目次
ウォルフ・ヒルシュホーン症候群は、4番染色体の短腕(4p)の端が欠けることで起こる病気で、4p欠失症候群、4p-(4pマイナス)症候群とも呼ばれます。「お子さんがこの病気と診断された」「NIPTで4p16.3の欠失を指摘された」という方に向けて、顔の特徴や症状、寿命のデータ、遺伝のしくみ、妊娠中にいつ・どの検査でわかるかまでを、一次資料にもとづいて臨床遺伝専門医が整理しました。
- ➤原因 → 4番染色体短腕の4p16.3領域の欠失(約5万人に1人、女の子に約2倍多い)
- ➤主な症状 → 特徴的な顔立ち・成長の遅れ・知的障害・てんかん(90〜100%)
- ➤関わる遺伝子 → NSD2・LETM1・MSX1など
- ➤診断 → 染色体マイクロアレイ検査(CMA)・FISH法(通常の染色体検査では約4〜5割が見逃される)
- ➤出生前 → 当院のNIPTはスタンダードプランを含む全プランで対象。陽性なら羊水・絨毛検査で確認
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. ウォルフ・ヒルシュホーン症候群(4pマイナス症候群)とは?
4番染色体の短腕の端(4p16.3)が欠けて起こる病気で、4p欠失症候群・4p-(4pマイナス)症候群とも呼ばれます。約5万人に1人、女の子に約2倍多く、特徴的な顔立ち・成長の遅れ・知的障害・てんかんが主な症状です。日本では指定難病198です。
👤 Q. 顔の特徴は?
鼻筋が広く平らで額まで続く顔立ちが特徴で、「ギリシャ兵士のヘルメット」のようだと表現されます。人中が短い、口角が下がる、あごが小さいといった特徴もあり、思春期には目立ちにくくなります。
⏳ Q. 寿命は?短命なの?
英国で132人を調べた研究では、1歳までの死亡が17%、2歳までが21%でした。乳幼児期を越えたあとの見通しは、心臓やてんかんなど合併症の内容と治療の状況で一人ひとり大きく異なります。
\ ウォルフ・ヒルシュホーン症候群(4p16.3欠失)は、スタンダードプランから全プランで調べられます /
1. 4p16欠失症候群(ウォルフ・ヒルシュホーン症候群)とは|基本情報
【結論】 4p16欠失症候群(Wolf-Hirschhorn syndrome:WHS)は、4番染色体の短腕の端(4p16.3)が欠けることで起こる生まれつきの病気です。頻度は約5万人に1人で、女の子が男の子の約2倍です[1][2]。日本では「4p欠失症候群」として指定難病198に指定されています[6]。
4p欠失症候群、4p-(4pマイナス)症候群、ウルフ・ヒルシュホーン症候群と書かれることもありますが、いずれも同じ病気です。以前は別の病気とされていたピット・ロジャーズ・ダンクス症候群も、現在は同じ病気の幅の中にあると考えられています[1][2]。この病気は、染色体のごく一部が欠ける微小欠失症候群の一つで、欠けた範囲に含まれる複数の遺伝子がまとめて1本分失われることで症状が現れます。
💡 用語解説:「連続遺伝子欠失症候群」とは?
染色体の一部が欠けることで、その領域に並んでいる複数の遺伝子がまとめて失われる病気のことです。2本ある遺伝子のうち1本が失われるだけで働きが足りなくなる状態をハプロ不全といい、欠けた範囲の大きさによって失われる遺伝子の数が変わるため、症状にも幅が出ます。
4p16欠失症候群の概要
📋 4p16欠失症候群の基本データ
⚠️ WHSの「責任領域(WHSCR)」について
WHSの中心となる症状を起こす領域は、4番染色体短腕の端から約1.4〜1.9Mb(メガ塩基)のところにあり、WHS責任領域(WHSCR)と呼ばれます[1]。この領域を含む欠失で典型的な症状が現れ、欠失がさらに大きいと、ほかの症状が加わることがあります。
なぜ女性に多いのか?
