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NIPTの微小欠失検査は必要?陽性的中率と確率、陽性だったときの考え方|一部の自閉症・発達障害の原因もわかる

目次

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

NIPTのプランを選ぶとき、「微小欠失まで調べる必要はあるのだろうか」「陽性的中率が低いと聞いて不安」と迷うのは自然なことです。結論からお伝えすると、微小欠失は母親の年齢に関係なく起こり、調べる意味はあります。ただし、陽性的中率は染色体の数の異常より低く、陽性なら確定検査で確かめることが前提の検査です。この記事では、確率、陽性的中率の読み方、陽性時の流れ、学会の考え方、自閉症・発達障害との関係までを臨床遺伝専門医が解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約15分
🧬 NIPT・微小欠失・陽性的中率
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤微小欠失(微細欠失)とは何か、どのくらいの確率で起こるのか
  • ➤NIPTの微小欠失の陽性的中率が、数の異常より低くなる理由と実際の数字
  • ➤微小欠失で陽性と言われたときに考えること(胎盤の影響・お母さん自身の欠失・確定検査)
  • ➤米国の学会(ACMG・ACOG・SMFM)で考え方が分かれる点と、検査前の遺伝カウンセリングの意味
  • ➤一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因も、当院のNIPTで調べられること

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. 微小欠失の検査は必要ですか?

微小欠失は母親の年齢と関係なく起こり、最も多い22q11.2欠失症候群は妊娠中の赤ちゃんの約1,000人に1人にみられます。若い方でも調べる意味はありますが、陽性なら確定検査が必要になることを知ったうえで選ぶ検査です。

📊 Q. 微小欠失の陽性的中率はどのくらい?

ダウン症候群などの数の異常より低く、項目によって60〜70%程度が目安です。病気そのものがまれなため、検査の精度が高くても陽性的中率は下がります。陽性は「確定」ではありません。

🌸 Q. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?

一部はわかります。当院のNIPTは、自閉症・発達障害・知的障害の原因になる染色体の微小欠失や遺伝子の変化の一部を調べられます。陰性でも自閉症や発達障害がないとは言えません。

\ 22q11.2欠失症候群はスタンダードプランから調べられます /

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陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられます。 NIPTのプランを見る

微小欠失検査は必要?まず知ってほしい結論

受けるかどうかを決めるのはご家族です。判断の材料として、知っておいていただきたい事実は3つあります。

1つ目は、微小欠失は母親の年齢と関係なく起こるということです。微小欠失の多くは親から受け継いだものではなく、卵子や精子ができる過程で新しく起こる変化だからです。

2つ目は、陽性的中率が染色体の数の異常より低いということです。微小欠失で「陽性」と出ても、実際には赤ちゃんに欠失がないことが、ダウン症候群の場合より多く起こります。そのため、陽性なら確定検査で確かめることが前提の検査です。

3つ目は、米国の学会の間でも考え方が分かれているということです(詳しくは後述)。だからこそ、検査の前に、何が分かり、何が分からないのかを知ってから選ぶことが大切です。

微小欠失(微細欠失)とは

ヒトの染色体は、2本ずつ23組、合計46本あります。微小欠失とは、そのうち1本の染色体のごく一部が欠けている状態です。欠ける範囲は数百万塩基ほどと小さく、顕微鏡で染色体の形を見る通常の検査(Gバンド法)では見つけられません。欠ける場所によって決まった組み合わせの症状が現れるものを、微小欠失症候群と呼びます。

微小欠失症候群の種類や症状の全体像は、微小欠失症候群とは?12種類の症状と検査で詳しく解説しています。

💡 用語解説:微小欠失(びしょうけっしつ)と微小重複(びしょうじゅうふく)

染色体のごく一部が欠けているのが微小欠失、余分に増えているのが微小重複です。「微細欠失(びさいけっしつ)」も同じ意味です。染色体の本数は正常なので、ダウン症候群のような「数の異常」とは別の種類の変化です。確定には、染色体の細かな欠失・重複まで調べられる染色体マイクロアレイ検査を使います。

