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NIPT(新型出生前診断)で性別はわかる?何週から・精度と確率、エコーや市販キットとの違い、外れた原因を解説

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

NIPT(新型出生前診断)では、赤ちゃんの性別がわかります。妊婦さんの血液に流れている赤ちゃん由来のDNAの中に、Y染色体の配列があるかどうかを調べられるためです。60の研究をまとめた解析では、性別判定の感度は98.9%、特異度は99.6%と報告されています[1]。ただし、結果が外れることはあり、性別を伝えるかどうかは施設によって異なります。この記事では、出生前診断のなかでNIPTの性別判定がどういう位置にあるのか、何週からわかるのか、精度と外れる確率、エコーやベビーナブ、市販キットとの違い、そして「外れた」と言われる原因を順に説明します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約13分
👶 NIPT・性別判定・精度・外れる原因
★ 臨床遺伝専門医監修

Q. NIPTで赤ちゃんの性別はわかりますか?

A. わかります。妊婦さんの血液中にY染色体由来のDNAがあれば男の子、なければ女の子と推定します。性別判定の精度は高く、複数の研究をまとめた解析で感度98.9%、特異度99.6%です。ただし確定的検査ではなく、日本の認証施設のNIPTでは性別は調べません。性別を伝えるかどうかは、受ける施設で変わります。

  • ➤何週から → 胎児由来のDNAは妊娠5週ごろから検出された報告があるが、7週未満は信頼性が下がる
  • ➤外れる頻度 → 約130万件の調査で、食い違いの報告は約14,300件に1件
  • ➤外れる原因 → 性分化疾患、検体の取り違えやエコーの誤認、バニシングツイン、胎児分画の不足など
  • ➤ほかの方法 → エコーとベビーナブは外性器の形から、尿の市販キットは根拠が乏しい方法
  • ➤当院の扱い → 性別判定はNIPTの料金に含まれる

⏱️ 30秒でわかる要約

🗓️ Q. NIPTで性別はいつからわかる?

赤ちゃん由来のDNAは妊娠5週ごろから検出された報告がありますが、妊娠7週未満の検査は信頼性が低いとされています。当院のNIPTは通常妊娠9週から受けられ、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。週数が早いほど、性別を含めて判定が難しくなる場合があります。

🔍 Q. 性別の判定が違うことはある?

あります。約130万件の調査では、食い違いの報告は約14,300件に1件でした。原因は性分化疾患、検体の取り違えやエコーの見間違い、バニシングツイン、胎児由来のDNAが少ないことなどで、約3分の1は人為的なミスでした。

🌸 Q. 当院では性別も教えてもらえる?

はい。性別判定はNIPTの料金に含まれており、追加の費用はかかりません。性別は染色体についての結果とあわせてお伝えします。なお、日本の認証施設のNIPTでは性別は調べません。

1. NIPTで性別はわかる?まず結論

NIPTで赤ちゃんの性別はわかります。NIPTは、妊婦さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAを読み取り、染色体ごとの量を調べる検査です。性別を決める性染色体(X染色体とY染色体)も読み取りの対象にできるため、21トリソミーなどの染色体の数の変化とあわせて、性別も推定できます。

母体の血液に胎児由来のDNAが流れていることは、1997年に報告されました[2]。この報告では、Y染色体の配列があるかどうかから赤ちゃんの性別を判定できることが示されました[1]。性別の判定は、この技術のなかでもっとも早くから使われてきた応用です。

ただし、知っておきたい点が2つあります。1つは、精度が高くても結果が外れる場合があること。もう1つは、検査で性別がわかっても、それを妊婦さんに伝えるかどうかは施設ごとに違うことです。以下で順に説明します。

出生前診断で性別がわかる検査・わからない検査

出生前診断のうち、性別がわかるのは「染色体そのもの」または「外性器の形」を調べる検査です。出生前診断にはいくつかの種類があり、調べている対象が違います。NIPTと羊水検査・絨毛検査は染色体の情報を、超音波検査(エコー)は赤ちゃんの体の形を見ています。

一方、母体血清マーカー検査やコンバインド検査は、妊婦さんの血液中のホルモンやたんぱく質の値(コンバインド検査ではエコーの計測値も加える)から、染色体の数の変化がある確率を計算する検査です。染色体を直接読んでいるわけではないため、これらの検査から性別はわかりません。

