InstagramInstagram

NIPTによる22q11.2欠失症候群検査を受ける前に知っておきたい5つの重要ポイント

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医・総合内科専門医・がん薬物療法専門医。1995年に医師免許を取得し、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

ディジョージ症候群(22q11.2欠失症候群)は、妊娠9週から受けられるNIPTで「可能性」がわかり、絨毛検査(妊娠10〜13週頃)や羊水検査(妊娠15週以降)で確定します。妊娠中の検査では約1,500人に1人の頻度で見つかり、母体の年齢に関係なく起こります[2]。ただし、NIPTで陽性と出ても本当に22q11.2欠失がある人は、大規模研究で約半分でした[2]。この記事では、NIPTで22q11.2欠失症候群を調べる前に知っておきたい5つの重要ポイントを、臨床遺伝専門医の立場から数字と出典つきで解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約12分
🧬 NIPT・微小欠失・確定検査
★ 臨床遺伝専門医監修
  • ➤22q11.2欠失症候群の基本と、妊娠中・出生後に「いつわかるか」
  • ➤NIPTの陽性的中率(PPV)の実際の数字と、偽陽性・見逃しが起こる理由
  • ➤米国の学会(ACMG・ACOG・SMFM)で考え方が分かれている理由
  • ➤陽性のときの確定検査(絨毛検査・羊水検査・マイクロアレイ)の流れ
  • ➤検査方式(COATE法など)とプランの選び方

⏱️ 30秒でわかる要約

🧬 Q. ディジョージ症候群(22q11.2欠失症候群)はいつわかる?

妊娠中なら、NIPT(当院は妊娠9週から)で可能性を調べ、絨毛検査(10〜13週頃)か羊水検査(15週以降)で確定します。超音波では18〜22週頃に心臓の病気などから疑われることがありますが、心臓に異常のない赤ちゃんもいるため、エコーだけでは分かりません。

👶 Q. ダウン症候群だけで大丈夫?

22q11.2欠失症候群は、妊娠中の検査で約1,500人に1人見つかり、ダウン症候群と違って母体の年齢に関係なく起こります。20代の方でも確率は変わりません。当院ではスタンダードプランから調べられます。

🔍 Q. NIPTで陽性なら、確定ですか?

確定ではありません。大規模研究では陽性のうち本当に欠失があったのは52.6%でした。陽性なら確定検査が必要で、当院では絨毛検査・羊水検査を院内で行い、主要な項目は3日以内に結果が出ます。

\ ダウン症候群だけで大丈夫? 22q11.2欠失症候群はスタンダードプランから調べられます /

📅NIPTを予約する

スタンダードプラン | 東京のNIPTプランを見る

22q11.2欠失症候群とは

22q11.2欠失症候群は、22番染色体の長腕(q)の11.2という場所が、およそ3Mb(300万塩基対)ほど欠けることで起こる病気です。ディジョージ症候群、口蓋心臓顔貌症候群(VCFS)、CATCH22とも呼ばれてきましたが、同じ欠失による一つの病気として、いまは「22q11.2欠失症候群」とまとめて呼ばれています[1]。

頻度は、生まれた赤ちゃんの調査ではおよそ3,800〜7,000人に1人(国や人種により差があります)と報告されています[1]。一方、妊娠中に全員を調べた大規模研究(SMART研究)では約1,524人に1人でした[2]。妊娠中のほうが多く見えるのは、症状が軽く、生まれたあと診断されないまま過ごしている人が少なくないためと考えられます。微小欠失症候群のなかで最も多いものです[1]。

主な症状

症状の出方は一人ひとり大きく異なり、同じ欠失をもつ親子でも重さが違うことがあります。代表的なものを、米国の遺伝性疾患の専門書(GeneReviews)の数字とあわせて示します[1]。

