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NIPT(新型出生前診断)で「陽性」と知らされたとき、最初に知ってほしいのは、NIPTの陽性は診断の確定ではないということです。陽性でも羊水検査で異常がない「偽陽性」があります。その割合は病気の種類や年齢で大きく変わり、日本の認証施設の2024年度の集計では、陽性のうち実際に病気と確定したのは21トリソミーで96.1%、13トリソミーでは44.6%でした[1]。13トリソミーでは陽性の半分以上が偽陽性だったことになります。偽陽性の仕組みと確率、羊水検査で陰性だったときの考え方、陽性のあとにすることを臨床遺伝専門医が解説します。
- ➤偽陽性率と陽性的中率の違い
- ➤病気の種類・年齢ごとの偽陽性の確率
- ➤偽陽性の原因
- ➤NIPT陽性で羊水検査が陰性だったときに確認すること
- ➤陽性のあとの確定検査の選び方
⏱️ 30秒でわかる要約
📊 Q. NIPTで陽性でも、本当に病気の確率はどれくらい?
認証施設の2024年度報告では、陽性的中率は21トリソミー96.1%、18トリソミー88.4%、13トリソミー44.6%でした。病気の種類によって大きく違い、若い方ほど偽陽性の割合は高くなります。
🧬 Q. なぜ偽陽性が起こるの?
NIPTが調べるDNAの多くは胎盤から来ています。胎盤だけに染色体の変化がある「胎盤限局性モザイク」が代表的な原因で、ほかに双子の一人が早い時期に消えたケース、お母さん自身の染色体の変化やがんがあります。
🩺 Q. 陽性と言われたら、まず何をすればいい?
妊娠を続けるかどうかを決める前に、羊水検査などの確定検査で赤ちゃんの染色体を直接確かめてください。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。
🌱 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?
一部はわかります。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる遺伝子や染色体の変化の一部を調べられます。すべてがわかるわけではなく、陰性でもその心配がなくなるわけではありません。
\ 陽性でも、確定検査まで院内で /
陽性の場合も、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要項目は3日以内に結果が出ます。
NIPTの偽陽性とは?「精度99%」と陽性の確率は別物
偽陽性とは、NIPTで「陽性」と判定されたのに、羊水検査などで赤ちゃんの染色体を直接調べると異常がなかったケースのことです。NIPTは、お母さんの血液中の赤ちゃん由来のDNAを数えて染色体の増減を推定するスクリーニング検査です。
混乱しやすいのが「精度99%以上」という言葉です。この99%は多くの場合、感度や特異度を指しています。大規模なメタ解析では、21トリソミーの感度は99.7%、偽陽性率は0.04%と報告されています[2]。ところが、陽性の方が知りたいのは「陽性と出た人のうち、本当に病気の人はどのくらいか」です。これを陽性的中率といい、感度や特異度とは別の数字になります。
💡 用語解説:感度・特異度・偽陽性率・陽性的中率
感度(かんど)は、病気のある赤ちゃんを陽性と判定できる割合です。特異度(とくいど)は、病気のない赤ちゃんを陰性と判定できる割合です。偽陽性率は100%−特異度です。陽性的中率(ようせいてきちゅうりつ)は、陽性と出た人のうち、確定検査で本当に病気と確かめられた人の割合です。
偽陽性率が小さくても、陽性的中率はその病気がもともとどのくらいの頻度で起こるかに強く左右されます。染色体ごとに陽性的中率が違う理由は、NIPTの陽性的中率が染色体異常によって異なる理由でも詳しく扱っています。
NIPTの偽陽性の確率|病気の種類と年齢でこれだけ違う
偽陽性の確率は、「どの病気で陽性と出たか」と「お母さんの年齢」で分けて見ます。同じ「陽性」でも、21トリソミーと13トリソミー、性染色体や微小欠失では意味がまったく違います。
日本の認証施設の実測値(2024年度)
認証施設の2024年度の報告では、陽性後に確定検査を受けた方のうち病気と確定した割合は次のとおりでした[1]。
📊 認証施設の陽性的中率(2024年度実施状況報告)
| 対象 | 陽性で確定検査を受けた人 | 病気と確定した人 | 陽性的中率 | 偽陽性だった割合 |