WHSは女の子が男の子の約2倍多いことが知られていますが、その理由はわかっていません[2]。「男の子では妊娠中に育ちにくい」などの説明が語られることがありますが、確かめられた結論ではありません。
2. 4p16欠失症候群の主な症状
【結論】 特徴的な顔立ち、生まれる前から続く成長の遅れ、知的障害、てんかん(90〜100%)が主な症状です。加えて、心臓の病気、骨格の変化、腎臓・尿路の病気、聞こえにくさ、免疫の弱さなど、体の多くの部分に合併症が出ることがあります[1][2]。
特徴的顔貌:「ギリシャ兵士のヘルメット様顔貌」
WHSの顔立ちは、鼻筋が広く平らで、そのまま額へ続くように見えるのが特徴で、古代ギリシャの兵士がかぶった鼻当てつきのかぶとにたとえて「ギリシャ兵士のヘルメット様顔貌」と呼ばれます[1]。この顔立ちは生まれたときから子どもの時期にわかりやすく、思春期になると目立ちにくくなると報告されています[1]。
👤 顔の特徴(よく見られるもの)
・鼻・額:鼻筋が広く平らで、そのまま額へ続く
・口・あご:鼻と上唇の間(人中)が短い、口角が下がっている、あごが小さい
・耳:耳の形の変化
・そのほか:顔の左右差、頭が小さい(小頭症)[1][2]
症状の出現頻度一覧
📊 主な症状と頻度(海外の総説より)
| 症状 | 頻度 | 内容 |
|---|---|---|
| 特徴的な顔立ち | 75%を超える | 「ギリシャ兵士のヘルメット様」の顔立ち |
| 成長の遅れ | 75%を超える | 生まれる前からの発育不全、低身長、体重が増えにくい |
| 知的障害 | 75%を超える | 軽度約10%・中等度約25%・重度〜最重度約65% |
| てんかん | 90〜100% | 生後3〜23か月に始まり、熱がきっかけになりやすい |
| 筋緊張の低下・哺乳の難しさ | 75%を超える | 体がやわらかい、飲み込みがうまくいかない |
| 心臓の病気 | 約50% | 多くは複雑ではなく、手術で治せるものが多い |
| 骨格の変化 | 60〜70% | 背骨の曲がり(側弯・後弯)など |
| 腎臓・尿路の病気 | 30%を超える | 腎臓の形の異常、膀胱尿管逆流など |
| 聞こえにくさ | 40%を超える | 多くは伝音性(中耳の問題) |
| 抗体の不足(免疫) | 69%(1件の研究) | IgA・IgG2サブクラスの不足など。呼吸器感染・中耳炎をくり返しやすい |
| 口唇裂・口蓋裂 | 25〜50% | MSX1遺伝子の欠失との関係が考えられている |
出典:GeneReviews(Battaglia ほか、2015年最終更新)[1]。頻度は報告によって幅があります。
てんかん:管理上の最大の課題
WHSのお子さんの90〜100%にてんかんが起こり、生活の質や命に関わる大切な課題です[1][6]。
⚡ てんかんの特徴
・始まる時期:生後3〜23か月、多くは6〜12か月
・きっかけ:熱が引き金になりやすい。発作が続けて起こり、15分以上続くこともある
・発作の形:全身のけいれん、非定型欠神発作(ぼーっとする発作)など
・長い目で見ると:2〜13歳までに最大55%で発作が止まると報告されている[1]
💡 人と関わる力は比較的保たれやすい
知的障害は重いことが多いものの、WHSのお子さんでは言葉で話す力に比べて、人と関わる力が比較的保たれやすいことが知られています[2]。多くのお子さんに「伝えたい」という気持ちがあり、年齢とともに伸びていくと報告されています[1]。
🩺 院長コラム【WHSの「症状の幅」について】
同じ「ウォルフ・ヒルシュホーン症候群」という診断名でも、症状の出方には大きな幅があります。これは、欠けた範囲の大きさや、転座によってほかの染色体の一部が余分になっているかどうかが、一人ひとり違うためです。
臨床遺伝専門医として大切にしているのは、「WHSだから○○」と一括りにしないことです。染色体マイクロアレイ検査でどこからどこまでが欠けているかを確かめ、そのお子さんに合った健康管理の計画を立てることが、ご家族の安心につながると考えています。
3. 原因と遺伝的背景|3つの責任遺伝子
【結論】 WHSの原因は4p16.3領域の欠失です。85〜90%は親から受け継いだものではなく、新しく起こったものです[2]。症状に関わる遺伝子として、NSD2(顔立ち・成長の遅れ)、LETM1(てんかん)、MSX1(歯・口唇口蓋裂)などが知られています[2][3][4]。