🧬 22q11.2欠失症候群の主な症状と頻度

症状 内容 頻度の目安
❤️ 心臓の病気 ファロー四徴症、大動脈弓離断、心室中隔欠損など 約64%
🗣️ 口蓋の異常 口蓋裂、鼻に抜ける話し方(軟口蓋の動きの不十分さ)、飲み込みにくさ 約67%
🛡️ 免疫の弱さ 胸腺が小さく、T細胞が少ない。感染症にかかりやすい T細胞の異常は約50%
⚡ 低カルシウム血症 副甲状腺の働きが弱く、新生児期のけいれんの原因になる 17〜60%
📚 発達・学習 発達の遅れや学習のつまずき 70〜90%
🧠 精神面 小児期の自閉スペクトラム症、成人期の統合失調症など 自閉スペクトラム症 約20%(小児)、統合失調症 約25%(成人)

出典:McDonald-McGinn DM, et al. GeneReviews(2025年改訂)[1]。頻度は対象集団により幅があります。

💡 重要なポイント:母体の年齢は関係ありません

22q11.2欠失の90%以上は親から受け継いだものではない新生(de novo)の欠失で、約10%が親から受け継いだものです[1]。22番染色体のこの場所には、よく似た配列(低コピー反復配列:LCR)が並んでいるため、卵子や精子ができるときに組み換えのずれが起こりやすいのです。母体の年齢とは関係なく、どなたにでも起こりうる病気です。

🔬 用語解説:de novo(デノボ)とは

de novoはラテン語で「新たに」という意味で、遺伝学では親から受け継いだものではなく、その子で新たに生じた遺伝子や染色体の変化を指します。ご両親が欠失をもっていなくても、お子さんに起こることがあります。なお、親が同じ欠失をもっている場合は、次の子に伝わる確率が50%になります。2人目の再発率については2人目もディジョージ症候群?再発率とNIPT精度で解説しています。

ディジョージ症候群はいつわかる?(妊娠中・出生後)

「いつわかるのか」は、どの検査を受けるかで変わります。妊娠中にわかる方法と、生まれてから診断される流れを整理します。

⏰ 22q11.2欠失症候群がわかる時期

時期 検査・きっかけ わかること
妊娠9週〜 NIPT(当院は妊娠9週から。6〜8週は臨床研究として実施) 欠失の「可能性」。陽性なら確定検査へ
妊娠10〜13週頃 絨毛検査(FISH法・マイクロアレイ) 確定診断(胎盤の組織で調べる)
妊娠15週以降 羊水検査(FISH法・マイクロアレイ) 確定診断(赤ちゃん由来の細胞で調べる)
妊娠18〜22週頃 詳しい超音波検査・胎児心エコー 心臓の病気や口蓋裂、羊水過多などから「疑われる」ことがある
出生後〜新生児期 心臓の病気、低カルシウムによるけいれん、感染症など 症状をきっかけに染色体検査で診断
幼児期〜成人 言葉の遅れ、鼻に抜ける話し方、学習のつまずき、わが子の診断 症状の軽い人は、大人になってから分かることもある

超音波の時期と所見はGeneReviews[1]による。

ここで知っておきたいのは、超音波(エコー)だけでは22q11.2欠失症候群は分からないということです。心臓の病気が見つかれば疑うきっかけになりますが、心臓に異常のない赤ちゃんも3割以上います[1]。また、口蓋裂の一部(粘膜下口蓋裂)や、免疫・カルシウム・発達の状態は、胎児の超音波ではほとんど見えません。妊娠中に知りたい場合は、NIPTか、絨毛検査・羊水検査で染色体を調べることになります。

生まれる前に分かることで、準備できること

22q11.2欠失症候群の子育てでは、心臓の手術、免疫やカルシウムの管理、言葉の訓練、学校での学習支援、思春期以降の心の健康の見守りなど、成長に合わせて複数の診療科がかかわります[1]。生まれる前に分かっていれば、心臓外科や新生児集中治療室(NICU)のある施設での出産を選ぶ、生まれてすぐにカルシウム値を測る、免疫の状態を確かめてから生ワクチンの時期を決めるといった準備ができます。症状の軽い子では診断が遅れがちですが、早くわかれば、言葉や学習のつまずきにも早めに手を打てます。