微小欠失が起こる確率|母親の年齢に関係なく起こる

染色体の数が正常な妊娠の約1.7%に微小欠失・重複

米国で約4,400例の妊娠を対象に、羊水や絨毛を使って通常の染色体検査とマイクロアレイ検査を比べた大規模な研究があります。この研究では、通常の染色体検査で正常だった妊娠のうち、年齢が高いことや母体血清マーカーで陽性だったことを理由に検査を受けた方の約1.7%(2,695例中46例)で、病気に関係する微小欠失・微小重複が見つかりました[1]。超音波検査で赤ちゃんの形の異常が見つかっていた方では、約6.0%でした[1]。

この1.7%には、NIPTでは調べられない小さな変化も含まれており、NIPTで調べられるのはこのうちの一部です。

22q11.2欠失症候群は約1,000人に1人、母親の年齢とは無関係

微小欠失症候群の中で最も多いのが、22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)です。妊娠中の赤ちゃんのおよそ1,000人に1人にみられ、多くは親から受け継いだものではなく新しく起こる変化で、母親の年齢とは関係がありません[2]。米国で約2万人の妊婦さんを対象にした前向き研究でも、22q11.2欠失は約1,524人に1人の割合で見つかっています[3]。

ダウン症候群は母親の年齢とともに増えるため、若い妊婦さんほど頻度が低くなります。そのため若い妊婦さんでは、年齢と関係なく起こる22q11.2欠失症候群の重みが相対的に大きくなります。「若いから染色体の検査は必要ない」とは言い切れない理由がここにあります。もちろん、これは集団での頻度です。大多数の赤ちゃんには微小欠失はありません。

主な微小欠失症候群と特徴

同じ症候群でも、症状の現れ方や重さには個人差があります。

🧬 NIPTで調べる主な微小欠失症候群

症候群名 欠ける場所 主な特徴
22q11.2欠失症候群 22番染色体 心臓の病気、免疫の働きの低下、低カルシウム血症、口蓋裂、発達の遅れ
1p36欠失症候群 1番染色体 発達の遅れ、てんかん、筋肉の張りの弱さ、心臓の病気
スミス・マゲニス症候群 17番染色体 知的障害、睡眠の問題、自傷などの行動の問題
ウォルフ・ヒルシュホーン症候群 4番染色体 成長の遅れ、てんかん、知的障害
プラダー・ウィリー症候群 15番染色体(父由来) 赤ちゃんの時期の筋肉の張りの弱さ、のちの過食・肥満、知的障害
アンジェルマン症候群 15番染色体(母由来) 重い知的障害、てんかん、ことばがほとんど出ない、運動の障害
猫鳴き症候群(5p欠失) 5番染色体 猫の鳴き声のような高い泣き声、頭が小さい、知的障害

上の7疾患は、当院のスタンダードプランから調べられます(6種類7疾患)。プレミアム・ダイヤモンドプランでは、さらに2q33欠失、ランガー・ギーディオン症候群、9p欠失、ジェイコブセン症候群、18p欠失、18q欠失を加えた12種類13疾患を調べます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「年齢が若いから大丈夫」は、ダウン症候群の話】

出生前検査では「35歳」が目安として語られがちですが、これは数の異常が年齢とともに増えることに由来します。微小欠失は年齢とは別の仕組みで起こります。年齢という物差しだけで検査の必要性を決めると、この種類の変化が視野から抜け落ちてしまいます。

私は、検査を受けるかどうかは「年齢」ではなく、「何を知りたいか」「知ったあとにどうしたいか」で考えていただきたいと考えています。そのために、陽性的中率の低さや確定検査の必要性まで知っておいていただきたいのです。

NIPTの微小欠失の陽性的中率はどのくらい?

結論からお伝えすると、NIPTの微小欠失の陽性的中率は、ダウン症候群などの数の異常より低く、当院では項目によって60〜70%程度を目安として説明しています。ただし、この数字は症候群の種類や検査の方式で大きく変わります。

陽性的中率とは

陽性的中率とは、検査で「陽性」と出た人のうち、本当にその病気がある人の割合です。60%なら、陽性の10人のうち6人に実際に病気があるという意味です。詳しくは陽性的中率(PPV)とは?感度・特異度との違いで解説しています。

💡 用語解説:感度・特異度・陽性的中率

感度は「病気がある人を陽性と判定できる割合」、特異度は「病気がない人を陰性と判定できる割合」です。陽性的中率は「陽性と出た人のうち本当に病気がある割合」で、感度・特異度が同じでも、病気そのものの頻度によって大きく変わります。

