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女性の生き方が多様化するにつれて出産年齢が高くなり、出生前診断を受ける妊婦さんが増えてきています。そこで気になるのが費用ではないでしょうか。
出生前診断は全部で6つの種類があり、検査によって調べられる疾患や検査の精度、そして費用も大きく異なります。この記事では、出生前診断の費用について詳しく説明し、それぞれの検査の特徴や費用対効果を比較します。安心して出産に臨むための情報をご提供します。
出生前診断の種類と費用比較
出生前診断には「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類があります。非確定的検査は可能性を示すスクリーニング検査、確定的検査は染色体異常を確定する検査です。
検査名 | 検査種類 | 検査時期 | 費用相場 | 検査項目 | 検査精度 | リスク |
---|---|---|---|---|---|---|
非確定的検査 | ||||||
超音波エコー検査 | 形態 | 妊娠10週目~ | 2~5万円 | 形態異常 | 検査者の技量に依存 | なし |
母体血清マーカー(クアトロ検査) | 血液 | 妊娠15~17週 | 2~3万円 | 21,18トリソミー、神経管奇形 | 検出率80-87% | なし |
コンバインド検査 | 複合 | 妊娠11~13週 | 3~5万円 | 21,18トリソミー | 検出率80-90% | なし |
NIPT(新型出生前診断) | 血液 | 妊娠9週目~ | 8~25万円 | 21,13,18トリソミー、その他オプション | 検出率99%以上 | なし |
確定的検査 | ||||||
羊水検査 | 侵襲 | 妊娠15~18週 | 10~20万円 | 染色体異常 | ほぼ100% | 流産0.2~0.3% |
絨毛検査 | 侵襲 | 妊娠10~13週 | 10~20万円 | 染色体異常 | ほぼ100% | 流産約1% |
非確定的検査の中では、NIPTが費用は高めですが、検査精度も非常に高く、調べられる染色体異常の数も多いことが特徴です。確定的検査は精度が高い一方、流産のリスクがあります。
クアトロ検査の費用と特徴
クアトロ検査(母体血清マーカー検査)は、妊婦さんの血液中の4つの成分(AFP、hCG、uE3、Inhibin A)を測定し、胎児に21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、開放性神経管奇形である確率を算出するスクリーニング検査です。
クアトロ検査の費用は2~3万円程度と出生前診断の中では比較的安価です。NIPTと比べると検査精度はやや低いものの、コストパフォーマンスに優れていると言えます。陰性的中率(結果が陰性だった場合に、実際に赤ちゃんに異常がない確率)は99%と高く、この点ではNIPTと遜色ありません。
ただし、クアトロ検査は確定診断ではないため、陽性結果が出た場合は羊水検査などの確定検査を検討する必要があります。また、クアトロ検査の結果によっては羊水検査を行う可能性もあるため、18週までの早い時期に受けることが推奨されています。
NIPT(新型出生前診断)の費用について
NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)は、妊婦さんの血液中に含まれる胎児由来のDNAを分析して染色体異常のリスクを評価する最新の検査法です。採血だけで高い精度の検査ができるため、近年人気が高まっています。
NIPTの費用相場
NIPTの費用は、施設のタイプや検査内容によって大きく異なります:
施設タイプ | 費用相場 | 特徴 |
---|---|---|
認証施設 | 10~20万円 | 遺伝の専門家によるカウンセリング、検査後のフォロー体制が充実 |
非認証施設 | 5~20万円 | 基本検査以外の検査オプションが豊富、施設により遺伝カウンセリングの有無が異なる |
費用に含まれる追加サービス
NIPT検査費用を比較する際は、以下の点も確認するとよいでしょう:
- 陽性時の羊水検査費用が含まれているか(一部または全額補助)
- 遺伝カウンセリング費用が含まれているか
- キャンセル料金の有無
- 検査結果の通知期間
出生前診断は保険適用できるか?
出生前診断は自由診療になるため、健康保険は適用されません。検査費用は全額自己負担となります。国民健康保険の適用は、怪我や病気の治療の範囲に相当するものと定められており、妊娠や出産に関する検査は保険適用外となっています。
注意: 出生前診断は保険適用外のため、全額自己負担となります。クリニックにより費用は異なりますので、事前に確認することをお勧めします。
出生前診断は医療費控除の対象になるのか?
出生前診断は、すべての検査が医療費控除の対象ではありません。血清マーカーやNIPT、絨毛検査、羊水検査などは、胎児の染色体の数的異常を調べるものです。
国税庁ウェブサイト
国税庁の見解によると、NIPTなどの出生前診断は「疾病の治療を伴うものではない」ため、医療費控除の対象とはならないとされています。たとえ検査で染色体異常が発見されても、まだ生まれていない胎児の検査は医療控除の対象ではないとみなされます。
控除の対象になるのは検査で入院をした場合のみですが、羊水検査で1泊2日の入院をしても、怪我や病気の治療ではないため、医療費控除の対象外となります。
- ➤ 出生前診断は全額自己負担です
- ➤ 検査の種類によって費用は大きく異なります
- ➤ NIPTは高精度ですが、費用も高めです
- ➤ 医療費控除の対象外となります
- ➤ クリニック選びは慎重に行いましょう
出生前診断を受ける前に、検査の限界や陽性結果が出た場合の次のステップについて理解しておくことが重要です。検査結果によっては、羊水検査などの確定検査が必要になる場合もあります。検査前には、十分なカウンセリングを受けて、十分に理解した上で検査を受けることをお勧めします。
検査前のカウンセリングでは、検査の目的や限界、結果の解釈方法について詳しく説明を受けましょう。
検査の意義や限界について専門医から説明を受ける
妊婦さんの血液を採取し、胎児のDNAを分析
検査結果の説明と、次のステップについてのアドバイス
NIPTのメリット
- 母体への負担が少ない(採血のみ)
- 検査精度が非常に高い(検出率99%以上)
- 早期(妊娠9週目〜)から検査可能
- 複数の染色体異常を同時に検査できる
- 流産などのリスクがない
NIPTのデメリット
- 費用が高額(8〜25万円)
- 確定診断ではない(陽性の場合は確定検査が必要)
- すべての先天性疾患や異常がわかるわけではない
- 医療費控除の対象にならない
臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングと高精度な検査技術で、安心の検査体験をご提供します。費用や検査内容についてのご質問も丁寧にお答えいたします。
出生前診断に関するよくある質問