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この記事では、NIPT(新型出生前診断)の性別判定検査としての側面に関する重要な情報を提供します。NIPTは、胎児の性別を非侵襲的に判定するための画期的な方法です。NIPTによる性別判定検査の実施手順、Y染色体が母体血中に出現する時期や、検査の信頼性が何週から高まるのかについても触れます。
NIPT(新型出生前診断)の概要
NIPTは、非侵襲的な出生前検査方法で、妊娠中の胎児の遺伝的異常や性別を判定するために用いられます。この検査では、母親の血液中に胎児のDNA断片が含まれることを利用し、性別判定や染色体異常のスクリーニングを行います。NIPTは高精度で信頼性が高く、非侵襲的な方法で情報を提供するため、多くの妊婦にとって重要な選択肢となっています。
NIPT性別判定検査の必要性
NIPT性別判定検査は、妊娠中の胎児の性別を非侵襲的に確認する方法で、以下の理由から重要です。
- 早期性別確認
- NIPTは超音波で性別判定が可能となるよりずっと早くに、赤ちゃんの性別を知ることが可能です。早期に性別を知ることで親の期待と結びつけ、出産前の準備がしやすくなります。
- 染色体異常スクリーニング
- NIPTは染色体異常(例: ダウン症)のスクリーニングにも役立ち、妊娠の健康管理に寄与します。
- 性別に関連した疾患
- 特定の性別に関連した疾患のリスクを評価し、適切な医療対応を計画するための情報を提供します。
NIPT性別判定検査は、家族計画や妊娠の健康管理において有用なツールです。
NIPT性別判定検査の方法
NIPT(新型出生前診断)性別判定検査は、非侵襲的な方法で胎児の性別を確認するために次のステップで行われます。
- 血液採取
- 妊娠中の母親から採取した血液サンプルを収集します。
- 胎児DNA解析
- 母親の血液中に含まれる胎児のDNA断片を分離します。
- Y染色体検出
- Y染色体(男性の性別に関連する染色体)の存在を確認し、その有無に基づいて性別を判定します。
- 結果報告
- 性別判定結果を提供し、必要に応じて医師の監修と共に結果を説明します。
この方法は非侵襲的で高精度な性別判定を提供し、胎児の健康や家族計画に役立ちます。
Y染色体検出の原理
NIPT(新型出生前診断)におけるY染色体検出の原理は、母親の血液中に含まれる胎児のセルフリーDNA(cffDNA)を利用して行われます。この方法は以下の原理に基づいています。
- cffDNA(cell free fetal DNA)の存在
- 妊娠中の母親の血液中には、胎児の細胞が壊れて放出したDNA(cffDNA)が含まれています。cffDNAは通常、母親と胎児の遺伝情報を反映します。
- Y染色体の特定
- Y染色体は男性の性別に関連した染色体であり、男性胎児にはY染色体が1本存在します。NIPTでは、cffDNA中にY染色体の存在を検出することによって男性性別を確認します。
- DNAシーケンシング
- 母親の血液中から収集されたcffDNAは、高度なDNAシーケンシング技術を用いて解析されます。この解析により、Y染色体の存在や量が検出され、性別が判定されます。
- 結果報告
- Y染色体が検出された場合、男性性別(男の胎児)であることが確認されます。逆に、Y染色体が検出されない場合は女性性別(女の胎児)であると判定されます。
NIPTによるY染色体検出の原理は、cffDNAの分析とY染色体の有無を確認することによって、非侵襲的かつ高精度な性別判定を実現します。
NIPTによる性別判定の精度と信頼性
胎児の性別判定におけるNIPTの診断精度は非常に高いものです。検査の感度は 98.9%、特異度は 99.6% です。陽性的中率と陰性的中率も同様に高く、それぞれ99.6%と 98.8%です。
NIPT の診断精度は在胎週数が増加するにつれて増加します。妊娠7週以前の感度は74.5%ですが、妊娠7~12週では94.8%、20週以降では99.0% になります。血漿と血清を使用した診断精度は同等に高くなります。
胎児の性別判定におけるNIPTの診断精度は非常に高いと言えるでしょう。
但し、妊娠7週目以降に採取された母体血液サンプルは、7週目以前に採取された血液サンプルよりも信頼性の高い結果が得られるため、妊娠7週目以降に検査を受けることが大切です。
文献:Non-invasive prenatal testing (NIPT) for foetal sex determination
Y染色体の成分が母体血中に出現する時期と、どの時期に受ければよいのか
体外受精(IVF)プログラムを通じて妊娠した30人の女性の末梢血から、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて単一コピーのY染色体DNA配列を増幅した研究成果を見ていきましょう。
体外受精なので、受胎時刻は正確にわかっており、連続する超音波検査によって妊娠が確認されました。
Y染色体特異的DNAは、男児の妊娠すべて(18/30)で検出され、最も早い時期は4週5日で、最も遅い時期は7週1日でした。女児のみが出産された妊娠では、Y染色体配列は検出されませんでした。これは、胎児DNAが妊娠第初期の早い段階で母体循環中に現れること、7週までに検査されたすべての妊娠で胎児DNAが確認できること、妊娠中ずっと存在し続けること、および2か月後には母体循環から除去されることが示されています。
