目次
- 1 妊娠初期のめまい・吐き気はいつまで続く? 週数ごとの目安
- 2 「ふわふわ」「ぐるぐる」「立ちくらみ」― めまいのタイプで原因が違います
- 3 なぜ妊娠初期にめまいが起きるのか ― 「貧血のせい」は実は正確ではありません
- 4 つわりとめまいがセットで来るのはなぜ? ― 原因遺伝子は10個まで判明しました
- 5 すぐ受診してほしい「危険なめまい」の見分け方
- 6 食べられないことは、お腹の赤ちゃんに影響しますか?
- 7 今日からできる対処法 ― 水分・食事・動き方
- 8 生理前との見分け方と、めまい以外の妊娠初期症状
- 9 不安が強いときの選択肢としてのNIPT(新型出生前診断)
- 10 まとめ
- 11 よくある質問(FAQ)
- 12 関連記事
- 13 参考文献
📍 クイックナビゲーション
妊娠初期のめまいは、多くの方が妊娠15〜16週ごろまでに落ち着きます。そして、ひとくちに「めまい」といっても、「ふわふわ」「ぐるぐる」「立ちくらみ」では原因がまったく違います。食べられずに体重が減っても、この時期の赤ちゃんはお母さんの蓄えで育つので、基本的に心配はいりません。ただし、強い腹痛をともなう・水分がまったく摂れない・意識が遠のく場合は、すぐの受診が必要です。この記事では、その見分け方を臨床遺伝専門医がお伝えします。
- ➤ いつまで続く? 週数ごとの目安と、いつ楽になるのか
- ➤ 「ふわふわ」と「ぐるぐる」の違い ― 原因も対処法も別ものです
- ➤ なぜ妊娠初期にめまいが起きるのか ― 「貧血のせい」は実は正確ではありません
- ➤ つわりの重さは遺伝子で決まる部分がある ― 2026年に判明した10個の遺伝子
- ➤ すぐ受診すべき危険なめまい ― 見逃してはいけないサイン
- ➤ 赤ちゃんへの影響と、今日からできる対処法
妊娠初期のめまい・吐き気はいつまで続く? 週数ごとの目安
結論からお伝えします。妊娠初期のめまいや吐き気は、妊娠5〜6週ごろに始まり、8〜10週ごろにピークを迎え、15〜16週ごろには多くの方が落ち着いてきます。米国産科婦人科学会(ACOG)の診療指針でも、妊娠中の悪心・嘔吐はほぼ例外なく妊娠9週より前に始まるとされています[1]。
立っていられないほどのめまいや、水すら飲みたくない吐き気に襲われると、「この辛さが一生続くのではないか」と絶望的な気持ちになるかもしれません。今どのあたりにいるのかを、週数の目安で確認してみてください。
- • 妊娠4〜5週:まだ症状がない方が大半。この時期のふらつきは、寝不足や低血糖など妊娠以外の要因も考えます
- • 妊娠6〜7週:吐き気とともに、頭がふわふわする感じが出てきやすい時期。血管が広がりはじめ、血圧が下がってきます
- • 妊娠8〜10週:ピーク。最もつらい時期です。食事量が落ち、脱水と低血糖が重なってめまいが強くなります
- • 妊娠11〜13週:「少しましになった日」が出はじめます。まだ波がありますが、下り坂に入っています
- • 妊娠14〜16週:多くの方が楽になります。食欲が戻り、めまいの回数も減ってきます
- • 妊娠17週以降も続く場合:珍しくはありませんが、他の原因がないかを一度確認しておくと安心です
実際の診療現場でも、「もう耐えられない」と涙を流していた妊婦さんが、15週を境に嘘のようにすっと楽になり、笑顔でエコー写真を見つめる姿を何度も拝見してきました。
ただし、つわりの程度や期間には個人差が非常に大きいのが現実です。出産直前まで吐き気が続く方もいれば、まったく症状がない方もいます。専門医としてアドバイスしたいのは、「他の人と比べないこと」です。症状が重いからといって赤ちゃんに異常があるわけではありませんし、逆に症状がないからといって心配する必要もありません。「今は休むことがお母さんの唯一の仕事」と割り切り、罪悪感を手放してください。
「ふわふわ」「ぐるぐる」「立ちくらみ」― めまいのタイプで原因が違います