|---|---|---|---|---|
| 21トリソミー(ダウン症候群) | 330人 | 317人 | 96.1% | 約4% |
| 18トリソミー(エドワーズ症候群) | 155人 | 137人 | 88.4% | 約12% |
| 13トリソミー(パトウ症候群) | 65人 | 29人 | 44.6% | 約55% |
※陽性的中率=病気と確定した人÷陽性で確定検査を受けた人。確定検査を受けなかった方は含みません。
13トリソミーでは陽性の半分以上が偽陽性でした。13トリソミーは生まれる頻度が低いうえ、後で説明する胎盤限局性モザイクが起こりやすい染色体であることが知られています[4]。病気ごとの特徴は13トリソミー(パトウ症候群)とは、18トリソミー(エドワーズ症候群)とはで解説しています。
年齢が若いほど偽陽性の割合が高くなる理由
陽性的中率が年齢で変わるのは、その年齢で病気がもともとどのくらいの頻度で起こるかが違うからです。計算例で見てみましょう。感度99.7%、偽陽性率0.04%[2]の検査を10万人が受けたと仮定します。
🧮 計算例:病気の頻度が違うと陽性的中率はどう変わるか
| 検査時点での病気の頻度 | 本当の陽性 | 偽陽性 | 陽性的中率 |
|---|---|---|---|
| 1,000人に1人(若い年代のイメージ) | 約100人 | 約40人 | 約71% |
| 100人に1人(40歳前後のイメージ) | 約997人 | 約40人 | 約96% |
※仮定の数字を使った計算例です。実際の年齢別の頻度は、検査を受ける妊娠初期の時点と出生時とで異なります。個人の確率を示すものではありません。
偽陽性は頻度にかかわらず約40人で一定です。そのため病気の頻度が低い若い方ほど、陽性の中に占める偽陽性の割合が高くなります。
性染色体・微小欠失は陽性的中率が低め
13・18・21トリソミー以外の項目では、陽性的中率はさらに下がる傾向があります。米国の大規模な検査室のデータでは、陽性的中率は21トリソミー84%、18トリソミー76%、13トリソミー45%に対して、X染色体が1本のモノソミーX(ターナー症候群)では26%でした[3]。NIPTでターナー症候群の可能性を指摘された方は、NIPTでターナー症候群陽性と診断された方へも参考にしてください。
染色体のごく一部が欠ける微小欠失も、数の異常より陽性的中率が低めです。項目や方法で差が大きく、60〜70%程度とする報告がある一方、同じ米国のデータでは22q11.2欠失症候群で21%と低い値も報告されています[3]。微小欠失で陽性と出た場合は、必ず確定検査(多くはマイクロアレイ検査)で確かめる必要があります。項目ごとの詳しい数字はNIPT 微小欠失の陽性的中率はどのくらい?で解説しています。
NIPTの偽陽性の原因|胎盤・双子・お母さん側の要因
偽陽性の原因を知る出発点は、NIPTで調べている「赤ちゃん由来のDNA」の多くは、実際には胎盤の細胞から来ているという事実です。
胎盤限局性モザイク(CPM)|最も代表的な原因
受精卵が赤ちゃんと胎盤に分かれる途中で一部の細胞に染色体の変化が起き、胎盤には染色体の変化があるのに、赤ちゃん本人の染色体は正常という状態が生じることがあります。これを胎盤限局性モザイクと呼びます。絨毛検査を受けた妊娠のおよそ1〜2%でみられると報告されています[5]。NIPTは胎盤由来のDNAを見るため、胎盤の変化を赤ちゃんの変化として拾ってしまい、偽陽性になります[4]。
💡 用語解説:胎盤限局性モザイク(たいばんげんきょくせいモザイク)
モザイクとは、1人の中に染色体の構成が違う2種類以上の細胞が混ざっている状態です。そのうち、染色体の変化が胎盤だけにとどまり、赤ちゃん本人には及んでいないものを胎盤限局性モザイク(英語の略でCPM)といいます。13トリソミーや、16・22番などのまれなトリソミーで起こりやすいことが知られています。用語の詳しい解説は限局性胎盤モザイクをご覧ください。
双子の一人が早い時期に消えた場合(バニシングツイン)
妊娠のごく初期には双子だったのに、一人の赤ちゃんの発育が止まり、子宮の中で吸収されていくことがあります。これをバニシングツインといいます。消えた赤ちゃんに染色体異常があった場合、その胎盤由来のDNAがしばらく血液中に残り、育っている赤ちゃんのNIPTが陽性になることがあります。初期に胎嚢が2つ見えていた方は、検査前に伝えてください。詳しくはバニシングツイン現象における染色体・遺伝子異常で解説しています。
