InstagramInstagram

神経管閉鎖障害とは?二分脊椎・無脳症はいつわかる?原因・葉酸の飲み方・再発率

仲田洋美 医師

この記事の監修・執筆:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

記事の作り方(編集方針)

神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)とは、妊娠のごく初期に、赤ちゃんの脳と脊髄のもとになる「神経管」という管がうまく閉じずに起こる、生まれつきの病気の総称です。主なものは二分脊椎(にぶんせきつい)・無脳症(むのうしょう)・脳瘤(のうりゅう)の3つです。妊娠前からの葉酸でリスクを下げられる一方、原因は葉酸の不足だけではありません。この記事では、種類と症状、原因、葉酸の飲み方、妊娠中のいつ・どの検査でわかるのか、次の妊娠で再び起こる確率までを、臨床遺伝専門医がまとめます。

⏱️ 30秒でわかる要約

🧠 Q. 神経管閉鎖障害とは?

脳と脊髄のもとになる神経管が、妊娠のごく初期に閉じきらずに起こる病気の総称です。背骨の一部が閉じない二分脊椎、頭の骨と脳が十分に作られない無脳症、脳が頭の骨のすき間から出る脳瘤があります。

🔍 Q. いつ、どの検査でわかる?

超音波検査(エコー)で見つけます。妊娠11〜13週の超音波で無頭蓋症はすべて、開放性二分脊椎は半数余りが見つかったという研究があり、残りの多くは妊娠中期の超音波で見つかります。

💊 Q. 葉酸はいつから、どれくらい?

妊娠の1か月以上前から妊娠3か月まで、食事に加えてサプリなどから1日0.4mgが国の勧めです。前の妊娠で神経管閉鎖障害があった方は、量を医師の管理下で決めます。

🧬 Q. NIPTでわかる?

わかりません。NIPTは染色体や遺伝子の変化を調べる検査です。ただ、神経管閉鎖障害にほかの形の異常が重なっている赤ちゃんでは18トリソミーなどの染色体の変化が見つかることがあり、そちらを調べるのはNIPTの役割です。

\ 形はエコー、染色体はNIPT。妊娠初期から調べられることを知っておきたい方へ /

📅NIPTを予約する

当院のNIPTは妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。陽性なら確定検査まで院内で受けられます。
東京・北青山のミネルバクリニックのNIPT | スタンダードプラン

神経管閉鎖障害とは?二分脊椎・無脳症・脳瘤の3つ

神経管閉鎖障害は、脳と脊髄のもとになる「神経管」が閉じきらないことで起こる、生まれつきの病気のまとまりです。閉じなかった場所によって、二分脊椎・無脳症・脳瘤に分かれます。英語ではneural tube defects(NTDs)と呼ばれます。

神経管は、妊娠に気づく前後に作られる

受精卵が育つ途中で、背中側の細胞の板が丸まって管になり、これが神経管になります。神経管の頭の側は脳に、しっぽの側は脊髄になります。この管が作られて閉じるのは、多くの方がまだ妊娠に気づいていないか、気づいたばかりの、妊娠のごく初期です。国や学会が「妊娠が分かってから」ではなく「妊娠の前から」葉酸をとるよう勧めているのは、このためです[1][2]。

💡 用語解説:神経管(しんけいかん)

赤ちゃんの体ができていく最初の時期に、背中側にできる細長い管です。のちに脳と脊髄になります。この管の閉じ方がうまくいかないと、脳や脊髄、それを包む骨や皮膚が、きちんとふさがれないまま生まれてくることがあります。

二分脊椎(脊髄髄膜瘤・潜在性二分脊椎)

二分脊椎は、背骨の一部が閉じずに、脊髄やそれを包む膜(髄膜)に影響が出る状態です。とくに、腰やお尻の上の皮膚と骨が閉じきらず、脊髄が体の表面に出ているものを脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう)といいます。顕在性二分脊椎・開放性二分脊椎とも呼ばれ、日本では指定難病(告示番号118)になっています[3]。

これとは別に、皮膚に覆われていて外からは分かりにくい「潜在性二分脊椎」もあります。お尻のくぼみや毛などで気づかれることがあり、検索でも多く調べられていますが、妊娠中の検査で問題になるのは主に開放性のほうです。この記事でも、とくに断りがなければ開放性二分脊椎(脊髄髄膜瘤)のことを指します。

無脳症(無頭蓋症)