🧪 出生前診断と性別の関係

検査 調べているもの 性別 位置づけ
NIPT 母体血中の胎児由来DNA(性染色体を含む場合) わかる(伝えるかは施設による) 非確定的検査
超音波検査(エコー) 外性器の形 推定できる(時期と見え方による) 画像検査
羊水検査・絨毛検査 胎児や胎盤の細胞の染色体 わかる 確定的検査
母体血清マーカー検査・コンバインド検査 母体血中のホルモン・たんぱく質の値など わからない 非確定的検査

※羊水検査・絨毛検査には流産の可能性があります。近年のメタ解析では、検査を受けなかった群との差から推定した手技関連流産リスクは、羊水検査で約0.30%、絨毛検査で約0.20%と報告されています[15]。性別を知る目的で受ける検査ではありません。

このように、採血だけで性別まで推定できるのはNIPTだけです。エコーは妊婦健診のなかで性別を推定できますが、赤ちゃんの外性器がはっきり見える時期まで待つ必要があります。早い週数で性別を知る方法としてNIPTが挙がるのは、この違いによるものです。

性別を教えてもらえる施設と、教えてもらえない施設がある

NIPTを受けても、性別を教えてもらえない施設があります。日本医学会の出生前検査認証制度等運営委員会は、2022年(令和4年)2月に「NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」を公表しました[3]。この制度で認証された検査分析機関については、検査の対象が13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーの3つに限られているかどうかが審査で確認されています[4]。

つまり、認証施設で行われるNIPTでは性染色体を検査の対象にしていないため、結果として性別も報告されません。「NIPTを受けたのに性別を教えてくれなかった」という声の多くは、この仕組みによるものです。検査の精度に問題があるわけではなく、調べる範囲の決め方が違うということです。

一方、認証を受けていない施設では、性染色体を検査項目に含め、希望する方に性別を伝えているところがあります。当院もその1つで、性別判定はNIPTの検査項目に含まれています。なぜ施設によって扱いが分かれるのか、その背景はNIPTで性別を教えてもらえない理由で詳しく説明しています。

2. なぜ血液検査で性別がわかるのか

妊婦さんの血液には、赤ちゃん由来のDNAの断片が混ざって流れています。NIPTはその断片を読み取り、Y染色体に由来する配列があるかどうかで性別を推定します。採血から結果までの流れを先に示します。

妊婦さんから採血
▶
血漿からDNAの断片を取り出す母体由来と胎児由来が混在
▶
配列を読み取り染色体ごとに数える
▶
Y染色体由来の配列の有無をみるあれば男の子/なければ女の子

母体の血液に流れる赤ちゃん由来のDNA(cfDNA)

私たちの血液には、細胞が壊れたときに出てくる短いDNAの断片が流れています。これをcfDNA(セルフリーDNA)といいます。妊娠中は、妊婦さん自身のcfDNAに加えて、胎盤から出てきたcfDNAが混ざります。この胎盤由来のcfDNAは、胎盤の表面をおおう栄養膜という細胞から出ていると考えられています[1]。胎盤は受精卵からできる組織なので、ほとんどの場合、赤ちゃんと同じ遺伝情報を持っています。

💡 用語解説:胎児分画(たいじぶんかく)

妊婦さんの血液中のcfDNA全体のうち、胎盤(赤ちゃん側)に由来するものが占める割合のことです。胎児ゲノム率、fetal fractionとも呼ばれます。約13,600人を調べた研究では、妊娠13週での平均は約12.7%で、週数が進むほど高くなり、妊婦さんのBMIが高いほど低くなる傾向がありました[5]。この割合が低いと、赤ちゃん由来の情報を読み取りにくくなります。

NIPTでは、取り出したcfDNAの配列を次世代シークエンサーなどの機器で大量に読み取り、それぞれの断片がどの染色体に由来するかを調べます。母体由来の断片と胎児由来の断片は混ざったまま読み取られるため、赤ちゃんの情報は全体の一部として現れます。胎児分画が低い場合の考え方が検査の質に関わるのは、このためです。

Y染色体由来のDNAがあるかどうかで判定する

ヒトの性染色体にはX染色体とY染色体があり、女性はXを2本(XX)、男性はXとYを1本ずつ(XY)持つのが典型的です。妊婦さんは女性ですから、本人の細胞にY染色体はありません。そこで、妊婦さんの血液から取り出したcfDNAのなかにY染色体の配列が見つかれば、それは赤ちゃん側から来たものと考えられます。