お母さん自身の染色体の変化とがん
血液中のDNAの大部分はお母さん自身のものなので、お母さん側の変化も結果に影響します。
- ➤性染色体のモザイク:お母さんの血液細胞の一部でX染色体が増減していると、赤ちゃんの異常として報告されることがあります[7]。
- ➤お母さんのコピー数の変化:お母さんが症状のない小さな重複をもつと、その染色体が多く数えられ、偽陽性の原因になります[6]。
- ➤お母さんのがん:がんのDNAが血液中に出ると、複数の染色体に異常が出ることがあります。約12万5千件の解析では、複数の染色体に異常が出た39例のうち7例(18%)でお母さんのがんが見つかりました[8]。
お母さん側の要因についてはNIPTの偽陽性の原因:母体側の要因、がんとの関係はNIPTで母親の「がん」発見?でさらに詳しく解説しています。子宮筋腫については子宮筋腫があるとNIPTで判定保留になる?をご覧ください。
検査の方式による違い
NIPTには、すべての染色体を広く浅く読む方式と、調べたい領域にしぼって深く読む方式(ターゲット法)があります。広く浅く読む方式では、13・18・21番以外で偽陽性が増えることがあります。当院は、必要な領域をターゲット法などで深く調べ、精度を重視する考え方でプランを組んでいます。ダイヤモンドプランでは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※を採用しています。
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
どの方式でも胎盤由来の偽陽性はゼロにできません。方式にかかわらず、陽性なら確定検査で確かめることが前提です。
🩺 院長コラム【陽性の重さは、病気の種類で違う】
NIPTの陽性は、すべて同じ重さではありません。21トリソミーの陽性と、13トリソミーやモノソミーX、微小欠失の陽性とでは、本当に病気である確率がまったく違います。最初に確認すべきなのは「何の項目で陽性か」と「その陽性的中率」です。
そのうえで、どの項目であっても、妊娠を続けるかどうかの判断はNIPTの結果だけで行わないでください。正確な診断にもとづいて次の一歩を選んでいただくことが、後悔の少ない選択につながると考えています。
NIPT陽性で羊水検査が陰性だったときに考えること
NIPTで陽性、羊水検査で陰性という結果になった場合、羊水検査の結果のほうが赤ちゃんの状態を正しく表していると考えます。羊水の中の細胞は、赤ちゃん本人の皮膚や尿路などから出たものだからです。多くはその後の経過もほかの妊婦さんと変わりません。
胎盤限局性モザイクと赤ちゃんの発育の見守り
偽陽性の原因が胎盤限局性モザイクだった場合、多くは問題なく経過します。一方で、胎盤の染色体の変化の種類や割合によっては、胎盤の働きが落ちて赤ちゃんの発育がゆっくりになる(胎児発育不全)ことがあると報告されています[4]。陰性後も健診の超音波で発育を確認し、かかりつけ医にこの経過を伝えてください。胎盤限局性モザイクと胎児発育の関係は限局性胎盤モザイク(CPM)と胎児発育不良(FGR)の関係で、実際の経過の例はトリソミー22のNIPT陽性から羊水検査陰性へで紹介しています。
13・18・21番以外で陽性になった場合は、15番などで片親性ダイソミー(両親の一方からだけ染色体を2本受け継ぐ状態)が問題になることがあります。
絨毛検査より羊水検査を選ぶ場合
絨毛検査は妊娠11〜14週ごろに胎盤の一部(絨毛)を採って調べる検査で、早く結果がわかる利点があります。ただし、絨毛は胎盤の組織なので、胎盤限局性モザイクがあると絨毛検査でも陽性と出てしまうことがあります[4]。そのため13トリソミーやまれなトリソミーでは、羊水検査(妊娠15週以降)を選ぶか、絨毛検査の異常を羊水検査で確かめます。確定検査の位置づけと精度の限界は羊水検査・絨毛検査の精度とは?、胎盤限局性モザイクが疑われるときの羊水検査の役割は限局性胎盤モザイク(CPM)と羊水検査の役割で解説しています。
羊水検査の流産リスクと結果が出るまでの期間
論文を統合した解析では、検査が原因で増える流産のリスクは羊水検査で約0.30%、絨毛検査で約0.20%と報告されています[9]。結果が出るまでの期間は方法によって違い、速く数を調べる方法で数日、Gバンド法で2〜3週間、マイクロアレイ検査で2週間ほどです。マイクロアレイ検査の詳細はマイクロアレイ染色体検査(CMA)をご覧ください。
陽性的中率が低いと「無駄な確定検査」が増える?