NIPTによる22q11.2欠失検査の深刻な問題点

1. 陽性的中率(PPV)は数の異常より低い

NIPTで22q11.2欠失を調べるときに最も大切なのは、陽性と出ても、本当に欠失がある人は一部にとどまるという点です。微小欠失の陽性的中率は、ダウン症候群などの染色体の数の異常より低めで、項目によっては60〜70%程度です。

22q11.2欠失について、妊婦さん約2万人を対象に、NIPTの結果と生まれた赤ちゃんの遺伝学的検査の結果を照らし合わせた大規模研究(SMART研究)があります。ここでは、検査会社が最初に使っていた判定方法では陽性的中率は23.7%、判定方法を改良したあとは52.6%でした[2]。

📊 SMART研究:NIPTによる22q11.2欠失の検出成績

項目 最初の判定方法 改良後の判定方法
陽性的中率(PPV) 23.7%(38人中9人) 52.6%(19人中10人)
感度(見つけられた割合) 75.0%(12人中9人) 83.3%(12人中10人)
偽陽性率 0.16% 0.05%

出典:Dar P, et al. Am J Obstet Gynecol. 2022[2]。結果と遺伝学的検査がそろった18,289人を解析。22q11.2欠失は12人(約1,524人に1人)でした。

💡 用語解説:陽性的中率(PPV)とは

陽性的中率は、「検査で陽性と出た人のうち、実際にその病気がある人の割合」です。PPVが52.6%なら、陽性100人のうち約53人は本当に欠失があり、残りの約47人は欠失がない(偽陽性)ことになります。PPVは検査の性能だけでなく、その病気がどのくらい多いか(有病率)に大きく左右され、まれな病気ほど低くなります。

見逃しもあります。SMART研究では、12人のうち5人(41.7%)が、典型的な欠失より小さい「入れ子状の欠失」(0.73〜2Mb)でした[2]。このような小さい欠失は、検査方式によっては見つけにくくなります。陰性でも22q11.2欠失が完全に否定されるわけではないことも知っておいてください。陰性なのに超音波で心臓の病気が見つかったときは、確定検査を考えます。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「陽性=確定」ではない——PPV52.6%という数字が意味すること】

NIPTで22q11.2欠失が陽性と知らされたとき、多くの方はそれを「診断」として受け止めてしまいます。けれども、大規模研究の数字をそのまま読めば、陽性の約半分は欠失のない赤ちゃんです。ここで大切なのは、陽性の結果だけで結論を出さないことだと考えています。

これはNIPTが劣っているということではありません。22q11.2欠失は数の異常よりはるかにまれで、しかも欠けている範囲が小さいため、どんなに精度の高い検査でも、陽性的中率は数の異常ほど高くなりにくいのです。だからこそ、陽性なら確定検査で確かめる。その道筋が最初から用意されていることが、この項目を調べるうえでいちばん大切な条件だと考えています。

2. 偽陽性が引き起こす「診断の連鎖」

陽性的中率が低いと、次のようなことが連鎖的に起こります。

NIPT陽性約半分は偽陽性
▶
確定検査絨毛・羊水検査
▶
結果待ち不安な期間
▶
確定あり/なし

確定検査が増える:偽陽性の方も、確かめるために絨毛検査や羊水検査を受けることになります。検査による流産の増加分は、大規模なまとめの研究で羊水検査0.30%、絨毛検査0.20%と報告されており、以前言われていた数字より小さいことが分かっています[7]。

心の負担:陽性を知らされてから確定検査の結果が出るまでの間、妊婦さんとご家族は大きな不安の中で過ごすことになります。この期間をできるだけ短くし、その間に何度でも相談できることが大切です。

