目次
18トリソミー(エドワーズ症候群)は、18番染色体が1本多く3本ある染色体の病気で、生まれてくる赤ちゃんのおよそ6,000〜8,000人に1人にみられます[1]。エコー(超音波検査)では、早いものは妊娠10〜14週ごろから、多くの所見は妊娠18〜20週ごろの中期から見つかるようになります。この記事では、18トリソミーの赤ちゃんにエコーでみられる16の特徴を体の部位ごとに整理し、それぞれが妊娠何週ごろからわかるのかを解説します。あわせて、エコーで所見がなくても18トリソミーを否定できない理由と、NIPT(新型出生前診断)との違いもお伝えします。
- ➤16の特徴的なエコー所見 → 脈絡叢嚢胞、心奇形、後頭部突出、臍帯ヘルニアなどを部位別に解説
- ➤いつからわかるか → 妊娠10〜14週でわかる所見と、18〜20週でわかる所見の違い
- ➤18週のエコー → 妊娠18週ごろの超音波で胎児の形の異常はどこまでわかるか
- ➤脈絡叢嚢胞 → 単独で見つかったときの18トリソミーの可能性と、ほかの所見の確かめ方
- ➤NIPTとの比較 → NIPTの18トリソミーの検出率は97.9%(偽陽性率0.04%)
⏱️ 30秒でわかる要約
🩺 Q. 18トリソミーはエコーでいつわかる?
早いものは妊娠10〜14週ごろから、膀胱が大きい(巨大膀胱)、首のうしろのむくみ(NT肥厚・嚢胞性ヒグローマ)として見つかることがあります。心臓や手、脳の所見など多くは妊娠18〜20週ごろの詳しい超音波でわかります。
🤰 Q. 妊娠18週ごろのエコーで、どんな所見がサインになる?
心臓の形の異常、手を握ったまま指が重なる、脈絡叢嚢胞、臍帯ヘルニア、赤ちゃんが小さめ、羊水が多い、などです。ただし1つの所見だけでは18トリソミーとは決まりません。いくつの所見が重なっているかで判断します。
🔍 Q. エコーで異常がなければ18トリソミーではない?
そうとは言い切れません。所見がはっきりしない赤ちゃんもいます。NIPTは採血だけで、18トリソミーの検出率は97.9%と報告されています。当院では妊娠9週から受けられ、陽性なら確定検査で確かめます。
18トリソミーでは、心臓をはじめ体のさまざまな部分に形の異常(奇形)を伴うことが多いため、妊婦健診のエコーや、より詳しく赤ちゃんを観察する胎児ドック(胎児超音波スクリーニング)で見つかることがあります。妊娠中期に詳しい超音波を受けた18トリソミーの赤ちゃん98例を調べた米国の研究では、97%(95例)に何らかの所見が見つかっていました[3]。ただし、これは専門施設で詳しく調べたときの数字です。エコーの所見は「18トリソミーを疑うきっかけ」であり、診断は羊水検査などの染色体検査で確定します。
ここからは、18トリソミーでみられるエコー所見を、頭部・脳、顔、首・胸部、心臓、腹部・泌尿器の順に紹介します。18トリソミーという病気の全体像(原因・症状・予後)は18トリソミー(エドワーズ症候群)とは?原因・症状・寿命と検査で解説しています。
1. 頭部・脳の特徴(4つの所見)
【結論】18トリソミーでは頭部・脳に特徴的な所見がみられます。後頭部突出と脈絡叢嚢胞は比較的見つかりやすい所見です。脈絡叢嚢胞は、ほかに所見がなく単独で見つかった場合でも18トリソミーの可能性を約14倍に高めると報告されていますが[2]、正常な赤ちゃんにもみられる所見なので、手を含めたほかの所見と合わせて判断することが大切です。
【1】後頭部突出(後頭部隆起)
この記事の冒頭のエコー写真は、妊娠28週の赤ちゃんのものです。脳そのものに異常は見られませんが、頭のうしろ(後頭部)の骨が盛り上がっています。これを後頭部突出(後頭部隆起)といい、18トリソミーで特徴的な外見の所見の一つです。18トリソミーの赤ちゃんは、頭が前後に長い形(長頭)になりやすいことも知られています[1]。
