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妊娠中の不安を解消するために役立つ出生前診断。近年、出生前診断を受ける妊婦さんの割合は年々増加しています。本記事では、出生前診断を受ける割合の最新データや検査の種類別情報、年齢別のリスクについて医師監修のもと徹底解説します。
また、「胎児ドック」との違いや、エコー写真がもらえる時期についても詳しく触れていきます。出生前診断を考えている妊婦さんはもちろん、パートナーの方にもぜひ参考にしていただきたい内容です。
ミネルバクリニック 仲田洋美(臨床遺伝専門医)
ミネルバクリニックでは、NIPT検査を妊娠9週目から受けることができます。臨床遺伝専門医による診療で安心して検査を受けていただけます。
出生前診断を受ける人の割合は増加傾向にある
出生前診断を受ける人の割合は、ここ数年で大きく変化しています。日本産婦人科医会の調査によると、広義の出生前診断(超音波検査を含む)を受ける妊婦さんの割合は実質100%となっています。これは妊婦健診で超音波検査が必ず行われるからです。
一方、NIPT(新型出生前診断)などの特殊な出生前診断検査に限ると、受診率はまだ高くありません。2018年の厚生労働省の調査によると、NIPTを受けた妊婦さんの割合は全体の約1.4%でした。しかし、この数字は年々増加傾向にあり、近年では4~5%程度まで増加していると推定されています。
年齢別に見る出生前診断の受診率
出生前診断を受ける割合は、妊婦さんの年齢によって大きく異なります。特に高齢出産が増えている現代では、35歳以上の妊婦さんの間で出生前診断の受診率が高まっています。
特に注目すべきは40代以上の妊婦さんの約60%が何らかの特殊な出生前診断を受けているという点です。これは40代になると染色体異常のリスクが大幅に上昇することが主な理由です。
国際比較:海外との受診率の違い
日本と海外では出生前診断の受診率に大きな違いがあります。欧米諸国では出生前診断が公的医療保険でカバーされているケースが多いため、受診率も高い傾向にあります。
諸外国と比較すると、日本の特殊な出生前診断の受診率はまだ低い水準にありますが、高齢出産の増加や検査の認知度向上に伴い、今後さらに増加すると予想されています。
受診率が増加している主な理由
出生前診断、特にNIPTなどの特殊検査の受診率が増加している背景には、いくつかの要因があります。
- 晩婚化・高齢出産の増加:第1子出産時の平均年齢は年々上昇し、現在では30歳を超えています。高齢出産では染色体異常のリスクが高まるため、出生前診断のニーズが増加しています。
- 検査技術の進歩と安全性向上:従来の羊水検査などには流産リスクがありましたが、NIPTは母体血のみで高精度な結果が得られるようになりました。ミネルバクリニックで採用している最新のCOATE法を用いたNIPTは、さらに精度が向上しています。
- 情報へのアクセス向上:インターネットの普及により、多くの妊婦さんが出生前診断について情報を入手できるようになりました。
- 医療機関の増加:出生前診断を提供する医療機関が増え、アクセスが容易になっています。
特にNIPT(新型出生前診断)の普及は、出生前診断の受診率を大きく押し上げる要因となっています。母体への負担がほとんどなく、高い精度で結果が得られるNIPTは、多くの妊婦さんにとって魅力的な選択肢となっています。NIPT技術の進化についてはこちらの記事もご参照ください。
出生前診断の種類と各検査の受診率
出生前診断には様々な種類があり、それぞれ特徴や受診率が異なります。大きく分けると「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類に分類されます。
非確定的検査
非確定的検査は、赤ちゃんの染色体異常の可能性を調べる検査です。母体や胎児への負担が少ないという特徴がありますが、確定診断ではないため、陽性結果が出た場合は確定的検査へ進むことが一般的です。
超音波検査(エコー):妊婦健診で必ず行われる基本的な検査です。胎児の発育状態や形態異常をチェックします。受診率は実質100%です。
NIPT(新型出生前診断):母体の血液から胎児のDNA断片を分析し、染色体異常の可能性を調べる検査です。ダウン症などの検出率は99%以上と高精度です。2018年時点での受診率は約1.4%でしたが、現在は4~5%程度まで増加していると推定されています。
母体血清マーカー検査:母体の血液中のホルモン値を測定し、染色体異常の可能性を調べる検査です。受診率は約5~10%程度と推定されています。