3. 偽陽性の主な原因

🔬 NIPTで22q11.2欠失の偽陽性が起こる主な理由

原因 内容
胎盤限局性モザイク(CPM) 胎盤の細胞にだけ欠失があり、赤ちゃん本人にはない
母体側の変化 お母さん自身の欠失・重複やモザイク、まれに腫瘍などが結果に影響する
技術的な限界 欠失の範囲が小さく、胎児由来DNAの割合(胎児分画)が低いと判定が難しい
バニシングツイン 初期に双子だった一方が育たなかった場合、その胎児のDNAが影響することがある

「母体側の変化」には大事な意味があります。22q11.2欠失の約10%は親から受け継いだものなので[1]、NIPTをきっかけに、お母さん自身が、気づかないまま軽い22q11.2欠失症候群だったと分かることもあります。その場合は赤ちゃんに伝わる確率が50%になり、お母さん自身の健康管理(カルシウムや甲状腺の検査など)にもつながります。

🔬 用語解説:胎盤限局性モザイク(CPM)とは

NIPTで調べているDNAの多くは、赤ちゃん本人ではなく胎盤の細胞から血液中に流れ出たものです。胎盤の細胞の一部にだけ染色体の変化があり、赤ちゃん本人の細胞は正常な状態を胎盤限局性モザイクといい、「胎盤には変化があるが、赤ちゃんにはない」という偽陽性の原因になります。絨毛検査も胎盤の組織を調べるため、同じ理由で羊水検査での確認が必要になることがあります。

4. 米国の学会でも考え方が分かれている

22q11.2欠失をNIPTで調べるべきかどうかは、専門家の間でも意見が分かれている項目です。

📘 米国の学会の考え方

学会 22q11.2欠失のNIPTについて
ACMG(米国臨床遺伝・ゲノム学会)2023年 すべての妊婦さんに提供することを提案(条件付きの推奨・根拠の強さは中程度)[3]
ACOG(米国産婦人科学会)2020年 微小欠失のNIPTは、ルーチン(全員一律)では推奨していない[4]
SMFM(米国母体胎児医学会)2025年 一般の妊婦さん全員への微小欠失のスクリーニングは推奨しない。22q11.2欠失を調べたい方は、検査前に適切な説明を受けたうえで選ぶ[5]

ACMGが22q11.2欠失を勧める理由は、頻度がほかの微小欠失より高く、母体の年齢に関係なく起こり、生まれる前に分かれば出産施設の選択や生後すぐの管理に役立つためです。一方で、ACOGやSMFMは陽性的中率の低さや、研究データがまだ限られていることを重く見ています。どちらの立場でも共通しているのは、「検査の前に、何が分かり、何が分からないかを説明する」ことです。学会で考え方が分かれる項目だからこそ、検査前の遺伝カウンセリングが大切になります。

陽性的中率が低いと「無駄な確定検査」が増える? ― がん検診と比べて考える

「陽性の半分が偽陽性なら、調べないほうがいいのでは」と思われるかもしれません。ここで、がん検診を思い浮かべてください。がん検診で「要精密検査」になった人の多くは、精密検査を受けると実際にはがんではありません。それでもがん検診が意味をもつのは、検診の役割が「確定」ではなく「拾い上げて、精密検査につなぐこと」だからです。

NIPTも同じスクリーニング検査です。確定検査ほど高い陽性的中率は求められておらず、大切なのは、可能性のある方を拾い上げ、確定検査で本当にそうかを確かめる道筋につなげることです。そのためには、陽性のときに確定検査をすぐ受けられ、結果が早く出ることが欠かせません。陽性的中率の考え方はNIPT精度は本当に高い?的中率と限界を解説やNIPT 微小欠失の陽性的中率はどのくらい?でも解説しています。