なぜ数の異常より低くなるのか

最大の理由は、検査の性能ではなく、病気そのものがまれであることです。精度の高い検査でも、病気のない人をわずかな割合で陽性と判定します。病気がまれになるほど、本当の陽性に比べて、この「誤った陽性」の割合が相対的に大きくなるのです。

感度99%、特異度99.9%という同じ性能の検査を、頻度の違う2つの病気に使った場合を計算してみます。

📊 同じ性能の検査でも、病気の頻度で陽性的中率は変わる(1万人が検査を受けた場合の計算例)

項目 1,000人に1人の病気 1万人に1人の病気
実際に病気がある赤ちゃん 10人 1人
正しく陽性と判定(感度99%) 約10人 約1人
病気がないのに陽性(特異度99.9%) 約10人 約10人
陽性的中率 約50% 約9%

※検査の性能を仮定した計算例で、実際の検査の数字ではありません。病気の頻度が10分の1になると、同じ検査でも陽性的中率は約50%から約9%に下がります。

さらに、欠ける範囲が小さいほど検査で読み取れる情報も少なくなるため、技術的にも数の異常より難しい検査です。染色体の種類ごとに陽性的中率が変わる仕組みは、NIPTの陽性的中率が染色体異常によって異なる理由でも解説しています。

研究で報告されている実際の数字

22q11.2欠失症候群については、一般の妊婦さんを対象にした大規模な前向き研究があります。米国で約2万人の妊婦さんを対象にしたこの研究では、22q11.2欠失の陽性的中率は、当初の解析方法で23.7%(38例中9例)、解析方法を改良した後で52.6%(19例中10例)でした[3]。

別の米国の検査機関のデータでは、22q11.2欠失の陽性の多くは赤ちゃんではなく、お母さん自身が22q11.2欠失をもっていたことによるものでした[4]。

当院のダイヤモンドプランが採用する方式(COATE法)を検証した研究では、超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さん1,090例を対象に、感度98.5%・特異度99.3%と報告されています[5]。これは染色体の数の異常や単一遺伝子の病気を含めた全体の成績で、微小欠失だけの陽性的中率を表す数字ではありません。そのため当院では、微小欠失については「陽性なら必ず確定検査で確かめる」ことを前提に説明しています。

陽性的中率が低いと「無駄な確定検査」が増える? ― がん検診と比べて考える

「陽性的中率が低いなら、受けても意味がないのでは」と感じる方もいるかもしれません。ここで参考になるのが、がん検診の考え方です。米国の肺がん検診の大規模試験では、低線量CTの検診で陽性となった人の96.4%は、実際には肺がんではありませんでした。それでも、この検診によって肺がんによる死亡は20%減ったと報告されています[6]。

陽性的中率が低いことは、スクリーニングが不要である理由にはならず、確定検査とセットで使うべき理由になります。

ただし出生前検査では、確定検査にわずかながら流産のリスクがあり、結果を待つ不安も重なります。陽性時にすぐ確定検査を受けられる体制があるかどうかが、特に重要になります。NIPT全体の精度の考え方はNIPTの精度・確率は?感度・特異度と陽性的中率で整理しています。

微小欠失で陽性と言われたら

陽性は「可能性が高い」という意味で、確定ではありません。

陽性になる理由は赤ちゃんの欠失だけではない

NIPTで調べるDNAには、赤ちゃん本人のものではなく、胎盤から流れ出たDNAと、お母さん自身のDNAも含まれます。陽性時には次の可能性を考えます。

  • ➤赤ちゃんに欠失がある:確定検査で欠失が確認される場合です。
  • ➤胎盤だけに欠失がある:胎盤と赤ちゃんの染色体が食い違う限局性胎盤モザイクでは、赤ちゃん本人には欠失がないことがあります。
  • ➤お母さん自身に欠失がある:症状がほとんどなく、気づかないまま暮らしている方もいます。この場合、赤ちゃんに受け継がれていることも、いないこともあります。
  • ➤検査上の誤り:DNAの量が少ないことなどで、実際にはない欠失が陽性に出ることがあります。