コンバインド検査:超音波検査による胎児の頸部透明帯(NT)測定と母体血清マーカー検査を組み合わせた検査です。受診率は約3~5%程度です。
確定的検査
確定的検査は、より確実に染色体異常の有無を診断できる検査です。ただし、流産のリスクを伴うため、非確定的検査で陽性結果が出た場合や特にリスクの高い妊婦さんに限定して行われることが多いです。
絨毛検査:妊娠10~14週頃に胎盤の一部(絨毛)を採取して染色体を分析します。流産リスクは約1%です。受診率は0.5%未満です。
羊水検査:妊娠15週以降に羊水を採取して染色体を分析します。流産リスクは約0.2~0.3%です。受診率は約1%程度です。
近年、特にNIPTの受診率が急速に伸びているのは、その安全性と高い精度が評価されているからです。母体から採取した血液のみで検査できるため身体的負担が少なく、早期から高精度な結果が得られるメリットがあります。
「胎児ドック」についての詳細解説
胎児ドックとは何か(定義と通常のエコー検査との違い)
胎児ドックとは、通常の妊婦健診よりも詳細に胎児の状態を観察する精密超音波検査のことです。一般的な妊婦健診での超音波検査と比較して、以下のような違いがあります。
胎児ドックでは2D/3D/4Dの高精度超音波を使用し、胎児の体の隅々まで詳しく観察します。特に心臓、脳、内臓の形成異常などを詳細にチェックできるのが特徴です。
胎児ドックを受ける人の割合
胎児ドックを受ける妊婦さんの割合は、一般的な出生前診断と比べるとまだ少ないですが、高齢出産の増加に伴い年々増加傾向にあります。
胎児ドックを受ける主な理由としては、「安心を得るため」「医師からの勧め」「高齢出産に伴うリスク」などが挙げられます。また、通常の妊婦健診の超音波検査で気になる所見があった場合にも、より詳細な検査として胎児ドックが勧められることがあります。
胎児ドックで分かること
胎児ドックでは、通常の超音波検査では見逃してしまう可能性のある微細な異常も発見できる可能性があります。具体的には以下のようなことがわかります。
- NT(頸部透明帯)測定:ダウン症などの染色体異常のリスク評価
- 心臓の詳細構造:先天性心疾患の有無
- 脳や脊髄の形成状態:二分脊椎などの神経管奇形
- 内臓器官の形成:腎臓、肺、肝臓、胃などの形成異常
- 顔面構造:口唇口蓋裂などの顔面奇形
- 四肢の形成:指の数や形状の異常
- 胎盤や臍帯の状態:胎盤機能不全や臍帯の異常
ただし、胎児ドックはあくまでもスクリーニング検査であり、全ての異常を発見できるわけではないことを理解しておく必要があります。特に染色体異常の確定診断は、NIPTや羊水検査などの別の検査が必要です。
胎児ドックを受けるべき人の特徴
胎児ドックは全ての妊婦さんが必ず受けなければならないものではありませんが、特に以下のような方には推奨されています。
胎児ドックが特に推奨される方
- 35歳以上の高齢出産予定の方:染色体異常のリスクが高まるため
- 先天性疾患の家族歴がある方:遺伝的リスクが考えられるため
- 過去に奇形や異常のある胎児を妊娠した経験がある方:再発リスクを評価するため
- 通常の超音波検査で気になる所見があった方:より詳細な評価が必要なため
- 妊娠中の不安が強く、詳細な情報を得たい方:安心を得るため
胎児ドックを受けるかどうかは、妊婦さんとパートナーがよく相談し、メリット・デメリットを理解した上で決めることが大切です。不安や疑問がある場合は、産婦人科医や遺伝カウンセラーに相談することをおすすめします。
胎児ドックに関する詳細は、胎児ドック(胎児スクリーニング)は受けるべき?受ける人の割合は?の記事もご参照ください。
年齢別のリスクと検査選択
20代の方のリスクと推奨検査
20代の妊婦さんは比較的染色体異常のリスクが低いですが、ゼロではありません。例えば、25歳の妊婦さんでもダウン症児が生まれる確率は約1/1,200あります。
20代の妊婦さんに推奨される検査
- 通常の妊婦健診での超音波検査:基本的な胎児の発育チェック
- NT測定(11~13週):頸部透明帯の測定でリスク評価
特別なリスク要因(家族歴など)がある場合や不安が強い場合は、NIPTや胎児ドックの検討も可能です。
20代の場合は、通常の妊婦健診でのケアが中心となりますが、超音波検査で気になる所見があった場合には、追加検査を検討することも大切です。
30代前半の方のリスクと推奨検査
30代前半(30~34歳)になると、染色体異常のリスクはやや上昇します。例えば、30歳の妊婦さんでダウン症児が生まれる確率は約1/900です。
30代前半の妊婦さんに推奨される検査
- 通常の妊婦健診での超音波検査:基本的な胎児の発育チェック
- NT測定(11~13週):頸部透明帯の測定でリスク評価