診察室でいちばん大切にしているのが、この見分けです。同じ「めまい」でも、体で起きていることはまったく別だからです。ご自身の症状がどれに近いか、確かめてみてください。
こんな感じ…足元が雲の上のよう、頭がぼんやりする、まっすぐ歩きにくい、常にうっすら続いている。
主な原因…血管が広がったことによる血圧の低下、つわりによる脱水、食べられないことによる低血糖。妊娠初期のめまいで、いちばん多いタイプです。
まずできること…こまめな水分と塩分、少量ずつの食事、急に動かない。多くはこれで軽くなります。
こんな感じ…天井や景色がぐるぐる回る、寝返りや起き上がりで数十秒だけ激しく回る、吐き気をともなう。
主な原因…耳(内耳・前庭)の問題であることが多く、代表が良性発作性頭位めまい症です。つわりで横になる時間が増えると起こりやすくなります。つまり、妊娠そのものが原因とは限りません。
まずできること…頭を急に動かさない。繰り返す場合や、耳鳴り・難聴・手足のしびれ・ろれつが回らないなどをともなう場合は、耳鼻科や内科での評価が必要です。
こんな感じ…立ち上がった瞬間・お風呂上がり・長く立っていたときに、目の前が暗くなる、冷や汗が出る、耳が遠くなる。座ると数十秒で戻る。
主な原因…起立性低血圧や迷走神経反射。脳へ届く血液が一時的に足りなくなった状態で、「脳貧血」と呼ばれることもあります。
まずできること…前ぶれを感じたら、我慢せずその場でしゃがむ・横になる。転倒によるけがのほうが心配です。
浮動性めまい…ふわふわ、ゆらゆらする感じ。血圧・血糖・水分といった全身の状態が関わることが多いタイプ。
回転性めまい…自分か周囲がぐるぐる回る感じ。平衡感覚をつかさどる内耳や、そこから脳へ向かう神経の問題で起こりやすいタイプ。
前失神…失神の一歩手前の状態。目の前が暗くなる、音が遠のく、冷や汗といった前ぶれが出ます。立ちくらみはこれにあたります。
なぜ妊娠初期にめまいが起きるのか ― 「貧血のせい」は実は正確ではありません
いちばんの理由は「血管が広がって血圧が下がる」こと
妊娠すると、赤ちゃんへ血液を送りやすくするために、お母さんの全身の血管がゆるやかに広がります。エストロゲン・プロゲステロン・リラキシンといったホルモンのはたらきによるもので、妊娠のごく初期から始まります。その結果、第1三半期のうちに血管の抵抗が最大30%ほど下がり、血圧は妊娠前より1割ほど低下し、妊娠16〜18週ごろに最も低くなります[2]。
血圧が下がれば、立ち上がったときに脳へ届く血液が一瞬足りなくなります。妊娠初期のふわふわ・立ちくらみの正体は、多くがこれです。「体が弱いから」でも「気の持ちよう」でもなく、赤ちゃんを育てるための正常な体の変化にともなう現象です。
「妊娠=貧血でめまい」は、初期にはまだ当てはまりません
「妊娠中は血が薄くなるからめまいが起きる」という説明をよく見かけます。これはまちがいではありませんが、時期がずれています。血液の液体部分(血漿)は妊娠のはじめから増えはじめますが、増え方がいちばん急になるのは妊娠中期で、その後も出産まで増え続けます[3]。つまり、薄まりによる生理的な貧血が目立ってくるのは妊娠中期以降であって、5〜15週ごろのめまいの主役ではないのです。
もちろん、もともと鉄が不足している方では、妊娠初期から鉄欠乏性貧血がめまいに関わることはあります。ただ「初期のめまい=貧血」と決めつけてしまうと、後で述べる本当に危険な原因を見落としかねません。健診で貧血を指摘されていないのにめまいが強いときは、血圧・水分・血糖の3つをまず疑ってください。
つわりが呼び込む「脱水」と「低血糖」
吐き気で水分が摂れないと、体をめぐる血液の量そのものが減ります。ただでさえ血圧が下がりやすい時期に脱水が重なると、めまいは一気に強くなります。さらに、食べられないことで血糖値が下がると、冷や汗・手のふるえ・強いふわふわ感が出ます。空腹になると気持ち悪さが増す「食べづわり」の方は、この低血糖が関わっています。