【2】脳梁欠損

脳梁(のうりょう)は、大脳の左右の半球をつなぐいちばん大きな神経の束です。この脳梁が部分的に、あるいは完全に欠けている状態を脳梁欠損といいます。全前脳胞症(ぜんぜんのうほうしょう)のような大きな脳の形の異常に伴って起こることが多く、側脳室などの脳室が拡大したり、左右の半球の間に嚢胞(液体のたまった袋)ができたりします。
【3】Dandy-Walker複合奇形(大槽拡大)
第4脳室の拡大や、小脳虫部(小脳の真ん中の部分)の欠損・低形成など、頭の中のうしろ側に起こる一連の異常をDandy-Walker複合奇形といいます。最も重要なのは小脳虫部の欠損ですが、早く見つける手がかりになるのは、後頭部の頭蓋内の嚢胞や、小脳のうしろのスペースである大槽(だいそう)の拡大です。早いと妊娠11週ごろから見つかることがあります。
大槽は、前後の長さが10mm以上を異常の目安とするのが一般的です。ただし、正常な赤ちゃんでも妊娠末期にはこの程度の値になることがあり、明確な基準を決めにくいのが現状です。また、エコーの角度をつけすぎる(斜めに切る)と大槽が大きく測られ、小脳虫部も見えにくくなるため、異常と判断されてしまうことがあります。そのうえで、大槽が明らかに大きいときは、18トリソミーを含む染色体異常と、小脳そのものの形の異常を考え、詳しい超音波でほかの所見を確かめます。
【4】脈絡叢嚢胞
脈絡叢(みゃくらくそう)は、左右の側脳室や第3・第4脳室にある血管の豊富な組織で、脳とせき髄を守る脳脊髄液をつくっています。脈絡叢に幅2mm以上のはっきりした嚢胞があるものを脈絡叢嚢胞といいます。正常な赤ちゃんにもみられる所見で、多くは妊娠中に自然に消えます。できる原因はわかっていません。
一方で、18トリソミーの赤ちゃんでは約半数に脈絡叢嚢胞がみられます[1]。13件の前向き研究(約25万件の超音波検査)をまとめた解析では、ほかに所見のない「単独の」脈絡叢嚢胞があると、18トリソミーの可能性は約14倍(尤度比13.8)になると報告されました[2]。ただし、もともとの18トリソミーの確率が低ければ、14倍になっても確率そのものは低いままです。また、妊娠中期に詳しい超音波を受けた18トリソミー98例の研究では、脈絡叢嚢胞だけが単独で見つかった18トリソミーは1例もありませんでした[3]。
⚠️ 脈絡叢嚢胞と18トリソミーの関係
・単独の脈絡叢嚢胞で、18トリソミーの可能性は約14倍(尤度比13.8)と報告されています[2]
・正常な赤ちゃんにもみられ、多くは自然に消える所見です
・18トリソミーでは手を握ったまま指が重なる、心臓の異常など、ほかの所見を伴うことがほとんどです[3]。手の形まで含めて確かめることが大切です
2. 顔貌の特徴(4つの所見)
【結論】18トリソミーの赤ちゃんの顔貌(顔つき)には、頭が前後に長い、目の幅(まぶたの開き)が短い、あごが小さい(小顎)、耳が小さく形が違うといった特徴があります[1]。エコーでは、眼間狭小、口唇裂・口蓋裂、鼻の異常、小耳症などが手がかりになり、横顔を描き出しやすくなる妊娠中期以降に評価しやすくなります。
【5】眼間狭小
眼間狭小(がんかんきょうしょう)は、左右の目(眼窩:眼球の入っているくぼみ)の間隔が狭い状態です。エコーでは、眼窩の左右の間隔を頭のいちばん大きな横幅(大横径)と比べて評価します。なお、赤ちゃんの眼窩はエコーでは黒く抜けて写るため、「目のくぼみが大きい」と見えることはよくあります。気になる場合は、見た目の印象ではなく、眼窩の大きさや間隔を計測して判断します。