先ほどの検査機関のデータでは、お母さん由来と考えられ赤ちゃんも調べた43例のうち25例(58.1%)で赤ちゃんにも欠失が受け継がれていました[4]。偽陽性の原因全体についてはNIPT偽陽性の確率は?原因を専門医が解説で詳しく説明しています。

💡 用語解説:限局性胎盤モザイク(げんきょくせいたいばんモザイク)

モザイクとは、同じ体の中に染色体の違う細胞が混ざっている状態です。限局性胎盤モザイクは、その違う細胞が胎盤だけにあり、赤ちゃん本人にはない状態をいいます。NIPTは胎盤由来のDNAを多く調べているため、結果が赤ちゃんの実際と食い違う原因になります。

確定検査の流れ|マイクロアレイ検査は2週間ほど

微小欠失の陽性を確かめるには、羊水や絨毛(胎盤のもとになる組織)を採って、赤ちゃんの染色体を直接調べる確定検査が必要です。微小欠失は顕微鏡で見る通常の染色体検査では見つけられないため、確定にはマイクロアレイ検査が必要になることがあります。マイクロアレイ検査は、結果が出るまで2週間ほどかかります。

NIPTで陽性可能性が高い段階
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遺伝カウンセリング陽性後は何度でも無料
→
確定検査絨毛検査・羊水検査(院内)
→
結果主要項目3日以内/マイクロアレイ2週間ほど

当院では、陽性の場合も、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。確定検査の詳細は羊水検査・絨毛検査、マイクロアレイ検査の結果の読み方は染色体マイクロアレイ検査結果の見方をご覧ください。

結果が出たあとに考えること

確定検査で欠失が確認された場合でも、症状の重さを生まれる前に正確に予測することはできません。一方で、生まれる前に分かっていれば、心臓の手術ができる施設での出産や、生まれてすぐのカルシウムや免疫の検査など、赤ちゃんを迎える準備ができます。

学会の考え方(ACMG・ACOG・SMFM)と検査前の遺伝カウンセリング

微小欠失のNIPTについては、専門家の間でも考え方が一致していません。考え方が分かれているからこそ、検査前に十分な説明を受けて選ぶことが大切だという点では、どの学会も共通しています。

🏛️ 微小欠失のNIPTに対する米国の学会の考え方

学会 考え方
米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG) 22q11.2欠失症候群のNIPTを、すべての妊婦さんに提供することを提案(条件付きの推奨)。ほかの微小欠失については、推奨するだけの根拠はまだ十分でないとしています[7]。
米国産科婦人科学会(ACOG) 微小欠失などに範囲を広げたNIPTは、ルーチンには推奨していません[8]。
米国母体胎児医学会(SMFM) 一般の妊婦さん全員への微小欠失のスクリーニングは推奨しないとしたうえで、22q11.2欠失を調べる場合は、検査前に適切な説明を受けてから選ぶよう求めています。染色体の細かな変化まで知りたい方には、確定検査を提案するとしています[9]。

立場の違いは、陽性的中率の低さ、確定検査の必要性、症状の重さの予測しにくさをどう評価するかの違いです。これらを理解したうえで知っておきたい方には、調べる意味のある検査です。

当院では、90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。陽性的中率や確定検査の流れまで説明したうえで、ご自身で選んでいただきます。22q11.2欠失のNIPTを受ける前に知っておきたい点は、NIPTによる22q11.2欠失症候群検査を受ける前に知っておきたい5つのポイントでもまとめています。

自閉症・発達障害・知的障害もNIPTで一部わかる ― 当院で調べられること

\ ダウン症候群だけでなく、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで調べられます /

📅NIPTを予約する

90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。

自閉症や発達障害、知的障害の原因はさまざまですが、一部は染色体の微小欠失や遺伝子の変化が原因だと分かっています。発達の遅れや知的障害、自閉症のあるお子さんをマイクロアレイ検査で調べると、約15〜20%で原因となる染色体の微細な欠失・重複が見つかると報告されています[10]。当院のNIPTが調べる微小欠失や単一遺伝子の病気には、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気が含まれています。

ダウン症候群だけを調べればよいわけではない

ダウン症候群は、医療や支援の進歩で平均寿命が50〜60歳まで延び[11][12]。ダウン症候群のお子さんは、自閉症や原因不明の発達の遅れのあるお子さんより行動の問題が少ないと報告されています[13]。自閉スペクトラム症を伴う割合も、出生前検査で調べるほかの病気と比べて少ないことが分かっています[14]。

