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NIPT(新型出生前診断)陰性だったのにダウン症: 偽陰性はなぜ起こる?

NIPT新型出生前診断)は染色体異常スクリーニングにおいて高い精度を誇りますが、まれにNIPTの陰性結果にもかかわらず、後にダウン症が確認されるケースが報告されています。この状況が発生する主な原因は、技術的な制約と個別の生物学的要因に関連しています。NIPTは母体の血液中から胎児由来の遺伝物質を解析するため、遺伝子断片の検出に一定の制約が存在し、胎児由来のDNAが低濃度である場合や特定の染色体異常の種類に対して感度が低いことがあります。このため、NIPTの結果は確定的な診断ではなく、確認のために追加の検査が必要です。ダウン症に関連する誤診のリスクを理解し、NIPTの結果を確かめるために医師との協力が不可欠です。

NIPT(新型出生前診断)の基本

NIPTはNon-Invasive Prenatal Testing(非侵襲的出生前検査)の略称で、妊娠中の胎児の健康評価に用いられる現代の遺伝子検査技術です。NIPTは通常、妊娠初期から後期にかけて行われ、妊娠中の染色体異常や遺伝的疾患のリスクを非侵襲的に評価するために母親の血液サンプルを使用します。この検査により、胎児の染色体異常や遺伝的疾患のリスクを評価し、必要に応じて追加の検査や治療を検討するための情報が提供されます。

NIPTの陽性と陰性の意味

NIPT陰性(Negative)
NIPTの陰性結果は、検査において特定の染色体異常や遺伝的疾患のリスクが低いことを示します。つまり、胎児がそのような異常を持つ可能性が低いことを示唆します。
NIPT陽性(Positive)
NIPTの陽性結果は、検査において特定の染色体異常や遺伝的疾患のリスクが高いことを示します。つまり、胎児がそのような異常を持つ可能性が高いことを示唆します。陽性結果が出た場合、通常、追加の検査(例:羊水穿刺、絨毛膜検査)が行われ、確定診断を行うための情報を提供します。

NIPTの精度と信頼性

NIPTは、従来の胎児スクリーニングに比べて、一般的に高い精度と信頼性を持つ検査とされています。その信頼性は、以下の要因に基づいています。

遺伝子(DNA)解析
NIPTは母親の血液中に存在する胎児由来のDNAを分析するため、高度な遺伝子解析技術が使用されます。これにより、染色体異常や遺伝的疾患のリスクを評価できます。
多くの染色体異常の検出
NIPTは主にダウン症候群21トリソミー)、エドワーズ症候群18トリソミー)、およびパタウ症候群(13トリソミー)などの主要な染色体異常を検出するために使用されます。これらの異常の検出率99%以上と高いです。
非侵襲的
NIPTは非侵襲的な検査であり、胎児や母体へのリスクが低いため、多くの妊婦に適しています。

ただし、NIPTはスクリーニング検査であるため、陽性結果の場合、確定診断のために追加の検査が必要です。また、NIPTは一部の染色体異常に関しては偽陰性や偽陽性のリスクを持つこともあり、医師や遺伝カウンセラーとの協力が重要です。

NIPTの偽陰性と偽陽性の概念

NIPT(新型出生前診断)は非侵襲的な染色体異常検査であり、高い精度を誇りますが、偽陰性と偽陽性という概念に注意が必要です。

偽陰性(False Negative)
NIPTの偽陰性結果は、実際に胎児が染色体異常を持っているにもかかわらず、陰性(正常)と誤って判断される場合を指します。これは、胎児由来のDNAが十分に検出できない、または特定の染色体異常の種類に対して感度が低い場合に発生します。偽陰性の場合、問題が見逃される可能性があります。
偽陽性(False Positive)
偽陽性結果は、NIPTが染色体異常の兆候を示すにもかかわらず、実際には胎児が正常である場合を指します。これは、一時的なDNA変化や他の要因によって偽の陽性結果が出ることがあります。偽陽性の場合、不必要な心配や追加の検査が行われる可能性があります。

偽陰性と偽陽性はどちらもNIPTの限界と関連しており、確定的な診断を提供するものではありません。そのため、NIPTの結果が疑わしい場合、医師との協力による確定診断を行うことが重要です。偽陰性や偽陽性のリスクを理解し、慎重に検査結果を評価することが必要です。

NIPT陰性結果なのにダウン症の理由とは?