欠失の発生パターン
🧬 欠失の起こり方
| 起こり方 | 割合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 単純な末端の欠失 | 約55% | 4pの端だけが欠ける。多くは精子・卵子ができるときなどに新しく起こる(de novo) |
| 不均衡型転座 | 約40〜45% | 4pの欠失に加え、別の染色体の一部が余分になっている。新しく起こる場合と、均衡型転座をもつ親から伝わる場合がある |
| 環状染色体(4番の環状染色体)など | 残り | 4番染色体の両端が切れて輪になり、端の遺伝子が失われる |
出典:GeneReviews[1]。親から受け継いだものではない(新しく起こった)ケースは全体の85〜90%とされています[2]。
💡 用語解説:「均衡型転座」とは?
2本の染色体の一部が入れ替わっている状態です。遺伝子の過不足がないため、もっている本人はふつうは健康です。ところが、精子や卵子ができるときに染色体が偏って分かれると、子どもに欠失や重複が起こる(不均衡型になる)ことがあります。くわしくは染色体の不均衡型構造異常で解説しています。
3つの主要責任遺伝子
🔬 WHSに関わる主な遺伝子
⚠️ 欠失の大きさと症状の重さの関係
欠失の大きさと症状の重さには部分的な関係しかないとされ、小さな欠失でも症状が重い方、大きな欠失でも軽い方がいます。一方で、3Mbを超える欠失では口蓋裂や心臓の病気などが多く、4pの端から22〜25Mbを超えるような非常に大きな欠失では、典型的なWHSとは異なる重い症状になると報告されています[1]。
4. 4p16欠失症候群の診断方法
【結論】 診断には、染色体マイクロアレイ検査(CMA)やFISH法が使われ、どちらも95%を超える方で欠失を見つけられます。顕微鏡で染色体を見る通常の染色体検査(G分染法)で見つかるのは約50〜60%にとどまるため、G分染法で異常がなくてもWHSは否定できません[1]。
診断のきっかけ
WHSは、特徴的な顔立ちや成長の遅れなどから疑われ、遺伝学的検査で確かめます。
🔍 WHSを疑うきっかけ
①顔立ち:「ギリシャ兵士のヘルメット様」の顔立ち
②成長の遅れ:おなかの中から小さい(胎児発育不全)、生まれてからも体重が増えにくい
③乳児期のてんかん:とくに熱がきっかけのけいれん
④合併症:上記に加え、心臓の病気、口唇裂・口蓋裂、骨格の変化など[1]
遺伝学的検査の種類
🧪 検査ごとの見つけやすさ
| 検査 | 特徴 | WHSの欠失を見つけられる割合 |
|---|---|---|
| 染色体マイクロアレイ(CMA) | 欠失の大きさまでわかる。G分染法で異常がなかった方の調べ直しにも使われる | 95%を超える |
| FISH法 | WHS責任領域を狙って調べる。欠失の大きさはふつうわからない | 95%を超える |
| G分染法(通常の染色体検査) | 染色体全体を顕微鏡で見る。転座の確認に役立つ | 約50〜60% |
出典:GeneReviews[1]
⚠️ G分染法の限界
G分染法は顕微鏡で見える大きさの変化しかわからないため、WHSの欠失の約4〜5割は見つけられません[1]。G分染法で異常がなくても、症状からWHSが疑われる場合は、CMAやFISH法で調べ直すことがあります。
鑑別診断
WHSは症状が多くの部分にわたるため、似た症状をもつ病気との区別が必要です。総説では、4pのより内側(セントロメア寄り)の欠失、セッケル症候群、CHARGE症候群、スミス・レムリ・オピッツ症候群、オピッツG/BBB症候群、マルプエッシュ症候群、ローリー・マクリーン症候群、ウィリアムズ症候群、レット症候群、アンジェルマン症候群、スミス・マギニス症候群が挙げられています[1]。顔立ちや合併症の組み合わせに加え、遺伝学的検査で区別します。
5. 治療と長期管理
【結論】 欠けた染色体そのものを元に戻す治療はありません。てんかんの治療、哺乳・栄養の支援、合併症の早期発見、リハビリ・療育を、多くの診療科が協力して進めることが中心です[1][6]。
治療の柱
🏥 主な治療と健康管理(GeneReviewsの推奨より)