無脳症は、神経管の頭の側が閉じずに、頭の骨と脳が十分に作られない状態です。その前の段階として、頭の骨ができていない「無頭蓋症(むとうがいしょう)」が妊娠初期の超音波検査で見つかることがあります[4]。生まれたあと長く生きることは難しい病気で、妊娠中に分かったときの考え方や、18トリソミーを伴っていた例は無頭蓋症とは?いつわかるか・原因と葉酸・再発率で詳しく解説しています。

脳瘤

脳瘤は、頭の骨にすき間が残り、そこから脳や髄膜が袋のように外へ出ている状態です。後頭部にできることが多く、出ている脳の量や場所によって、見通しは大きく違います。

📋 神経管閉鎖障害の主な種類

種類 閉じなかった場所 主な特徴
二分脊椎(脊髄髄膜瘤) 脊髄側(腰・お尻の上が多い) 脊髄が体の表面に出る。足の動きや感覚、排尿・排便に影響。水頭症を伴うことが多い
無脳症(無頭蓋症) 脳側 頭の骨と脳が十分に作られない。妊娠初期の超音波で見つかることが多い
脳瘤 脳側(後頭部が多い) 頭の骨のすき間から脳や髄膜が外に出る。見通しは大きさや場所で異なる

脊髄髄膜瘤の特徴は難病情報センターの解説[3]にもとづきます。

神経管閉鎖障害になるとどうなる?症状・治療と日本の制度

「神経管閉鎖障害になるとどうなるのか」は、種類によって大きく違います。ここでは、生まれてから長く付き合っていくことになる脊髄髄膜瘤を中心に説明します。

脊髄髄膜瘤の主な症状

難病情報センターの解説によると、主な症状は、両足の変形や動きの鈍さ、足やお尻の感覚の鈍さ、排尿・排便の障害です。多くは水頭症(すいとうしょう:脳の中に髄液がたまる状態)やキアリII型奇形を伴い、水頭症の影響で発達の遅れやてんかんが起こることもあります。感覚が鈍いため、お尻や腰に床ずれ(褥瘡)ができやすくなります[3]。水頭症については先天性水頭症(総論)でも解説しています。

治療は「生まれてすぐの手術」と、生涯の付き合い

脊髄髄膜瘤には、根本的に治す方法はありません。生まれてすぐに、感染を防ぎ症状の悪化を止めるための修復の手術が行われます。水頭症には、髄液をためる装置や、脳室から腹部へ髄液を流す管(脳室腹腔シャント)の手術が行われます。足の症状にはリハビリテーションが中心となり、排尿・排便には、自分で管を入れて尿を出す方法(清潔間欠的自己導尿)や浣腸が必要になります[3]。

生涯にわたって経過を診ていく病気ですが、大学を卒業して一般の会社に就職している方も多いと紹介されています。一方で、シャントの不具合のサイン(頭痛など)を見逃さないことや、尿路感染・腎臓の働きの低下を防ぐための導尿を続けることが大切だとされています[3]。

日本では指定難病・小児慢性特定疾病の対象

脊髄髄膜瘤は、難病法の指定難病(告示番号118)です[3]。また、子どもの慢性の病気の医療費を助成する小児慢性特定疾病でも、神経・筋疾患の「脊髄髄膜瘤」として対象になっています[8]。難病情報センターは、日本では年間200〜300人の患者さんが生まれていると推測しています[3]。医療費の助成を受けるには、それぞれ認定の手続きが必要です(2026年10月時点)。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「葉酸を飲まなかった私のせい」と考える前に】

神経管閉鎖障害について調べると、「葉酸」という言葉が必ず出てきます。そのため、妊娠に気づかず葉酸を飲んでいなかった方が、自分を責めてしまうことがあります。けれども、次の章で見るように、原因は葉酸の不足だけではありません。葉酸を十分にとっていても起こることがあり、とっていなくても大多数の赤ちゃんには起こりません。

臨床遺伝専門医として大切だと考えているのは、「過去に何をしなかったか」ではなく、「これから何を確かめられるか」に目を向けていただくことです。神経管閉鎖障害は、妊婦健診の超音波検査で見つけられる病気です。今からできることを知ることが、不安を小さくする材料になると考えています。