「陽性的中率が低い項目を調べると、無駄な確定検査が増えるのでは」という心配があります。けれども、スクリーニング検査の役割は、多くの人の中から確定検査で確かめるべき人を拾い上げることです。
がん検診を例に考えてみます。米国で行われた肺がんの低線量CT検診の大規模試験では、検診で陽性と判定された人は全体の24.2%で、陽性の96.4%は精密検査でがんではない偽陽性でした。それでも、この検診によって肺がんによる死亡は20%減ったと報告されています[10]。
NIPTも同じ考え方です。微小欠失の多くは母親の年齢に関係なく起こり、超音波では見つけにくいため、NIPTで拾い上げる意味があります。ただし出生前検査では結果によって大きな決断を迫られます。陽性的中率の低い項目を調べるなら、「陽性なら確定検査で確かめる」ことを検査前に理解し、確定検査をすぐに受けられる体制を選ぶことが欠かせません。当院では確定検査まで院内で受けられ、陽性時の確定検査の費用は互助会で補助されます。
エコーで「異常なし」と言われたら偽陽性?
エコーで異常が見つからないことだけで、偽陽性とは判断できません。
エコーは体の形を見る検査で、NIPTとは見ているものが違います。21トリソミーでは、妊娠初期から中期のエコーで目立った所見がないことも珍しくありません。逆にエコーで異常があれば、本当の陽性の可能性は高くなります。エコーの結果は、確定検査を受けるかどうかの判断材料ではなく、確定検査の結果と合わせて解釈する情報と考えてください。
ブログ・知恵袋の「偽陽性だった」体験談の読み方
ブログや知恵袋の「陽性だったけれど羊水検査で陰性だった」という体験談は参考になりますが、読むときの注意点があります。
- ➤何の項目で陽性だったかを確認する:13トリソミーや微小欠失の体験談は、21トリソミー陽性の方や年齢が違う方には当てはまりません。
- ➤書かれやすい体験に偏る:「偽陽性でよかった」という体験は書かれやすく、「本当に陽性だった」という体験は書かれにくいため、ネット上では偽陽性の話が実際より多く見えます。
確定検査なしの判断は、どちらの結果でも後悔を残すことがあります。他院で陽性と言われ、確定検査を受けずに妊娠を続けるかどうかを決めようとしている方には、NIPT陽性で羊水検査なしの中絶は危険?偽陽性の真実を解説と他院でNIPT陽性…中絶を決める前に知ってほしい偽陽性体験談をお読みください。
自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる ― 当院で調べられること
偽陽性の話をすると、「それなら調べる項目は少ないほうがよいのでは」と考える方もいます。けれども、項目を選ぶときに考えてほしいのは、その病気が赤ちゃんとご家族の暮らしにどうかかわるかです。出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんの命や発達、ご家族の暮らしに大きくかかわりますが、その中身は病気によって大きく異なります。
ダウン症候群は、医療や支援の進歩で平均寿命が50〜60歳まで延び[20]、成人して働いたり地域で暮らしたりする方も多い病気です。知的障害のあるお子さんを比べた研究では、ダウン症候群のお子さんは、自閉症や原因不明の発達の遅れのあるお子さんに比べて、行動の問題が少ないと報告されています[21]。自閉スペクトラム症を伴う割合も、出生前検査で調べるほかの病気と比べて少ないことが分かっています[13]。一方、18トリソミーや13トリソミーでは、1歳まで生きられる赤ちゃんは約1割にとどまります[14]。また、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患の中には、重い知的障害やてんかんに加えて、自閉スペクトラム症を高い割合で伴う病気もあります(レット症候群61%、コルネリア・デ・ランゲ症候群43%、アンジェルマン症候群34%)[13]。