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| ⚡ てんかん | 最初の発作のあとにバルプロ酸で治療を始めることが勧められ、非定型欠神発作にはエトスクシミドを併用することもある。発作が続く(重積)ときは静脈からのベンゾジアゼピン系薬。カルバマゼピンは非定型欠神発作を悪化させることがある |
| 🍽️ 哺乳・栄養 | 哺乳の練習や専用の器具、飲み込みがうまくいかないときは管からの栄養。胃食道逆流の治療。ある研究では約44%が胃ろうを受けていた |
| ❤️ 心臓・腎臓 | 乳児期に心臓の診察・心電図・心エコー。腎機能の検査と腎臓の超音波検査を行い、その後も毎年腎機能を確認 |
| 👂 聞こえ・目 | 早めに耳鼻科で聞こえを調べ、必要なら補聴器を試す。乳児期に眼科で診察 |
| 🏃 リハビリ | 早めの理学療法。骨格の変化には整形外科で個別に対応 |
| 💬 コミュニケーション | 手話(サイン)は意思疎通を助け、話す力を妨げない |
出典:GeneReviews[1]。実際の治療は主治医と相談して決めます。
⚠️ 気をつけたいこと
・カルバマゼピン:非定型欠神発作を悪化させることがあると報告されています[1]
・合併症の見落とし:心臓や腎臓の病気、聞こえの問題は、症状がはっきりしないうちに見つけることが大切です。診断がついたら、全身のチェックを計画的に受けてください[1]
研究の現状
WHSの根本的な治療法は、現時点ではありません。成長ホルモン療法や遺伝子治療などの話題がインターネット上で見られることがありますが、WHSの標準治療として確立したものではありません。新しい治療の情報に触れたときは、それが症例報告の段階か、臨床試験で効果が確かめられたものかを、主治医と一緒に確認することをお勧めします。
予後と生命予後
英国でWHSの方132人を調べた研究では、1歳までに亡くなった方が17%、2歳までが21%でした[5]。命に関わることが多いのは乳幼児期で、心臓の病気、てんかんの重い発作、くり返す呼吸器の感染症の管理が大切です。乳幼児期を越えたあとの健康状態は、合併症の内容と治療の状況によって大きく変わります[6]。
📈 成長してからの様子(海外の報告)
・知的障害は軽度約10%、中等度約25%、重度〜最重度約65%
・約45%が歩けるようになる(一人で約25%、支えがあれば約20%)
・簡単な文で話せるのは約6%。一方で、手話(サイン)などで意思を伝えることは多くの方でできる
・約30%は食事などで一部のことを自分でできるようになる(自分で食べられるのは約10%)[1]
6. 遺伝カウンセリングの重要性
【結論】 WHSの遺伝カウンセリングでは、欠失が新しく起こったものか、親の均衡型転座から伝わったものかを確かめることが、次のお子さんの見通しを考えるうえで大切です。そのため、お子さんの診断がついたら、両親の染色体検査が勧められています[1]。
再発リスクの評価
👪 次のお子さんでの可能性
| 状況 | 次のお子さんで起こる可能性 | 補足 |
|---|---|---|
| 両親の染色体に変化がない(新しく起こった欠失) | ごく低い | 親から受け継いだものではないため |
| 親のどちらかが均衡型転座をもっている | 高くなる | WHS(4pの欠失)だけでなく、4pが余分になる組み合わせが起こることもある。転座の種類で変わるため、個別に評価する |
出典:GeneReviews[1]
📋 遺伝カウンセリングで確かめること
①両親の染色体検査:均衡型転座があるかを確かめ、次のお子さんの可能性を考える
②欠失の範囲:どこからどこまで欠けているかと、考えられる健康管理
③次の妊娠での選択肢:親が転座をもっている場合は、出生前検査や着床前検査(PGT-SR)が選択肢になる[1]
④気持ちの支え:ご家族の不安や疑問を一緒に整理する
🩺 院長コラム【「私たちのせい?」という問いに】
WHSと診断されたご家族が最初に抱くのは、「なぜうちの子に?」「私たちのせい?」という問いであることが少なくありません。85〜90%は親から受け継いだものではなく、精子や卵子ができるときなどに偶然起こるものです。妊娠中の過ごし方でどうにかできたものではありません。
一方で、親が均衡型転座をもっている場合には、次の妊娠で考えておきたいことがあります。両親の染色体検査は、誰かを責めるためではなく、次の選択肢を正しく知るための検査です。わからないことは、臨床遺伝専門医にそのまま聞いてください。
7. 出生前診断について|NIPTと羊水検査
