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「クルーゾン症候群やアペール症候群は、NIPTでわかるの?」「エコーではいつわかるの?」。頭蓋骨癒合症候群(頭蓋縫合早期癒合症)について調べている妊婦さんの疑問に、最初に答えます。13・18・21トリソミーを調べる一般的なNIPTでは、頭蓋骨癒合症候群はわかりません。原因が染色体の数ではなく、FGFR2などの1つの遺伝子の変化だからです。一方、単一遺伝子まで調べるNIPT(ミネルバクリニックではダイヤモンドプランとインペリアルプラン)なら、クルーゾン症候群・アペール症候群・ファイファー症候群・ベア・スティーブンソン症候群などの原因遺伝子を、お母さんの採血で調べられます。また、妊娠中のエコーでは、症候群性のものでも多くは見つからないと報告されています[1]。この記事では、原因遺伝子、NIPTでわかる範囲と限界、エコーでわかる時期、陽性のときの確定検査までを、臨床遺伝専門医が解説します。
- ➤頭蓋骨癒合症候群の種類と原因遺伝子(クルーゾン・アペール・ファイファー・ムエンケ・セートレ・コーツェン・ベア・スティーブンソン)
- ➤標準的なNIPTではなぜ調べられないのか
- ➤ミネルバクリニックの単一遺伝子のNIPTで調べられる遺伝子(各プランの対象リストで確認したもの)
- ➤クルーゾン症候群・アペール症候群・ファイファー症候群は、エコーでいつわかるのか
- ➤家族歴がある場合の考え方と、確定検査(絨毛検査・羊水検査)
⏱️ 30秒でわかる要約
🧬 Q. 頭蓋骨癒合症候群はNIPTでわかりますか?
13・18・21トリソミーを調べる一般的なNIPTではわかりません。FGFR2・FGFR3・TWIST1などの遺伝子を調べる単一遺伝子のNIPTなら調べられます。当院ではダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子)が対象で、クルーゾン・アペール・ファイファー・ムエンケ・セートレ・コーツェン症候群の原因遺伝子が対象リストに入っています。陽性のときは確定検査が必要です。
🔎 Q. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
大丈夫とは言えません。頭蓋骨癒合症候群のような単一遺伝子疾患や微小欠失症候群は、三大トリソミーだけの検査では調べられません。子育ての負担を最も大きく左右するのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷、睡眠の問題といった行動の問題で、それを伴いやすい病気も、この2つのグループに多く含まれます。当院のNIPTはこれらの病気まで調べられます。
🩻 Q. クルーゾン症候群やアペール症候群は、エコーでいつわかりますか?
頭蓋骨の縫合ができるのは妊娠16週ごろで、妊娠20週ごろのエコーでは、頭の形の変化がまだ現れていないことが多いとされています。症候群性のものでも、大多数は妊娠中には見つかっていません。アペール症候群では、妊娠中期にエコーで診断された報告があります。
👶 Q. ベア・スティーブンソン症候群もNIPTで調べられますか?