生理的貧血(希釈性貧血)…血液の液体部分が赤血球より速く増えるため、検査上の濃度が薄まる現象。病気ではなく、妊娠中期以降に目立ちます。
起立性低血圧…立ち上がったときに血圧が下がり、脳の血流が一時的に減る状態。ゆっくり動くことで予防できます。
迷走神経反射…痛み・疲れ・長時間の立位・満員電車などをきっかけに、脈と血圧が急に下がる反応。冷や汗とあくびが前ぶれになることがあります。
つわりとめまいがセットで来るのはなぜ? ― 原因遺伝子は10個まで判明しました
ここは、遺伝の専門クリニックとして、いちばんお伝えしたい章です。長いあいだ、つわりの原因は「hCGというホルモンの急増」と説明されてきました。この理解は、この数年で大きく書き換わっています。
2024年、国際的な研究チームが『Nature』誌で、GDF15というホルモンが、妊娠中の吐き気・嘔吐の主役であることを報告しました[4]。GDF15は赤ちゃん側(胎盤)から出て、お母さんの脳幹にある吐き気のスイッチに直接はたらきかけます。しかも重要なのは、妊娠前のGDF15が低かった人ほど、妊娠したときに症状が重くなるという点でした。つまり「慣れていない人ほどつらい」のです。
さらに2026年、妊娠悪阻としては過去最大規模の研究が『Nature Genetics』誌に発表されました。欧州系・アジア系・アフリカ系・ラテン系を含む10,974人の当事者と461,461人の対照を比べ、関連する遺伝子が合計10個まで特定されました[5]。GDF15とその受け皿であるGFRAL、胎盤に関わるIGFBP7・PGRに加え、食欲や血糖の調節、脳が「この食べ物で気持ち悪くなった」と学習するしくみに関わる遺伝子まで含まれていました。
GDF15…妊娠すると胎盤から大量に分泌されるホルモン。脳幹に届いて食欲を落とし、吐き気を起こします。
GFRAL…脳幹にあるGDF15の受け皿(受容体)。ここにGDF15がはまることで吐き気のスイッチが入ります。この受け皿の感じやすさに個人差があり、その差の一部が遺伝子で決まっていることが分かってきました。
なお、これらは複数の民族集団を含む国際共同研究の結果であり、日本人だけを対象にしたものではありません。また、遺伝子が分かったからといって、今すぐ受けられる遺伝子検査や治療があるわけでもありません。それでも、この知見にはとても大きな意味があります。つわりの重さは、あなたの根性や心の弱さで決まっているのではないと、科学が示したからです。
すぐ受診してほしい「危険なめまい」の見分け方
ここまで「多くは心配いりません」とお伝えしてきましたが、絶対に「つわりだから」で片づけてはいけないめまいがあります。次のどれかに当てはまるときは、迷わず受診してください。
- • 強い腹痛・肩の痛みをともなうめまいや失神(異所性妊娠の破裂を疑います)
- • 性器出血をともなうめまい
- • 半日以上、水分がまったく摂れない/尿がほとんど出ない
- • 妊娠前より体重が5%以上減った
- • ものが二重に見える・目が揺れる・ふらついて歩けない・受け答えがぼんやりする
- • 激しい頭痛・ろれつが回らない・手足に力が入らない
- • 妊娠9週を過ぎてから、急に吐き気やめまいが始まった
見逃してはいけない① 異所性妊娠(子宮外妊娠)
受精卵が子宮の内側以外に着床する異所性妊娠は、報告されている妊娠のおよそ2%を占めます。破裂するとお腹の中で出血し、めまい・立ちくらみ・失神が最初のサインになることがあります[6]。強い腹痛や肩への放散痛をともなうめまいは、つわりでは説明できません。まだ子宮内に赤ちゃんが確認できていない段階でのめまいは、とくに注意が必要です。
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見逃してはいけない② 妊娠悪阻と、その先にある合併症