眼間狭小は、全前脳胞症、とくに無葉全前脳胞症でよくみられます。顔と頭の中心線上の形づくりが妨げられることと深く関係しているためです。眼間狭小を伴う病気には、さまざまな染色体異常(とくに13トリソミー)や小頭症などがあり、出生前に眼間狭小が見つかった例では口唇裂を伴うことが多いという報告もあります。
【6】口唇裂・口蓋裂・口唇口蓋裂
口唇裂・口蓋裂・口唇口蓋裂は顔面裂の一つで、顔の形の異常の中では比較的多いものです。口唇裂があると、その一部で口蓋裂(口の中の天井の裂け目)も伴います。
口唇裂・口蓋裂に伴いやすい異常としては、小顎症、心奇形、耳の形の異常に注意が必要です。13トリソミー(パトウ症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、21トリソミー(ダウン症候群)といった染色体異常に伴うことがあるため、ほかの所見もある場合は羊水検査で染色体を調べることを考えます。
【7】鼻の異常
鼻の形は横顔で確認するため、横顔を描き出しやすくなる妊娠中期以降に評価しやすくなります。横顔を詳しく見る必要がある赤ちゃんでは羊水過多を伴っていることが多く、羊水が多いぶん顔は描き出しやすくなります。
鼻骨の長さで異常を見つける研究は主に欧米の白人で行われてきたため、もともと鼻が低い日本人にそのまま当てはめるのは難しいと考えています。鼻の形の異常は、18トリソミー、21トリソミー、三倍体(染色体が23本1組で3組ある状態)などの染色体異常に伴いやすいと報告されています。
【8】小耳症
赤ちゃんの耳(耳介)は、妊娠週数とともに大きくなります。耳が小さい小耳症や耳の形の異常は、さまざまな先天的な症候群に伴いますが、とくに13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーなどの染色体の数の異常ではよくみられます。18トリソミーでは、小さい耳、小さい耳たぶ、平らな耳のふちなど、耳の外形の特徴が知られています[1]。
3. 首・胸部の特徴(2つの所見)
【結論】首・胸部では、嚢胞性ヒグローマ、NT(項部透過像)の肥厚、肺低形成などが18トリソミーの手がかりになります。嚢胞性ヒグローマとNTの肥厚は、妊娠11〜14週ごろに見つかる、最も早い時期の所見です。
【9】嚢胞性ヒグローマ
嚢胞性ヒグローマは、リンパ管の発生の異常によってできる液体のたまった袋で、首に多くみられます。早ければ妊娠11〜14週ごろから、赤ちゃんの首のうしろ(うなじ)に見つかります。
米国の約3万8千人の妊婦さんを対象にした研究では、中に仕切りのある嚢胞性ヒグローマが134例見つかり、そのうち51%(67例)に染色体異常がありました。内訳は21トリソミー25例、ターナー症候群19例、18トリソミー13例などです[4]。染色体が正常だった赤ちゃんでも、心臓や骨格の異常が見つかることがありました[4]。
【10】項部透過像(NT)
項部透過像(NT)は、妊娠初期に赤ちゃんの首のうしろに見えるむくみ(浮腫)で、NTがあること自体は正常な所見です。通常を大きく上回る厚さのときは、ダウン症候群や18トリソミーなどの染色体異常が疑われます。NTの測り方や基準は胎児の首のむくみ(NT)とは?で解説しています。
なお、胸の中では、肺が十分に育たない肺低形成を伴うこともあります。肺低形成は13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーなど、さまざまな先天的な症候群でみられます。
🩺 院長コラム【エコーの所見に一喜一憂しないために】
「頭の形が気になると言われた」「心臓に影があると言われた」。エコーで何かを指摘されると、検索するほど不安が大きくなるのは自然なことです。18トリソミーはエコーで所見が見つかりやすい病気ですが、1つの所見だけで結論を出す必要はないと考えています。
