどうするかの処置は、当院ではなく、ご夫婦がかかっている医療機関で受けることになります(当院は人工妊娠中絶を行っていません)。

💡 この事例でそろっていた条件と、残っていた可能性

そろっていた条件:①NIPTの陽性と、18トリソミーに特徴的な超音波の所見の両方があった ②ご夫婦の意思が固く、確かめられないまま残る可能性も理解したうえでの判断だった
残っていた可能性:18トリソミーのNIPTの陽性的中率は、一般の妊婦さんの研究で40〜90%と幅があります(上の表)。超音波の所見は判断を補う材料になりますが、それだけでは染色体の診断はできません。偽陽性や、胎盤だけに染色体の変化がある胎盤限局性モザイク、ほかの原因による形の変化の可能性は、確定検査をしない限りゼロにはなりません。

そのため、13トリソミーの陽性(胎盤だけの変化が比較的多い)、微小欠失の陽性、超音波で所見がはっきりしない場合には、この考え方は当てはまりません。羊水検査を待つ時間がつらいときは、上で説明した絨毛検査で早く確かめる道もあります。妊娠12週を過ぎると中期中絶になることなど、時期と体への負担についてはNIPT陽性時の中絶はいつまで?で解説しています。どの道を選ぶとしても、確定検査を受けるかどうか、受けないならどんな可能性が残るのかを、臨床遺伝専門医と一緒に言葉にしてから決めることが大切だと考えています。

6. なぜ偽陽性が起こるのか?その原因を解説

NIPTで偽陽性が起こる主な原因は、胎盤限局性モザイク、バニシングツイン、お母さん自身の染色体の変化などです[9]。これらは赤ちゃん本人には影響しないことも多く、確定検査でしか見分けられません。

🔍 偽陽性の主な原因

原因 何が起きているか
胎盤限局性モザイク 胎盤だけに染色体の変化があり、赤ちゃん本人は正常。NIPTは胎盤由来のDNAを多く見ているため、陽性になることがある
バニシングツイン 妊娠初期に双子の一方が育たなくなった場合、その赤ちゃん由来のDNAがしばらく血液中に残り、結果に影響することがある
お母さんの染色体の変化 お母さん自身に染色体の小さな変化やモザイクがあると、それが結果に表れることがある
技術的な要因 胎児由来のDNAの割合(胎児分画)が低い場合など、判定が難しくなることがある

胎盤限局性モザイクについて、フランスで5,512件の絨毛検査を調べた研究では、約0.65%に見つかりました。そのうち胎盤の広い範囲に変化があるタイプでは、早産や赤ちゃんが小さく生まれる割合が高かったと報告されています[7]。胎盤と赤ちゃんの発育の関係は限局性胎盤モザイク(CPM)と胎児発育不良(FGR)の関係で、偽陽性の全体像はNIPT偽陽性の確率は?で解説しています。

💡 用語解説:胎盤限局性モザイク(たいばんげんきょくせいモザイク)

受精卵が分裂していく途中で、胎盤になる細胞と赤ちゃんになる細胞に分かれていきます。このとき、胎盤になる細胞だけに染色体の変化が生じることがあり、これを胎盤限局性モザイクといいます。赤ちゃん本人の染色体は正常なので、NIPTで陽性でも、羊水検査では正常と分かることがあります。

7. 確定検査の種類|羊水検査と絨毛検査

NIPT陽性のあとに受ける確定検査には、羊水検査と絨毛検査があります。どちらも赤ちゃん側の細胞を直接調べるため、NIPTと違って染色体の診断ができます。

🔬 羊水検査と絨毛検査の比較

項目 羊水検査 絨毛検査
検査時期 妊娠15週ごろ以降 妊娠10〜13週
採取するもの 羊水(赤ちゃんの細胞を含む) 絨毛(胎盤のもとになる組織)
上乗せされる流産のリスク 約0.30%[6] 約0.20%[6]
注意点 結果が出る時期が遅くなる 胎盤だけの変化(胎盤限局性モザイク)が出ることがある
当院での結果 主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほど

どちらを選ぶかは、妊娠週数、陽性になった染色体の種類、超音波の所見によって変わります。陽性後の選び方は絨毛検査と羊水検査の違いと選び方で解説しています。

8. NIPT施設選びで失敗しないために|検査前に確認すべきこと

NIPTを受ける施設を選ぶときは、陽性だったときに、誰が説明し、確定検査をどこで受けられるのかまで確認してください。陽性の結果だけを渡され、その後の相談先を自分で探さなければならないと、不安なまま時間が過ぎてしまいます。