Y染色体の配列が見つかれば男の子、見つからなければ女の子と推定する。これが性別判定の基本的な考え方です[6]。男の子の判定は「あるものを見つけた」結果で、女の子の判定は「見つからなかった」結果だという違いがあります。

この違いは、結果が外れるときの仕組みを理解するうえで役に立ちます。赤ちゃんが男の子でも、胎児由来のDNAが少なくてY染色体の配列を拾えなければ、結果は女の子と出ます。逆に、赤ちゃんが女の子でも、赤ちゃん以外に由来するY染色体の配列が血液中にあれば、結果は男の子と出ます。外れ方が2通りあることは、4章と6章で具体的に説明します。

3. NIPTの性別は何週からわかる?

赤ちゃん由来のDNAは妊娠5週ごろから検出されたという報告がありますが、性別の判定が安定するのは妊娠7週以降です。日本の認証施設では、NIPTは妊娠9〜10週以降に行われています[7]。週数と判定の関係を、研究のデータから見ていきます。

週数が早いと判定が難しくなる理由(胎児分画)

体外受精などで妊娠した17人を対象に、妊娠初期に繰り返し採血してY染色体上のSRY遺伝子の配列を調べた研究があります。もっとも早く検出できたのは妊娠5週2日でした。男の子を妊娠していた人のうちSRYが検出されたのは、妊娠5週で2人中1人、7週で5人中4人、9週で4人中4人です[8]。人数の少ない研究ですが、週数が進むにつれて検出されやすくなる様子がわかります。

57の研究をまとめたメタ解析でも、週数による差が示されています[9]。下の表のとおり、妊娠7週未満では感度が74.5%にとどまり、男の子の約4人に1人でY染色体の配列を拾えていません。この解析は、7週以降の母体血による検査は成績が良く、7週未満の検査は信頼性が低いと結論しています。

📊 採血した週数と性別判定の成績(メタ解析)

採血の時期 感度 特異度
妊娠7週未満 74.5% 99.1%
妊娠7〜12週 94.8% 98.9%
妊娠13〜20週 95.5% 99.1%
妊娠20週より後 99.0% 99.6%

※Devaneyら(2011)[9]による。主にPCR法でY染色体の配列を検出した研究の集計で、現在のNIPTで使われる方法とは異なります。

💡 用語解説:感度・特異度(性別判定の場合)

性別判定の研究では、Y染色体の配列を検出することを「陽性」として扱います。感度は、男の子を妊娠している人のうち正しく男の子と判定された割合です。特異度は、女の子を妊娠している人のうち正しく女の子と判定された割合です。感度が低いということは、男の子なのに女の子と判定された例が多いことを意味します。

早い週数で感度が下がるのは、血液中の胎児由来DNAがまだ少ないためと考えられます。一方で、90の研究をまとめた別の解析は、採血の時期による成績の差はほとんどないと報告しており[6]、研究によって結論が分かれています。また、これらの解析の多くは現在のNIPTとは異なる方法の研究を集めたものです。現在のNIPTを妊娠10週より前に行った場合の性別判定の成績については、まとまったデータが示されていません。

当院で受けられる週数

当院のNIPTは、妊娠9週以降は通常の検査として、妊娠6〜8週は臨床研究として受け付けています。臨床研究の枠では、研究への参加に同意いただいたうえで検査を行います。妊娠週数は、最終月経からの計算に加えて、エコーで測った赤ちゃんの大きさをもとに確認されるのが一般的です。

前の項で見たとおり、週数が早いほど胎児由来のDNAは少なく、性別を含めて判定が難しくなる場合があります。妊婦さんの体格によっても胎児分画は変わります[5]。早い時期に受けるか、週数が進むのを待って受けるかは、結果を知りたい時期と、判定のしやすさの両方から考えることになります。早い週数での検査の考え方は、早期NIPTのページにまとめています。

結果はいつ届く?性別はどこに書いてある?

