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出生前診断では、妊娠中の赤ちゃん(胎児)の発育や異常を調べる検査の結果を持って医師が診断をすることです。検査の種類は一つだけではなく、いくつのかの方法があります。それぞれ調べるところや精度が違い、費用もバラバラです。
今回の記事では、出生前診断で行われる検査の種類について解説をします。妊婦さんが気になる費用や精度ついても触れていますので参考にしてみてください。
出生前診断をする目的
出生前診断をする目的は、出産をする前に胎児の状態を親御さんが知ることです。それによって赤ちゃんへ治療や投薬をしたり、出産後の準備ができたりします。親御さんが出産前に赤ちゃんに疾患を持っているかどうかを知ることは、赤ちゃんの状態に合わせた分娩方法を医師と相談したり、産後に育てる環境を用意したりが可能です。
中には残念ながらご自身の現在の状況や育児の大変さ、胎児の疾患によって泣く泣く出産を諦めるご夫婦もいます。どんな決断であれ、ご夫婦で話し合いを設けて、お互いの育児や出産に対する価値観を知ることができるのが副産物かもしれません。
先天性の病気について
先天性疾患とは赤ちゃんが生まれつき持ってしまう病気のことです。異常はいくつかの原因があり、症状が違ってきます。どういった原因で先天性疾患を持ってしまうのかを紹介します。
染色体の変化が原因
染色体とは、人の体の細胞1つ1つの核の中に存在しているDNAが折りたたまれたものです。中には遺伝情報が詰まっています。人間の染色体は2本が1対となっており、常染色体という22対(44本)と性染色体という1対(2本)で構成されています。
この染色体の数や構造が変化してしまうことで疾患を持った赤ちゃんが生まれてくるのです。割合は全先天性疾患の約25%で、2番目に多い原因です。21番目の染色体の数が3本になるのを21トリソミーといい、ダウン症候群の子どもが生まれてくるのが最も多く約半数を占めています。
遺伝子の変化が原因
遺伝子はご両親から引き継がれて生まれてきます。ところが多くの人が変化した遺伝子を持っており、先天性疾患として発症させる場合があります。条件はさまざまです。両親双方から同じ変化がある遺伝子を受け継いだケースや、1つの遺伝子が変化しただけで発症する場合、いくつかの遺伝子変化が起きると発症するものなどがあります。
全体の20%が遺伝子の変化による先天性の疾患が起きています。
多因子遺伝によるもの
先天性疾患の40%を占める原因が多因子遺伝です。最も多い理由となります。多因子とはいくつかの遺伝子が変化することを指します。遺伝子の変化が起きる原因については、複数の遺伝子が変化して発症したり、環境など要因が複雑に絡んでいたりするため「これ」といったものはありません。
先天性疾患で最も多い心疾患は多因子遺伝が原因と言われています。
環境によるもの
タバコやアルコール、薬剤、放射線などが体内に入り込んでしまい先天性の疾患が起きるケースもあります。全体5%と高くはありませんが、ご両親の注意で防げる可能性が高い理由です。
出生前診断の種類
出生前診断にはいくつかの種類があり、それぞれ検査方法や費用、何を調べられられるのか違います。下の表で大まかな費用についてご紹介します。
検査名 | 検査時期 | 概算費用 |
---|---|---|
NT検査(胎児精密超音波検査) | 11週目〜13週目(初期) 18週目〜20週目(中期) 36週前後(分娩前) |
2万円~3万円 |
コンバインド検査 | 11週目〜13週目 | 2万円〜3万円 |
クアトロテスト(母体血清マーカー検査) | 15週目〜18週目 | 3万円〜5万円 |
新型出生前診断(NIPT) | 10週目以降(ミネルバクリニックは9週目以降) | 15万円~25万円 |
絨毛検査 | 11週目〜14週目 | 10万円~20万円 |
羊水検査 | 15週目〜16週目 | 10万円~20万円 |
検査によって費用に差があるのがおわかりいただけると思います。検査内容と目的、精度、受けられる時期が違うからです。それぞれの検査内容を確認していきましょう。
超音波エコー
通常の妊婦健診で使用している超音波エコーを使った検査です。エコーで写った胎児の様子を見て疾患がないかを診断します。出生前診断の場合、胎児の後ろの厚さ(NT)や胎児の発育状況を調べる検査です。