確定診断の重要性とその課題

スクリーニング検査と診断検査の違い

NIPTはあくまで「スクリーニング検査」で、確定的な「診断検査」ではありません。陽性の結果が出たら、必ず確定検査で確かめます。

🔬 22q11.2欠失の確定検査

検査 時期の目安 内容
絨毛検査 妊娠10〜13週頃 胎盤のもとになる組織を採って調べる。早く分かるが、胎盤限局性モザイクの影響を受けることがある
羊水検査 妊娠15週以降 羊水の中の赤ちゃん由来の細胞を調べる
FISH法 上の検体で実施 22q11.2の場所に光る目印をつけ、欠失の有無を確かめる
染色体マイクロアレイ(CMA) 上の検体で実施 全染色体の小さな欠失・重複を調べ、欠失の大きさも分かる

💡 用語解説:染色体マイクロアレイ解析(CMA)とは

CMAは、染色体全体にわたる小さな欠失や重複を高い解像度で調べる検査です。顕微鏡で見る従来の染色体検査(Gバンド法)では見えない数Mb以下の変化も分かるため、22q11.2欠失の確定や、欠失の大きさ(典型的な欠失か、小さい入れ子状の欠失か)の判定に役立ちます。詳しくは染色体マイクロアレイ(CMA)とは?をご覧ください。

確定診断への移行における障壁

陽性の結果から確定検査に進むまでには、次のような現実的な壁があります。

壁 内容
⏰ 時間 絨毛検査は妊娠10〜13週頃、羊水検査は15週以降。結果が出るまでの日数も、その後の意思決定に影響します
🏥 検査を受ける場所 NIPTを受けた施設で確定検査ができない場合、紹介先を探し、改めて予約を取る必要があります
💰 費用 確定検査は自費になることが多く、検査内容(FISH法・マイクロアレイ)によって費用が変わります

NIPTを受ける前に、陽性のときに確定検査をどこで受けられ、結果がいつ出て、費用がどうなるかを確認しておくと、この壁を小さくできます。陽性後の流れはNIPT陽性後の対応で、確定検査については羊水検査・絨毛検査のページで説明しています。

\ 陽性のときは、確定検査まで院内で受けられます /

📅NIPTを予約する

羊水検査・絨毛検査 | NIPTのアフターサポート

検査技術の進歩とCOATE法

微小欠失の見つけやすさは、NIPTの検査方式によって変わります。22q11.2欠失のように小さな変化を調べるには、胎児由来のDNAとお母さん由来のDNAをどう見分けるか、調べたい場所をどれだけ深く読むかが重要です。主な違いは次のとおりです。

⚙️ 微小欠失の見つけやすさを左右するもの

胎児分画 胎児由来DNAの割合の測り方と、必要な基準値
調べ方 全体を浅く読む方式か、調べたい場所に絞って深く読む方式か
SNP(一塩基多型) 母体と胎児のDNAを見分ける手がかりに使うかどうか
解析方法 判定の基準(アルゴリズム)の改良。SMART研究でも改良で陽性的中率が23.7%から52.6%に上がりました[2]

🔬 用語解説:COATE法とは

COATE法は、SNP法とターゲット法を組み合わせた次世代のNIPTの方式です。SNP法は、お母さんと赤ちゃんで異なる遺伝子の型(SNP)を手がかりに両者のDNAを見分ける方法、ターゲット法は調べたい場所に絞って深く読む方法です。当院ではダイヤモンドプランで、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供するCOATE法を採用しています※。

※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。

ただし、どの方式でも22q11.2欠失の陽性はスクリーニングの結果であり、確定には絨毛検査・羊水検査が必要なことは変わりません。検査方式は「陽性的中率を上げる工夫」であって、確定検査を不要にするものではないのです。当院のプランごとの検査方式は、スタンダードプランが標的捕捉濃縮法、ダイヤモンドプランがCOATE法、インペリアルプランが低深度全ゲノムシーケンス+ターゲット法です。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【検査方式の違いは、「陽性のあと」の重さを変える】

微小欠失の検査で精度が上がりにくい根本的な理由は、調べたい変化がとても小さく、母体の血液中に赤ちゃん由来のDNAがわずかしかないことです。SNPで母体と胎児のDNAを見分け、調べたい場所を深く読む工夫は、この弱点を補うためのものです。