NIPTの結果が出るまでの日数は、検査の種類や検査を行う機関によって異なります。日数の目安と結果の受け取り方はNIPTの結果はいつわかる?で説明しています。

性別は、染色体の数の変化についての結果と一緒に報告されます。報告書の書式は施設や検査機関ごとに違いますが、「胎児の性別」という欄や、性染色体の結果(XX、XYなど)として示されることが多いです。性別の通知を希望しなかった場合は、記載されないことがあります。報告書を見ても性別が見当たらないときは、自分で読み解こうとせず、検査を受けた施設に確認してください。性染色体の欄には、性別とは別に、性染色体の数の変化についての結果が書かれている場合もあるためです。

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4. NIPTの性別判定の精度と、外れる確率

性別判定の精度は、60の研究(11,179件の検査)をまとめた解析で感度98.9%、特異度99.6%です[1]。実際の検査で性別の食い違いが報告された頻度は、約130万件のうち91件(0.007%、約14,300件に1件)でした[10]。精度は高いものの、外れることはあります。数字の意味を順に見ていきます。

精度はどのくらいか

もっとも新しい大規模な解析は、2017年に英国の研究グループが発表したものです。妊娠中の女性を追跡した研究だけを集め、性別については60研究・11,179件の検査から、感度98.9%(95%信頼区間98.0〜99.4%)、特異度99.6%(同98.9〜99.8%)という数字を出しています[1]。検査の方法による差もあり、リアルタイム定量PCR法の特異度が99.9%だったのに対し、従来のPCR法では93.9%でした。

それより前の解析では、数字がやや低くなります。2011年の解析は感度95.4%、特異度98.6%[9]、2012年の解析は90研究・9,965人の妊娠から感度96.6%、特異度98.9%でした[6]。年代が新しい解析ほど成績が良いのは、検査の方法が改良されてきたことを反映していると考えられます。

これらの数字から言えるのは、「性別判定の精度はおおむね99%前後」ということです。施設の案内で「99%以上」と書かれている場合、その根拠が何週の検査を対象にした数字なのか、どの方法の成績なのかを確認すると、数字の意味がはっきりします。NIPT全体の精度の考え方はNIPTの精度(感度・特異度・陽性的中率)で説明しています。

高精度でも確定検査ではない理由

NIPTが読み取っているのは、赤ちゃんの体の細胞ではなく、胎盤から出てきたDNAです。また、わかるのは「Y染色体の配列があるかどうか」であって、赤ちゃんの体がどのように育っているかではありません。上の解析は、性別についてはNIPTを診断に近い検査とみなせるとする一方、21トリソミーなどについてはスクリーニング検査と位置づけています[1]。

性別について精度が高いのは、Y染色体という、妊婦さん自身は持っていない目印を探す検査だからです。それでも、NIPTでわかるのは「染色体から推定される性別」です。赤ちゃんの外性器の形で見た性別と、染色体から推定される性別は、ほとんどの場合一致しますが、一致しないことがあります。この点は6章で説明します。

なお、性別の判定と、性染色体の数の変化(ターナー症候群など)の検査は、別のものです。同じ解析で、X染色体が1本だけの状態(モノソミーX)の感度は92.9%と、性別判定より低い数字でした[1]。性染色体の数の変化についての成績は性染色体の数の異常のページを参照してください。

「男の子」判定と「女の子」判定で、外れ方が違う

2章で説明したとおり、男の子の判定は「Y染色体の配列を見つけた」結果、女の子の判定は「見つからなかった」結果です。このため、外れ方にも2つの型があります。

1つは、赤ちゃんが男の子なのにY染色体の配列を拾えず、女の子と判定される型です。メタ解析で感度(95.4%)が特異度(98.6%)より低いこと、とくに妊娠7週未満で感度が74.5%まで下がることは、この型が起こりやすいことを示しています[9]。誤った結果の理由として、胎児由来DNAの割合が低かったことを挙げる研究が複数あります[1]。

もう1つは、赤ちゃんが女の子なのにY染色体の配列が検出され、男の子と判定される型です。こちらは、赤ちゃん以外に由来するY染色体の配列が血液中にある場合に起こります。

外れる頻度については、米国の検査機関が約130万件を調べた報告があります。性染色体が正常(XXまたはXY)と報告された検査のうち、エコーや出生後の所見と性別が食い違うという連絡があったのは91件でした[10]。ただしこれは、検査機関に連絡があった件数です。連絡されなかった食い違いは含まれないため、実際の頻度はこれより高い可能性があります。同じ論文は、それまでの研究で報告された不一致の割合を0.0〜0.9%としています[10]。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「99%」という数字の読み方】

感度や特異度は、たくさんの検査を集めたときの成績です。受けた方ひとりひとりの結果が外れる確率を、そのまま表す数字ではありません。採血した週数、胎児由来のDNAの割合、検査の方法によって、同じ「NIPT」でも条件は変わります。