原因はFGFR2遺伝子の変化で、当院のダイヤモンドプランとインペリアルプランの対象疾患のリストに入っています。複数の縫合の癒合に、皮膚に深いしわができる脳回状皮膚を伴う、まれな病気です。
\ ダウン症候群だけで大丈夫ですか? /
当院のNIPTは、頭蓋骨癒合症候群の原因遺伝子を含む単一遺伝子疾患や、微小欠失症候群まで調べられます。どこまで調べるかは、90分の受診枠の中で臨床遺伝専門医と一緒に決められます。
ダイヤモンドプラン | インペリアルプラン | NIPTの料金
頭蓋骨癒合症候群とは
頭蓋骨癒合症候群(頭蓋縫合早期癒合症)は、赤ちゃんの頭の骨どうしのつなぎ目(縫合)が、通常より早く閉じてしまう病気です。縫合が早く閉じると、その方向に頭蓋骨が広がれなくなり、頭の形が変わったり、脳の成長に影響が出たりすることがあります。頻度は、出生2,100〜2,500人に1人と報告されています[1]。
🔬 用語解説:頭蓋縫合(とうがいほうごう)とは
赤ちゃんの頭蓋骨は何枚かの骨に分かれていて、骨と骨のあいだには縫合と呼ばれるつなぎ目があります。縫合が開いているおかげで、脳の成長に合わせて頭蓋骨全体が広がることができます。縫合は本来、生後何年もかけて少しずつ閉じていきますが、頭蓋骨癒合症候群ではこれが早く起こり、脳の成長を妨げることがあります。
症候群性と非症候群性の違い
頭蓋骨の縫合が早く閉じる病気は、大きく「非症候群性」と「症候群性」に分けられます。遺伝子の検査と関係が深いのは、症候群性のほうです。
📋 非症候群性と症候群性の違い
| 分類 | 特徴 | 遺伝的な原因 |
|---|---|---|
| 非症候群性 | 頭蓋骨の縫合の癒合だけがみられ、顔や手足の症状は伴わない | 遺伝子の変化が見つからないことが多い |
| 症候群性 | 縫合の癒合に加えて、顔の特徴や、手足の指の症状などを伴う | 特定の遺伝子の変化が原因。親から子へ50%の確率で伝わる形式(常染色体顕性〔優性〕遺伝)が多い |
頭蓋骨の縫合が早く閉じる病気全体のうち、1つの遺伝子の変化や染色体の変化が原因とわかるものは、少なくとも約20%と報告されています[1]。
主な症候群性頭蓋骨癒合症候群
代表的な症候群と原因遺伝子を表にまとめます。いずれも特定の遺伝子の変化が原因とわかっている病気です[1]。病名から、それぞれの病気の解説ページ(症状・治療・寿命や発達の見通し)に進めます。
🧬 症候群性頭蓋骨癒合症候群と原因遺伝子
| 症候群 | 原因遺伝子 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| クルーゾン症候群 | FGFR2 (黒色表皮腫を伴う型はFGFR3) |
特徴的な顔立ち。手足には目立った所見がない。縫合の癒合が遅れて起こることもある |
| アペール症候群 | FGFR2 | 両側の冠状縫合の癒合と、手足の指がくっつく合指(趾)症。口蓋裂を44%に伴う |
| ファイファー症候群 | FGFR2 (FGFR1は10%未満) |
幅が広く外側に曲がった手の親指・足の親指。複数の縫合が癒合する型では、クローバーの葉のような頭の形になる |
| ムエンケ症候群 (ミュンケ症候群) |
FGFR3 | 片側または両側の冠状縫合の癒合。頭蓋骨癒合症全体の約5%。約20%で補聴器が必要な難聴を伴う |
| セートレ・コーツェン症候群 (ゼーツレ・コッツェン症候群) |
TWIST1 | 片側または両側の冠状縫合の癒合、まぶたが下がる(眼瞼下垂)、額の生え際が低い、小さな耳。縫合の癒合が現れない人もいる |
| ベア・スティーブンソン症候群 | FGFR2 | 複数の縫合の癒合と、皮膚に深いしわができる脳回状皮膚(cutis gyrata) |
| 頭蓋前頭鼻異形成症 | EFNB1 (X染色体上) |
両眼のあいだが広い、鼻の先が2つに分かれる、冠状縫合の癒合。女性のほうが症状が強く出る |
出典:Johnson & Wilkie(Eur J Hum Genet, 2011)[1]。ムエンケ症候群では、遺伝子の変化をもっていても、はっきりした縫合の癒合がみられない人が少なくとも20%います。
発達の見通しは病気ごとに違います。アペール症候群では、学習面で特別な支援が必要になる方が44%と報告されています[1]。セートレ・コーツェン症候群では、学習の遅れは一般的な特徴ではありません[1]。同じ病名でも、症状の出かたには一人ひとり幅があります。