知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高いと報告されています[17]。ストレスを最も強く左右していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題、睡眠の問題でした[17]。アンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群では他人への攻撃的な行動が、コルネリア・デ・ランゲ症候群やスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群では自傷が多いことが分かっています[18]。こうした病気はどれも当院のNIPTで調べられます。ダウン症候群だけを調べればよいのか、検査を選ぶ前に考えていただきたい点です。
22q11.2欠失症候群は、妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられ、微小欠失症候群の中で最も多い病気です[12]。多くは親から受け継いだものではなく新しく起こる変化で、母親の年齢とは関係がありません[12]。心臓の病気、免疫の働きの低下、低カルシウム血症などを伴うことがあり、自閉スペクトラム症を伴う割合も一般より高いと報告されています[13]。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は、年齢にかかわらずすべての妊婦さんに22q11.2欠失症候群のNIPTを提供することを提案しています[11]。陽性的中率は数の異常より低いため、陽性なら確定検査が必要です。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を調べられます。
🧬 当院のNIPTで調べられる、自閉症・発達障害・知的障害にかかわる主な病気
| プラン | 微小欠失・重複 | 単一遺伝子 | 自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な疾患 |
|---|---|---|---|
| スタンダード | 6種類7疾患 | ― | 22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、プラダー・ウィリー症候群、スミス・マゲニス症候群 |
| プレミアム | 12種類13疾患 | ― | 上記+ジェイコブセン症候群、9p欠失症候群 など |
| ダイヤモンド | 12種類13疾患 | 56遺伝子 | 上記+レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群 |
| 双子マックス | 92種類+5Mbを超える構造異常 | ― | 上記の微小欠失+ウィリアムズ症候群、16p11.2欠失・重複 など |
| インペリアル | 92種類+5Mbを超える構造異常 | 最大155遺伝子(202疾患) | 上記+フェラン・マクダーミッド症候群、ピット・ホプキンス症候群 など |
※NIPTで調べられるのは、自閉症・発達障害・知的障害の原因の一部です。陰性でも、これらの心配がなくなるわけではありません。脆弱X症候群などNIPTで調べられない原因もあり、症状の重さは予測できません。
性染色体の数の異常(クラインフェルター症候群、トリプルX、47,XYY、ターナー症候群など)は、ほかの染色体の病気とは事情が大きく異なります。知的障害を伴うことは少なく、成人の多くは自立して生活しています[16]。ただし、言葉の発達がゆっくりだったり、読み書きなどに苦手さが出たりすることがあり、自閉スペクトラム症などの発達特性がみられる割合も一般より高いと報告されています(47,XYY 19%、47,XXY 11%)[15]。早く分かっていれば、ことばや学習の支援を早めに始めることができます。
これらの数字は病気のある方の中での割合で、大多数のお子さんには当てはまりません。単一遺伝子も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件)に増えたとする研究があります[19]。もっと詳しく知りたい方は自閉症はNIPTでわかりますか?をご覧ください。
\ ダウン症候群だけでなく、調べる範囲から選びたい方へ /
ダウン症候群だけでなく、18・13トリソミーや微小欠失症候群、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで、当院のNIPTでわかります。
NIPTで陽性になったら|確定検査の流れと当院の体制
陽性と言われたときに最も大切なのは、NIPTの結果だけで妊娠を続けるかどうかを決めないことです。