検査方式を選ぶ意味は、数字が上がることそのものより、偽陽性による不要な確定検査と、その間の不安を減らせることにあると考えています。それでも、陽性的中率が100%になる検査はありません。方式の違いを知ったうえで、陽性のときに確定検査まで進める体制があるかどうかを、同じくらい大切に考えていただきたいと思います。

ミネルバクリニックの特徴

ミネルバクリニックは、臨床遺伝専門医が常駐するNIPT専門のクリニックです。2025年6月から産婦人科を併設し、NIPTが陽性のときの絨毛検査・羊水検査を院内で行っています。22q11.2欠失症候群は、すべてのプランで調べられます。

🏥 22q11.2欠失症候群を調べるときの当院の体制

項目 内容
調べられるプラン スタンダードプランから全プラン(スタンダードは微小欠失6種類7疾患、プレミアム・ダイヤモンドは12種類13疾患、双子マックス・インペリアルは92種類+5Mbを超える構造異常)
受けられる時期 妊娠9週から(妊娠6〜8週は臨床研究として実施)
結果までの目安 基本は10〜14日(インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間)
検査前 90分の受診枠の中で、臨床遺伝専門医が遺伝カウンセリングを行います。4Dエコーで赤ちゃんの状態を確認してから採血します(プラン料金に含まれます)
陽性のとき 陽性のカウンセリングは何度でも無料。絨毛検査・羊水検査は院内で行い、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます
確定検査の費用 NIPTを受ける方全員が入る互助会(カトレア会・会費8,000円)で、羊水検査の費用が補助されます
結果が出ないとき 安心検査結果保障制度(会費6,000円)で、再検査が必要なのに流産して再検査ができない場合に検査料金(諸費用を除く)が返金されます
遠方の方 オンラインNIPTで、全国110か所の提携施設で採血できます

互助会の会費は収益を目的としない事業のため、消費税の対象外です。確定検査の費用と保障の詳しい条件はNIPTは検査費用以外に何がかかる?をご覧ください。

ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ

ダウン症候群をはじめとする三大トリソミー(13・18・21番)は、母体の年齢が上がるほど増えます。一方、22q11.2欠失症候群のような微小欠失や、単一遺伝子の病気の多くは、母体の年齢に関係なく起こります。若い方ほど、三大トリソミー以外の病気が占める割合は相対的に大きくなります。三大トリソミーは出生前検査で広く調べられている基本の項目ですが、当院では2026年7月から三大トリソミーのみのプランをやめ、スタンダードプランでも22q11.2欠失症候群を含む微小欠失を調べています。

プランを選ぶときは、料金の総額だけでなく、「1つの病気あたり」で考えると、調べられる範囲の違いが見えてきます。三大トリソミーのみの検査を仮に10万円として並べると、次のようになります。

🧮 1つの病気あたりで考える

プラン 調べる項目の数 1項目あたり
(参考)三大トリソミーのみ・仮に10万円 3 約33,333円
スタンダードプラン 13(三大トリソミー3+性染色体4+微小欠失6種類) 約16,923円
プレミアムプラン 22(トリソミー6+性染色体4+微小欠失12種類) 約12,000円
ダイヤモンドプラン 78(プレミアムの範囲+単一遺伝子56) 約5,218円
双子マックスプラン 114+α(全常染色体22+微小欠失・重複92種類+5Mb超の構造異常) 約3,860円
インペリアルプラン 320+α(全常染色体22+性染色体4+92種類+単一遺伝子202疾患+5Mb超の構造異常) 約1,719円

料金は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後(税込):スタンダード220,000円/プレミアム264,000円/ダイヤモンド407,000円/双子マックス440,000円/インペリアル550,000円。項目の数は当院の数え方によります。