🔬 用語解説:FGFR遺伝子とは
FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)遺伝子は、骨の成長にかかわるタンパク質をつくる遺伝子で、FGFR1・FGFR2・FGFR3があります。頭蓋骨癒合症で遺伝的な原因がわかった方のうち、最も多いのはFGFR2(32%)で、FGFR3(25%)、TWIST1(19%)、EFNB1(7%)が続きます[1]。
遺伝的な原因がわかった頭蓋骨癒合症の約半数は、ご両親にはない変化が赤ちゃんで新しく起こる「新生変異(de novo変異)」によるものです[1]。アペール症候群の新生変異は、父親由来であることがわかっています[1]。新生変異は父親の年齢が上がるほど増え、父親の年齢が1歳上がるごとに約2個ずつ増えると報告されています[2]。ただし、これは集団での傾向で、大多数のお子さんには当てはまりません。父親の年齢とNIPTの関係は父親の高齢化リスクはNIPTで分かる?で解説しています。
🩺 院長コラム【「家族にいないから関係ない」とは言えない理由】
「家族に頭蓋骨の病気の人はいないから、自分には関係ない」と考える方は多いと思います。けれども、頭蓋骨癒合症のうち遺伝的な原因がわかったものの約半数は、ご両親にはない変化が赤ちゃんで新しく起こったものです。家族歴がないことは、可能性がないことを意味しません。
反対に、ご両親のどちらかが同じ病気をお持ちの場合、お子さんに伝わる確率は妊娠ごとに50%です。このときに考えるのは、スクリーニング検査であるNIPTだけではなく、絨毛検査や羊水検査で赤ちゃんの遺伝子を直接調べる方法です。どちらの場合も、正確な知識をもとに、ご夫婦が納得できる選択をすることが大切だと考えています。
NIPTの基本的な仕組みと対象疾患
NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査、新型出生前診断)は、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん(胎盤)由来のDNAの断片を調べる検査です。採血だけで受けられ、検査そのものによる流産のリスクはありません。
💡 用語解説:セルフリーDNA(cell-free DNA)とは
お母さんの血液の中には、胎盤から流れ出た赤ちゃん由来のDNAの断片(セルフリーDNA)が混ざっています。これを次世代シーケンサーで読み取り、染色体の数に過不足がないかを推定するのが、もともとのNIPTです。1つの遺伝子の中の小さな変化を調べるには、その遺伝子を狙って深く読む、別の解析が必要です。
認証施設での標準的なNIPT対象疾患
日本医学会の出生前検査認証制度のもとで認証を受けた施設では、NIPTの対象は次の3つの染色体の数の異常です。
- 21トリソミー(ダウン症候群)
- 18トリソミー(エドワーズ症候群)
- 13トリソミー(パトウ症候群)
💡 対象が3つに絞られている理由
認証施設で対象が3つに絞られているのは、この3つの数の異常について、精度の検証が十分に行われているためです。頭蓋骨癒合症候群は、染色体の数ではなく1つの遺伝子の変化が原因なので、染色体の数を調べる方式のNIPTでは、しくみの上で調べられません。
頭蓋骨癒合症候群はNIPTで検査できるのか?
標準的なNIPTでの検査可能性
13・18・21トリソミーを調べる標準的なNIPTでは、頭蓋骨癒合症候群を調べることはできません。理由は次の3つです。
❗ 標準的なNIPTで調べられない3つの理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ① 変化の種類が違う | 頭蓋骨癒合症候群の原因は、染色体の数の異常ではなく、1つの遺伝子の中の小さな変化(DNAの1文字の置き換わりなど)です |
| ② 調べ方が違う | 標準的なNIPTは、染色体ごとのDNAの量を比べて、数の過不足を推定します。1文字単位の変化を見つけるには、対象の遺伝子を狙って深く読む解析が別に必要です |
| ③ 検証されたデータが限られる | 単一遺伝子のNIPTは、数の異常のNIPTに比べて新しい検査です。精度を検証した研究は、エコーで異常が疑われた方などハイリスクの妊婦さんを対象にしたものが中心です |