当院では、2025年6月から産婦人科を併設し、陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングは何度でも無料で、確定検査の詳細は羊水検査・絨毛検査のページをご覧ください。
費用の面では、NIPT1回につき8,000円の羊水検査互助会(カトレア会)があり、陽性時の確定検査の費用を補助します(補助の上限はありません)。また、安心検査結果保障制度(NIPT1回につき6,000円)は、再検査が必要になったのに再検査ができず結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金する制度です。陽性後の流れはNIPT陽性だったらどうする?でも解説しています。
検査を選ぶ段階で「陽性ならどうするか」まで考えておきましょう。陽性後の説明や確定検査を自分で探さなければならない施設もあります。施設選びのポイントはNIPTクリニックの選び方にまとめています。
🩺 院長コラム【偽陽性を前提に、検査を選ぶ】
偽陽性はNIPTの仕組みから避けられません。大切なのは、偽陽性が出たときに確実に確かめられる体制です。
当院が確定検査を院内で行い、互助会で費用を補助しているのはそのためです。検査を受ける前に、何を調べ、陽性ならどう確かめるのかを理解したうえで、ご自身に合う検査を選んでいただきたいと考えています。
🏥 陽性になったときの確かめ方まで考えて、NIPTを選ぶ
ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が運営し、カウンセリングから結果の説明、確定検査まで、終始責任をもって支援します。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。
よくある質問(FAQ)
Q1. NIPTで偽陽性になる確率はどのくらいですか?
病気の種類によって大きく違います。認証施設の2024年度報告では、陽性的中率は21トリソミー96.1%、18トリソミー88.4%、13トリソミー44.6%でした。性染色体や微小欠失では、陽性的中率はさらに低い傾向があります。
Q2. 「偽陽性率0.1%以下」なのに、陽性の多くが偽陽性になるのはなぜですか?
偽陽性率は「病気のない人のうち陽性と出る割合」、陽性的中率は「陽性と出た人のうち本当に病気の人の割合」で、別の数字です。病気の頻度が低いと本当の陽性が少ないため、若い方や頻度の低い病気ほど陽性の中に偽陽性が多くなります。
Q3. NIPTが陽性で、羊水検査が陰性でした。どちらを信じればよいですか?
赤ちゃん本人の細胞を調べる羊水検査の結果を優先します。ただし、偽陽性の原因が胎盤限局性モザイクだった場合は、赤ちゃんの発育がゆっくりになることがあるため、妊婦健診の超音波で発育を確認していきます。かかりつけの産婦人科に、NIPT陽性・羊水検査陰性だったことを伝えてください。
Q4. 確定検査は絨毛検査と羊水検査のどちらがよいですか?
絨毛検査は早い週数で受けられる一方、胎盤の組織を調べるため、胎盤限局性モザイクがあると陽性になることがあります。13トリソミーやまれなトリソミーなど胎盤限局性モザイクが疑われる場合は、羊水検査を選ぶか、絨毛検査で異常があった場合に羊水検査で確かめることを検討します。
Q5. 羊水検査で流産する確率はどのくらいですか?
論文を統合した解析では、検査が原因で増える流産のリスクは羊水検査で約0.30%、絨毛検査で約0.20%と報告されています。
Q6. エコーで異常がなければ、NIPTの陽性は偽陽性と考えてよいですか?
いいえ。エコーは体の形を見る検査で、染色体の変化は形に表れないことも多いため、エコーで異常がないことだけでは偽陽性とは判断できません。陽性なら確定検査で確かめてください。
Q7. 偽陽性が心配なので、調べる項目は少ないほうがよいですか?
項目を減らすと偽陽性は減りますが、見つけられる病気も減ります。微小欠失の多くは母親の年齢に関係なく起こり、自閉症や知的障害を伴う病気も含まれます。陽性なら確定検査で確かめることを前提に、どの病気まで知りたいかで選ぶことが大切です。
関連記事
参考文献
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。NIPTの結果や確定検査については、主治医・専門医にご相談ください。