✓ NIPT施設選びのチェックポイント

□ 臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを受けられるか
□ 陽性のとき、確定検査(羊水検査・絨毛検査)をどこで受けられるか
□ 検査前に、偽陽性や陽性的中率について説明があるか
□ どんな方式で、何を調べる検査か
□ 確定検査が必要になったときの費用の補助があるか

施設選びのポイントはNIPTクリニックの選び方にまとめています。

9. ミネルバクリニックのサポート体制|院内で確定検査・主要項目は3日以内・羊水検査の補助

ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が常駐し、NIPTの前の遺伝カウンセリングから、結果の説明、陽性のときの確定検査まで、院内で一貫して対応しています。

🏥 陽性だったときの当院の体制

項目 内容
陽性カウンセリング 臨床遺伝専門医が担当し、何度でも無料
確定検査 2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で実施
結果までの期間 主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほど
費用の補助 羊水検査互助会「カトレア会」(8,000円)で羊水検査の費用を補助。現在は補助の上限なし
流産への備え 「安心検査結果保障制度」(6,000円):再検査が必要なのに流産で検体を出せず結果が出ない場合に、検査料金(諸費用を除く)を返金

互助会は2つとも、NIPTを受ける方全員に加入していただいています。収益を目的としない事業のため、消費税の対象外です。詳しくは羊水検査互助会(カトレア会)とNIPTのアフターサポートをご覧ください。

当院のNIPTのプランと検査方式

当院では、調べる範囲の異なる5つのプランを用意しています。どのプランでも、陽性のときは確定検査で確かめることが前提です。

🧬 当院のNIPTプラン

プラン 調べる範囲 対象
スタンダード 13・18・21トリソミー+性染色体/微小欠失6種類7疾患 単胎・双胎
プレミアム 13・18・21・15・16・22トリソミー+性染色体/微小欠失12種類13疾患 単胎のみ
ダイヤモンド プレミアムと同じ範囲+単一遺伝子56遺伝子 単胎のみ
双子マックス 全常染色体/92種類の微小欠失・重複+5Mb超の構造異常 単胎・双胎
インペリアル 全常染色体+性染色体/92種類の微小欠失・重複+5Mb超の構造異常/単一遺伝子最大155遺伝子(202疾患) 単胎のみ

検査方式は、スタンダードプランが標的捕捉濃縮法、ダイヤモンドプランが米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※、インペリアルプランが低深度全ゲノムシーケンス+ターゲット法です。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

スタンダードプランの精度データはスタンダードプランのエビデンスで、COATE法の研究データはCOATE法のエビデンスで紹介しています。微小欠失・重複は、染色体の数の異常より陽性的中率が低めなので、陽性のときは必ず確定検査で確かめます。

なお、当院は分娩・人工妊娠中絶を行っていません。確定検査の結果を受けて妊娠の継続を考える場合、産む・産まないのどちらを選ぶとしても、臨床遺伝専門医が結果の意味とその後の選択肢を説明したうえで、出産や手術を担当する医療機関につなぎます。他院でNIPTを受けて陽性となった方からのご相談もお受けしています。

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仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「99%の精度」と「陽性的中率」は別のもの】

「NIPTは99%の精度」という言葉だけが広まると、陽性と出た瞬間に「もう確定だ」と受け止めてしまう方が出てしまいます。けれども、陽性と出た方が本当に知りたいのは「自分の赤ちゃんが本当に病気である確率」、つまり陽性的中率です。それは年齢や病気の頻度によって変わり、感度ほど高くはありません。

だからこそ、検査を受ける前に、陽性的中率の考え方と、陽性だったときに何をするのかを知っておいていただくことが大切だと考えています。スクリーニング検査の結果だけで、人生を左右する決断をしないでください。確かめる方法はあります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「待つこと」の苦しさを短くするために】

陽性と告げられてから確定するまでの時間は、多くの妊婦さんにとって、とても長く感じられるものです。羊水検査の時期まで待つと、結果を受け取るころには妊娠の中期に入り、どちらを選ぶにしても負担は大きくなります。

その時間を少しでも短くするために、当院では絨毛検査と羊水検査を院内で行い、主要な検査項目は3日以内に結果をお返しする体制にしました。医療の技術や体制は、患者さんの心と時間を守るためにあるべきだと考えています。確定検査の結果をもとに、産む・産まないのどちらを選んだとしても、その選択はご家族のものです。

🏥 陽性の結果を、確かな診断にしてから考えるために

ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が常駐し、陽性のときは羊水検査・絨毛検査まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に結果をお返しし、陽性カウンセリングは何度でも無料です。

よくある質問(FAQ)

Q1. NIPT陽性で、羊水検査なしで中絶しても大丈夫ですか?