ミネルバクリニックの単一遺伝子検査
ミネルバクリニックでは、お母さんの血液で赤ちゃんの単一遺伝子の変化を調べるNIPTを、ダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子・202疾患)で行っています。どちらも、ご両親にはない新しい変化(de novo変異)を対象にした検査で、単胎妊娠の方が受けられます。
🔬 用語解説:単一遺伝子疾患とは
単一遺伝子疾患は、特定の1つの遺伝子の変化で起こる病気の総称です。頭蓋骨癒合症候群のほか、軟骨無形成症やヌーナン症候群などが代表です。染色体の「数」ではなく、遺伝子の「配列」の変化が原因なので、調べるには専用の解析が必要です。
こうした単一遺伝子疾患は1つひとつはまれですが、わずか30遺伝子・25疾患を合わせただけでも、約600人に1人(0.17%)の頻度になると報告されています[3][4]。これは、ダウン症候群の出生頻度(全体で約700人に1人)と同じくらいの数字です。骨の病気全体については骨系統疾患はNIPTで調べられる?で解説しています。
頭蓋骨癒合症候群に関係する遺伝子のうち、当院の各プランの対象リストで確認できたものは次のとおりです。
🧬 頭蓋骨癒合症候群に関係する遺伝子と、当院のプラン
| 遺伝子 | リストにある主な病気 | ダイヤモンド (56遺伝子) |
インペリアル (最大155遺伝子) |
|---|---|---|---|
| FGFR2 | クルーゾン症候群、アペール症候群、ファイファー症候群、ベア・スティーブンソン症候群、ジャクソン・ワイス症候群 など | ○ | ○ |
| FGFR3 | ムエンケ症候群、黒色表皮腫を伴うクルーゾン症候群(ほかに軟骨無形成症 など) | ○ | ○ |
| FGFR1 | ファイファー症候群、ジャクソン・ワイス症候群、三角頭蓋1型 | ○ | ○ |
| TWIST1 | セートレ・コーツェン症候群、頭蓋骨癒合症1型 など | ○ | ○ |
| ERF | 頭蓋骨癒合症4型 など | ○ | ○ |
| EFNB1 | 頭蓋前頭鼻異形成症 | ○ | ○ |
| TCF12 | 頭蓋骨癒合症3型 | ○ | - |
○=各プランの対象遺伝子・疾患のリストに記載があるもの、-=記載を確認できなかったもの(2026年10月時点)。リストでの病名の表記(アペルト症候群、ビアー・スティーブンソン症候群など)は、この記事と異なる場合があります。対象は変更されることがあるため、検査前の遺伝カウンセリングで確認します。
精度については、単一遺伝子まで調べるNIPTの検証研究で、染色体の数の異常・微小欠失・単一遺伝子をあわせて調べた1,090人で感度98.5%・特異度99.3%[5]、155遺伝子・202疾患を調べた750人で感度100%・特異度99.9%・陽性的中率96.9%[6]と報告されています(前者はダイヤモンドプラン、後者はインペリアルプランの検証データです)。どちらも、エコーで異常が疑われた方などハイリスクの妊婦さんを対象にした研究で、すべての妊婦さんで同じ数字になるとは限りません。
NIPTはスクリーニング検査です。陽性のときは、絨毛検査や羊水検査で赤ちゃんの遺伝子を直接調べて確かめる必要があります。まれですが偽陰性の可能性もあります。また、頭蓋骨の縫合が早く閉じる病気の多くは遺伝子の変化が見つからないタイプなので、陰性でも、頭蓋骨癒合症がないとは言えません。
結果が出るまでの目安は10〜14日です。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけは3〜4週間かかります(ダイヤモンドプランは単一遺伝子も10〜14日です)。ダイヤモンドプランは、米国の3大遺伝子検査会社の一角が提供する新技術「COATE法」(SNP法とターゲット法の組み合わせ)※で検査します。
※「3大遺伝子検査会社」は、遺伝性がんや周産期(出生前検査・保因者検査)を含む遺伝子検査全般を手がける米国の検査専業会社のうち、2025年通期の売上高が上位の3社を指します(各社の決算発表にもとづく当院調べ)。がん検診やリキッドバイオプシーに特化した会社は含みません。
ベア・スティーブンソン症候群はNIPTで調べられる?