3Dや4Dといった立体的なエコーになると心臓疾患、口蓋裂、口唇裂、多指症、腎疾患などを調べられます。染色体異常はわからないので他の検査と組み合わせて行うケースが多くなります。
クアトロテスト(母体血清マーカー)
妊婦さんから採血をして胎盤由来のホルモンやタンパク質を測定する検査です。お腹の中の赤ちゃんの21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、二分脊椎や無脳症といった開放性神経管奇形の可能性をチェックします。
ただし、お母さんの年齢や体重、妊娠週数、家族歴などが確率に影響されるため精度が高いとはいえません。
コンバインド検査
コンバインド検査は先に紹介した超音波エコーとクアトロテストを組み合わせたものです。胎児の形態と遺伝子の両方を調べられるのがメリットになります。
超音波検査のみクアトロテストよりも精度は高いですが、非確定診断にあたるため正常だとは断言できません。
新型出生前診断(NIPT)
クアトロテスト同様、妊婦さんから採血をして血液中にある赤ちゃんのDNAの断片を調べる検査です。ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの有無を調べることができますが、クリニックによっては他の染色体の検査も可能です。その分費用は割高になります。
陰性的中率(赤ちゃんが正常だという確率)が99.9%と高い確率を持ちますが、あくまでも非確定診断のため、で陽性判定が出た場合は確定診断を受ける必要があります。
羊水検査
羊水検査はこれまで紹介してきた検査と違って確定診断です。つまり羊水検査で陽性と判定されたら子どもが先天性疾患を持って生まれてきます。、お腹に針を刺して羊水を採取して分析し染色体異常の有無を診断します。
すべての病気を診断することはできませんが、胎児の染色体の変化「染色体異常」を診断することができます。非確定検査で陽性判定が出た妊婦さんが受ける検査です。
絨毛検査
絨毛検査は、お腹に針を刺し胎盤を形成する前の胎児由来の細胞である絨毛を採取し、遺伝子疾患や染色体に異常がないかを調べる検査です。羊水検査同様、確定診断の一つで有り、陽性の結果が出たら赤ちゃんが疾患を持っていることが確定となります。
羊水検査よりも早く調べられられますが、実施している病院が少ないのと非確定検査を受けていないと受検できません。流産や出血、胎児の受傷、破水といった症状が起きる可能性があります。
出生前診断を受ける割合
国立成育医療研究センターなどのチームの調査によると2016年に出生前診断が行われた件数は約7万件です。出生数97.7万件における7.2%、高齢妊婦数27.8万人における25.1%となります。
また、2020年に厚生労働省で行われた第2回NIPT等の出生前検査に関する専門委員会で委員の一人である出産ジャーナリスト・河合蘭氏が提出した資料によると、「何も受けなかった」のは35歳未満が82.9%だったのに対し、35歳~39歳は65.3%、40歳以上は40.9%という結果です。年齢が上がるごとに出生前診断を受ける割合が増えています。理由は高齢出産になると先天性疾患を持つ赤ちゃんができる可能性が高いからです。30歳以上の出産が当たり前になっている現在では、この傾向が続いていくでしょう。
まとめ
出生前診断の種類と特長についてご紹介をしました。多くの種類があり、それぞれ調べられる部分や精度が違っていたのがおわかりいただけたかと思います。ご自分のお腹にいる赤ちゃんがどんな状態なのか知りたいと思うのは親として当然です。無事に生まれてきてほしいと思う心を落ち着かせるために検査を受けるのもいいかもしれません。ただし、結果をみて受けなければよかったというお声もあるのでご夫婦で十分に話し合って決めるのがいいと思います。
東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。ミネルバクリニックでは、妊娠9週から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、是非、お気軽にご相談ください。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。