一方、18トリソミーや13トリソミーでは、1歳まで生きられる赤ちゃんは約1割にとどまります[15]。また、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患の中には、重い知的障害やてんかんに加えて、自閉スペクトラム症を高い割合で伴い、ご家族の見守りや介護の負担が大きくなりやすい病気も少なくありません。自閉スペクトラム症を伴う割合は、レット症候群で61%、コルネリア・デ・ランゲ症候群で43%、アンジェルマン症候群で34%と報告されています[14]。

子育てのストレスを左右するのは「行動の問題」

知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、スミス・マゲニス症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群のご家族は、ダウン症候群のご家族より子育てのストレスが高いと報告されています[16]。ストレスを最も強く左右していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題、睡眠の問題でした[16]。アンジェルマン症候群やスミス・マゲニス症候群では他人への攻撃的な行動が、コルネリア・デ・ランゲ症候群やスミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群では自傷が多いことが分かっています[17]。

スミス・マゲニス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群はスタンダードプランから、コルネリア・デ・ランゲ症候群はダイヤモンド・インペリアルプランで、ウィリアムズ症候群はインペリアル・双子マックスプランで調べられます。ダウン症候群だけを調べればよいのか、検査を選ぶ前に考えていただきたい点です。

22q11.2欠失症候群を調べる意味

22q11.2欠失症候群は、心臓の病気、免疫の働きの低下、低カルシウム血症、口蓋裂、発達の遅れなどを伴うことがあり、自閉スペクトラム症を伴う割合も一般より高いと報告されています[2][14]。ACMGはすべての妊婦さんへの提供を提案しています[7]。当院では、スタンダードプランから22q11.2欠失症候群を調べられます。

性染色体の数の異常は、ほかの病気とは分けて考える

スタンダードプランでは性染色体の数の異常(クラインフェルター症候群、ターナー症候群など)も調べます。知的障害を伴うことは少なく、成人の多くは自立して生活しています[18]。ただし、言葉や学習面の苦手さが出ることがあり、自閉スペクトラム症などの発達特性がみられる割合も一般より高いと報告されています[18][19]。早く分かれば、ことばや学習の支援を早めに始められます。

プラン別:自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な疾患

🧩 当院のNIPTで調べられる主な疾患(プラン別)

プラン 微小欠失・重複 単一遺伝子 自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある主な疾患
スタンダード 6種類7疾患 なし 22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、プラダー・ウィリー症候群、スミス・マゲニス症候群
プレミアム 12種類13疾患 なし 上の疾患に加え、2q33欠失症候群など
ダイヤモンド 12種類13疾患 56遺伝子 上の疾患に加え、レット症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、CHARGE症候群
双子マックス 92種類+5Mbを超える構造異常 なし スタンダードの疾患に加え、16p11.2欠失・重複、ウィリアムズ症候群
インペリアル 92種類+5Mbを超える構造異常 最大155遺伝子 上の疾患に加え、フェラン・マクダーミッド症候群、ピット・ホプキンス症候群、コルネリア・デ・ランゲ症候群、レット症候群

16p11.2欠失・重複はインペリアル・双子マックスプランだけが対象です。双胎で受けられるのはスタンダード・双子マックスプランです。

NIPTで分からないこと

NIPTで陰性でも、自閉症・発達障害・知的障害がないとは言えません。脆弱X症候群のように、NIPTでは調べられない原因もあります。リスクの数字はあくまで集団のもので、大多数のお子さんには当てはまりません。自閉症とNIPTの関係をもっと詳しく知りたい方は、自閉症はNIPTでわかりますか?をご覧ください。

ミネルバクリニックの微小欠失のNIPT

常駐する臨床遺伝専門医が、検査前の遺伝カウンセリングから結果の説明、陽性時の確定検査まで終始責任をもって支援します。

必要な領域を深く読む検査方式

当院は、微小欠失のように小さな変化を調べるときには、必要な領域を絞って精度よく読む方式を重視しています。ダイヤモンドプランでは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※を採用しています。検証データはCOATE法のエビデンスで紹介しています。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