ベア・スティーブンソン症候群(Beare-Stevenson cutis gyrata症候群)は、FGFR2遺伝子の変化で起こる、まれな頭蓋骨癒合症候群です。複数の縫合の癒合に、皮膚に深いしわができる脳回状皮膚(cutis gyrata)を伴うのが特徴です[1]。当院のダイヤモンドプランとインペリアルプランの対象疾患のリストに入っており、どちらのプランでもFGFR2遺伝子を調べます。陽性のときは、絨毛検査・羊水検査での確認が必要です。病気そのものの症状や、寿命・発達の見通しはベア・スティーブンソン症候群の解説ページで詳しく説明しています。
🩺 院長コラム【「知る選択肢」としての単一遺伝子検査】
かつて頭蓋骨癒合症候群は、生まれてから初めてわかる病気でした。今は、FGFR2やTWIST1などの変化を、妊娠中にお母さんの採血で調べる方法があります。これは「知る選択肢」の1つであり、受けることを勧めるものでも、受けないことを勧めるものでもありません。
生まれる前にわかっていれば、頭や顔の治療に対応できる施設で出産する、生まれてすぐの呼吸や哺乳を見守る体制を整える、といった準備ができます。一方で、スクリーニング検査の陽性は診断ではありません。確定検査で確かめてから考えることが大切だと考えています。
\ 単一遺伝子まで調べるNIPTを、確定検査まで院内で /
陽性のときも、陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料で、絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。
羊水検査・絨毛検査 | NIPT陽性後の対応
頭蓋骨癒合症候群の出生前診断方法
精密超音波検査による診断
妊娠中に頭蓋骨癒合症候群に気づくきっかけになるのは、超音波検査(エコー)です。ただし、エコーには次のような限界があります[1]。
- 縫合ができる時期が遅い:頭蓋骨の縫合ができるのは、妊娠16週ごろです。
- 妊娠20週ごろでは早すぎることが多い:頭の形の変化は、縫合ができたあとに少しずつ現れます。妊娠20週ごろのエコーの時点では、頭の形の変化が早くから強く現れるタイプを除いて、まだ見てわからないことが多いとされています。
- 多くは妊娠中に見つからない:症候群性の頭蓋骨癒合症でも、大多数は妊娠中には見つかっていません。
このため、エコーで「異常なし」と言われても、頭の形の変化が早くから強く現れるタイプを除いて、頭蓋骨癒合症候群がないとは言い切れません[1]。頭蓋骨癒合症候群がわかっている、または疑われる場合は、赤ちゃんの頭の大きさとお母さんの骨盤のつり合いを確かめるために、妊娠後期のエコーが勧められています[1]。
クルーゾン・アペール・ファイファー症候群はエコーでいつわかる?
エコーでの気づかれやすさは、病気のタイプによって違います。
🩻 病気のタイプとエコーでの気づかれやすさ
| 症候群 | エコーで手がかりになる特徴 | 妊娠中のエコー |
|---|---|---|
| クルーゾン症候群 | 手足には目立った所見がない。縫合の癒合が遅れて起こることもある | 妊娠中には見つからないことが多い |
| アペール症候群 | 両側の冠状縫合の癒合に加えて、手足の合指(趾)症がある | 妊娠中期に診断された報告がある |
| ファイファー症候群 | 幅の広い親指・足の親指。複数の縫合が癒合する型では、クローバーの葉のような頭の形になる | 複数の縫合が癒合する型は、妊娠中に気づかれることがある |
出典:Johnson & Wilkie(Eur J Hum Genet, 2011)[1]。「いつわかるか」は赤ちゃんごとに違い、妊娠中にはわからず、生まれてから診断されることも少なくありません。
エコーで頭の形や手足に気になる所見があったとき、あるいは家族歴があるときに、原因を確かめる方法が、次の確定検査です。エコーの所見がない段階で調べる方法としては、前の章で説明した単一遺伝子のNIPTがあります。
確定診断のための侵襲的検査
家族歴がある場合や、エコー・NIPTで頭蓋骨癒合症候群が疑われた場合は、絨毛検査または羊水検査で赤ちゃん由来の細胞を採り、原因遺伝子を直接調べることで診断を確定します。
🔬 確定検査の種類
| 検査 | 行う時期の目安 | 調べるもの |
|---|---|---|
| 絨毛検査(CVS) | 妊娠10〜13週ごろ | 胎盤のもとになる絨毛の細胞のDNA |