【結論】 4p16.3の欠失は、NIPTで妊娠9週から調べることができ、当院ではスタンダードプランを含む全プランが対象です。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性のときは羊水検査・絨毛検査で、マイクロアレイなどを使って確かめます。
出生前検査での検出方法
🔎 妊娠中にWHSに気づくきっかけになる検査
| 検査 | 位置づけ | ポイント |
|---|---|---|
| NIPT(微小欠失を含むもの) | スクリーニング | 採血だけで妊娠9週から(6〜8週は臨床研究として)。微小欠失は陽性的中率が低め(項目により60〜70%程度)で、陽性なら確定検査が必要 |
| 超音波検査 | スクリーニング | 胎児発育不全、心臓の病気、口唇口蓋裂などが手がかりに。胎児発育不全の赤ちゃんでは、3D超音波で「ギリシャ兵士のヘルメット様」の顔立ちが見えることがある[1] |
| 羊水検査・絨毛検査+マイクロアレイ | 確定検査 | 赤ちゃん由来の細胞で欠失を直接確かめる。G分染法だけでは見逃すことがあるため、マイクロアレイやFISH法を組み合わせる |
当院のNIPTで調べられる範囲
ウォルフ・ヒルシュホーン症候群は、当院のNIPTの全プランで調べられます。プランによって、ほかに調べられる微小欠失の数が変わります。
🩸 プラン別:4p16.3欠失(WHS)と微小欠失の対象
料金は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の金額です。遺伝カウンセリング・4Dエコー・性別判定を含み、結果の作成費用3,300円が別にかかります。くわしくはNIPTの費用・料金をご覧ください。
出生前診断で見つかった場合
NIPTで陽性になった場合や、超音波検査で胎児発育不全や体のつくりの変化が見つかった場合は、羊水検査や絨毛検査で確かめます。微小欠失は通常の染色体検査(G分染法)だけでは見逃すことがあるため、マイクロアレイなどを組み合わせて確かめることが大切です[1]。
🔍 見つかったあとの流れ
①遺伝カウンセリング:結果の意味、考えられる症状や見通し、次の妊娠への影響を整理する
②確定検査:羊水検査・絨毛検査で、マイクロアレイなどを使って欠失の有無と範囲を確かめる
③両親の染色体検査:均衡型転座があるかを確かめる
④くわしい超音波検査:心臓や口蓋など体のつくりを確認する
⑤生まれてからの体制:出産する施設や小児科と、生まれてからの健康管理を相談する
8. ミネルバクリニックのサポート体制
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が常駐し、4p16.3欠失を含む染色体の変化について、検査前の相談から結果の説明、確定検査まで院内で対応しています。
🏥 当院でできること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| NIPT | 4p16.3欠失(WHS)はスタンダードプランを含む全プランで対象。妊娠9週から(6〜8週は臨床研究として)。結果は基本10〜14日 |
| 陽性のとき | 陽性のカウンセリングは何度でも無料 |
| 確定検査 | 2025年6月から産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査を院内で実施。主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイは2週間ほど |
| 互助会 | カトレア会(羊水検査互助会)8,000円と安心検査結果保障制度6,000円の2つに全員加入 |
| 受診 | 90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行う。オンラインNIPTにも対応 |
🏥 4p16.3欠失を含む微小欠失を、NIPTで調べたい方へ
ウォルフ・ヒルシュホーン症候群はスタンダードプランから全プランで調べられます。臨床遺伝専門医が常駐し、陽性なら羊水検査・絨毛検査まで院内で行います。NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768
よくある質問(FAQ)
Q1. 4pマイナス症候群・4p欠失症候群とウォルフ・ヒルシュホーン症候群は同じ病気ですか?