たとえば脈絡叢嚢胞は、正常な赤ちゃんにもみられ、多くは自然に消えます。18トリソミーの赤ちゃんでは、手の形や心臓など、ほかの所見を伴うのがふつうです。大切なのは、所見がいくつ重なっているかを確かめることです。一方で、エコーで何も見つからなくても、染色体異常の可能性がゼロになるわけではありません。だからこそ、エコーと、染色体そのものを調べるNIPTや確定検査を、それぞれの役割を理解して組み合わせることが大切だと考えています。
4. 心臓の奇形(心奇形)
【結論】18トリソミーでは、生まれた赤ちゃんの90%以上に心臓の構造の異常があると報告されています[1]。妊娠中期の超音波で心臓の異常が見つかったのは約6割(63%)で[3]、細かい異常はおなかの中では見つけきれないこともあります。心室中隔欠損、ファロー四徴症、両大血管右室起始症、左心低形成症候群、心内膜床欠損などが代表的です。
【11】心奇形
赤ちゃんに心臓の形の異常が見つかると、染色体異常の可能性が高くなります。18トリソミーに伴う心奇形としては、心室中隔欠損、ファロー四徴症(心室中隔欠損・肺動脈狭窄・大動脈騎乗・右室肥大)、両大血管右室起始症、左心低形成症候群、心内膜床欠損などがあります。
心内膜床欠損症
心内膜床は、心臓の内部の壁や弁をつくるもとになる組織です。これがうまく発達しないと、左右の心房を隔てる心房中隔や、左右の心室を隔てる心室中隔がきちんとできません。心内膜床欠損症は染色体異常との関係が深く、とくに21トリソミーで多いことが知られていますが、18トリソミーでもみられます。
左心低形成症候群
大動脈弁や僧帽弁、左心室が小さく育たず、動脈管が開いたままでないと全身に血液を送れない状態です。男の子に多く、女の子ではターナー症候群の可能性も考えます。18トリソミーでみられる心奇形の一つです。
ファロー四徴症

ファロー四徴症は、心室中隔欠損、肺動脈狭窄、大動脈騎乗、右室肥大の4つを合わせもつ心奇形です。18トリソミーや21トリソミーでみられることがあります。
両大血管右室起始症
大動脈と肺動脈の両方が右心室から出ている状態です。ファロー四徴症と同じく、心臓ができる過程で大きな血管の向きを決めるらせん状の仕切りのねじれがうまくいかないことで起こります。18トリソミーを疑うきっかけになる心奇形です。
\ 心臓などの所見を指摘されて不安な方へ /
陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。
5. 腹部・泌尿器の特徴(5つの所見)
【結論】腹部・泌尿器では、食道閉鎖、臍帯ヘルニア、膀胱出口部閉塞(巨大膀胱)、停留精巣、単一臍帯動脈などが18トリソミーの手がかりになります。臍帯ヘルニアは染色体異常を伴うことが多く、その中で最も多いのが18トリソミーだったと報告されています[6]。
【12】食道閉鎖
食道閉鎖をエコーで評価できるようになるのは妊娠18週以降です。このころになると、赤ちゃんが飲み込んだ羊水が食道を通って胃にたまり、胃が膨らんで見えるようになります。食道が閉じていると羊水が胃に届かないため、胃が小さい、あるいは見えないことが手がかりになります。
食道閉鎖も染色体異常を伴いやすい所見で、18トリソミーや21トリソミーでみられます。十二指腸閉鎖も伴っている場合は、21トリソミーの可能性も考えます。
【13】臍帯ヘルニア