| 羊水検査 | 妊娠15週以降 | 羊水に含まれる赤ちゃん由来の細胞のDNA |
絨毛検査・羊水検査による流産の上乗せは、近年の大規模な解析ではほとんど見られないと報告されています[7]。
💡 家族歴がある場合の対応
ご両親のどちらかが頭蓋骨癒合症候群で、原因の遺伝子の変化がわかっている場合は、遺伝カウンセリングのうえで、絨毛検査・羊水検査での遺伝子解析を検討できます。お母さんご自身が同じ変化をお持ちの場合、NIPTだけでは赤ちゃんに伝わったかどうかを判定できません(軟骨無形成症・クルーゾン病などのあるお母さんへ)。一方、FGFR遺伝子の変化がご両親のどちらにも見つからなかった場合、次のお子さんで同じことが起こる確率は、1%をかなり下回るとされています[1]。
ミネルバクリニックでは、2025年6月から産婦人科を併設し、絨毛検査・羊水検査を院内で行っています。詳しくは羊水検査・絨毛検査のページをご覧ください。
ミネルバクリニックでのNIPT検査
頭蓋骨癒合症候群の原因遺伝子を調べるNIPTについて、当院で受ける場合の事実を表にまとめます。
🏥 ミネルバクリニックのNIPT(単一遺伝子を調べる場合)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 単一遺伝子を調べるプラン | ダイヤモンドプラン(56遺伝子)、インペリアルプラン(最大155遺伝子・202疾患)。どちらも単胎妊娠が対象 |
| 遺伝カウンセリング | 臨床遺伝専門医が常駐し、90分の受診枠の中で遺伝カウンセリングを行います |
| 受けられる時期 | 妊娠9週から。妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます |
| 結果までの目安 | 10〜14日。インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけ3〜4週間 |
| 陽性のとき | 陽性後の遺伝カウンセリングは何度でも無料。確定検査(絨毛検査・羊水検査)も院内で受けられます |
| 互助会 | 羊水検査互助会(カトレア会)8,000円:陽性時の確定検査の費用を補助。安心検査結果保障制度 6,000円:再検査が必要になったのに流産して再検査ができなかったときに検査代金を返金 |
| エコー | 4Dエコーが料金に含まれ、採血の前に赤ちゃんの状態を確認します |
| 来院が難しい方 | オンラインNIPT(Zoomでの遺伝カウンセリング+全国110か所の提携施設で採血) |
料金は変わることがあるため、NIPTの料金ページをご確認ください。
妊娠週数が早いほど、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAが少なく、判定できずに再検査になることがあります。早い時期に結果を知ることで考える時間を持てる一方、こうした限界があることも知ったうえで時期を選んでください。
ダウン症候群だけで大丈夫? ― 「値段」ではなく「調べられる範囲」で選ぶ
頭蓋骨癒合症候群について調べている方の中にも、「NIPTはダウン症候群がわかれば十分」と考えていた方がいるかもしれません。けれども、ここまで見てきたとおり、頭蓋骨癒合症候群のような単一遺伝子疾患は、三大トリソミー(21・18・13トリソミー)だけを調べる検査では調べられません。出生前検査で調べる病気は、どれも赤ちゃんとご家族の暮らしに大きくかかわります。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、ご家族のストレスと最も一貫して関係していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷といった「行動の問題」でした[8]。こうした行動の問題を伴いやすい病気は、微小欠失症候群や単一遺伝子疾患に多く含まれます[8][9]。
出生前検査は、その後の人生を左右するかもしれない検査です。プランを選ぶ物差しが「安さ」だけでよいのか、申し込む前に考えてみてください。考え方の1つとして、検査の費用を、調べられる病気の数で割ってみます。三大トリソミーだけを調べる検査を仮に10万円とすると、1つの病気あたりは約3万3千円です。単一遺伝子まで調べる当院のダイヤモンドプランは、数えられる病気が79で、1つの病気あたり約5,152円、インペリアルプランは320で、約1,719円になります。