性別の結果を受け取ったら、その後の妊婦健診のエコーとあわせて見ていくのが自然な流れです。両者が一致していれば、それ以上の確認は要りません。食い違ったときに何を確かめるかは、6章にまとめました。

5. エコー・ベビーナブ・市販キットとの違い

エコーとベビーナブは赤ちゃんの外性器の形を、NIPTと羊水検査・絨毛検査は染色体の情報を見ています。尿を使う市販キットは、研究で信頼できないとされた方法です。それぞれが何を見ているのかを整理すると、結果の受け止め方が変わります。

🔍 性別を調べる方法の比較

方法 見ているもの 時期の目安 特徴
NIPT 母体血中のY染色体由来DNA 7週未満は信頼性が下がる。認証施設では9〜10週以降 染色体から性別を推定。精度は高いが確定的検査ではない
エコー(超音波) 外性器の形 中期以降のほうが判定しやすい 健診で行える。向きや見え方に左右される
ベビーナブ 生殖結節の向き 妊娠11〜13週ごろ エコー画像からの推測
尿の市販キット 尿の反応 — 研究で信頼できないとされている
羊水検査・絨毛検査 胎児や胎盤の細胞の染色体 — 確定的検査。流産リスクがあり、性別目的では受けない

エコー(超音波):外性器の形を見る

妊婦健診のエコーでは、赤ちゃんの外性器の形から性別を推定します。染色体を調べているのではなく、体の形を画像で見ている点がNIPTとの違いです。妊娠中期以降は外性器を直接観察できるようになるため判定しやすくなりますが、赤ちゃんの向きや足の位置、へその緒の重なりによって、見えにくいことや見間違えることがあります。

妊娠初期のエコーによる性別判定の成績を調べた研究もあります。妊娠11週から13週6日の155人を対象にした研究では、全体の正答率は92.3%で、11週台が89.3%、12週台が92.5%、13週台が93.4%でした[11]。初期のエコーでは、10人に1人近くで結果が出生時の性別と違っていたことになります。「健診のたびに性別が変わった」という経験は、この見え方の限界から説明できます。エコーでわかる時期の全体像は赤ちゃんの性別はいつわかる?で説明しています。

ベビーナブ:生殖結節の向きから推測する

💡 用語解説:生殖結節(せいしょくけっせつ)

妊娠初期の赤ちゃんの股の部分にある小さな突起で、のちに男の子では陰茎に、女の子では陰核になります。妊娠初期には男女とも同じような形をしており、週数が進むにつれて違いが現れます。英語ではgenital tubercleといい、その俗称が「nub(ナブ)」です。

ベビーナブとは、妊娠11〜13週ごろのエコー画像で、生殖結節が背骨に対してどの向きに伸びているかを見て性別を推測する方法です。生殖結節が上向きに立っていれば男の子、背骨と平行に近ければ女の子と推測します。医学的には、この角度を測る方法が妊娠11週以降の性別推定に使われてきました[12]。

ただし、ベビーナブはエコーによる判定の一種で、上の項で示した妊娠初期のエコーの限界がそのまま当てはまります。真横から正確にとらえた画像でなければ角度は読めませんし、同じ画像でも見る人によって判断が分かれます。インターネット上で画像を見せ合って予想する使われ方もしていますが、診断として扱えるものではありません。

市販の性別判定キット(尿式・採血式)

自宅で使える性別判定キットには、尿を使うものと、指先などから採った血液を郵送するものがあります。この2つは仕組みがまったく違います。

尿を使う検査について、メタ解析は「信頼できない」と結論しています[9]。尿の色の変化などで性別を示すとするものですが、赤ちゃんの性別を尿から正確に判定できるという根拠は示されていません。

採血式のキットは、母体の血液からY染色体の配列を探すという点で、原理はNIPTの性別判定と同じです。ただし、自宅で採った血液を郵送する方式の精度を、販売元から独立した立場で検証した研究は、現時点で確認できていません。また、こうしたキットでわかるのは性別だけで、染色体の数の変化は調べていません。結果が食い違ったときに、原因を調べたり説明を受けたりする体制があるかどうかも、医療機関で受ける検査との違いです。

羊水検査・絨毛検査:染色体そのものを調べる確定検査

羊水検査・絨毛検査は、羊水に浮かぶ赤ちゃんの細胞や、胎盤の一部である絨毛の細胞を採り、染色体を直接調べる検査です。染色体の数や形を確定できる確定的検査で、性染色体の構成もわかります。