実は、臍帯ヘルニアはどの赤ちゃんにも一度は起こります。妊娠7週の終わりから8週ごろ、腸のもとになる中腸が急速に育ってループをつくり、へその緒(臍帯)の付け根から臍帯の中へ出ていくためです(生理的臍帯ヘルニア)。この時期は肝臓と腎臓がおなかの大部分を占めていて、腸の入るスペースがないためです。腸がおなかの中に戻るのは妊娠12週ごろなので、病的な臍帯ヘルニアをエコーで評価できるのは、原則として妊娠13週以降になります。ただし、生理的なヘルニアは直径7mmを超えないため、それより大きければ妊娠8〜12週でも病的なものと判断できます。
📊 臍帯ヘルニアと染色体異常
臍帯ヘルニアの赤ちゃん81人を調べた研究では、約3割(24人)に染色体異常があり、最も多かったのは18トリソミー(24人中11人)、次いで13トリソミー(7人)でした[6]。
【14】膀胱出口部閉塞(巨大膀胱)
膀胱の出口がふさがる状態は男の子に起こりやすく、多くは後部尿道弁によるものです。後部尿道弁は、本来なくなるはずの膜が尿道に残ってしまうことでできると考えられています。尿道閉鎖でも同じような状態になり、こちらは女の子にも起こります。膀胱の出口がふさがると膀胱が大きく膨らみ(巨大膀胱)、腎臓から尿が流れにくくなって腎臓が腫れる(水腎症)こともあります。
巨大膀胱は、早ければ妊娠10〜14週で見つかります。この時期に膀胱の縦の長さが7mm以上あった145例を調べた研究では、7〜15mmの例の23.6%、15mmを超える例の11.4%に染色体異常があり、その多くは13トリソミー(17例)と18トリソミー(7例)でした[5]。染色体が正常で7〜15mmだった例では、9割が自然に小さくなっていました[5]。
【15】停留精巣
停留精巣は、エコーで陰嚢の中に精巣が見えないことで気づかれます。精巣は妊娠の終わりごろまで下りてこないこともあるため、評価は妊娠末期になります。ほとんどの停留精巣はほかに異常のない単独のものですが、停留精巣を伴う症候群には、prune-belly症候群、ヌーナン症候群、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーなどがあります。
【16】単一臍帯動脈
単一臍帯動脈は、ふつう2本あるへその緒の動脈が1本しかない状態です。一般の妊娠でもみられる所見で、それだけなら多くは問題になりません。一方で、ほかの形の異常や染色体異常を伴うこともあり、18トリソミーではおよそ3人に1人にみられると報告されています[1]。
6. エコー所見の検出時期まとめ
【結論】18トリソミーのエコー所見は、妊娠週数によって見つかるものが違います。早いものは妊娠10〜14週ごろ、多くの所見は妊娠18〜20週ごろの中期から見つかるようになります。
📅 18トリソミーのエコー所見と見つかる時期の目安
| 時期 | エコー所見 | 備考 |
|---|---|---|
| 妊娠10〜14週ごろ | 巨大膀胱(膀胱出口部閉塞) 嚢胞性ヒグローマ NT(項部透過像)の肥厚 大槽拡大(Dandy-Walker複合奇形の兆候。早いと11週) |
最も早い時期に見つかる所見 |
| 妊娠13週〜 | 臍帯ヘルニア(病的なもの) | 生理的なヘルニアとの区別が必要 |
| 妊娠中期(18〜20週ごろ) | 脈絡叢嚢胞 心奇形(心室中隔欠損など) 手を握ったまま指が重なる 食道閉鎖(胃が小さい) 顔貌の所見(鼻、耳、口唇裂など) 後頭部突出 赤ちゃんが小さめ・羊水過多 |
多くの所見が見つかる時期 |
| 妊娠末期 | 停留精巣 | 精巣は妊娠末期まで下りないことがある |
16の所見のほかに、手を握ったまま指が重なる手の所見は18トリソミーの3割以上にみられ[1]、脈絡叢嚢胞と並んで大切な手がかりです。羊水過多は妊娠中期に約3割、後期には6〜9割の例でみられると報告されています[1]。
妊娠18週のエコーで、胎児の奇形はどこまでわかる?