| プラン | 主に調べる範囲 | 数えた病気の数 | 1つの病気あたり |
|---|---|---|---|
| 三大トリソミーだけを調べる検査 (仮に10万円とした場合) |
13・18・21トリソミー | 3 | 約33,333円 |
| スタンダード (220,000円) |
13・18・21トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失6種類7疾患 | 14 | 約15,714円 |
| プレミアム (264,000円) |
13・18・21・15・16・22トリソミー、性染色体の数の異常、微小欠失12種類13疾患 | 23 | 約11,478円 |
| ダイヤモンド (407,000円) |
プレミアムの範囲+単一遺伝子56 | 79 | 約5,152円 |
| 双子マックス (440,000円) |
全常染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常 | 114+α | 約3,860円 |
| インペリアル (550,000円) |
全常染色体の数の異常、性染色体の数の異常、92種類の微小欠失・重複、5Mbを超える構造異常、単一遺伝子202疾患 | 320+α | 約1,719円 |
※価格は事前学習動画を見て来院した場合の当日割引後の税込価格です。最新の料金は料金ページをご確認ください。
※病気の数は、数の異常・微小欠失・重複・単一遺伝子疾患を1つずつ数えたものです。性染色体の数の異常は4種類(ターナー症候群・クラインフェルター症候群・トリプルX症候群・XYY症候群)として数えています。5Mbを超える構造異常は数に入れていないため、双子マックスとインペリアルは実際にはさらに多くの変化を調べています。
※「三大トリソミーだけを調べる検査」は計算のための仮の例で、特定の施設の価格ではありません。
ただし、調べる病気の数が多いほどよい検査、ということではありません。調べる範囲が広がると、陽性になる可能性も、確定検査が必要になる場面も増えます。だから、検査前の遺伝カウンセリングで、ご家族に合ったプランを選びます。頭蓋骨癒合症候群の原因遺伝子まで調べたい場合は、単一遺伝子を対象にしたダイヤモンドプランかインペリアルプランが選択肢になります。
まとめ
頭蓋骨癒合症候群とNIPTの関係について、大切な点を整理します。
- ➤13・18・21トリソミーを調べる標準的なNIPTでは、頭蓋骨癒合症候群は調べられない
- ➤当院のダイヤモンドプラン・インペリアルプランは、FGFR1・FGFR2・FGFR3・TWIST1などの原因遺伝子を対象にしている
- ➤頭蓋骨の縫合ができるのは妊娠16週ごろで、症候群性のものでも、大多数は妊娠中のエコーでは見つかっていない
- ➤NIPTはスクリーニング検査。陽性のときや家族歴がある場合は、絨毛検査・羊水検査で確かめる
- ➤どこまで調べるかは、検査前の臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングで決める
🏥 頭蓋骨癒合症候群の原因遺伝子まで調べるNIPTを、確定検査まで院内で
ダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子)の対象リストに、FGFR2・FGFR3・TWIST1など頭蓋骨癒合症候群の原因遺伝子が入っています。常駐する臨床遺伝専門医が、90分の受診枠の中で遺伝カウンセリングを行い、陽性のときは絨毛検査・羊水検査まで院内で受けられます。来院が難しい方は、オンラインNIPT(Zoomでの遺伝カウンセリング+全国110か所の提携施設で採血)もご利用いただけます。
よくある質問(FAQ)
Q1. NIPTで頭蓋骨癒合症候群は確実に分かりますか?
確実に、とは言えません。当院のダイヤモンドプランとインペリアルプランでは、FGFR1・FGFR2・FGFR3・TWIST1・ERF・EFNB1など、頭蓋骨癒合症候群の原因遺伝子を調べられます。ただしNIPTはスクリーニング検査で、陽性のときは絨毛検査・羊水検査での確認が必要です。また、頭蓋骨の縫合が早く閉じる病気の多くは遺伝子の変化が見つからないタイプなので、陰性でも可能性を完全には否定できません。
Q2. ダウン症候群だけ調べれば大丈夫ですか?