つわりが重症化した状態を妊娠悪阻といいます。脱水と低栄養が進むと、めまいはどんどん強くなり、点滴が必要になります。さらに深刻なのが、ビタミンB1(チアミン)の不足によって起こるウェルニッケ脳症です。ふらついて歩けない、ものが二重に見える、ぼんやりして受け答えがおかしい ― この3つがそろったら緊急です。適切なビタミン補充で防げる合併症ですから、「吐き続けているのに水も食事も摂れない」状態を放置しないことが何より大切です[1]。
つわりが重症化し、水すら受け付けず吐いてしまう状態です。他の病気で説明できない持続的な嘔吐に加え、妊娠前より体重が5%以上減少したり、尿の回数や量が極端に減ったりした場合は、母体が危険な脱水・低栄養状態に陥っているサインです[1]。速やかな医療介入(点滴など)が必要となります。
見逃してはいけない③ 9週を過ぎてから始まっためまい・嘔吐
ACOGの診療指針は、妊娠9週を過ぎてから初めて悪心・嘔吐が現れた場合は、つわり以外の原因を検討すべきとしています[1]。胃腸の病気、胆石、尿路感染、甲状腺の異常、片頭痛など、妊娠と関係のない原因が隠れていることがあるためです。「妊娠中だから仕方ない」と我慢せず、経過を主治医に伝えてください。
総合内科専門医としての視点からお伝えしたいのは、「ただのつわりだから」と我慢しすぎないことの重要性です。実際に、「つわりは耐えるもの」と思い込み、重度の脱水で意識がもうろうとしてから救急受診されたケースもあります。適切な点滴加療を行えば、驚くほど体が楽になることも多いのです。
食べられないことは、お腹の赤ちゃんに影響しますか?
吐き気でまともな食事ができず、ふらふらとめまいが続く中で、お母さんたちが最も気に病むのは「私の栄養状態が悪いせいで、お腹の赤ちゃんの発育や脳に障害が出るのではないか」という点です。
専門医として明確にお伝えします。妊娠初期のお母さんの栄養不足が、直ちに赤ちゃんの健康や発育に深刻な悪影響を与えることはありません。
妊娠初期(とくに胎盤が完成する15週ごろまで)の胎児はまだ非常に小さく、成長に必要な栄養量もわずかです。人間の体は非常によくできており、母体に蓄えられている栄養素が、優先的にお腹の赤ちゃんへと送られるメカニズムが備わっています。お母さんの体重が減ってしまうほど辛い状態であっても、エコー検査をすると赤ちゃんは元気いっぱいに心臓を動かし、順調に成長していることがほとんどです。
「私の食生活がボロボロだから、赤ちゃんに申し訳ない」と診察室で自分を責めて号泣されていたお母さんが、モニターに映る力強い赤ちゃんの姿を見て、安堵の涙に変わる瞬間を幾度も目にしてきました。一番いけないのは、食べられないことでお母さんの心が壊れてしまうことです。今は「赤ちゃんは案外たくましく育っているから大丈夫」と信じ、ご自身の体を休めることに専念してください。
ただし、これは水分が最低限とれている場合の話です。前章のサインに当てはまるときは、我慢が赤ちゃんを守ることにはなりません。点滴を受けることも、立派な「赤ちゃんのための行動」です。
今日からできる対処法 ― 水分・食事・動き方
大原則は「食べられるものを、食べられる時に、食べられるだけ口にする」ことです。そのうえで、めまいのタイプ別に効く工夫があります。
- ➤脱水予防を最優先に
食事がとれなくても、水分だけは意識して摂りましょう。水やお茶が飲みにくい場合は、経口補水液やスポーツドリンク、炭酸水、氷を舐めるなど、ご自身が受け付けやすく吸収の良いものを見つけてください。 - ➤「ちょこちょこ食べ」で低血糖を防ぐ
1回の食事量を減らし、1日5〜6回に分けてこまめに食べることで、胃腸への負担を減らしつつ血糖値の急低下を防げます。枕元にひと口サイズのものを置き、起き上がる前に口に入れるのも有効です。 - ➤起き上がりは「3段階」で
立ちくらみ対策の要です。寝たまま足首を数回動かす → 30秒座る → ゆっくり立つ。お風呂上がりや、長く座っていた後も同じです。 - ➤前ぶれを感じたら、その場でしゃがむ