同じ病気です。4番染色体の短腕(4p)の端にある4p16.3という領域が欠けて起こるため、4p欠失症候群、4p-(4pマイナス)症候群、4p16欠失症候群とも呼ばれます。報告した医師の名前からウォルフ・ヒルシュホーン症候群(WHS)と呼ばれ、日本では「4p欠失症候群」の名前で指定難病198に指定されています。以前は別の病気とされていたピット・ロジャーズ・ダンクス症候群も、現在は同じ病気と考えられています。
Q2. ウォルフ・ヒルシュホーン症候群の顔にはどんな特徴がありますか?
鼻筋が広く平らで、そのまま額へ続くように見える顔立ちが特徴で、「ギリシャ兵士のヘルメット」のようだと表現されます。鼻と上唇の間(人中)が短い、口角が下がっている、あごが小さい、耳の形が変化しているといった特徴も見られます。この顔立ちは生まれたときから子どもの時期にわかりやすく、思春期になると目立ちにくくなると報告されています。
Q3. ウォルフ・ヒルシュホーン症候群(4pマイナス症候群)は短命ですか?寿命はどのくらいですか?
英国で132人を調べた研究では、1歳までに亡くなった方が17%、2歳までが21%でした。命に関わることが多いのは乳幼児期で、心臓の病気、てんかんの重い発作、くり返す呼吸器の感染症の管理が大切です。乳幼児期を越えたあとの見通しは、合併症の内容と治療の状況によって一人ひとり大きく異なり、平均寿命を一つの数字で示した信頼できるデータはありません。
Q4. 大人になるとどのような特徴がありますか?
海外の報告では、知的障害は軽度が約10%、中等度が約25%、重度〜最重度が約65%で、約45%が一人で(約25%)または支えがあれば(約20%)歩けるようになります。言葉で話すことは難しいことが多い一方、人と関わろうとする力は比較的保たれ、年齢とともに伸びることが知られています。てんかんは2〜13歳までに最大55%で止まると報告されており、特徴的な顔立ちは思春期以降に目立ちにくくなります。
Q5. 4pマイナス症候群は妊娠中にいつわかりますか?
妊娠中の超音波検査で赤ちゃんの発育がとても小さい(胎児発育不全)ことなどをきっかけに疑われることがあります。NIPTでは妊娠9週から4p16.3の欠失を調べることができ、当院ではスタンダードプランを含む全プランが対象です。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性のときは羊水検査や絨毛検査で、マイクロアレイなどを使って確かめる必要があります。
Q6. 遺伝しますか?次の子どもにも起こりますか?
85〜90%は親から受け継いだものではなく、精子や卵子ができるとき、または受精後早い時期に新しく起こったものです。この場合、次のお子さんで再び起こる可能性はごく低いとされています。残りは、親のどちらかが均衡型転座(染色体の一部が入れ替わっているが過不足はない状態)をもっていて、それが不均衡な形で伝わったものです。この場合は次のお子さんでの可能性が高くなるため、お子さんの診断がついたら、両親の染色体検査を受けることが勧められています。
Q7. どのような検査で診断しますか?