単一遺伝子の病気まで広げる意味については、超音波検査で赤ちゃんの異常が疑われた妊婦さんを対象にした研究で、染色体の検査に加えて単一遺伝子の病気も調べると、見つかった病気の数が約1.6倍(61件→98件、60.7%増)に増えたと報告されています[6]。すべての妊婦さんで同じ割合になるわけではありませんが、「どこまで調べるか」で分かることが変わる例です。

まとめ:適切な選択のために

NIPTで22q11.2欠失症候群を調べるかどうかを考えるときは、次の点を押さえておいてください。

📌 重要ポイントのまとめ

① いつわかる:妊娠9週からのNIPTで可能性が、絨毛検査(10〜13週頃)・羊水検査(15週以降)で確定がわかる。エコーだけでは分からない。
② 誰にでも起こる:妊娠中の検査で約1,500人に1人、母体の年齢は関係ない。
③ 検査の限界:大規模研究で陽性的中率は52.6%、小さい入れ子状の欠失は見逃されることがある。
④ 学会の考え方:ACMGは提供を提案、ACOG・SMFMはルーチンでは推奨せず。検査前の説明を受けて選ぶ。
⑤ 陽性のあと:確定検査をどこで受け、結果がいつ出るかを事前に確認しておく。

22q11.2欠失症候群を生まれる前に知ることは、出産する施設の選択や、生まれてすぐの心臓・カルシウム・免疫の管理につながります。ただし、それは陽性のあとに確定検査まで進める体制があってこそ活きる情報です。

検査を考えるときは、調べる範囲と検査方式、そして陽性のときに誰が説明し、確定検査をどこで受けられるのかまで確認したうえで選んでいただきたいと考えています。施設選びのポイントはNIPTクリニックの選び方にまとめています。

🏥 22q11.2欠失症候群のNIPTは、確定検査まで見すえて選ぶ

ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医が常駐し、22q11.2欠失症候群をスタンダードプランから調べられます。陽性のときは陽性のカウンセリングを何度でも無料で受けられ、絨毛検査・羊水検査は院内で、主要な検査項目は3日以内に結果が出ます。

NIPT専用ダイヤル:03-3408-3768

よくある質問(FAQ)

Q1. ダウン症候群だけで大丈夫?22q11.2欠失症候群も調べたほうがいいですか?

22q11.2欠失症候群は妊娠中の検査で約1,500人に1人見つかり、ダウン症候群と違って母体の年齢に関係なく起こります。米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は全妊婦さんへの提供を提案していますが、米国産婦人科学会(ACOG)と米国母体胎児医学会(SMFM)はルーチンでは推奨しておらず、SMFMは検査前に適切な説明を受けて選ぶこととしています。陽性的中率の低さも含めて理解したうえで選ぶことが大切です。当院ではスタンダードプランから調べられます。

Q2. ディジョージ症候群(22q11.2欠失症候群)はいつわかりますか?

妊娠中なら、妊娠9週から受けられるNIPTで可能性がわかり、絨毛検査(妊娠10〜13週頃)か羊水検査(妊娠15週以降)で確定します。超音波では18〜22週頃に心臓の病気などから疑われることがありますが、心臓に異常のない赤ちゃんもいるため、エコーだけでは分かりません。生まれた後は、心臓の病気や低カルシウムによるけいれんなどで新生児期に分かることが多く、症状の軽い方は大人になってから分かることもあります。

Q3. ディジョージ症候群の確率はどのくらいですか?

生まれた赤ちゃんの調査ではおよそ3,800〜7,000人に1人、妊娠中に全員を調べた大規模研究では約1,524人に1人でした。90%以上は親から受け継いだものではない新生(de novo)の欠失で、母体の年齢とは関係ありません。親のどちらかが同じ欠失をもっている場合は、子に伝わる確率が50%になります。

Q4. NIPTで22q11.2欠失が陽性でした。どのくらい正確ですか?