神経管閉鎖障害の原因は?葉酸不足だけではない

神経管閉鎖障害は、栄養・遺伝・環境などの要因が複雑に関わって起こる病気です。どれか一つが原因と決まるものではありません[3]。

🧩 発症にかかわるとされる主な要因

要因 内容
栄養 葉酸の不足。妊娠前から十分にとると、脊髄髄膜瘤の発生の60〜70%を予防できるとされる
お母さんの体の状態 過度な肥満、糖尿病
薬 バルプロ酸やカルバマゼピン(抗てんかん薬)の内服
遺伝 遺伝的な要因も関わる。前の妊娠で神経管閉鎖障害があった方や、家族に患者さんがいる方は「ハイリスク群」とされる

出典:難病情報センター「脊髄髄膜瘤(指定難病118)」[3]、日本先天異常学会[2]。

表のなかで見落とされやすいのが薬です。てんかんの治療でバルプロ酸やカルバマゼピンを飲んでいる方は、自己判断で薬をやめるとてんかんの発作が起こる危険があります。妊娠を考えた時点で、主治医と薬や葉酸の量を相談してください。糖尿病のある方も同じで、妊娠前から血糖を整えておくことが勧められます。

遺伝的な要因は、1つの遺伝子で決まるというより、いくつもの遺伝子と環境が重なって起こる「多因子遺伝」の考え方で説明されます。遺伝の伝わり方の種類は遺伝形式とは?顕性・潜性から多因子までで解説しています。なお、妊娠初期の高熱と赤ちゃんへの影響が心配な方は、妊娠初期に高熱…赤ちゃんへの影響は?もご覧ください。

💡 用語解説:多因子遺伝(たいんしいでん)

1つの遺伝子の変化だけで起こるのではなく、いくつもの遺伝子の個人差と、栄養・薬・病気などの環境の要因が重なって起こる病気の考え方です。家族に同じ病気の人がいると起こりやすくなりますが、メンデルの法則のような決まった確率では伝わりません。

葉酸の飲み方:いつから・どれくらい・誰が多めに?

神経管閉鎖障害のリスクを下げるための葉酸は、「妊娠の1か月以上前から妊娠3か月まで、食事に加えて1日0.4mg」が国の勧めです[1]。

国と学会の勧め

2000年(平成12年)12月、厚生省(現在の厚生労働省)は、妊娠を計画している女性に、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月まで、食事からの葉酸に加えて、栄養補助食品から1日0.4mgの葉酸をとるよう情報提供を進める通知を出しました。同じ通知では、葉酸の摂取量は1日1mgを超えるべきではない、ともしています[1]。

日本先天異常学会も、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性に、妊娠前4週から妊娠12週まで、葉酸サプリメントで1日0.4mgをとるよう呼びかけています[2]。食品にも葉酸は含まれますが、通知では、栄養補助食品の葉酸のほうが体で利用されやすいことから、サプリメントなどでの摂取を勧めています[1]。

前の妊娠で神経管閉鎖障害があった方は「医師の管理下」で

前の妊娠で神経管閉鎖障害があった方や、家族に神経管閉鎖障害の患者さんがいる方は、ハイリスク群とされます。この場合は、医師の管理下で葉酸をとることが必要です[1][2]。日本先天異常学会は、英国の研究で、ハイリスク群の方に1日4mgの葉酸を使い、次の子どもでの再発が72%減ったことを紹介しています[2]。

⚠️ 量を自分で増やさないでください

ハイリスク群で使われる量は、ふつうに勧められる量の10倍です。通知では、一般の方の葉酸は1日1mgを超えないようにとされています[1]。多めに飲むかどうか、どれだけ飲むかは、自己判断ではなく医師と決めてください。

日本では、サプリを飲む人は1〜2割

日本先天異常学会によると、日本の妊婦さんで葉酸サプリメントを飲んでいる人は10〜20%にとどまり、神経管閉鎖障害の発生率は下がっていません[2]。国の通知から20年以上たっても、妊娠前から飲む人がまだ少ないことが、日本の大きな課題です。これから妊娠を考える方には、「妊娠が分かってから」ではなく「妊娠を考えたときから」が大切だと知っていただきたいと考えています。

気づかず飲んでいなかった場合

葉酸で予防できるのは、脊髄髄膜瘤の発生の60〜70%とされています[3]。裏を返すと、葉酸を飲んでいても起こることがあり、飲んでいなくても多くの赤ちゃんには起こらないということです。気づいた時点から飲み始め、妊婦健診の超音波検査をきちんと受けてください。