妊娠18〜20週ごろは、赤ちゃんの脳、顔、心臓、おなか、手足を一通り確認しやすくなる時期です。胎児ドックなどの詳しい超音波では、この時期に体のつくりを順番に確認します。18トリソミーでは、妊娠15〜21週に詳しい超音波を受けた98例のうち97%に何らかの所見があり、94%に形の異常が見つかっていました。約半数は、頭やおなか、手足の長さが週数の目安より小さめでした[3]。
ただし、18週のエコーですべての形の異常がわかるわけではありません。心臓の細かい異常や、週数が進んでから目立ってくる異常もあります。上の数字は専門施設で詳しく調べた場合のもので、通常の妊婦健診の超音波とは条件が違います。妊娠中のどの時期に何がわかるかは胎児の障害はいつわかる?妊娠中の検査方法で、詳しい超音波の内容は胎児ドックとは?検査でわかることで解説しています。
⚠️ 大切なこと
エコーで所見が見つからなくても、染色体異常がないことを保証するものではありません。NIPTは採血だけで受けられ、エコーで所見が現れる前の妊娠初期から、18トリソミーを調べることができます。当院では妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として)受けられます。
7. NIPTとエコーの比較|どちらが早くわかる?
【結論】NIPTは、エコーで所見が現れる前の妊娠初期から18トリソミーを調べられます。これまでの研究をまとめた解析(メタアナリシス)では、NIPTの18トリソミーの検出率は97.9%、偽陽性率は0.04%と報告されています[7]。エコーは体の形の異常を直接確認できる一方、多くの所見は妊娠中期以降に見つかり、所見だけでは診断できません。
🔬 NIPTと胎児エコーの比較
NIPTはスクリーニング検査なので、陽性だった場合は確定検査(羊水検査・絨毛検査)で確かめます。当院では確定検査まで院内で受けられます。NIPTの精度や陽性的中率の考え方はNIPTの精度・確率は?感度・特異度と陽性的中率で解説しています。
18トリソミーは、当院のすべてのNIPTプラン(スタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・双子マックス・インペリアル)で調べられます。18トリソミーと確定診断されたあとの経過や長く生きている例については18トリソミーの寿命と長期生存例で、18トリソミーが起こる仕組みと母親の年齢との関係は18トリソミーの原因は母親?で解説しています。13トリソミーのエコー所見は13トリソミーはエコーでいつわかる?にまとめています。
🩺 院長コラム【所見が出るのを待つより、先に調べるという選択】
この記事を読むと、エコーで18トリソミーの特徴的な所見が見つかる時期が、NIPTを受けられる時期よりかなり遅いことがわかると思います。エコーの所見の多くは妊娠中期以降に見つかり、しかも所見だけでは診断できません。
妊娠初期に染色体の状態がわかれば、確定検査を受けるかどうか、どこで出産するか、生まれてすぐの心臓の治療をどう準備するかを、時間をかけてご家族で考えることができます。エコーの所見が出るのを待つのではなく、早い時期にNIPTという選択肢があることを知っておいていただきたいと考えています。
検査は「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ ― 1つの病気あたりで考えると
18トリソミーは、当院のどのプランでも調べられます。そのうえでプランを選ぶときに考えていただきたいのが、どこまでの範囲を調べるかです。出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわります。そして、ご家族の子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった「行動の問題」だと分かっています[8]。スミス・マゲニス症候群やプラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群など、こうした行動の問題を伴いやすい病気には微小欠失症候群や単一遺伝子疾患が多く含まれ[8][9]、三大トリソミーだけを調べる検査では調べられません。また、微小欠失症候群で最も多い22q11.2欠失症候群は、赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられ、母親の年齢とは関係なく起こります[10]。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を調べられます。
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。「安さ」だけで選んで大丈夫でしょうか。
三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。
当院のインペリアルプランは、全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、202の単一遺伝子疾患を調べます。性染色体の数の異常も含めて、数えられる病気だけで320になり、1つの病気あたりは約1,700円です。さらに、5Mbを超える欠失・重複はすべての染色体が対象なので、数えきれないほどの変化を調べていることになります。数えられる分だけでも、これだけの範囲を調べられます。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード (220,000円) |
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム (264,000円) |
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド (407,000円) |