ただし、おなかに針を刺して行う検査であり、流産の可能性があります。近年のメタ解析では、検査を受けなかった群との差から推定した手技関連流産リスクは、羊水検査で約0.30%、絨毛検査で約0.20%と報告されています[15]。性別を知るために受ける検査ではありません。NIPTで染色体の数の変化について陽性の結果が出たとき、その結果を確かめるために行うのが本来の役割です。NIPTで性別がエコーと食い違い、医学的に確認が必要と判断された場合に、選択肢として検討されることがあります。

6. NIPTの性別が「外れた」と言われる主な原因

知恵袋などのQ&Aサイトやブログには、「NIPTでは男の子と言われたのに、エコーでは女の子だった」「NIPTの性別が外れた」という書き込みがあります。NIPTの性別とエコーや出生後の性別が食い違う原因は、大きく分けて、赤ちゃん側の医学的な理由、検査の限界、人為的なミスの3つです。

約130万件のNIPTを調べた報告では、性別の食い違いが報告された91件のうち、経過がわかった83件の内訳は次のとおりでした[10]。

📋 性別の食い違いが報告された83件の内訳

分類 件数 割合
性分化疾患と診断された 30件 36%
人為的なミス(ラベルの付け間違い、エコーの誤認など) 28件 34%
原因の診断がつかなかった 25件 30%

※Dhamankarら(2020)[10]による。SNP法という方法のNIPTを行う1つの検査機関の集計で、同機関の資金による研究です。

NIPTは男の子、実際は女の子:バニシングツインなど

💡 用語解説:バニシングツイン

双子として妊娠が始まったあと、妊娠初期に一方の赤ちゃんの発育が止まり、子宮に吸収されて見えなくなる現象です。消失双胎ともいいます。気づかれないまま経過することもあります。

NIPTで男の子と判定されたのに実際は女の子だった場合、赤ちゃん以外に由来するY染色体の配列が血液中にあったことになります。その理由の1つとして挙げられるのがバニシングツインです[1]。男女の双子で男の子のほうが早い時期に発育を止めた場合、その胎盤に由来するDNAがしばらく妊婦さんの血液に残ります。育っている赤ちゃんが女の子でも、Y染色体の配列が検出されるため、結果は男の子と出ます。

「上の子が男の子だったから、そのDNAが残っていて男の子と出たのでは」という説明を見かけることがありますが、これは否定されています。赤ちゃん由来のcfDNAは、出産後すみやかに母体の血液から消えることが確かめられています[13]。妊娠初期の121人を調べた研究でも、女の子を妊娠していて過去に男の子を妊娠したことがある27人に、誤って男の子と判定された例はありませんでした[14]。メタ解析も、過去の男児妊娠という説明は成り立たないとしています[1]。

NIPTは女の子、エコーでは男の子:胎児分画やエコーの見え方

NIPTで女の子と判定されたのにエコーで男の子に見える場合、まず考えるのは、検査の時点で胎児由来のDNAが少なく、Y染色体の配列を拾えなかった可能性です。誤った結果の理由として、胎児由来DNAの割合の低さを挙げた研究は複数あります[1]。採血した週数が早い場合や、妊婦さんのBMIが高い場合は、胎児分画が低くなりやすい条件にあたります[5]。

もう1つは、エコー側の見え方です。赤ちゃんの向きや足の位置、へその緒の重なりによって、外性器の見え方は変わります。5章で見たとおり、妊娠初期のエコーでは約1割で性別の判定が外れていました[11]。NIPTとエコーが食い違ったとき、NIPTのほうが誤っているとは限りません。まずは週数が進んでからのエコーで見直すことになります。

性染色体の数や性分化が関係するケース(概要のみ)

💡 用語解説:性分化疾患(DSD)

染色体の性別、性腺(精巣・卵巣)、外性器の形のいずれかが、典型的な男女の形と異なる生まれつきの状態の総称です。英語のdifferences(またはdisorders)of sex developmentの略でDSDと呼ばれます。体の性ができあがる過程の一部が、通常とは違う経路をたどることで起こります。

NIPTでわかるのは染色体から推定される性別で、エコーで見ているのは外性器の形です。この2つが本当に一致していない場合があり、それが性分化疾患です。前述の報告では、食い違いの36%にあたる30件が性分化疾患と診断され、内訳は染色体が46,XYのものが19件、46,XXのものが4件、性染色体の数や構成に変化があるものが7件でした[10]。