おすすめしません。NIPTはスクリーニング検査で、確定診断ではありません。一般の妊婦さんを対象にした研究では、ダウン症候群で陽性と出た人のおよそ2割から半数が偽陽性(赤ちゃんの染色体は正常)でした。米国産科婦人科学会も、確定検査の前に取り返しのつかない決断をしないよう求めています。羊水検査・絨毛検査で確かめてから考えてください。

Q2. 超音波で異常が見つかっていれば、羊水検査なしで決めてもよいですか?

確定検査で確かめるのが大原則です。超音波の所見だけでは染色体の診断はできず、偽陽性や胎盤だけの変化の可能性は残ります。当院には、18トリソミー陽性で、超音波で特徴的な所見がはっきり確認され、ご夫婦の意思が固かったため、遺伝カウンセリングで考え方を整理したうえで羊水検査の結果を待たずに判断された例があります。13トリソミーや微小欠失の陽性、超音波で所見がはっきりしない場合には当てはまりません。

Q3. 出生前診断で陽性でも、赤ちゃんが正常なことはありますか?

あります。NIPTが調べているDNAの多くは胎盤由来のため、胎盤だけに染色体の変化がある胎盤限局性モザイクや、バニシングツイン、お母さん自身の染色体の変化などで、赤ちゃんは正常なのに陽性と出ることがあります。確定検査でしか見分けられません。

Q4. 年齢によって偽陽性の割合は変わりますか?

変わります。トリソミーは母体年齢とともに増えるため、同じ検査でも、若い方ほど陽性的中率は低く、偽陽性の割合は高くなります。年齢が高い方でも偽陽性はゼロにはならないため、どの年齢でも確定検査で確かめることが大切です。

Q5. 羊水検査の時期まで待てません。早く確かめる方法はありますか?

妊娠10〜13週に受けられる絨毛検査があります。羊水検査(妊娠15週ごろ以降)より早く確かめられます。当院では絨毛検査を院内で行い、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。

Q6. 13トリソミー陽性でも絨毛検査でよいですか?

13トリソミーは胎盤だけに染色体の変化がある例が比較的多いため、超音波で赤ちゃんの形の異常がはっきりしない場合は、絨毛検査ではなく羊水検査を勧めることがあります。陽性の染色体の種類と超音波の所見をもとに、臨床遺伝専門医と相談して決めてください。

Q7. 羊水検査・絨毛検査の流産リスクはどのくらいですか?

複数の研究をまとめた解析では、検査そのものによって上乗せされる流産のリスクは、羊水検査で約0.30%、絨毛検査で約0.20%と推定されています。確定検査を受けずに決めた場合に偽陽性の赤ちゃんを失う可能性と比べると、ずっと小さな値です。

Q8. 確定検査の費用が心配です。

当院でNIPTを受ける方は全員、羊水検査互助会「カトレア会」(8,000円)に加入していただき、陽性のときの羊水検査の費用を補助しています。現在は補助の上限はありません。費用を理由に確定検査をあきらめずに済むよう設けている制度です。

Q9. ミネルバクリニックで中絶の手術はできますか?

いいえ。当院は分娩・人工妊娠中絶を行っていません。当院で行うのは、陽性カウンセリングと確定検査(羊水検査・絨毛検査)、結果の説明です。確定検査の結果をもとに、産む・産まないのどちらを選ぶ場合も、出産や手術を担当する医療機関につなぎます。

Q10. 遠方ですが相談できますか?

はい。オンライン診療で、臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを受けられます。NIPTはオンラインNIPTとして、全国110か所の提携施設で採血できます。

関連記事

参考文献

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  • [9] Hartwig TS, Ambye L, Sørensen S, Jørgensen FS. Discordant non-invasive prenatal testing (NIPT) – a systematic review. Prenat Diagn. 2017;37(6):527-539. [PubMed 28382695]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。NIPTの結果や確定検査については、臨床遺伝専門医にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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