目の前が暗くなる・冷や汗・あくびは失神の前ぶれです。恥ずかしがらずにしゃがむか横になってください。転倒によるけがのほうが、はるかに危険です。 - ➤ぐるぐる回るタイプは、頭を急に動かさない
寝返りや起き上がりをゆっくりに。暗い場所では目印になる明かりをつけておくと、ふらつきが減ります。 - ➤鉄分と葉酸を意識する
症状が落ち着いている時は、赤身の肉や魚、ほうれん草など鉄分を含む食材を。厚生労働省も「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」で、この時期の栄養のとり方を示しています[7]。食事からの摂取が難しい場合は、主治医に相談のうえサプリメントを活用するのも有効です。 - ➤市販薬の自己判断はしない
酔い止めや胃薬を自己判断で使うのは避けてください。つらいときは、我慢せず主治医に相談を。妊娠中に使える吐き気止めがあります。
生理前との見分け方と、めまい以外の妊娠初期症状
これって妊娠? 生理前(PMS)のめまいとの違い
どちらもプロゲステロンなどの女性ホルモンの変化で起こるため、症状だけで見分けることはできません。最も確実な手がかりは基礎体温です。生理が始まれば体温は下がりますが、妊娠していれば高温期が2週間以上続きます。生理予定日を1週間過ぎても高温期が続き、めまいや吐き気があるなら、妊娠検査薬を使うか産婦人科を受診してください。
実際の診療でも、胃腸炎か生理前の不調だと思い込み、市販の胃薬や鎮痛剤を飲んでしまってから妊娠に気づき、慌てて相談に来られるケースが後を絶ちません。妊娠にごく早い時期に一般的な市販薬を数回飲んだことで、直ちに赤ちゃんに深刻な影響が出るわけではありませんので、まずは落ち着いて、飲んだ薬の名前と時期を主治医に伝えてください。
見過ごされがちな「情緒不安定」と、心身の休ませ方
妊娠初期には、めまいや吐き気以外にも、強い眠気、便秘、頻尿、胸の張り、腰痛、頭痛など全身に不調が生じます。中でも見過ごされがちなのが「情緒不安定」です。些細なことでイライラしたり、悲しくなって涙が出たりするのは、お母さんの性格のせいではなく、ホルモンの波による正常な反応です。
しかし、妊娠初期はお腹の膨らみなど外見上の変化がないため、パートナーや周囲の人から辛さを理解されにくく、強い孤独感を感じてしまう方が少なくありません。診察室で、ご夫婦間のすれ違いによる悩みをお聞きすることも多々あります。お母さん自身が「今は心も体も通常運転できない特別な時期なのだ」と割り切ると同時に、パートナーにもこの記事を読んでもらうなどして、医学的な知識を共有し、チームで乗り切る体制を作ることが心身の休息に繋がります。
不安が強いときの選択肢としてのNIPT(新型出生前診断)
体がつらい時期に「赤ちゃんは健康に育っているだろうか」という不安が重なると、心身の負担は限界に達します。その不安を早い段階で整理する選択肢のひとつがNIPT(新型出生前診断)です。お母さんの腕からの採血のみで行うため体調への負担が少なく、妊娠9週(早期NIPTの臨床研究では6週)から受けられます。
ミネルバクリニックでは、生涯に関わる検査だからこそ、偽陽性を極限まで減らしたターゲット法(COATE法)による高精度な検査を提供しています。広く浅く調べるワイドゲノム法は胎盤モザイクの影響を受けやすく、本当は病気ではないのに陽性と出てしまう偽陽性が多いという課題があります。妊婦さんを不必要に不安にさせないために、当院は狙った領域を深く精査する手法を重視しています。
当院は出生前検査認証制度の非認証施設ですが、臨床遺伝専門医が運営し、検査前の遺伝カウンセリングから判定、陽性後のケア、院内での確定診断(羊水検査・絨毛検査)まで終始責任をもって支援します。互助会(8,000円・強制加入)により、羊水検査の費用は全額補助されます。
まとめ