但し、先ほどお伝えした通り、妊娠7週までの性別判定の正確性は低くなりますので、NIPTは妊娠7週を超えてから受けるようにしましょう。
関連記事:NIPTの性別判定が外れた場合
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NIPTによる性別判定検査のメリットと考えるべきポイント
NIPTによる性別判定のメリットとしては、以下が挙げられます。
- 非侵襲的
- NIPTは母親の血液サンプルから行われ、子宮内に針を刺す必要がないため、非侵襲的です。
- 高い精度
- NIPTは性別判定において非常に高い精度を持ち、確実な結果を提供します。
- 早期性別確認
- 妊娠の比較的早い段階で性別を確認でき、親の期待と出産前の準備に役立ちます。
- 染色体異常スクリーニング
- NIPTは性別判定と同時に主要な染色体異常(例: ダウン症)のスクリーニングも行えます。
- 性別に関連した疾患の評価
- 特定の性別に関連した疾患やリスクを評価し、必要な医療対応を計画するための情報を提供します。
NIPTの性別判定に関して考えるべきポイントは以下が挙げられます。
- 費用
- NIPT性別判定検査の費用について調査し、予算を考慮する必要があります。
- 医師の監修
- NIPT性別判定検査は医師の指導の下で受けるべきであり、結果の解釈やカウンセリングが重要です。
- 性別情報の利用
- 性別情報を慎重に扱い、家族計画や妊娠の健康管理に役立てる際に考慮が必要です。性別に関連した疾患がある場合には特に慎重になる必要があります。
NIPT性別判定検査は非侵襲的で高精度な方法であり、妊娠中の性別確認や健康管理に貢献しますが、十分な情報と医師の指導を受けることが重要です。
NIPTの性別判定、双子の場合はどうなるの?
一卵性双生児の場合には、単一の性別判定となりますので、NIPTは通常、母体の血液中から検出された胎児のDNAを元に性別を判定できます。
二卵性双生児の場合には、双子が異なる性別を持つ場合があります。この場合、NIPTはY染色体の成分があるかどうかを判定します。Y染色体の成分がなければ両方女の子となります。Y染色体の成分があれば、少なくとも1人は男の子ということであり、もう一人の性別はNIPTの結果からはわかりません。
NIPTで性別判定で気をつけるべき稀なケースと確率
染色体(遺伝子)と実際の性別が合致しないケースがあり、確率としては全体として1/4000程度です。
たとえば染色体は男性なのに、アンドロゲンというホルモンに反応することができないため、身体は男性の特徴を欠いているけれども子宮もない、というアンドロゲン不応症がわが国には13万人に1人の割合でいます。
よくある質問:NIPT性別判定検査に関する一般的な質問
以下はNIPT性別判定検査に関する一般的な質問とそれに対する回答です。
- Q1: NIPT性別判定検査とは何ですか?
- A1: NIPT(新型出生前診断)性別判定検査は、妊娠中の胎児の性別を非侵襲的に判定するための検査です。母親の血液中に含まれる胎児のセルフリーDNA(cffDNA)を利用して行います。
- Q2: NIPT性別判定検査はいつ受けるべきですか?
- A2: 通常、妊娠後10週から12週目の間に行いますが、一番早くて正確性が担保できるのは妊娠7週以降になります。
- Q3: NIPT性別判定検査はどの程度の精度を持っていますか?
- A3: NIPTは非常に高い精度を持ち、正確な性別判定率はほぼ100%に近い場合が多いです。
- Q4: NIPT性別判定検査の結果はどれくらいの時間で出ますか?
- A4: 通常、結果は1週間から10日程度で得られますが、クリニックや施設によって異なる場合があります。
- Q5: NIPT性別判定検査の費用はどのくらいですか?
- A5: 費用は地域や施設によって異なります。医療保険は適応されませんので、具体的な費用についてはクリニックにお問い合わせください。
- Q6: NIPT性別判定検査は双子の場合にも適用されますか?
- A6: はい、NIPTは双子の場合にも適用可能です。但し、双子の場合、Y染色体の成分があれば、少なくとも1人は男児となり、もう一人の性別はわかりません。
- Q7: NIPT性別判定検査はどのような状況で役立ちますか?
- A7: NIPT性別判定検査は、妊娠の健康管理や家族計画に役立ちます。また、主要な染色体異常のスクリーニングも行えます。
- Q8: NIPT性別判定検査の結果は100%確実ですか?
- A8: NIPTは非常に高い精度を持っていますが、結果が100%確実であることは保証されません。
- Q9: NIPT性別判定検査の結果が異なる場合、どのように対応すればよいですか?
- A9: 異なる結果が得られた場合は、まず医師と相談し、追加の検査やカウンセリングを受けることをお勧めします。
NIPT性別判定検査に関する詳細な情報や疑問点は、医師や医療専門家に相談することが最も重要です。
まとめ
●NIPTによる性別判定は100%に近い正確さで行えます。(但し100%ではありません)
●染色体やDNAの型と表現される性別が違う疾患があり、それらの頻度を合わせると1/4000となります。
●妊娠7週より手前で受けると、正確性が損なわれるので、NIPTは妊娠7週を過ぎてから受けましょう。
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