- 胎児ドック(必要に応じて):より詳細な形態異常のチェック
- 母体血清マーカー検査:希望に応じて検討
30代前半の妊婦さんは、個人の状況やリスク要因に応じた検査の選択が重要です。最近では、リスクに関わらず安心を得るためにNIPTを選択する方も増えています。
30代後半の方のリスクと推奨検査
35歳以上の妊婦さんは「高齢妊娠」と言われ、染色体異常のリスクが明確に上昇します。35歳の妊婦さんでダウン症児が生まれる確率は約1/350です。
30代後半の妊婦さんに推奨される検査
- NIPT:高精度で安全な染色体異常スクリーニング
- 胎児ドック:詳細な形態異常のチェック
- NT測定(11~13週):頸部透明帯の測定でリスク評価
- 詳細超音波検査:18~20週頃に実施
NIPTで陽性の場合は、確定診断のための羊水検査や絨毛検査を検討します。
30代後半の妊婦さんは、医師から出生前診断を勧められることが多く、NIPTなどの特殊検査を受ける割合も高まります。
40代以上の方のリスクと推奨検査
40歳以上になると、染色体異常のリスクはさらに上昇します。40歳の妊婦さんでダウン症児が生まれる確率は約1/100、45歳では約1/30にもなります。
40代以上の妊婦さんに推奨される検査
- NIPT:ほぼ必須と考えられる高精度スクリーニング
- 胎児ドック:詳細な形態異常の精密チェック
- 高精度超音波検査:複数回の実施が推奨
- 必要に応じた確定的検査:羊水検査など
40代以上の場合、複数の検査を組み合わせた総合的な評価が特に重要です。
40代以上の妊婦さんは、ほとんどの医師がNIPTなどの出生前診断を強く推奨する傾向があります。実際に40代の妊婦さんの約60%がNIPTなどの特殊検査を受けています。
検査時期と流れ
検査可能な時期の一覧
出生前診断は、検査の種類によって受けられる時期が異なります。妊娠週数に応じた適切な検査を選択することが重要です。
妊娠週数に応じた検査のタイミングを理解することで、効果的な出生前診断計画を立てることができます。特にNIPTや胎児ドックなど、早期に受けることが推奨される検査については、妊娠が判明したらすぐに検討することが大切です。
出生前診断の流れ
出生前診断を受ける場合の一般的な流れは次のようになります。
- 産婦人科での妊娠確認:妊娠が確認され、妊娠週数が特定されます。
- 出生前診断についての説明と相談:医師から出生前診断の選択肢について説明を受けます。
- 検査の選択:リスク、年齢、検査時期などを考慮し、適切な検査を選択します。
- 検査前カウンセリング(遺伝カウンセリング):検査の目的、方法、限界、結果の解釈について詳しい説明を受けます。
- 検査の実施:選択した検査を適切な時期に受けます。
- 結果待ち:検査結果が出るまで待ちます(検査種類により期間が異なる)。
- 結果説明と追加検査の検討:結果を医師から説明してもらい、必要に応じて追加検査を検討します。
- 確定検査(必要な場合):非確定的検査で陽性だった場合、羊水検査などの確定検査を検討します。
- 出産準備:検査結果に基づいて、適切な出産準備を行います。
特にNIPTの場合は、以下のような流れになります。
📋NIPTの検査の流れ
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1
予約:NIPT実施医療機関に予約を取ります。
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2
事前カウンセリング(遺伝カウンセリング):検査の内容や結果の意味について説明を受けます。
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3
同意書記入:検査内容を理解し、同意書に署名します。
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4
採血:母体の血液を約10ml採取します。
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5
検査:検体が検査機関に送られ分析されます。
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6
結果待ち:1~2週間程度で結果が出ます。
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7
結果説明:医師から結果の説明を受けます。(ミネルバクリニックではマイページで結果を受け取って、陽性の場合は再度カウンセリングを受けます。)