葉酸でダウン症候群は防げない

「葉酸でダウン症候群も防げる」と書かれた情報を見かけることがありますが、ダウン症候群は21番染色体が1本多いことで起こる染色体の数の変化で、葉酸で防ぐことはできません。葉酸が予防に役立つのは、ここで説明している神経管閉鎖障害です。ダウン症候群の原因と葉酸の関係は、葉酸飲んでたのに…ダウン症の原因とサプリの効果で詳しく解説しています。

神経管閉鎖障害はいつわかる?妊娠週数と検査

神経管閉鎖障害は、超音波検査(エコー)で赤ちゃんの頭や背骨の形を見て見つけます。種類によって、見つかりやすい時期が違います。

妊娠11〜13週の超音波検査

妊娠11〜13週に行われた通常の超音波検査で見つかった形の異常を調べた研究では、無頭蓋症(無脳症の前の段階)はすべて見つかり、開放性二分脊椎は半数余りが見つかりました[4]。無脳症の系統は妊娠初期から見つけやすい一方、二分脊椎は初期では見つからないことも少なくありません。

妊娠中期の超音波検査

妊娠中期には、背骨の形や、二分脊椎に伴って起こりやすい頭の中の変化を、より詳しく見られるようになります。米国の医療機関グループの記録を調べた研究では、生まれる前に診断がついた神経管閉鎖障害186例のうち、62%は妊娠中期の通常の超音波検査で最初に見つかっていました[5]。超音波検査で何がわかり、どこに限界があるかは胎児超音波検査(超音波胎児スクリーニング検査)とは?で解説しています。

母体血清マーカー検査(AFP・クアトロテスト)

開放性の神経管閉鎖障害があると、お母さんの血液中のAFP(アルファフェトプロテイン)という物質が高くなることがあり、クアトロテストなどの母体血清マーカー検査で手がかりになります。ただし、同じ米国の研究では、AFPの検査を受けていた102例のうち25%は検査が陰性で、とくに二分脊椎では検査を受けた40例のうち15例(38%)が陰性でした[5]。血液の検査だけで安心せず、超音波検査とあわせて見ることが大切です。クアトロテストについてはクアトロテストを受けるべきかで解説しています。

🔍 神経管閉鎖障害と各検査の関係

検査 神経管閉鎖障害がわかるか 主に分かること
妊娠11〜13週の超音波検査 無頭蓋症は見つかりやすい。開放性二分脊椎は半数余り 頭の骨や体の形
妊娠中期の超音波検査 主な発見の場 背骨の形、頭の中の変化
母体血清マーカー(AFPなど) 手がかりになるが、陰性でも否定できない 開放性NTDや染色体の病気の確率
NIPT わからない 染色体の数の変化、微小欠失など(プランによる)

出典:Syngelakiら(2019)[4]、Noremら(2005)[5]。[5]は米国の医療機関グループの記録を調べた研究です。

次の妊娠で再発する確率は?

前の妊娠で神経管閉鎖障害があった場合、次の妊娠で再び起こる確率は2〜3%と、米国疾病対策センター(CDC)の1991年の報告で示されています[6]。同じ報告は、こうした方に妊娠前から1日4mgの葉酸を勧めています[6]。日本でも、前の妊娠で神経管閉鎖障害があった方はハイリスク群とされ、医師の管理下で葉酸をとることが求められています[1][2]。

2〜3%という数字は、一般の妊婦さんより高い一方で、97〜98%は再び起こらないということでもあります。さらに、葉酸を医師の管理下で使うことで、再発を減らせることが分かっています[2]。ご家族ごとの確率は、前の妊娠の病気の種類、ほかの形の異常や染色体の変化を伴っていたか、家族歴などで変わります。

① 妊娠を考える主治医に前の妊娠のことを伝える
▶
② 葉酸の量を決める医師の管理下で
▶
③ 妊娠中の超音波初期・中期で確かめる
▶
④ 必要なら遺伝の相談染色体なども含めて
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【再発率の「2〜3%」をどう受け止めるか】

再発率は、同じ数字でも受け止め方が人によって大きく違います。「100人に2〜3人もいる」と感じる方もいれば、「100人に97人は起こらない」と感じる方もいます。どちらが正しいということはありません。大切だと考えているのは、数字だけを見るのではなく、その数字を下げるためにできること(医師の管理下での葉酸)と、起きたときに早く気づく方法(妊娠中の超音波検査)をセットで知っておくことです。