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス (440,000円) |
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル (550,000円) |
全常染色体と性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています(性染色体を調べるのはスタンダード・プレミアム・ダイヤモンド・インペリアル。双子マックスは調べません)。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
ただし、病気の数が多いほど良い検査、というわけではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だからこそ、検査前の遺伝カウンセリングで、何を知りたいのかを整理してからプランを選ぶことが大切です。どこまで調べたいかは、ご家族によって違います。90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。
各プランの詳しい内容は、それぞれのページでご確認いただけます。
8. ミネルバクリニックのNIPT
東京・北青山のミネルバクリニックでは、年齢制限なく、妊娠9週からNIPTを受けられます。妊娠6〜8週は、早い時期のNIPTとして臨床研究で受け入れています。
👩⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐
当院には臨床遺伝専門医が常駐しています。90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が検査前の遺伝カウンセリングを行い、検査の範囲と限界、陽性だったときの流れを確認します。結果が陰性の場合はマイページでお知らせし、陽性の場合は、陽性後のカウンセリングを何度でも無料で受けられます。
🔬 プランごとの検査方式と結果までの日数
スタンダードプランは標的捕捉濃縮法(精度のデータはスーパーNIPTのエビデンス)、ダイヤモンドプランは米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※、インペリアルプランは低深度全ゲノムシーケンスとターゲット法を組み合わせた方式で調べます。結果は基本的に10〜14日でお知らせします。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日)。
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
🏥 確定検査まで院内で
2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で行っています。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。陽性のあとに別の施設を探す必要はありません。
💰 2つの互助会(全員加入)
NIPTを受ける方は全員、2つの互助会に加入します。カトレア会(8,000円)は、陽性だったときの羊水検査の費用を上限なく補助します。安心検査結果保障制度(6,000円)は、結果が出ずに再検査が必要になったのに、流産で再検査ができなかった場合に備える互助会です。どちらも収益を目的としない事業のため、消費税はかかりません。
🗾 遠方の方は
オンラインNIPTでは、臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングをオンラインで受け、全国110か所の提携施設で採血できます。NIPTのお問い合わせはNIPT専用ダイヤル(03-3408-3768)でも受け付けています。
🏥 18トリソミーを、エコーの所見が出る前に調べる
臨床遺伝専門医が常駐し、NIPTは妊娠9週から。陽性なら確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 18トリソミーはエコーでいつわかりますか?
早いものは妊娠10〜14週ごろから、巨大膀胱、嚢胞性ヒグローマ、NTの肥厚、大槽の拡大などが見つかることがあります。病的な臍帯ヘルニアは妊娠13週以降に評価できます。心臓の異常、手を握ったまま指が重なる所見、脈絡叢嚢胞、食道閉鎖、顔の所見など、多くは妊娠18〜20週ごろの中期の詳しい超音波でわかります。
Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
ダウン症候群だけを調べれば安心、とは言い切れません。18トリソミーや13トリソミーのほかにも、出生前検査で調べられる病気はたくさんあります。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、子育てのストレスを最も強く左右していたのは知的障害の程度よりも行動の問題で、それを伴いやすいのは微小欠失症候群や単一遺伝子疾患でした。当院ではスタンダードプランから22q11.2欠失症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで一緒に考えます。
Q3. 妊娠18週のエコーで胎児の奇形はわかりますか?
妊娠18〜20週ごろは、脳、顔、心臓、おなか、手足を一通り確認しやすい時期で、多くの形の異常がこの時期の詳しい超音波で見つかります。18トリソミーでは、妊娠15〜21週に専門施設で詳しい超音波を受けた98例のうち97%に何らかの所見がありました。ただし、すべての異常が見つかるわけではなく、心臓の細かい異常や、週数が進んでから目立つ異常もあります。
Q4. エコーで大槽拡大と言われました。18トリソミーですか?