染色体マイクロアレイ検査(CMA)とFISH法は、それぞれ95%を超える方で欠失を見つけられると報告されており、CMAは欠失の大きさまでわかります。顕微鏡で染色体を見る通常の染色体検査(G分染法)で欠失が見つかるのは約50〜60%にとどまるため、G分染法で異常がなくても、症状から疑われる場合はCMAなどで調べ直すことがあります。
Q8. てんかんは治りますか?
てんかんは90〜100%のお子さんに起こり、生後3〜23か月(多くは6〜12か月)に始まります。熱がきっかけになりやすく、発作が続くことがあるため、早めの治療計画が大切です。報告では最初の発作のあとにバルプロ酸で治療を始めることが勧められ、カルバマゼピンは非定型欠神発作を悪化させることがあるとされています。2〜13歳までに最大55%で発作が止まると報告されています。
Q9. 治療法はありますか?医療費の助成は受けられますか?
欠けた染色体そのものを元に戻す治療はありません。てんかん、哺乳や栄養、心臓、腎臓、聞こえ、目、骨格などの合併症を早く見つけて治療し、リハビリや療育で発達を支えることが中心です。日本では4p欠失症候群として指定難病198に指定されており、診断基準や重症度の基準を満たす場合は医療費助成の対象になります。
Q10. NIPTで4p16.3欠失が陽性だった場合はどうなりますか?
微小欠失のNIPTは、ダウン症候群などのトリソミーに比べて陽性的中率が低めで、項目により60〜70%程度です。陽性でも本当に欠失があるとは限らないため、羊水検査や絨毛検査で確かめます。当院では陽性のときのカウンセリングは何度でも無料で、確定検査も院内で受けられ、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイは2週間ほどで結果が出ます。
🧬 そのほかの染色体異常(トリソミー・部分モノソミー)について
▶1番染色体異常 ▶2番染色体異常 ▶3番染色体異常 ▶4番染色体異常 ▶5番染色体異常 ▶6番染色体異常 ▶7番染色体異常 ▶8番染色体異常 ▶9番染色体異常 ▶10番染色体異常 ▶11番染色体異常 ▶12番染色体異常 ▶13番染色体異常 ▶14番染色体異常 ▶15番染色体異常 ▶16番染色体異常 ▶17番染色体異常 ▶18番染色体異常 ▶19番染色体異常 ▶20番染色体異常 ▶21番染色体異常 ▶21番(ダウン症候群) ▶22番染色体異常 ▶X染色体異常 ▶Y染色体異常
関連記事
参考文献
- [1] Battaglia A, Carey JC, South ST. Wolf-Hirschhorn Syndrome. In: Adam MP, et al., editors. GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 2002 Apr 29 [Updated 2015 Aug 20; 2019年に改訂終了(アーカイブ)]. [NBK1183]
- [2] MedlinePlus Genetics. Wolf-Hirschhorn syndrome. National Library of Medicine (US). Last updated May 22, 2023. [MedlinePlus]
- [3] MedlinePlus Genetics. NSD2 gene. National Library of Medicine (US). Last updated May 22, 2023. [MedlinePlus]
- [4] MedlinePlus Genetics. MSX1 gene. National Library of Medicine (US). Last updated May 22, 2023. [MedlinePlus]
- [5] Shannon NL, Maltby EL, Rigby AS, Quarrell OW. An epidemiological study of Wolf-Hirschhorn syndrome: life expectancy and cause of mortality. J Med Genet. 2001;38(10):674-679. PMID: 11584045. [DOI 10.1136/jmg.38.10.674]
- [6] 難病情報センター. 4p欠失症候群(指定難病198). 情報更新:令和5年1月. [難病情報センター]
- [7] OMIM. #194190 Wolf-Hirschhorn syndrome; WHS. [OMIM]
※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。お子さんの健康管理や次の妊娠については、主治医・臨床遺伝専門医にご相談ください。