体の性は、Y染色体があるかどうかだけで決まるのではなく、性腺ができ、そこから出るホルモンが働き、外性器が形づくられるという段階を経てできあがります。その流れは性分化のしくみで説明しています。また、NIPTでわかる性染色体の数の変化が食い違いの背景にあることもあります。

ただし、食い違いがあれば性分化疾患だということではありません。次の項で示すように、約3分の1は人為的なミスで説明がついています。性分化疾患そのものの頻度も高くありません。食い違いに気づいた段階で結論を急がず、順を追って確かめることになります。

検体の取り違えやエコーの見え方(人為的な要因)

性別の食い違いの約3分の1は、検査や赤ちゃんの側ではなく、人の作業の段階で起きていました。前述の報告では、83件のうち28件(34%)が人為的なミスによるもので、その多くは採血時のラベルの付け間違いと、エコーでの性別の誤認でした[10]。

この報告で注目したいのは、検査機関での記録の見直しとエコーの撮り直しによって、34%の例ではNIPTの性別の報告が正しかったと確認され、それ以上の検査が要らなくなった点です[10]。食い違いに気づいたときに最初に行うのは、追加の検査ではなく、記録とエコーの確認だということになります。

食い違いがあったときの具体的な進め方は、NIPTと性別が違うと言われたらにまとめています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【食い違いに気づいたとき、最初に確かめること】

NIPTの性別とエコーの性別が違うと聞くと、赤ちゃんに何かあるのではと考えがちです。けれども報告を見るかぎり、原因の約3分の1は取り違えや見間違いで、記録とエコーの確認だけで解決しています。

臨床遺伝専門医の立場からは、検査を受けた施設に食い違いを伝え、採血時の記録を確かめてもらうこと、週数が進んでからエコーで見直すことの2つを、最初の手順として挙げます。染色体の検査が必要かどうかは、その結果を見てからの判断になります。

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7. ミネルバクリニックのNIPTと性別判定

ここまでの内容をふまえて、当院のNIPTで性別がどのように扱われるかを説明します。

性別判定はNIPTの料金に含まれます

当院では、性別判定はNIPTの料金に含まれています。性別を知るための追加の費用はかかりません。NIPTは染色体の数の変化などを調べる検査で、性染色体も読み取りの対象にしているため、性別はその結果の一部として得られます。性別は、染色体についての検査結果とあわせてお伝えします。

検査の内容と料金はNIPTの費用とプランに、検査料金のほかに必要な費用は検査費用以外にかかる費用にまとめています。当院でNIPTを受ける方には、互助会(カトレア会8,000円・安心検査結果保障制度6,000円)に全員加入していただいています。NIPTが陽性だった場合の羊水検査の費用は、カトレア会から補助されます(補助の上限なし)。

なお、双子を妊娠している場合の性別の扱いは、赤ちゃんが1人の場合と異なります。Y染色体の配列が検出されれば少なくとも1人は男の子と推定できますが、2人とも男の子なのか、男女の双子なのかは区別できません。

性別をお伝えする目的と、知りたくない場合

当院が性別をお伝えしているのは、名前を考える、衣類や部屋を用意するなど、赤ちゃんを迎える準備に使っていただく情報としてです。性別によって妊娠を続けるかどうかを決めることを想定した検査ではありません。

また、性別は染色体から推定した結果であり、ここまで説明したとおり、エコーや出生後の所見と食い違うことがあります。性別に合わせた準備は、その後の健診のエコーも見ながら進めるのが現実的です。

出産まで性別を知らずにいたい方もいます。性別を知りたくない場合の取り扱いは、予約の際または受検の前に確認してください。

臨床遺伝専門医が常駐し、陽性時は院内で確定検査まで

当院には臨床遺伝専門医が常駐しており、検査前の説明、結果の説明、陽性だった場合の遺伝カウンセリングを臨床遺伝専門医が行います。2025年6月からは、確定的検査である羊水検査・絨毛検査を院内で実施しています。NIPTで陽性の結果が出た場合に、別の医療機関を探すことなく確定的検査まで進めます。

NIPTは、染色体の数の変化などの可能性を調べる非確定的検査です。性別の結果も、染色体についての結果も、検査の限界を知ったうえで受け取るものです。陽性だった場合の流れと費用の補助については、陽性後のサポートを参照してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. NIPTで性別だけ調べることはできますか?