約2万人を対象にした大規模研究(SMART研究)では、改良後の判定方法で陽性的中率は52.6%でした。陽性の約半分は実際には欠失がないため、必ず絨毛検査や羊水検査で確定してください。偽陽性の原因には、胎盤限局性モザイクや、お母さん自身の染色体の変化などがあります。

Q5. ディジョージ症候群はエコーでわかりますか?

エコーだけでは分かりません。妊娠18〜22週頃の詳しい超音波検査や胎児心エコーで、ファロー四徴症などの心臓の病気、口蓋裂、羊水過多が見つかると疑うきっかけになります。しかし心臓に異常のない方も3割以上いて、免疫やカルシウム、発達の状態は胎児の超音波では見えません。確かめるには染色体の検査が必要です。

Q6. NIPTが陽性だった場合、どうすればよいですか?

まず遺伝カウンセリングで結果の意味を確認し、絨毛検査や羊水検査(FISH法・マイクロアレイ)で確定するかを考えます。当院では陽性のカウンセリングは何度でも無料で、絨毛検査・羊水検査を院内で行い、主要な検査項目は3日以内、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。NIPTを受ける方全員が入る互助会(カトレア会)で羊水検査の費用が補助されます。

Q7. NIPTが陰性なら、22q11.2欠失症候群の心配はありませんか?

可能性は低くなりますが、ゼロではありません。大規模研究では、典型的な欠失より小さい「入れ子状の欠失」が12人中5人にあり、検査方式によっては見つけにくいことが分かっています。陰性でも、超音波で心臓の病気などが見つかった場合は、羊水検査などの確定検査を考えます。

関連記事

参考文献

  • [1] McDonald-McGinn DM, Hain HS, Emanuel BS, Zackai EH. 22q11.2 Deletion Syndrome. In: Adam MP, et al., eds. GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 1999 (last revised 2025). [NCBI Bookshelf NBK1523]
  • [2] Dar P, Jacobsson B, Clifton R, et al. Cell-free DNA screening for prenatal detection of 22q11.2 deletion syndrome. Am J Obstet Gynecol. 2022;227(1):79.e1-79.e11. [DOI 10.1016/j.ajog.2022.01.002]
  • [3] Dungan JS, Klugman S, Darilek S, et al. Noninvasive prenatal screening (NIPS) for fetal chromosome abnormalities in a general-risk population: An evidence-based clinical guideline of the American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG). Genet Med. 2023;25(2):100336. [DOI 10.1016/j.gim.2022.11.004]
  • [4] American College of Obstetricians and Gynecologists. Screening for Fetal Chromosomal Abnormalities: ACOG Practice Bulletin, Number 226. Obstet Gynecol. 2020;136(4):e48-e69. [DOI 10.1097/AOG.0000000000004084]
  • [5] Society for Maternal-Fetal Medicine; Rink BD, Dugoff L, Kuller JA. Society for Maternal-Fetal Medicine Consult Series #74: Cell-free DNA screening for aneuploidies: Updated guidance. Pregnancy. 2025. [DOI 10.1002/pmf2.70139]
  • [6] Zhang J, Wu Y, Chen S, et al. Prospective prenatal cell-free DNA screening for genetic conditions of heterogenous etiologies. Nat Med. 2024;30(2):470-479. [DOI 10.1038/s41591-023-02774-x]
  • [7] Salomon LJ, Sotiriadis A, Wulff CB, Odibo A, Akolekar R. Risk of miscarriage following amniocentesis or chorionic villus sampling: systematic review of literature and updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2019;54(4):442-451. [DOI 10.1002/uog.20353]

※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査の選択については、臨床遺伝専門医・主治医にご相談ください。

プロフィール
仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続け、遺伝医療と出生前診断に携わっています。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、検査結果の数値そのものだけでなく、「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、日本人として異文化の中で生活した経験があります。価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。この経験は現在の診療においても、「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、36週6日で一人を死産した経験があります。その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、家族の未来に関わる重要な意思決定です。年齢や統計だけで判断するのではなく、医学的根拠と心理的支援の両面から、ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

関連記事