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8
追加検査(陽性の場合):陽性の場合、確定診断のための羊水検査などを検討します。
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医による丁寧な説明と遺伝カウンセリングを行っています。検査前後の不安やわからないことがあれば、いつでもご相談ください。また、最新のCOATE法を採用した高精度なNIPTも提供しています。
検査結果の解釈方法
出生前診断の結果は、検査の種類によって解釈が異なります。以下にポイントをまとめます。
重要なのは、検査結果を正しく理解し、専門家の説明を受けることです。特にNIPTなどの非確定的検査では、陽性結果が出ても実際に染色体異常がない場合(偽陽性)もあります。逆に、陰性結果でも100%安全という保証はありません。
検査結果の解釈は専門的な知識が必要なため、必ず医師や遺伝カウンセラーに相談しましょう。ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が検査結果について詳しく説明し、今後の選択肢について一緒に考えていきます。
エコー検査の詳細情報
エコー写真はいつからもらえる?妊娠週数別ガイド
妊婦さんにとって、赤ちゃんのエコー写真をもらうことは大きな楽しみの一つです。エコー写真は一般的に妊娠5~6週頃からもらえるようになります。
エコー写真がもらえる回数は、医療機関によって異なります。一般的な妊婦健診では、1回につき1~2枚程度のエコー写真をもらえることが多いですが、医療機関によっては写真をもらえない場合もあります。事前に確認しておくとよいでしょう。
初回エコー検査のタイミング
妊娠が判明してから最初に行われるエコー検査は、通常妊娠5~6週頃です。この時期の超音波検査では主に以下のことを確認します。
- 子宮内妊娠の確認:子宮外妊娠ではないかを確認
- 胎嚢(たいのう)の確認:赤ちゃんが入る袋の確認
- 心拍の有無:妊娠6週以降で確認できることが多い
- 多胎妊娠の有無:双子など複数の胎児がいないかを確認
初回エコー検査では、まだ赤ちゃんの形がはっきりとは見えないことが多いです。胎嚢(黒い袋のような部分)が確認できれば正常な妊娠の兆候とされ、その後の健診で赤ちゃんの成長を確認していきます。
妊娠週数別のエコー内容の変化
妊娠が進むにつれて、エコー検査で見えるものや確認できる内容が変わっていきます。
妊娠初期(~12週)のエコー
- 胎嚢・卵黄嚢の確認:妊娠5~6週
- 胎児の心拍確認:妊娠6~7週
- 頭臀長(CRL)の測定:胎児の大きさを測定
- NT(頸部透明帯)測定:妊娠11~13週に実施
妊娠中期(13~27週)のエコー
- 胎児の各臓器発達状況確認
- 頭部・腹部周囲径、大腿骨長の測定
- 羊水量の確認
- 胎盤位置の確認
- 性別の確認(希望に応じて)
妊娠後期(28週~)のエコー
- 胎児推定体重の測定
- 羊水量の再確認
- 胎盤の成熟度確認
- 胎児の位置確認(頭位か逆子か)
- 臍帯(へその緒)の確認
妊娠20週前後に行われる「胎児形態異常スクリーニング検査」は特に重要な検査で、胎児の全身をくまなくチェックし、先天性の形態異常がないかを確認します。この検査は通常の妊婦健診でも行われますが、より詳細に調べたい場合は胎児ドックなどの精密検査を検討することもできます。
2D/3D/4Dエコーの違いと撮影可能時期
エコー検査には、2D、3D、4Dの3種類があり、それぞれ特徴や撮影可能な時期が異なります。
3D/4Dエコーは妊娠20~32週頃が最も鮮明に撮影できる時期です。この時期は赤ちゃんの顔や手足がはっきりと見え、羊水量も適度にあるため、きれいな画像が得られやすくなっています。
3D/4Dエコーは医療機関によっては追加料金がかかることがあります。また、全ての医療機関で提供しているわけではないため、希望する場合は事前に確認することをおすすめします。
エコー写真の保存方法とコツ
貴重な思い出となるエコー写真は、適切に保存することが大切です。エコー写真は感熱紙で印刷されていることが多く、時間が経つと印字が薄くなったり消えたりする可能性があります。
エコー写真の保存方法
- コピーを取る:普通紙にコピーして保存する
- スキャンしてデータ化:スキャナーで取り込みデータとして保存
- スマホで撮影:スマホのカメラで撮影して画像として保存
- 専用アルバムに保管:写真専用のアルバムに保存する
- ラミネート加工:専用フィルムでラミネート処理する
特に大切なエコー写真は、複数の方法で保存しておくと安心です。