また、前の妊娠の赤ちゃんに、神経管閉鎖障害のほかにも形の異常があった場合は、染色体の変化が隠れていた可能性もあります。その場合は、次の妊娠で何を確かめるかの考え方も変わります。前の妊娠の診断の内容は、できるだけ詳しく残しておくことをおすすめします。

NIPTでは神経管閉鎖障害はわからない ― 染色体を調べるのはNIPTの役割

NIPTで神経管閉鎖障害はわかりません。NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAから、染色体や遺伝子の変化を調べる検査で、背骨や頭の骨の形を見る検査ではないからです。形の異常は超音波検査、染色体の変化はNIPTと確定検査、という役割分担になります。当院のNIPTの料金に含まれる4Dエコーも、神経管閉鎖障害を調べるための検査ではありません。

神経管閉鎖障害と18トリソミーなどの染色体の変化

それでも、神経管閉鎖障害と染色体の話がつながる場面があります。米国で、妊娠中に見つかった神経管閉鎖障害(無脳症44例・開放性二分脊椎62例)を調べた研究では、染色体の数の異常などが見つかったのは全体で約6%でした。神経管閉鎖障害だけの場合は約2%でしたが、ほかにも形の異常が重なっている場合は24%で、見つかった変化の多くは18トリソミーでした[7]。

つまり、神経管閉鎖障害そのものは葉酸と超音波検査の話ですが、ほかの形の異常を伴っている赤ちゃんでは、染色体の変化が隠れていることがあります。18トリソミーはエドワーズ症候群(18トリソミー)総論、エコーでみられる特徴は18トリソミー胎児のエコーでわかる特徴で解説しています。13トリソミーについては13トリソミー(パトウ症候群)とは?をご覧ください。

当院のNIPTで調べられること

当院のNIPTは、妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。週数が早いほど血液中の赤ちゃん由来のDNAが少なく、再検査になることがあります。どのプランでも13・18・21トリソミーを調べ、プランによって微小欠失・重複や単一遺伝子の変化まで調べられます。微小欠失や単一遺伝子の変化には、自閉症・発達障害・知的障害の原因の一部になるものも含まれます。

🧬 当院のNIPTプランと調べられる範囲

プラン 染色体の数 微小欠失など 単一遺伝子
スタンダード 13・18・21トリソミー+性染色体の数の異常 6種類7疾患 ―
プレミアム 13・18・21・15・16・22トリソミー 12種類13疾患 ―
ダイヤモンド プレミアムと同じ プレミアムと同じ de novo 56遺伝子
双子マックス 全常染色体の数の異常 92種類の微小欠失・重複+5Mbを超える構造異常 ―
インペリアル 全常染色体の数の異常 92種類の微小欠失・重複+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子(202疾患)

料金はNIPTの費用・料金のページでご確認ください。料金には臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリング・4Dエコー・性別判定が含まれます。

NIPTはスクリーニング検査なので、陽性なら確定検査で確かめます。当院では2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査とも院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料です。精度の考え方はNIPT精度は本当に高い?的中率と限界で解説しています。

\ 染色体の変化は、妊娠初期からNIPTで調べられます /

📅NIPTを予約する

陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要項目は3日以内に結果が出ます。
プランごとの料金を見る | NIPTを受けるべきか迷う方へ

よくある質問(FAQ)

Q1. 神経管閉鎖障害にはどんな種類がありますか?

主に3つあります。背骨の一部が閉じずに脊髄に影響が出る「二分脊椎」、頭の骨と脳が十分に作られない「無脳症」、頭の骨のすき間から脳や髄膜が外に出る「脳瘤」です。二分脊椎のうち、脊髄が体の表面に出ているものは脊髄髄膜瘤(開放性二分脊椎)と呼ばれ、日本では指定難病(告示番号118)になっています。

Q2. 神経管閉鎖障害は何が不足するとなりやすいのですか?

よく知られているのは葉酸(ビタミンB群の一つ)の不足です。妊娠前から葉酸を十分にとると、脊髄髄膜瘤の発生の60〜70%を予防できるとされています。ただし原因は葉酸だけではなく、お母さんの肥満や糖尿病、バルプロ酸やカルバマゼピンなど一部の抗てんかん薬、遺伝的な要因なども関わります。

Q3. 神経管閉鎖障害は妊娠何週ごろ、どの検査でわかりますか?