陽性でも院内で確定検査まで、費用の補助も

2025年6月から産婦人科を併設し、絨毛検査・羊水検査を院内で実施しています。陽性の場合は、陽性後の遺伝カウンセリングを何度でも無料で受けられます。陰性の場合は、結果をマイページでお知らせします。

費用面では、2つの制度があります。1つは、1回のNIPTにつき8,000円の羊水検査互助会(カトレア会)で、陽性時の確定検査費用を補助し、補助の上限はありません。もう1つは、1回のNIPTにつき6,000円の安心検査結果保障制度で、再検査が必要になったのに流産して再検査ができず結果が出なかったときに、検査代金(諸費用を除く)を返金します。料金はNIPTの費用・料金でご確認ください。

遠方の方はオンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。施設選びで後悔しないためのポイントはNIPTクリニックの選び方にまとめています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【微小欠失を調べるなら、陽性のあとまで含めて選ぶ】

微小欠失の検査は、「調べられるかどうか」だけで選ぶものではないと考えています。陽性的中率が数の異常より低い以上、陽性と言われた方が確定検査に進み、結果の意味を理解するまでの時間と道筋が、検査そのものと同じくらい重要になるからです。

そのため当院では、微小欠失のような小さな変化は、必要な領域を絞って精度よく読む方式で調べること、陽性のときは院内で確定検査まで受けられること、費用の心配で確定検査をためらわなくて済むことを、ひとつの仕組みとして整えてきました。陽性的中率を正直にお伝えしたうえで、納得して選べるようにすることが、臨床遺伝専門医が運営するクリニックの役割だと考えています。

🏥 微小欠失まで調べるかどうか、正確な情報で選ぶために

ダウン症候群だけでなく、18・13トリソミーや微小欠失症候群、一部の自閉症・発達障害・知的障害の原因まで、当院のNIPTでわかります。陽性でも、確定検査(羊水検査・絨毛検査)まで院内で受けられ、主要項目は3日以内に結果が出ます。

よくある質問(FAQ)

Q1. NIPTの微小欠失検査は必要ですか?

微小欠失は年齢と関係なく起こるため、若い方でも調べる意味はあります。一方で、陽性的中率は数の異常より低く、陽性なら確定検査が必要です。検査前に説明を受けてから選ぶことをお勧めします。

Q2. 微小欠失の陽性的中率はどのくらいですか?

ダウン症候群などの数の異常より低く、当院では項目によって60〜70%程度を目安として説明しています。陽性は確定ではないため、必ず確定検査で確かめます。

Q3. 微小欠失で生まれる確率はどのくらいですか?

通常の染色体検査で正常な妊娠でも、約1.7%で微小欠失・微小重複が見つかったと報告されています(NIPTで調べられるのはその一部)。22q11.2欠失症候群は妊娠中の赤ちゃんの約1,000人に1人で、母親の年齢とは関係がありません。

Q4. 微小欠失で陽性と言われたら、どうすればよいですか?

陽性は確定ではなく、胎盤やお母さん自身の欠失が原因のこともあります。羊水検査や絨毛検査で確かめ、マイクロアレイ検査を使うことがあります。当院では確定検査まで院内で受けられ、主要な項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。

Q5. 微小欠失が陰性なら安心してよいですか?

対象の微小欠失は可能性が低いと考えられますが、まれに偽陰性はあります。対象外の欠失・重複や体のつくりの異常は、陰性から何も言えないため、妊婦健診の超音波検査は引き続き受けてください。

Q6. NIPTで自閉症や発達障害はわかりますか?

一部はわかります。当院のNIPTは、22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、レット症候群など、自閉症・発達障害・知的障害を伴うことがある病気を調べられます。ただし、陰性でも自閉症や発達障害がないとは言えません。

Q7. 22q11.2欠失症候群は指定難病ですか?

はい。22q11.2欠失症候群は、国の指定難病(告示番号203)に含まれています[20]。当院ではスタンダードプランから調べられます。

Q8. 20代でも微小欠失を調べる意味はありますか?

あります。微小欠失は年齢と関係なく起こるため、ダウン症候群の頻度が低い20代では、その重みが相対的に大きくなります。

🏥 検査前の遺伝カウンセリングから、陽性時の確定検査まで

90分の受診枠の中で、常駐する臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行い、どのプランが合うかを一緒に考えます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでのカウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。

関連記事

参考文献

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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断を示すものではありません。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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