エコー写真を保存する際の注意点としては、直射日光や高温多湿を避けること、ビニールなどに密着させないことが挙げられます。これらの条件下では印字が早く消えてしまう可能性があります。
また、エコー写真には医師が記入した妊娠週数や胎児の大きさなどの情報が含まれていることがあります。これらの情報も含めて保存しておくと、後で見返したときに貴重な記録となります。
検査選択のポイント
検査のメリット・デメリット比較
出生前診断を受けるかどうかを検討する際は、各検査のメリットとデメリットを理解しておくことが重要です。
検査選択の際には、自分自身の価値観や考え方を最も大切にし、パートナーとよく話し合うことが重要です。また、年齢やリスク要因も考慮して、最適な検査を選びましょう。
検査選択で考慮すべきポイント
出生前診断の検査を選ぶ際に考慮すべきポイントには、医学的、心理的、経済的な要素があります。
医学的要素
- 年齢:35歳以上は染色体異常のリスクが上昇
- 家族歴:先天性疾患の家族歴がある場合はリスクが高まる
- 妊娠週数:検査可能な妊娠週数を考慮
- 既往歴:過去の妊娠で染色体異常があった場合
心理的要素
- 不安の程度:胎児の健康に対する不安の強さ
- 検査結果への対応:陽性結果が出た場合の心の準備
- 障害に対する考え方:障害を持つ子どもを育てることへの考え
- 選択肢への価値観:検査結果により生じる選択肢への考え方
経済的要素
- 検査費用:各検査の費用と自身の経済状況の兼ね合い
- 追加検査の可能性:陽性の場合の追加検査費用
- 保険適用外:ほとんどの出生前診断は保険適用外であることを理解
検査を受けるかどうかは完全に個人の自由選択です。医療者からの一方的な勧めではなく、十分な情報提供を受けた上で、自分自身の考えに基づいて決定することが大切です。
パートナーとの話し合いのコツ
出生前診断を受けるかどうかの決断は、パートナーと一緒に考えることが理想的です。話し合いを円滑に進めるためのコツをご紹介します。
- 十分な情報収集:話し合いの前に、両者が出生前診断について基本的な知識を持っておくことが大切です。
- お互いの考えを尊重:価値観は人それぞれ異なるため、相手の意見を否定せず、尊重する姿勢が重要です。
- 「もしも」の話し合い:検査で陽性結果が出た場合、どうするかについても前もって話し合っておくと良いでしょう。
- 専門家の意見を聞く:必要に応じて、医師や遺伝カウンセラーなど専門家の意見を聞くことも検討しましょう。
- 時間をかける:重要な決断なので、十分に時間をかけて考えることが大切です。
話し合いの中で意見が分かれた場合は、無理に一致させようとせず、お互いの気持ちを尊重しながら、徐々に理解を深めていくことが大切です。必要に応じて、専門家を交えた遺伝カウンセリングを受けることも選択肢の一つです。
出生前診断は「受けるべき」「受けるべきでない」という正解はありません。それぞれの夫婦や家族の価値観、状況に応じた最適な選択をすることが大切です。
まとめと専門医のアドバイス
出生前診断を受ける割合は年々増加していますが、それぞれの検査には特徴やメリット・デメリットがあります。特に高齢出産の増加に伴い、NIPTなどの特殊検査を選択する妊婦さんが増えている傾向にあります。
検査選択の最終チェックリスト
- 自分の年齢とリスク要因を考慮したか
- 各検査のメリット・デメリットを理解したか
- 検査費用と自身の経済状況は合っているか
- 検査結果によって生じる選択肢を考えたか
- パートナーと十分に話し合ったか
- 専門的な説明やカウンセリング(遺伝カウンセリング)を受けたか
ミネルバクリニック院長の仲田洋美医師(臨床遺伝専門医)からのアドバイスです。
「出生前診断は妊婦さんとそのパートナーにとって大きな決断です。検査を受けるかどうかに正解はなく、それぞれの価値観や考え方に基づいて選択することが大切です。特に重要なのは、十分な情報を得た上で自分自身で決断することです。」
「検査結果が陽性であっても、現代の医療では様々なサポートやケアが可能な場合も多くあります。不安なことや疑問点があれば、ぜひ専門医に相談してください。私たちは妊婦さんの決断を尊重し、必要な情報提供とサポートを行います。」
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医による丁寧な説明と遺伝カウンセリングを行っています。NIPTをはじめとする出生前診断について、不安や疑問点があればいつでもご相談ください。最新のCOATE法を用いた高精度なNIPT検査も提供しており、妊婦さんの不安解消をサポートします。
関連情報:NIPTのCOATE法と従来法比較 / NIPT技術の進化(2017-2024)