ダウン症候群だけを調べれば大丈夫、とは言えません。頭蓋骨癒合症候群のような単一遺伝子疾患や、微小欠失症候群は、三大トリソミーだけを調べる検査ではわかりません。知的障害を伴う病気のお子さんのご家族を比べた研究では、ご家族のストレスと最も一貫して関係していたのは、知的障害の程度よりも、攻撃的な行動や自傷などの行動の問題でした[8]。当院では、スタンダードプランからプラダー・ウィリー症候群やアンジェルマン症候群などの微小欠失を、ダイヤモンドプラン・インペリアルプランでは単一遺伝子疾患まで調べられます。どこまで調べるかは、検査前の遺伝カウンセリングで決められます。
Q3. 家族に頭蓋骨癒合症候群の人がいる場合、出生前診断は可能ですか?
可能です。原因の遺伝子の変化がわかっている場合は、遺伝カウンセリングのうえで、絨毛検査(妊娠10〜13週ごろ)または羊水検査(妊娠15週以降)で赤ちゃんの遺伝子を調べる方法があります。ご両親のどちらかが同じ変化をお持ちの場合、お子さんに伝わる確率は妊娠ごとに50%です。
Q4. 超音波検査(エコー)で頭蓋骨の異常は分かりますか?クルーゾン症候群やアペール症候群はいつわかりますか?
頭蓋骨の縫合ができるのは妊娠16週ごろで、妊娠20週ごろのエコーでは、頭の形の変化が早くから強く現れるタイプを除いて、頭の形の変化がまだ現れていないことが多いとされています。症候群性の頭蓋骨癒合症でも、大多数は妊娠中には見つかっていません。アペール症候群では、妊娠中期にエコーで診断された報告があります。クルーゾン症候群は手足に目立った所見がなく、妊娠中には見つからないことが多い病気です。
Q5. 拡張NIPTで頭蓋骨癒合症候群を調べることはできますか?
調べる範囲を広げたNIPTでも、単一遺伝子を対象にしていなければ調べられません。当院ではダイヤモンドプラン(56遺伝子)とインペリアルプラン(最大155遺伝子・202疾患)が単一遺伝子を対象にしており、クルーゾン症候群・アペール症候群・ファイファー症候群・ムエンケ症候群・セートレ・コーツェン症候群の原因遺伝子が対象リストに入っています。スタンダードプラン・プレミアムプラン・双子マックスプランでは、単一遺伝子は調べません。
Q6. ベア・スティーブンソン症候群はNIPTで調べられますか?
原因はFGFR2遺伝子の変化で、当院のダイヤモンドプランとインペリアルプランの対象疾患のリストに入っています。NIPTはスクリーニング検査なので、陽性のときは絨毛検査・羊水検査での確認が必要です。
Q7. 父親の年齢が高いと、頭蓋骨癒合症候群は起こりやすくなりますか?
遺伝的な原因がわかった頭蓋骨癒合症の約半数は、ご両親にはない新しい変化(新生変異)によるものです。新生変異は父親の年齢が上がるほど増え、1歳上がるごとに約2個ずつ増えると報告されています。アペール症候群の新生変異は、父親由来であることがわかっています。ただし、これは集団での傾向で、大多数のお子さんには当てはまりません。
Q8. NIPTで陰性だった場合、頭蓋骨癒合症候群の可能性はゼロですか?
ゼロではありません。頭蓋骨の縫合が早く閉じる病気の多くは遺伝子の変化が見つからないタイプで、対象外の遺伝子が原因のこともあります。まれですが偽陰性の可能性もあります。妊娠中や生まれたあとに頭の形について指摘を受けたときは、主治医に確認してください。
Q9. ミネルバクリニックのNIPTはいつから受けられて、結果はいつ出ますか?
当院のNIPTは妊娠9週から受けられます(妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます)。結果までの目安は10〜14日で、インペリアルプランの単一遺伝子の結果だけ3〜4週間かかります。陽性のときは、陽性後の遺伝カウンセリングを何度でも無料で受けられ、絨毛検査・羊水検査も院内で受けられます。
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※本記事は一般の方に向けた情報提供を目的とするもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。検査を受けるかどうかは、主治医・臨床遺伝専門医と話し合って決めてください。