当院では、性別判定はNIPTの料金に含まれており、追加の費用はかかりません。NIPTは染色体の数の変化などを調べる検査なので、性別は染色体についての結果とあわせてお伝えする形になります。なお、日本の認証施設のNIPTは13・18・21トリソミーの3つだけを対象にしているため、性別は調べません。

Q2. NIPTの性別判定が外れる確率はどのくらいですか?

複数の研究をまとめた解析では、感度98.9%、特異度99.6%と報告されています。約130万件を調べた報告では、性別の食い違いの連絡があったのは91件(約14,300件に1件)でした。ただしこれは連絡があった件数で、実際の頻度はこれより高い可能性があります。文献上の不一致の割合には0.0〜0.9%の幅があります。

Q3. NIPTで性別は何週からわかりますか?

赤ちゃん由来のDNAは妊娠5週ごろから検出されたという報告がありますが、妊娠7週未満の検査は信頼性が低いとされています。日本の認証施設ではNIPTは妊娠9〜10週以降に行われます。当院では妊娠9週以降は通常の検査として、妊娠6〜8週は臨床研究として受け付けています。

Q4. NIPTの結果のどこに性別が書いてありますか?

報告書の書式は施設や検査機関によって異なりますが、「胎児の性別」の欄や、性染色体の結果(XX、XYなど)として示されることが多いです。性別の通知を希望しなかった場合は記載されないことがあります。見当たらないときは、検査を受けた施設に確認してください。

Q5. エコーとNIPTで性別が違うと言われました。どちらが正しいですか?

どちらが正しいかは、その時点では決められません。妊娠初期のエコーは約1割で判定が外れるという報告があり、NIPTも胎児由来のDNAが少ないと男の子を女の子と判定することがあります。まずは検査を受けた施設に伝えて採血時の記録を確かめてもらい、週数が進んでからエコーで見直します。進め方は「NIPTと性別が違うと言われたら」で説明しています。

Q6. 双子の場合、それぞれの性別はわかりますか?

妊婦さんの血液からY染色体の配列が検出されれば、少なくとも1人は男の子と推定できます。ただし、2人とも男の子なのか、男女の双子なのかは区別できません。Y染色体の配列が検出されなければ、2人とも女の子と推定されます。双子のNIPTについては別のページで説明しています。

Q7. NIPTで性別を教えてもらえない施設があるのはなぜですか?

日本医学会の認証制度のもとで行われるNIPTは、検査の対象が13・18・21トリソミーの3つに限られており、性染色体を調べないためです。検査の精度の問題ではなく、調べる範囲の決め方の違いです。背景は「NIPTで性別を教えてもらえない理由」で説明しています。

まとめ

NIPTでは、妊婦さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAからY染色体の配列を探すことで、性別を推定できます。精度は複数の研究をまとめた解析で感度98.9%、特異度99.6%と高い水準ですが、確定的検査ではなく、約14,300件に1件の割合で食い違いが報告されています。

判定が安定するのは妊娠7週以降で、週数が早いほど、また胎児由来のDNAの割合が低いほど、男の子を女の子と判定する誤りが起こりやすくなります。エコーやベビーナブは外性器の形から、NIPTは染色体から性別を見ており、見ているものが違うため、両者が食い違うことがあります。食い違いの原因には、性分化疾患のほか、検体の取り違えやエコーの誤認といった人為的な要因が約3分の1含まれていました。

日本の認証施設のNIPTでは性別は調べません。当院では、性別判定はNIPTの料金に含まれています。性別は赤ちゃんを迎える準備のための情報としてお伝えしており、その後の健診のエコーとあわせて確かめていくものです。

🏥 ミネルバクリニックのNIPT

当院のNIPTには性別判定が含まれています。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性だった場合は院内で羊水検査・絨毛検査まで行います。検査の内容と料金をご確認のうえ、ご予約ください。

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プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、
臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。
のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、
検査結果の数値そのものだけでなく、
「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、
一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、
日本人として異文化の中で生活した経験があります。
価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。
この経験は現在の診療においても、
「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、
36週6日で一人を死産した経験があります。
その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、
そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。
現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、
出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、
家族の未来に関わる重要な意思決定です。
年齢や統計だけで判断するのではなく、
医学的根拠と心理的支援の両面から、
ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/
日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。

2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、
複数の海外メディア・専門誌で特集掲載
されました。

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