超音波検査(エコー)で見つかります。妊娠11〜13週の超音波検査を調べた研究では、無頭蓋症(無脳症の前の段階)はすべて見つかり、開放性二分脊椎は半数余りが見つかりました。残りの多くは、妊娠中期の超音波検査で見つかります。母体血清マーカー検査(クアトロテストなど)でも手がかりが得られますが、二分脊椎では陰性になることも少なくありません。

Q4. 葉酸はいつから、どれくらい飲めばいいですか?

厚生労働省(当時は厚生省)の通知では、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月まで、食事に加えて栄養補助食品から1日0.4mgの葉酸をとることが勧められています。日本先天異常学会は、妊娠前4週から妊娠12週まで1日0.4mgとしています。葉酸の摂取量は、1日1mgを超えないようにとされています。

Q5. 妊娠に気づかず葉酸を飲んでいなかったのですが、大丈夫でしょうか?

飲んでいなかったからといって、必ず神経管閉鎖障害が起こるわけではありません。原因は葉酸の不足だけではなく、葉酸を飲んでいても起こることがあります。気づいた時点から飲み始めてかまいません。神経管閉鎖障害は超音波検査で見つかる病気なので、妊婦健診の超音波検査をきちんと受けることが大切です。

Q6. 一度、神経管閉鎖障害の赤ちゃんを妊娠しました。次の妊娠でも起こりますか?

米国疾病対策センター(CDC)の1991年の報告では、前の妊娠で神経管閉鎖障害があった場合、次の妊娠で再び起こる確率は2〜3%とされています。こうした方は「ハイリスク群」とされ、葉酸の量や飲み方を医師の管理下で決める必要があります。英国の研究では、1日4mgの葉酸で再発が72%減りました。自己判断で量を増やさず、妊娠を考えた時点で医師に相談してください。

Q7. NIPTで神経管閉鎖障害はわかりますか?

わかりません。NIPTは赤ちゃん由来のDNAから染色体や遺伝子の変化を調べる検査で、背骨や頭の骨の形を見る検査ではないためです。神経管閉鎖障害は超音波検査で見つけます。一方で、神経管閉鎖障害にほかの形の異常が重なっている赤ちゃんでは、18トリソミーなど染色体の数の異常が見つかることがあり、染色体を調べるのはNIPTや確定検査の役割です。

🏥 形はエコーで、染色体はNIPTで確かめる

神経管閉鎖障害は妊婦健診の超音波検査で見つける病気です。染色体の変化は、当院のNIPTで妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として)調べられ、プランによっては一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで調べられます。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら羊水検査・絨毛検査まで院内で受けられます。

まだ決めていない方は:NIPTを受けるべきか迷う方へ(3つの判断基準) | スタンダードプランの詳細 | オンラインNIPT(全国110か所の提携施設で採血)

関連記事

参考文献

  • [1] 厚生省児童家庭局母子保健課長・保健医療局地域保健・健康増進栄養課生活習慣病対策室長. 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について(児母第72号・健医地生発第78号). 2000年12月28日. [厚生労働省]
  • [2] 日本先天異常学会. 葉酸サプリメントの摂取により神経管閉鎖障害の発症リスクを減らしましょう(日本先天異常学会からのメッセージ). 改訂版2018年3月27日. [日本先天異常学会]
  • [3] 難病情報センター. 脊髄髄膜瘤(指定難病118)病気の解説(一般利用者向け). [難病情報センター]
  • [4] Syngelaki A, Hammami A, Bower S, Zidere V, Akolekar R, Nicolaides KH. Diagnosis of fetal non-chromosomal abnormalities on routine ultrasound examination at 11–13 weeks’ gestation. Ultrasound Obstet Gynecol. 2019;54(4):468-476. [DOI 10.1002/uog.20844] [PubMed 31408229]
  • [5] Norem CT, Schoen EJ, Walton DL, Krieger RC, O’Keefe J, To TT, Ray GT. Routine ultrasonography compared with maternal serum alpha-fetoprotein for neural tube defect screening. Obstet Gynecol. 2005;106(4):747-752. [Kaiser Permanente Division of Research]
  • [6] Centers for Disease Control and Prevention. Use of folic acid for prevention of spina bifida and other neural tube defects—1983-1991. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 1991. [CDC]
  • [7] Hume RF, et al. Aneuploidy among prenatally detected neural tube defects. Am J Med Genet. 1996;61(2):171. [OSTI]
  • [8] 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所. 難病・小児慢性特定疾病データベース「118. 脊髄髄膜瘤」. [NIBIOHN]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・検査の選択を示すものではありません。葉酸の量や薬については主治医にご相談ください。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

関連記事