NIPT(新型出生前診断)の陰性結果なのにダウン症が判明する状況は、稀ではあるのですが、発生することがあります。これはいくつかの理由によるものです。

胎児の組織源の誤判定
NIPTは母親の血液中に存在する胎児由来のDNAを解析して染色体異常を評価しますが、時に正確なDNA源泉の特定が難しいことがあります。胎児由来のDNAと母親のDNAを正確に区別することが難しい場合、誤った結果が生じる可能性があります。
胎児のDNA濃度
NIPTの精度は、胎児由来のDNAの濃度に影響を受けます。胎児由来のDNAが十分に検出されない場合、陰性結果が出る可能性が高まります。これは特に初期の妊娠段階でより顕著です。
遺伝子変異
まれに、NIPTは特定の遺伝子変異や染色体再編成に対して感度が低い場合があります。これにより、陰性結果が出たにもかかわらず、染色体異常が見逃される可能性があります。しかし、ダウン症に関しては一般的にはどの検査会社で受けても、感受性は一番高くなっています。
技術的誤差
NIPTは高度な遺伝子解析技術を使用していますが、技術的な誤差が発生する可能性があります。サンプリング、解析、データ処理の過程で誤差が生じた場合、誤った結果が示されることがあります。
第21番染色体の部分重複
ダウン症(21トリソミー)は、必ずしも21番染色体が1本まるっと増えていないと症状が起こらないわけではありません。ダウン症候群の症状を発現するには、最低限q22.13-q22.2の4.3Mbが過剰にある(重複している)ことで十分です。(文献)そうすると、従来のNIPTではこうした部分重複は検出されませんので、偽陰性につながる可能性があります。

陰性結果ながらダウン症の診断が誤って行われることは稀ながらも、偽陰性(患者が実際に疾患を持っているにもかかわらず陰性結果が出ること)は現実的なリスクです。そのため、NIPTの結果を確定的な診断とはみなさず、疑わしい場合は確定診断を行うための追加の検査が行われることが重要です。診断には羊水穿刺や絨毛膜検査が含まれます。

NIPT検査を行なう施設の信頼性

NIPT検査を行なう施設の信頼性は非常に重要です。信頼性のある施設を選ぶことが、適切な診断と結果の品質を確保するために不可欠です。以下のポイントに注意を払い、信頼性の高い施設を選びましょう。

経験と専門性
施設がNIPT検査を提供する経験と専門知識を持つことが重要です。専門家の資格や訓練を確認しましょう。
認定と証明
NIPT施設が関連する医療機関や規制機関から認定や証明を受けているか確認しましょう。これは施設の品質と規律を示すものです。
技術と機器
施設が最新の遺伝子解析技術や高品質の機器を使用していることを確認しましょう。技術の進化は検査の精度に影響します。
評判と口コミ
他の患者や医療専門家の評判や口コミを調査し、信頼性の高い施設を見つけるのに役立てましょう。
プライバシーとデータセキュリティ
検査のプライバシーとデータセキュリティが確保されていることを確認しましょう。個人情報の保護は非常に重要です。

NIPT検査を受ける前に、医師や専門家と相談し、信頼性の高い施設を選択することで、正確な結果と安心を得ることができます。

※ミネルバクリニックでは、厳しい国際認証を二重以上に受けている検査機関に提出しております。取り扱っているのも臨床遺伝専門医という遺伝医学のエキスパートなので、ご安心下さい。

うまれた赤ちゃんがダウン症の場合、どのように向き合うべきか?

赤ちゃんがダウン症の場合、愛とサポートに満ちた環境を提供することが重要です。以下は向き合うプローチをお伝えします。

情報収集
ダウン症についての知識を深め、その特徴や医療ケアの理解を高めることが大切です。専門家の意見を求め、サポート情報を収集しましょう。
早期介入
早期から専門的な支援を受けることが重要です。言語療法、物理療法、聴覚療法などの専門家の協力を得て、発達を支援しましょう。
家族の結束
家族は一体となり、赤ちゃんのニーズに応えるために共同作業を行いましょう。感情的なサポートと協力が大切です。
適切な教育
特別な教育プログラムを検討し、赤ちゃんの能力に合わせた教育計画を立てましょう。
サポートグループ
ダウン症のサポートグループに参加して他の家族と経験を共有し、情報と感情的なサポートを得ることができます。
愛情と受容
赤ちゃんが成長する過程で、彼らの個性や才能を尊重し、愛情と受容を示しましょう。ダウン症の子供たちは幸せで充実した生活を送る機会を持っています。

まとめ

NIPT(新型出生前診断)検査の陰性結果が出たにもかかわらず、後にダウン症が確認されるケースはまれに発生します。このような状況が生じる原因はいくつか考えられます。NIPTは非侵襲的なスクリーニング検査であり、一時的なDNA変化や遺伝子の特定が難しい場合、誤診が生じる可能性があるためです。したがって、NIPTの結果は確定診断ではなく、陽性結果または疑わしい場合には追加の検査が必要です。このような状況に直面した場合、家族は適切な医療専門家と連携し、確定診断を受けるべきです。また、ダウン症の理解と支援に関する情報を収集し、家族としての結束と愛情を育むことが大切です。この過程で、専門家のサポートとサポートグループの協力が家族にとって重要な要素となります。

NIPTは受ける人の約30~50人に1人が陽性になります。陽性になったときのサポートをしっかり受けられる医療機関でNIPTを受けることが一番大事です。

ミネルバクリニックでは、NIPTの経験が日本有数の臨床遺伝専門医が常駐し、みなさまをサポートしています。

院長アイコン

ミネルバクリニックでは、以下のNIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 (がん薬物療法専門医認定者名簿)、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医(臨床遺伝専門医名簿:東京都)として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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