大槽拡大だけで18トリソミーとは決まりません。大槽は前後の長さ10mm以上が異常の目安ですが、エコーの角度で大きく測られることがあり、妊娠末期には正常な赤ちゃんでもこの程度になることがあります。はっきり大きい場合は、18トリソミーを含む染色体異常や小脳の形の異常を考え、詳しい超音波でほかの所見がないかを確かめます。染色体を調べるには、NIPTや羊水検査などの検査が必要です。
Q5. 脈絡叢嚢胞が見つかりました。18トリソミーの可能性はどのくらいですか?
ほかに所見のない単独の脈絡叢嚢胞では、18トリソミーの可能性が約14倍(尤度比13.8)になると報告されています。ただし、もともとの確率が低ければ、14倍でも確率そのものは低いままです。脈絡叢嚢胞は正常な赤ちゃんにもみられ、多くは自然に消えます。18トリソミーでは手の形や心臓など、ほかの所見を伴うことがほとんどなので、手まで含めた詳しい超音波で確かめることが大切です。
Q6. 18トリソミーの赤ちゃんの顔貌(顔つき)の特徴は?
頭が前後に長い(長頭)、まぶたの開きが短い、あごが小さい(小顎)、耳が小さく耳たぶが小さい・耳のふちが平らといった特徴が知られています。エコーでは、後頭部突出、小顎、耳の小ささ、口唇裂・口蓋裂などが手がかりになり、横顔を描き出しやすい妊娠中期以降に評価しやすくなります。
Q7. 18トリソミーで心奇形はどのくらいの確率で起こりますか?
生まれた赤ちゃんの90%以上に心臓の構造の異常があると報告されています。妊娠中期の超音波で心臓の異常が見つかったのは約6割で、細かい異常はおなかの中では見つけきれないこともあります。主な心奇形には心室中隔欠損、ファロー四徴症、両大血管右室起始症、左心低形成症候群、心内膜床欠損などがあります。
Q8. 18トリソミーの赤ちゃんを妊娠していると、お母さんに症状はありますか?
お母さん自身に特有の症状が出ることはほとんどありません。健診で見つかるサインとしては、羊水が多い(羊水過多)、赤ちゃんが週数の目安より小さめ、といったものがあります。羊水過多は妊娠中期に約3割、後期には6〜9割の例でみられると報告されています。
Q9. NIPTと胎児エコーはどちらが先にわかりますか?
NIPTのほうが早い時期に調べられます。当院のNIPTは妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として)受けられ、18トリソミーの検出率は97.9%、偽陽性率は0.04%と報告されています。一方、エコーで18トリソミーの特徴的な所見がそろうのは妊娠中期以降が多く、所見だけでは診断できません。
Q10. エコーで異常所見がなければ18トリソミーではないと言えますか?
いいえ、言い切れません。エコーで見つけられる所見には限りがあり、所見がはっきりしない赤ちゃんもいます。染色体を調べるには、NIPTや確定検査(羊水検査・絨毛検査)を受ける必要があります。
Q11. 18トリソミーの赤ちゃんの予後(寿命)はどうですか?
18トリソミーは重い染色体の病気で、妊娠中に流産や死産となることも多く、生まれた赤ちゃんの生存期間の中央値は3〜14.5日、1年生きられるのは5〜10%と報告されています。一方で、心臓の手術などの治療を受けて長く生きている例も報告されており、状況は一人ひとり異なります。長期生存例は「18トリソミーの寿命と長期生存例」のページで解説しています。
Q12. NIPTで18トリソミー陽性だった場合、確定検査は必要ですか?
はい、必要です。NIPTはスクリーニング検査で、確定診断ではありません。陽性の場合は羊水検査・絨毛検査などの確定検査で確かめてください。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。全員加入のカトレア会(8,000円)で、羊水検査の費用は上限なく補助されます。
Q13. 遠方ですが検査を受けられますか?
はい。オンラインNIPTでは、臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングをオンラインで受け、全国110か所の提携施設で採血できます。
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。エコーの所見について心配なことは、主治医・専門医にご相談ください。