- • いつまで:5〜6週に始まり8〜10週がピーク、15〜16週ごろには多くの方が落ち着く
- • タイプで違う:ふわふわは血圧・脱水・低血糖、ぐるぐるは耳、立ちくらみは起立性低血圧
- • 原因:妊娠初期の主役は血管拡張による血圧低下。生理的貧血が効いてくるのは中期以降
- • つわりの重さ:GDF15をはじめ10個の遺伝子が関わる。根性の問題ではない
- • 受診の目安:強い腹痛・出血をともなう/水分が摂れない/体重5%減/歩けない・ぼんやりする/9週以降の新規発症
- • 赤ちゃんへの影響:水分がとれていれば、初期の体重減少で発育に問題が出ることはほとんどない
つらい時期は必ず終わります。それまでは、休むことを最優先にしてください。気がかりなことがあれば、どうかおひとりで抱え込まず、ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
🏥 不安を、ひとりで抱えないために
妊娠初期のめまいや吐き気、そしてお腹の赤ちゃんへの不安は誰もが抱くものです。私たちは正確性と心の安全を最優先に、あなたの不安に寄り添います。
🏥 妊娠初期のご不安もご相談ください
お急ぎの方は、NIPT専用ダイヤル 03-3408-3768 へ
✓ 臨床遺伝専門医が運営し、終始責任をもって支援します
✓ 産婦人科併設で、NIPTから確定検査まで院内対応(2025年6月〜)
✓ 確定検査は基本的に日曜・祝日に実施、主要項目は3日以内
✓ 中立・非指示的な遺伝カウンセリングで、ご家族の決定に寄り添います
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参考文献
- ACOG Practice Bulletin No. 189: Nausea and Vomiting of Pregnancy. Obstet Gynecol. 2018;131(1):e15-e30. doi:10.1097/AOG.0000000000002456[PubMed]
- Newman C, Petruzzi V, Ramirez PT, Hobday C. Hypertensive Disorders of Pregnancy. Methodist DeBakey Cardiovascular Journal. 2024. doi:10.14797/mdcvj.1305[論文]
- de Haas S, et al. Physiological adaptation of maternal plasma volume during pregnancy: a systematic review and meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017. doi:10.1002/uog.17360[論文]
- Fejzo M, et al. GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy. Nature. 2024;625(7996):760-767. doi:10.1038/s41586-023-06921-9[論文]
- Fejzo M, et al. 妊娠悪阻に関するゲノムワイド関連解析(10,974例/461,461対照、欧州系・アジア系・アフリカ系・ラテン系を含む国際共同研究). Nature Genetics. 2026.[論文]
- ACOG Practice Bulletin No. 193: Tubal Ectopic Pregnancy. Obstet Gynecol. 2018;131(3):e91-e103. doi:10.1097/AOG.0000000000002560[PubMed]
- 厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」(令和3年3月)[公式サイト]






